カテゴリ:音楽/演劇等 > 朗読

今日は「生誕130年 彫刻家高村光太郎」展の最後の巡回先、愛知県碧南市藤井達吉美術館にての開会式・内覧会(一般公開は明日から)に行って参ります。帰りは夜中となりそうなので、日付が変わった未明のうちに今日の分を書いてしまいます。
 
出先からケータイで短めに投稿する事も可能なのですが、早めに書いてしまいたい事情もあります。
 
このブログでは光太郎智恵子がらみのさまざまなイベント等をご紹介しています。そのために情報収集はおさおさ怠りなくやっているつもりなのですが、こちらの網の目から漏れる情報も多いようです。
 
終わってしまってからこんなイベントがあったというのをネットで見つけることもしばしばありますし、昨日書いた田沼武能「アトリエの16人」のように、終了間際に気がつく場合もあります。当方の情報収集力もまだまだです。
 
今回もそう。明後日に行われるイベントを昨日になって知りました。反省しきりです。というわけで、間がないのでできる限り早くご紹介します。 

リーディングドラマ「智恵子の空は」

イメージ 1
 
『朝日新聞さいたま版マリオン』さんの記事から。
 
朗読グループ「声の会」による公演。浅川安子(構成、演出)。音楽、動きなどを取り入れ、高村光太郎の「智恵子抄」をもとに智恵子の生涯を語る。ピアノとクラリネットの演奏も。1000円。要予約。電話中村さん(048・641・6753)。
 
日 時:2013年11月2日(土) 昼の部13:30~ 夜の部18:00~
会 場:彩の国さいたま芸術劇場小ホール(最寄り駅 与野本町)
料 金:1000円 全席自由
 
同会HPによれば、「リーディングドラマ」とは、以下の通りです。
 
 昨今、朗読の持つ力が見直され、朗読劇や朗読構成劇などという名前で舞台上演されることも増えてきました。これは日本語の持つ生命力を目や耳を通して回復させたいというあらわれだと思います。
 私たち「声の会」のリーディングドラマも、朗読に美術や音楽、照明、動きを取り入れ、総合的な舞台表現を目指しています。私たちの発する言葉が、舞台空間をより際だたせることによって、何倍もの力を得て、ストレートに観るものの心に伝わることを切に願うからです。
 
ぜひ行きたいのですが、なにせ急に知ったもので都合がつきません。残念です。

【今日は何の日・光太郎】 10月31日

昭和16年(1941)の今日、牛込矢来町の城西仏教会館で催された「文芸講演と詩朗読の会」で講演をしました。
 
上記と同じ朗読の会ですが、その趣旨は大きく違います。
 
当方、この時のプログラム(B4判二つ折り)を所蔵しています。裏面に書かれた趣意書的なものを引用しましょう。
 
イメージ 2
 
 変転きはまりない時代に最も肝要にして不動不退転の国民の生活を樹立させる底のものは国家の力であり、国民の固き信念であります。大日本帝国臣民であるわれわれはこの力を充分蓄積し、この固き信念を深く身につけて一旦緩急の際には、すみやかに勇往邁進凛々真摯敢闘の精神を内に充溢しのぞまねばなりません。われわれ青年はすでに銃剣の林を征き砲煙をおかして帝国の威力を世界に轟かして参りました。今日われわれの思はねばならぬ責務の重大は、銃前と云はず銃後と云はず、現代日本の各方面より要望されており、われわれ青年はわれわれ青年の意気と熱情とを以てこれに当るべき秋であります。
 このとき文化面に於て、われわれは青年詩人の新しい声と盛り上がる熱情とをかたむけて新文化銃後翼賛の微力をつくしたいと思ふものであります。たゞならぬ今日のあらねばならぬ方向はこの巨大な歴史的現実の下に厳然として唯一つ存在して居る、捨身即ち祖国を愛する日本民族の血の伝統に生きる事であります。われわれ青年詩人は今こそ現代日本の輿望に応へて詩精神の覚醒と正しい履践をせねばならぬのであります。
 民族が興隆せんとするときには必ず民族の詩は栄えるのであります。現代日本の直面してゐる情勢は新しき東亜の黎明へ、十億の民の共栄へ向つて輝かしい任務を遂行する努力でもありまして、この偉大なる希望のもとにわれわれの血はたぎつてゐるのであります。文字通りわれわれは詩を以て聖業に翼賛し奉る秋であります。大政翼賛会文化部に於てもかゝる時代にかゝる詩の国民に与へる力の重大を惟ひ既に「詩の朗読」の運動が始められて居ります。
 詩と詩人社もこゝに「文芸講演と詩の朗読会」を催して現代青年詩人の志向とその自主的精神を明らかにし詩によつて民族精神の高揚を為す運動の一としたいと考へる次第であります。
 昨秋及今春名古屋に於ける「文芸講演と詩の朗読会」に引続き催される今回の会は現代詩精神社の後援の下に、一つには同人山田嵯峨の大浪漫主義を盛つた詩集「四方天」の出版を記念し、又一つには徳安攻略戦に散華した詩友田中清司を偲ぶために開催されるものであります。したがつて今迄在来の出版記念会や追悼会の旧套を打破する意味も含み、こゝに詩壇新体制確立の為青年詩人を中心に溌剌清新の新風を盛りうる事と信ずるものであります。
 幸ひ詩壇の耆宿高村光太郎氏と詩朗読の先輩照井瓔三氏の賛助御快諾を得ました事はわれわれのもつとも光栄とするところであります。就而此青年詩人の一大快事に御集り願ひ度く御友人御誘ひの上御来場下さいます様御案内申上げます。
 昭和十六年十月   詩と詩人社同人識
 
まるで某半島の某独裁国の「ナントカ日報」という新聞のような感じですね。日本もつい数十年前にはこうだったのです。
 
この時はまだ太平洋戦争開戦前です。しかし既に日中戦争は泥沼化していました。国家総動員法はこれにさかのぼる昭和13年(1938)には制定されており、各種団体は大政翼賛会の旗の下に統合が進み、文学もその例外ではありませんでした。
 
詩人はその作品の執筆や朗読で、国策に協力する事が義務づけられた時代だったのです。
 
「詩と詩人社」は新潟・魚沼に本部を置いた詩人結社です。やはりプログラムの裏に同人の一覧が載っていました。
 
イメージ 3
 
当方、寡聞にして田村昌由、浅井十三郎、武井京史(「武井京」とあるのは誤り?)山田嵯峨くらいしか知りません。
 
田村にしても前後3回ほど光太郎に詩集の序文を書いてもらっているから知っているようなもの。浅井・武井・山田は昭和18年(1943)に行われ、同社発行の「詩と詩人」に載った座談で光太郎と同席しているから知っているようなものです。
 
それにしても戦死した同人の追悼を兼ねるとか、名簿に「出征中」の文字があるとか、本当に嫌な時代です。詩人が銃を手に取って戦うとか、銃後の者たちもこんなイベントで国策協力とか、そしてそこに光太郎も絡んでいるとか、そんな時代だったわけです。

昨日に続き、今月行われる光太郎がらみのイベントのご紹介です。
 
まずはネット検索で見つけました朗読のイベントです。 

青山の昼下がりⅥ

期 日 : 2013年10月25日 (金)
会 場 : 東京都 アイビーホール青学会館4F「クリノン」
時 間 : 
14時00分開演(13時30分開場)
料 金 : 2500円 要予約
関連web: 後援 NPO日本朗読文化協会 
内容:朗読へのおさそい 「青山の昼下がりⅥ」
 
◆プログラム
「蜘蛛の糸」芥川龍之介作  見澤淑恵  ファゴット演奏 蛯澤亮 作曲 加藤史崇
「姫椿」  浅田次郎作  池田美智恵
「刺青」  谷崎潤一郎作 望月鏡子
「鼓くらべ」山本周五郎作 近藤とうこ
「智恵子抄より」 高村光太郎作   山川建夫
 
◆後援 NPO日本朗読文化協会
◆お問合せ・お申込み 望月様 03-5716-5767 080-1190-4868
 
元フジテレビアナウンサーの山川健夫氏による「智恵子抄より」がトリのようです。
 


 
続いて福島川内村から草野心平忌日「かえる忌」のご案内が届きましたのでご紹介します。 

第3回天山・心平の会「かえる忌」

  : 2013年10月26日(土) 午後3:00~6:00
  : 小松屋旅館 福島県双葉郡川内村大字上川内字町分211
  : 2,500円
 
イメージ 1
 
翌日には心平墓参も行われるそうです。
 
原発事故による全村避難が解除されましたが、まだまだ帰村者が少ない状況だそうです。復興支援のためにも足をお運び下さい。
 
ちなみに当方の講演も予定されております。心平と光太郎の関わりについて話すつもりでおります。
 
さて、今日は渋谷のNHK放送センターに行って参りました。10/6放送の「日曜美術館 智恵子に捧げた彫刻 ~詩人・高村光太郎の実像」のスタジオ収録を観させていただきました。
 
明日、詳しくレポートいたします。
 
【今日は何の日・光太郎】 10月2日

昭和63年(1988)の今日、智恵子の最期を看取った智恵子の姪・宮崎春子が歿しました。
 
昭和10年(1935)、智恵子が南品川のゼームス坂病院に入院した後、看護婦の資格を持っていた春子に光太郎が請い、昭和12年(1937)から約2年、春子は智恵子の付き添い看護にあたりました。智恵子の紙絵制作の現場に立ち会った、ほとんど唯一の人物です。
 
イメージ 2
紙絵を見る春子(昭和30年=1955)

昨日、光太郎の肉声が収められたカセットテープ『NHKカセットブック 肉声できく昭和の証言 作家編6』を紹介しましたが、同様に光太郎の肉声を収めた音声ソフトが数種類発行されていますので、ご紹介します。
 
ぜひお買い求めの上、聴いてみて下さい。 絶版のものが多いのですが、中古市場で出ることがあります。

NHKカセット 文学の心 文豪は語る1012

昭和27年(1952)3月、NHKラジオ番組「朝の訪問」のために詩人の真壁仁と行った対談(『高村光太郎全集』第11巻)が収録されています。また、光太郎本人による自作の詩「風にのる智恵子」「千鳥と遊ぶ智恵子」「梅酒」の朗読も収められています。同じ年3月にオンエアされました。昭和50年(1975)、NHKサービスセンターの発行です。現在は絶版です。
 
「千鳥……」には、「ちい、ちい、ちい、ちい、ちい」という千鳥の鳴き声の擬音が出てきます。後世の人達の朗読では、ここを付けられている読点の通りゆっくり刻みながら「ちい、ちい、ちい」と読むのが普通です。ところがその部分、光太郎は非常に早口で読んでいます。光太郎の朗読を文字で表せば「ちいちいちいちいちい」。確かにそう読んだ方が千鳥感がよく出ます。
 
朗読は朗読する人それぞれの解釈でやってよいのだとは思いま011すが、作った本人はそのように読んでいる、ということもお忘れなく、と言いたいところです。特に朗読で光太郎作品を取り上げられる方にはぜひ聴いていただきたいものです。
 
ちなみに「千鳥……」と「梅酒」の朗読は、平成14年(2002)山川出版社発行の中学校教材用CD中学校 音の国語にも収められています。こちらは現在でも新品が入手可能です。ただしCD3枚組+解説書つきで18,000円+税。ちょっと高いのが難点です。

 
また、『文学の心 文豪は語る1』の内容に、昨日ご紹介した草野心平との対談「芸術よもやま話」も収録した『昭和の巨星 肉声の記録 文学者編 室生犀星高村光太郎』もNHKサービスセンターから発行されています。カセットテープ版とCD版があり、基本、全12巻のセット販売でした。現在は絶版ですが、こちらも時折、中古市場で見かけます。

002

013

新潮カセットブック 高村光太郎詩集

平成2年(1991)発行のカセットテープです。基本は石坂浩二さんの朗読ですが、B面の終わりに約7分間、昭和28年(1953)に、美術史家の奥平英雄と行った対談「芸術と生活」(『高村光太郎全集』第11巻)の一部が収録されています。対談「芸術と生活」は、翌年、文化放送でオンエアされました。
 
同じ対談「芸術と生活」のテープは、奥平の著書『晩年の高村光太郎』特装本(昭和51年=1976 瑠璃書房)に付録として添えられています。こちらはノーカットです。
 
014  015
 
どちらも絶版です。
 
以上、市販された光太郎肉声を含むものはこんな所だと思います。「もっとこんなものもある」という情報をお持ちの方はご教示下さい。
 
【今日は何の日・光太郎】 9月26日

明治24年(1891)の今日、光雲が戸籍上の本名を「光雲」に変更しました。
 
元の光雲の本名は「光蔵(みつぞう)」、通称「幸吉」でした。

ネット検索で見つけました。三重県は志摩地域からのイベント情報です。  

大人のための朗読ライヴ 第7回 花笑み朗読会

日 時  2013年10月6日(日) 午後1:30~3:30ころ
会 場  コミュニティースペース花笑み (志摩市磯部町上之郷市営プールとなり)
入場無料
 
プログラム
『マラソン』堀ななえ 作/朗読 堀八重子
『子そだてゆうれい』民話/朗読 岡野恭子
『きまもり』杉みき子 作/朗読 岡野秋子
『芋ころりん』福島県 昔話/ストーリーテリング 森本時子
『注文の多い料理店』宮沢賢治 作/朗読 森下雅子
『チーン、ブツブツ』佐野洋子 作/朗読 江坂淳子
『智恵子抄』高村光太郎 作/朗読 牧野範子
 
 
017


以前、朗読家の荒井真澄さんをご紹介した時にも書きましたが、光太郎の詩は意外と朗読向きです。
 
例えば「樹下の二人」のリフレイン「あれが阿多多羅山/あの光るのが阿武隈川」という短いフレーズも、「があたたらやまのひるのがあぶくまがわ」という「あ」そのものや母音の「A」の多用、光太郎ははっきり意識しているはずです。
 
「レモン哀歌」にしても「そんなにも/あなたはレモンをまっていた」と、日本古来の五音・七音(前後)での構成になる箇所も多く見受けられます。
 
朗読は静かなブームだそうで、全国の愛好家の方、どんどん光太郎作品を取り上げて下さい!
 
【今日は何の日・光太郎】 9月20日

明治34年(1901)の今日、東京美術学校での京都・奈良方面への修学旅行に出発しました。
 
この修学旅行で、特に奈良で白鳳・天平といった頃の仏像をたくさん見たことが、光太郎にとっての一つの転機となります。仏師の息子として生まれた光太郎ですから、仏像自体は子供の頃から見飽きるほど見ていたはずですが、江戸の様式化された仏像にはない迫力に打たれたのです。曰く、
 
本物とは似ても似つかない形のものが、素晴らしい迫真力をもつて迫つてきた。それで、学校で自分達がやつた柔弱な人形みたいなものは、実にくだらなく感じられてきた。そして奈良の仏像の、――本物とはまるで離れたようないろいろな恰好をした仏像が、何故そんなに強く人を感動させるのかということについて深く考えさせられた。なんだか彫刻というのは、いままでやつていたものと違うと言うことを感じた。あの修学旅行が、わたしたちを啓発したことは大変なものであつた。
(「わたしの青銅時代」 昭和29年=1954)
 
ここでいう「本物」とは「人間の肉体」という意味です。
 
「わたしたち」とありますが、他の生徒も同じだったようです。特にこの後、目をみはるほど進歩したのは、かつて美学の授業で空気を読めない素っ頓狂な質問をして講師の森鷗外を怒らせたりし、同級生からは一番出来が悪いと馬鹿にされていた生徒だったとのこと。
 
この後、光太郎は留学を経験し、ロダンを初めとする西洋近代彫刻にも打ちのめされることになりますが、単に打ちのめされただけでなく、修学旅行で学んだ日本古来の彫刻の要素と、西洋近代彫刻の要素を見事に融合させ、独自の境地を開いてゆくのです。
 
ちなみに「修学旅行」というと、現代では2泊3日とか3泊4日とかのイメージですが、この時の修学旅行はなんと2週間にも及んだそうです。

昨日に引き続き、季節外れのタイトルで申し訳ありません(笑)。
 
一昨日のブログでNHKさんの「にほんごであそぼ 元気コンサートin福島」のDVDをご紹介しましたが、もう一点、DVDを入手したのでご紹介します。  
東映ビデオ 4500円+税/ COLOR/ 95分/

注目の若手女優・佐津川愛美 主演美しく広大な自然広がる福島県を舞台に、思春期の少女の成長を描く感動ストーリー!

【解説】
思春期の不安と苛立ちの真っ只中にいる少女が、一人の視覚障害者の少年と出会い、それを通じて成長する姿を広大な自然が広がる福島県を舞台に描く。そして、福島県出身で「深呼吸の必要」などの代表作を持つ詩人・長田弘の詩が映画の核となって人々の心を繋いでいく。誰もが経験する子供から大人へ変わっていく瞬間を切り取った心に染み入る作品が誕生した。
主人公・桃子を演じるのは映画『蝉しぐれ』『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』での演技で高く評価された、佐津川愛美。視覚障害を持った少年という難しい役どころを見事に演じたのはTVドラマ「仮面ライダー響鬼」「龍馬伝」で人気を博し、演技に定評がある栩原楽人。鈴木砂羽、美保純、鶴見辰吾、国広富之、池内万作ら実力派が脇を固める。監督は『千年火』がベルリン国際映画祭で【見逃してはならない3本】として高い評価を得た瀬木直貴。

【ストーリー】
思春期の不安と苛立ちを抱える女子高生・桃子は、自分のことを厳しく管理しようとする母とぶつかり、毎晩のように仲間と夜の街で遊び過ごしていた。そんなある日、桃子はラジオから流れてきた詩を聴き、心を奪われる。それは長田弘の「最初の質問」という詩だった。その後、詩の朗読をバイト先の先輩から頼まれた桃子は断りきれずに盲学校まで行き、そこで一人の少年と出会う。偶然にもその少年は桃子と同じラジオを聴いていて、そのことをきっかけに二人は急速に距離を縮めるが・・・。

【公開日】2008年11月公開

イメージ 1  イメージ 2
  
映画のDVDで、昨秋発売された(映画自体は平成20年(2008)の公開)のですが、こういうものがあるとは最近まで知りませんでした。
 
舞台は福島県会津地方(2008年公開の映画ですので震災前です)。ひょんなことから盲学校で詩を朗読するボランティアを引き受けた、佐津川愛美さん演じる主人公の不良(になりかかっていた)少女が、栩原楽人さん演じる視覚障害の少年や両親(鈴木砂羽さん、鶴見辰吾さん)との関係を通じ、成長していく物語です。
 
朗読される詩は、福島が舞台ということで福島市出身の詩人・長田弘氏の作品がメインですが、「あれが阿多多 羅山/あの光るのが阿武隈川」で始まる光太郎の「樹下の二人」も取り上げられています。
 
ハンディのある登場人物を扱う、となるといろいろ微妙な問題を含みますが、この映画はケレン味なく描けていると思います。「音」への依存度の高い視覚障害者にとって、「朗読」というのはこういう位置づけなんだというのが新鮮でした。
 
桜などの福島の風景も美しく、おすすめです。是非、お買い求め下さい。
 
【今日は何の日・光太郎】 7月25日

明治42年(1909)の今日、上野精養軒で開かれた『スバル』談話会に出席しました。
 
留学から帰朝した光太郎の歓迎会を兼ねた集まりで、与謝野鉄幹、森鷗外らが出席しました。

朗読のイベント情報を見つけました。

第4回  柴川康子 「語りの会」003

期 日 : 2013年 6月12日(水) 14日(金)
会 場 : 江東区清澄庭園 「涼亭」
料 金 : 
各回 800円  
定 員 : 各回 20名

時間と演目
 12日(水)
  14:00~14:30 宮澤賢治 虔十公園林・雨ニモマケズほか
  15:30~16:00 宮澤賢治 林と思想ほか/高村光太郎 道程全文ほか
  18:00~18:30 加島祥造「老子・タオ」より 「荘子」より
  19:00~19:30 加島祥造 「離思」序詩ほか 画帖より
 14日(金)
  14:00~14:30 加島祥造「老子・タオ」より 「荘子」より
  15:30~16:00 加島祥造 「離思」序詩ほか 画帖より
  18:00~18:30 宮澤賢治 林と思想ほか/高村光太郎 道程全文ほか
  19:00~19:30 宮澤賢治 虔十公園林・雨ニモマケズほか
 
*演目は変更になる場合がございます。予めご了承ください。
*14:00と16:00の会は別途入園料がかかります。
(一般、中学生150円 65歳以上70円)
問い合わせは emputy@nifty.com
 
光太郎を取り上げていただけるのはありがたいことです。
 
【今日は何の日・光太郎】 6月10日

明治41年(1908)の今日、ロンドンを発ち、留学の最終目的地、パリへ向かいました。
 
昨年のこのブログにも書きましたが、従来、どんなルートでパリに渡ったか不明でした。しかし、新たに見つけた昭和17年(1942)の「海の思出」という散文によれば、イギリスのニューヘヴンからフランスのディエップに至る航路を使ったとのことでした。

今日は新潟に行ってきます。先月のブログでご紹介しました新潟市新津美術館さんのイベント「シーズン&アート第29章 「高村光太郎-安達太良山と智恵子」を聴きに行って参ります。
 
『道程』、『智恵子抄』を、元NHKアナウンサーの方が朗読し、文芸評論家の方が解説、二期会会員のソプラノ歌手さんが、ピアノ伴奏で朗読にあわせて歌曲『智恵子抄』より「あどけない話」や「レモン哀歌」などを歌うとのこと。楽しみです。
 
似たようなコンサートが今月、目黒と横浜であいついで開催されますのでご紹介します。 

柿の木坂にて

日 時・会 場  2013年6月19日(水)19:00開演 18:30開場 めぐろパーシモンホール 小ホール
出演/曲目
安田由香里 <ソプラノ>
 ハイドン:オラトリオ「天地創造」より “今や野の新緑が”
 ヘンデル:オラトリオ「セメレ」より “朝のひばりはわれと共に歌い”
 ベネディクト:みそさざい
 ピアノ:守谷温子

岩井奈美 <メゾ・ソプラノ>
 チマーラ:郷愁 ストルネッロ
 ビゼー:オペラ「カルメン」より “ハバネラ”
 サン=サ-ンス:オペラ「サムソンとデリラ」より “愛の神よ 私を助けに来ておくれ”
 團 伊玖磨:五つの断章 野辺 舟唄 あかき木の実 朝明 希望
 ピアノ:内藤典子

木村洋子 <語りと音楽>
<演目>高村光太郎:智恵子抄より
「晩餐」「夜の二人」「あなたはだんだんきれいになる」「あどけない話」「同棲同類」「千鳥と遊ぶ智恵子」「レモン哀歌」
<演奏>J.S.バッハ:フランス組曲Ⅴ ガボット G線上のアリア 平均律Ⅵ プレリュード  他
<構成・音楽・演出>藤堂叶倫
 
料 金 2,800円 (全席自由・税込)  申 込 JILAチケットセンター Tel:03-3356-4140

005

006

もう1件。 

La fontaine~雨の歌~

日 時・会 場 2013年6月22日(土) 14:00開演 13:40開場 青葉区民文化センター フィリアホール
出演/曲目
久保田華代子 <メゾ・ソプラノ>
 サン=サーンス:オペラ「サムソンとデリラ」より
  “春は目覚めて” “愛の神よ!私を助けにきておくれ” “あなたの声に私の心は開く”
 ヴェルディ:オペラ「仮面舞踏会」より “地獄の王よ、急ぎたまえ”
 ピアノ:長澤恵美子

高井洋子 <クラリネット>
 バーンスタイン:「ウェストサイド物語」より “マリア”
 バーンスタイン:クラリネットとピアノのためのソナタ
 ピアノ:冨田珠里亞

星野真貴 <ソプラノ>
 ドニゼッティ:オペラ「ドン・パスクヮーレ」より “あの目に騎士は”
 プッチーニ:オペラ「ラ・ボエーム」より “私が街をあるけば” 他
 ピアノ:天野正子

高柳なおみ <ピアノ>
 ドビュッシー:映像 第1集より 1. 水の反映 3. 動き
 ショパン:スケルツォ 第2番 変ロ長調 作品31

岩井奈美 <メゾ・ソプラノ>
 モーツァルト:静けさはほほえみ
 モーツァルト:オペラ「イドメネオ」より “私の罪ではない”
 團伊玖磨:「五つの断章」 野辺 舟歌 あかき木の実 朝明 希望
 小林秀雄:飛驒高原の早春(はる)
 ピアノ:尾崎克典

大河内由佳 <ソプラノ>
 トスティ:理想の女(ひと)
 蒔田尚昊:〈智恵子抄〉より 「あどけない話」 他
 ピアノ:井川由紀
料 金 3,500円 (全席自由・税込)  申 込 JILAチケットセンター Tel:03-3356-4140

007

この手のイベント、何もないときは何もないのに、あるときは集中してあるという感じです。今月もあちこち出かけますので、両方行くのは厳しいかな、と思っています。光太郎を取り上げていただけることがありがたいですし、心は凄く動くのですが……。
 
【今日は何の日・光太郎】 6月1日

昭和24年(1959)の今日、雑誌『婦人画報』第537号に、詩「若しも智恵子が」が掲載されました。
 
「若しも」は「もしも」と読みます。この時光太郎、数えで67歳……とは思えませんね。
 
   若しも智恵子が

 若しも智恵子が私といつしよに100
 岩手の山の源始の息吹につつまれて
 いま六月の草木の中のここに居たら、
 ゼンマイの綿帽子がもうとれて
 キセキレイが井戸に来る山の小屋で
 ことしの夏がこれから始まる
 洋洋とした季節の朝のここに居たら、
 智恵子はこの三畳敷で目をさまし、
 両手を伸して吹入るオゾンに身うちを洗ひ、
 やつぱり二十代の声をあげて
 十本一本のマツチをわらひ、
 杉の枯葉に火をつけて
 囲炉裏の 鍋 (なべ ) でうまい 茶粥 (ちゃがゆ ) を煮るでせう。
 畑の絹さやゑん豆をもぎとつてきて
 サフアイヤ色の朝の食事に興じるでせう。
 若しも智恵子がここに居たら、
 奥州南部の山の中の一軒家が
 たちまち真空管の機構となつて
 無数の強いエレクトロンを飛ばすでせう。

朗読系のDVDを入手しましたのでご紹介します。
 
昨年、テレビ東京系で約半年間、月曜から木曜の深夜に放映されていた「乃木坂浪漫」のDVDです。この番組は、アイドルグループ乃木坂46さんのメンバーが日替わりで出演、日本文学の名作の一節を朗読するというコンセプトでした。
 
光太郎作品は2回取り上げられ、5/9には斉藤優里さんの出演で「道程」、6/20には斎藤ちはるさんの出演で「智恵子抄」のサブタイトルで放映されました。いずれDVD化されて販売されるだろうと思っていましたら、先月、千葉・幕張メッセでDVDの販売イベントがあったとのこと。
 
感心すべきなのかどうなのか、出演しているメンバーの人気による売れ残りを防ぐための方策なのでしょう、内容を指定してのバラ売りではなく、全102種類を5枚ずつランダムに袋に入れて販売、という方式をとったとのこと。
 
そこで現在、ネットオークションではたくさんバラで出品されていまして、それで購入しました。光太郎を扱った2枚だけを入手できたので、ラッキーでした。
 
#23 斉藤優里 「道程」 収録作品「冬が来た」「レモン哀歌」
#47 斎藤ちはる「智恵子抄」 収録作品「あどけない話」「亡き人に」
 
イメージ 1
 
若い人たちに興味を持ってもらうためには、こういうのもありかな、と思います。
 
【今日は何の日・光太郎】4月19日

昭和25年(1950)の今日、盛岡市の川徳画廊で「智恵子切抜絵展覧会」が開幕しました。
 
この時点ではまだ「紙絵」という呼称は使われていませんでした。 

一昨日ネットに、昨日には新聞紙上で、俳優の西沢利明さんの訃報が出ました。 

俳優の西沢利明氏死去

時事通信 4月16日(火)17時47分配信
 西沢 利明氏(にしざわ・としあき=俳優)11日午前3時8分、肺がんのため東京都世田谷区の病院で死去、77歳。北海道出身。葬儀は近親者で行った。喪主は妻恭子(きょうこ)さん。
 特撮テレビドラマ「宇宙刑事ギャバン」で銀河連邦警察のコム長官役を演じたことで知られ、「ラ・マンチャの男」などの舞台や数々のドラマで活躍した。
 
西沢さん、昭和40年代にキングレコードから出た朗読のアナログレコード、「朗読日本詩歌全集」で光太郎詩12篇の朗読を担当なさいました。
 
当方、後にCDで復刻されたものを持っています。
 
イメージ 1

イメージ 3

イメージ 2
 
久しぶりに聴いてみました。きびきびと歯切れのよい朗読です。バックに流れる寺島尚彦とリズムシャンソネット+αさんの伴奏もいい感じです。
 
人は亡くなっても、このように声が残る-ある意味不思議な感じです。
 
ご冥福をお祈りいたします。
 
【今日は何の日・光太郎】4月18日

昭和57年(1982)の今日、NHK教育テレビ(現・NHKEテレ)で放映された「新日曜美術館」に、彫刻家・舟越保武が出演。「師を語る」と題して光太郎について語りました。

たまたまネットで見つけました朗読関連のイベントを2つご紹介します。まちがいなく今年のイベントです(数年前のイベントのページにたどり着き、これから開かれると書いてしまいまったことがありますので)。
 
『北海道新聞』さんのページから。函館でのイベントの記事です。 

読み語り会「花音」発足 函館の犬童さん、安沢さんら 26、28日に記念公演

 司会・ナレーション業の「オフィスK」(函館市柳町)スタッフとして活躍している犬童いづみさんと安沢智子さんが中心となり、読み語り会「花音(かおん)」が発足した。26日と28日に市民会館大会議室で創設公演を開き、小説や詩など文学作品の朗読を披露する。

 「花音」は、犬童さんと安沢さんが講師を務める道新文化センターの朗読講座の受講生29人が会員。講座で身につけた技術を生かし、施設や学校、ホームパーティーなど、さまざまな場に出向いて朗読や語りのボランティア活動に取り組むのが目標だ。

 創設公演は、会のお披露目として開催する。26日は午後6時半から7人が高村光太郎の「智恵子抄」などを、28日は午後1時半から6人が夏目漱石の「夢十夜」などを読む。

 「花音」代表に就いた犬童さんは、「朗読は、声を通して作品世界をより生き生きと伝え、リアルに感じてもらうことができる」と話し、多くの来場を呼びかけている。

 入場無料。問い合わせは犬童さん(電)090・3115・9830へ。(内田晶子)
(04/15 16:00)


もう一点、やはり北海道札幌の話し方教室、オフィス スウィングさんのページから。 

月替わりの中国茶を飲みながら、耳で味わう文学はいかがですか?昼の部には、ゲスト朗読者として安藤千鶴子さんを迎えます。夜の部の作品に一部違いがありますので、ご承知おきください。

必ずご予約のうえ、お一人で、ご友人とご一緒に、お気軽にお越しください。

★ 日時  5月14日(火) 昼の部 午後2時~4時 夜の部 午後6時40分~8時40分 

★ 主な予定作品                 朗読
1 <漢詩>杜甫「春夜喜雨」(中国語朗読)    李 強
2 (昼の部)「一切は智恵子」     安藤千鶴子
      (高村光太郎「智恵子抄」ほかより)
  (夜の部)太宰治「葉桜と魔笛」       山口 成子
3 藤沢周平「うぐいす」            五十嵐和子
4 清少納言「枕草子」日本語&中国語    李強・山口成子
   
★ 会場  中国茶専門店 楼蘭(ろうらん)
   札幌市中央区南3条西9丁目(狸小路) 
   地下鉄東西線「西11丁目駅」3番出口から徒歩5分 
★ 会費  1,000円(中国茶・菓子つき) 
★ ご予約・お問い合わせ  必ず、事前にお申し込み願います。
  オフィススウィング  電話&FAX 011-631-5016  
  楼蘭  電話&FAX  011-231-3918 (月曜日定休)

たまたまどちらも北海道でのイベントです。北海道にはそういう素地があるんでしょうか?
 
【今日は何の日・光太郎】4月17日

平成4年(1992)の今日、福島県安達町(現・二本松市)に智恵子記念館が完成、開館式が行われました。

002

画像は記念館に併設の智恵子生家です。

イベント情報です。

朗読劇「レモン哀歌」

期 日 : 2013年4月14日(日)
会 場 : めぐろパーシモンホール(小ホール) 東京都目黒区八雲1-1-1
      TEL:03-5701-2924 東急東横線・都立大学駅より徒歩7分
時 間 : 開場/19:00 開演/19:15
料 金 : 
¥2,500(全席自由/前売り・当日共)
 
出演:雨宮裕樹、金久保茉由、戸村健太郎、中村マリ、舟津大空
 
高村光太郎とその妻智恵子の生涯と、明治から昭和にかけて残された文学作品、芸術作品を題材に、有名な『智恵子妙』など詩の朗読も取り入れた作品です。

002


出演者の方のブログがこちら
 


ところで、この手のイベント情報などは気をつけないといけない、と思いました。
 
過日、薪能「智恵子抄」が開かれる旨、御紹介しましたが、地元の方からご指摘があり、見つけたインターネットサイトが数年前のものだとのこと。たしかにどこにも「2013年」と書いてありませんでした。こういうこともあるんですね。曜日が一緒だったので、すっかり今年と思ってしまいました。



【今日は何の日・光太郎】4月11日

明治36年(1903)の今日、智恵子が日本女子大学校普通予科に入学しました。

最近、光太郎がらみのCDを何枚かまとめて購入しましたので紹介します。

劇団・演劇倶楽部『座』主宰の壤晴彦氏による朗読CDです。今年発売されました。

イメージ 1
イメージ 2
 
 
朗読を味わうためのものではなく、自分で朗読に取り組もうという人の教材用、といったコンセプトです。2枚組になっており、1枚目は壤氏の朗読がノンストップで入っています。詩が16篇、短歌が6首の結構長いものです。2枚目は壤氏の朗読がワンフレーズごとに間が空き、聞いている人が附録のテキストを見てリピートするという形になっています。こういうものもあるんだな、と思いました。
 
壤氏、バリトンのとてもよい声です。また、教材用ということで、きちんとした朗読です。別に揚げ足を取ってやろうと思いながら聞いたわけではないのですが、おかしな読み方になっているところは一箇所もなく、感心しました。
 
世の中には粗製濫造のそしりをまぬがれないような朗読CDもあり、腹が立ちます。ある会社が数年前に出した朗読CDでは、上高地の徳本峠(とくごうとうげ)を平気で「とくもととうげ」と読んでいます。きちんとした人が監修していればこんなミスは防げるはずなのですが、手間や経費を惜しんでいるのでしょうか。この辺は少し前のブログに書いた書籍の誤植の件でも同じことが言えます。ドラマ仕立ての内容の、クライマックスのシーンで「高太郎!」……ぶちこわしですね。
 
そういう監修の仕事を回せ、と言いたいわけではありませんが、ミスのチェック程度でしたらノーギャラで引き受けます。お声がけ下さい。
 
さて、「反復朗読CD 高村光太郎 智恵子抄」、演劇倶楽部『座』様のサイトから購入可能です。価格は4,800円。CDではなく音声データのダウンロード、テキストもPDFファイルでのダウンロードが可能ということです。もちろん有料ですが。

ラジオ局・文化放送JOQRの過去の放送をCD化したものです。3枚組で、1,2枚目は昭和39年から平成14年までの故・森繁久彌氏の出演した放送、3枚目が昭和50年に放送された「青春劇場 日本抒情名詩集」。この3枚目に奈良岡朋子さんの朗読で光太郎の詩「樹下の二人」「あどけない話」「同棲同類」「千鳥と遊ぶ智恵子」「レモン哀歌」「荒涼たる帰宅」が収められています。こちらもいい感じの朗読です。
イメージ 3

イメージ 4
 
004
一昨年の発売で、価格は5,000円です。

それぞれ、ぜひお買い求め下さい。

「一枚物」ということで、昨日は「第二回中央協力会議要旨」を紹介しました。
 
今日の一枚物は、まずこれです。

イメージ 1
 

昭和16年(1941)10月31日、牛込の城西仏教会館で開催された「文芸講演と詩朗読の会」のプログラムです。

やはりB4判の二つ折り一枚、両面印刷です。新潟を拠点に活動し、光太郎も寄稿した雑誌『詩と詩人』を刊行していた若い詩人のグループ「詩と詩人社」主催です。講演の部のトップバッターが光太郎です。残念ながらこの時の講演の内容は今のところ見つかっていませんが、どこかからひょっこり出てくることを期待しています。
 
ついでにもう一つ。

イメージ 2

紙ではなく木の板に印刷された物で、裏に金具がついており、壁掛けのようになっています(最初からそういう形だったのかどうかは不明ですが)。大きさは縦約18.5㌢、横約14㌢。これが何なのかというと、明治39年(1906)、留学のため渡米した光太郎がバンクーバーからモントリオールまで乗ったカナディアン・パシフィック・ラインの大陸横断鉄道のものです。正確な年代がわかりませんが、おそらく光太郎もこんな感じの列車に乗ったのだと思われます。
 
とりあえず今日はこの辺で。

気がつけば8月も下旬。しかし厳しい残暑が続いています。
 
来月行われる光太郎智恵子関連イベントの情報がいくつか入っていますので、ご紹介します。 

智恵子講座’12 第4回 9月16日(日)

 以前にもご紹介しました福島・二本松の「智恵子のまち夢くらぶ」さんの主催です。会場は二本松市市民交流センター。 「芸術精神期を中心に」と題し、講師は木戸多美子さん(詩人)。
 
ちなみに9/16は敬老の日を含む3連休の中日です。ついでに周辺観光も如何でしょうか。 

今年4月に大阪で行われた朗読系の公演が東京でおこなわれます。会場は渋谷・パルコ劇場。
 
こちらも詳細は上記のリンクをご参照下さい。

001

過日のブログで、今月末には光太郎関連の新資料が続々出る旨書きました。その第一弾です。注文しておいたのが昨日届きました。朗読のCDです。 

永遠に残したい日本の詩歌大全集(5) 高村光太郎・萩原朔太郎詩集

平成24年6月20日 ポニーキャニオン 定価¥2,000
 
俳優の小林稔侍さんによる朗読です。「永遠に残したい日本の詩歌大全集」全10巻のうちの5巻目で、光太郎と萩原朔太郎の詩、それぞれ20篇余りが収録されています。ジャケット(といっていいんでしょうか、CDの場合)には取り上げられている詩の全文と、作家下重暁子氏の解説も載っています。光太郎の部のラインナップは以下の通り。
 
 1.根付の国
 2.父の顔000
 3.冬が来る
 4.冬が来た
 5.道程
 6.秋の祈
 7.クリスマスの夜
 8.落葉を浴びて立つ
 9.ぼろぼろな駝鳥
 10.秋を待つ
 11.母をおもふ
 12.当然事
 13.最低にして最高の道
 14.美しき落葉
 15.僕等
 16.樹下の二人
 17.あどけない話
 18.風にのる智恵子
 19.値ひがたき智恵子
 20.山麓の二人
 21.レモン哀歌
 22.荒涼たる帰宅
 23.裸形
 24.雪白く積めり
 25.月にぬれた手
 
小林稔侍さん独特の、やや無骨な訥々とした語り口で、聴いていて心地よいものでした。
 
小林稔侍さんといえば、平成3年(1991)11月9日にNHK総合で放映された単発のドラマ「極北の愛 智恵子と光太郎」(脚本・寺内小春)に出演、東京駒込の光太郎アトリエの隣で炭屋を営む「岩吉」という架空の人物を演じられました(アトリエの隣は実際には植木屋さんだったそうですが)。

イメージ 2
 
ドラマはその岩吉が、昭和24年、吹雪の夜に光太郎が住む花巻の山小屋を訪れるところから始まります。ちなみに光太郎役は小林薫さん。岩吉は昔からの習慣で、光太郎を「若先生」と呼びますが、光太郎ももう老齢です。「若先生」に対しての「大(おお)先生」は、故・佐藤慶さん演じる光雲です。他の主なキャストは智恵子が佐久間良子さん、田村俊子が小野みゆきさん、智恵子の最期を看取った姪の春子が喜多嶋舞さん、岩吉の奥さんが高橋ひとみさん、森鷗外に渡辺篤史さん。
 
ドラマは光太郎と岩吉、二人が昔を回想するという手法で進みます。両小林さん、いい演技をしていました。特にラスト近くの二人の会話は圧巻です。

岩 吉 すごいもんですねェ、惚れるってのは。……女にはかなわない。……人間商売やめちまう位、男に惚れることが出来るんだから……男はとてもかなわないね。

光太郎 僕は智恵子の事を詩に書いたが……どれだけ智恵子という女をわかっていたのか……。

岩 吉 あの御本は、智恵子奥様お一人だけに見せておあげになればよかったですね……。奥様はいつも若先生だけを見て生きておられたから……。

光太郎 ……。

岩 吉 お二人のことはお二人だけの心の中にそっとしまっておきたかったんじゃないですかね、奥様は。

光太郎 ……。

岩 吉 でも、あれを書いて若先生の御心が安まったことを奥様は喜んでいらっしゃいますよ、きっと。

光太郎 (呟く)智恵子に聞いてみよう。……多分もうすぐ行けるから。(微笑と咳)

岩 吉 (光太郎を見る)……。
 
ちなみにこのシーン、当方が入手した台本では「シーン121・山小屋・内」となっていますが、実際の放送を録画した映像で確認してみますと、山小屋の外で頭や肩に雪を積もらせながらの会話となっています。演出家などのスタッフの発案なのか、俳優さんの発案なのか、おもしろいところです。
 
さて、今回の朗読CD、amazonなどのオンライン販売で容易に手に入りますので、是非お求め下さい。
 
続々出る光太郎関連新資料、また届き次第ご紹介します。

朗読イベントに出かけて参りましたので、最近入手した光太郎を扱った朗読関連の物を紹介しましょう。 

片山ユキヲ 平成23年(2011)4月4日 小学館 定価562円+税

イメージ 1
 
小学館の『月刊!スピリッツ』に連載されていたコミックス(漫画)です。この5月から掲載誌が週刊の『ビッグコミックスピリッツ』に移行しました。作画は片山ユキヲ氏。
 
ここ数年、いろいろな分野(それも一般にはなじみの薄い意外な分野)が漫画のモチーフとなり、成功を収めている例が目立ちます。クラシック音楽、百人一首や書道など。この「花もて語れ」は朗読をモチーフにした漫画で、引っ込み思案なダメOLと、引きこもりの経験を持つ社長令嬢が、朗読を通して成長していくというストーリーです。日本朗読館主宰の東百道氏が監修しています。
 
現在、4巻まで発行されていますが、そのうち2巻目に、光太郎の「ぼろぼろな駝鳥」の朗読が扱われています。他には宮澤賢治「やまなし」「春と修羅」、斎藤隆介「花咲き山」など。
 
漫画家とよ田みのる氏による推薦文です。

想いは届く! なんて愛おしい漫画でしょうか。朗読で人が救われるお話です。フィクションだと思いますか。いえいえ現実だってそんなことは起こるんです。漫画も朗読も同じ様に、精一杯思いを込め、あなたに届けと願います。そしてそれが届いた時、ちょっとだけ心が広くなりお互いが救われるのです。そんな奇跡を描いたキラキラと輝くような本当に大切な物語です。この作品に込められた想いがあなたに届きますように!
 
ぜひ読んでみて下さい!

さて、昨日の仙台のレポートです。
 
ピアニスト齋藤卓子(つなこ)さんと、朗読の荒井真澄さんによるコラボ「ピアノ演奏と朗読で綴る愛の世界 シューマンと智恵子抄 Part2.高村智恵子誕生の日に」。素晴らしいものでした。
 
会場は太白区長町というところにある「びすた~り」さんという、古民家を改装したレストラン。

イメージ 1 イメージ 3
 
最近、特に地方都市では古民家を使ったおしゃれなレストランやカフェの類はよく見かけますね(当方の暮らす千葉県香取市にもこの手の店はたくさんできました。落ち着いた雰囲気が非常に好ましいと思います)。びすた~りさんは、この種の店としてはかなり広いし天井も高く、音楽系のイベントにはうってつけだと思いました。聴衆は約50人、けっこうゆったりと座れました。階段箪笥や巨大な神棚など、お約束ともいえる調度品もいい感じです。「一関恵美墨画展 メトロポオル~墨色の智恵子抄」も同時開催ということで、店内そこかしこに大きな水墨画が飾られています。これがまた場の雰囲気に非常にマッチしていました。

イメージ 2
 
驚いたのは、ピアノ。何と、日本ではあまり見かけないベヒシュタイン(ドイツのメーカー)です。クリアーな音色には定評があります。
 
と、思ったら後ほど齋藤様からメールを頂きました。「ベヒシュタイン」ではなく「ベーゼンドルファー」だそうです。失礼いたしました(5/25追記)。
 
さて、いよいよ開演。パンフレットには詩だけが書かれていたのですが、まずは昭和15年の『婦人公論』に発表され、後、詩集『智恵子抄』にも収められた散文「智恵子の半生」から始まりました。「智恵子の半生」は途中の要所要所に挟み込まれ、それによって一般の方には非常に分かりやすかったのではないでしょうか。
 
詩自体は『智恵子抄』『智恵子抄その後』から計16篇。すべてが口語自由詩ですが、非常に心地よいリズム感があり、やはり光太郎の詩は朗読にも向いていると感じました。もちろんそれを巧みに表現できる荒井さんの力量があってこそです。以前から指摘されていることですが、例えば「樹下の二人」のリフレイン「あれが阿多多羅山/あの光るのが阿武隈川」という短いフレーズも、「たたらやまのひるのぶくまがわ」という「あ」そのものや母音の「A」の多用、光太郎ははっきり意識しているはずです。
 
それにしても荒井さんの朗読は素晴らしい。光太郎視点の時にはやや低めの声で重厚に、もちろん詩の内容によっては軽快に、明朗に。智恵子視点の「-わたしもうぢき駄目になる」あたりは半オクターブ上げ、パンフレットのプロフィール欄の「声優として身につけた10種類以上の声で、物語をカラフルに描き出す」というのも羊頭狗肉ではないなと思いました。
 
齋藤さんのシューマンも凄いと思いました。『智恵子抄』の世界はフランス系、特にラヴェルあたりに乗せて演じられることが多いのですが(シャンソン歌手・モンデンモモさん、やはり仙台で活動されているメゾソプラノ・後藤優子さんと伴奏の菅野静香さん、そういえば福島の智恵子記念館でも)、シューマンも『智恵子抄』の世界にマッチしていました。今回のシューマンと『智恵子抄』のコラボというのは齋藤さんの発案だそうです。そういえば、テノール歌手の永田峰雄さんのCDでは、「高村光太郎とハイネ-音楽が語るふたつの詩人の恋」と銘打ち、別宮貞雄さん作曲の歌曲集「智恵子抄」とハイネ作詞・シューマン作曲の「詩人の恋」のカップリングがなされていたのを思い出しました。それはそうと、齋藤さんのピアノ、何が凄いと言えば絶妙のバランス感覚ですね。メインの朗読をかき消さず、しかししっかりと自己主張もし、まぁ、それができるのがピアノ(というかピアノフォルテ)の強みなのですが、PA(ミキシング)に頼らず、自分の耳でそれをやるというのは大変です。
 
というわけで、非常に心地よく過ごさせていただいた約1時間でした。
 
終了後、お二人とさらに墨画の一関さんともお話をさせていただきました。美女3人に囲まれて至福の時でした(笑)。

イメージ 4

左が齋藤さん、右が一関さんです(荒井さんはMC中)。
 
その流れで自分もマイクを持たされまして、連翹忌の宣伝をさせていただきました。
 
これまでも朗読で『智恵子抄』が扱われた例はたくさんあります。今回のようなライヴ形式のイベントもありましたし、CD、DVD、古くはアナログレコードやカセットテープなどで錚々たる俳優さんや声優さんなどが取り組まれています。しかし、こういうと何ですが、皆さん、その時限りみたいな部分があり、少し残念に思っています。最も、俳優の加藤剛さんは、35年前の旧フィリップスレコードから出された『智恵子抄』朗読のレコードが自分の一つの転換点で思い出深いというようなことをおっしゃっていた記事が、昨年の朝日新聞福島版に掲載されましたが。
 
荒井さん、齋藤さん、もちろん一関さんも、今後とも光太郎・智恵子の世界を表現することを続けていっていただきたいものです。

今日、5月20日は光太郎の妻、智恵子の誕生日です。

智恵子の故郷、福島二本松では智恵子のまち夢くらぶ主催のイベントがありますが、当方、福島は通り過ぎ、仙台へ向います。元アナウンサーの荒井真澄さんと、ピアニスト齋藤卓子さんによる朗読イベント「ピアノ演奏と朗読で綴る愛の世界ーシューマンと智恵子抄Part2.高村智恵子誕生の日に」を聴きに。

000

詳細は帰ってからご報告致します。


近々行われる高村光太郎・智恵子関連のイベントをご紹介します。 

高村祭

2012年5月15日(火) 10:00~14:30頃 

岩手花巻の、光太郎が昭和20年から丸7年を過ごした小屋、「高村山荘」で行われます。
 
今年は盛岡大学・同短期大学部学長、国際啄木学会会長の望月善次氏の特別講演があるそうです。その他、地元の児童生徒による詩の朗読、器楽演奏、コーラスなどが予定されています。参加は無料です。
 

20日は智恵子の誕生日ということで、以下のイベントがあります。 

智恵子講座’12 第2回「智恵子ゆかりの地を歩く」智恵子生誕祭「好きです智恵子青空ウォーク」

2012年5月20日(日) 9:30~

福島二本松の旧安達地区で活動している智恵子のまち夢くらぶさんの主催です。全7回のうちの2回目で、希望する会だけの参加も可能とのことです(参加費1,000円)。

申込先は智恵子のまち夢くらぶの熊谷さん。tel/fax0243-23-6743。1週間前ですから5/13まで申し込み受付中のようです。 

2012年5月20日(日) 15:00~

仙台の長町遊楽庵びすたーりというところで行われる公演です。

斎藤卓子さんのピアノにのせ、荒井真澄さんの「智恵子抄」朗読。平成21年(2009)年、そして今年の1月にも同様の公演があり、荒井さんのライフワークのようなものでしょうか。料金はケーキセット付きで3,800円。連絡先はびすた~り 022-352-7651 アクテデュース 022-265-5350。
 
同じ会場で、一関恵美さんの墨画展「メトロポオル~墨色の智恵子抄~も開催されています(こちらは6/17まで)。

000
 
当方、①および③に行って参ります。のちほどご報告を致します。

↑このページのトップヘ