雑誌系を2件。
まず、NHKサービスセンターさんで発行している『NHKウィークリーステラ』。NHKさんのテレビ・ラジオ番組ガイド的な雑誌です。
明後日放映の「偉人たちの健康診断 東京に空が無い “智恵子抄”心と体のSOS」が、意外と大きく取り上げられています。
高村光太郎と妻・智恵子の愛の記録 『智恵子抄』を現代医学の視点で読み解く
太平洋戦争前夜の1941年8月、ある一冊の詩集がこの世に出た。彫刻家の高村光太郎が、妻・智恵子との日々をつづった『智恵子抄』だ。 明治末期、まだ女性が画家になるなど考えられなかった時代に画家を目指した智恵子。世間の冷たい目にさらされる中、「芸術は自由であるべき」と主張する光太郎に出会い、2人は結ばれる。
しかし生活は困窮、結婚の翌年、智恵子は肺結核を患う。病状が悪化するたびに福島県の実家へと赴いた智恵子は、東京よりも濃い安達太良山の青空を“ほんとの空”と呼んで愛した。現代医学の視点から見ると、自然に親しむことは副交感神経を活性化し、リラックス効果を得ることができるという。
智恵子が40代半ばになったころ、商売をしていた実家が倒産。直後から智恵子には、幻覚の症状が表れ、それを絵に描き写すようになる。医師の診断は現代で言う「統合失調症」。入院した智恵子は、差し入れの千代紙などを使って切り絵に没頭していった。近年の研究によると、統合失調症の人は好きなことに熱中すると、症状が安定するという。
智恵子は何に苦しみ、何を救いとして生きたのか? 美しくも悲しい2人の愛の記録『智恵子抄』を現代医学の目でひもとく。
NHK BSプレミアムさんで、初回放映は明後日、7月25日(木)です。再放送は来週8月1日(木)の朝。ぜひご覧下さい。
続いて、毎月ご紹介しています『月刊絵手紙』さん。「生(いのち)を削って生(いのち)を肥やす 高村光太郎のことば」という連載があり、今号は昭和14年(1939)の随筆、「書について」から。
平成29年(2017)の12月号でも、まったく同じ文章が使われましたが、今号が光太郎も絶賛した良寛の書を特集しているということで、あえて同じものを再録したとのことです。
この連載もさらに長く続いて欲しいものです。
【折々のことば・光太郎】
僕の芸術のよい所とわるい所とをたしかにありありと、感知し得るものは世に二人しかない。君は其の貴い一人だ。君にこのあはれな集をおくる僕のまづしい喜びを信じて下さい。
雑纂「水野葉舟宛「道程」献辞」より 大正3年(1914) 光太郎32歳
親友の作家・水野葉舟に贈った第一詩集『道程』の見返しにしたためた文言です。
「二人しかない」という「僕の芸術のよい所とわるい所とをたしかにありありと、感知し得るもの」の一人が葉舟。もう一人は、おそらく智恵子でしょう。
明治末に急逝した碌山荻原守衛が存命であれば、ここに加わったかも知れませんが。