カテゴリ:音楽/演劇等 > 朗読

昨日は、都内汐留で、朗読系イベント「2016年 フルムーン朗読サロン IN 汐留」を拝聴して参りました。

イメージ 5

会場は汐留ベヒシュタイン・サロンさん。ドイツのピアノ製造会社のブランド「ベヒシュタイン」の輸入代理店が持っている施設で、販売の他、小ホールが併設されていて、各種コンサートなどに使われています。

汐留地域、久しぶりに歩きましたが、欧州のような街並みに変貌していて驚きました(イタリア街というそうです)。右は帰りがけです。

イメージ 1  イメージ 2

こちらが会場です。

イメージ 3  イメージ 4

右は展示されていたベヒシュタイン。450万だそうです。この他にもチェンバロまであって驚きました。

さて、「フルムーン朗読サロン IN 汐留」。

イメージ 6

イメージ 7

第1部で、詩人にして文芸同人誌『青い花』同人の宮尾壽里子さん作の「智恵子さん」がありました。宮尾さんはじめ、6名の女性による朗読劇でした。

冒頭、フルコンサートのグランドピアノ(もちろんベヒシュタイン)による、カッチーニ「アヴェ・マリア」にのせ、光太郎詩「あどけない話」「レモン哀歌」の朗読に始まり、その後は光太郎評論「緑色の太陽」、確認されている智恵子唯一の詩「無題録」、智恵子書簡などの朗読を織り交ぜつつ、光太郎智恵子の生の軌跡が語られます。

終末近く、「智恵子抄」所収のさまざまな詩から、一部分ずつを取り上げてのコラージュ。光太郎ファンにはたまりません(笑)。最後は短歌「光太郎智恵子はたぐひなき夢をきづきてむかし此所に住みにき」(昭和13年=1938頃)で締めくくり。ドラマチックでした。

その後は、群読あり、自作詩の朗読あり、創作舞踊やハーモニカ、もちろんピアノ演奏、会場を巻き込んでの歌なども織り交ぜ、多彩なプログラムでした。

イメージ 8

今後も皆様のご活躍を祈念いたします。


【折々の歌と句・光太郎】

冬ごもりみぞれ吹き入るふる壁の眼なし達磨ををかしと見る日

明治35年(1902) 光太郎20歳

正月に片目だけ入れて購入しただるまが、まだそのままという景。「あるある」という感じです。

気がつけば今年もあと半月。都内は店々の飾り付け等、クリスマス一色でした。いよいよ冬本番でもあります。

朗読系のイベントです。文芸同人誌『青い花』同人で、詩人の宮尾壽里子様からご案内を頂きました。 

2016年 フルムーン朗読サロン IN 汐留

期  日 : 2016年12月14日(水)
時  間 : 開場14:15  開演14:30  終演17:15
場  所 : 汐留ベヒシュタイン・サロン 東京都港区東新橋2-18-2グラディート汐留1F
料  金 : 無料(お気持ち)

イメージ 1

イメージ 2


第1部で、宮尾様によるオリジナル作品「智恵子さん」の朗読があります。宮尾様、『青い花』に智恵子に関するエッセイや、連翹忌のレポートなどを執筆なさっています。

また、12月14日といえば、赤穂浪士の吉良邸討ち入りの日(旧暦ですが)、というわけで橋田壽賀子さんの「女たちの忠臣蔵」からの朗読もあるそうです。汐留ですから浅野公の墓所にして浪士たちが吉良上野介の首級を運んだ泉岳寺も近くといえば近くですね。

その他、朗読だけでなくピアノありハーモニカあり、創作舞踊も交えての、なかなか趣向を凝らしたイベントのようです。

ぜひ足をお運びください。当方も参ります。


【折々の歌と句・光太郎】

人間のことをば汝わすれよといふにあらねど山の風ふく
大正13年(1924) 光太郎44歳

師走となり、凩を肌で感じるようになって参りました。

期 日 : 2016年11月20日(日)
時 間 : 午後1時30分から
会 場 : 福島県男女共生センター 二本松市郭内一丁目196-1
講 師 : 宮川菊佳氏 (ギタリスト)
参加費 : 1,000円
問い合わせ/申し込み : 智恵子のまち夢くらぶ ☎0243(23)6743

主催は「智恵子のまち夢くらぶ」さん。当方も何度か講師を仰せつかりました。昨年からの通しで「高村智恵子に影響を与えた人々」がテーマ。昨年、第4回までが行われ、今年は第5回からのカウントで、そちらは先月10日、喜多方市美術館館長の後藤學氏による「セザンヌと後期印象派」として行われました。

第6回の講師はギタリスト・宮川菊佳氏。毎年、宮城女川で開催されている「女川光太郎祭」で演奏されています。一昨年には、やはり二本松で開催された「第10回智恵子生誕祭 朗読とギターで綴る智恵子と光太郎の道程」で、朗読とのコラボをされました。そうしたご縁での講師起用のようです。


二本松がらみでもう1件。市の広報誌『広報にほんまつ』今月号に、現在開催中の「福島現代美術ビエンナーレ 2016 - 氣 indication -」、「第62回菊の祭典 二本松の菊人形」の記事が掲載されました。

イメージ 1

ビエンナーレは11/6(日)、菊人形は11/23007(水・祝)までの開催です。

ビエンナーレでは智恵子生家にて、小松美羽さんの墨絵作品が展示中、菊人形では光太郎智恵子の人形が並んでいます。


ぜひ足をお運びください。


【折々の歌と句・光太郎】

腹へるはきよらかにして好ましと我がかたりつつ友の飯くふ

大正13年(1924) 光太郎42歳

光太郎、決してストイックというわけではなく、むしろ「食」へのこだわりは晩年まで持ちつづけていました。

といっても、美食三昧というわけではありませんでしたが。

注文しておいたCDが届きました。  

<声を便りに>オーディオブック 「智恵子抄(抄) 高村光太郎 - 十七編抜粋-」

2016年10月20日 響林社 wis朗読 定価1,620円

イメージ 1

イメージ 2

【解説】
『智恵子抄』は高村光太郎にとって、『道程』に続く2冊目の詩集にあたる。妻の智恵子と結婚する以前(1911年)から彼女の死後(1941年)までの30年間にわたって書かれた、彼女に関する詩29篇、短歌6首、3篇の散文が収録されている。本CDでは、以下の17篇を収録。

人に(いやなんです) 深夜の雪  人に(遊びぢやない)  人類の泉   僕等
樹下の二人  夜の二人 あなたはだんだんきれいになる   あどけない話
風にのる智恵子   千鳥と遊ぶ智恵子  
値ひがたき智恵子  山麓の二人  
レモン哀歌  亡き人に  荒涼たる帰宅  裸形

【収録時間】 計38分

 【朗読】
wis 女性朗読家。 i'Tunes storeのPodcast部門やオーディオブック部門の文学関係で幅広いリスナーの支持を得、すでに50を超える朗読作品を世に送り出している。また、個人ホームページ「  【朗読】声を便りに、声を頼りに――。」では、文学のジャンルを問わず、200を超える短編、長編作品を朗読。朗読に親しみを持ってもらえるようにと、いつでも無料で聴けるよう開放している。現在、「オーディオブックCD(朗読CD)」が響林社より好評発売中。


早速聴いてみました。透明感のある柔らかな、しかし、しっかりと芯のある声で、光太郎智恵子の世界が表現されていました。

光太郎詩は力強い男性的なイメージがありますが、女性でも朗読に取り組まれる方は多く、視点はあくまで光太郎という男性ですが、女性の声でも決して違和感はありません。

wisさんは、紹介文にもあるとおり、ネットで朗読を公開なさっています。このCDに収められている朗読も、既に平成20年(2008)にアップされていました。CD化されたことで、また異なる環境での聴取が可能となりました。

ぜひお買い求め下さい。


【折々の歌と句・光太郎】

水ばかりのみてこの日は過ぎたりとうまき支那めしをくひつつわが思ふ

大正13年(1924) 光太郎42歳

3日前、草野心平関係の調べ物で行った千葉県立中央図書館さんの前にある中華料理店で昼食を摂りました。

イメージ 3

当方、幼い頃から炒飯が好物でして、一人で外食する際には時々頼みます。さらに餃子も。

食べながら上記短歌を思い起こしました。

詩の関係で2件。

まずは神奈川県鎌倉市から。 

回想 高村光太郎 尾崎喜八 詩と友情 その五 鎌倉における光太郎と喜八

期 日 : 2016年10月2日(日)~11月1日(火)
場 所 : 笛ギャラリー 神奈川県鎌倉市山ノ内215 0467-22-4484
時 間 : 10:00~16:00
休業日 : 毎週月・水・木 10/15(土) 10/30(日)

イメージ 1


北鎌倉の明月院さん近くにあるカフェ兼ギャラリー、店内でコンサートも行う笛ギャラリーさん。店主の山端夫妻は、光太郎の親族です(先々代の奥様が光太郎の妹)。また、近くに光太郎と縁の深かった詩人の尾崎喜八の自宅があり、そちらとも交流がありました。

そういうわけで、毎年この時期に、山端家、尾崎家などに遺された資料を使っての「回想 高村光太郎 尾崎喜八 詩と友情」という展示をなさっています。一昨年昨年とお邪魔しまして、興味深く拝見して参りました。今年で五回目。うっかりしており、既に始まってしまっていました。

観覧料金としては無料。ただ、カフェですので珈琲の一杯でも、というところです。

明日、上京する予定がありますので、ついでと言っては何ですが、鎌倉まで足を伸ばそうと考えております。レポートは明後日に掲載します。


もう1件、静岡から市民講座の情報です。

南部地区構造改善センター成人講座「詩のこころを読む」

期 日 : 2016年10月25日 11月1日 15日 12月6日 20日
      2017年1月17日 31日 2月7日 21日 3月7日
       (すべて火曜日)
場 所 : 湖西市南部地区構造改善センター 静岡県湖西市白須賀5128
時 間 : 13:30~15:30
料 金 : 受講料2,000円 教材費300円
問 合 : 社会教育課 053-576-4793 FAX/053-576-1237
        E-mail/
skyoiku@city.kosai.shizuoka.jp

講師は地元ご在住の矢田部駿一氏。元教員で、こうした講座等で朗読などのご指導に当たられているそうです。今回、光太郎の詩も取り上げて下さるということで、ありがたいかぎりです。

イメージ 2


さまざまな活動を通し、連綿と光太郎の名が伝えられていくことを願ってやみません。


【折々の歌と句・光太郎】

己が寂しき性をてらせよ後の月     大正9年(1920) 光太郎38歳

「後の月」は十三夜の月。ちょうど今日が旧暦9月13日、十三夜です。ただ、関東は曇り、ことによると雨。残念ながら月は見えそうにありません。

たびたびこのブログにご登場のテルミン奏者・大西ようこさんからの演奏会情報です。

大西さんに関してはこちら。

時  間 : 17時半~
会  場 : CHEEPA'S CAFE 中央区銀座7-12-15 MYS銀座2階
料  金 : 予約 4,000円 当日 4,500円
出  演 : 演奏 ぷらイム(大西ようこ[テルミン] 三谷郁夫[ギター&歌])
       朗読 清水マリ[声優]
プログラム :
  わたしが一番きれいだったとき(茨木のり子)
  死んだ男の残したものは(詩/谷川俊太郎、曲/武満徹)
  星の王子さま(サン=テグジュペリ)
  智惠子抄より(高村光太郎)
  戦火の中の子どもたち(岩崎ちひろ) 他


銀座のチーパズカフェで、再び、ぷらイムの演奏会が決定しました!!!
今回のゲストは、初代アトムの声、清水マリさんです☆
限定30席。お申し込みはお早めにお願いいたします。
懐かしいおもちゃやフィギュアに囲まれての演奏会、お楽しみに!

アトムは新座市に住んでいるので(手塚さんのスタジオがある)、新座市の市民は、市役所に行くとアトムの特別住民票をいただけます。当日は、アトムと(つまりマリさんと)ジャンケン大会があって、ジャンケンで最後まで勝てた人は、マリさんのサインつきアトムの特別住民票がもらえます^^


イメージ 1

イメージ 2


大西さんは埼玉県新座市ご在住。手塚プロダクションのアニメーション制作スタジオが新座にあるということもあり、今回の企画が実現したそうです。

ぜひ足をお運びください。

10/2(日)に二本松で開催される智恵子を偲ぶ「レモン忌」でも、大西さんがご出演。そちらはまた後ほどご紹介します。


【折々の歌と句・光太郎】

四つ起きや駕籠してまゐる歌舞伎見の白粉ぬらし秋の雨ふる
明治38年(1905) 光太郎23歳

「四つ」は「朝四つ」。秋分の頃は午前9時過ぎにあたります。「白粉」は「おしろい」。いつの時代もスターの追っかけがいたということですね。

朗読系のイベントを二つご紹介します。いずれも「智恵子抄」を取り上げて下さいます。

まずは福島市から。 

アナウンサーたちが言葉で綴る物語の世界 第20回定期朗読ステージ 季節はめぐり…そして今~朗読集団「原 國雄とその仲間たち」~

期  日 : 2016年9月11日(日)
会  場 : 福島市子どもの夢を育む施設 こむこむ館  福島県福島市早稲町1番1号
時  間 : 午後1時30分から午後3時30分まで
料  金 : 無料
出  演 : 朗読集団「原 國雄とその仲間たち」 他

智恵子抄・藤沢周平作品などの朗読や、朗読ワンポイント講座を開催します。
元FTVアナウンサーによる美しい語りをお楽しみください!

イメージ 1


続いて茨城から。 

 

おとばな結成3rd記念コンサート フルートとギターと語りのコンサート『おとばなノスタルジア館』

期  日 : 2016年9月16日(金)
会  場 : 茶房かやの木  茨城県守谷市高野1440
時  間 : 午前の回10:30~※満席   午後の回14:00~
料  金 : ¥3000(お茶お菓子付き)
出  演 : 音とお話のユニット『おとばな』
                            フルート 宇高杏那  クラシックギター 宇高靖人  語り 和久田み晴

3年前のこの日、3人が初めてまるごと一つのコンサートを作りました。あれから3年。「おとばな」が生まれた茶房かやの木で、3周年の記念コンサート! 不思議な蔵から、懐かしい音と声が溢れ出す…ドキドキ、わくわく、はらはら、しっとり、色とりどりの音と声を、皆様の耳と目でお楽しみください!

「ボッコちゃん」星新一/「Don't dream」岸本佐知子/「わが名はピーコ」犬丸りん/「レモン哀歌」高村光太郎/「モチモチの木」斉藤隆介

イメージ 2

余談ですが、メンバーのうち、クラシックギターの宇高靖人さんは、「いちむじん」というやはりクラシックギターのデュオのメンバーでもあり、当方、たまたまCDを持っています。「あれま」という感じでした。


「智恵子抄」に限らず、光太郎の作品(散文なども含めて)、意外と朗読に向いています。光太郎本人は「内在律」という語を使いましたが、別に七五調などになっていなくとも、自然な言葉そのものの中にあるリズム感が、無意識のうちに均衡を保って表されています。だから黙読していても読みやすく、声に出して読めば一層その点に気付かされます。

朗読系の活動をされている皆さん、どんどん光太郎作品を取り上げていただきたいものです。


【折々の歌と句・光太郎】

わが友はめでたき秋の季節をば持ちて来しかな佐渡の国より
大正9年(1920) 光太郎38歳

与謝野鉄幹の新詩社同人で、光太郎に木彫「蝉」や、油絵「渡辺湖畔の娘道子像」などの制作を依頼した、佐渡島在住だった渡辺湖畔に贈った短歌です。

この年、湖畔の歌集『若き日の祈祷』が、光太郎の装幀・装画で刊行されています。

イメージ 3

8月9日(火)に行われた、第25回女川光太郎祭について、レポートいたします。

当日の朝9時頃までは台風による暴風雨でしたが、その後は台風一過の晴天となりました。会場は女川フューチャーセンターCamassさん。女川駅前に新たに作られた施設です。一部は宿泊したエルファロさん同様、可動式のトレーラーハウスです。

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 11

震災前の女川光太郎祭は、昭和6年(1931)に来訪した光太郎を顕彰するため、平成3年(1991)に建てられた巨大な文学碑の前で行われていました。

その碑は震災の津波で倒壊、碑の建設やその後の光太郎祭の運営に奔走されていた女川光太郎の会の貝(佐々木)廣氏も、命を落とされました。

女川光太郎祭は、震災の年には小学校、翌年には仮設住宅の集会所と会場を移し、3年前から3年間、仮説商店街である「きぼうのかね商店街」で行われました。それが今年は駅前の女川フューチャーセンターCamassさん。理由を聞くと、少しでも元の碑に近い場所で、ということでした。なるほど、駅前のプロムナードをまっすぐ海に向かって下っていけば、碑のあった海岸緑地公園です。
005

現在は一帯が工事中で、昨年まで見に行くことの出来た倒れた碑も見られません。ただ、いずれ震災前と同様、公園になる予定だそうで、その際にはまた碑が建てられるようです。

海側からみるとこうです。船の蔭あたりに碑があるはず。

イメージ 7

近くにある横倒しになった元の交番の建物は、震災遺構として保存されるとのこと。

イメージ 8

イメージ 9

朝から会場入りし、会場設営のお手伝いをしました。昨年と一昨年は、屋外にテントを張っての実施でしたので、それに比べれば今年は楽なものでした。

昼過ぎの列車で、東京から当会顧問・北川太一先生ご一行がご到着なさるというので、駅にお出迎え。待っている間に撮影した画像です。

イメージ 10

ドキュメンタリー映画「サンマとカタール」のポスターも貼ってありました。
008 006
女川駅には温泉入浴施設「ゆぽっぽ」、さらに無料の足湯も設置されています。
イメージ 14

イメージ 15

駅裏の方には、民家も建ち始めていました。

イメージ 16

そうこうしているうちに、北川太一先生ご一行がご到着。

イメージ 17

イメージ 18

晩年の光太郎に親炙された北川先生は、碑文の一部を揮毫されるなど碑の建立にひとかたならずご協力され、かつての光太郎祭の記念講演も行われていました。現在は当方が引き継いでおります。

ご一行は、さらに光太郎の実弟にして鋳金の人間国宝だった故・高村豊周令孫である写真家の高村達氏、北川先生の奥様・節子先生と令息・光彦氏、北川先生が高校教諭だった頃の教え子の皆さん。いずれも東京からで、遠路、ありがたいことです。特に北川先生は御年91歳。しかしまだまだお元気です。

さて、時間となり、開会。

まずは黙祷に始まり当方の講演。4年前からの連続講演で、戦後、光太郎が自らの来し方を振り返って20篇の詩にまとめた連作詩「暗愚小伝」を繙きながら、光太郎の人となりを語る、その4回目。明治42年(1909)の海外留学からの帰国後、父・光雲を頂点とする旧態依然の日本彫刻界と訣別し、放蕩生活を続けながらも人間として苦しみ、やがて奇跡のように智恵子と出会うまでをお話しさせていただきました。

前々日の安曇野碌山美術館さんでの講演は時間配分を誤りましたが、今回はその反省を活かし、ぴったり時間に収めました。

女川町長・須田善明氏、女川光太郎の会会長・須田勘太郎氏のご挨拶。

イメージ 19

イメージ 20

その後、光太郎遺影や健在だった頃の文学碑の写真に献花。

イメージ 21

計12名の方による、光太郎詩文の朗読。小学生の男の子や、遠方からの方も朗読して下さいました。

イメージ 22

イメージ 23

イメージ 24

連翹忌にご参加下さっている、詩人の曽我貢誠氏が初めてのご参加。朗読も。氏は光太郎祭にいたく感激なされ、来年以降のご来訪も約されていました。

イメージ 25

北川先生の談話。前日に放映された天皇陛下のお言葉にも触れ、感極まって嗚咽されながらのお話となりました。予科練の少年たちを率いてのおん自らの軍隊生活、ある意味、時代に翻弄されながらも最終的には己の道を貫き通した光太郎への思いなどが、その涙に結晶したのでしょう。

イメージ 26

イメージ 27

高村達氏のご挨拶、アトラクションとして、ギタリスト宮川菊由氏のギター演奏(朗読のBGMから)、オペラ歌手・本宮寛子さんの歌。花を添えて下さいました。

イメージ 28    イメージ 29

最後に、故・貝(佐々木)廣氏の奥様、佐々木英子さんのご挨拶。

イメージ 30

さらに閉会後、昨年暮れにオープンした駅前商店街の一角にある「金華楼」さんにて懇親会。

イメージ 31

イメージ 32

イメージ 33

途中、喫煙のため店外に出たところ、美しい夕焼けが見えました。

イメージ 34

再会を約して、お開きとなりました。


地元紙・『石巻かほく』さんで報道されています。 

高村光太郎の生涯に思い 女川で「祭」 詩の背景、考察

 女川町を訪れた彫刻家で詩人の高村光太郎(1883~1956年)をしのぶ、第25回「光太郎祭」(女川・光太郎の会主催)が9日、女川町の女川フューチャーセンター・カマスで開かれた。
 町民ら約45人が参加し、光太郎が歩んだ生涯に思いをはせた。献花や、碑文などの朗読もあった。
 高村光太郎連翹忌(れんぎょうき)運営員会代表の小山弘明さんが「高村光太郎、その生の軌跡-連作詩『暗愚小伝』をめぐって」の題で講演。光太郎の生涯や詩について説明した。
 小山さんによると、光太郎が書いた詩「親不孝」は、パリなどへの留学を終え帰国した光太郎が将来を悩む心中を記した作品。「自分が目指すのはオーギュスト・ロダンのような芸術家だ」と考え、「自分の決めた道を歩むことは、親の期待を裏切ることになる」と、父親で彫刻家の光雲が用意した道を進まないことに対しての「親不孝」だと解説した。
 91年に女川のことを書いた紀行文や詩の文学碑が町内に建立され、翌92年から、光太郎が三陸地方を巡る旅に出発した1931年8月9日にちなみ、光太郎祭を開いている。
010

あくまで前座である当方の講演を大きく取り上げて下さって、恐縮です。

というわけで、第25回女川光太郎祭、つつがなく終了。来年以降も、続けられる限り、永続的に行われて欲しいものです。


【折々の歌と句・光太郎】

黒潮は親潮をうつ親しほは狭霧を立てて船にせまれり
昭和6年(1931) 光太郎49歳

月曜日にご紹介した三陸沖での作の異稿です。詩「霧の中の決意」に添えられました。

昨日は、日帰りで花巻に行っておりました。

光太郎が戦後の七年間を過ごした旧太田村に建つ花巻高村光太郎記念館で、現在、企画展「智恵子の紙絵」が開催されています。その関連行事、というわけではないのですが、話がとんとん拍子に進み、テルミン奏者の大西ようこさんと朗読家の荒井真澄さんのコラボによるコンサートが実現しました。

イメージ 4

イメージ 5

イメージ 6

テルミン奏者の大西さん。一昨年に「もう一つの智恵子抄」「otoyoMuseum 四ノ館『智恵子抄』」というコンサートを開かれ、それがご縁で昨年の連翹忌でも演奏をしていただきました。

朗読家の荒井さんも「無伴奏ヴァイオリンと朗読 智恵子抄」、「シューマンと智恵子抄」などで、光太郎作品を手がけられています。今年の連翹忌で、大西さんと意気投合されたとのこと。

同館にはそうした催しを行うためのホール的なスペースはなく、スタッフの皆さんも、アドバイザーを務める当方も、これまでこうした催しは考えても居ませんでしたが、大西さんが同館を訪れることになる → どうせなら演奏 → それなら荒井さんも巻き込む → 場所はないが、何とかする、という流れで、手前の展示室1(光太郎の彫刻作品が並んでいます)が比較的広いので、そこでやってしまえ、ということになりました。

というわけで、本番は光太郎彫刻に囲まれての演奏・朗読となりました。

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

これまで様々な機会に光太郎智恵子がらみのコンサート等に足を運んで参りましたが、光太郎彫刻に囲まれてのそれは記憶にありません。

リハーサル風景。

イメージ 7

イメージ 8

イメージ 9

さて、本番。お客様の入りはどうだろうと心配でしたが、何やかやで50名くらいの皆さんが集まって下さいまして、一安心。

仕掛人の一人、花巻高村光太郎記念会理事にして、生前の光太郎をよくご存じの浅沼隆氏が司会。

イメージ 10

当方も、一言、ご挨拶申し上げました。

最初は大西さんのソロ。カッチーニの「アヴェ・マリア」など。

イメージ 11

テルミンを見るのも聴くのも初めて、という方がほとんどで、興味深く聴かれていたようです。

途中から荒井さんが合流、大西さんの演奏をバックに『智恵子抄その後』の中から、当地に関わる詩篇と散文を朗読されました。

イメージ 12

イメージ 14

急に決まった企画でしたので、お二人での合わせは当日まで行われず、ある意味、ぶっつけ本番だったそうですが、どうしてどうして、ぴったり息のあったコラボレーションでした。

最後は荒井さんのリードで、会場の皆さんと共に2代目コロムビア・ローズさんの「智恵子抄」を歌いました。智恵子の故郷・二本松の皆さんはどなたもご存じの歌ですが、花巻ではどうかと思っていました。しかし、意外とご存じの方が多かったようでした。

イメージ 13

盛会のうちに終わりました。

終演後は、皆さんと光太郎が実際に暮らした山小屋(高村山荘)付近を散策したり、記念館の展示を拝見したりしました。

役得で、普段非公開の山荘内部にも入れていただきました。

イメージ 15  イメージ 16

イメージ 17

というわけで、充実の1日でした。


光太郎記念館も、こうしたコンサートなどの新たな活用法の方向性が見え、大きな収穫でした。ただ、どなたにでも会場を開放し、場を提供するというわけにも行かないかとは存じます。今日のこのブログ、題名が「ロビーコンサート」ですが、結局はロビーではなく「展示室コンサート」ですので、そうそういつもいつもこうした場合に対応できません。また、ぜんぜんご存じない方に場を提供し、いざ公演となったらとんでもない内容だった、などということも無きにしもあらずですし……。

今後、こうした活用法も含めて、館のスタッフの方々と詰めて行きたいと思います。


【折々の歌と句・光太郎】

生きの身のきたなきところどこにもなく乾きてかろきこの油蝉
大正13年(1924) 光太郎42歳

昨日は東北でも梅雨明けが宣言されました。高村山荘周辺では、まだ今一つ蝉の声は聴けませんでしたが、地面には幼虫が羽化のため出て来たのであろう穴が目立ちました。

光太郎詩の朗読による公演、イベント等の情報です。

まずは公演の方、福井県鯖江市で。 
期  日 : 2016年7月17日(日)
時  間 : 開場 13:30  開演 14:00
会  場 : 鯖江市文化の館鯖江市図書館2F 多目的ホール) 鯖江市水落町2丁目25番28号
料  金 : 500円
出  演 : 朗読・森本宏子 オカリナ・山本幸聖 ピアノ・森本菜桜子
                       
作曲・沢崎蒼太郎 画・西條由紀夫
申  込 : 090-5178-2221(森本)

イメージ 1


続いて、智恵子の故郷・二本松から一般参加のイベント情報です。 

高村智恵子生誕130年 高村光太郎没後60年記念事業 「智恵子抄」朗読会

期 日 : 2016年7月17日(日)
時 間 : 午前10時〜 (9時20分に奥岳登山口ロープウェイ乗り場前集合)
会 場 : 安達太良山薬師岳
参加費 : 4,000円(ロープウェイ代、入浴料、昼食代込み)
定 員 : 30名
申 込 : 智恵子のまち夢くらぶ(熊谷) ☎0243(23)6743

ほんとの空がある安達太良山薬師岳で、詩集『智恵子抄』の中から一人一作品を朗読します。
智恵子と光太郎の記念の年にふさわしい素敵な朗読会へぜひ参加してください。
終了後は温泉にゆったりと入浴し、その後みんなで昼食会を行います。

イメージ 2


さらにもう1件、朗読つながりで、彫刻家光太郎最後の大作・「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」の建つ青森県十和田市からの情報もご紹介しておきます。

今年4月、当方執筆のジュブナイル「乙女の像のものがたり」を原作にした朗読劇を公演された劇団M’S PARTY(エムズパーティ)さんが、「平成28年度 元気な十和田市づくり市民活動支援事業 対象事業」の認定を受けました。その結果、助成金19万円が交付されるとのことです。

具体的には「50分でわかる乙女の像に込められた想い DVD及びホームページ制作事業」だそうで、さらに具体的には「十和田湖国立公園指定80周年を記念して、「乙女の像」ができるまでの物語を朗読劇にしてDVDを作成する。多方面で活用していただくことで十和田湖の奥深い魅力を広く発信する。」だそうです。

イメージ 3

こういう予算の使い方というのは、素晴らしいことだと思います。


公演にしても、一般参加型のイベントにしても、もっともっと広まってほしいものです。


【折々の歌と句・光太郎】

ふるさとのちまたに立ちて故郷の言の葉をきく聞けどあかぬかも

明治42年(1909)頃 光太郎27歳頃

昨日に引き続き、約3年半の海外留学を終えて帰国直後と思われる作です。

意外と留学先のニューヨーク、ロンドン、パリ、それぞれで留学生仲間などとの交流が多かった光太郎ですが、やはり巷間に立って聞こえてくる母語の響きは懐かしさを催すものだったのでしょう。

北海道帯広に本社を置く『十勝毎日新聞』さんに、1週間前に載った記事です。 

原発事故への思いCDに 福島出身の村越さん 芽室

 福島県出身で町内在住の元高校教諭、村越英男さん006(85)が2011年の福島第1原子力発電所事故を契機に制作してきた詩を基に、知人の協力でCD「朗読集 望郷」を製作した。古里の言葉で朗読した村越さんは、原発事故で一変した福島の人々の日常に寄り添いながら、少年時代を過ごした古里への思いを込めた。

 村越さんは、県中央部に位置する川東村(現須賀川市)出身。職業軍人に憧れ、1945年に陸軍の技能者養成所へ入り、終戦を迎えた。戦後は教員の道へ進み来道。士別高校(士別市)や芽室高校の教諭を務めながら、原水爆禁止などの平和運動やそば打ち、合唱に汗を流した。書道には幼少期から親しみ、芽室高では書道部の顧問も務めた。

 今回、朗読した「望郷」は、11年に知人から「芽室そば研究会の会長退任の花道に」と展示会の開催を持ちかけられた時に書いたもの。

 製作期間中に東日本大震災と原発事故が発生し、避難した親族もいた。

 「事故が起こるまで福島にあんなに原発があったとは知らなかった。幼い頃を過ごした豊かな福島はどうなってしまうのか」。村越さんは高村光太郎の詩をモチーフに、避難せざるを得なかった住民への同情や、原発を推進した国やマスメディアへの怒りを込め、「望郷」を書き上げた。

 CD化は、昨年末に町内で平和を考えるイベントを企画した有志が「望郷」の展示を依頼したのがきっかけ。「書だけでなく、声でも参加してもらおう」と村越さんの朗読を録音し、会場で流した。

 有志に加わっていた元小学校教諭の岡田幸造さん(62)は「福島弁で語りかけられ、涙が出るほど感動した」といい、有志で編集委員会をつくり、録音から表紙までCDを自作。望郷の他にも村越さんが書にしたためた詩なども収められた。村越さんは「伝えたかった思いを形にしてくれてありがたい」と話す。

 CDは「材料費程度の負担で頒布したい」と岡田さん。


問題の詩は、ネットで調べたところ、震災の年にアップされていた「やまざきあきら」さんという方のブログに引用されていました。

望郷ーあれが安達太良山、あの光るのが阿武隈川

 なして? どうして?!
  私の生まれ育ったフクシマ

  いつでも人様に尽くすことを喜ぶ
  やさしさにあふれた人たち。
 なして、いつの間にの怖ろしい原発を
  あんなにもたくさん作らされていたの。
 そんなに東京の人たちが大事だったんだべか。
  マデに(真面目に質素に)生きていくべって
  カネ目当ての町村合併まで拒んだ飯舘村の人たち、
 なして、あんたたちまで田んぼやベコまで捨てて
  いったい、どこさ逃げさせられるだっぺ!
  原発は金になっからと素直な県民をおだてだましてきた、
  時の政治家や財界の偉い人たち、
  そして安全だから大丈夫だからと煽り続けた
  学者マスコミの人たち。
 3月11日の後、大熊町に来て切腹した人でもいたったべか!
  家族ぐるみで移り住んで後片付けしているんだべか。
 フクシマの「善人」たちよ、もうあん人たちの
  口車には乗せられないでよ!

 あれが安達太良山 あの光るのが阿武隈川

イメージ 3


元ネタは、『智恵子抄』にも収録された「樹下の二人」ですね。作者の村越さんは、須賀川のご出身だそうで、そういう立ち位置にいらっしゃる方でなければ書けない内容だと思います。

今年の九州の震災では、改めて原発問題を考えさせられました。

あまり報じられていませんが(あまり報じられないところに何らかの圧力を感じます)、九州電力の黒川第一発電所(水力)の施設が崩落しました。これが原発だったらと思うと、ぞっとします。

イメージ 4

震源域に近い川内原発は、「停止すべき」という声が上がっていたにもかかわらず、運転続行。「停止すべき」という声に対しては、「被災者の皆さんが電気を使えなくなったら困る」と、問題のすり替え。昨年、再稼働するまで川内原発以外の発電所で作られた電力で十分にまかなえていたわけですから。そして余震の群発がほぼ納まると、「結局、何もなかったじゃないか」。何かあってからでは遅いのですが……。

さて、参議院選挙が公示されました。先の「大義なき解散」といわれた一昨年の衆議院選挙でもそうでしたが、原発問題は全くといっていいほど争点に上げられていません。震災後の東北を50回以上訪れた当方としては、それでいいのだろうか、と思ってしまいます。

イメージ 5

イメージ 6

イメージ 7

イメージ 8

イメージ 9   イメージ 10


【折々の歌と句・光太郎】

ていねいにかさなり合ひてまんまろく玉菜のあつ葉たたまるやさしさ

大正13年(1924) 光太郎42歳

「玉菜」はキャベツです。この時代には農作物の放射能汚染など、考えられなかったでしょうね。

NHKラジオ第一放送の深夜番組「ラジオ深夜便」。明日の晩から明後日未明にかけてのオンエアです。 
5月30日(月)午前0時台と1時台(29日(日)深夜)
出演:桂幸丸さん(落語家)、石澤典夫アンカー、村上里和アンカー

東日本大震災の被災地復興支援のひとつとしてNHKが行っている「公開復興サポート 明日へ」の公開収録が、5月22日に福島県郡山市で行われました。 その中から、第一部として福島県出身の桂幸丸さんの落語とインタビュー、第二部としてアンカーのトークと「智恵子抄(高村光太郎作)」「蜘蛛の糸(芥川龍之介作)」「矢村のヤ助(かこさとし作)」の朗読をお聞きいただきます。

イメージ 1

イメージ 2

午前1時台の「朗読とトーク」で、「智恵子抄」が取り上げられます。石澤アナか、それとも村上アナか、はたまたお二人ともか、そのあたりは不明ですが、とりあえず聴いてみます。

それに先立つ午前0時台、落語家の桂幸丸師匠がご出演。オリジナルの新作落語「円谷幸吉伝」が流れるそうです。須賀川市ご出身の幸丸師匠、福島に題を採った新作落語を多数発表されています。「新島八重伝」、「瓜生岩子伝」、「野口英世伝」、「福島方言」、「常磐ハワイアンセンター物語」、そして「智恵子抄」。

■『智恵子抄』でお馴染みの高村智恵子。その人生は、恵まれた環境で好きな事に一生懸命打ち込む幸せな少女時代、学生時代の智恵子であったが、その後不幸が彼女を次々と襲い苦悩し葛藤する。そして最後に見つけた彼女の人生の一筋の光は紙絵制作。52才で亡くなるまでの3年8か月の入院生活の間に千数百点の作品を作り上げました。穏やかなテンポの噺の流れでありながら、聴いている内に自然に微笑んでしまうような、そんなステキな作品です。

当方、CDを持っております。

イメージ 3

イメージ 4

今回の演目は「円谷幸吉伝」ですが、「智恵子抄」に関するお話も出ることを期待します。


ぜひお聴き下さい。


【折々の歌と句・光太郎】

病またたのしき如し五月尽   昭和20年(1945) 光太郎63歳

東京のアトリエを焼け出され、花巻の宮沢賢治の実家に疎開、到着した翌日から結核性の肺炎で高熱を発し、病臥していた折の句です。

「月尽」は「月の終わり」という意味で季語として使われる俳諧用語。「五月尽」は「五月末」です。

当方も夏風邪にやられ、ここ数日、寝込んだり起きたりの毎日です。

先月16、17日に青森県十和田市で公演があった、劇団エムズ・パーティーさんによる朗読劇「乙女の像のものがたり」。2日分の公演を撮影したDVD、ブルーレイディスクが届きました。十和田湖・奥入瀬観光ボランティアの会の方が送って下さいました。感謝。

イメージ 1  イメージ 2

さっそく拝見。

まず1日目、会場は十和田湖畔の観光交流センター「ぷらっと」。

イメージ 3

基本、動きはなく、スクリーンにスライドショーを投影しながらセリフやト書きを朗読するという形です。

総勢10名以上の方がご出演。登場人物が多いので、お一人で2役、3役こなされた方もいらっしゃいました。原作は当方ですが、上演されることを前提には書かなかったので、キャラが多くなってしまいました。「史実」という制約があると、尚更です。「史実」を大胆に改変していいのであれば、明治末の「パンの会」の場面前後にだけ登場した北原白秋柳敬助夫妻を、全体の狂言回しに使った草野心平や、後半に登場する佐藤春夫夫妻に替えてしまったりした方が、ストーリー的にはすっきりするな、と感じました。

イメージ 4

左が智恵子役の仲島みちるさん、右が光太郎役の子午線馬ノ助こと植田祐介さん。お二人とも、さらに他の皆さんも、まさしく「熱演」でした。

イメージ 5

エンドロールには、当方の名も出して下さいました。

2日目は、十和田市街の市民交流プラザ「トワーレ」。こちらは市街ということもあり、予定を大幅に上回るお客さんの入りだったそうです。

イメージ 6

2回目ということもあり、キャストの皆さんも、さらに熱の入ったパフォーマンスでした。

イメージ 7

エンドロールのバックに、テーマソング的に佐藤春夫作詞の「湖畔の乙女」を流したところ、前日の「ぷらっと」での公演でもそうでしたが、観客席の皆さんも自然と大合唱。

イメージ 8

小山田十和田市長のごあいさつ。市としても後援に入って下さっていて、ありがたいですね。

今後、市の助成を受け、DVD化して学校さんなどでの上映も検討されているとのこと。是非とも実現してほしいと思います。さらには機会があれば、再演も。


そして観光客や、原作本の売り上げも増加してほしいものです。


【折々の歌と句・光太郎】

やせこけしかの母の手を取りもちてこの世の底は見るべかりけり
昭和2年(1927) 光太郎45歳

明日は「母の日」。

光太郎の母・わかは、大正14年(1925)に亡くなりました。その三回忌を前に作った作です。

昭和20年(1945)、空襲で東京のアトリエを失った光太郎が、岩手花巻への疎開のため東京を発った5月15日、例年、花巻で「高村祭」が行われています。今年で59回目となります。今月号の『広報はなまき』から。 

第59回高村祭

期  日 : 2016年5月15日(日)
会  場 : 高村山荘詩碑前広場 岩手県花巻市太田3-85

光太郎が花巻に疎開してきた5月15日に毎年開かれる「高村祭」。光太郎が暮らした高村山荘にある「雪白く積めり」の詩碑の前では、地元の小・中学生や高校生、花巻高等看護専門学校生による合唱や楽器の演奏、詩の朗読などが行われます。

高村祭特別講演を開催
 高村光太郎と金谷一族について-高村光太郎のいにしえの姿-
【時間】午前11時~正午
【講師】加藤 千晴さん
【内容】
講師の祖母、金谷ふゆは、高村光太郎のいとこで幼なじみでした。祖母ふゆから受け継いだ仏像と光太郎が持っていた仏像のつながりをはじめ、祖母から聞いた光太郎の姿を紹介します。

【駐車場のご案内】
当日はスポーツキャンプむら「メイングラウンド側」駐車場をご利用ください。雨天時は「屋内運動場側」駐車場は利用できません。
【無料臨時バスを運行】往路…花巻駅西口発9時半、復路…高村山荘発15時
【問い合わせ】(一財)花巻高村光太郎記念会事務局(平日電話29-4681)

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

毎年、地元小中高生、看護学校生による光太郎詩の朗読、音楽演奏が行われ、さらに記念講演があります(昨年は当方が仰せつかりました)。

今年の講演は、盛岡在住の加藤千晴氏。光太郎の血縁の方です。明治の高村家は、養子縁組等で若干、家系が複雑です。光太郎の父・光雲が徴兵を逃れるため師匠・高村東雲の姉・悦の養子となり、光太郎の母・わかも若くして父を亡くして東雲の妹・きせの養女となりました。きせの実子がふゆ。年齢的には光太郎に近く、幼馴染み的な関係だったので、混乱が生じているようです。光太郎のいとこにあたるのは、ふゆの子の照。その照の子息が加藤千晴氏です。ちなみに照さんは100歳近いということですが、まだご存命です。この方も、戦後に花巻郊外太田村の光太郎の元を訪れています。

昨年暮れに、当方、花巻に参りまして、加藤氏の手記のコピーを戴きました。手記はふゆ・照母子と光雲・光太郎との関わりなどが詳細に記されており、非常に貴重なものでした。今回の講演でも、一般に知られていないエピソードなどが聴けることと思われます。

ぜひ足をお運びください。

前日の5月14日には、光太郎が旧太田村の山小屋に入る前に1ヶ月暮らした、花巻市街の佐藤隆房邸の公開もあります。当方、ここからお邪魔いたします。


【折々の歌と句・光太郎】

米無くばじやがたらいもをわが喰はむみどりの風に身を養はむ
制作時期不詳

昭和4年(1929)刊行の『現代日本文学全集第三十八編 現代短歌集 現代俳句集』に載った作品です。おそらくあまりさかのぼらない時期の制作とは推定できます。

5月となりました。しかも今日は八十八夜だそうです。「みどりの風」が心地よい季節になって参りました。

16日(土)、17日(日)、過日ご紹介した劇団エムズ・パーティーさんによる「十和田湖乙女の像のものがたり」朗読劇が上演されました。

地方紙に載った予告の記事はネット上に出たのですが、上演されたという記事がネットで発見できず、困っておりましたところ、十和田湖・奥入瀬観光ボランティアの会さんの方から、PDFファイルを戴きました。初日の公演を報じた記事でした。 

美しい十和田湖いとおしく 乙女の像さらに身近に 地元劇団、建立物語を朗読

 十和田市の劇団「エムズ・パーティー」が16日、十和田市で朗読劇、「乙女の像のものがたり」を上演した。約30人が像建立までの美しいストーリーに聴き入った。
 「乙女の像のものがたり」は十和田湖・奥入瀬観光ボランティアの会が2年間の調査結果をまとめ、2015年に発行した。会場の十和田市観光交流センター「ぷらっと」は乙女の像が立つ湖畔の休屋にある。
 劇では高村光太郎と智恵子との出会いや死別、乙女の像の建立に動く地元の奮闘などが紹介された。
 同市の小学校教諭・白川星智さん(42)は鑑賞後、「近くに住んでいたが像のことも高村さんのこともよく知らなかった。これを機にまた勉強して周りに広めていきたい」と感想を語った。
 劇団代表の仲島みちるさんは「子どもたちに、乙女の像は素晴らしい人々が関わってできたと知ってほしいし、地域に愛着や誇りを持ってもらいたい。観光振興の一助にもなれば」と話す。
 朗読劇は17日午後3時から、同市の市民交流プラザ「トワーレ」でも開かれる。入場は無料。
(2016/04/17 『東奥日報』)

イメージ 1
  

光太郎の人生 感情豊かに 「乙女の像のものがたり」劇団が朗読劇上演

 十和田市の劇団「エムズ・パーティー」(仲島みちる代表)は16日、十和田湖畔休屋の十和田湖観光交流センター「ぷらっと」で、朗読劇「乙女の像のものがたり」を上演し、像の作者で詩人である高村光太郎の波乱に満ちた人生を感情豊かに伝えた。
 この朗読劇は、十和田八幡平国立公園の指定80周年を記念し、十和田湖・奥入瀬観光ボランティアの会が編集した冊子を基に制作した。上演時間は約50分。
 会場には約40人が来場した。団員は、場面を伝えるナレーションとスクリーンに映し出される画像に合わせ、立ち上がってせりふを朗読。光太郎と妻智恵子との出会い、光太郎に像の制作が依頼される過程、制作の状況などを生き生きと演じた。
 来場者は、十和田湖を象徴する乙女の像にまつわるエピソードに興味深く見入っていた。
 この朗読劇は、17日午後3時から、十和田市民交流プラザ「トワーレ」で行われる。入場は無料。
(2016/04/17 『デーリー東北』)

イメージ 2


17日の公演については、十和田湖・奥入瀬観光ボランティアの会さんのサイトに記述があります。こちらは市街地ということもあり、100名ほどの観客があったとのこと。当初、60名の定員で告知がされましたが蓋を開けてみれば遙かに多く集まったようで、しかし、閉め出さずに皆さんに聴いていただいたというのは神対応ですね。

 最終日、十和田市トワーレ会場の様子です。
 定員を大幅にオーバーし、お手伝いで参加した私は準備等に焦りました。
 100人ほど、ビチビチで鑑賞していただきました。
 乙女の像のものがたりの本の中から「乙女の像ものがたり」を抜粋し、朗読劇で披露してくれたエムズパー
ティーの皆さんの熱演ぶりに涙がでました。
 生で感じる空気に、どっぷり物語の中に引き込まれてしまい本当に感動でした。
 アンケートや、来場の皆様からは
 「また、見たい。」
 「乙女の像って、こんな経緯で建ったんだ〜」
 「市の文化祭に発表してください」
 「学校でも、やってください」
 など、大変嬉しい声をいただきました。
 そうそう、最後に「湖畔の乙女」の歌が流れたのですが、会場は大合唱でした。
 えっ!?
 皆、知ってるんだ!!
 一冊の本が、朗読劇という表現で「乙女の像」について、皆さんに感動を与えてくれたことに感謝いたしま
す。
 スクリーンの前には、連翹とレモンが添えられていました。
 光太郎と智恵子さんも、仲良く観ていたのでしょうか・・・

「湖畔の乙女」についてはこちら

さらに当日撮影された画像と短い動画も送って下さいました。全編を撮影した動画も後ほど下さるそうです。感謝。

イメージ 3

イメージ 4

スクリーンの左下に写っている白い頭は、小山田十和田市長、右のピンクの服の方々は、花巻市からいらした観光ガイドの方々だそうです。ありがたいですね。

メールには「観終わった方たちは、こんな素晴らしい話があっことを知らなかった、もっと子どもたちに教えたほうがいい、と興奮気味でした。」「朗読劇に取り組んだ、劇団エムズパーティーでは、DVDの作成や、外国語版なども作りたいと話していました。」とありました。話半分に聞いても、原作者としては嬉しい限りです。もっとも、原作といっても、誰が書いても同じような話になるわけで、それだけ光太郎智恵子その他の生き様が鮮烈だったということですね。

エムズ・パーティーさんもお忙しいとは存じますが、いろいろなところで再演されることを望みます。


【折々の歌と句・光太郎】

花やいかに歌やいくつのさてつらきただ春の雨むらさきなりき
明治34年(1901) 光太郎19歳

この時期の作には鉄幹与謝野寛の添削がかなり入っているということですが、「雨」を「むらさき」と見るあたりに造形作家としての特別な目が感じられます。

一昨日の『朝日新聞』さんの夕刊に、光太郎の名が出ました。

「あのとき、それから」という、昔懐かしのアイテムなどを紹介する連載で、コーラを紹介するものでした。

000


長い記事ですので全文は引用しません。上記画像をクリックすると拡大されます。

記事は、光太郎が亡くなった翌年の昭和32年(1957)、コカ・コーラとペプシコーラの日本法人が本格的に輸入、製造、販売を開始したことに始まり、アメリカでそれぞれが誕生した歴史、本格輸入前の日本での受容が紹介されています。

その中で、光太郎の名が。触れられている段落のみ引用します。

 日本では、大手ブランド2社の上陸前に輸入は始まっていた。輸入小売店の明治屋が1910年代後半に「コカコラタンサン」の広告を出した。高村光太郎の詩集「道程」(14年刊行)には「コカコオラもう一杯」とあり、芥川龍之介が25年に記した手紙にも登場する。

この件はそれなりに有名な話で、日本コカ・コーラ株式会社さんのサイトにも記述がありますし、このブログでも以前にちらっとご紹介しました。

「コカコオラもう一杯」は、『道程』所収の「狂者の詩」(大正元年=1912)という作品の一節です。長い詩ですので、該当部分のみ引用します。

 (略)
 コカコオラ、THANK YOU VERY MUCH
 銀座二丁目三丁目、それから尾張町
 電車、電燈、電線、電話000
 ちりりん、ちりりん、
 柳の枝さへ夜露の中で
 白ぼっけな腕を組んで
 しんみに己に意見をする気だ
 コカコオラもう一杯
 サナトオゲン、ヒギヤマ、咳止めボンボン
 (略)
 ああ、髪の毛の香ひがする
 それはあの人のだ、羚羊(りんやん)の角(かく)
 コカコオラもう一杯
 きちがひ、きちがひに何が出来る
 己はともかくも歩くのだ
 銀座二丁目三丁目、それから尾張町
 (略)

というわけで、「コカコオラ」の語が三回出て来ます。

初出は大正元年(1912)12月の雑誌『白樺』第3巻第12号。この際には「コカコオラ」は「COCA COLA」でした。その他、詩集『道程』(大正3年=1914)に収録される際に、かなりの改変が見られます。

以前は、この時期にコーラはまだ輸入されていなかったはずだ、として、米国留学時代(明治39年=1906~翌年)を思い出しての光太郎の幻想だという説もありました。たしかに、この詩全体が酔っぱらいの幻覚のような内容なので、それも全く否定は出来ません。しかし、近年、コーラ受容の歴史が明らかになるにつれ、本当に銀座でコーラを飲んでいてもおかしくないことがわかってきました。

『朝日新聞』さんの記事に、「輸入小売店の明治屋が1910年代後半に「コカコラタンサン」の広告を出した。」とありますし、明治44年(1911)に発行された雑誌『飲料商報』第27号には、アメリカのコカ・コーラ工場の様子が紹介されています。

 米国人に好かるゝ飲料にコカ、コーラと云ふのがある。此の飲料の壜詰工場は、米国アトランタ州にあつて、主人をモント君と云ふ。モント君非常な八釜敷屋(やかましや)で、工場に向つて「絶対的清潔」を命令するので、職工共は一と通りならぬ、注意と苦心を重ねて居るが、其の結果、此の工場は米国でも第一流の仲間入りが出来て、其の製造にかゝるコカ、コーラの信用は、国の上下に厚いのである。

「狂者の詩」以前に、既にコカ・コーラが紹介されていました。したがって、ネット上に時折「光太郎が初めてコカ・コーラを日本に紹介した」という記述がありますが、それは誤りです。

この話は、画家の林哲夫氏が雑誌『彷001書月刊』第212号(平成16年=2004)に発表した「光太郎、スカッとさわやか――清涼飲料の時代」という記事に引用されていました。

ちなみに『彷書月刊』、題字は当会顧問の北川太一先生作の木版によるものです。

閑話休題。林氏、さらに「サナトオゲン、ヒギヤマ、咳止めボンボン」に注目し、「コカコオラ」を含め、薬局のソーダファウンテンで売られていたのでは、と推測されています。

ソーダファウンテンは、現代のファミレスなどで、ドリンクバーに使われている機械です。やはり林氏によれば、明治35年(1902)に、資生堂さんがアメリカから機械一式を輸入し、全国の薬局や菓子店などが追随したとのことです。資生堂さんといえば資生堂パーラー。ここは光太郎も訪れた店で、銀座で現在も営業中。かつては連翹忌会場に使わせていただいたこともあります。また、林氏は、銀座一丁目で薬品や化粧品を扱っていた佐々木源兵衛商店もその候補に挙げています。

おそらく、そのあたりで正解なのでしょう。

ところで、東北地方に展開する「みちのくコカ・コーラボトリング」さんの工場は、光太郎が戦後の7年間を過ごした花巻郊外旧太田村(現・花巻市太田)にあります。そんなご縁で、昨年5月15日に開催された第58回高村祭のプログラムには、広告を出して下さいました。

イメージ 4

ありがとうございました。


さて、もう1件。明日の話題が予告報道されていますので、今日のうちにご紹介します。 

「乙女の像」制作 朗読劇で 劇団「エムズ・パーティ」16、17日十和田で上演

 十和田八幡平国立公園の002指定80周年を記念し、青森県十和田市の劇団「エムズ・パーティ」(仲島みちる代表)は16、17の両日、市内の2会場で、十和田湖の象徴となっている「乙女の像」をテーマにした朗読劇を上演する。本番を控え、団員たちは声の抑揚や場面を切り替えるポイントの確認など練習に熱を入れている。

 タイトルは「乙女の像のものがたり」で、「十和田湖・奥入瀬観光ボランティアの会」が、像の建立60周年を記念して編集した冊子を基に制作した。

 像の作者である高村光太郎の波乱に満ちた人生を交え、像が完成するまでの過程などを描く。上演時間は約50分。

 練習会場は市民交流プラザ「トワーレ」。夜、仕事を終えた団員が集い、台本を手に感情豊かに、せりふを読み上げた。せりふを切り出すタイミング、声のトーン、場面の進行などを入念にチェックしている。

 仲島代表は「郷土の歴史や文化を子どもたちに伝えたい。朗読劇といっても役者として取り組む以上、感情を込めて表現したい」と意欲を見せる。

 会場は16日が十和田湖観光交流センター「ぷらっと」、17日が十和田市民交流プラザ「トワーレ」で。いずれも午後3時開演。入場は無料。座席数に限りがあるため予約が優先となる。

 申し込み、問い合わせは仲島代表=携帯電話090(7066)2873=へ。


過日もご紹介した「乙女の像のものがたり」朗読劇に関してです。青森の地方紙『デーリー東北』さんでご紹介下さいました。

言い出しっぺである十和田湖奥入瀬観光ボランティアの会さんのサイトにも紹介されています。原作は当方です。自分の作ったものがこういう形で公演されるというのも、不思議な感覚です。

お近くの方、ぜひどうぞ。


【折々の歌と句・光太郎】

赤き屋根のあちこちにあり青畠     明治42年(1909) 光太郎27歳 

当方自宅兼事務所のある千葉県香取市では、そろそろ田植えです。田には水が張られ、蛙の大合唱も始まりました。

イメージ 6

千葉市から朗読イベントのご紹介です。  

第1回「朗読と音楽の刻(とき)・虹」〜朗読とピアノとオカリナのコラボレーション〜

期 日 : 2016年4月11日(月)
時 間 : 開場13時00分 開演13時30分
会 場 : 千葉市美浜文化ホール(2F音楽ホール)
主 催 : 「朗読と音楽の刻・虹」
料 金 : 入場無料(定員150名)

プログラム
 【朗 読】
  「カーニバルのおくりもの」レミイ・シャーリップ&バートン・サプリー原作
  「花咲き山」斎藤隆介原作
  「雪の夜の話」太宰治原作
  「智恵子抄」高村光太郎原作
  「名前」角田光代原作
   ♪朗読作品への挿入曲
    村の踊り(ベートーヴェン) アラベスク第1番(ドビュッシー)
    ソルヴェイグの歌(グリーク) 愛の挨拶(エルガー)他
 【オカリナ・ピアノ演奏】
  「愛のよろこび」ジャンポール・マルティーニ作曲

出 演
 朗 読   吉田光子 内田洋子 吉永裕恵子 助川由利
 ピアノ   杉本美津子
 オカリナ  積田由史子   

お問い合わせ・お申し込み 043−277−3255(杉本) 043−265−8793(助川)


少し半端ですが、今年は智恵子生誕130年という節目の年に当たります。それがどの程度意識されているのか不明ながら、今年に入って、「智恵子抄」をさまざまにアレンジした音楽、演劇、朗読などの公演が相次いで行われています。

さらにこうした動きが広がって欲しいものです。


【折々の歌と句・光太郎】

「ゴンドラ」を一丁漕ぎぬ春の風    明治42年(1909) 光太郎27歳

イタリア旅行中、ベネチアでの作です。ベネチアといえば水の都。現在も観光用のゴンドラが有名です。

当方自宅兼事務所のある千葉県香取市も水郷地帯で、ゴンドラならぬ「サッパ舟」が観光客に人気です。笹の葉の形に似た小舟で、「笹葉舟」転じて「サッパ舟」。昭和30年代くらいまでは生活の足として活用されていました。

イメージ 2

現在は、江戸の面影を残す旧市街の中心部を流れる小野川で、観光船として運行。テレビの旅番組系でもしょっちゅう取り上げられ、レポートにいらっしゃるタレントさんもよく乗られています。

三宅裕司さん。冬のロケだったので、舟にはコタツ。

イメージ 1

中本賢さん。

イメージ 3

にしおかすみこさん。

イメージ 4

ガレッジセール・川田広樹さん。

イメージ 5

伊藤かずえさん。

イメージ 6

武蔵野美大に通っていらした榎木孝明さんは、橋の上でさらさらっと舟のスケッチ。

イメージ 7

5~6月、アヤメの季節には郊外の水生植物園でも。北斗晶さん、天野ひろゆきさん、ウド鈴木さん他、「もしもツアーズ」ご一行様。

イメージ 8

はっきりと記録が残っていないのですが、明治35年(1902)頃、光太郎もこの近辺でこの手の舟に乗ったのではないかと思われる短歌も残っています。

青森・十和田市の広報紙『広報とわだ』の今月号に、以下の記事が載りました。 

「十和田湖乙女の像のものがたり」朗読劇

乙女の像建立60 周年記念に十和田湖・奥入瀬観光ボランティアの会が発刊した「乙女の像のものがたり」を安斉将(まさる)さんのイラストを投影して上演します。
001
❶とき 4月16 日㈯ 午後3時~
  ところ 十和田湖観光交流センター「ぷらっと」
       十和田市大字奥瀬字十和田湖畔休屋486
 定員 50 人(先着順)

❷とき 4月17 日㈰ 午後3時~
 ところ 市民交流プラザ「トワーレ」
       十和田市稲生町18-33 
 定員 60 人(先着順)

入場無料

どちらも30 分前開場

問い合わせ 
 劇団エムズ・パーティー・仲島 ☎ 090-7066-2873


昨年の今頃、十和田湖奥入瀬観光ボランティアの会さんの編集で刊行された『十和田湖乙女の像のものがたり』。当方も監修として名を連ねさせていただき、巻頭に年少者向けの「乙女の像ものがたり」、資料編に「「乙女の像」概説」と、2本の原稿を書かせていただきました。

イメージ 3

先月、ボランティアの会さんの方からご連絡があり、十和田市内に活動拠点を置く劇団エムズ・パーティーさんが、年少者向けの「乙女の像ものがたり」を換骨奪胎し、同書の挿絵に使われたイラストレーター・安斉将の作品や効果音をプロジェクタで流しつつ、朗読劇にしたいというお話を戴きました。メールで送られてきたシナリオを拝見、もちろん快諾いたしました。

イメージ 2

その公演が2回、今月行われます。最初が十和田湖畔の観光交流センター・ぷらっとさんで16日に。次の日には十和田市街の市民交流プラザ・トワーレさんでの開催だそうです。

当方原作の瑕疵は朗読や演出でをカバーし、成功させてていただきたいものです。

お近くの方、ぜひ足をお運びください。


【折々の歌と句・光太郎】

パラタンのあさき緑とこんじきの砂を背にして君立てりけり
明治42年(1909) 光太郎27歳

イタリア旅行中の作。「パラタン」は古代ローマ七丘の一つ、「パラティーノ」の丘です。この際には一人旅でしたが、「君」とは誰なのか……旅先で知り合った人か、単なる妄想か、気になるところです。

東京・内幸町から舞台公演の情報です。

第29回ゆーりんプロデュース公演・新人公演 ~詩と語りと芝居で紡ぐ~「智恵子抄」

期   日 : 2016年4月7日(木)~10日(日)
会   場 : 千代田区立内幸町ホール 千代田区内幸町1-5-1
時   間 :
 4月 7日(木) 18:15開場 19:00開演 プロデュース公演☆    
 4月 8日(金) 18:15開場 19:00開演 プロデュース公演◎
 4月 9日(土) 12:15開場 13:00開演 プロデュース公演◎
                    17:15開場 18:00開演 プロデュース公演☆
 4月10日(日) 12:15開場 13:00開演 新人公演
                     17:15開場 18:00開演 新人公演
劇作・脚本 : よこざわけい子
演   出 : こじま智之
音   楽 : 石山理
出   演 : 
 プロデュース公演☆ ・・・ 北斗誓一 池田祐子 山端零     他
 プロデュース公演◎ ・・・ 長野伸二 近藤波美 池田拓馬   他
 新人公演        ・・・ 眞對友樹也 石原佳奈 高塚智人 村上奈津実 他
料   金 : 前売り4000円  当日4300円 (全席指定)

イメージ 1


声優としてもご活躍中のよこざわけい子さんが代表を務められる「ゆーりんプロ」さんの公演です。複数回公演がありますので、行きやすいのではないでしょうか。

このところ、この手の公演が立て続けにあって、ありがたいかぎりです。


奥深く示唆に富む光太郎智恵子の世界、様々な解釈はあるかと思いますが、それぞれの視点で料理していただいて結構ですので、どんどん取り上げていただきたいものです。


【折々の歌と句・光太郎】

しろ菫落しゝながらその水のその平和(やすらぎ)にたゞまかせつる

明治34年(1901) 光太郎19歳

春本番、あちこちで菫の花も目に付くようになりました。

昨日は、過日ご紹介した朗読公演「朗読人の四季~2016春」を聴いて参りました。

イメージ 1

イメージ 2


このブログで何度かご紹介している作曲家の野村朗氏が所属されている。国際芸術連盟さんという音楽事務所の主催で、会場は東京都江東区清澄白河の深川江戸資料館さんでした。

杉山典子さんという方による「智恵子抄」からの朗読がプログラムに入っており、それが目あてでした。

取り上げられたのは6篇。光太郎智恵子婚約の年(大正2年=1913)に書かれた「僕等」、智恵子が心を病み、九十九里浜で療養していた当時を回想して書かれた「風にのる智恵子」(昭和10年=1935)、智恵子の臨終を謳った絶唱「レモン哀歌」(同14年=1939)、没後の智恵子を偲ぶ「亡き人に」(同)と「梅酒」(同15年=1940)、そして戦後の花巻郊外太田村での隠遁生活の中で生まれた「案内」(同25年=1950)。

非常に落ちついた深みのあるお声で、変な抑揚などは付けず(時折そういう朗読に出会って閉口することがあるのですが)、それでいて随所に工夫が施されていました。例えば、「レモン哀歌」では、「昔山巓(さんてん)でしたやうな深呼吸を一つして/ あなたの機関はそれなり止まつた」の改行の箇所(「/」の部分)では、音楽でいうと長い休符を入れ、実際に深呼吸されていました。

終演後に少しお話をさせていただきましたが、杉山さん、福島の猪苗代にお住まいだそうです。同じ福島の智恵子に対する思い入れがおありなのでしょう。

それにしても、杉山さんの朗読を聴きつつ、光太郎の詩は朗読に向いている詩だと、改めて感じました。詩の朗読というと、定型詩または自由詩でも定型詩に近いものこそ、朗読向きだと考える傾向があるようですが、はたしてそうなのでしょうか。

光太郎にもそういう作品がありますが、五七調、七五調の定型におさめるために、不要な単語が入っていたり、無意味な倒置などが使われたりと、不自然な日本語になっている場合が多々あります。やはり詩にしても散文にしても、自然な日本語であることが望ましいと思います。その上で、声に出して読んで、しっかりと美しい語感が表現されていることが実感できるもの、それこそが「名詩」「名文」の名にふさわしいのではないでしょうか。

その点、光太郎の詩にはそういうものが多いように思われます。この辺は感覚の問題なので、理論的に説き明かすことは不可能に近いのですが……。

文学を含む芸術に限らず、あらゆる表現活動に共通していえることとして、「何を」「いかに」表現しているかという点で、評価が為されるのだと思います。どんなに素晴らしい内容を伝えようとしていても、その表現方法がまずければ伝わりませんし、技巧を凝らした表現方法を工夫したところで、では、何を伝えたいの? というものに出くわすこともあります。

こうした点は、二次創作的な場合にも当てはまるでしょう。

様々な示唆に富む奥深き光太郎智恵子の世界、「何を」の部分は申し分ない素材です。それを「いかに」表現するか、杉山さんのような素晴らしい朗読もその一つの方法でしょうし、様々な二次創作により、いろいろな分野の表現者の方々がそれに取り組んで下さっています。飽くなき探求心を持って、優れた素材の魅力をより一層輝かせる取り組みが行われ続けることを願います。
「お前の書いているものはどうなんだ?」と言われると、ぐうの音も出ませんが……。

ちなみに昨日の公演、「智恵子抄」以外には、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」「蜜柑」、京極夏彦氏の「旧(ふるい)怪談―耳袋より」から、谷崎潤一郎「春琴抄」が取り上げられ、杉山さんの他、3名の方が朗読なさいました。それぞれに好感の持てるいい朗読でした。


【折々の歌と句・光太郎】

春風や屋根ささやかな駒形堂   大正中期(1920頃) 光太郎40歳頃

駒形堂」は隅田川沿いに立つお堂で、少し離れていますが、浅草寺の伽藍の一つです。

東京は北区王子からの舞台公演情報です。 

劇団東京イボンヌ第3回企画公演「コンサートと無伴奏 ~永遠の愛~」

期  日 : 2016年3月29日(火)・30日(水)・31日(木)
会  場 : 北とぴあ カナリアホール 東京都北区王子1丁目11−1
時  間 : 3/29 19:30開演   3/30 14:00開演 19:30開演   3/31 12:00開演 16:00開演
料  金 : 前売り・当日 3700円
出  演 :
 【演奏家】のコンサート
  小松真理(ピアノ) 土田卓(コントラバス) 松谷明日香(特別ゲスト・チェロ)
  柴田真理(クラリネット) 吉澤正一郎(クラリネット) 大平治世(フルート)
  数馬尚子(チューバ) 安岡亜佳音(トランペット)
 【声楽家】のコンサート
 河野鉄平(バス) 中村祐哉(テノール) 浅川荘子(ソプラノ) 岡﨑麻奈未(ソプラノ)
 齋藤麻衣子(ソプラノ)
 【朗読】~「智恵子抄」より~  俳優 伊達裕子 ソプラノ 浅川荘子
 【演劇】~「無伴奏」ダイジェスト~
 河野鉄平 渡辺多恵子 濱仲太 (特別ゲスト) 鹿目真紀 大澤慶祐 中村祐哉 藤田幹彦
主  催 : 劇団東京イボンヌ

桜が咲く頃、劇団東京イボンヌは~永遠の愛~をテーマに盛り沢山の演奏、歌、言霊をお届けいたします。春爛漫の饗宴を是非お楽しみくださいませ。桜吹雪のように乱れ散りませう。

イメージ 1


「東京イボンヌ」さんは、「クラシックの楽曲をテーマに、 曲に込められた魂を物語に紡ぎだす演劇集団」だそうです。「智恵子抄」を取り上げていただけるそうで、ありがたく存じます。

伊達裕子さんという方の朗読と、浅川荘子さんという方のソプラノでの構成だということです。

光太郎智恵子の世界を広めていっていただきたいもので、こういう企画を通じてのそれも大歓迎です。数十年後くらいに「えっ? 「智恵子抄」? 何、それ?」という世の中になっていないことを祈ります。


【折々の歌と句・光太郎】

あな薫り夢か春の野むらさきのやわきちひさき征矢(そや)ふりそそぐ

明治34年(1901) 光太郎19歳

「やわきちひさき征矢」は、柔らかな春の日の光を矢に例えています。関東地方、今朝は久々に晴れました。ただ、若干冷たい風が強めに吹いており、布団を干すかどうか、今、悩んでいます(笑)。

名古屋から朗読劇の情報です。 
期  日 : 2016年3月29日(火)・30日(水)
会  場 : HITOMIホール 名古屋市中区葵三丁目21番19号メニコンアネックス5F
時  間 : 3/29 18:45開演 3/30 1回目 15:00開演 2回目 18:45開演
料  金 : 1,500円(全席自由)
出  演 : 間瀬礼章(朗読) 斎藤美七海(智恵子役) 水野慎太郎(ヴァイオリン)
       河井裕二(チェロ)千葉周平(ピアノ) 宗川諭理夫(企画・作曲)
主  催 : メニコンビジネスアシスト(MBA)イベント事業部
問い合せ : メニコンビジネスアシスト(MBA)イベント事業部
電話予約 : 052-938-6232(平日10:00~17:00)
メール予約   : mba-event@menicon-net.co.jp
※お名前、チケット枚数、ご連絡先電話番号、チケット郵送先ご住所を明記のうえ、メールを送信ください。

イメージ 1

イメージ 2
昨年、同じ会場で「智恵子抄~故郷 福島への想い」という、舞踊系の公演がありました。何かそういう土壌があるのかな、と思って調べたところ、コンタクトレンズメーカーのメニコンさんが持っている施設で、「「視ること」の素晴らしさを多くの方に届け、また、その喜びを分かち合いたいという願いから、社会貢献活動の一環として、さまざまな形で芸術や文化、福祉の支援を行っています。」だそうです。そういう企業さんも少なくはないとは思いますが、素晴らしいですね。

お近くの方、ぜひどうぞ。


【折々の歌と句・光太郎】

春雨やジヨツトの壁画色褪せたり   明治42年(1909) 光太郎27歳

「ジヨツト」はジョット・ディ・ボンドーネ。ゴシック期のイタリア人画家です。後のルネサンスに多大な影響を与えました。

「壁画」は、おそらくパドヴァにあるスクロヴェーニ礼拝堂のフレスコ画でしょう。光太郎はイタリア旅行の際にパドヴァも訪れています。

舞台芸術系のイベントを2つご紹介します。

まずは東京から朗読で。 

朗読人の四季~2016春

期  日 : 2016年3月16日(水)
時  間 : 18:30開場 19:00開演
会  場 : 江東区 深川江戸資料館 小劇場  東京都江東区白河1-3-28
料  金 : 2,500円(全席自由)
出演/演目 :
 杉山典子
  高村光太郎『智恵子抄』より「僕等」「レモン哀歌」「梅酒」 他
 勝田のぞみ
  旧怪談『耳袋』より「小さな指」「頭痛の神の事」
 岩井奈美
  J.R.ヒメネス『プラテーロとわたし』より「秋」「四月の牧歌」 他
  芥川龍之介『蜜柑』
 桑原美由紀
  谷崎潤一郎『春琴抄』

申  込 : JILAチケットセンター Tel:03-3356-4140

イメージ 1

イメージ 2


もう1件、九州から。 

宮城愛 巡り繋がる人と歌 LIVE

期  日 : 2016年3月26日(土)
時  間 : 17:00開場 17:30開演
会  場 : 八幡朝見神社 大分県別府市朝見2-15-19
料  金 : 予約1,500円 当日2,000円 中学生以下無料
出  演 : 宮城愛(ギター/ヴォーカル) 風の音書店with足立弓子
                       小椋穂澄(アフリカンハープ)
申  込 : 090-4210-3866(小椋) tomotribe@gmail.com (井藤)

イメージ 3

3/26にご出演のパフォーマンストリオ「風の音書店with足立弓子」さんが、「智恵子抄」を演じられるそうです。先月は大分市で公演をなさったとのこと。その様子がこちら

光太郎智恵子の世界を取り上げて下さり、ありがたいかぎりです。

今月から来月にかけ、同様の催しがけっこうたくさんあるようです。今後、順次ご紹介していきます。


【折々の歌と句・光太郎】

春着きて寺に女の急ぎけり       明治42年(1909) 光太郎27歳

以前にも注釈を加えましたが、欧米留学中の作で、「寺」は仏教寺院ではなくキリスト教の教会です。ただ、日本画舞台で和装の美人さんが仏教寺院に、というイメージで読んでも絵になりますね(笑)。

2/28(日)、郡山市で開催中の「第二楽章 男鹿和雄展―吉永小百合と語り継ぐ―」/「未来のわたしたちへ~ほんとの空~」絵画展覧会」会場をあとに、いわき市上小川地区にある、当会の祖にして光太郎と最も縁の深かった詩人の一人、草野心平の生家へと愛車を走らせました。

この日は、心平の弟で、没後に第2回高村光太郎賞を受賞した、草野天平の誕生日というわけで、「草野天平の集い」の開催でした。仙台を拠点に「智恵子抄」の朗読などもなさっている、荒井真澄さんがご出演ということで、寄らせていただきました。

イメージ 13

まずは生家近くの常慶寺さんに。心平の墓参です。その代わりといっては何ですが、車を駐めさせていただきました。

その後、歩いて生家に。ここを訪れるのは三度目です。

イメージ 1

庭には天平の詩碑も立っています。

イメージ 12

入ってすぐの壁に、心平はじめ、家族一同の写真パネルが掲示されていて、以前は気付きませんでしたが、天平も写っています。

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

正面にも天平の大きな肖像写真。

イメージ 5

時間となり、開会。

イメージ 6

まずは荒井さんによる天平作品の朗読でした。

イメージ 7

イメージ 8

兄・心平の詩が、ある意味「ぶっ飛んでいる」のに対し、弟・天平の詩はかなり穏健です。しかしそこはやはり兄弟、相通じるものを感じました。詩だけでなく、散文の朗読もありましたが、そちらも骨太で芯のしっかりした文体、きまじめな天平の性格がよく表れていました。荒井さんの朗読も相変わらず心地よい響きで耳に入ってきました。

その後はギターソロで、天平が愛したというシューベルトの「鱒」やイギリス系のスタンダードナンバー、さらに再び荒井さんが合流して今度は歌を。荒井さんの歌は初めて拝聴しましたが、かわいらしい歌声でした。

イメージ 9

イメージ 10

約1時間、肩の凝らないプログラムでした。

終演後、天平のご子息・草野杏平氏のご挨拶。

イメージ 11

杏平氏、かつて連翹忌にご参加いただいていました。

その後、杏平氏や荒井さんとお話をさせていただき、帰途に就きました。

時間的にまだ早かったので、いわき市街に出、いわき湯本温泉の日帰り入浴施設「さはこの湯」さんに寄り、温泉を堪能しました。何と230円で入れます。

000


3年半前、川内村での心平を偲ぶ「かえる忌」の帰途にもここに寄りました。その際は「智恵子抄」などの光太郎詩にオリジナルの曲をつけて唄われているモンデンモモさん、ピアニストの砂原ドルチェ嘉博さんらと一緒でした。

その時はそうでもなかったのですが、一昨日はかなり混んでいました。震災からの復興もある程度進み、人が戻ってきているのだな、と実感しました。いいことですね。


【折々の歌と句・光太郎】

天然の湯に身をひたしわがきくは遠き地中の隠密の声
大正13年(1924) 光太郎42歳

というわけで、温泉を謳った作品です。生涯「自然」を愛した光太郎ですので、温泉にも地球のエネルギー的なものを強くイメージしているようです。

一昨日の『読売新聞』さん、愛媛版の記事です。 松山市で行われた「響け!!言霊 第8回“ことばのがっしょう”群読コンクール」についてです 

言葉 小中生が体で表現 ◇松山で群読コンクール500人競う

 複数人による詩の朗読のコンクール「響け!!言霊“ことばのがっしょう”群読コンクール」が21日、松山市堀之内の市民会館であった。小中学生の22グループ約500人が響き合う表現の美しさを競った。
 子規のまちとして言葉を大切にしていこうと、松山市などが2009年から続けている。今回のテーマは「伝えたいメッセージ」。各チームは詩や歌詞などを3分以内の群読作品に構成。高村光太郎や谷川俊太郎さんの詩、槇原敬之さんの歌「世界に一つだけの花」などを、舞台で身ぶりを交えながら群読した。
 最優秀の大賞に輝いたのは、松山市立伊台小3年のチーム「とにかくわっしょいIdai3」。お祭りを表現した北原白秋の詩を、約50人で威勢よく表現した。河野若菜さん(9)は「お祭りの詩を群読していると楽しい気持ちになってくる。みんなで練習した力を出し切れた」と誇らしげだった。


イメージ 1

「ことばのがっしょう」というコンセプトがいいですね。本当の合唱となると、ある意味、敷居が高い部分がありますが、朗読であれば、奥は深いものの、とりあえず入り口はそれほど抵抗なく入れるような気がします。さらに群読となると、助け合うことができますし、役割分担などの面でも教育的効果が期待できるのでしょう。

そして何より、こうした活動を通じてやはり「ことば」を大切にする姿勢を身につけてほしいものです。そうした部分では、光太郎の詩は、やはり奥深いものがありながら、入り口は小学生でも入りやすい部分があります。当方も小学生の時に「道程」や「智恵子抄」の詩篇に触れたのがこの世界に入ったきっかけでした。

さらに願わくは、奥深いその奥まで興味を持ってくれるお子さんが増えてほしいものですね。




追記 YouTubeさんに動画がアップされていました。光太郎詩「怒」(昭和2年=1927)を群読してくださった、愛媛大学教育学部附属中学校さんのものです。

【折々の歌と句・光太郎】

隧道を出れば雪なり国境      明治42年(1909) 光太郎27歳


有名な川端康成「雪国」の冒頭「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」を思わせますね。しかし「雪国」の執筆は昭和10年(1935)。25年以上前に光太郎が同じような発想で句を詠んでいます。

今朝も冷え込んでいました。本格的な春までもう少しの辛抱かな、と思います。

東京大田区からの朗読系公演情報です。 

朗読劇「レモン哀歌」

期  日 : 2016年3月6日(日)
時  間 : 開場 19:15    開演 19:30
会  場 : 大田区民ホール・アプリコ(小ホール) 大田区蒲田5-37-3
出  演 : 西村守正 成瀬麻紗美 小堀好美 菊川竜馬 三木理恵子 國山菜穂子 高山真利
演  出 : 柳原さや
料  金 : 2,500円(全席自由・前売当日共)

イメージ 1


平成25年(2013)にも、同一のデザインのチラシが使われた公演がありました。よくわかりませんが、内容も同一なのでしょうか。

3月から4月にかけ、この手の公演で光太郎智恵子の世界を扱うものをいくつか把握しています。順次ご紹介していきます。


【折々の歌と句・光太郎】000

天そそる家をつくると女(をみな)より生れし子等は今日も石切る
明治40年(1907) 光太郎25歳

光太郎滞米中の作品です。建材用の石を切り出す職人さんたちを謳ったもの。

ところで、「天そそる家」とまでは行きませんが、今週から当方自宅兼事務所に、屋根と外壁のリフォーム工事が入っています。

現在、足場に囲まれて居る状態で、毎日、職人さんたちが入れ替わり立ち替わりいらして作業されています。

不耕貪食の身としては、ものを作ったり直したりの職人さんたちを本当に尊敬します。

最近入手した2枚組CDです。発行は先月でした。声優の能登麻美子さんの朗読CDです。 
2016年1月8日 文化放送 定価3,000円
出演 能登麻美子  ジャケット AYA KAKEDA

イメージ 1

CD-1「シグナルとシグナレス」(宮沢賢治)

CD-2「能登麻美子おはなしNOTEアーカイブ」*データCD
 1 録り下ろしトークパート
 2 サラダの謎  中谷宇吉郎
 3 雨ふり坊主  夢野久作(香具土三鳥)
 4 雨と子供  宮本百合子
 5 珈琲店より  高村光太郎
 6 兵士と女優  渡辺温
 7 碁石をのんだ八ちゃん  有島武郎
 8 赤いろうそくと人魚  小川未明
 9 卵  夢野久作
 10 詩の特集(2014夏)
 11 停車場の少女  岡本綺堂
 12 かちかち山  楠山正雄
 13 ブレーメンの町楽隊  グリム兄弟
 14 秋の幻  豊島与志雄
 15 月下のマラソン  牧野信一
 16 竹取物語  訳:和田万吉
 17 椎茸の話・美味い豆腐の話  北大路魯山人
 18 詩の特集(2014秋)
 19 子供に化けた狐  野口雨情
 20 最後の晩餐  フィオナ・マクラウド
 21 猿蟹合戦  芥川龍之介
 22 蜘蛛の糸  芥川龍之介
 23 薄田泣菫の随筆特集  薄田泣菫
 24 みみず先生の歌  村山壽子
 25 『若草物語』より「たのしいクリスマス」 ルイーザ・メイ・オルコット
 26 手袋を買いに  新美南吉


文化放送さんが運営しているインターネットラジオ、「AG-ON」で放送されている「能登麻美子おはなしNOTE」という番組で扱われた朗読を集めたものです。

パリ留学中の出来事を回想して書かれた光太郎のエッセイ「珈琲店より」(明治43年=1910)が含まれています。パリジェンヌと一夜を過ごした翌朝、鏡の中の自分を見て、ある種の人種的劣等感を感じ、また、結局、西洋人は理解不能なのだとの思いを改めて感じた、という内容です。青空文庫さんで読むことができます。

能登さんは以前から光太郎作品の朗読に取り組んで下さっています。昨年のこのブログに毎日掲載していた【今日は何の日・光太郎 拾遺】でご紹介させていただきましたが、平成17年(2005)に発行された雑誌『アニメーションRE 創刊号』付録のDVDには、能登さんによる、『智恵子抄』巻末近くの光太郎詩「亡き人に」の朗読が収められていました。

イメージ 2

今回の「珈琲店より」の朗読も、しっとりと落ちついた美声での朗読で、女性の声でありながら違和感なく耳に入ってきます。


ぜひお買い求めを。


【折々の歌と句・光太郎】

をのこにてさふらふゆゑにくちあけばをみなのことをつねいひはべる
明治42年(1909) 光太郎27歳

今日はバレンタインデー。光太郎が歿した昭和30年代くらいから、チョコレートを贈るという習慣が日本に広まり始めたそうです。

しかし光太郎、正直ですね(笑)。

光太郎智恵子の世界は、様々な分野で活躍されている表現者の皆さんの表現意欲をそそるようです。ネットで見つけた近々行われる『智恵子抄』を題材とした公演の情報を2件。 

言葉と音の交差点

期   日 : 2016年1月22日(金)
時   間 : 開場 19:00  開演 19:30
会   場 : ライブハウス アピア40 東京都目黒区碑文谷5-6-9 B1 03-3715-4010
料   金 : 前売2200円+1drink / 当日2500円+1drink
出   演 : 
 伊藤美友(演劇)
 飯塚直(いいづかなお/各種リコーダー&古楽のパーカッション)
 仁木恭子Niki Yasuko Aizawa(朗読)
 航KOH(ピアノ)

~演劇・音・朗読・歌が出会い、歩み、弾け、放たれる。
永遠 時の流れ 私たちの交差する瞬間を!ご来場を心よりお待ちしております。~
1stステージは『永遠』をテーマに演劇と音楽そして歌、2ndステージは『智恵子抄』の朗読と音楽のコラボをお送り致します。

イメージ 1


続いて九州大分から。ただし、既に満席だそうです。しかし、キャンセル等もあるかもしれませんし、とりあえずご紹介しておきます。 

風の音書店 with 足立弓子「智恵子抄」

期   日 : 2016年2月6日(土)
時   間 : 開演 19:30
会   場 : アートプラザ市民ギャラリーA 大分市荷揚町3-31
料   金 : 無料
出   演 : 
 風の音書店 (語り部カズミ・ライア弾きKodama・歌うたいShin)
 足立弓子 (魂のダンサー)

魂のダンサー 足立弓子 & 風の音書店 幻のコラボが4年ぶりに復活します。

題材は高村光太郎「智恵子抄」。

音楽はイギリス・ルネサンスのリュート奏者&作曲家ジョン・ダウランド(Joho Dowland 1563?-1626 )のリュート歌曲。
今回のライブは、カラフル・モノクローム~豊田照郊追悼水墨画作品展 (2月1日~7日)への、友情出演として開催されます。 豊田照郊氏の水墨画は水墨画の固定概念を覆すモダンさ。そのカラフルモノクロームな空間に此の花さくやAkemiの大胆な花あそび。

ステージは完璧です。そしてライアと歌と語りをバックに弓子の即興の舞。どんな世界が展開されるのか、 幕を開けてみるまで分かりません(笑)。


イメージ 2


こうした取り組みがもっともっと広がって欲しいものです。


【折々の歌と句・光太郎】

乗るとすぐひゐきのゝ字を書いて落ち  明治38年(1905) 光太郎23歳

昨日ご紹介した「横町の狗まで地図にかいてなし」と同じく、小説家・山岸荷葉にあてて書かれた絵葉書にしたたtめられました。やはり自転車での転倒に題を採った川柳です。「ひゐき」は「力を込めて」の意。

前年から光太郎は神田の高折周一音楽講習所でのヴァイオリンのレッスンに通い始めたとのこと。束脩(入門料)は1円、月謝は1円50銭。自転車の荷台にバイオリンをくくりつけて通ったそうです。

イメージ 3

昨日、地上波フジテレビさんの系列で放映されている情報番組「ノンストップ!」で、西城秀樹さんによる光太郎詩「道程」(大正3年=1914)の朗読の話題が紹介されました。

テレビ番組情報サイト等で、「高村光太郎」「道程」といった単語が使われていなかったので見落としていたのですが、一昨日、花巻高村光太郎記念会さんから「光太郎肖像写真の画像を提供した」旨のメールを戴いて知った次第です。

先週のこのブログで2回にわたりご紹介した「「世界・日本名作集よりリーディング名作劇場「キミに贈る物語」~観て聴いて・心に感じるお話集~」 (渋谷Bunkamuraシアターコクーンで西城さんは12/3(木)、12/4(金)にご出演)の様子と、楽屋でのインタビューなどから構成されていました。

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

2回、脳梗塞を発症した西城さん、後遺症と闘いながら、今回初めて朗読に挑戦。

イメージ 4

光太郎の「道程」を取り上げて下さいました。

イメージ 6

イメージ 5

よく知られている9行の短い決定型(大正3年=1914の10月、詩集『道程』に収めたバージョン)ではなく、同じ年の2月に雑誌『美の廃墟』に発表した102行ある長いバージョンの中から抜粋して朗読されたようです。

長い原型バージョンはこちら。ちなみに今年4月にリニューアルオープンなった花巻高村光太郎記念館さんでは、声優の堀内賢雄さんによるこの長いバージョンなどの朗読が聴けるコーナーを設けてあります。

西城さん、報道で脳梗塞からのリハビリ中とは存じていましたが、映像で見ると、ほんとうに一語一語、絞り出すように語られていて、「ここまでの状態なのか」と、ある意味、ショックでした。しかし、そういうご自分の状態を隠さずに、あえて現状を公表する姿に感銘を受けました。

その後、楽屋でのインタビュー。

イメージ 7

イメージ 8

旋律に乗せて「歌う」より、「喋る」方が困難だそうです。そういわれてみると、吃音の障害のある人も、歌になると滑らかに歌える場合があり、なるほど、と納得しました。

イメージ 9

イメージ 10

あえてその困難な朗読に挑戦する姿には、頭が下がります。同様のご病気などで闘病中の皆さんの励みになるのではないでしょうか。

イメージ 11

その意気で、今後もがんばり続けて下さい!


さて、テレビついでに今夜の番組をご紹介します。昨日になって詳細情報が出ました。

美しい日本に出会う旅 憧れの紅葉・絶景スペシャル~錦秋の北アルプス・京都・奈良

BS-TBS 2015年12月9日(水)  19時00分~20時54分

美しい日本へ!行ってみたいあこがれの地。この目で見てみたい、あの絶景。味わってみたい絶品料理。今回は日本全国紅葉の絶景を楽しむ2時間スペシャル。
日本の秋の醍醐味は、錦に染まる紅葉。名所から穴場まで、2015年の紅葉を味わい尽くす2時間スペシャルです。京都では、秀吉が夢見た紅葉狩りの地から、とっておきの隠れ紅葉を訪ねます。東北の百名山・安達太良山は、見渡す限りの紅葉に染まります。奈良の聖地・天川村も紅葉一色。名物・柿の葉寿司も秋だけの紅葉色に!そして上高地へ抜ける、憧れの北アルプス紅葉街道へ。白骨温泉のにごり湯で、贅沢な紅葉狩り。もう一度、今年の紅葉を心に焼き付けましょう。

旅の案内人 中村七之助

イメージ 12

智恵子が「ほんとの空」(「あどけない話」)があるといった、安達太良山が取り上げられます。ぜひご覧下さい。


【今日は何の日・光太郎 拾遺】 12月9日000

平成21年(2009)の今日、桑田佳祐さんのシングルCD「君にサヨナラを」がリリースされました。

カップリング曲に「声に出して歌いたい日本文学 <Medley>」。18分42秒の大作で、「あどけない話」を含む近代日本の名作文学の一節を歌詞としています。ラインナップは以下の通り。

汚れつちまつた悲しみに(中原中也)/あどけない話(高村光太郎)/人間失格(太宰治)/みだれ髪(与謝野晶子)/蜘蛛の糸(芥川龍之介)/蟹工船(小林多喜二)/たけくらべ(樋口一葉)/一握の砂(石川啄木)/吾輩は猫である(夏目漱石)/銀河鉄道の夜(宮沢賢治)

この曲は、平成24年(2012)発売のアルバム「I LOVE YOU -now & forever-」にも収録されました。

昨日ご紹介した西城秀樹さんの「道程」朗読について、やはりスポーツ紙各紙が取り上げています。 

西城秀樹 脳梗塞の後遺症でまひ残るも朗読劇出演、4曲熱唱

 歌手の西城秀樹(60)が出演する朗読劇「キミに贈る物語~観て聴いて・心に感じるお話集~」が3日、東京・渋谷のシアターコクーンで初日を迎えた。

 高村光太郎の詩「道程」を朗読。2度の脳梗塞を患い右半身まひの後遺症があるだけに、発声に苦労する場面も見られた。朗読だけでなく、デビュー曲「恋する季節」(72年)など4曲を歌唱。歌声はしっかりとした印象で、座りながらの熱唱に満場の拍手が起きた。

 師走を迎え「体調は良くない。寒いから」と説明。「公園を歩く練習をしている」とリハビリの様子を明かした。取材陣から「一年を振り返ると?」と聞かれ「女房によくしてもらったこと」と、笑みを浮かべた。

 市原悦子(79)浅野温子(54)らが出演。6日まで。西城のステージは4日まで。
(スポーツニッポン 12月4日(金)8時9分)
 
001

西城秀樹が朗読劇に初挑戦「僕の今にぴったりだな」

 脳梗塞で闘病中の西城秀樹(60)が3日、初めて朗読劇に挑戦した。

 「リーディング名作劇場 キミに贈る物語」(東京・渋谷のシアターコクーン、6日まで)の出演者の1人として、デビュー曲の「恋する季節」など交えながら高村光太郎の「道程」を朗読した。「『道程』は僕の今にぴったりだなと思って選びました。感じるものがありますね」。懸命のリハビリを続けているが、右半身と言葉に障害が残る。朗読はリハビリにいいと今回の挑戦となった。西城の出演は今日4日まで。
(日刊スポーツ 12月4日(金)8時5分) 

市原悦子、完全復活アピール「舞台に立つことが楽しいわ」

 歌手、西城秀樹(60)が3日、東京・渋谷のBunkamuraシアターコクーンで行われた朗読劇「キミに贈る物語~観て聴いて心に感じるお話集~」(6日まで)の初日を迎えた。

 2003年以降、2度の脳梗塞を発症したが、デビュー曲「恋する季節」の歌唱や高村光太郎の詩「道程」の朗読を力強く披露。「リハビリで公園を歩く練習をしています」と報告し、「今年は女房に良くしてもらった」と笑顔をみせた。

 先月12日の同舞台の製作発表を風邪のため欠席した女優、市原悦子(79)は「舞台に立つことが楽しいわ」と完全復活。浅野温子(54)も出席した。
サンケイスポーツ 12月4日(金)7時0分


同様の病などで闘病中、といった方々の励みになれば、と思います。いつまでもお元気で!


【今日は何の日・光太郎 拾遺】 12月5日

昭和17年(1942)の今日、岩波書店のPR誌『図書』第83号終刊号が発行されました。

「終刊号」と謳っていますが、戦後になって復刊、現在も続いています。

この号には、前月3日に大東亜会館で行われ、光太郎も来賓として出席したた岩波書店の回顧三十年感謝晩餐会のレポートが大きく掲載されました。

光太郎は挨拶の中で、岩波書店を讃える詩「三十年」を朗読。また、岩波合唱団により、光太郎作詞・信時潔作曲の岩波書店店歌「われら文化を」が披露されました。

また、「三十年」、「われら文化を」(楽譜も)ともに掲載されました。

イメージ 1  イメージ 2

イメージ 3  イメージ 4

昨日夕刻以降、スポーツ新聞各紙のサイトに「高村光太郎」の文字が多発しました(笑)。

闘病中の西城秀樹「リハビリにいい」初朗読劇に挑戦

 脳梗塞と闘病中の西城秀樹(60)が3日、初めて朗読劇に挑戦した。
 「リーディング名作劇場 キミに贈る物語」(東京・渋谷のシアターコクーン、6日まで)の出演者の1人として、デビュー曲の「恋する季節」など交えながら高村光太郎の「道程」を朗読した。「最初に読んだとき、あっ僕の今にぴったりだなと思って選びました。感じるものがありますよね」。2011年に脳梗塞が再発し、懸命のリハビリを続けているが、右半身と言語に障害が残る。
  「公園を歩く練習をしていますが、寒くなると(体調は)あまりよくない」という。朗読はリハビリにいいと今回の挑戦となった。
  今年1年を振り返って「早い感じがするね。いいこともあり悪いこともありだけど、思い出に残るといえば女房に良くしてもらったこと」と話す西城の出演は4日まで。
(日刊スポーツ 12月3日(木)17時13分配信)
 

西城秀樹 リハビリしながら舞台に!「今は良くない」

 歌手・西城秀樹(60)が3日、都内で朗読舞台「キミに贈る物語~観て聴いて、心に感じるお話集~」(3~6日・Bunkamuraシアターコクーン)の公開リハーサルを行った。
 公演は浅野温子(54)が童謡を、市原悦子(79)が歌を交えた昔話を朗読したり、バラエティーに富んだステージを展開。
 その中で西城は「不死鳥~ヤングマンよ永遠に~」と題した歌唱ステージを披露する。
 ヒット曲「ブルースカイブルー」などを熱唱した西城。合間には高村光太郎の詩「道程」を朗読した。高村の詩について「今のぼくにぴったりの詩で感じるものがあった」と笑顔を見せる。
 2度の脳梗塞から復帰し、現在もリハビリをしながらステージに立ち続ける。師走の寒さもあり「今は良くない」と体調について語るも「リハビリとして公園を歩く練習をしています」と語った。
 今年1年を「早い」と振り返ると「いいことも悪いこともある1年。思い出に残ることといえば、女房に良くしてもらったことかな」と伝えた。
(東京スポーツ 2015年12月3日 17時31分)
 

西城秀樹、今年の良い思い出は「女房」

 歌手の西城秀樹(60)が3日、都内で「キミに贈る物語~観て聴いて・心に感じるお話集」(3日~6日、Bunkamuraシアターコクーン)公開リハーサルに登場し、今年の思い出を聞かれ「女房に良くしてもらったこと」と語り、同席した女優の市原悦子(79)、浅野温子(54)から拍手を浴びた。
 西城は今回の舞台では数々のヒット曲に乗せて、高村光太郎の有名な詩「道程」を朗読する。「最初に読んだ時、僕の今、という感じがした。感じるものがあった」と感銘を受けたことを告白。2度の脳梗塞を乗り越え、今回の舞台に立つ自分の姿と詩を重ねている様子だった。
 体調に関しては「あまりよくない。寒いから」と語り、万全ではないようだが、「リハビリで公園を歩いている」と体調の回復に努めていることを明かした。
(デイリースポーツ 2015年12月3日 17時01分


まだありましたが、ほぼ同一の内容なので割愛します。


「ほう、そんなイベントがあるのか」ということで、調べてみました。 
公演日程
 2015/12/3(木)19:00開演
 2015/12/4(金)19:00開演
 2015/12/5(土)15:00開演/19:00開演
 2015/12/6(日)15:00開演
会   場 : Bunkamuraシアターコクーン 東京都渋谷区道玄坂2丁目24-1
主   催 : リーディング名作劇場公演実行委員会
制作協力 : エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ プロデュースNOTE
出   演 :
12/3(木)19:00開演 
 市原悦子 浅野温子 西城秀樹 佐藤正宏(WAHAHA本舗) 菜月チョビ(劇団鹿殺し) 増田有華
12/4(金)19:00開演
 市原悦子
浅野温子 西城秀樹 佐藤正宏(WAHAHA本舗) 竜小太郎・カムイ(大衆演劇)
 内田恭子
12/5(土)15:00開演
  市原悦子 浅野温子 中川晃教 佐藤正宏(WAHAHA本舗) 竜小太郎・カムイ(大衆演劇)
 ※ゲスト・加賀美幸子(元NHKアナウンサー)
12/5(土)19:00開演
  市原悦子 浅野温子 中川晃教 佐藤正宏(WAHAHA本舗) 菜月チョビ(劇団鹿殺し)
 ※ゲスト・加賀美幸子(元NHKアナウンサー)
12/6(日)15:00開演
  市原悦子 浅野温子 大空祐飛 佐藤正宏(WAHAHA本舗) 折井あゆみ 内田恭子
 ※ゲスト・加賀美幸子(元NHKアナウンサー)

市原悦子 歌語り「日本昔ばなし~年老いた女役者の歌~」
どこからか女役者が現れ、日本昔ばなしを語りはじめる......。素晴らしい日本語から生まれた心に響く詩の数々を朗読しながら、自らの人生をも歌いだす。語りあり、歌ありの一人芝居の幕が開く。

浅野温子 よみ語り「古事記神話ものがたり~義父が与えた試練~」ほか
神々はどうしてこの世に現れ、素敵な国を作られたのか。また恋はどうして生まれたのか。日本の原点ともいわれ、古くから伝わる「古事記」の物語を、素敵な音楽とともに読み語る。

西城秀樹 歌語り「不死鳥~ヤングマンよ永遠に~」
二度の病に遭われても、再び立ち上がった西城さん。ご自身の人生を心温まる歌声で響かせる。

大空祐飛 歌語り「歌こそわが愛~世界名作集より~」
宝塚のトップを務めた彼女が、世界の名作集から有名なお話を美しく語る。素敵な歌声に思わず耳を傾ける、愛のドラマ。

中川晃教 歌語り「百万本のバラ」
ロシアで生まれたこの曲は、加藤登紀子さんが自ら日本語に翻訳し、多くの人を魅了してきた。今回は、この歌ができるまでの心温まる物語を歌で語りながら、名曲が生まれきたドラマをご紹介する。

佐藤正宏(WAHAHA本舗) 紙芝居「黄金バット」
当時、こどもから大人までが酔いしれた紙芝居「黄金バット」。今回はこの作品がなぜ生まれたのか、そして多くの人たちをどのように救ったのか、ヒーロー伝説を各回ごとにご紹介する読み切り紙芝居。

竜小太郎&カムイ(大衆演劇)舞語り 「曽根崎心中」
近松門左衛門の名作浄瑠璃「曽根崎心中」。お初と徳兵衛が描き出す"死の恋路物語"を艶やかな姿で語り合う。歌で舞う初の舞語りに、今、若手大衆演劇で注目を浴びる二人が挑戦する。

菜月チョビ(劇団鹿殺し) 朗読「いのちのケイタイ~葉っぱのフレディーより~」
今や、誰にとっても無くてはならない時代になった携帯電話。そこから、生き別れた我が子に最後のメッセージを読み聞かせる、心温まるお話。

増田有華 朗読 「マッチ売りの少女」
今なお世界中のこどもたちに読み継がれている、アンデルセン童話「マッチ売りの少女」。冬空の中にたたずむ少女のせつない思いを、心を込めてお届けする。

折井あゆみ 朗読「北風と太陽」
寓話と呼ばれ、こども向けでありながら大人も考えさせられるイソップ物語。多くの人が、こどもの頃に耳にしたこのお話を、楽しくユーモラスに語る。

内田恭子 朗読「蜘蛛の糸」
日本の文豪・芥川龍之介が手掛けたはじめての児童文学作品。この名作から紡ぎ出された素敵な日本語を伝える。

ゲスト:加賀美幸子(元NHKアナウンサー) 朗読「楽しく・やさしく読む漢詩」
長年NHKでアナウンサーを務め、数多くの名作を語ってきた中から、日本語の原点ともいえる漢詩の魅力を、わかりやすく、楽しく披露する。解説を交えながら、古典文学の素晴らしさや真髄を語る。


2015年6月、好評を博したリーディングが装いも新たに帰ってきました。 よみ語りあり、歌語りあり、もちろん紙芝居もあり。
 日本語による心温まる沢山の「キミに贈る物語」再度、幕が開く!!
古くから日本は、物事を伝えるために日本語を巧みに使うとともに、よみ語り、歌語り等、様々な伝達方法をも生み出し、育てて来ました。
時代とともに作り上げ、鍛え抜かれ、そして滋養に満ちた日本語の言葉を綴った小説・詩から童話・昔話や、浄瑠璃や能・狂言、そして、芝居・落語・歌詞など数々の作品の中から選りすぐり、老若男女、様々な方々に堪能頂ける語り手とで織りなす公演を開催。
今回も語り手は俳優、歌手、そしてタレントの第一人者の方々にご出演頂き、朗読あり、歌あり、観て聴いて心で感じることのできるお時間をお届けします。

イメージ 1


なるほど、そういうことでしたか、という感じでした。公式サイトには「光太郎」とか「道程」とかの文字が入っていないので、網に引っかかりませんでした。

西城さんのご出演は、昨日と今日限りなのですね。続報的に「西城秀樹(60)が、高村光太郎の「道程」を力強く朗読した。」的な記事が出ることを期待します。

それにしても、西城さんももう還暦ですか……。渡辺えりさんが還暦だと言われても、全く違和感なく納得なのですが……(笑)。

リハビリ中だそうですが、光太郎の如く、不屈の精神で道を切り開いていっていただきたいものです。


【今日は何の日・光太郎 拾遺】 12月4日

昭和26年(1951)の今日、花巻郊外太田村の山小屋で、穴蔵に農作物を入れました。

当日の日記の一節です。

穴ぐら(室内)整備、大根、ジヤガ、白菜、キヤベツ、リンゴ等を入れる。

雪国では今も屋内の地下等に穴蔵を設け、野菜類を土に埋めて保存している家庭があるそうです。

↑このページのトップヘ