タグ:イラストレーション

一昨日、新宿文化センターにて、中村屋サロン美術館開館記念講演会「中村屋サロンの芸術家たち」を拝聴して参りましたが、その後、同じ新宿区の神楽坂に寄ってから帰りました。
 
神楽坂というと、「一見さんお断り」の高級料亭、というイメージですが(笑)、そういう分野ではなく、ギャラリーです。以下の展覧会が催されています。

えがく展 7人の絵描きと10冊の本

会 期 : 2014年11月29日(土)~12月14日(日)
会 場 : ギャラリー「ondo kagurazaka」
       新宿区矢来町123 第一矢来ビル1階かもめブックス
時 間 : 月~土 10:00~22:00  日 11:00~20:00
 
11月29日(土)に開店をむかえる「かもめブックス」の中に開かれるギャラリー「ondo kagurazaka」。
そのこけら落とし展として開催される本展示は、大阪・東京から7名の作家が参加し、本の中に眠る美しい文章からインスピレーションを受け、絵で表現します。
テーマとなった文章は「石川啄木・宮城道雄・夏目漱石・高村光太郎・島崎藤村・夢野久作・上村松園・種田山頭火・田山花袋・太宰治」の本から選びました。
 
参加作家
 東京より……松園量介・竹谷満・日笠隼人
 大阪より……wassa・三尾あすか あづち・山内庸資
 
12月6日(土)、7日(日)の2日間、参加作家によるライブペイントや似顔絵など、かもめブックス店内でアートイベントを開催します。
 
イメージ 1
 
イメージ 2
 
というわけで、行って参りました。
 
東京メトロ東西線神楽坂駅2番出口(矢来口)を出て、左折。かもめブックスさんという書店兼カフェがあり、その奥がギャラリー「ondo kagurazaka」さんです。「一見さんお断り」の高級料亭ではありませんが、実におしゃれです。さすが神楽坂。
 
000

 
先週、麻布十番で観てきた「装幀画展Ⅱ~文学とアートの出逢い~」は、「装幀」として描かれ、本の選択も各作家さんにまかされていましたが、こちらはブックデザインというわけではなく、それぞれの本からのインスパイアというか、オマージュというか、そういったイラストでした。本の選択はギャラリーさんの指定だそうで、10冊の本に対し、7人のイラストレーターの皆さん(20~30代の若手)が1枚ずつ出品しています。即売も行っています。
 
光太郎に関しては、『智恵子抄』。さらにその中に収められている詩「あなたはだんだんきれいになる」がお題でした。
 
イメージ 5
 
会場内にはお題に出された書籍も並んでいました。
 
イメージ 6
 
イメージ 7
『智恵子抄』を選んでいただいて、ありがたい限りです。
 
日曜を除き、夜10時までオープンしています。一つのフロアに書店とカフェとギャラリーが同居していて、珈琲でも飲もうかと思ったのですが、帰りの高速バスの時間の関係で、ゆっくりできなかったのが残念でした。ぜひ足をお運びいただき、当方の代わりにゆっくり珈琲でもご堪能下さい(笑)。
 
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 12月3日001
 
昭和12年(1937)の今日、山形の銀行家・長谷川吉三郎にはがきを書きました。
 
文面は以下の通りです。
 
拝復 昨日見事な林檎たくさんいただきありがたく存じ上げました。今日おてがミ及書留小包にて軸其他たしかに落手、先日の色紙が立派に表装せられたのに驚きました、 おてがミの趣は承知いたしました、不日お手許に御返送申上る心組で居ります、 とりあへず御返事まで 艸々
 
「色紙」は、この少し前に丑年生まれの長谷川の依頼でかいた右の画像のものです。それを長谷川が表具屋さんに軸装してもらい、さらに光太郎に箱書きを依頼した、その返答が上記の葉書です。
 
ちなみに長谷川は牛の彫刻も光太郎に依頼しましたが、光太郎、そちらは断っています。翌年に歿する智恵子がゼームス坂病院に入院中で、創作意欲を欠いている部分があったようです。
 
牛の色紙軸装は「長谷川コレクション」の代表作の一つとして、山形美術館に現存し、時折、他館の企画展に貸し出しています。

昨日は港区麻布十番に行って参りました。
 
詳細がよくわからなかったので、事前にご紹介しませんでしたが、以下の展覧会が開催中です。

装幀画展Ⅱ~文学とアートの出逢い~

会 期 : 2014年11月19日(水)~11月30日(日)
会 場 : パレットギャラリー 港区麻布十番2-9-4
時 間 : 11:00~19:00
 
本の装幀は、文学を彩る美術として、古くから多くの人に愛され続けています。
23人の作家が自由に好きな本を選び、その装幀画を描いていただきました。
展示では、原画とともに装幀カバーに仕立てた文庫本を展示します。
個性あふれる作品と文学とのコラボレーションを楽しんでいただけたら幸いです。
 
 
イメージ 1
 
イメージ 2
 
というわけで、オリジナルの装幀(ブックデザイン)の展覧会です。
 
出典作家・作品は上記画像にも載せましたが、文字にします。その方がネット検索にひっかかりますので。
 
石居麻耶  パパ・ユーアクレイジー(ウィリアム・サローヤン・訳伊丹十三)
岩淵華林  この闇と光(服部まゆみ)
宇野亜喜良 悪魔の辞典(ピアス/西川正身・編訳)000
大竹彩奈  氷点(三浦綾子)
大谷郁代  猫を抱いて象と泳ぐ(小川洋子)
蟹江杏   杏っ子(室生犀星)
財田翔悟  魍魎の匣(京極夏彦)
新藤杏子  春と修羅(宮澤賢治)
高橋千裕  失楽園(ジョン・ミルトン)
田嶋健太郎    智恵子抄(高村光太郎)
立木美江  山月記(中島敦)
中西静香  小さいおうち(中島京子)
中原亜梨沙    金子みすゞ詩集(金子みすゞ)
名古屋剛志    サヨナライツカ(辻仁成)
成田朱希  偽偽満州(岩井志麻子)
新倉佳奈子    草迷宮(泉鏡花)
野村直子  第七官界彷徨(尾崎翠)
深瀬優子  お縫い子テルミー(栗田有起)
まちゅまゆ 鏡の中の鏡(ミヒャエル・エンデ)
宮本順子  宮澤賢治童話集(宮澤賢治)
桃田有加里   供述によるとペレイラは……(アントニオタブッキ)
山科理絵  カイン"自分の弱さに悩む君へ"(中島義道)
山城有未  ZOO1(乙一)
 
 
イメージ 3
 
イメージ 8
 
イメージ 9
 
イメージ 10
 
芸大日本画科ご出身の、田嶋健太郎氏という方が「智恵子抄」を出展なさっています。ありがたや。
 
イメージ 5  イメージ 6
  
イメージ 7
 
「智恵子抄」というと、大正浪漫ふうの縞の着物に日傘、手にはレモン、といったところがお約束ですが、そういう固定観念にとらわれていないところが、かえっていいと思いました。
 
他の出展作家の皆さんも、それぞれに力のこもった作品です。一人一点、というところで、妥協がないような気がしました。上記リストにある通り、古今東西の作品からのインスパイアとなっている点も良いと思います。
 
いつも同じようなことを書いていますが、数十年後、「高村光太郎? 誰、それ?」、「『智恵子抄』? 知らないなぁ……」ということにならないことを祈ります。
 
今週末まで開催されています。ぜひ足をお運びください。
 
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 11月27日
 
昭和7年(1932)の今日、東京美術学校講堂で「黒田清輝胸像」が除幕されました。
 
光太郎肖像彫刻、一つの頂点です。
 
イメージ 11
 
しかし、この年、智恵子が自殺未遂。その後、完全に夢幻界の住人となり、光太郎もその対応に追われ、しばらくは彫刻も非常に寡作の時期が続くことになります。

インターネット上で、著作権の切れた文学作品等を公開している「青空文庫」というサイトがあります。ボランティアの方が電子データに入力、そのご苦労には頭が下がります。
 
さて、その「青空文庫」がらみで、株式会社MediBangさんによる、下記のイラストコンテストが作品募集中です。 

第2回 青空文庫 有名小説表紙絵コンテスト

イメージ 1
 
応募期間 2014年7月31日(木)23:59まで
 
応募資格 特になし。プロ・アマ問わず応募可能。発表済みイラストでの応募も受け付け(但し、応募者自身が権利を有するイラストに限る)。
 
応募形式
 1.画像ファイル形式 jpg、png、gif
 2.規定サイズ(横 × 縦)2100 × 2800ピクセル
 3.必須事項
 表紙イラスト内に作品のタイトル、作品の著者名、通訳者がいる場合は通訳者を含めること。 加えて、イラスト作成者自身の名前を記載。
 
人気の応募書籍はこちら!
 白痴/堕落論 坂口安吾  家/若菜集 島崎藤村  こころ/坊っちゃん 夏目漱石
 たけくらべ 樋口一葉  学問のすすめ 福沢諭吉  ドグラ・マグラ 夢野久作
 三国志/私本太平記 吉川英治  父帰る/恩讐の彼方に 菊池寛
 阿Q正伝/狂人日記 魯迅  金色夜叉 尾崎紅葉  半七捕物帳/百物語  岡本綺堂
 鼻/杜子春  芥川竜之介  人間失格/走れメロス 太宰治
 
コンテスト対象作品の著者一覧                                                   
 アンデルセン ハンス・クリスチャン グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール
 ド・ラ・ラメー マリー・ルイーズ トルストイ レオ  バーネット 
 フランシス・ホジソン・エリザ 
ルブラン・モーリス
 永井 荷風 海野 十三 宮沢 賢治 高村 光太郎 紫式部

                                                                              
受賞作の発表
 応募期間終了後、厳正な選考のうえ受賞・入選された作品をメディバン本サイトにて発表。
 特賞(最大1本):10万円  優秀賞(最大10本):1万円 入選:1,000円
 参加賞:受賞・入選作以外の応募イラストから1枚あたり100円
 


対象となる光太郎作品は以下の通り。
 
(私はさきごろ)  ヒウザン会とパンの会  ミケランジェロの彫刻写真に題す  黄山谷について  回想録  開墾 顔  気仙沼  九代目団十郎の首  山の秋  山の春  山の雪  詩について語らず  自作肖像漫談  自分と詩との関係  書について  小刀の味  触覚の世界  人の首  蝉の美と造型  装幀について  啄木と賢治  智恵子の紙絵  智恵子の半生  智恵子抄  能の彫刻美  美の日本的源泉  美術学校時代  木彫ウソを作った時  緑色の太陽  珈琲店より
 
正確にいえば、「小説」は一篇もありませんが、まぁ、そのあたりは厳密に考えていないようです。
 
絵心のある方、応募してみてはいかがでしょうか?
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 7月10日
 
昭和34年(1959)の今日、二玄社から『高村光太郎書』が刊行されました。
 
B4判の大型本で、はじめて刊行された光太郎の書の作品集です。監修は光太郎実弟の高村豊周、編集は光太郎と親交の深かった美術史家の故・奥平英雄氏と、北川太一先生です。
 
特に晩年、独特の境地に至った光太郎の書、67点の写真が掲載されています。また、別冊には、草野心平「光太郎書の三つの時代」、西川寧「高村さんの書」、吉野秀雄「高村光太郎の書」、奥平英雄「書についての回想」が掲載されています。

たまたまネット検索で見つけました。 イラストレーターの方の個展です。

「線とわたし」 河合美穂展007

場所:マルプギャラリー 東京都豊島区池袋3-18-5

2014年1月6日(月)〜31日(金) 10:00~19:00
※初日、14:00より。※最終日は、17:00まで。
休廊日:土、日、祝日
 
特別開廊日
11日(土) 13:00~17:00(お茶会)
19日(日) 13:00~17:00 25日(土)  同
 
作者のメッセージ
 
憧れのマルプギャラリーで、イラストレーターになってから初めての個展をさせて頂きます。
お茶会はささやかな飲み物などをご用意させて頂く予定ですので、どなた様もお気軽にいらして下さい。どうぞよろしくお願い致します。
 
今回の展示では、智恵子抄の一節を絵にしたものがあります。実は私、大の光太郎と智恵子ファン。
智恵子抄は、初版本と智恵子の記念館近くで買った絶版と3冊も持っている位で、智恵子の紙絵も大好きで4~5冊はあるでしょうか。私の中の究極の愛の形です。
 
また、今回宮沢賢治を題材としたものが多くありますが、高村光太郎と宮沢賢治は深い関係があったようで、私も嬉しくなりました。
ギャラリーでかけて頂く音楽は、銀河鉄道の夜のアニメで使われた細野晴臣さんの素晴らしいサントラです。
 寒い季節ですが、皆様どうぞお出かけ下さいませ。

 
このブログで同じことをよく書いていますが、いろいろな方が様々な分野で光太郎智恵子の世界を取り上げて下さっています。こうした絵画などの造型作品、演劇、音楽、朗読、文筆作品、書、などなど。非常にありがたいかぎりです。
 
時間を見つけて行ってみたいと思っております。みなさんもどうぞ。
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 1月10日

昭和51年(1976)の今日、高村光太郎研究会が発足しました。
 
前身は光太郎と交流のあった詩人、故・風間光作氏が立ち上げた「高村光太郎詩の会」。
 
その後、明治大学や東邦大学などで講師を務められた故・請川利夫氏に運営が移り、「高村光太郎研究会」と改称、斯界の権威、北川太一先生を顧問に頂き、年に一度、研究発表会を行っている他、雑誌『高村光太郎研究』を年刊で出しています。現在の主宰は都立高校教諭の野末明氏です。当方も加入しております。
 
光太郎・智恵子について研究したい、という方は是非ご参加ください。ご連絡いただければ仲介いたします。

昨日、名古屋在住の作曲家・野村朗氏から先月、愛知碧南市藤井達吉現代美術館で開催中の「生誕130年 彫刻家高村光太郎展」の関連行事として行われたリサイタルのDVD、パンフレットをいただいた件を書きました。
 
氏の「智恵子抄」系リサイタルパンフレットやチラシによく使われているイラストがあります。
 
イメージ 1
 
智恵子をイメージして描かれたものですが、前々から「なかなかいい絵だな」と思っていました。
 
そう思っていたところ、先般、野村氏から届いた荷の中に、こちらのイラストを描いた方が作られた来年のカレンダーが入っていました。
 
 
イメージ 3
 
作者はやはり名古屋在住(だと思われます)のイラストレーターで、西尾香美(くみ)さん。

カレンダーは2ヶ月で1枚になっているタイプで、野村氏のリサイタルで取り上げられた日本の詩をモチーフにしたイラストが描かれ、詩の一節が印刷されています。それぞれ素晴らしいイラストです。
 
名古屋イラストレーターズクラブさんのサイトで見ることができますが、ダイレクトにリンクが貼れません。
 
イメージ 4
 
7・8月のページが「レモン哀歌」。いいですね。
 
 
イメージ 2
 
名古屋市のセントラル画材さんで扱っており、セントラルアートビル本店画材売り場、及びセントラル出力センターにて1部500円で販売、とのことです。
 
オンラインで入手できないというのがちょっと残念です。
 
【今日は何の日・光太郎】 12月12日

昭和23年(1948)の今日、花巻郊外太田村山口の高橋家で、「法隆寺幻灯会」を行いました。
 
今で言うプロジェクタのように、スクリーンに静止画を映し出す機械として、スライド映写機がありました。そのスライド映写機や、その原型となった機械を「幻灯機」と言っていました。宮澤賢治の童話によく出てきます。
 
光太郎はその幻灯機と、ソフトとして法隆寺に関するフィルムを入手、村人に対して日本美術に関する講話を不定期に行っていた一環として、65年前の今日、「幻灯会」を行いました。

昨日ご紹介した森まゆみさん著『『青鞜』の冒険 女が集まって雑誌をつくるということ』に関し、『読売新聞』さんに記事が出ています。 

森まゆみさん 編集の視点で「青鞜」考察

 明治の末、女性解放運動家の平塚らいてう(1886~1971年)らが創刊した雑誌「 青鞜 (せいとう ) 」をテーマにした『「青鞜」の冒険』(平凡社)を、作家の森まゆみさん(59)が出版した。
 
 地域誌の編集人を務めた経験を踏まえ、雑誌編集の視点から同誌を見つめ直した。
 「長年の宿題を果たした感じです」
 東京・千駄木で1911年、産声をあげた「青鞜」に著者は親近感を抱いてきた。同じ地域で84年、女性の仲間2人と地域誌「谷中・根津・千駄木」を創刊し、25年間続けたからだ。
 
 「女性の文芸振興や地位向上と、地域の魅力の掘り起こしと、それぞれの雑誌の内容は違います。でも女の人が集まることの面白さ、難しさなど、似ていると思うことがありました」
 
 本作は、<元始、女性は太陽であった>と高らかに唱えた「青鞜」の思想面より、経営面や誌面の出来栄えを探った点が興味深い。創刊号は、1冊25銭で1000部。地元のそば屋の広告や、読者が重なりそうな雑誌と互いに交換広告を掲載する努力もしていた。
 
 「『青鞜』の人々も、初期は苦労して広告を集めた。私たちと同じく地域に支えられていました。あの時点で女だけで雑誌を作ったのは冒険です。今のレベルから見れば習作のような掲載作にも、当時の女の悩みや暮らしが表れている」
 
 一方で、同誌が創刊1年で出版や販売の業務を外部の会社に任せた点には厳しい。「雑誌は原稿を書き、集めるだけでなく、広告取りや購読料の授受、発送、配達こそ大切です。雑誌なんて自分が売る気にならないと売れないんだから……」
 
 「谷中・根津・千駄木」は2009年に94号で終刊した。「雑誌の中で、色々な新しい提案ができた。“小所低所”に徹して身の回りを変える。大きなデモや声高に意見を上げるより、小さな地域を変えれば、全体がしっかりしてくると思う」
 
 100万人に5人しか発症しないとされる自己免疫疾患「原田病」に07年にかかり、目を患った。だが、東日本大震災後は被災地を訪ねて現地の声を聞き、『震災日録――記憶を記録する』(岩波書店)も出版した。「震災で言葉を失ったなどと男は言うけれど、女はその翌日だって米をとがなくてはならない。震災後も考えていることは変わりません。被災地との地域間交流を大切にしてゆきたい」
 
 朗らかな笑い声が、人をひきつける。
 
イメージ 1
 
記事の中で、平成19年(2007)に難病にかかられた由、記述がありました。地域雑誌『谷根千』休刊の陰にはこうした事情もあったのですね。
 
『谷根千』では、平成2年(1990)刊行の第25号に、今回のご著書の原型とも言うべき特集記事「平塚らいてうと「青鞜」-千駄木山で生まれた女の雑誌」が掲載されています。
 
イメージ 2
 
版元の「谷根千工房」さんももはや存在しませんが、古書サイト等で見かけることがあります。併せてお買い求めを。
 
今回のご著書にしても、上記の『谷根千』にしても、智恵子の描いた『青鞜』の表紙絵を用いた装丁。つくづくこの表紙はすばらしいと思います。
 
【今日は何の日・光太郎】 8月2日

昭和26年(1951)の今日、花巻郊外太田村の山口小学校で開催された稗貫郡PTA講演会で講演をしました。

新刊です。
 
智恵子が創刊号の表紙絵を描いた雑誌『青鞜』の、その誕生(明治44年=1911)から終焉(大正5年=1916)までを追った労作です。もちろん智恵子にも随所で触れています。 

『青鞜』の冒険 女が集まって雑誌をつくること

森まゆみ著 平成25年6月27日 平凡社   定価1900円+税
 
イメージ 1
 
 
女性による女性のための雑誌『青鞜』の歩みを、平塚らいてうや伊藤野枝らの生き方とともに、また100年後に著者自身が営んだ地域雑誌『谷根千』を引合いにしながら丹念に追った意欲作。
(平凡社さんサイトから)
 
雑誌の立ち上げに高揚したのも束の間、集まらない原稿、五色の酒や吉原登楼の波紋、マスコミのバッシング……明治・大正を駆け抜けた平塚らいてう等同人たちの群像を、同じ千駄木で地域雑誌『谷根千』を運営した著者が描く。
(帯から)
 
類書は他にも刊行されていますが、それらと違うところは、上記紹介文にあるとおり、「編集者」としての視点で描かれていることです。
 
 
著者の森まゆみさんは、かつて地域雑誌『谷中根津千駄木』を刊行されていました。今日、一般的になった「谷根千」という呼称はここから生まれたものです。その際のご経験が、本書の記述に生かされているようです(実はまだ熟読していません。すみません)。
 
ちなみに『谷中根津千駄木』では、谷中に生まれ、千駄木で暮らした光太郎もたびたび取り上げて下さいました。
 

イメージ 2


 そういえば、雑誌『青鞜』が産声をあげたのも、千駄木です。社員の一人、物集和子の自宅が最初の事務所。ここは不忍通りから団子坂を上がりきった右側、森鷗外の観潮楼のはす向かいです。

ぜひお買い求め下さい。
 
【今日は何の日・光太郎】002 8月1日

昭和54年(1979)の今日、六耀社から『高村光太郎彫刻全作品』が刊行されました。
 
B4判350ページ、定価五万円の大著です。現存するものはもちろん、焼失したものや、着手したただけ、あるいは構想のみで未完に終わったものも含め、この時点で把握されていた光太郎の彫刻作品全てのデータベースです。
 
千葉市立美術館で現在開催中の「生誕130年 彫刻家高村光太郎展」の図録作成の際にも、大いに利用させていただきました。
 
現在でも時折古書店のサイト等で売りに出ています。

↑このページのトップヘ