先ほど、2泊しました宮城県から帰着しましたが、メインの第28回女川光太郎祭をはじめ、3~4回はそのレポート等に費やさねばなりませんので、それを始める前に別件をご紹介してしまっておきます。
2019年8月15日 渡辺えり著 早川書房(ハヤカワ演劇文庫) 定価1,620円(税込)
東日本大震災後に発表された渡辺えりの代表作二篇
高村光太郎と宮澤賢治をモチーフにした、渡辺えりの円熟の夢幻劇二篇
のんさん推薦!
「えりさんの作品から受ける感動は、トラウマとなって記憶に刻まれるような衝撃があります。色んな思考が渦巻いて、見る人を惑わせて不安にさせて、心をかき乱してくる。その中に見えてくる希望が心地いい。ファンタジーな世界が入り乱れる天使猫と、悪夢のように語られる月にぬれた手。私は、えりさんの作品に触れることが出来て良かったなあ…そんな風に感じて胸が熱くなりました。」
「えりさんの作品から受ける感動は、トラウマとなって記憶に刻まれるような衝撃があります。色んな思考が渦巻いて、見る人を惑わせて不安にさせて、心をかき乱してくる。その中に見えてくる希望が心地いい。ファンタジーな世界が入り乱れる天使猫と、悪夢のように語られる月にぬれた手。私は、えりさんの作品に触れることが出来て良かったなあ…そんな風に感じて胸が熱くなりました。」
〈内容紹介〉
終戦後、花巻郊外の粗末な小屋。高村光太郎は大戦中の自身を厳しく省みる日々を送っている。ある日、亡き妻・智恵子の幻影が現れ――女性と地方の立場から、光太郎が象徴する都会の男性中心社会を問い直す『月にぬれた手』。
終戦後、花巻郊外の粗末な小屋。高村光太郎は大戦中の自身を厳しく省みる日々を送っている。ある日、亡き妻・智恵子の幻影が現れ――女性と地方の立場から、光太郎が象徴する都会の男性中心社会を問い直す『月にぬれた手』。
東北地方の瓦礫の中でケンジは、妻の遺体を探す「猫」と出会う……東日本大震災と向き合い続ける著者が、宮澤賢治の人生と作品を織り交ぜて描いた、鎮魂と祈りの音楽劇『天使猫』。
解説/山口宏子
渡辺えりさん率いる劇団・おふぃす3○○(さんじゅうまる)さんによる、光太郎を主人公とした平成23年(2011)初演の「月にぬれた手」と、翌年に初演された宮沢賢治が主人公の「天使猫」のシナリオです。もちろんご執筆は渡辺さん。
渡辺さん、同じハヤカワ演劇文庫で、平成19年(2007)には『渡辺えり子Ⅰ――光る時間(とき)/月夜の道化師』も出されていますが(改名前なので「渡辺えり子」となっています)、こちらは光太郎と交流のあったお父様をモチーフにした「光る時間(とき)」が収められています。
今回の出版に際しては、少しだけ、お手伝いさせていただきました。先月でしたか、渡辺さんから電話があり、「月にぬれた手」中で、平岩紙さん演じた智恵子のセリフに、大正11年(1922)に智恵子が回答したアンケート「哀憐な美しさを見ます」からの引用があるのですが、その出典がわからなくなってしまった(事務所移転のどさくさで資料類が何処にいったかわからなくなったそうで)とのことで、お教えしました。
上記紹介文にある通り、帯にのんさんの推薦文が印刷されています。のんさん、現在公演中のおふぃす3○○さんの新作「私の恋人」で、渡辺さんと共演なさっています。本格的な舞台は初出演だそうで。ご招待いただいておりますので、月末の東京公演を拝見に行く予定です。
詳細はこちら。
さて、ハヤカワ演劇文庫 『渡辺えりⅢ──月にぬれた手/天使猫』、ぜひお買い求め下さい。
【折々のことば・光太郎】
低きに居む 短句揮毫 戦後
「む」はこの場合、意思を表す助動詞。したがって、「低い立ち位置に居よう」といったところでしょうか。
ある意味、上から目線で多くの空虚な翼賛詩文を書きまくり、あまたの前途有為な若者を死地に追いやった反省が、この句にもにじみ出ています。