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演奏会情報です。

音のわコンサート

期  日 : 2018年5月3日(木・祝)
会  場 : セシオン杉並 杉並区梅里1丁目22番32号
時  間 : 午後1時 から 午後4時 まで  開場:午後0時30分
料  金 : 500円(小学生以上)
出  演 : 吉田賢二郎(テノール)、音のわアンサンブル、カンタマンマ、ほか合唱団、
       吉田寛子(指揮)

合唱、器楽、声楽、吹奏楽のコンサートです。
・合唱の部
  音楽物語「鹿踊りのはじまり」(宮沢賢治原作)
  智恵子抄より「或る夜のこころ」(高村光太郎作詩・吉田寛
曲)ほか
・吹奏楽の部
   「そら行け!浪漫飛行」
  テノール(吉田賢二郎)と合唱&吹奏楽による「You Raise Me Up」ほか

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今年1月にカワイ出版さんから楽譜が刊行され003た、吉田寛子さん作曲の女声三部合唱曲「或る夜のこころ」がプログラムに入っています。指揮は吉田さんご自身だそうです。

それから、「音楽物語「鹿踊りのはじまり」」。詳細な情報が出ていないのですが、故・長澤勝俊氏作曲による昭和30年(1955)の作品ではないかと思われます。楽譜も残っておらず、昭和36年(1961)に演奏されたのを最後に忘れられていた作品でしたが、平成27年(2015)に過去の演奏のテープから楽譜を再現、宮沢賢治学会に寄贈されたというものです。


ぜひ足をお運びください。


【折々のことば・光太郎】

男も、女も、共に人間を進めてゆかなければ為やうがない。

散文「女みづから考へよ」より 大正2年(1913) 光太郎31歳

智恵子がその創刊号の表紙絵を描いた『青鞜』に端を発する、「婦人運動」について述べた文章の一節。ヒステリックに女性解放を声高に叫ぶのではなく、性別を超越した人間性の涵養こそが大事、という論調です。

名古屋ご在住で、光太郎詩歌にメロディーをつけた歌曲を作曲なさっている野村朗氏の作品が演奏されるコンサートです。

野村氏に関してはこちら。

 

第20回TIAA全日本作曲家コンクール入賞者披露演奏会

期  日 : 2016年10月1日(土)
会  場 : ムーブ町屋ムーブホール 東京都荒川区荒川7-50-9
時  間 : 13:30開場 14:00開演
料  金 : 前売り2,000円 当日2,500円
申  込 : 東京国際芸術協会 03-6806-7108
プログラム : 
 島田康子作曲 「水の風景」より Ⅰ 水はうたっている Ⅱ 海のゆりかご
  演奏:島田康子(pf)
 土屋光彦作曲 「暁の鐘」 演奏:土屋光彦(pf)
 紺野鷹生作曲 ~フルートとピアノのための~ 見つめる樹
  演奏:近藤梓(fl)田口琴望(pf)
 永野聡作曲  連作歌曲「なのりそ」~北原白秋による~
  演奏:升島唯博(テノール)岩撫智子(pf)

 野村朗 作曲     連作歌曲「智恵子抄巻末の短歌六首」より
  第1曲「ひとむきに、むしゃぶりつきて…」
  第2曲「人は智恵子を…」
  第3曲「智恵子尾長のともがらとなる」
  第4曲「智恵子は知りき―」
  第5曲「智恵子の息吹みちてのこり…」
  第6曲「ここに住みにき」
   演奏:森山孝光(バリトン) 森山康子(pf)

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野村氏から頂いたご案内がこちら。

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今年1月に、名古屋で今回演奏される連作歌曲「智恵子抄巻末の短歌六編より」の初演がありましたが、そちらは欠礼しておりますので、今回は聴きに伺います。

皆様も是非どうぞ。


【折々の歌と句・光太郎】

かつて我も巴里に在りき秋の雨     明治43年(1910) 光太郎28歳

そろそろからっと晴れてほしいものですが……。

埼玉所沢より演奏会情報です。 

所沢メンネルコール 第30回記念演奏会~歌は心のよろこび

期  日 : 2016/06/18 (土)
時  間 : 12:45 開場  13:30  開演
会  場 : 
所沢市民文化センター ミューズ アークホール
       埼玉県所沢市並木一丁目9番地の1
料  金 :  1,000円 全席自由
問  合 : 猪股 04-2955-1655 岩田 04-2948-6145
曲  目 :
 1. F.リスト:レクイエム(パイプオルガンと管楽器との共演)
   Requiem aeternam / Dies irae / Sanctus / Agnus Dei
 2. 昭和浪漫
   青い山脈 / 夜明けのうた / 長崎の鐘 / 海 その愛 / 喜びも悲しみも幾年月
 3.清水脩 「智恵子抄より」
   「智恵子抄巻末のうた6首」 「ある夜のこころ」
 4. トコメン思い出のうた
   野分 / ヒャンス향수(郷愁) / 終電車のブルース / 石家荘にて / 海よ / 川の流れのように

指揮 : 岩佐 義彦  ピアノ : 大下 さや香  パイプオルガン:川越 聡子

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所沢に本拠を置く男声合唱団、所沢メンネルコールさんの演奏会です。

008故・清水脩氏が光太郎の詩歌に曲を付けた2曲がプログラムに含まれています。

「智恵子抄巻末のうた六首」は、昭和39年(1964)、東海メールクワイヤーさんの依嘱によって作曲、初演。翌年にはカワイさんから楽譜も刊行されました。ア・カペラ(無伴奏)の曲です。

「ある夜のこころ」。こちらはピアノ伴奏付きで、同40年(1965)、慶應義塾大学ワグネル・ソサエティーさんの依嘱・初演です。楽譜は音楽之友社さんから刊行された「清水脩・合唱曲集」シリーズに含まれていたはずですが、こちらは当方、持っておりません。

どちらも音楽之友社さんの『清水脩 男声合唱曲集 智恵子抄巻末のうた六首』に収録され、オンデマンド(受注出版)の形で入手可能です。

CD等の音源もリリースされています。

東芝EMIさんの「合唱名曲コレクション21(男声合唱) 月光とピエロ」に東京リーダーターフェルさんの演奏で、2曲共に。「巻末のうた」の方は、ビクターさんから発売の「日本合唱曲全集 月光とピエロ 清水集作品集」にも収められています。こちらの演奏は東海メールクワイヤーさん。

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清水氏は、昭和16年(1941)に刊行された『智恵子抄』を手に取り、「異常なほどの感動を覚え、以来、この愛情の詩に曲を付けたいと思い続けていた」と後年語っています。その「智恵子抄」作曲は男声合唱にとどまらず、混声合唱、独唱歌曲、箏曲にまでおよんでいます。「智恵子抄巻末のうた六首」は、混声版も存在します。


今年は光太郎没後60年、智恵子生誕130年。またひとつ花を添えていただけるかと期待しております。


【折々の歌と句・光太郎】

「トスカン」の酒の赤さよ衣がへ    明治42年(1909) 光太郎27歳

「トスカン」は、フィレンツェを含むトスカーナ地方。赤い酒は、かの地特産のワインでしょう。

名古屋から演奏会情報です。 

以前から光太郎の詩に曲を付けた独唱歌曲を連作されている野村朗氏の新作初演が含まれます。 
日  時 : 2016年1月31日(日)  開場 13:30  開演 14:00
会  場 : 電気文化会館 ザ・コンサートホール 名古屋市中区栄2-2-5
料  金 : 1,000円 全席自由
主  催 : Gruppo Giglio
後  援 : 名古屋音楽大学 名古屋音楽大学同窓会
   : 0561-76-5418 中村様
プログラム :
 Pfデュオ 杉本知世、中村あゆみ
  シベリウス:「クオレマ」より「悲しきワルツ」
  ベートーヴェン:「エグモント」より「序曲」
 ヴォーカルソロ・ピアノソロ 上木愛李、永坂夕貴
  グラナドス:「演奏会用アレグロ」/マスネ:「ウェルテル」より
 Pfソロ 鈴木まどか
  ショパン:「スケルツォ 第2番 変ロ短調」
 Pfソロ 柴田志穂
  グリーグ:「抒情小曲集 第3集 Op.43」
 トリオ (Vn)高嶋耕二 (Vc)小林 薫 (Pf)鹿島敬子
  シューマン:「ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調」より
 作曲 野村朗 バリトン 森山孝光 pf 森山康子
  連作歌曲「智恵子抄巻末の短歌六編より」

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野村氏からご案内を戴きました。

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演奏される森山夫妻、こうした場合の野村氏専属といった感があります。当方、5回ほど聴きましたが、素晴らしい技倆の持ち主で、野村氏が頼りにされるのもうなずけます。

下の動画は平成25年(2013)、日暮里サニーホールでの模様。野村氏の「連作歌曲 智恵子抄」です。



ぜひ足をお運びください。


【折々の歌と句・光太郎】

君が文よみつつをればそれとなくゆかしき人の息の香ぞする

明治33年(1900) 光太郎18歳

同年の雑誌『明星』に掲載されました。『明星』に載った最も古い短歌です。

昨日は東京晴海に行って参りました。過日ご紹介した「ライフサイクルコンサート 雄大と行く 昼の音楽さんぽ 第3回 小林沙羅 麗しきソプラノの旅」拝聴のためです。ソプラノ歌手・小林沙羅さんのコンサートで、光太郎詩「或る夜のこころ」に曲をつけた作品も演奏されました。

東京もウォーターフロントのあたりは自家用車での移動範囲です。東関東自動車道~高速湾岸線と乗り継ぎ、渋滞にはまりさえしなければ1時間弱。ただ、平日ですと辰巳JCT付近、渋滞がないということがありえない区間です。昨日はそれほど長い渋滞でもなく、比較的スムーズに着きました。

会場は第一生命ホール。晴海アイランドトリトンスクエアという複合ビルの中にあります。


右上がトリトン像。

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まずはドイツ歌曲。シューマンとリヒャルト・シュトラウスの作品から。いきなり圧倒されました。数ヶ月前、とても残念なソプラノ(らしき)独唱を延々と聴かされてしまったことがあり、それがトラウマになっていた部分があったのですが、最初にそれを払拭して下さいました。

ピアノ伴奏は河野紘子さん。フジテレビさんで放映されたドラマ「のだめカンタービレ」で、上野樹里さん扮する主人公・野田恵がピアノを演奏するシーンの手、音の吹き替え、さらに現場でのご指導もなさったそうです。こちらも素晴らしい演奏でした。

途中の休憩はなかったのですが、音楽ライター山野雄大氏によるMCを挟んで、第二部的に「優しき日本~日本歌曲」。ここで中村裕美さん作曲、「「智恵子抄」より「或る夜のこころ」」が演奏されました。

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ピアノの高音のトレモロから始まり、美しいメロディーラインが紡がれて行きます。かと思うと、音程なしの台詞的な部分もあり、歌曲というよりオペラのアリアを彷彿とさせるものでした。

作曲の中村裕美さんはこういう方です。

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光太郎詩「或る夜のこころ」は、大正元年(1912)の『スバル』第4年第9号に、日比谷松本楼さんでの智恵子との1コマを謳った「涙」などとともに掲載されたものです。

    或る夜のこころ

 七月の夜の月は
 見よ、ポプラアの林に熱を病めり
 かすかに漂ふシクラメンの香りは
 言葉なき君が唇にすすり泣けり
 森も、道も、草も、遠き街(ちまた)も
 いはれなきかなしみにもだえて
 ほのかに白き溜息を吐けり
 ならびゆくわかき二人は
 手を取りて黒き土を踏めり
 みえざる魔神はあまき酒を傾け
 地にとどろく終列車のひびきは人の運命をあざわらふに似たり
 魂はしのびやかに痙攣をおこし
 印度更紗の帯はやや汗ばみて
 拝火教徒の忍黙をつづけむとす
 こころよ、こころよ
 わがこころよ、めざめよ
 君がこころよ、めざめよ
 こはなに事を意味するならむ
 断ちがたく、苦しく、のがれまほしく
 又あまく、去りがたく、堪へがたく――
 こころよ、こころよ
 病の床を起き出でよ
 そのアツシシユの仮睡をふりすてよ
 されど眼に見ゆるもの今はみな狂ほしきなり
 七月の夜の月も
 見よ、ポプラアの林に熱を病めり
 やみがたき病よ
 わがこころは温室の草の上
 うつくしき毒蟲の為にさいなまる
 こころよ、こころよ
 ――あはれ何を呼びたまふや
 今は無言の領する夜半なるものを――


文語詩ということもあり、「智恵子抄」がいろいろな二次創作として扱われる場合にも、「レモン哀歌」や「あどけない話」などと比べて、あまり取り上げられることの多くない作品です(数十年前に故・清水脩氏がやはり曲をつけられたことがありましたが)。

ところで、昨日のコンサート、次の曲が伊藤康英氏作曲の「あんこまパン」という曲。サンドイッチ用のパンにバターとあんこ、さらにマヨネーズを塗るので「あんこまパン」だそうで、そのレシピをおもしろおかしく詩にした林望氏の詩に曲をつけたものです。


「「智恵子抄」より「或る夜のこころ」」が終わったところで、小林さん、河野さんが一礼。会場から万雷の拍手。まだ第二部の途中なので、ここ、そういうタイミングじゃないのにな、と不思議に思っていたら、一度お二人が袖に引っ込み、代わりに出て来たのがキャスター付きのテーブルでした。その上にはパン、あんこ、バター、マヨネーズ(笑)。小林さん、詩のとおりの手順で「あんこまパン」を製作しながら歌われていました。さらに完成した後はピアノの河野さんの口元にもってゆき、河野さんが一口がぶり。会場内は爆笑。

こちらのインパクトが強すぎて、「「智恵子抄」より「或る夜のこころ」」が忘れられてしまったのでは、と心配になりました(笑)。

第三部はイタリア系。当方、最初に演奏されたベッリーニの「優雅な月よ」が好きな曲でして、大満足でした。


こうした催しの場合、このブログではいつも同じようなことを書いていますが、こうした取り組みを通し、光太郎智恵子の世界を広めていただけるのは非常にありがたいことです。全国のいろいろな分野の表現者の皆様、ぜひよろしくおねがいいたします(ただ、時折あるのですが、とんちんかんな取り上げ方をされるのは困りものです)。


帰途は高速湾岸線~東関東自動車道、カーラジオを聴きながら、快適なドライブでした。

ラジオといえば、今月5日の智恵子命日「レモンの日」に、TOKYO FMさんが、「レモンの日」にちなみ、「シンクロのシティ」という番組の中の「トウキョウハナコマチ」というコーナーで、やはり「智恵子抄」を取り上げて下さったそうです。事前に情報を把握していなかったので聞きそびれましたが、ネット上に情報がアップされています。

普通のお嫁さんがいやだった!? ある有名カップルの幸せと葛藤

ウーマンリブや、フェミニズム。日本において、「女性解放運動」は明治時代から始まりました。女性も自由に生きる道を選べる。今では当たり前のことですが、当時はとても難しいことでした。男女の立場や関係の変化も激動の時代。そんな時代の、ある有名なひと組の夫婦のエピソードをご紹介します。

明治に生きた女性で解放運動を行っていた人物はたくさんいますが、そのなかの一人「高村智恵子」をご存知でしょうか。そう。高村光太郎の妻であり、画家でもある、あの「智恵子」です。

文学界きってのおしどり夫婦。心から愛し合っていた彼らですが、実際にはほとんどの間「事実婚状態」でした。
籍を入れたのは、彼女が精神を病み統合失調症を発病してから。
これも、高村が万が一の場合に智恵子の生活を保障するため、仕方なく入籍したものでした。

なぜ、二人は事実婚にこだわったのか。
二人の関係を祝福しない人が多かったのも、そのひとつでしょう。
ですが、最も大きい理由は、高村が、世間一般の「結婚」というものを認めていなかったからかもしれません。

あの有名な「智恵子抄」に収められている「人に」という詩の原文には、こんな文があります。
 「いやなんです あなたの往ってしまふのが―― (中略) 小鳥のやうに臆病で 大風のやうにわがままな あなたがお嫁にゆくなんて (中略) 乳をのませて おしめを干して ああ、何といふ醜悪事でせう」
 
高村は、自由に生きる「新しい時代の女性」であった智恵子を愛しました。
そんな智恵子が結婚をし、家庭に入り、普通の女性として生きることは「醜悪」なことだったのかもしれません。
 二人は男女の新しい形を模索し、そして人生をもってそれを貫きました。
でも、ご存知のとおり、智恵子は心を病み、そのまま亡くなってしまいます。
 
高村光太郎は、こんな言葉を残しています。
 「私はこの世で智恵子にめぐり会った為、彼女の純愛によって清浄にされ、以前の退廃生活から救い出される事が出来た」
 彼の傍にいたことにより、智恵子はこのうえない幸せとともに、大きな葛藤を抱えつづけることになったのかもしれません。

 文/岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は、「高村と智恵子、二人の愛の形」として、10月5日に放送しました。


こちらも取り上げて下さってありがたいです。

付け足すなら、現在でもそうらしいのですが、光太郎が留学で滞在したフランスでは、事実婚という形態が珍しくないそうです。光太郎が実際に会ったロダンとローズ・ブーレもそうですし、昨夏亡くなった令甥の髙村規氏は、サルトルとボーヴォワールあたりも意識していたのではないかとおっしゃっていました。

智恵子はこのうえない幸せとともに、大きな葛藤を抱えつづけることになったのかもしれません」、その通りのような気がします。


【今日は何の日・光太郎 拾遺】 10月7日

平成8年(1996)の今日、東京都立川市に光太郎詩「葱」(大正14年=1925)の詩碑が除幕されました。


  葱
000
立川の友達から届いた葱は、
長さ二尺の白根を横(よこた)へて
ぐっすりアトリエに寝こんでゐる。
三多摩平野をかけめぐる
風の申し子、冬の精鋭。
俵を敷いた大胆不敵な葱を見ると、
ちきしやう、
造形なんて影がうすいぞ、
友がくれた一束の葱に
俺が感謝するのはその抽象無視だ。


碑が建っているのは現在も続く東京都農事試験場の一角で、日本女子大学校時代からの智恵子の友人だった新潟出身の佐藤スミ(旧姓・旗野)がここの場長夫人でした。スミの名は「智恵子抄」に収められた散文「智恵子の半生」にも現れます。

光太郎智恵子結婚前の大正2年(1913)には、智恵子が新潟のスミの実家に滞在、スキーに興じました。また、その際に光太郎から智恵子に送られた書簡が残っており、一昨年、NHKさんの「探検バクモン「男と女 愛の戦略」で取り上げられました。

「智恵子抄」がらみのコンサート情報を2件、お伝えします。

開催順に、まずは都内から。 

ライフサイクルコンサート 雄大と行く 昼の音楽さんぽ 第3回 小林沙羅 麗しきソプラノの旅

   : 2015年10月6日(火) 11:00 開演(12:30終演予定)
会  場 : 第一生命ホール 東京都中央区晴海1-8-9 TEL 03-3532-3535
出  演 : 日時小林沙羅(ソプラノ) 河野紘子(ピアノ) 山野雄大(ご案内)
料  金 : 一般¥2,000  2公演(第3・4回)セット券¥3,000
 
      お友だち割¥1,500(同一公演3枚以上で1枚あたり)
*2公演セット券は「第4回 福川伸陽&三浦友理枝 ホルンとピアノの万華鏡」(12月15日(火))とのセットです。
曲  目 : ドイツの浪漫~ドイツ歌曲
         シューマン:おお紳士の皆様/ズライカの歌/ことづて
         R. シュトラウス:万霊節/ツェチーリエ
       優しき日本~日本歌曲
         山田耕筰:からたちの花  本居長世:白月
         中村裕美:「智恵子抄」より「或る夜のこころ」
         伊藤康英:あんこまパン
       麗しのイタリアへ!~イタリア歌曲からオペラ・アリアまで
         ベッリーニ:優雅な月よ トスティ:薔薇 マスカーニ:月 
         ドニゼッティ:歌劇≪連隊の娘≫より「さようなら」
         歌劇≪ドン・パスクアーレ≫より「騎士はあの眼差しを」


美しい声につつまれて‥‥心の旅はるか ドイツの浪漫、優しき日本、麗しのイタリアへ!

本物のクラシック音楽をもっと身近に!わかりやすいお話と共にもっと楽しく! 一流演奏家による珠玉の90分♪音楽ライターの山野雄大によるご案内でお届けします。

素敵な笑顔と、輝く美声をたっぷりと。ソプラノ歌手、小林沙羅さんが《雄大と行く 昼の音楽さんぽ》第3回に登場します。──お昼の時間帯に一流演奏家のみなさんをお迎えして、クラシック音楽をもっと身近に楽しんでいただこうというこのシリーズ、音楽ライター、山野雄大のご案内とともに、音楽家の愉しいトークと演奏と…オペラから歌曲から見事な表現力を魅せる小林さんが、ぜひこれを今こそお聴かせしたい!という選りすぐりのプログラムを組んでくださいました。

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小林沙羅  Kobayashi Sara  (ソプラノ)
東京藝術大学卒業、同大学院修了。2011年度文化庁新進芸術家在外研修員。2014年度ロームミュージックファンデーション奨学生。ウィーンとローマにて研鑽を積む。『こうもり』アデーレ、『トゥーランドット』リュー、『ヘンゼルとグレーテル』グレーテル、千住明作曲『万葉集』(初演)、三枝成彰作曲『KAMIKAZE』(初演)等に出演。ヘンデル「メサイア」、ハイドン「天地創造」、フォーレ「レクイエム」、マーラー「交響曲第4番」等ソリストとしても活躍。2012年ソフィア国立歌劇場『ジャンニ・スキッキ』ラウレッタ役で欧州デビュー、『愛の妙薬』プレミエ公演にアディーナ役で出演等、海外へも活動の幅を広げている。
オフィシャル・ウェブサイト
 http://sarakobayashi.com

河野紘子  Kohno Hiroko  (ピアノ)
桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学を経て同大学研究科を修了。ソロだけではなく、在学中より伴奏やアンサンブルにも力を入れており、特に声楽の分野ではメゾソプラノの波多野睦美氏をはじめ、共演者からの信頼も厚い。これまでに桐朋学園大学声楽科嘱託演奏員や二期会オペラ研修所ピアニストとして勤務。またフジテレビで放映されたドラマ「のだめカンタービレ」の主人公(上野樹里)の手・音の吹き替え、現場での指導を担当するなど、活動の幅を広げている。
オフィシャル・ウェブサイト
 http://www.hirokokohno.com

山野雄大  Yamano Takehiro  (ご案内/音楽ライター)
1971年東京生まれ。『音楽の友』『レコード芸術』『バンドジャーナル』などの音楽誌への連載、演奏会プログラムへの定期寄稿をはじめ、オーケストラやバレエの取材・撮影、CDの企画・ライナーノート執筆を多数手がける。NHK-FM《オペラ・ファンタスティカ》など放送出演も。

中村裕美さん作曲の「「智恵子抄」より「或る夜のこころ」」、昨秋、やはり小林さんの歌唱で初演されています。ただ、会員制のようなコンサートだったため、当方も拝聴できませんでしたし、このブログではご紹介しませんでした。

今回はNPO法人トリトン・アーツ・ネットワークさんの主催による公開公演ですので、当方もチケットを購入しました。今日現在、まだ空席があるようです。ぜひどうぞ。


もう1件、名古屋でのコンサート情報です。2日に分けてご紹介すべきところですが、やはり芸術の秋、文化の秋ということで、このブログでご紹介すべきイベント等が目白押し(昨秋もそうでしたが、半月先まで書く内容が決まっています)のため、書いてしまいます。

作曲:野村朗・フルート:吉川久子 智恵子抄の世界を遊ぶ ~その愛と死と~

日  時 : 2015年10月11日(日) 14:00 開演 
会  場 : ドルチェ・アートホールNagoya 名古屋市中区栄2-2-35 Tel050-5807-3564
出  演 : バリトン:森山孝光 ピアノ:森山康子 フルート:吉川久子 ギター:千代正行
料  金 : 前売券 3,000円/当日券 3,500円 
主  催 : 智恵子抄実行委員会
共  催 : 野村朗 吉川久子フルートオフィス
曲  目 : 
  野村朗 編
  歌曲「冬の言葉」(詩:高村光太郎/曲:野村朗)
  連作歌曲「智恵子抄」全曲(詩:高村光太郎/曲:野村朗)
   1 歌曲「千鳥と遊ぶ智恵子」  2 歌曲「あどけない話」  3 歌曲「レモン哀歌」
   4 「間奏曲」  5 歌曲「案内」

  吉川久子 編
   ホラねんねんねろ(福島の子守歌) 故郷の空 ふるさと 森のささやき(オリジナル)
  月光(作曲作品) 浜千鳥 他


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名古屋在住の作曲家・野村朗氏。連翹忌のご常連で、一昨年、「連作歌曲「智恵子抄」」を発表され、以後、今回もご出演の森山夫妻による演奏で何度かコンサートが開催されています。また、CD、楽譜も発売されています。

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かたやフルート奏者の吉川久子さん。こちらも昨年の第58回連翹忌にて演奏していただきました。その前にやはり一昨年、横浜で「こころに残る美しい日本のうた 智恵子抄の世界に遊ぶ」というコンサートを開催されました。それを聴いた当方が、連翹忌へのご出演を依頼し、快諾なさって下さいまして、さらにそれがご縁で野村氏とのコラボが実現したというわけです。実は、以前にもそういうお話があったのですが、それぞれお忙しい方々ですので、なかなか実現しませんでした。

主催が「智恵子抄実行委員会」となっていますが、野村氏、吉川さんに加え、昨夏亡くなった光太郎の令甥・髙村規氏のご長男、髙村達氏、当会顧問の北川太一先生、それから当方もお名前を連ねさせていただいております(他にも10名ばかりいらっしゃいますが、個人情報だのなんだのが喧しいので載せませんが)。その会としての案内がこちら。おそらく野村氏が書かれました。

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こちらにあるとおり、二本松や花巻での公演もお考えとのこと。ぜひ実現してほしいものです。

さらにいうなら、他にも音楽系、朗読系、舞台芸術系などで光太郎智恵子の世界を扱われている方がたくさんいらっしゃいますので、そうした方々のご参加も賜えれば、などと勝手なことも考えております。000

さて、名古屋の方もぜひ足をお運び下さい。


【今日は何の日・光太郎 拾遺】 9月30日

昭和50年(1975)の今日、二玄社から光太郎書「蟬のうた」の軸装複製が発売されました。

光太郎と交流の深かった美術史家・奥平英雄所蔵の紙本半切を複製したもので、大正13年(1924)、雑誌『明星』に発表した短歌「飛びたつとき吾が手を掻きてゆきし蟬の足の力の忘られなくに」が印刷されています。揮毫自体は戦後のものですが、枯淡の境地というのは、まさしくこういうものではないのかな、と思わせる書です。

書といえば、過日のこのブログでご紹介したNHKEテレさんの「趣味どきっ!女と男の素顔の書 石川九楊の臨書入門」、NHKさんの公式サイトに情報がアップされました。また、テキストも刊行され、新刊書店に並んでいます。版元のNHK出版さんから贈っていただきまして、ぺらぺらの薄い冊子を想像していたのですが、とんでもない、非常に充実した内容で驚きました。これで1,000円+税は実にお買い得です。

放映(11/3)が近づきましたらまた詳しくご紹介します。

コンサート情報です。 
日 時 : 2015年6月19日(金) 18:30開演(18:00開場)
会 場 : 渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール
主 催 : 二期会日本歌曲研究会
後 援 : 公益財団法人東京二期会

料 金 : 全席自由 ¥3,500
   
構成・制作:宮本哲朗   制作補佐:山本富美
 
出演:
(ソプラノ)  安陪恵美子、飯塚千尋、内田もと海、木内弘子、 久保太麻子、黒川京子、小池芳子、福成紀美子、 前澤悦子、前中榮子、山本富美、和澤康代 
(メゾソプラノ) 清水邦子
(バリトン) 馬場眞二
(ピアノ) 東井美佳、朴 令鈴、森 裕子 

演奏曲目:
 山田耕筰 からたちの花
 中田喜直 桐の花/たんぽぽ/悲しくなったときは/「四季の歌」より 春の歌/秋の歌/
      冬の歌 
 清水 脩 「智恵子抄」より あなたはだんだんきれいになる/あどけない話
 高田三郎 くちなし
 別宮貞雄 「二つのロンデル」 雨と風/さくら横ちょう
 武満 徹  翼/死んだ男の残したものは
 早川史郎 れんげ畑/ウイスキーボンボン/おやすみなさい
 木下牧子 ほんとにきれい/月の角笛/竹とんぼ/「愛する歌」より
                                                              誰かがちいさなベルをおす/さびしいカシの木 
 前田佳世子 夜はやさしい/遠いひと
 朝岡真木子 さくらよ/花のなみだ/「おとうさんの子もり歌」より うちのねこ
[委嘱作品]
 組曲「あなたへ」 星乃ミミナ 詩・朝岡真木子 曲
                                                      1.あこがれ 2.あなたへ 3.夢 とおく 4.優しさの力 

ご予約・お問合せ:二期会チケットセンター 受付電話 03-3796-1831 FAX 03-3796-4710
受付時間:平日10:00~18:00/土曜10:00~15:00/日・祝休業
チケット取扱:東京文化会館チケットサービス 03-5685-0650

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4月にあった二期会歌曲研究会さんのコンサートでも、清水脩作曲の「歌曲集「智恵子抄」」から同じ曲の演奏がありました。出演者もかぶっているようで、同じ方の演奏なのかも知れません。

音楽を通して光太郎智恵子の世界を表現、そして広めて下さるのもありがたいことです。


【今日は何の日・光太郎 拾遺】 6月5日

昭和2年(1927)の今日、新潮社から『昭和詩選』が刊行されました。

川路柳虹の外遊を援助する意味で、佐藤惣之助、福田正夫、白鳥省吾、室生犀星、千家元麿、百田宗治、萩原朔太郎の七名が発起、広く詩壇に呼び掛けて作品を募りました。

光太郎もこれに応え、「偉大なるもの」「ミシエル・オオクレエルを読む」を提供しました。

一昨日、昨日に続き、光太郎智恵子がらみの歌曲がプログラムに入っているコンサートをご紹介します。 

二期会日本歌曲研究会コンサート こころの調べ vol.18

日 時 : 2015年4月24日(金)18:30開演
会 場 : すみだトリフォニー小ホール
出演者 : 
 内田もと海、木内弘子、黒川京子、前澤悦子、山本富美(以上ソプラノ)、
 浜坂京子(メゾソプラノ)、馬場眞二(バリトン)、高木由雅(ピアノ)
曲 目 :
  「歌が生まれる」 なかにしあかね 詩/曲
 《光》より    みずかみかずよ 詩/なかにしあかね 曲
 『智恵子抄』より「あなたはだんだんきれいになる」「あどけない話」
   高村光太郎 詩/清水脩 曲 

 《さえないこころ》より「天使たちのお母さんへ」 山岸千代栄 詩/大中恩 曲
 《小倉百人一首》より「花の色は」他 信時潔 曲
 「歌をください」 渡辺達生 詩/中田喜直 曲
 「だからその海を見ない」 山下千江 詩/中田喜直 曲
 「生きる」 谷川俊太郎 詩/青島広志 曲
 「死んだ男の残したものは」 谷川俊太郎 詩/武満徹 曲
  愛唱歌コーナー 「お菓子と娘」「この道」
主 催 : 二期会日本歌曲研究会
料 金 : 3000円(全席自由)
お問い合せ:angelongaku☆gmail.com (☆を@に変更して送信してください)


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清水脩作曲の「歌曲集 智恵子抄」から2曲がラインナップに入っています。

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楽譜は昭和53年(1978)に刊行されています。全12曲で、息の長い作曲です。今回演奏される「あどけない話」など6曲が、光太郎生前の昭和30年(1955)。「あなたはだんだんきれいになる」他2曲が昭和34年(1959)、残りが昭和46年(1971)の作曲です。

二期会さんでは、6月にも光太郎智恵子がらみの歌曲がプログラムに入っているコンサートを上演なさいますが、そちらはまた近くなりましたらご紹介します。


【今日は何の日・光太郎 拾遺】 4月8日002

昭和30年(1955)の今日、新潮文庫の一冊として刊行の光太郎訳ヴェルハーレン(光太郎の表記では「ヴェルハアラン」または「ヹルハアラン」)詩集『天上の炎』の校正を終えました。

もとは大正14年(1925)に新しき村出版部から刊行されたものです。さらに昭和8年(1933)、長沼重隆等との共著『岩波講座世界文学 近代作家論』
に収められた評伝「ヹルハアラン」も収録しています。

刊行はこの年6月でした。

昨日のこのブログで、野村朗氏作曲の「連作歌曲 智恵子抄 ~その愛と死と~」が演奏されるコンサートについてご紹介しましたが、同様に、光太郎智恵子がらみの歌曲がプログラムに入っているコンサートが立て続けに開催されますので、順次ご紹介します。

まず、来週土曜日。 

新しい歌を求めて ~大久保豊典が歌う土屋光彦歌曲の夕べ~

期 日 : 2015年4月18日(土)
場 所 : 東京・日暮里サニーホールコンサートサロン
時 間 :  9:30開演(19:00開場)
料 金 : 全席自由 2,500円
 
 
 作曲・ピアノ:土屋光彦 テノール:大久保豊典
プログラム:
 作曲:土屋 光彦
   野ばら(詞:ゲーテ 訳:近藤朔風)
   夜(詞:宮澤賢治)
   烏の北斗七星(詞:宮澤賢治)
   少年に与う(詞:高村光太郎)
   最低にして最高の道(詞:高村光太郎)
   小景異情(詞:室生犀星)
   生への祈り(詞:ルー・ザロメ 訳:後藤信幸)
   心に太陽を持て(詞:フライシュレン 訳:山本有三)
   君達に(詞:高村光太郎)

申し込み:TIAA CD&TICKETSHOP

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作曲家の土屋光彦氏によるオリジナル歌曲が演奏されます。こちらに氏のインタビューなど詳細が載っています。ご覧下さい。


【今日は何の日・光太郎 拾遺】 4月7日

昭和15年(1940)の今日、雑誌『造形芸術』 第2巻第4号通算第8号に評論「ロダンの素描」が掲載されました。

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筑摩書房『高村光太郎全集』第7巻に所収されています。『全集』の解題では「第2巻第8号」となっていますが、「第2巻第4号通算第8号」の誤りです。

過日の第59回連翹忌に名古屋からご参加下さいました作曲家の野村朗氏から、連翹忌当日、以前に氏が作曲された「連作歌曲 智恵子抄 ~その愛と死と~」の楽譜とCDをいただきました。

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楽譜は東京国際芸術協会からの刊行で、定価2,000円+税。ネットで購入可能です。

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CDの演奏は森山孝光・康子夫妻。昨年のテイクです。こちらは野村氏の自主制作のようです。ご入用の方、仲介いたします。こちらまで。

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楽譜とCDの両方があると、譜面を目で追いながら耳で聴き、「ああ、ここはこうして居るんだ」「さっきのテーマをここで再現しているのか」などといったことが細かく分かり、非常に有り難いものです。

ちなみに楽譜、CDとも、名古屋のイラストレーター、西尾香美さんの絵が使われています。

「連作歌曲 智恵子抄 ~その愛と死と~」、何度か上演されていますが、また来週も東京すみだトリフォニーホールでの演奏会でプログラムに入っています。

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期 日 : 2015年4月16日(木)
会 場 : 
すみだトリフォニーホール 小ホール
時 間 : 19:00開演 18:30開場
    
出演/曲目 
 八木下 茂  悲しみの意味 詩:星野富弘
  1. 今日は朝から雨
  2. 木のように
  3. 椿
  4. 愛されている
  5. 野ばら
  6. 悲しみの意味
   葛西みな子<ソプラノ> 木谷理恵<ピアノ>

 服部萬里子  帰郷 詩:中原中也
   葛西みな子<ソプラノ> 木谷理恵<ピアノ>

 野村 朗  連作歌曲「智恵子抄」~その愛と死と~ 詩:高村光太郎
   第1曲「千鳥と遊ぶ智恵子」
   第2曲「あどけない話」
   第3曲「レモン哀歌」
   第4曲「間奏曲」
   第5曲「案内」
  森山孝光<バリトン> 森山康子<ピアノ>

 服部和彦  忘れられた三つの歌 詩:服部和彦
  青い蝶 詩:服部和彦
   猪口朋子<ソプラノ> 菊地沙織<ピアノ>
  幻の花 詩:石垣りん
  ドリーム 詩:小野小町
   葛西みな子<ソプラノ> 新 弥生<ピアノ>
  藤壺 「源氏物語(作:紫式部 /訳:瀬戸内寂聴)」より
  溝呂木さゆり<歌・朗読> 岩井奈美<大正琴>

料 金  3,500円 (全席自由・税込)
申 込  JILAチケットセンター Tel:03-3356-4140


【今日は何の日・光太郎 拾遺】 4月6日

昭和60年(1985)の今日、埼玉県立近代美術館で企画展「荻原守衛と日本の近代彫刻―ロダンの系譜」が開幕しました。

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光太郎の作品も、彫刻5点、油絵1点が出品されました。

コンサート情報です。 

日本の音楽展(XXXVII)

   2015年 1/22(木)・23(金)・24(土)・25(日)
  
 草月ホール(東京都港区 東京メトロ「青山一丁目」駅下車徒歩5分)
   各日とも3,800円(全席自由)
 
第一夜 1月22日(木)18:30開演
 ソプラノ 山田優里 フルート 赤羽彩 ユーフォニアム 鈴木章子・田中玲子
 マリンバ 神尾弥
 ピアノ 田中愛美・野入葉子
 竹鼓舌(竹笛 金子健治・松浦孝成・味澤明子 竹弦 畑内浩  竹鼓 小田もゆる
      竹太鼓 山下由紀子 竹琴 村田朋子 歌 小室祥子)
  鈴木憲夫:フルートソロのための「笛吹き女」
  増本伎共子:フルートソロのための「乱声」
  田中利光:ゲシュタルト マリンバのための
  保科洋:ユーフォニアムとピアノのためのファンタジー
  千秋次郎:海に開く窓 2本のユーフォニウムとピアノのための
  金子健治:竹楽器の為の“ものものがたり” /金子みすず童謡集〜風船/大漁/木
  尾高尚忠:ピアノのためのソナチネ Op.13
  山田耕筰:この道/からたちの花/鐘が鳴ります/中国地方の子守唄/曼珠沙華
 
第二夜 1月23日(金)18:30開演
 ソプラノ 吉元恵子 メゾソプラノ 金光和恵 フルート 神村淳子 サクソフォン 河西麻希
 ユーフォニアム 田中玲子 ヴィオラ 村井由紀 チェロ 村井将 
 ピアノ 喜多輝美・佐甲圭子・船橋登美子・岸本伸子・田丸和弥・若山千恵子
  石原忠興:ピアノのための小組曲
  鶴原勇夫:ユーフォニアムとピアノの為のソナチネ第一番
  船橋登美子:じゅじゅちゃんの優雅なワルツ
  作曲者不詳=船橋登美子編曲:猫ふんじゃった…他
  清瀬保二:第二ピアノ曲集
  猪本隆:ゆうれい屋敷
  信長貴富:エレジアコ・エレキテル 〜フルート・ヴィオラ・チェロのために〜
  湯山昭:愛に会う街/六月の花嫁/ねんねの駅/プレゼント マイラブ
 
第三夜 1月24日(土)18:30開演
 ソプラノ 齊藤恵 フルート 小池美和・吉岡仁美 クラリネット 中里茎子
 ヴァイオリン 児玉あい子・三原愛里 ギター 平井貴 尺八 野村幹人 十七絃 瓶子真弓
   箏 池杉恵理奈・内藤美和・マクイーン時田深山 
 ピアノ 石毛加代子・上野彩子・斎藤敦子・Nao
  Nao:SAKURAwaltz(初演)/Winter Sea~心から~(初演)
  寺内園生:ピアノのための組曲「斑鳩」
  西村朗:独奏クラリネットのための《ウトパラ(睡蓮)》
  古賀政男(児玉あい子編曲):無法松の一生/男の純情/娘船頭さん/人生劇場
  別宮貞雄:歌曲集「智恵子抄」より 人 に/僕等/あどけない話/レモン哀歌
  金光威和雄:三面の箏・十七絃・尺八による《容》 
  三木稔:フルートとピアノのための秋の曲
 
楽日 1月25日(日)14:30開演
 うた 山口昭二 語り 本田久子 フルート 野口龍・柳田美紀 ヴァイオリン 濱田協子
 ギター 樋浦靖晃 ピアノ 長野仁子・林翔子・水野真紀・畑めぐみ
  平尾貴四男:フリュートとピアノの為の小奏鳴曲
  徳山美奈子:ムジカ・ナラ 〜ピアノのために〜
  三善晃:アン・ヴェール
  久世禄太原作(構成本田久子):12歳の文学・第六集より「この地図を消去せよ」 
  玉木宏樹:ピアノのための練習用組曲「山ノ手線」
  山口昭二:中也鬱鬱
  横尾幸弘:さくらの主題による変奏曲
  武満徹:ギターのためのエキノクス
  武満徹(清水悠編曲):映画「他人の顔」 〜ワルツ
  武満徹:独奏フルート奏者のための 《声》渋谷澤兆:PIANO ALBUM II より (初演)
  佐藤敏直:三奏者のための音楽
  番外:パフォーマンス 山口昭二・竹鼓舌・ブレスブレス
 
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第三夜・1月24日(土)に、別宮貞雄氏作曲の歌曲集「智恵子抄」から抜粋で演奏されます。
 
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この歌曲集は、昭和58年(0001983)初演。「人に」、「深夜の雪」、「僕等」、「晩餐」、「あどけない話」、「人生遠視」、「千鳥と遊ぶ智恵子」、「山麓の二人」、「レモン哀歌」の全9曲です。今回の演奏会ではこのうちの4曲が演奏されます。

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音楽之友社さんから楽譜が刊行されていましたが、絶版になっているようです。
 
CDがカメラータトウキョウさんからリリースされていて、こちらはまだ新盤で手に入ります。演奏は永田峰雄(テノール)、アントニー・シピリ(ピアノ)。平成14年(2002)の録音です。 

 
 【今日は何の日・光太郎 拾遺】 1月17日

昭和58年(1983)の今日、岩波書店から岩波文庫(青)の一冊として『戊辰物語』が刊行されました。001
 
表題作の「戊辰物語」は、もともと昭和3年(1928)の『東京日日新聞』に連載された各界古老の懐古談です。この年は戊辰戦争のあった明治元年(1868)から数えて60年、次の「戊辰」だったというわけでした。
 
それに先立つ大正15年(1926)に連載された「五十年前」、
さらに「戊辰物語」「五十年前」を併せて単行本化したさいに増補された「維新前後」を収めています。
 
「戊辰物語」「五十年前」には光雲の懐古談も多く収録されています。いずれ当方が刊行している冊子『光太郎資料』にてご紹介いたします。
 
他の語り手は、金子堅太郎、三代目柳家小さん、新選組局長近藤勇の娘・たまの夫である近藤勇五郎などです。

今年10月25日に、岩手県民会館大ホールにて行われた第67回全日本合唱コンクール全国大会(全日本合唱連盟、朝日新聞社主催)の高校部門で、Aグループ(8~32人)に出場し、光太郎作詞、鈴木輝昭氏作曲の「女声合唱とピアノのための組曲 智恵子抄」」から自由曲を選んだ学校が二つありましたが、ともに上位入賞を果たしました。
 
「亡き人に」を自由曲に選んだ神奈川の清泉女学院さんは、金賞。北海道の帯広三条高校さんは、「レモン哀歌」で挑み、銀賞でした。どちらも女声合唱です。
 
ブレーン株式会社さんから、ライブ録音のCDが発売されたので、注文しました。出場順の関係で、帯広三条さんはvol1、清泉女学院さんはvol2に収録されており、2枚買いました。
 
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届きましたので、早速聴いてみました。どちらも透き通った美しい声で、情感たっぷりのいい演奏でした。高校生らしい張りのある若々しい声質も好ましいと思いました。
 
ブレーンさんでは、昨年までは金賞授賞団体の演奏のみを収めたDVDを発売していましたが、今年から全出場団体のDVD、さらにブルーレイも発売されています。ただし、受注生産ということで、コスト的にCDよりもかかるようで、DVDが1枚5,000円+税、ブルーレイは同じく6,000円+税(CDは3,000円+税)です。やはり出場順の関係で、帯広三条さんと清泉女学院さんが別々のディスクに収録されており、2枚買わなければなりません。ちょっと悩んでいます。
 
こうしたコンクールだけでなく、各種演奏会でも、もっともっと光太郎作詞の(というか、光太郎の詩に作曲した)楽曲を演奏していただきたいものですし、ラインナップも増えてほしいものです。
 
 
さて、今日は、音楽でなく演劇で、「智恵子抄」を観て参ります。過日ご紹介した「微笑企画第4弾 一人芝居 人に~智恵子抄より」です。楽しみです。
 
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 12月24日

大正7年(1918)の今日、光太郎智恵子連名で、小橋三四子(みよこ)に宛ててクリスマスカードを送りました。
 
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小橋三四子は日本女子大学校での智恵子の先輩に当たります。洋画家柳敬助の妻・八重ともども、光太郎と智恵子が出会うきっかけを作った一人です。読売新聞記者として活躍した他、雑誌『婦人週報』を創刊したりもしました。今年上半期の朝ドラ「花子とアン」の主人公、村岡花子とも親しい間柄でした。
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文面は以下の通りです。
 
クリスマスのおよろこびを私達からもお受け下さい。
あなたの清い心と同朋を思ふ熱い情とにますます祝福のある様にといのります。
此のフラ、アンジエリコの描いた天子達の晴朗な和平を世に持ち来すことに努めませう。
 
表面の差出人の部分は智恵子の筆跡と思われ、現存数の少ない智恵子筆跡の一つとして貴重です。宛名部分と裏面は光太郎の筆跡です。
 
用紙はイタリア製の絵葉書で、ルネサンス期のフィレンツェ出身の画家、フラ・アンジェリコの描いた宗教画「聖母戴冠(部分)」が印刷されています。

音楽CDの新譜です。
ジョヴァンニ・レコード 2014/12/01発売 定価2,700円+税
 
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今年8月30日に、紀尾井ホールで行われた同名のコンサートのライヴ録音です。三好真亜沙さん作曲、女声アンサンブルjuri さん演奏の「女声合唱とピアノのための「冬が来た」」が含まれています。
 
混声合唱とピアノのための「平行世界、飛行ねこの沈黙」   作詩:宮岡絵美 作曲:増井哲太郎
 1 風
 2 うたひ手
 3 今日わたしは星をかった
 4 平行世界、飛行ねこの沈黙
指揮:雨森文也  ピアノ:平林知子 合唱:CANTUS ANIMAE
 
男声合唱とピアノのための「シーラカンス日和」  作詩:水無田気流 作曲:田中達也
 1 午前四時の自動販売機 
 2 名前 
 3 シーラカンス日和
 4 烏唄 
 5 音速平和
指揮:伊東恵司  ピアノ:水戸見弥子  合唱:なにわコラリアーズ
 
女声合唱とピアノのための「冬が来た」   作詩:高村光太郎 作曲:三好真亜沙
 1 冬が来る
 2 冬が来た
 3 孤独が何で珍しい
 4 冬の奴
指揮:藤井宏樹  ピアノ:五味貴秋  合唱:女声アンサンブルJuri 

 
混声合唱とピアノのための「いのち」  作詩:工藤直子 作曲:名田綾子
 1 花マルで 待つ
 2 深呼吸
 3 さようならこんにちは
 4 祝日 
 5 いのち
 6 もしも
指揮:清水敬一  ピアノ:小田裕之  合唱:松原混声合唱団
 
無伴奏混声合唱のための「花は咲く」  作詩:岩井俊二 作曲:菅野よう子 編曲:北川 昇  
指揮:清水敬一  合唱:Premiere Choir (参加者全員による合同合唱団)
 
 
それぞれ、一流の合唱団による好演です。ぜひお買い求めを。
 
また、楽譜も出版されていますので、全国の合唱団の皆さん、演奏会やコンクールなどでどんどん取り上げて下さい。特に「女声合唱とピアノのための「冬が来た」 」を扱っていただければ、このブログにてご紹介します。
 
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 12月6日
 
明治25年(1892)の今日、光太郎の父、光雲に対し、「西郷隆盛像木型制作に従事し格別勉励につき」ということで、慰労金45円が下賜されました。

「智恵子抄」中の詩に曲を付けた作品を自由曲に取り上げた学校があったので、先日、このブログにてご紹介しましたが、昨日、盛岡の岩手県民会館で、第67回全日本合唱コンクール全国大会(全日本合唱連盟、朝日新聞社主催)の高校部門が開催されました。
 
共に鈴木輝昭氏作曲の「亡き人に」が神奈川の清泉女学院音楽部さん、「レモン哀歌」が北海道の北海道帯広三条高校合唱部さん。
 
また、智恵子の後輩に当たる福島県立橘高校合唱団さん、日本女子大附属高校コーラスクラブ さんも出場しました。
 
結果、清泉さんが金賞、帯広三条さんと日本女子大附属さんは銀賞、橘さんは銅賞でした。
 
以下、朝日さんの神奈川版の記事から。見出しに光太郎の名が。 

神奈川)清泉女学院、光太郎表現し金賞 全日本合唱コン

岩手県民会館で25日に開かれた第67回全日本合唱コンクール全国大会(全日本合唱連盟、朝日新聞社主催)の高校部門で、Aグループ(8~32人)に関東支部代表として出場した清泉女学院は金賞、日本女子大付属は銀賞を受賞した。
 
 清泉女学院の自由曲は高村光太郎が作詩した「亡き人に」。妻の智恵子への深い愛情を表現した。部長の當麻真利奈さん(2年)は「部員で詩の意味を話し合い、詩の内容を、聞いている人たちに届けられるように歌った」。部員たちはステージ上で左右に分かれて立ち、高音の見事なハーモニーで会場を包んだ。當麻さんは「支えてくれた多くの方に感謝の気持ちを込めた」と振り返った。
 
 日本女子大付属は、与謝野晶子作詩の「絵師よ」を披露。伸びのある力強い声で、晶子の情熱を歌い上げた。部長の安藤春菜さん(3年)は「高校生には難解な歌詞もあったけれど、晶子の他の詩や短歌をいっぱい読んで学んだ」。歌詞をよく読み、日本語を美しく表現できるよう力を注いだという。気持ちよく楽しく、練習してきたことを出し切れた、と明るい笑顔で話した。
 
全国版にも大きく記事が出ました。
 
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写真は清泉さんです。
 
北海道版では帯広三条さんについて以下の記述が。
 
帯広三条は8年連続出場。自由曲で女声合唱とピアノのための組曲「智恵子抄」から選曲した「レモン哀歌」を、一体感のあるハーモニーで歌い上げた。部長の中居沙耶さん(3年)は「自分たちらしい合唱ができた」と話した。
 
12月17日には、ブレーン株式会社さんから、ライブ録音のCDが発売されます。こちらは全出場団体の演奏を収録。さらに後ほど、金賞受賞団体の演奏を収めたDVD/ブルーレイも発売されるはずです。今からたのしみです。
 
12/24追記 今年から、全出場団体のDVD/ブルーレイが発売されています。ただし、受注生産ですが。
 
ところで全国版の記事は、このように結ばれています。
 
日本人作曲家の曲が例年以上に多かったように感じたが、言葉の意味がいま一歩伝わらず、ちょっぴりもどかしくなる演奏も。合唱の醍醐味は、歌い手と聴き手の「共振」にあり。響きの源流である言葉にぜひ、もう少し意識を。
 
なるほど。
 
「部員で詩の意味を話し合い、詩の内容を、聞いている人たちに届けられるように歌った」という清泉さん、そういう意味でも頭一つ抜けたのかも知れません。
 
こうした入り口からでも、光太郎詩の世界に入っていく若い人達がもっともっと増えて欲しいものですね。
 
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 10月26日
 
昭和38年(1963)の今日、資生堂ギャラリーで開催されていた第1回連翹会展が閉幕しました。
 
かつて昭和33年(1958)から42年(1967)にかけ、10回限定で、造型と詩、二部門の「高村光太郎賞」が存在しました。筑摩書房の『高村光太郎全集』の印税を賞金にあて、初めから10回限定と決めて始められたものです。
 
連翹会展は、その高村光太郎賞造型部門の選考委員、受賞者による展覧会として、この年から昭和43年(1968)まで、6回開催されました。
 
第1回展の出品者は以下の通り。
 
木内克、菊池一雄、佐藤忠良、白井晟一、高村豊周、高田博厚、谷口吉郎、豊福知徳、西大由、舟越保武、堀内正和、本郷新、向井良吉、柳原義達。錚々たるメンバーですね。
 
さらにこの年、京都で見つかった光太郎の木彫「蝉」「柘榴」も出品されました。

第67回全日本合唱コンクール全国大会(全日本合唱連盟、朝日新聞社主催)の中学、高校部門が今月25(土)、26日(日)に盛岡市の岩手県民会館で行われます。
 
合唱楽譜の発行、販売を専門にしているパナムジカさんのサイトに、コンクール情報として、参加校と演奏曲目の一覧が書かれています。
 
それによると、高校Aの部(8~32人)で、光太郎作詞、鈴木輝昭氏作曲の「女声合唱とピアノのための組曲 智恵子抄」」から自由曲を選んだ学校が2校ありました。
 
北海道帯広三条高校合唱部さんが「レモン哀歌」、神奈川の清泉女学院高等学校音楽部さんが「亡き人に」。それぞれ難曲ですが、さすがに全国まで駒を進める学校ですので、しっかり歌いこなせているのでしょう。入賞してほしいものです。
 
以前にも書きましたが、この「女声合唱とピアノのための 組曲 智恵子抄」は、智恵子の母校・福島高等女学校の後身である福島県立橘高校合唱団による委嘱作品です。同校合唱団は、この組曲全3曲の中から1曲ずつを自由曲とし、平成21年(2009)から3年間、全日本合唱コンクール全国大会に出場し、上位入賞しています。昨年には楽譜が刊行され、他校でも取り上げるようになったということでしょう。
 
ちなみに橘高校さん、やはり今回の全国大会に出場します。同じく鈴木輝昭氏の作曲で、大岡信作詞の「肖像」が自由曲です。
 
智恵子の後輩、といえば、日本女子大附属高校コーラスクラブ さんも出場します。自由曲は、やはり鈴木輝昭氏の作曲、与謝野晶子作詞の「絵師よ」。
 
昨日の『朝日新聞』さんに、この全国大会の特集記事が載りました。中高・大学一般合わせて出場122団体のうち、4つがピックアップされ、紹介されています。
 
高校の部では、初出場の京都女子高さん。開催地である岩手出身の宮澤賢治作詞「無声慟哭」(西村朗作曲)が自由曲ということです。「無声慟哭」は賢治の妹・トシ(やはり智恵子の後輩です!)の死に際して作られたもので、「レモン哀歌」と並び称される有名な挽歌です。
 
記事から一部引用させていただきます。
 
 部員たちの楽譜を見せてもらうと、意味の解釈がびっしりと書いてある。「無声慟哭」は、宮沢賢治が、愛していた妹を亡くした悲しみや葛藤を表現した詩だ。5日間、昼休みも話し合いを重ね、難解な詩を解釈。意味を意識しながら歌うようにしている。
 豊かな表情で表現することにも、力を入れているといい、「一つ一つの歌詞に合わせた表情を心がけたい」とアルトパートリーダーの成田千夏さん(17)。
 
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大切なことですね。合唱ですから、音程やハーモニー、リズム、ディナミークといった音楽としての要素がしっかりしていなければ仕方がありませんが、それと同じくらい、歌詞をどう伝えるか、ということも大切だと思います。
 
ここまで書いて想い出しました。当方、学生時代から合唱を続けています(社会に出てからサボっていた時期もありましたが)。学生時代に歌った曲の中に、故・伊藤海彦氏作詞の「島よ」(大中恩作曲)、「季節へのまなざし」(荻久保和明作曲)があり、当時、やはり詩の解釈に随分こだわりながら歌ったなあ、と。
 
そこで、過日、鎌倉のギャラリー笛さんにお邪魔した際、偶然にも伊藤氏の夫人にお会いすることができ、驚くと同時に感激いたしました。当方にとっての伊藤氏は、光太郎と交流のあった詩人というだけでなく、「島よ」「季節へのまなざし」の伊藤氏なのです。
 
閑話休題。全日本合唱コンクール全国大会、各校ともがんばってほしいところです。特に北海道帯広三条高校合唱部さん、清泉女学院高等学校音楽部さん(そういえば、清泉さんも鎌倉でした)には、しっかりと光太郎詩のこころを表現していただきたいものです。
 
ちなみに一般公開もされるはずですので、岩手方面の方、足をお運び下さい。25,26両日とも9:45開演だそうです。
 
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 10月22日
 
昭和24年(1949)の今日、智恵子の母・センが、千葉県九十九里で歿しました。
 
智恵子に負けず劣らず、波乱の生涯でした。センは智恵子の祖母・ノシが智恵子の祖父・次助と結婚した際の連れ子。智恵子の父・斎藤今朝吉と結婚し、智恵子をもうけてから夫婦で長沼家の養子に入りました。
 
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8人の子供のうち、智恵子を含む5人に先立たれ、1人は音信不通。さらに長沼酒造の隆盛と破産……。しかし、晩年は五女セツのもとで落ち着いた生活を送り、光太郎からの心遣いもあり、それなりに幸福だったと思われます。
 
下記画像は昭和3年(1928)夏、箱根で撮られた一葉。光太郎智恵子夫妻と、センです。
 
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昨日は、四ッ谷の紀尾井ホールにて、合唱の演奏会「The Premiere Vol.3 〜夏のオール新作初演コンサート〜」を聴いて参りました。
 
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実にいい演奏会でした。
 
「The Premiere」は、今回で3回目だそうで、カワイ出版さん、ジョヴァンニレコードさんの協賛、協力により、若手作曲家に作曲の場を提供し、一流合唱団の初演と楽譜出版を同時に行い、さらにライヴ録音がCD化されるという企画です。今回は、4篇の合唱組曲と、編曲が一篇、初演されました。
 
初演された合唱組曲4篇のうちの一つが、光太郎作詞、三好真亜沙さん作曲「女声合唱とピアノのための 冬が来た」でした。
 
第1曲「冬が来る」、第2曲「冬が来た」、第3曲「孤独で何が珍しい」、第4曲「冬の奴」の4曲からなる組曲です。
 
先述のとおり、昨日、楽譜が発売されましたが、終演後はごった返すと思い、会場に着き次第、購入しました。
 
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開演前に見たところ、やはり変拍子の多用など、いかにも現代音楽風ですが、メロディーラインの美しさは楽譜を見ただけで分かりました。実際の演奏を聴いて、やはりそう思いました。現代音楽では、調性やら主旋律やらが存在しないとか、不協和音の連続とか、実験的なものが多かったりするのですが、そういう感じではなく、非常に聴きやすい作りでした。
 
それにしても、当方の若い頃は、カワイ出版さんから合唱の楽譜を出すというのは、高田三郎、大中恩、三善晃といった大御所、というイメージでした。そう考えると隔世の感があります。
 
演奏が始まる前に、指揮の藤井宏樹氏によるMCで、作曲者・三好さんへのインタビューがありました。
 
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他の方々が、現代詩人の詩をテキストとして使用している中、なぜ光太郎なのか、という問いに対し、既製の女声合唱のイメージ-ふわっとしたきれいなもの-というイメージを毀す、「かっこいい」女声合唱の作品を作りたいと思い、そのためにあえてある意味硬質な言葉を使う光太郎を選んだとのことです。
 
女声アンサンブルJuriさんによる演奏も、そうした意図をくんだいい演奏だったと感じました。
 
特に第2曲「冬が来た」では、冒頭がア・カペラで「きっぱりと」と始まり、その後も「きっぱりと冬がた/八つ手の白い花もえ/公孫樹のも箒(ほう)になった/りともみ込むやうな冬がた」と多用される「き」の子音「K」。「ドイツ語か」と突っ込みたくなりましたが、おそらく光太郎も、硬い「き」音の連続で意識して韻を踏み、冬の厳しさを表現しているはずですので、そういう点でもよく理解された作曲、演奏でした。
 
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終演後、ホワイエで三好さんと少しお話をさせていただきました。例によって連翹忌の営業も。来年の連翹忌にはぜひいらしていただきたいものです。
 
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こちらが「光太郎を取り上げて下さってありがとうございます」的なことを申し上げると、「勝手に曲を着けてしまってすみません」とのこと。光太郎作品は法的に著作権が切れていますので、そこにリスペクトの要素がありさえすればどのように料理するのも勝手です。中には冒瀆のような扱い方があり、時おり憤慨しているのですが、今回のような取り上げ方をされれば、泉下の光太郎も喜んでいることでしょう。
 
他団体の演奏、会場周辺のことなどについて、まだ書きたいことがあるのですが、長くなりましたので、明日に廻します。
 
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 8月31日
 
明治32年(1899)の今日、光雲がパリ万博出品監査委員を拝命しました。
 
パリ万博は翌1900年。今朝のNHKさんの「日曜美術館」は、ガラス工芸のガレとドーム兄弟のライバル関係を取り上げるものでしたが、このパリ万博での対決も扱われていました。光雲に思いを馳せながら拝見しました。

東京は紀尾井町からコンサートの情報です。 
日  時  2014年8月30日(土) 18時00分開演 (開場 17時30分)
会  場  紀尾井ホール(JR・丸ノ内線・南北線「四ツ谷駅」麹町口徒歩 6 分)
チケット  3,000円(全席自由) ※未就学児童入場不可
問 合 せ   高三(たかさん) tel:03-6807-6088
 
増井哲太郎 × CANTUS ANIMAE
指揮:雨森文也
混声合唱とピアノのための「平行世界、飛行ねこの沈黙」
作詩:宮岡絵美
 
三好真亜沙 × 女声アンサンブルJuri
指揮:藤井宏樹
女声合唱とピアノのための「冬が来た」
作詩:高村光太郎
 
田中達也 × なにわコラリアーズ
指揮:伊東恵司
男声合唱とピアノのための「シーラカンス日和」
作詩:水無田気流
 
名田綾子 × 松原混声合唱団
指揮:清水敬一
混声合唱とピアノのための「いのち」
作詩:工藤直子
 
北川昇 × 出演合唱団による合同演奏
「花は咲く」  ※編曲初演
作詞:岩井俊二 作曲:菅野よう子
 
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新進作曲家四氏の合唱曲新作が披露されるコンサートです。光太郎作詞、三好真亜沙さん作曲の「冬が来た」が女声合唱でプログラムに入っています。
 
光太郎の詩による合唱曲は意外と少ないので、ありがたい限りです。
 
ちなみに今回、他の曲を演奏される松原混声合唱団さんは、合唱団京都エコーさんとのコラボでアルバム「私が歌う理由(わけ)」を平成17年(2005)にリリースされていて、その中に光太郎作詞、清水脩作曲「混声合唱組曲 智恵子抄巻末のうた六首」が入っています。
 
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今回の曲目も、ライブCD、楽譜が発行されるようですので、楽しみです。
 
当方、チケット購入いたしました。皆さんもぜひどうぞ。
 
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 8月1日
 
大正2年(1913)の今日、日本洋画協会から、雑誌『現代の洋画』第17号「後期印象派」が刊行されました。
 
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雑誌なのですが、表紙に「木村荘八 高村光太郎 岸田劉生 共著」のクレジットが入っており、実際、執筆者はこの三人だけです。
 
光太郎は翻訳を三篇寄せています。「ポール・ゴーガン」「画論(アンリ・マティス)」「トウルーズ・ロートレク」です。ただし、それぞれ『スバル』や『早稲田文学』に一度発表したものの再録です。
 
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昨日、東京は日暮里サニーホールにて、仙道作三氏作曲のひとりオペラ「与謝野晶子 みだれ髪」に行って参りました。
 
連翹忌ご常連で、オペラ「智恵子抄」も作られているの作曲家・仙道氏の作品で、5年ぶりの再演とのことでした。
 
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当方、昼の部を拝聴しました。冒頭、晶子の令孫・元文部大臣の与謝野馨氏もいらしており、ご挨拶されました。ご存知の方も多いかと思いますが、氏は下咽頭がんのため喉頭を摘出、政界を引退されました。当初は声が出せなくなってしまいましたが、「気管食道シャント法」と呼ばれる手術を受けて、失った声を取り戻されたとのこと。昨日も、ゆっくりしたしゃべり方でしたが、きちんとご挨拶をなさっていました。
 
さて、演奏開始。狂言回し的な役割の(プログラムでは「朗読」)、矢島祐果さんの語りと、ソプラノ・山口佳子さんの歌で物語が進みます。晶子の代表的な短歌二十余首と、「君死に給ふことなかれ」や、智恵子がその表紙を描いた『青鞜』創刊号(明治44年=1911)に載った「山の動く日きたる」(「そぞろごと」)などの詩文六篇にそれぞれメロディーがつけられ、不思議な世界が展開されていました。
 
伴奏はピアノトリオにパーカッションが加わった四人。仙道氏自身の指揮でした。通常、オペラというと伴奏はオケで、合唱も入り、というイメージですが、こういう少人数でも立派に成り立つのだなと、感心しました。
 
短歌をオペラに、ということですが、東洋的・日本的な情緒をふんだんに盛り込んだ作曲で、ある意味、能を髣髴とさせられました。
 
光太郎智恵子夫妻にも通じる、鉄幹晶子夫妻の鮮烈な生の営みがうまく表現されていたと思います。
 
文学作品は文学作品としてのみ命脈を保ち続けられるか、というと、なかなかそうでもありません。こうした二次創作――音楽、演劇、映像作品、美術作品など、いわゆるオマージュ、そうしたことも大切なのだなと、あらためて感じさせられました。
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 6月8日

昭和4年(1929)の今日、有楽町のレストラン「モンパリ」で開催された尾形亀之助詩集『雨になる朝』出版記念会に出席、スピーチをしました。

来月開催される音楽イベントを二つご紹介します。 

第九回 邦楽器とともに 新しい日本歌曲の夕べ ~再演作品を揃えて

日時 2014年6月2日(月) 18:30~
料金 3,500円
曲目 出演 
 「冬の雅歌」〜句集「途上」より〜  高原桐[詩] 松村百合[曲]
     伊藤香代子[ソプラノ] 松尾慧[篠笛] 三森未來子[チェロ] 大上茜[琵琶]
 「七夜月」「花のみちゆき」-「恋ひ歌」三章より-  伊豆裕子[詩] 小山順子[曲]
    山本有希子[ソプラノ] 福永千恵子[十七絃] 野澤徹也[三絃]
 「天女」  太田眞紗子[詩] 小室美穂[曲]
    林廣子[ソプラノ] 松尾慧[篠笛]
 「宵待人」 木下宣子[詩] 池上眞吾[曲]
    武田正雄[テノール] 池上眞吾[筝] 平野裕子[十七絃] 田嶋謙一[尺八]
 「荒涼たる帰宅」 高村光太郎[詩] 田丸彩和子[曲]
    福嶋勲[バリトン] 設楽瞬山[篠笛・尺八] 岩佐鶴丈[薩摩琵琶]
 「アダジオ」 齋藤磯雄[詩](フランソワ・コペ原詩)千秋次郎[曲]
    関根恵理子[ソプラノ] 重成礼子、木村麻耶[筝]
 「しだれ桜ー紫の上ー」 藤井慶子[詩] 高橋久美子[曲]
    百合道子[メゾソプラノ] 松尾慧[篠笛] 久保田晶子[琵琶]
 「鑿(のみ)と桜」 山根研一[詩] 中島はる[曲] 
  
  森田澄夫[テノール] 砂崎知子[筝] 田辺頌山[尺八]
 
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同じ波の会さん主催で昨年も「荒涼たる帰宅」が演奏されたコンサートがありました。
 
 
もう一件、直接は光太郎と関わりませんが、連翹忌ご常連の作曲家・仙道作三氏によるものです。 

ひとりオペラ「与謝野晶子みだれ髪」(全2幕8場)

日時 2014年6月7日(土)昼:午後3時30分開演・夜:午後7時開演(各30分前開場)
主催 命と愛のメッセージ委員会 センドー・オペラ・ミュージカル・カンパニー
料金 前売4,000円、当日4,500円
出演 山口佳子(ソプラノ) 矢島祐果(朗読) 水村浩司(Vn) 白佐武史(Vc)
   菊地邦茂(Pf) 斉藤裕子(Perc)
作曲・演出・指揮 仙道作三
台本 持谷靖子

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作曲の仙道氏は、オペラ「智恵子抄」も作曲なさっています。この「与謝野晶子みだれ髪」は平成20年(2008)の初演だそうです。
 

与謝野晶子は光太郎と縁が深く、当方、このところ晶子に対する関心も高まってきており、聴きに行くことにしました。
 
それぞれ上記主催団体リンクから申し込めますので、001よろしくお願い申し上げます。
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 5月21日
平成9年(1997)の今日、日本コロムビアからCD「ボニージャックスの日本の唱歌」がリリースされました。
 
光太郎作詞、飯田信夫作曲の戦時歌謡「歩くうた」が収録されています。
 

福島の原発被害からの復興支援の合い言葉として、「智恵子抄」中の詩「あどけない話」に使われている「ほんとの空」の語がよく使われています。または「う」が入って「ほんとうの空」。
 
 
3/20(木)から昨日までの4日間、福島市音楽堂で、第7回声楽アンサンブルコンテスト全国大会が開催されました。こちらもサブタイトルが「-感動の歌声 響け、ほんとうの空に。-」。

 
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「アンサンブル」ですので、基本的に少人数での演奏。要項によれば2名以上16名以下での演奏という規定でした。
 
福島県は「合唱王国」と言われ、各種の全国コンクールで上位入賞を果たす団体が多いことで有名です。智恵子の母校、福島高等女学校の後身・県立橘高校合唱団も全国大会上位常連です。平成21年(2009)から23年(2011)には、委嘱作品で、光太郎の詩に作曲家の鈴木輝昭氏が曲を付けた「女声合唱とピアノのための 組曲 智恵子抄」から自由曲を選び、全国大会上位入賞を果たしています。

その福島県が主催して、毎年この時期に行われているのが「声楽アンサンブルコンテスト」。第1回は平成20年(2008)でした。
 
平成23年(2011)は、東日本大震災直後ということあり、中止。昨年からサブタイトルに「-感動の歌声 響け、ほんとうの空に。-」が使われるようになりました。福島の皆さんの切実な思いが込められているように感じられます。
 
当方、地元・千葉で混声合唱をやっているのですが、実はこうした経緯、最近まで知りませんでした。汗顔の至りです。
 
さて、昨日までの「第7回声楽アンサンブルコンテスト」。高等学校部門、中学校部門、一般部門が1日ずつ開催され、最終日には各部門上位団体による本選という流れでした。結果、上位5位までに、福島からの出場団体が4組入っています。ホームタウンデシジョンというわけではないはず。「合唱王国」の面目躍如、そして「ほんとの空」を求める切実な思いの表れなのでしょう。
 
彼らの歌声によって、一日も早く「ほんとの空」が戻ることを願います。
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 3月24日

大正14年(1925)の今日、詩「傷をなめる獅子」を書きました。
 
翌月の雑誌『抒情詩』に発表され、さらに光太郎没後の昭和37年(1962)、草野心平が鉄筆を執って作ったガリ版刷り詩集『猛獣篇』に収められました。
 

  傷をなめる獅子000
 
獅子は傷をなめてゐる。
どこかしらない
ぼうぼうたる
宇宙の底に露出して、
ぎらぎら、ぎらぎら、ぎらぎら、
遠近も無い丹砂(たんしや)の海の片隅、
つんぼのやうな酷熱の
寂寥の空気にまもられ、
子午線下の砦(とりで)、
とつこつたる岩角の上にどさりとねて、
獅子は傷をなめてゐる。
 001
そのたてがみはヤアヱのびん髪、
巨大な額は無数の紋章、
速力そのものの四肢胴体を今は休めて、
静かなリトムに繰返し、繰返し、
美しくも逞しい左の肩をなめてゐる。
 
獅子はもう忘れてゐる、003
人間の執念ぶかい邪智の深さを。
あの極楽鳥のむれ遊ぶ泉のほとり
神の領たる常緑のオアシスに、
水の誘惑を神から盗んで、
きたならしくもそつと仕かけた
卑怯な、黒い、鋼鉄のわなを。
 
肩にくひこんだ金属の歯を
肉ごともぎりすてた獅子はかう然とした。
憤怒と、侮蔑と、憫笑と、自尊とを含んだ
ただ一こゑの叫は平和な椰子の林を震撼させた。
さうして獅子は百里を走った。
 
今はただたのしく傷をなめてゐる。
どこかしらない
ぼうぼうたる
つんぼのやうな孤独の中、
道にはぐれても絶えて懸念の無い
やさしい牝獅子の帰りを待ちながら、
自由と闊歩との外何も知らない、
勇気と潔白との外何も持たない、
未来と光との外何も見ない、
いつでも新らしい、いつでもうぶな魂を
寂寥の空気に時折訪れる
目もはるかな宇宙の薫風にふきさらして、
獅子はをなめてゐる。

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3月も下旬となりました。
 
来月に行われるイベント情報を少しずつご紹介します。 まず、「智恵子抄」の詩に曲を付けた連作歌曲を発表された、野村朗氏関連です。

第15回 TIAA全日本作曲家コンクール入賞者披露演奏会

2014年4月12日(土) 13:30開演(13:00開場 13:10表彰式)
 
東京・日暮里サニーホールコンサートサロン  全席自由 前売2,000円 当日2,500円
 
島田康子 作曲/郵便馬車 演奏:島田康子(ピアノ)

内匠悠歌 作曲/ハザードシンボル(警告) 演奏:内匠悠歌(ピアノ)
関口ちあき 作曲/真珠はパリ色の夢を見ている 演奏:関口ちあき(ピアノ)
馬場洋子 作曲/鼓動 演奏:馬場洋子(ピアノ)
中堀海都 作曲/Cracked 5-2-in the garden for flute and cello/Deliberation 3 for cello solo 演奏:未定
中村昭彦 作曲/A Mysterious Bell ~木管五重奏のための「神秘的な鐘」~ 演奏:木村美紗季(フルート、ピッコロ)河村玲於(オーボエ)清水理絵(クラリネット)城田美咲(ホルン)栗林愛理(ファゴット)
田島眞理 作曲/自作主題による6つの変奏曲 ~ フルートとピアノのための/坂輪綾子の詩による4つの歌曲 Ⅰ.きんのゆびわ Ⅱ.黒ねこ Ⅲ.竹藪 Ⅳ.眠りの森 演奏:田島眞理(ピアノ)新山麻美(フルート)室井葉子(ソプラノ)北澤幸(メゾ ソプラノ)
野村朗 作曲/歌曲「レモン哀歌」(詩:高村光太郎)/ 間奏曲/ 歌曲「案内」(詩:高村光太郎) 演奏:森山孝光(バリトン)森山康子(ピアノ)

沈 佳女 作曲/サーカス 演奏:山本直輝(チェロ)中江早希(ソプラノ)
 
 
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野村氏については、このブログでも何度かご紹介いたしました。
「連作歌曲智恵子抄」、何度か演奏されていますが、今回も同じく森山孝光さん・康子さん御夫妻による演奏です。こちらのお二人は、曲のバックボーンをよく理解されていて、非常に素晴らしい演奏を披露してくださいます。
 
ぜひ足をお運びください。
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 3月20日

昭和19年(1944)の今日、詩集『智恵子抄』の第13刷が発行されました。
 
オリジナルの『智恵子抄』、最後の版です。この後、太平洋戦争の激化に伴い、戦後まで版を絶ちます。初版は昭和16年8月。それ以来、3年足らずで13刷まで刊行されました。戦時中の物資欠乏を考えれば、驚異的な数字です。もっとも、1回に何部印刷されたのかは不明ですが、それにしても13刷。同時期の他の書籍では、ほとんどありえなかったのではないでしょうか。
 
冒頭の詩「人に」の最初のフレーズ、「いやなんです/あなたのいつてしまふのが――」が、戦地に赴く若者の後ろ姿に重ねて読まれた、という説もあります。

名古屋在住の作曲家、野村朗氏からいろいろいただきました。
 
氏は「智恵子抄」などの光太郎の詩に曲を付けた歌曲作品をいくつか作曲なさっています。

 
愛知碧南の藤井達吉現代美術館で現在開催中の「生誕130年 彫刻家高村光太郎展」の関連行事として、11月9日に行われた「連作歌曲「智恵子抄」全曲演奏会」のパンフレットと、当日の模様を撮影したDVD。
 
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早速拝見しました。
 
新曲として、「歌曲 「冬の言葉」」がラインナップに加わっていました。原詩は昭和2年(1927)の作。「智恵子抄」に含まれるものではありません。
 

   冬の言葉007

冬が又来て天と地とを清楚にする。
冬が洗ひ出すのは萬物の木地。

天はやつぱり高く遠く
樹木は思いきつて潔らかだ。

蟲は生殖を終へて平気で死に、
霜がおりれば草が枯れる。

この世の少しばかりの擬勢とおめかしとを
冬はいきなり蹂躪する。

冬は凩の喇叭を吹いて宣言する、
人間手製の価値をすてよと。

君等のいぢらしい誇りをすてよ、
君等が唯君等たる仕事に猛進せよと。
 
金銭はむかし貴族を滅却した。
君達は更に金銭を泥土に委せよと。

冬が又来て天と地とを清楚にする。
冬が求めるのは萬物の木地。

冬は鉄碪(かなしき)を打つて又叫ぶ、
一生を棒にふつて人生に関与せよと。
 
パンフレットに記された野村氏の言葉から。
 
 新作歌曲「冬の言葉」は、智恵子のこころが壊れて行く直前の作で、「人間の生き方」を問う作品です。人工透析を40年近く続けつつ作曲活動と市立大学法人職員の業務とを続けてきた私にとって、私の「生きる信念」と相通じるものがあり、強く励まされました。そして、光太郎が晩年、7年間の隠棲により「身をもって示した」ものも、この詩の中に予言されているように思います。願わくば、皆さんもご自身に問いかけてみて下さい、「一生を棒にふって人生に関与せよ」と。
 
その後は、以前にも演奏された「連作歌曲 「智恵子抄」」。「千鳥と遊ぶ智恵子」「あどけない話」「レモン哀歌」「間奏曲」「案内」の5曲でした。
 
演奏は3月に野村氏の地元・名古屋でのリサイタル、5月に東京日暮里であったリサイタルと同じ、森山孝光様、康子様でした。相変わらず熱のこもった好い演奏でした。
 
こういう形で光太郎智恵子の世界を広めていただけるのも非常にありがたいことです。
 
野村氏からは、もう一つ、素敵なものをいただきました。明日のこのブログでご紹介します。
 
【今日は何の日・光太郎】 12月11日

平成3年(1991)の今日、水道橋の宝生能楽堂でNHK能楽鑑賞会が催され、舞囃子「智恵子抄」が上演されました。
 
演者は観世流の皆さんでした。

注文していた楽譜が届きました。  

「女声合唱とピアノのための 組曲 智恵子抄」

作詞 高村光太郎  作曲 鈴木輝昭
2013/12/10(奥付記載) 音楽之友社 定価 2,000円+税
 
高村光太郎の詩集『智恵子抄』による女声合唱とピアノのための作品。智恵子の死の瞬間を詠った〈レモン哀歌〉に始まり、智恵子の死後を連綿と綴った〈亡き人に〉〈裸形〉へと続く全3曲から成る組曲。
「音楽は、調的な背景を媒質として成立しているが、その中にあって狂気を含む逸脱した音群、劇性の強い増幅された表現が色濃く投影される。また、冒頭ピアノによって提示される上行音形は、組曲全体の気配を象徴する統一主題として、持続の中で反復、循環して語られる」(作曲者)
福島県立橘高等学校により委嘱、初演された。(指揮=大竹隆/ピアノ=鈴木あずさ)
(同社サイトから)
 
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作品紹介にあるとおり、福島県立橘高等学校合唱団による委嘱作品です。以前にも書きましたが、橘高校さんは、智恵子の母校・福島高等女学校の後身です。
 
これも以前にも書きましたが、同校合唱団は、この組曲全3曲の中から1曲ずつを自由曲とし、平成21年(2009)から3年間、全日本合唱コンクール全国大会に出場し、上位入賞しています。
 
第62回大会 平成21年(2009) 高等学校部門Bグループ 自由曲「レモン哀歌」 金賞
第63回大会 平成22年(2010) 高等学校部門Bグループ 自由曲「裸形」 銀賞
第64回大会 平成23年(2011) 高等学校部門Bグループ 自由曲「亡き人に」 銀賞
 
全国大会に出場するだけでも大変だと思いますが、なおかつ上位入賞を続けているというのはものすごいことだと思います。その後も橘さんは、光太郎がらみの曲ではありませんが、昨年、そして今年も同大会で銀賞に輝いています。
 
それぞれのライブ録音が、ブレーン株式会社発行のCDで発売されています。
 
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また、同じく橘高校さんの演奏で、ライブではないホールでの録音によるテイクを収めたCD「鈴木輝昭 合唱の地平」も、日本アコースティックレコーズさんからリリースされています。
 
で、今回の楽譜出版。あらためて上記CDを、楽譜を見ながら聴いてみました。
 
はっきり言って、非常に難易度の高い組曲です。同社サイトでは「[対象]中学生・高校生・一般合唱団」となっていますが、この曲の演奏、一般のアマチュア合唱団にはまず無理ですね。
 
細かくみていきます。
 
1曲目、「レモン哀歌」。女声四部です。通常、女声合唱はソプラノ、メゾソプラノ、アルトの三部ですが、ソプラノがⅠ、Ⅱに分かれています。さらに歌い出しは5拍子ですが、途中でめまぐるしく拍子が変わり、2拍子から6拍子までが混ざり合っています。
 
2曲目、「亡き人に」。ドッペルコールです。ソプラノ、メゾソプラノ、アルトでワンセットとして、それが二組、さらにパート内で2部に分かれ、最大7声になっている箇所があります。また、「レモン哀歌」ほどではないものの、やはり変拍子があります。
 
3曲目、「裸形」。これも四部。「♯」「♭」「♮」が雨あられで、一貫した「調」が存在しないという感じです。やはり変拍子も雨あられで、なんと2.5拍子とか3.5拍子、さらには1.5拍子という小節があります。
 
3曲ともソプラノの最高音はb(シの♭)。五線を突き抜けています。ポリフォニー(パート間で異なるリズム)、2度や7度のぶつかる音程はあたりまえに出てきます。逆に平易な当たり前の和音だったり、全くのユニゾン(全てのパートが同じ音程)の箇所もあったりして、そのギャップがまた効果的です。
 
これほどの曲をしっかり歌え、全国上位入賞を果たした橘高校合唱団さん、本当に凄いと思いました。
 
一般のアマチュア合唱団は無理だと思いますが、プロの方々、アマでもコンクール全国大会を目指しているような団体の皆様、レパートリーに加えてみてはいかがでしょうか。
 
 
音楽ネタついでに、テレビ放映情報です。

クラシック倶楽部 第82回 日本音楽コンクール~作曲部門~

NHKBSプレミアム 2013年12月6日(金)  6時00分~6時58分
 
第82回日本音楽コンクール本選会~作曲部門~▽59作品の応募の中から7作品が本選に進出▽2013年10月30日 東京オペラシティコンサートホール

番組内容

第82回日本音楽コンクール本選会~作曲部門~▽佐原洸/引地誠/今野哲也/杉本友樹/中村ありす:RCH(NH2)COOH for Clarinet in B♭ & Piano forte/松波匠太郎:DISSOLUTION for Flute,Clarinet,Horn and Piano/網守将平:Drunky Jet Addiction -for 6 players-

出演者

  • 佐原洸,引地誠,今野哲也,杉本友樹,中村ありす,松波匠太郎,網守将平,ソプラノ…佐竹由美,テノール…布施雅也,指揮…安良岡章夫,小鍛冶邦隆,演奏…アール・レスピラン

過日、このブログでご紹介した「第82回日本音楽コンクール本選会」の録画です。
 
今野哲也氏の「『智恵子抄』への月影─「慈悲深き箴言」を擁する」もエントリーされましたが、残念ながら1~3位には入りませんでした。12/6は抜粋で放送されるようです。
 
【今日は何の日・光太郎】 12月1日

昭和30年(1955)の今日、雑誌『新潮』のために散文「生命の創造」を書きました。

広島からイベント情報です。

あきクラシックコンサート vol.141 メイドインジャパン

   2013年12月7日(土) 14:00開演
   広島市安芸区民文化センター・ホール
   無料
 
出演
 工谷明子・平福知夏・佐々木有紀・浦池佑佳・飯島聡志
 林皐暉・大田響子・大下由紀江・三島良子
 
第1部 
組曲「四季」全曲 / 滝廉太郎
「野薔薇」、「からたちの花」 / 山田耕筰
「平城山」、「うぬぼれ鏡」、幻想曲「さくらさくら」 / 平井康三郎
 組曲「あんこまパン」全曲 / 伊藤康英
第2部 
「秋の野」、「紫陽花」、「ファンタジア第一番」 / 團伊玖磨
「はなやぐ朝に」、「木菟」 / 中田喜直
「サッちゃん」、「いぬのおまわりさん」、「サッちゃんの家」 / 大中恩
「ぼろぼろな駝鳥」 / 弘田龍太郎

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プログラム最後の「ぼろぼろな駝鳥」が光太郎作詞です。この曲が現代の演奏会で演奏されるのは非常に珍しいと思います。008
 
「現代の」と書きましたが、作曲の弘田龍太郎は生年・明治25年(1892)、没年・昭和27年(1952)。童謡「春よ来い」などを作曲しています。この「ぼろぼろな駝鳥」の正確な作曲年がわからないのですが、昭和18年12月にニッチク(現・コロムビア)からSPレコードがリリースされていますので、その頃のものでしょう。
 
同じ「ぼろぼろな駝鳥」でも、昭和8年(1933)に橋本国彦によって作曲されたものは、現在でも楽譜・CDが入手可能なのですが、弘田龍太郎のものは楽譜・CDとも当方不分明です。情報をお持ちの方、ご教示いただければ幸いです。
 
【今日は何の日・光太郎】 11月14日

昭和22年(1947)の今日、花巻郊外太田村山口の山小屋に村の青年達が集まって、「ヤトジ」を作ってくれました。
 
「ヤトジ」とはこの地方の方言ではないでしょうか。家の周囲に作る雪囲いです。

ネット検索で見つけました。 

第82回日本音楽コンクール作曲部門本選会

 時 : 2013年10月30日 17:00開演
 場 : 東京オペラシティコンサートホール タケミツメモリアル
      (東京都新宿区西新宿3-20-2)
料 金 : 2,000円 
 東京オペラシティチケットセンター 03-5353-9999
 チケットぴあ各店、電子チケットぴあ 0570-02-9999
 JTB各支店、JTBトラベランド各店、JTB総合提携店、
  JTBエンタメチケットデスク 0570-030311
 
予選通過作品
 網守将平(あみもり しょうへい)  = Drunky Jet Addiction – for 6 players –
 佐原洸(さはら こう) = Ferrum 
 中村ありす(なかむら ありす)
 = RCH(NH2)COOH for Clarinet in B♭ & Piano forte
 引地誠(ひきち まこと)  = -call- 詩編第44篇より
 今野哲也(こんの てつや) = 『智恵子抄』への月影─「慈悲深き箴言」を擁する
 杉本友樹(すぎもと ゆうき) = Switch Module for ensemble
 松波匠太郎(まつなみ しょうたろう)
 = DISSOLUTION for Flute, Clarinet, Horn and Piano
 
演奏:安良岡章夫、小鍛冶邦隆指揮、アール・レスピラン
 
ラジオのNHK FM、テレビのNHK BSプレミアムでの放送もあるそうです。
 ラジオ 11月18日(月)19:30~21:10
 テレビ 12月6日(金)6:00~6:55
 
さらに12月上旬にはやはりNHK BSプレミアムにてドキュメンタリー番組として取り上げるそうです。ただし、声楽、ピアノなど他にも5部門あり、どなたがクローズアップされるか不明です。
 
今野氏の作品が栄冠に輝くことを期待します。001
 
【今日は何の日・光太郎】 10月21日

昭和28年(1953)の今日、十和田湖畔の裸婦像の除幕式に参加しました。
 
ある意味、光太郎彫刻の集大成といえる大作です。
 
ただし、長いブランクや光太郎自身の健康状態、その他もろもろのマイナス要因も重なり、「傑作」とは言い難いというのが正直なところです。
 
光太郎自身もあまりこの像の出来には満足していなかったようで、サインが入っていません。
 
しかし、そうした点を差し引いても、この彫刻の持つ意味は大きいものがあると思います。
 
ところでこれが「光太郎最後の彫刻作品」と紹介されることがありますが、それは誤りです。
 
未完に終わりましたが、昭和29年(1954)には日華ゴム(のち月星化成、現ムーンスター……運動靴のメーカー)社長の倉田雲平像を手がけていますし、完成品としても裸婦像完成後に「大町桂月記念メダル」という小品を仕上げています。
 
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除幕式の一コマ 左から光太郎、佐藤春夫、谷口吉郎、土方定一、伊藤忠雄
 
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左:光太郎と裸婦像      右:モデルを務めた藤井照子と

数年前、この時のスピーチの載った翌月発行の青森県の『教育広報』を見つけました。筑摩書房の『高村光太郎全集』に収録されていないものでした。現在全国巡回中の「生誕130年 彫刻家高村光太郎展」図録に、この全文が載りました。また、最初の会場だった千葉市立美術館では、担当の学芸員氏がこの文章をいたく気に入り、パネルに全文印刷して会場内に展示、さらに図録の見返しに冒頭の一文「人間の心の中を、内部を見る」がキャッチコピー的に使われています。

名古屋在住の作曲家で、光太郎の詩を使った歌曲を作られている野村朗氏からご案内をいただきました。
 
11/1開幕で、先にご紹介した愛知碧南市藤井達吉現代美術館での「生誕130年 彫刻家高村光太郎展」の関連行事としてのコンサート以外に、下記のコンサートで光太郎の詩に作曲した歌曲が披露されるとのことです。 

名古屋音楽大学同窓会演奏会  第6回”響きあう仲間たち”

日 時 : 2013年10月30日(水) 午後6:30~
会 場 : 電気文化会館ザ・コンサートホール
料 金 : 1000円
問い合わせ:名古屋音楽大学同窓会事務局 052-411-1111
 
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以前からたびたび演奏されている「連作歌曲「智恵子抄」より」と、新作の「冬の言葉」が演奏されるそうです。
 
この演奏会を含め、名古屋音楽大学さんでは、10/29~11/4の1週間、同大学を中心に名古屋市内各所で「第1回めいおん音楽祭」を開催するとのこと。地方の小都市に住んでいる身にはうらやましい限りです。
 
話は変わりますが、「歌」つながりで。
 
明後日、10/19(土)にテレビのCS放送(有料)で、二代目コロムビア・ローズさんがご出演、昭和39年(1964)リリースの「智恵子抄」を歌われます。 

わが心の演歌 #37 長崎

2013年10月19日(土)  17時30分~18時00分 歌謡ポップスチャンネル(CS329)
 
♪蜩/長山洋子 ♪命火/キム・ヨンジャ ♪命かれても/森進一 ♪智恵子抄/二代目コロムビア・ローズ ♪絶唱/舟木一夫 ♪命くれない/瀬川瑛子
 

【今日は何の日・光太郎】 10月17日

昭和20年(1945)の今日、花巻郊外太田村山口・現花巻市太田)の山小屋での生活を始めました。
 
この山小屋は現在も「高村山荘」として二重の套屋(とうおく)がかぶせられ(イメージ的には中尊寺金色堂)、保存されています。基本的に内部には入れません。

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「山荘」というと何やらしゃれたイメージですが、元々は鉱山の飯場小屋だったのを譲り受け、村人の手を借りて移築したもの。屋根は杉皮、天井はなく、壁は粗壁。囲炉裏のまわりに畳三枚。もちろんガラス戸などはなく、障子です。3年以上電気もひいていませんでした。
 
冬にはメートル単位で雪が積もり、気温はマイナス10℃台、万年筆のインクも凍る寒さです。壁の隙間から寝ている布団の上にうっすらと雪が積もっていたというエピソードも伝わっています。

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 当方、初めてここを訪れたのは学生時代。3月下旬でしたが日陰にはまだ膝まで雪が残り、低温のためカメラが凍り、正常に作動しませんでした。
 
夏は夏で山の麓のため湿気がひどく、光太郎自身「水牢」と称していました。
 
熊は出るマムシは出る鼠も出る、当方、近くの森で全長10㌢ぐらいの巨大ナメクジに遭遇して絶叫しかけたこともあります。特に熊は今でも危険で、夏期は熊よけに森の中でラジオをガンガン鳴らしています。
 
老人の一人暮らしにはあまりにも過酷すぎる環境でした。それを支えていたのが村の皆さんとの心温まる交流です。その生活に思いをはせる時、涙が出そうになります。
 
ここでの暮らしが丸7年、十和田湖畔の裸婦像制作のため上京するまで続きます。裸婦像完成後にはまたここに戻るつもりで住民票はそのままにしてありました。しかし、健康状態がそれを許しませんでしたが……。
 
この山荘近くに今年、高村光太郎記念館がリニューアルオープンしています。以前は冬期閉鎖でしたが、今年から通年開館となります。ぜひ足をお運びの上、光太郎に思いをはせて下さい。ここを訪れることによって光太郎観が変わることうけあいです。
 
ただし花巻駅からの路線バスは廃線となっていますのでご注意を。

たびたびこのブログにご登場いただいているシャンソン歌手のモンデンモモさん。
 
社会教育的な活動にもご関心がおありで、各地で市民ミュージカル等のご指導に当たられています。
 
島根県の出雲地域でもそうした活動をされているとのことですが、さらに活動の輪が広がり、地元のアマチュア合唱団「コールしゃくなげ」さんとジョイントコンサートをなさる由。

モンデンモモ&しゃくなげふれあいコンサート

日時:9月8日(日) 10:00開演
会場:カルチャープラザ仁多 島根県仁多郡奥出雲町三成436
入場無料
 
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モモさん作曲で、光太郎の詩にメロディーを付けた「樹下の二人」を演奏されるとのこと。いつも同じようなことを書いていますが、こうした草の根的な活動で、光太郎智恵子の世界がどんどん広まっていってほしいものです。
 
昨日、今日と、島根は記録的豪雨に見舞われたとのことですが、被害の少ないことをお祈り申し上げます。
 
【今日は何の日・光太郎】 8月25日

明治42年(1909)の今日、福島安達の長沼家が本籍地を油井村漆原町21番地に移しました。
 
造り酒屋だった長沼家はこの頃が絶頂期。周辺の地所を買って敷地を広げたための措置と思われます。

コンサート情報です。 

第八回邦楽器とともに―新しい日本歌曲の夕べ― 新作歌曲を揃えて

【日時】2013年8月30日(金)18:00開場、18:30開演
【会場】津田ホール(東京・千駄ヶ谷)
【料金】全席自由3,500円
【後援】日本作曲家協議会、日本現代音楽協会、邦楽ジャーナル
 
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プログラムの中に、光太郎関連で以下があります。トリのようです。
 
「荒涼たる帰宅」
 詩:高村光太郎、曲:田丸彩和子、歌:小畑秀樹
 篠笛・尺八:設楽瞬山、薩摩琵琶:岩佐鶴丈
 
「一般社団法人 波の会日本歌曲振興会」さんは、日本における芸術歌曲の一層の普及、振興を図るという理念のもと、日本歌曲の創作、演奏及び普及に関する事業を行っているそうです。
 
「荒涼たる帰宅」作曲者の田丸彩和子さんのHPはこちら
 
当方、ぜひ聴きに行きたいのですが、当日は岡山に行っておりますので残念ながら欠礼いたします。
 
【今日は何の日・光太郎】 8月18日

昭和10年(1935)の今日、渡航したまま20年近く音信が途絶えがちだった弟、道利を神戸に迎えに行きました。
 
光太郎は長男、道利は次男です。さらにその下の三男・豊周の回想によれば、道利ははじめ軍人志望だっったのを光雲に反対され断念、東京外語学校を卒業したものの定職に就かず、見かねた光太郎が画廊・琅玕洞の店主に据えたものの、店自体が長続きせず、その上結婚も光雲に反対されて、大正の中頃に半分ヤケになって渡欧したそうです。
 
欧州では何か執筆をして糊口をしのいでいたようですが、詳細は不明。結局、フランスの慈善病院のようなところに入院、日本大使館から「送還するので引き取ってほしい」的な連絡が高村家にあったとのこと。
 
その道利は昭和20年(1945)に事故死しますが、非常に謎の多い人物です。

今日は、名古屋の作曲家で、「連作歌曲「智恵子抄」」を作られた野村朗氏の作品リサイタルを聴きに、日暮里に行ってきました。
 
上京する際には複数の用件をこなすのがモットーでして(笑)、午前中には、東京駅に昨年リニューアルオープンした東京ステーションギャラリーに寄りました。現在、「東京ステーションギャラリー再開記念 生誕120年 木村荘八展」開催中です。木村はヒユウザン会(のちフユウザン会)で光太郎と縁があった画家です。明日、詳しくレポートします。
 
その後、日暮里へ。まだ時間がありましたので、第一日暮里小学校、そしてすぐ近くの太平洋美術会に行ってきました(行ったと言っても、中には入りませんでしたが)。
 
第一日暮里小学校は、光太郎が明治23年(1890)から同25年(1892)まで通っていた小学校です。その縁で校門脇には光太郎自筆の碑があります。
 
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「正直親切」。下段のルビも光太郎の筆跡です。元々は、花巻郊外太田村山口在住の昭和26年(1951)に、山小屋近くの山口小学校に校訓として贈ったものですが、昭和60年(1985)、第一日暮里小学校の創立100年記念に光太郎の母校として、この文字をいただいたとのこと。
 
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碑の向かいにはガラスケースの掲示板があり、同校の学校便りが張ってありました。その名も「正直親切」。
 
ちなみに同校では全校あげて光太郎の顕彰に取り組んでいるそうで、その一環として昨年度3月には『スケッチで訪ねる『智恵子抄』の旅』の著者、坂本富江さんが講話をなさっています。ありがたい限りです。
 
今日の野村氏のリサイタルには、同校の校長先生や、坂本さんもお見えでした。
 
すぐ近くには太平洋美術会。ここはかつて明治末に智恵子が通っていた太平洋画会の後身です。もっとも、第一日暮里小も太平洋美術会も、光太郎智恵子が通っていた頃とは場所が変わっていますが。
 
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画像の木炭デッサンは智恵子の作品(もちろん複製ですが)。
 
坂本さんはこちらの会員でして、こちらの会の第109回展の招待状を今日いただいてしまいました。5/15(水)~27(日)、六本木の国立新美術館です。こちらもまた項を改めましてご紹介いたします。
 
さて、いよいよ野村氏の作品リサイタル。会場は日暮里駅近くの日暮里サニーホールです。ここでは、数年前に荒川区主催の「光太郎智恵子フォーラム」というイベントがあり、当方が司会を務めました。それ以来でして、懐かしい場所でした。その際は大ホールでしたが、今日はコンサートサロンという小ホールでした。
 
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3月に野村氏の地元、名古屋であったリサイタルの時と同じ、森山孝光様、康子様による演奏でした。
 
前半は八木重吉、三好達治の詩に曲を付けたもの、後半が「連作歌曲「智恵子抄」」。「智恵子抄」は「千鳥と遊ぶ智恵子」「あどけない話」「レモン哀歌」、ピアノインストゥルメンタルの「間奏曲」が入って「案内」。野村氏の光太郎・智恵子に対する思い入れが感じられる作品群です。
 
名古屋では大ホールでしたが、今回は小ホールで森山孝光様の息遣いが感じられ、また康子様の指使いまで見て取れ、、かえって小ホールの方がよかったと思いました。
 
今年の連翹忌で野村氏が招待状を配布してくださったため、会場には、坂本様はじめ、連翹忌にご参加いただいている方々のお姿もちらほら。その中のお一人が、終演後、「光太郎が歌っているようだったね」とおっしゃっていました。「なるほど」と思いました。
 
今後とも、皆様のご活躍に期待したいものです。
 
【今日は何の日・光太郎】5月4日

明治44年(1911)の今日、父・光雲を頂点とする古い日本彫刻会と訣別し、北海道移住を企てて東京を発ちました。
 
札幌郊外、月寒の牧場にたどり着き、ここで酪農をやりながら美術制作をする生活を考えていましたが、現実にはそんな生活は夢でしかないと悟り、中旬にはすごすご帰京しています。
 
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3/28のブログで御紹介しました合唱002曲「ほんとの空」。
 
今日、二本松の安達文化ホールで、この「ほんとの空」をはじめとする合唱による「東日本大震災復興支援コンサート ほほえみをあなたに」が開催されます。
 
3/28のブログにも書きましたとおり、CDと楽譜が日本童謡協会様から発行されていると知り、連絡を取ったのですが、既に完売。そこでダメもとで演奏してらっしゃる合唱団の多摩ファミリーシンガーズ様に問い合わせたところ、作曲者の髙山佳子(たま・みゆき)様ご本人と連絡が取れ、コピーですがCDと楽譜を速達で送ってくださいました。ありがたいことです。
 
早速聴いてみました。原発事故という重いモチーフでありながら、モール(短調)ではなくAドゥア(イ長調)の明るい響きです。児童合唱ということで、平易なメロディーながら、中間部でDドゥア(ニ長調)に転調、最後に元に戻ったり、ソリ(少人数のパート)やソロのオブリガートが入ったり、基本は二部ですが部分的に三部になったりと、非常に工夫されています。
 
明後日は光太郎の命日・連翹忌です。日比谷松本楼様で連翹忌の集いを開催いたしますが、ご許可がありましたのでその席上にて参会の皆様にも聴いていただきます。
 
以下、昨年の3.11に寄せて書かれた作曲者の髙山佳子(たま・みゆき)様の言葉です。

『ほんとの空』 ~3月11日に寄せて~ 

 今、日本人が心の底から怒ってる事。思ってもいなかった核の恐怖におびやかされたこの数ヶ月。福島の詩人後藤基宗子さんから『空を切る』という詩が送られてきました。
 福島にある、高村光太郎の「智恵子抄」で智恵子が「ほんとの空」と云った安達太良山、その美しい空が、忌まわしい放射能汚染におびやかされ、心の安まる日がないという。そこで『ほんとの空』というタイトルで福島の人々の思いを合唱曲にしました。
 今年の3月11日、震災から一年目の日、府中の森劇場で、社団法人日本童謡協会の『子どものコーラス展』で児童合唱団多摩ファミリーシンガーズで初演されました。この曲は、ぜひ福島の、特に児童合唱団に歌ってほしいものです。
 冬の磐梯山では長年スキーを楽しみ、猪苗代湖で白鳥と戯れ、秋は紅葉の五色沼、会津鶴が城、沼尻スキー場、など心を癒してくれる私にとって第二の故郷、福島に何か出来るならと、心をこめてこの曲を作りました。詩人の叫びを音にして皆様に届けたいと思っております。よろしくお願い致します。楽譜をおいりようの方はご連絡下さい。  2012.春
 
復興支援ソングというと、NHKさんの肝いりで出来た「花は咲く」が有名で、当方の所属する合唱団も持ち歌にしていますが、この「ほんとの空」も広まって欲しいものです。
 
【今日は何の日・光太郎】3月31日

大正15年(1926)の今日、光雲が長年勤めた東京美術学校を退職しました。

名古屋在住の作曲家、野村朗(あきら)氏。『智恵子抄』の中の詩に曲をつけたものを発表されています。今月9日には名古屋でその連作を含むリサイタルがありました。
 
氏からご連絡がありました。4/2の第57回連翹忌にご参加くださるとのことです。
 
実は氏は腎臓を患っており、透析等で大変なのですが、4/2は透析の日に当たっていないとのことです。そこで、先の名古屋でのリサイタルのDVD、CD等をご参会の皆様に配布されるとのこと。ありがたい限りです。
 
また、先日のリサイタルのパンフレットにチラシが挟まっていたのですが、5月4日(土)には、東京日暮里のサニーホールでリサイタルを開催される由。
 
東日本の皆さん、是非足をお運び下さい。
 
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さらには今後、光太郎智恵子ゆかりの地、花巻や二本松などでも公演をなさりたいとのこと。
 
光太郎・智恵子の顕彰を広めていくためには、こういう活動も大事なことだと思います。
 
【今日は何の日・光太郎】3月20日

明治33年(1900)の今日、『読売新聞』の「俳句はがき便」に数え18歳の光太郎の句が掲載されました。
 
同じ明治33年秋には与謝野鉄幹・晶子の新詩社に加入。この年から光太郎の文学活動が活発になっていきます。

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