カテゴリ:音楽/演劇等 > 朗読

NHKカルチャーさんのオンライン講座です。

心に響くオンライン朗読講座~基本スキル編

期 日 : 2024年11月8日(金) 11月22日(金) 12月13日(金)
時 間 : 10:30~12:00
料 金 : 9,900円

講 師 : 朗読家・神戸女学院大学非常勤講師 川邊暁美

ご自宅で安心!マスクを外してのびのび楽しみましょう♪

声の響きや作品の息遣いを楽しみながら、朗読の世界に心を遊ばせてみましょう。
伝わる声づくりから明瞭な発音、声の表現力の磨き方、朗読の基本をオンラインで受講していただけます。声と言葉の豊かさは心の豊かさ。人生をより豊かに、実りあるものにしてくれます。ぜひ、朗読にチャレンジしてみてください。

●1回目:ここちよく声を出すために
 (練習作品)『あどけない話』(高村光太郎)『こだまでしょうか』(金子みすゞ)
 伸びやかな声のためのストレッチ、声を心を安定させる腹式呼吸、明瞭な発音の基本
●2回目:声の可能性にチャレンジ
 (練習作品)『やまなし 五月』(宮沢賢治)
 ベストボイスを探す、苦手な発音を克服、声の5要素を深める
●3回目:声の表現力を広げる  
 (練習作品)『やまなし 十二月』(宮沢賢治)
 朗読の手順、作品の息遣いを伝える表現
 
持ち物
●PC、タブレット(LANケーブルもしくはwi-fiに接続し、通信環境の良い所から参加してください)
●マイク付きイヤホンを使う等、音声のやり取りができる状態でご受講ください。
●事前にビデオ会議ツールZoomアプリをインストールしてください。文化センターホームページ【オンライン講座受講前の準備】参照。

備考
●Zoomミーティングの招待メールは2-3日前にお送りします。必ず事前に登録のうえ、音声テストもお済ませください。
●各回の資料は招待メールに記載のURLからダウンロード願います。可能な方はプリントアウトして当日お手元にご用意ください。
●ミーティング形式で行いますので、参加者のお顔が映ります。
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講師の川邊暁美氏、今年1月にも光太郎の散文「智恵子の紙絵」(昭和14年=1939)も題材に含んだ講座をなさってくださいましたし、どうしたわけかご紹介するのを失念していました(すみません)が、先月も「智恵子抄」から作品を採っての講座講師を務められました。

常々書いていますが、光太郎文筆作品、詩にしても散文にしても、意外と朗読向きです。字面を目で追っただけではそうも感じられないのですが、実際に声に出してみると、または他の方の朗読を聴いてみると、内在律といいましょうか、自然律といいましょうか、心地よい独特のリズム感にあふれています。ひそかに韻なども多用されており、光太郎がフランス語の習得のために触れたヴェルレーヌやらの詩の影響が見て取れるような気がします。

ご興味おありの方で、Zoom使用環境が整われていれば、ぜひどうぞ。

講座ついでに、講座というより講演、さらにいえば公開対談というかトークショーというかですが、今月10日開幕の「中野を描いた画家たちのアトリエ展Ⅱ」の関連行事としての、渡辺えりさんと当方による「連翹の花咲く窓辺…高村光太郎と中西利雄を語る」(11月10日(日) 14:30~16:30  会場:なかのZERO 無料)。

3日程前の段階で、申し込みがまだ定員に達していないとのこと。
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Facebookでは「イベント」を作成してもう一度呼びかけてみましたが、こちらでも改めて宣伝させていただきます。お忙しい折とは存じますが、絶対に面白い内容となるはずですので、ぜひどうぞ。

お申し込みはこちら

【折々のことば・光太郎】

父や母の事なら書きいいのですがどうも自分の細君の事となると気がさしてくだくだと書けなかつたのでした。 そのくせ詩には時々出てくるのですが、変なものです。

昭和25年(1950)3月7日 小田切進宛書簡より 光太郎68歳

光太郎にしては珍しく、執筆の約束をしていながらぶっちぎってしまった(笑)件に関わります。

小田切が勤務していた改造社で発行していた『女性改造』のこの年四月号には、智恵子紙絵の原色版グラビア5点が4ページにわたり掲載され、「想い出 高村光太郎 解説 真壁仁(本文参照)」のキャプションが添えられています。

しかし本文には光太郎の「想い出」という文章はなく、真壁による「高村智恵子遺作切抜絵について」のみが4ページにわたり掲載され、その欄外に「口絵に『想い出・高村光太郎』となっていますが、 筆者の余儀ないご都合により本号に掲載できませんでした、右 おことわりいたします(編集部)」の注記があります。おそらくその注記を書いたのが小田切だったのでしょう。「余儀ないご都合」と言いつつ、後回しにしていたら忘れてしまっただけなのですが(笑)。

もし忘れていなければ、この時点で改めて書かれたはずの智恵子に関する「想い出」。読んでみたかった気がします。

光太郎詩の朗読がプログラムに組み込まれている演奏会情報を2件。

まずは演奏会と言うよりインスタレーションの一部ですが。

余白露光 テルミンと民族楽器のライブ演奏

期 日 : 2024年10月26日(土)
会 場 : 旧逗子高等学校武道場 神奈川県逗子市池子4丁目1025
時 間 : 14:00〜15:00
料 金 : 無料

出 演 : テルミン(大西ようこ) 民族楽器(杵淵三朗)
      朗読(聖和学院中学校・髙等学校 美術部)

 切絵、映像、音楽のインスタレーション展示。
 旧逗子高等学校の武道場という広い空間に、逗子の学校の生徒さんとの共同製作の切り絵を含めて立体的に作品を配置、逗子市の風景をつなげた映像を投影します。切り絵を抜けた光は映像につれて時々刻々と変化し、来場者が光の中を歩いて中央に設置されたテルミンに近づくと、テルミンが発する音が変化します。
 昨年の逗子アートフェスティバルの参加型インスタレーション企画「余白の自然」において、別アーティストによって制作されたオブジェも一部、コラボレーション展示される予定です。
各日14時より日替わりで専門家によるテルミン演奏あり。
 最終日26日には、14時より、テルミンと民族楽器のライブを行います。
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以前にもちらっとご紹介した「余白露光~境界剪画(切絵)、映像、音楽のインスタレーション」の一環で、展示自体は10月12日(土)から始まっています。電子楽器・テルミンを展示に組み込んだり、テルミン奏者の方々の演奏が為されたりしています。

で、最終10月26日(土)に、切り絵も担当された地元の聖和学院中学校・高等学校美術部の生徒さんによる詩の朗読に乗せ、テルミン奏者・大西ようこさんの演奏。詩は「ウクライナの子守唄 夢は窓辺を過ぎて」、峠三吉「原爆詩集」より、そして「智恵子抄」から「風にのる智恵子」だそうです。

大西さん、10月19日(土)にも演奏をなさったそうですが、その際には箏曲奏者の元井美智子さんとのコラボで、先月、やはり逗子で開催された「テルミンミュージアム4周年記念~人数限定のスペシャルなライブ~」に組み込まれていた「智恵子抄」の演奏もされたとのこと。急遽決まったようで、こちらでは事前に告知できませんでしたが。


今度は中高生の朗読。聖和学院中学校・高等学校美術部の生徒さんたち、期間中にこれまでも他の演奏者の方々と朗読のコラボをなさったそうです。そして26日(土)が千秋楽。

ぜひ足をお運びください。

もう1件、京都から。

文星堂 定期演奏会 秋の音楽会

期 日 : 2024年10月27日(日)
会 場 : 文星堂 京都市伏見区醍醐下山口町1
時 間 : 13:30~
料 金 : 無料

10/27秋の音楽会(入場無料)今回の朗読担当は京ふさこさんです!

朗読  智恵子抄より「樹下の二人」
歌 「サンタルチア」     「荒城の月」     「私の愛の日々」など
演奏  バッハ 2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043

朗読:京ふさこ  歌:吉岡誠 喜多村澄映  ヴァイオリン:細辻都美子 堀井明子
ピアノ:出野奈穂子 細辻都美子 池田彩乃 吉岡亮
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コンサート専用ブースではなく、あくまでも、本屋と古物のお店です。お客様には、お詰め合わせのうえ、お座りいただくことをご了承いただきご参加くださいませ。しかしながら、そのおかげか、お客様と演奏者との距離が近く、間近で迫力ある音をお楽しみいただけますよ^^」だそうです。

きちんとしたホールでの演奏会ももちろんですが、こうしたアットホームなそれもいいものです。

こちらもぜひ足をお運びください。

【折々のことば・光太郎】

亡妻智恵子の思出を書きましても、それは「妻」といふやうな一つの典型を成す事は出来ない気がいたします、相互の愛こそありましたが、智恵子は御承知の通りの病疾者でありましたし、又決して普通にいふ妻の資格を備へてゐる女性でもなかつたのでありました。


昭和25年(1950)1月11日 松下英麿宛書簡より 光太郎68歳

松下が務めていた中央公論社で、「母」「妻」といったテーマごとのアンソロジーのシリーズを企画、「妻」の巻に智恵子の思い出を書き下ろして欲しい、というような依頼があったようで、それへの返答です。

戦前には「智恵子の半生」という長い随筆を書き、『智恵子抄』にも収められましたが、その際は自分の中で智恵子との日々を総括するといった意味がありました。今、この時期に改めて、という気にはならなかったのでしょうし、「智恵子の半生」でも語ったように、自分たち夫婦のケースはあまりに特殊で、一般の人々の普遍的な参考にはしがたい、という考えもあったのでしょう。

智恵子のソウルマウンテン、福島二本松の安達太良山腹で朗読会が開催されます。

安達太良山「智恵子抄」朗読会

期 日 : 2024年9月16日(月・祝)
会 場 : 薬師岳パノラマパーク 福島県二本松市永田長坂国有林
時 間 : 10:00~
料 金 : 5,000円(含ロープウェイ料金、昼食代)

ほんとの空がある安達太良山で「智恵子抄」の朗読をしてみませんか? 生涯の思い出に是非ご参加ください。

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智恵子の故郷・二本松で、智恵子顕彰事業をなさっている「智恵子のまち夢くらぶ~高村智恵子顕彰会~」さんの主催です。

同会の発会20周年、さらに光太郎智恵子結婚110周年、光太郎の詩集『道程』刊行110周年記念だそうです。

朗読会会場は、安達太良山の奥岳登山口から出ているロープウェイで上がっていった山頂駅付近の薬師岳パノラマパーク。光太郎詩「あどけない話」(昭和3年=1928)由来で「この上の空がほんとの空です」と刻まれた標柱が立っています。
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同会ではたびたびこの場所での朗読会を開催してきました。平成28年(2016)の際の新聞報道がこちら

朗読会自体は10:00~の予定ですが、8:15に智恵子生家/智恵子記念館の駐車場を出発、二本松駅と岳温泉を経由して奥岳登山口まで会員の方の車で。事前に申請しておいて適当なところで乗せていただくということのようです。

終了後また車に分乗して、二本松市に隣接する大玉村の森の民話茶屋さんに移動、そこで昼食兼交流会、すべて終わったところでまた適当なところまで送っていただけるそうです。

紅葉シーズンには未だ早いかと思われますが、当日は、少し前にご紹介した「あだたらイルミネーション」期間中です。今年初めてお目見えした「「あ」のオブジェ」などもご覧頂けるかと存じます。

申込先等、フライヤー画像をご参照の上ぜひご参加ください。

【折々のことば・光太郎】

昨日は小学校の運動会があり、小生も競争に出ましたがビリでした。


昭和24年(1949)5月4日 宮崎稔宛書簡より 光太郎67歳

この年か翌年(日記が失われており、特定できません)の運動会の様子が、元山口小学校校長の浅沼政規の回想に綴られています。

 午後の競争が開始。年長組の《びん釣り競争》となりました。この競技へ先生の参加をお願いすると、快く出場して下さいました。競技が始まりました。
 ひときわ会場が賑やかになり、拡声器の音も、先生への応援も大きくなりました。
 一等、二等とゴールしてきます。先生は少し手間取ったようでしたが、釣れたびんを手に、大股で走ってゴールインしました。一同からすごい拍手です。
 そして、先生もみんなと一緒に会長席に向かい、会長から商品を受け取られました。
 「しばらくぶりで走ってみましたが、にわかに走ったものですから、遅れてしまいました。でも、みんなと走れて愉快でしたよ。」と、おっしゃいました。
 この時の先生の姿に接した部落の人たちは、自分たちと親しく交わって下さろうとするお気持ちに、感謝の念を深くしました。
(浅沼政規『山口と高村光太郎先生』平成7年=1995 高村記念会)

微笑ましいエピソードですが、単にそれだけではありません。戦前には「芸術家あるある」で「俗世間とは交わらない」、戦時中には一転して民衆を戦争に駆り立て、と、いびつな形でしか世の中と関わってこなかった光太郎、この花巻郊外旧太田村に住み始め、ようやく理想的な社会との関係性が構築できたようです。

埼玉から公演情報です。

木村俊介Concert『鵲(かささぎ)の橋の上で』Vol.2〜日本と韓国の文学作品をモチーフに〜

期 日 : 2024年9月8日(日)
会 場 : 柏屋楽器フォーラム ホール 埼玉県さいたま市浦和区岸町7丁目1-9
時 間 : 開場 17:30 / 開演 18:00
料 金 : 【完全予約制】全席自由 5,500円 100名様限定

 豊かな表現力と卓抜なテクニックでオンリーワンの活動を展開するpakusuna氏。その氏との定例公演を日韓で重ねることで、コラボレーションの可能性をより深く追求したく、このプロジェクトを始めました。
 第2弾となる今回は、長年の念願叶って、特別ゲストに俳優の壤晴彦氏を迎えます。師と仰ぐ大先輩に真っ向勝負で挑みます。
 音楽界、演劇界の異才、鬼才が全身全霊でぶつかり合い、響き合う時、そこにどんな情景が広がるのか。美しいまでの切なさ、哀しいほどの愛おしさ。
 会場に足をはこんだ皆様だけが体感できる、心震える瞬間を、是非ご堪能ください。

出 演
 〈笛・三味線・打楽器〉木村俊介  〈伽耶琴(カヤグム)〉パク スナ  〈語り〉壤晴彦

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フライヤーに細かなプログラムの記載がありませんが、語りとしてご出演の壤晴彦氏が「智恵子抄」と他一篇を朗読なさるそうです。当然、ア・カペラではなく木村氏とパク氏の音楽とのコラボでしょう。

壤氏、かなり以前から「智恵子抄」朗読に取り組まれています。このブログでも平成24年(2012)リリースの朗読CDをご紹介しました。
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久しぶりに聴いてみましたが、やはりいい感じです。

ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

今朝は早速一三五番クワルテツトをきく事が出来て感謝しました。おかげで山にゐていい音楽がきけ、長い間の音楽飢餓から脱する事ができます。


昭和24年(1949)4月15日 宮沢清六宛書簡より 光太郎67歳

蟄居生活を送っていた花巻郊外旧太田村の山小屋にも村人達が電線を引いてやり、さらに賢治実弟の清六を通してラジオを購入しました。

一三五番クワルテツト」はおそらくベートーヴェンの「弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 作品135」でしょう。

過日、光太郎第二の故郷・花巻と、仙台で開催された箏曲奏者の元井美智子さんと朗読の荒井真澄さんのお二人がコラボなさった公演3件の模様を、元井さんがYouTubeにアップなさいました。

まず花巻の賢治の広場さんで開催された「夏、花巻で奏であう 光太郎、賢治、箏と声」。





こちらに関しては、地元紙『岩手日日』さんが記事にして下さっています。

夏詩の世界観 箏と朗読で 光太郎・賢治作品題材に催し・花巻

004 ボイスパフォーマーの荒井真澄さん(仙台市)と箏曲演奏家の元井美智子さん(東京都)は18日、朗読会「夏、花巻で奏であう 光太郎、賢治、箏と声」を花巻市上町の賢治の広場で開いた。同市ゆかりの詩人の作品を情感豊か朗読と箏の調べで表現し、聴衆を楽しませた。
 荒井さんは、高村光太郎の「レモン哀歌」や「松庵寺」、宮沢賢治の「注文の多い料理店」の序文や「星めぐりの歌」を朗々と読み上げた。元井さんは、あえて音を外すなど作品の世界観や朗読の調子に寄り添いながら即興演奏した。
 会場には約50人が詰めかけ、時には目を閉じて朗読に聴き入っていた。市内から訪れた永田豊さん(83)は「光太郎の文章は朗読に合わないと思っていたが、琴の演奏と合わさって格調高さを感じた」と語った。
 2人は光太郎関連の行事で出会い、今回のイベントを企画した。荒井さんは「想像以上に多くの人が来てくれた。自分が作品から受けとったものを、そのままお客さんに届けられたと思う」、元井さんは「花巻の人の光太郎と賢治への愛を強く感じた。これからも岩手の風景を自分の音に落とし込んでいきたい」と話していた。


続いて、荒井さんの地元・仙台市の「となりのえんがわ」さんでの「旅するお箏 となりのえんがわdeコンサート」。7月19日(金)の開催でした。


さらに7月23日(火)、同じく仙台市での「夏の朝、音を描くコンサート 箏の調べと智恵子抄」。



お二方のさらなるご活躍を祈念いたします。

【折々のことば・光太郎】

毎年御厄介をお願ひいたしますが、又十月の法要月がまゐりますので松庵寺に都合を問合わせましたところ十月九日が最も都合よろしき旨返事をいただきましたので、八日に花巻にまゐりたく、甚だ恐縮ながら又々お邪魔仕りたく存じ居りますが御都合お悪き時は何卒御遠慮なく御申聞かせ下されますやう願上げます。

昭和23年(1948)9月27日 佐藤雪江宛書簡より 光太郎66歳

10月5日が智恵子の命日、父・光雲のそれは10月10日、そして母・わかは9月10日が命日と云うことで、ほぼ毎年、賢治の広場ハナマルカフェさんの裏手、松庵寺さんで10月に法要を営んでもらっていました。

佐藤雪江は総合花巻病院長にして賢治の主治医、そして昭和20年(1945)、光太郎が花巻郊外旧太田村に移る直前の約1ヶ月、自宅離れに光太郎を住まわせてくれた佐藤隆房夫人でした。

朗読などでヴォイスパフォーマーと自称なさっている荒井真澄さん、箏曲奏者の元井美智子さんのお二人がコラボなさる公演が、東北地方で3件開催されます。

まずは光太郎第二の故郷・岩手花巻。

① 夏、花巻で奏であう 光太郎、賢治、箏と声

期 日 : 2024年7月18日(木)
会 場 : 賢治の広場 ハナマルカフェ 岩手県花巻市上町3-4 岩田ビル 1F
時 間 : 14:00~
料 金 : 無料 (要1ドリンク以上の注文)

プログラム
 高村光太郎「智恵子抄」より
  人類の泉、もしも智恵子が、メトロポオル など
 宮沢賢治作品より
  注文の多い料理店・序、星めぐりの歌 など
 箏曲ソロ演奏
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翌日には、荒井さんの本拠地・仙台で。

② 旅するお箏 となりのえんがわdeコンサート

期 日 : 2024年7月19日(金)
会 場 : となりのえんがわ 宮城県仙台市宮城野区銀杏町4-29 宮城野納豆製造所敷地内
時 間 : 13:00~ 12:30~(当初予定から変更だそうです)
料 金 : 1,000円

プログラム
 高村光太郎「智恵子抄」より
 箏曲演奏
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そして翌週、再び仙台で。

③ 夏の朝、音を描くコンサート 箏の調べと智恵子抄

期 日 : 2024年7月23日(火)
会 場 : Antique & Cafe TiTi 宮城県仙台市宮城野区鉄砲町中5-8
時 間 : 11:00~
料 金 : 1,500円

プログラム
 お箏の調べ 春の海、夜空へ など
 高村光太郎「智恵子抄」より レモン哀歌、人類の泉 など

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以前から賢治作品や「智恵子抄」系の朗読を繰り返しなさっていて、当会主催の連翹忌ご常連の荒井真澄さん。昨年、横浜で開催された「元井美智子自作自演コンサート2023」で、「智恵子抄」から「あどけない話」「風にのる智恵子」「千鳥と遊ぶ智恵子」「レモン哀歌」を、箏の調べに乗せて朗読なさった元井美智子さん。

元井さんが今年の連翹忌に初めてご参加下さり、ご常連の荒井さんと意気投合、コラボ公演開催の運びとなりました。

③→①→②の順で開催が決まったそうです。はじめ、③のみの予定だったのが、リハーサルも兼ねて花巻でもやりたい、ということになり、彼の地で光太郎顕彰に当たられているやつかの森LLCさんのお骨折りで賢治の広場さんを借りられることとなって①が、さらに③があっという間に予約満席だそうで、追加公演として②が、それぞれ実現することに。

ところで元井さん、やはり連翹忌ご常連のテルミン奏者・大西ようこさんにも目をつけられ(ここの助動詞「られ」は「尊敬」ではなく「受身」の用法です(笑))、9月には大西さんの運営されている逗子のテルミンミュージアムさんで、箏曲とテルミンのコラボコンサートもなさるとのこと。ちなみにテルミンミュージアムさんと大西さん、7月6日(土)にテレビ東京さん系でオンエアがあった「モヤモヤさまぁ~ず2 【逗子・葉山】石原裕次郎さん生誕90年記念 一心同体!ろくなもんじゃない90分弱SP」にご出演。笑わせていただきました。
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さらには大西さん、今月初めには、荒井さんもご参加なさった千葉市川アトリエカフェ赤毛のアンさんでの「赤毛のアンの輪読会」でもテルミン演奏と、ご自身も朗読をなさったそうです。
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以前にも書きましたが、連翹忌、光太郎を偲ぶというのがメインの開催趣旨ですが、こうして人々の輪を広げていくことも目的の一つと言えるかな、と思っております。

さて、それぞれの公演、ご都合の付くところで足をお運び下さい。

【折々のことば・光太郎】

岩手の山で見る星の大きさは東京で見る星の二倍ぐらゐに思はれます。金星や、木星の光のつよさにびつくりします。


昭和23年(1948)4月12日 髙村規宛書簡より 光太郎66歳

実際、現代でもそれに近いのでしょうし、夜はほとんど真っ暗だった花巻郊外旧太田村、まさにそうだったのでしょう。また、賢治が「銀河鉄道の夜」などを着想したのも、花巻の美しい夜空あってこそだったはずですね。

6月29日(土)、杉並区阿佐谷の名曲喫茶ヴィオロンさんで開催された 「ノスタルジックな世界 ライブ 朗読&JAZZ演奏」を拝聴して参りました。
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阿佐ヶ谷駅近くの路地に佇むヴィオロンさん、「名曲喫茶」と冠されているだけあって、外装、内装ともにレトロな感じでした。まさに「昭和」。
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片隅で着流しにハンチングの光太郎とロイド眼鏡の草野心平がコーヒーカップを傾けていても、何の違和感もないような(笑)。

藤澤由二氏のピアノ演奏に乗せて、MIHOE氏が歌われたり朗読されたりという構成でした。以前からお二人で、またはゲストの方が入り、この会場で光太郎詩朗読を含む同様の公演が複数回あったのですが、なかなか都合がつかず、今回初めて拝聴することができました。

手書きコピーのプログラム。これもいい感じです。
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午後7時、開演。
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ピアノはYAMAHAさんのアップライトでしたが、おそらくバーチ(樺)の艶出し化粧板タイプ。もしかするとヴィンテージものかも知れません。残響、余韻が美しく、この会場にぴったりでした。
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朗読はMIHOE氏オリジナルの詩、寺山修二、中原中也と来て、我らが光太郎。「智恵子抄」から「千鳥と遊ぶ智恵子」と「値ひがたき智恵子」。ともに昭和12年(1937)の『改造』に発表されたもので、連作詩「猛獣篇」中の「よしきり鮫」「マント狒狒」「象」とともに「詩五篇」の総題が付けられていました。心を病んで夢幻界に行ってしまった智恵子もある意味「猛獣」に近い存在だと認識されていたのかも知れません。「千鳥……」では「人間商売さらりとやめて/もう天然の向うへ行つてしまつた智恵子」、「値ひがたき……」だと「智恵子はもう人間界の切符を持たない」と謳われ、そういう感が見え隠れします。
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さらに朗読は太宰治、宮沢賢治、村上春樹、そして再びMIHOE氏オリジナル。合間に「Sentimental Me」「蘇州夜曲」などの歌唱。
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プログラムを見つつ、取り上げられている人々、ほとんどみんな光太郎と何らかの関わりがあるなぁなどと思って聴いておりました。

寺山は『さかさま文学史 黒髪篇』という著書の中で、「妻・智恵子」の章を設け「智恵子抄」をかなりアイロニカルに論じました。中也は第一詩集『山羊の歌』の題字揮毫・装幀を光太郎に依頼、太宰の実兄・津島文治は光太郎に「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」制作を依頼、そして光太郎らが世に広めた賢治。「蘇州夜曲」を歌った李香蘭は光太郎の前に中野の貸しアトリエを借りていたイサム・ノグチの妻……。

終演後、お二人とお話しさせていただき、さらに中野アトリエ保存のための署名もしていただきました。ありがたし。

今後とも、お二人のさらなるご活躍を祈念いたします。

【折々のことば・光太郎】

霧ヶ浜に遊んだ遠い昔を思ふこと切。あの時怪物のやうに何処までも風にころげてとんでいつた智恵子の日傘は、今思ふと、後年の運命を暗示してゐたやうです。


昭和23年(1948)2月27日 関谷祐規宛書簡より 光太郎66歳

関谷は千葉銚子在住の詩人。光太郎と交流のあった黄瀛(李香蘭の帰国に尽力しました)とも親しい間柄でした。「霧ヶ浜」は現在では「君ヶ浜」と表記されるのが普通ですが、かつては確かに「霧ヶ浜」とも呼ばれていました。銚子犬吠埼の北側に広がる砂浜です。したがって「あの時」は遠く大正元年(1912)晩夏、画を描きに来ていた光太郎を追って智恵子が犬吠に現れ、愛を誓った「あの時」ですね。

ネット上で情報を見つけました。三重県から朗読の公演情報です。

第3回文色草子朗読ライブ 詩人、四人。 高村光太郎×柴田トヨ 茨木のり子×東君平

期 日 : 2024年6月30日(日)
会 場 : 四日市市立図書館 2階視聴覚ホール 三重県四日市市久保田一丁目2-42
時 間 : 午前10時30分から
料 金 : 無料

文色草子朗読組(あいろぞうしろうどくぐみ)による、大人のための朗読会です。
高村光太郎×柴田トヨ 茨木のり子×東君平 この4人の作品の中から21作品を9人で朗読します。
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フライヤーによれば、光太郎詩は「当然事」(昭和3年=1928)、「象」(昭和12年=937)、「牛」(大正3年=1914)、「人類の泉」(大正2年=1913)、「道程」(大正3年=1914)。まだあるかも知れません。

「詩人、四人。」だそうで、光太郎以外には、満101歳まで現役であらせられた故・柴田トヨ氏、女流詩人の草分けの一人・茨木のり子、絵本作家の故・東君平氏。光太郎とこの3人の作品で、どのような化学反応が起こるかな、という感じですね。

お近くの方(遠くの方も(笑))、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

ただの来訪なら構はないのですが、こちらに住み込まうといふ意図のあるのがイヤです。他の人の来訪とは性質が違ふので困ります。こんな人に来られてはやりきれず、北海道の奥へでもゆきたくなります。場合によつてはアメリカへ移住するのもいいなどと空想してゐます。

昭和23年(1948)2月16日 宮崎稔宛書簡より 光太郎66歳

光太郎、ストーカー被害に遭っていました。相手は戦前から知っていた老女。趣味で短歌などを詠んでいたようです。光太郎のアトリエがあった駒込林町に近い根津に住んでいて、そのころはどうということもなかったのですが、戦後、光太郎が花巻郊外旧太田村に隠棲をはじめると、「身の回りの世話をしたい」などと手紙を寄越し、実際に太田村まで押しかけてきたことも。

その被害は昭和27年(1952)、「乙女の像」制作のため太田村を後にして再上京したあとも続いたようです。

都内から朗読&ジャズのライブの情報です。

ノスタルジックな世界[]

期 日 : 2024年6月29日(土)
会 場 : 名曲喫茶ヴィオロン 
      東京都杉並区阿佐谷北2-9-5
時 間 : 19:00~
料 金 : 1,000円(1ドリンク付)

出 演 : ピアノ弾き 藤澤由二
      朗読、歌うたい MIHOE

宮沢賢治、中原中也、高村光太郎その他オリジナルなど

藤澤氏のJAZZ演奏 古い蓄音機に囲まれたヴィオロン店内 ノスタルジックな詩とJAZZの世界

お客様一人ひとりがゆったりと思いを馳せる時間 「ノスタルジックな世界」ライブです お待ちしております

MIHOE氏、藤澤由二氏、確認できている限り、一昨年昨年(2回)も同じ会場で光太郎詩を取り上げて下さいました。このスタイルに思い入れがおありなのでしょうし、繰り返しやられるということは好評なのでしょう。

当方、足を運ぶつもりでおります。皆様もぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

「ブランデンブルグ」などおよみ下された由、小生の詩感は当然前時代的ですが、生きてゐる以上はそんな事を顧慮してゐる暇もなく、小生は小生なりに自己内面の世界を押し進める外ありません。小生まつたく一人は一人の世界となりましたので、山の中にゐて却つて遠い世界にまで心が解放されたやうな思です。

昭和23年(1948)1月14日 真壁仁宛書簡より 光太郎66歳

ブランデンブルグ」は前年に書いた詩。この年元日号の雑誌『展望』に発表されました。同じ日の『群像』には「脱卻のうた」(「卻」は「却」の正字)を寄稿しています。

前年、懸案だった自己の生涯や戦争責任を振り返る連作詩「暗愚小伝」20篇を発表し、一つステージが上がったかな、という感じです。003

  脱卻の歌

 廓然無聖と達磨はいつた。
 まことに爽やかな精神の脱卻だが、
 別の世界でこの脱卻をおれも遂げる。
 一切を脱卻すれば無価値にいたる。
 めぐりめぐつて現世がそのまま
 無価値の価値に立ちかへり、
 四次元世界がそこにある。
 絶対不可避の崖つぷちを
 おれは平気で前進する。
 人間の足が乗る以上、
 けつきよく谷川のいっぽん橋も
 ブウルバアルも同じことだ。
 よはひ耳順を越えてから、
 おれはやうやく風に御せる。
 六十五年の生涯に
 絶えずかぶさつてゐたあのものから
 たうとうおれは脱卻した。002
 どんな思念に食ひ入る時でも
 無意識中に潜在してゐた
 あの聖なるもののリビドが落ちた。
 はじめて一人は一人となり、
 天を仰げば天はひろく、
 地のあるところ唯ユマニテのカオスが深い。
 見なほすばかり事物は新鮮、
 なんでもかでも珍奇の泉。
 廓然無聖は達磨の事だが、
 ともかくおれは昨日生まれたもののやうだ。
 白髪の生えた赤んぼが
 岩手の奥の山の小屋で
 甚だ幼稚な単純な
 しかも洗ひざらひな身上で、
 胸のふくらむ不思議な思に
 脱卻の歌を書いてゐる。

国全体、そして光太郎自身も道を踏み誤らせた天皇制の呪縛からの解放、ということになるでしょうか。

右上画像はこの詩の一節を揮毫した書。智恵子の故郷・福島二本松、岳温泉の「あだたらの宿扇や」さんロビーに飾られています。

朗読公演の情報です。

まず、愛知県から。存じ上げない方々の公演ですが、ネットの情報検索で引っかかりました。

語り部リサイタルvol.5 「みーみーの世界〜私のまわりのものたちのこと」

期 日 : 2024年5月19日(日)
会 場 : 古民家カフェすず助 愛知県西尾市会生町18
時 間 : 開場 13:00 開演 13:30
料 金 : 1,500円
主 催 : 語り部ふみの会

徒然なるままに……現代の清少納言を気取って、語り部・三浦有美がお届けする「みーみーの世界」。どうぞお楽しみ下さい。

出 演 : 三浦有美(語り部)  田中ふみ枝(語り部・BGM演奏)

プログラム 
 【みーみーの本棚】
   智恵子抄より 高村光太郎  やまなし 宮沢賢治  蜘蛛の糸 芥川龍之介
 【みーみーのお客様】
   ゲストタイム・おしゃべりと語り
 【みーみーの日常】
   私のつぶやき 作・三浦有美

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「智恵子抄」を取りあげて下さるそうで、ありがとうございます。

残念ながらこの日は智恵子の故郷・福島二本松にて開催の「第17回高村智恵子生誕祭~智恵子を偲ぶ鎮魂の集い~」に参加予定ですので欠礼いたしますが、お近くの方(遠くの方も)ぜひ足をお運び下さい。

もう1件、まだ先の話でネット上に詳細が出ていないようですが、こちらは当方お世話になっている方々の公演でして、早めに告知いたします。
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箏曲演奏家の元井美智子さん、朗読の荒井真澄さんのコラボです。元井さんが今年の連翹忌に初めてご参加下さり、ご常連の荒井さんと意気投合、荒井さんの地元・仙台で開催の運びとなりました。かつて同様の件で、荒井さんとテルミン奏者の大西ようこさんとのコラボも仙台で開催されたことがありました。

連翹忌は光太郎を偲ぶ集いというのがメインですが、このように様々な方々のネットワーク作りに貢献するというのも一つの目的でして、こういうイベントが為されると、主催者として喜びに堪えません。

こちらに関しましてはまた近くなりましてネット上に情報が出ましたら詳細をお伝えします。

【折々のことば・光太郎】

「展望」は部数少いと見えて小生の家へも二部しか来ずお送りも出来ません。わざわざ探してよむほどのものでない事と存じます。

昭和22年(1947)9月(推定) 真壁仁宛書簡より 光太郎65歳

「展望」は、幼少期からの自らの来し方、さらに戦争責任などを綴った20篇から成る連作詩「暗愚小伝」が載った7月号です。

「これを書き上げないうちは他の詩は書けない」という気持で臨み(実際には書きましたが)、1年以上かけて完成させた「暗愚小伝」ですが、いざ活字になってみると自分の意を尽くしたものとも言い難く、「わざわざ探してよむほどのものでない」。

書いている時が花、物書きあるあるです。はしくれの当方もそう思います。

都内から朗読と音楽をコラボしたコンサートの情報です。

My Favorite Music 春の風に寄せて

期 日 : 2024年4月9日(火)
会 場 : 日暮里サニーホール コンサートサロン 東京都荒川区東日暮里5-50-5
時 間 : 18:30開演(18:00開場)
料 金 : 2,500円(全席自由・税込)

出演/曲目
 古荘達郎<テノール> ピアノ:高橋ドレミ
  中田喜直:さくら横ちょう
  F.P.トスティ:4月
  小林秀雄:五つの華の歌 より「山茶花(さざんか)」
 亀川豊秀<ピアノ>
  F.ショパン:練習曲 ハ短調 Op.25-12 「大洋」
    〃  :マズルカ 第45番 ト短調 Op.67-2
    〃  :スケルツォ 第2番 変ロ短調 Op.31
 藤井駿<アルトサックス>
  P.ボノー:ワルツ形式によるカプリス
 岩井奈美<朗読>
  宮沢賢治:「注文の多い料理店」
  太宰治:「眉山」
  芥川龍之介:「蜘蛛の糸」
 桜さゆり<朗読>
  高村光雲:「佐竹の原へ大仏をこしらえたはなし」より抜粋
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光太郎の父・光雲の『光雲懐古談』(昭和4年=1929)から「佐竹の原へ大仏をこしらえたはなし」の抜粋朗読がプログラムに入っています。

演じられる桜さゆりさんという方、平成29年(2017)に「第4回 JILA朗読コンクール入賞・入選記念 朗読の祭典」という公演で光太郎詩「山のともだち」(昭和27年=1952)、「クロツグミ」(昭和23年=1948)を朗読なさいました。また、当方、詩人でもある宮尾壽里子氏が「智恵子抄」を朗読なさった「My Favorite Story ~美しき詩の世界~」公演の際に、室生犀星の詩の朗読で出られていましたのを拝聴しました。

「佐竹の原」は江戸時代、佐竹家の屋敷があった現在の台東区台東4丁目。ここに光雲が実兄で腕のいい大工だった中島巳之助、その仲間の職人衆、浅草の興行師らとともにハリボテの大仏を作った話です。明治22年(1889)、光雲が岡倉天心の要請で東京美術学校に奉職した年でした。

「青空文庫」さんで全文が公開されています。笑えます。


『光雲懐古談』といえば、つい先日は落語の鈴々舎馬桜師匠が新作落語で取り上げて下さいました。語られているさまざまなエピソードは素材として非常に面白いものですし、江戸から明治期の世相を知る上で、また、美術史的にも貴重な証言ですので、どんどん広めていったいただきたいものです。

【折々のことば・光太郎】

出版といふ公的事業には時代の要求、時代の制約といふことも考へねばなりますまい。

昭和22年(1947)3月18日 宮崎稔宛書簡より 光太郎65歳

姻戚・宮崎からの光太郎の短歌を歌集としてまとめて出版したいという要請に対しての返答の一部です。出版に限らず様々なコンテンツにあてはまる言のような気がします。といっても「時代」に阿(おもね)ってばかりでも仕方がありませんし……。

都内から朗読公演情報です。

天野まり単独公演 ソレを、私は恋と呼ぶ。/智恵子抄

期 日 : 2024年3月17日(日)
会 場 : 秋葉原コンシールシアター 東京都台東区台東3-5-10
時 間 : 14:00〜15:00 オンラインライブ配信公演、アーカイブ配信公演あり
料 金 : 会場生観劇チケット料金¥5,000 オンライン料金¥3,000

出 演 : 天野まり

劇団コンシールの専用イベントスペース「秋葉原コンシールシアター」での特別公演「天野まり単独公演」を開催致します。
・ソレを、私は恋と呼ぶ。
・智恵子抄

※演目は変更の可能性があります。

会場に足を運べないお客様の為のライブ配信公演と、公演期間が終わっても観劇できるアーカイブ公演もアリ!!
※演目は変更の可能性があります。
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詳細が今一つよく分からないのですが、とりあえず。

【折々のことば・光太郎】

食餌衛生を努めて合理的にやつて居り、七十歳以後の製作精力の涵養に心懸けて居ります。七十代こそ小生の製作最盛期と信じて居ります。


昭和21年(1946)11月23日 小盛盛宛書簡より 光太郎64歳

実際、生涯最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」を、中野の貸しアトリエで制作し始めたのは数え70歳の昭和27年(1952)でした。しかし、「最盛期」というにはほど遠く、蠟燭が消える前の一瞬の煌めきのような感じでした。

今日はまた、その中野の貸しアトリエ保存のための会合で上京して参ります。ついでというと何ですが、原宿で「星センセイと一郎くんと珈琲」、銀座で「近代木彫の系譜Ⅰー 高村光雲の流れ ー」を拝観して参ります。

テレビ放映情報、2件ご紹介します。

中学・高校で学ぶ文学作品の魅力を、朗読や映像資料を使い、コンパクトに解説します 第4回

地上波NHKEテレ 2024年3月2日(土) 02:55〜04:35

中学・高校で学ぶ文学作品の魅力を10分間でコンパクトに解説します。作品の朗読に加え歴史的な文書や絵画、再現映像などを豊かな映像資料を通じ、作品をより深く理解できる番組です。

朗読は、元NHKアナウンサーの加賀美幸子さんです。この番組は2006年から2008年にかけて制作されましたが、今回、最新の映像技術で、高画質のハイビジョン映像にリマスター、精細な映像でお楽しみください。今夜は、初恋・道程・サーカス(中原中也)・武蔵野・故郷(魯迅)・たけくらべ・明治文学史・日記・手紙・走れメロスの10本です。

出演者 【朗読】加賀美幸子

説明欄にあるとおり、平成18年(2006)~平成20年(2008)に制作された「10min.ボックス古文・漢文/現代文」全40本が、ほぼ作品の年代順で4回に分けて一挙放映されます。

2月28日(水)※27日深夜 午前3:05~4:45  Eテレ 
 ・竹取物語・土佐日記(紀貫之)・伊勢物語・枕草子(清少納言)・源氏物語(紫式部)
 ・説話・平家物語・徒然草(兼好法師)・狂言・漢文(1)故事成語

2月29日(木)※28日深夜 午前2:40~4:20  Eテレ 
 ・漢文(2)漢詩・漢文(3)論語・おくのほそ道(松尾芭蕉)・雨月物語(上田秋成)
 ・日本永代蔵(井原西鶴)・曽根崎心中(近松門左衛門)・落語・万葉集・大鏡
 ・古今和歌集

3月1日(金)※29日深夜 午前2:55~4:35  Eテレ
 ・羅生門(芥川龍之介)・トロッコ(芥川龍之介)・オツベルと象(宮沢賢治)
 ・山月記(中島敦)・短歌・俳句・戦争と平和の詩・坊っちゃん(夏目漱石)
 ・こころ(夏目漱石)・舞姫(森鴎外)

3月2日(土)※1日深夜  午前2:55~4:35  Eテレ  
 ・初恋(島崎藤村)・道程(高村光太郎)・サーカス(中原中也)・武蔵野(国木田独歩)
 ・故郷(魯迅)・たけくらべ(樋口一葉)・明治文学史・日記・手紙・走れメロス(太宰治)

個々の動画はNHKさんのサイトから試聴できてしまうのですが、40本の一挙放映ということで、録画しておけば永久保存版ですね。

それぞれの中で朗読をされているのは、元NHKアナウンサーの加賀美幸子氏。さすがの朗読ぶりです。
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加賀美氏、平成27年(2015)の「世界・日本名作集よりリーディング名作劇場「キミに贈る物語」~観て聴いて・心に感じるお話集~」、一昨年の「財団法人ロマン・ロラン研究所設立50周年記念 古都・京の記憶に残すべき 戦時の日仏交流―関西日仏学館―〈トークと詩の朗読〉」などでも光太郎詩文の朗読をなさいました。

後半では、雑誌『美の廃墟』に載った初出発表形102行の冒頭部分も。
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その他、制作の背景ということで、光太郎の人となりについてコンパクトに解説。
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さらに、複数の一般の方々による朗読も。なかなか見応え、聴き応えがある10分です。

全40本中には、「舞姫」(森鷗外)、「オツベルと象」(宮沢賢治)など、光太郎と交流のあった面々も。
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宮沢賢治といえば、こちらの放映もあります。やはり深夜というか未明ですが。

宮沢賢治の食卓【若き日の宮沢賢治の知られざる日々を鈴木亮平が熱演!】 #01◆幸福のコロッケ◆

地上波フジテレビ  2024年2月27日(火) 02:55~04:00

宮沢賢治の青春時代を描いた人気漫画をドラマ化!賢治の愛した食や音楽とともに贈る涙必至の感動作。

東京に家出をしていた質店の長男・宮沢賢治(鈴木亮平)は妹・トシ(石橋杏奈)の病気の電報を受け、岩手・花巻に帰郷する。母・イチ(神野三鈴)や弟妹たちには歓迎されるも、厳格な父・政次郎(平田満)とはなかなかうまくいかない。食、音楽、文学とあらゆることに興味のある賢治だが、自分を熱くするものを見つけられずにいた。そんなある日、農家の吉盛(柳沢慎吾)一家に出会う。

出演者 鈴木亮平 石橋杏奈 山崎育三郎 市川実日子 柳沢慎吾 井之脇海 神野三鈴 平田満
【原作】魚乃目三太(少年画報社刊「思い出食堂」より) 
【脚本】池田奈津子 
【音楽】サキタハヂメ 
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WOWOWプライムさんで平成29年(2017)に全5回で放映されたドラマです。ラインナップは以下の通り。

第一話 「幸福のコロッケ」 53分

第二話 「夢のシチュウビーフ」 49分
トシの計らいで稗貫農学校の教師になった賢治。意気揚々と学校に出勤するが勘助(犬飼直紀)をリーダーとするはねっ返りの生徒たちに手を焼いてしまう。女学校で出会った音楽教師・嘉藤治(山崎育三郎)やトシからアドバイスをもらい、生徒たちと少しずつ距離を近づけていく中、賢治は新しい農作物の可能性や西洋文化を感じてもらおうと、生徒たちをシチュウビーフが食べられる洋食店に連れ出す。

第三話 「恋の鶏南蛮蕎麦」 49分
小学校教員・ヤス(市川実日子)との運命の出会いをした賢治。彼女のことが気になる中、音楽を楽しむ機会に乏しい花巻の人たちのために、嘉藤治と一緒にレコードコンサートを開催する。そこに訪れたヤスも、賢治の純粋な感性と人柄に惹かれていく。ヤスの実家のそば屋で逢う瀬を重ねる2人。一方、次のレコードコンサートにはトシの過去の失恋相手・遠藤(竹財輝之助)が来ることが分かり、焦った賢治は……。

第四話 「別れの焼きリンゴ」 50分
逢う瀬には必ず焼きリンゴを一緒に食べて親密さを深めていく賢治とヤス。そんな矢先、ヤスに父・紀一郎(おかやまはじめ)から縁談の話が舞い込む。それを聞いた賢治は嘉藤治にも背中を押され、身を固める覚悟を決める。一方、空気のきれいな別邸・桜亭に居を移し体の回復に専念していたトシだが、その病状は日々悪化していた。そのことを知った賢治の心は千々に乱れ……。

最終話 「天上のアイスクリーム」 55分
トシの薄幸を思うがあまりヤスとの別れを決断した賢治だったが、そのことを知ったトシは、自分の犠牲にならないでほしいと賢治に詰め寄り、ヤスには翻意を願った。それでも決心を変えない賢治は、トシを少しでも励まそうと嘉藤治や生徒たちと協力をして町ぐるみの収穫祭の準備を進めていたが、無情なる天の差配に見舞われる。そしてトシの回復も、もはや見込めぬものへとなってゆき……。


第一話のみ無料放映でしたので拝見しました。鈴木亮平さんの賢治、なかなかでした。今回、地上波フジテレビさんでの放映。おそらく全5話を放映して下さるのではないかと期待しております。これも録画しておけば永久保存版ですね。

原作は魚乃目三太氏の描かれた漫画。の二篇があり、続篇では賢治と光太郎の出会いのシーンなどがありますが、正篇の方には光太郎は登場しません。ドラマは正篇の方からの抜粋で構成されており、光太郎は登場しないのですが、これを機にまた話題になって続篇もドラマ化されることを期待しています。

それぞれ、ぜひご覧下さい。

【折々のことば・光太郎】

今十月十日は父の十三回忌日にあたりますので、今朝記念のため、先日宮崎さんのきた時、貴家よりいただきました栗の実の中で一番大きなのを数個保存してありましたので、それを小屋の西側の日当たりのよい所を掘り起こして播種し、棒杭を樹てて其旨墨書しました。数年後には此の栗が結実するかと思ふと愉快です。


昭和21年(1946)10月10日 佐藤隆房宛書簡より 光太郎64歳
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この栗の木、大木といっていいほどに育ったのですが、残念ながら枯死してしまい、倒壊の危険があるということで平成29年(2017)頃に伐採されてしまいました。

光太郎が墨書した標柱の現物は花巻高村光太郎記念館さんに現存、現地には石に文字を写したコピーが建てられ、これも現存しています。
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参加者募集型の朗読系イベント情報を2件。

まずは和歌山県から。

和み朗読サロン

期 日 : 2024年2月22日(木)
会 場 : カルチャーべルーム 和歌山市杉ノ馬場1-44ベルネットビル2F
時 間 : 14時40分~15時30分
料 金 : 1,500円

高村光太郎の「智恵子抄」を朗読します。和み朗読教室は、和み楽しく学べる教室です。朗読がはじめてという方、大歓迎! 聞き参加可能です。 高村光太郎の世界を一緒に感じてみませんか?
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「和み朗読教室」という団体さんがいろいろワークショップをなさっている中の一環のようです。ただし、朗読してみたいという方の参加申し込みは先週〆切りでした。それでもまだ空きがあるかもしれませんし、聞くだけの参加も可能とのことです。

もう1件、都内からこちらは朗読者とスタッフの募集。

4/19(金)上野水上音楽堂でイベント開催決定!出演者・スタッフ大募集!朗読の祭典を一緒に作りませんか?

募集要項
【ソロ部門】
 ・出演時の朗読時間は8分程度
 ・オーディション参加費:2,000円

【群読部門】
 ・2~4名のチームでお申し込みください
 ・出演時の朗読時間は15分程度
 ・オーディション参加費:4,000円

 ※オーディション参加者(チームメンバー)は、合否に関わらず当日イベントの入場無料!
 ※出演決定者には、当日スタッフとして簡単なお手伝いもお願いいたします。

【当日スタッフのみでの参加者】
 ・イベントを楽しみながら一緒に盛り上げてくださる方を募集します!
  (応募フォームからお申し込みください)
 ・入場無料でイベントをお楽しみいただけます。交通費支給(上限3,000円)。

応募方法
 ②このポストをいいね&リポスト
 ③課題3作品から1作品選んで朗読を録音
 ④応募フォームよりお申し込み&課題音源投稿
 ⑤お申し込みから1週間以内に参加費をお振込みください
【銀行口座】
 GMOあおぞらネット銀行(金融機関コード:0310) 支店名 法人営業部(支店コード:101)
 普通 1507296 口座名義 朗読らいおん合同会社 ロウドクライオン(ド

課題・審査基準
【課題】
 ①「月夜とめがね」小川未明(指定の抜粋部分)
 ②「走れメロス」太宰治(指定の抜粋部分)
 ③「人類の泉」高村光太郎
   (群読部門はチーム全員で群読してください)

【審査基準】
 ・本番を想定し朗読が聴こえる最低限の声量
 ・テーマ「いのち」への思いが伝わる読み
 ・ステージでの朗読経験の有無は問いません

【注意事項】
 ・課題音源は.wav形式または.mp3形式にてご提出下さい。
 ・本番で読む作品は青空文庫掲載作品に限ります。「いのち」というテーマから、
  ご自身(チームメンバー)の自由なイメージで2次審査開始時までに選書して下さい。
 ・出演者には、イベントで選書の理由についてインタビューします。
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本番は4月だそうですが、その参加者募集ということです。課題三作品に『智恵子抄』所収の光太郎詩「人類の泉」(大正2年=1913)が入っています。群読でやるというのも面白そうですね。

我こそは、と思う方、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

まつたく毎日訪問客に責められてゐます。一昨日一人、昨日一人、今日四人といふやうなわけです。そして一日中の一番よい時間を取られるのであとは何も出来ません。夜は早くねて朝四時頃起き、朝食を早くすませて、九時前に一仕事する外ありません。今さうやつてゐます。 一聯の長い詩が出来さうです。

昭和21年(1946)9月20日 宮崎稔宛書簡より 光太郎64歳

花巻郊外旧太田村。光太郎は隠棲のつもりでも、光太郎を慕う人々が放っておいてくれないという状況、結局、厳寒期を除いてずっと続きました。

「一聯の長い詩」は、翌年の雑誌『展望』に発表した連作詩「暗愚小伝」でしょう。

まず、新刊書籍の紹介を。2ヶ月ほど経ってしまっていますが。歌集です。

燃える花

2023年11月15日 沢本ひろみ著 文芸社 定価1,000円+税

「古と今は変はりて変はらざり 逢瀬の後は後朝のメール」「『レモン哀歌』の一語一語は哀しみと愛の重さで胸にしたたる」「軒借りて過ぐるを待ちぬ時の雨 嵯峨の紅葉は濡れまさりつつ」──鋭い感性と溢れる思いで読んだ短歌の数々を、〈黎明〉〈友〉〈初恋〉〈京の旅〉〈母〉〈愛〉など、カテゴライズしてまとめた。短歌による自分史ともいえる、素の作者が詰まった一冊。

著者プロフィール
本名・宮崎裕巳。東京都出身。早稲田大学教育学部卒業。都立高校の国語科教師として長年勤務し、後、私立高校でも教鞭を執る。2021年11月より「塔」短歌会に所属。東京都在住。
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目次
 黎明
  自然/音楽/文学/日本舞踊/房総にて/蓼科にて/諸々
 友
 初恋―初夏の陽―
 ヨーロッパ旅行
  パリ/グラナダ/アテネ/ドイツ
 京の旅
 恋―触れられぬ背―
 歌舞伎
  鷺娘/吉野山/梅川忠兵衛/紅葉狩/船弁慶/市川海老蔵丈/歌舞伎見物
 母
 愛 ―燃える花―
 後書き


内容説明欄に「『レモン哀歌』の一語一語は哀しみと愛の重さで胸にしたたる」と、光太郎がらみの歌が一首引かれていますが、これ以外にも二首、光太郎や智恵子抄からのインスパイアが。ありがたし。

「後書き」から。

 私が短歌に心を惹かれたのは、高校生の時です。現代文の授業で近代の短歌を学習し、その時初めて与謝野晶子や若山牧水、石川啄木などの歌と出会いました。目を瞠るような思いで読んだのをよく覚えています。五七五七七という制限された枠組みの中に秘めている豊かな世界に魅了されました。
 同じ頃に詩や小説にも目が啓き、様々な文学に親しんで過ごす内に、少しずつ歌を作り始めたのは、自然な成り行きであったかもしれません。


その後社会人となられ、一時期短歌の世界から離れられていたのが、ふとまた作歌を始められたとのこと。ところがいわゆる「現代短歌」にはある種の違和感を感じられているそうです。

 現代の歌はことごとく写実的な日常詠でなくてはならないのか。それ以外の歌は受け入れられないのか。私は悩みました。
 そんな私の中に、かつて心を躍らせて読んだ明治の歌人達の歌が甦りました。「哀しい」「さびしい」「恋しい」等の語をためらわずに用い、時には自分の感情をたたきつけるように直截に表現した歌。(略)多彩な人々が、自由に個性的に詠んだ歌の世界は、私に小さな勇気をくれました。
 
そこで、時代遅れかもしれないスタイルで、切実な思いやらを自分らしく自由に言葉にすることを心がけているとのことです。

腑に落ちました。いいな、と思える歌が多く、なぜそう感じたかというと、当方もよく眼にする「明治の歌人達の歌」に範を採られているからなのですね。

ちなみに与謝野夫妻の『明星』が本格的な文学活動の出発点だった光太郎も、生涯に1、000首近い短歌を詠んでいます。詩と異なり、手控えの原稿に残すことをしなかったので、未知のものも続々見つかり続けています。高村光太郎研究会さんから4月発行予定の『高村光太郎研究』に、昨年新たに見つけたもの三首を紹介する予定です。

さて、取り上げるべき事項がまた山積して参りまして、『智恵子抄』がらみで近々開催される朗読会の件もご紹介しておきます。

大人のための朗読会

期 日 : 2024年2月4日(日)
会 場 : 佐野市立図書館 栃木県佐野市大蔵町2977
時 間 : 14:00~15:30
料 金 : 無料

高村光太郎作「レモン哀歌 他」、森鴎外作「高瀬舟」、太宰治作「貨幣」の朗読を行います。
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もう1件、『毎日新聞』さんの京都版に、舞鶴市での朗読会の案内も出ていました。ただしこちらはネットで調べてもそれ以上の情報が出て来ませんで……。

第140回かざはな朗読会 

2月2日(金)13時半、舞鶴市溝尻の市勤労者福祉センター。舞鶴今昔物語より「消えた温泉」など、宮沢賢治作「雪渡り」、高村光太郎作「智恵子抄」より。参加無料。主催は朗読愛好会かざはな。

以上、よろしくお願いします。

【折々のことば・光太郎】

痩せてバツタのやうな此の部落の子供達は見かけよりも健康で、元気で、毎日午前十時半の体操の時間には角力やリレー競争で運動会のやうな騒ぎです。分教場の生徒(尋常科)男女合せて三十八名、皆性質のよい、素直な、ハキハキした子供達です。これで田植や草刈には一ぱしの役をつとめて居ます。小生の小屋へもよく野菜や漬物などを持つて農家から使ひに来ます。「コレ、ケル」といひます。「コレヲ進上」といふ意味です。


昭和21年(1946)7月17日 和田豊彦宛書簡より 光太郎64歳

花巻郊外旧太田村、山小屋近くの山口分教場の子供たちについて。戦後となりましたが、教育基本法はまだ施行前で「尋常科」の呼称が残っていたのでしょう。和田は光太郎もたびたび寄稿した『週刊少国民』の編集に当たっており、送られてくる同誌を子供たちに貸してやって……という話の流れです。

山形県から朗読イベントの情報です。

第3回読書会「声に出して読みたい日本語 part2」

期 日 : 2023年12月6日(水)
会 場 : 大石田町町民交流センター虹のプラザ 山形県北村山郡大石田町緑町28
時 間 : 午前10時~11時30分
料 金 : 無料

コロナ禍により長期間お休みしていた読書会を今年度から再開しています! ベストセラー『声に出して読みたい日本語』に紹介されている有名な作品を、みなさんで一緒に読んでみませんか。 今回の読書会では、気軽に音読をしながら、宮沢賢治の童話や川端康成の小説の一部、高村光太郎の詩を味わいます。

『声に出して読みたい日本語』(齋藤孝著、草思社刊)で紹介されている文学作品の一部を取り上げ、参加者で感想を交わしながら読みあいます。図書館担当者から作者や本の紹介等もあります。

 ・宮沢賢治 風の又三郎ほか「どっどどどどうどどどうどどどう」
・川端康成 伊豆の踊子ほか「道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に」
・高村光太郎 道程「僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る」
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『声に出して読みたい日本語』(平成13年=2001 草思社)は、NHKさんの「にほんごであそぼ」の監修もなさり、昨年ご紹介した『齋藤孝の小学国語教科書 全学年・決定版』など、この手の書籍等を随分出されている齋藤孝氏の編著です。当方、CDブック版(平成15年=2003)を持っています。
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平成3年(1991)、NHKさんで放映された単発の2時間ドラマ「智恵子と光太郎 極北の愛」で光太郎役を演じられた小林薫さん(智恵子役は佐久間良子さんでした)が「道程」を朗読されています。

同町、朗読に力を入れているようで、12月14日(木)には「宮沢賢治 朗読の夕べ」なども企画されています。
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お近くの方等、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

火事のあとは少しずつ整理され、そちこちに小屋が建てられ始めました。高台から眺めると白い屋根や羽目板が目立つて来ました。


昭和20年(1945)9月12日 宮崎稔宛書簡より 光太郎63歳

「火事」は8月10日の花巻空襲によるものです。疎開していた宮沢賢治実家も燃え、光太郎は現在の市役所近くの佐藤昌宅を経て、宮沢家の人々が避難していた羅須地人協会のあった桜町に近い佐藤隆房邸に寄寓していました。

昨日は北鎌倉に行っておりました。

光太郎の直ぐ下の妹・しづの令孫夫妻がやられているカフェ兼ギャラリー「笛」さんで、「回想 高村光太郎と尾崎喜八 詩と友情 その10」展示と、関連行事としての朗読会にお邪魔。
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まずは展示を拝見。光太郎、そして光太郎と交流が深く、晩年は笛さんの近くに居住していた尾崎喜八に関わるさまざまです。
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光太郎から尾崎の結婚祝い(新婦は光太郎の親友・水野葉舟息女)に贈られたブロンズの「聖母子像」(ミケランジェロ模刻)も。
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一度火災に遭って、現在は読めなくなってしまった台座裏面の但し書きの画像。
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店名の由来となった世界各国のさまざまな笛。店主の山端氏が集められ、ご自身で演奏もなさいます。
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午後3時、朗読会の開始です。

店主の山端氏は、尾崎のエッセイ「音楽への愛と感謝」から、光太郎との出会いを語る部分を。奥様は光太郎詩「こころに美をもつ」(昭和17年=1942)と「深夜の雪」(大正2年=1913)で。
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ご常連の方、尾崎令孫の石黒敦彦氏、奥様のはとこに当たられる、高村豊周令孫も。
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当方は光太郎が戦後になって「智恵子抄」収録詩を朗読した肉声の入ったCDを持参、皆さんに聴いていただきました。

最後に再び山端氏。光太郎詩「山からの贈物」(昭和24年=1949)。
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その後、歓談タイム。「山からの贈物」ということで、鎌倉の山の方で採れたという巨大なトウガンなどが振る舞われました。
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展示の方は、11月28日(火)までの火・金・土・日曜日に見られます。
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「あじさい寺」として有名な明月院さん(尾崎家の墓所もあるそうで)の裏手です。ぜひ足をお運びください。

【折々のことば・光太郎】19258d8f-s

炭化沈香木 一寸珍に候へば少々進じまゐらせ候 茶にでもお使ひ下さらば幸甚


昭和20年(1945)4月 山端敏夫宛書簡より

「沈香(じんこう)」は香木の一種です。東南アジア原産で、おそらく日本では産出しないものでしょう。木彫の材としても使われます。

その沈香の炭を進呈するよ、茶を点てる時にでも使って下さい、と。宛先は「笛」店主山端氏の奥様の御尊父(光太郎の妹・しづの四男)です。この書簡、今年は出ていませんでしたが、昨年は展示されていました。

なぜ炭? というと、4月13日の空襲で焼けたということでしょう。光太郎、転んでもただでは起きません(笑)。

ありがたいことに光太郎詩文の朗読に取り組んで下さる方々が少なからずいらっしゃいます。その系の情報を3件ばかり。

まず、6月に応募についてご紹介した「第16回⼭形⼤学⾼校⽣朗読コンクール」。『智恵子抄』から随筆「智恵子の半生」の一節(詩「あどけない話」を含む部分)と、詩「レモン哀歌」が課題文でした。予選を経て本選が終わり、入賞者が発表されました。

高村光太郎の名作 東北6県の高校生 朗読を競う ~第16回山形大学高校生朗読コンクール審査結果発表~

 山形大学は地域社会との連携をより深める事を目的に、東北6県の高校生の文化交流を支援するため、第16回山形大学高校生朗読コンクールを開催しました。
 令和5年度も録音による審査によって開催しました。東北4県の高校26校177名の高校生により競われた予選審査を通過し、本選に出場した15名の高校生は高村光太郎の名作「智恵子抄」を朗読しました。
 上位3名を山形大学学長賞として選出し、他の本選出場者も入選として表彰しました。
 本選の模様は、山形大学公式YouTubeチャンネルにより一般公開します。
 なお、本コンクールの企画運営は基盤共通教育「イベントマネジメントとプレゼンでみがく社会人基礎力」(担当教員:山本陽史)の受講学生が行い、YouTubeの動画撮影・編集は山形大学放送研究会の学生に御協力いただき開催いたしました。
 詳しくはこちら(リリースペーパー)をご覧ください。
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入選された皆さんの朗読を収録した動画がアップされています。
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さすがに177名もの応募者の中から選ばれた朗読ですので、皆さん、聴いていて心地よい感じです。

参加なさった高校生の皆さん、さらにはコンクールの企画運営に当たられた大学生の皆さんの中から、光太郎智恵子の世界に興味を抱き、さらに発展した活動等に結びつけられる方が出てくると、望外の喜びです。

ところで朗読の動画というと、やはり光太郎詩文を朗読してYouTube等にあげられている方がたくさんいらっしゃいます。それはそれでありがたいのですが、審査や監修を受けず個人的にやられているということもあるのでしょう、中にはむちゃくちゃなものもあって残念です。以前にも書きましたが、朗読以前に漢字の勉強しようよ、みたいな。明らかにおかしな漢字の読み方をしているものが少なからずありますし、ひどいものになるとタイトルバックの詩の題名の漢字が思いっきり間違っていたり……。このあたりは当方も気をつけたいところですが……。

閑話休題。続いて朗読会のお知らせです。

あなたに贈る読みがたりーいい夫婦の日ー

期 日 : 2023年11月16日(木)
会 場 : 水戸市立東部図書館 茨城県水戸市元吉田町1973-27
時 間 : 午前11時~11時30分
料 金 : 無料

高村光太郎作「あどけない話」等、夫婦に関する作品を図書館スタッフが朗読します。
問合せ先 水戸市立東部図書館 029-248-4051

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もう1件。

「ならしの」ミニ朗読会~想いを込めてお届けする~

期 日 : 2023年11月25日(土)
会 場 : 東習志野コミュニティセンター 千葉県習志野市東習志野3-1-20
時 間 : 13:30~15:00 
料 金 : 無料

「はらぺこあおむし」エリック・カール 「日本の女」向田邦子 「智恵子抄」より高村光太郎 「よだかの星」宮沢賢治 「仙人」芥川龍之介 「伊豆の踊り子」川端康成 「連れあい」内海隆一郎

主催 習志野朗読サークル「茜」

光太郎作品のうち、やはりこうした場合に人気なのは「智恵子抄」ですね。

ついでに、というと何ですが、少し前にご紹介しました北鎌倉のカフェ兼ギャラリー「笛」さんで開催中の「回想 高村光太郎と尾崎喜八 詩と友情 その10」の関連行事としての朗読会が11月11日(土)です。カフェ常連の皆さんの皆さんなどによる朗読でしょう。昨年から始まり、2回目となります。今年は当方の勝手な計画で(笑)、光太郎肉声の朗読も聴いていただこうかと思っております。

3件の朗読会、お近くの方等、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

此辺が焼けたら小生も何処かの山へ行つて炭を焼かうと考へてゐます、

昭和20年(1945)3月27日 安齋正治宛書簡より 光太郎63歳

最近のこの項でくり返し書いていますが、3月10日の東京大空襲では機銃弾の被害程度で焼けずに済んだ光太郎アトリエ兼住居、4月13日の空襲で全焼します。5月には宮沢賢治の父・政次郎の招聘で花巻の宮沢家に疎開、戦後も帰京せず、花巻郊外太田村の山小屋に隠棲することになるのですが、そのイメージがこの頃には既にあったことが窺えます。

市民講座のご案内です。

高村光太郎『智恵子抄』を語り合おう 

期 日 : 2023年10月29日(日)、11月26日(日)
会 場 : 市民大学たかおか学遊塾 富山県高岡市末広町1番7号 高岡市生涯学習センター
時 間 : 14:00~16:00 
料 金 : 運営費1,000円 資料代300円(2回分) 合計1,300円
講 師 : 茶山千恵子

高村光太郎の人生に妻の智恵子はどのような影響を与えたのか、『智恵子抄』を読んで語り合いましょう。 10月29日(日) 「智恵子の半生」を朗読し深く読み取る 11月26日(日) 『智恵子抄』誕生秘話

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講師の茶山さん、これまでもたかおか学遊塾さんで同様の講座講師を務められた他、同塾主催のイベント「たかおか学遊フェスタ」で光太郎詩朗読をなさったり、劇団「よろこび」として演劇でも「智恵子抄」を取り上げて下さったりしました。

さらに今年の第67回連翹忌にご参加下さり、その後、ご自宅を開放されて予約制で振る舞う「光太郎ランチ」などの活動にも取り組まれています。ありがたし。

お近くの方、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

一寸甲州の方に旅行してゐたところ帰宅、御恵贈のめづらしき蛍烏賊といふもの拝受、まことにありがたく存じました、 暑さにやられて小生殆ど半病人のやうな有様で日を送つて居ります、


昭和17年(1942)8月24日 前田健次郎宛書簡より 光太郎60歳

この年10月、光太郎が詩部会長に就任した日本文学報国会と読売新聞社が提携して行われた「日本の母」顕彰事業のため、山梨県南巨摩郡穂積村(現・富士川町)上高下(かみたかおり)地区を訪れました。

黙々とわが子を育み、戦場に送る無名の「日本の母」を顕彰する運動の一環です。軍人援護会の協力の下、各道府県・植民地の樺太から一人ずつ(東京府のみ2人)「日本の母」が選考され、光太郎をはじめ、当代一流の文学者がそれぞれを訪問、そのレポートが『読売報知新聞』に連載されました。さらに翌年には『日本の母』として一冊にまとめられ、刊行されています。
 
井上くまは、女手一つで2人の息子を育て、うち1人は光太郎が訪ねた時点で既に戦病死、しかしそれを誇りとする、この当時の典型的な「日本の母」でした。光太郎はまた、『読売報知新聞』のレポート以外にも、くまをモデルに詩「山道のをばさん」という詩も書いています。
 
昭和62年(1987)には、光太郎が上高下を訪れたことを記念して、光太郎が好んで揮毫した「うつくしきものみつ」という短句を刻んだ碑が建てられています。冬至の前後にはここから「ダイヤモンド富士」が見えるということで、名所となっています。

で、井上家訪問が10月14日。ところが最近発見したこの書簡では8月にも甲州を訪れたと記述があり、その事実はこれまで知られていませんでした。「暑さにやられて小生殆ど半病人のやうな有様」とあるので8月で間違いありません。どうも井上家訪問の下準備的な感じで甲州に行き、現地の軍人援護会などの関係者と打ち合わせをして来たのではないかと思われます。

昨日は都内に出ておりました。

メインの目的は中野区で開催された朗読公演「くつろぎの朗読」拝聴でしたが、その前に駒場東大前の日本近代文学館さんで調べもの。
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コロナ禍以後、初めてで、数年ぶりでした。

SNSで花巻の方から「ご存じかも知れませんが、ある雑誌の×巻×号に光太郎のアンケート回答が載っている」という情報がもたらされ、当方が作成した光太郎文筆作品リストと照らし合わせてみると記載がなく、またその雑誌はよく行く国会図書館さんに収蔵がないので行った次第です。

ところが、実際に閲覧してみると、「あれ? これ、知ってるぞ」。帰ってから調べてみると、なんとまあ、リストにそのアンケート回答を載せるのを忘れていました。チョンボでした。しかしチョンボに気がつけたのを良しとしましょう。

まぁ、それでも他の雑誌に載った戦後の光太郎訪問記で、「これは」というものが見つかったりもし、無駄足には成らずに済みました。

さらに帰りがけ、受付兼ミュージアムショップで、ポストカードを1枚ゲット。
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光太郎と親しかった木下杢太郎の詩集『食後の唄』(大正8年=1919)をモチーフにしたもの。一番左の画像は杢太郎自身の描いた同書の挿画ですが、杢太郎や光太郎が中心メンバーだった芸術至上主義運動「パンの会」の様子を描いたものです。で、右下の緑色の帽子を被ってこちらを振り向いているチョビひげの人物が、光太郎と言われています。同館のポストカード、光太郎の『有機無機帖』由来のものは存じておりましたが、こちらは「ありゃ、こんなのあったんだ」でした。

その後、中野へ。東中野駅でJRを降りて、昼食を摂りつつぶらぶら歩き、「くつろぎの朗読」会場のオルタナティブスペースRAFTさんへ。
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江戸川乱歩の短編「火縄銃」との2本立てでしたが、「智恵子抄」の方が長い時間を取って下さいました。
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読み手は声優・ナレーターの出口佳代さんという方。よどみなくしっとりとした大人のお声で、実に聴きやすい朗読でした。

「高村光太郎の智恵子抄を、時系列に沿って、解説をナレーションしながら読んでいきます」という予告が出ていましたが、その通りで、適度に時代背景や事実関係などの解説を交えつつ展開。

朗読された詩は「人に(いやなんです)」、「僕等」、「我が家」、「道程」、「樹下の二人」、「あなたはだんだんきれいになる」、「あどけない話」、「千鳥と遊ぶ智恵子」、「風にのる智恵子」、「レモン哀歌」、そして戦後の「元素智恵子」。それ以外に智恵子書簡も。

クラシック系のCDをBGMに使われていました。バッハのカンタータBWV147「主よ、人の望みの喜びよ」や「G線上のアリア」、サティの「ジムノペディ」、ベートーベンのピアノソナタ「悲愴」など。選曲も的確でしたし、さらに感心したのは、長めの詩の朗読の際、BGMが終わると同時に朗読も終わるという実にナイスなタイミングの取り方。舌を巻きました。

「智恵子抄」。こういう展開になる、とわかっていても、やはり聴いていてじーんと来てしまいました。

終演後、少しお話をさせていただき、その後、中野の街へ。

中野と言えば、光太郎終焉の地です。会場のオルタナティブスペースRAFTさんから少し南下すると、桃園川緑道。川は暗渠となっており、地上部分は石畳の歩道が延々東西に続いています。西に1㌔ちょっと歩くと、緑道沿いにそこだけ時が止まったかのような建物。
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戦後、水彩画家の中西利夫が自身のために建てたアトリエですが、利夫はこのアトリエをほとんど使うことなく昭和23年(1948)に急逝。その後、貸しアトリエとなり、イサム・ノグチがここを使った後、昭和27年(1952)10月に花巻郊外旧太田村から再上京した光太郎が入りました。ここで生涯最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」を制作した光太郎、翌年には一時的に太田村に帰ったものの、もはや健康状態が山での生活に耐えられず、またここに戻り、昭和31年(1956)4月2日早暁、ここでその生涯を閉じました。翌年の第一回連翹忌もここで行われています。

当時中学生で、光太郎にかわいがられた中西家子息・利一郎氏がご存命の頃、3回、中に入れていただきました。その最後の機会は、平成28年(2016)、当方も出演させていただいたATV青森テレビさん制作の「「乙女の像」への追憶~十和田国立公園指定八十周年記念~」という番組のロケの際でしたので、いや、もう7年も経つか、という感じでした。

このアトリエの保存・活用運動が起こっているのですが、その後、どうなっているのか……。
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というわけで、まとまりませんが、都内レポートを終わります。

【折々のことば・光太郎】

きたない本ですが「大いなる日に」といふ詩集を出しましたので別便でお贈りいたしました。


昭和17年(1942)4月30日 篠田定吉宛書簡より 光太郎60歳

前年の『智恵子抄』に続く、光太郎第三詩集です(昭和15年=1940の『道程 改訂版』は除く)。それまでとは一変し、翼賛詩一辺倒。さらに翌年には年少者向けの『をぢさんの詩』、そしてその翌年には『記録』と、光太郎黒歴史詩集の出版が相次ぎます。
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画像はこの夏、信州安曇野の碌山美術館さんで開催された「特別企画 生誕140周年高村光太郎展」の際にお貸ししたもろもろのうち黒歴史三点セット。これこそ光太郎詩の真髄、と涙を流して有り難がる愚かとしか言いようのない自称・研究者が居るのには呆れます。

朗読のイベントを2つご紹介します。

開催順にまずは北海道。

第31回 葦の会 朗読会

期 日 : 2023年10月7日(土)
会 場 : 札幌市資料館 研修室 札幌市中央区大通西13丁目4-194
時 間 : 13:30~16:00
料 金 : 500円

第31回 葦の会 朗読会を開催します。
<プログラム>
 志賀直哉 作 『 転生 』 岡田しづよ
 芥川龍之介 作 『 蜜柑 』 後藤朋子
 江戸川乱歩 作 『 日記帳 』 奈良千鶴
 有島武郎 作 『 小さき者へ 』 栗原幸子
 <休憩>
 樋口一葉 作 『 たけくらべ 』より 今堀祥子
 佐藤春夫 作 『 小説 智恵子抄 』より 山口照代
 森浩美 作 『 褒め屋 』 植松尚美
  指導・進行佐藤 雅子
「葦の会」は、1990年4月朝日カルチャーセンター朗読講座で基礎を学んだ有志で結成した会です。朗読の楽しさ、奥深さ、楽しさを感じながら、月1回の勉強会を重ねています。年に1回朗読会を実施しています。

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光太郎と親しかった佐藤春夫の『小説 智恵子抄』からの抜粋がプログラムに入っています。同作は光太郎が歿した昭和31年(1956)から翌年にかけ、雑誌『新女苑』に連載されたジュブナイルです。連載当時のタイトルは「愛の頌歌(ほめうた) 小説智恵子抄」。昭和32年(1957)に実業之日本社で単行本化、のち、角川文庫のラインナップに入りました。今日現在、KADOKAWAさんのサイト上にも登録があり、絶版というわけではないのかな、と思われます。文庫版の解説は当会の祖・草野心平です。

佐藤自身による「はしがき」によれば、

 詩集「智恵子抄」はだいたいとして事実、実感を重んじて書かれた半記録らしいのに較(くら)べて、わたくしのは徹頭徹尾、小説で虚実取り交えたもので、作中人物も実名あり架空の人名あり、作中の土地も踏査の暇なくすべて居ながらにして名所を知った架空風景である。その心して読まれたい。

とのこと。

おおむね光太郎や周辺人物から聞いた話などを元にしているのでしょうが、たしかに「虚実取り交えた」部分があります。ただ、どこまでが「実」でどこからが「虚」かの見極めが難しいところです。

例えば、昭和8年(1933)夏、光太郎は心を病んだ智恵子を伴い、その療養のため東北と北関東の温泉廻りをしていますが、確認出来ている最初の逗留先は裏磐梯川上温泉です。しかし同作では川上温泉に泊まる前日、近くの中ノ沢温泉の「花見屋」という宿に一泊したということになっています。そこが他の客との相部屋しか無く、しかたなしに頼み込んで主人の居室に泊めてもらい、翌日、主人の紹介で川上温泉に移ったと。このあたり、こちらで把握している光太郎年譜にはそうした事実が確認出来ません。すると、佐藤による創作かな、とも考えられるのですが、厄介なことに「花見屋」が実在します。ただしそちらでは「光太郎智恵子が泊まった宿」という宣伝はなさっていないようです。それにしても佐藤の記述が非常にリアルでして……。

閑話休題、もう1件、朗読イベントを。続いては光太郎終焉の地・東京都中野区です。

くつろぎの朗読会

期 日 : 2023年10月17日(火)
会 場 : オルタナティブスペースRAFT 東京都中野区中野1-4-4
時 間 : 午後2時 午後7時 朗読時間は約80分です
料 金 : ¥2,300(珈琲、紅茶付き)

「ものがたり」に耳をかたむけながら、ゆったりまったりRAFTでくつろぎのお時間を。ものがたりとお飲み物をご用意してお待ちしております。

 智恵子抄 高村光太郎  火縄銃 江戸川乱歩

*読み手 出口佳代
高村光太郎の智恵子抄を、時系列に沿って、解説をナレーションしながら読んでいきます。光太郎と智恵子の愛をより深く感じていただけるのではと思います。後半は 江戸川乱歩に初挑戦いたします。ストーリー自体がまず面白いので、推理と種明かしを、一緒にスリルを感じながら楽しめたらと思います。よろしければ是非足をお運びくださいませ。
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予約してみました。皆様もぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

東京は今、地方の人の上京で満員の状態です。物資統制で皆不自由な生活をしてゐます。

昭和15年(1940)10月30日 長沼セン宛書簡より 光太郎58歳

千葉九十九里浜在住だった智恵子実母宛です。

太平洋戦争開戦までまだ1年余りありますが、泥沼化していたに日中戦争の影響で、物資不足。砂糖・マッチは既に配給制となっています。「地方の人の上京で満員」は、地方より東京府内の方が物資を入手しやすかったためでしょうか。

3件ご紹介します。

びじゅチューン!「老猿は主役じゃなくても」

NHK Eテレ 2023年9月12日(火) 17:3017:35 9月15日(金) 23:5023:55

発想の源は、高村光雲「老猿」(東京国立博物館)。この彫刻は、そのまわりだけ空気がちがうような、圧倒的な「ドラマ性」を感じさせます。もし脇役としてキャスティングされたとしても、その存在感の強さで主役を食ってしまうでしょう。「白雪姫」の小人C役、「桃太郎」のサル役…。たまたま脇役として起用されて現場のパワーバランスをおかしくさせてしまうストーリー。「老猿」と周囲とのギャップを楽しんでください。

【出演】井上涼,【声】ジョリー・ラジャーズ

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光太郎の父・光雲作の「老猿」(明治26年=1893)をメインにしています。

初回放映が昨年1月、その後、今年3月にはDVDブック『びじゅチューン!DVD BOOK 7』にも収録されていますが、電波に乗るのは久しぶりですね。

再 にほんごであそぼ「服装」

地上波NHK Eテレ 2023年9月14日(木) 15:35〜15:45 9月16日(土) 07:0007:10

書道で学ぶにほんご・ぐうたらちんたら・花鹿亭/服装、朗読(津田健次郎)/「あなたはだんだんきれいになる」高村光太郎、偉人とダンス/やむを得ないそのときは、服装に無頓着でもいいんだよ。でもいつでも心はきちんとドレスを着てください。(マーク・トウェイン)、うた「なせばなる」

【出演】南野巴那,津田健次郎,柳家わさび,藤原道山,青柳美扇,世田一恵,中村彩玖,
    川原瑛都,川田秋妃

今朝、初回放映がありました。ベテラン俳優・声優の津田健次郎さんによる光太郎詩「あなたはだんだんきれいになる」(昭和2年=1927)朗読を含みます。
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もう1件、同じ「にほんごであそぼ」から。

にほんごであそぼ「朗読スペシャル(2)」

地上波NHK Eテレ 9月18日(月) 08:35〜08:45

朗読(高杉真宙)/「三銃士」アレクサンドラ・デュマ、「旅情」萩原朔太郎、「あどけない話」高村光太郎、「鶏」山村暮鳥、朗読(津田健次郎)/「ロミオとジュリエット」シェイクスピア、「板極道」棟方志功、「達磨おくり」金子みすゞ、うた「なせばなる」

【出演】南野巴那,津田健次郎,高杉真宙,藤原道山,中村彩玖,川原瑛都,川田秋妃

これまでに「朗読」のコーナーで放映されたパートを集めてのものと思われます。7月に放映された若手俳優・高杉真宙さんによる「あどけない話」(昭和3年=1928)を含みます。
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それぞれ、ぜひご覧下さい。

【折々のことば・光太郎】

夏の暑さなどに遮られ、のびのびとなつて居りました色紙を今日の日曜に書きましたゆゑ不出来ながら明朝小包にてお送りいたします、文字の方は拙詩 “牛” の中の一行に有之、デツサンの方はコンテにて描きました。彫刻の方も追々着手の運びといたします、


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長谷川吉三郎は山形県の銀行家。光太郎に書や彫刻の制作を依頼しました。「色紙」は二点。詩「牛」(大正3年=1914)の一節「牛は大地をふみしめて歩く」と、牛の絵です。長谷川は丑年生まれでした。

これ以外にも、「牛」全文を書いた大きな書も贈られました。これらは「長谷川コレクション」として山形県立美術館さんに所蔵されており、一昨年、富山県水墨美術館さんでの「チューリップテレビ開局30周年記念「画壇の三筆」熊谷守一・高村光太郎・中川一政の世界展」でお借りしました。
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7月31日(月)に放映のあったものの再放送です。

にほんごであそぼ「空」

地上波NHK Eテレ 2023年8月5日(土) 07:00~07:10

書道で学ぶにほんご・漢字アニメ/空、偉人とダンス/この空は私たちの真上にある 究極のアートギャラリーなのである。(ラルフ・ワルド・エマーソン)、こどもスタジオ/空前絶後、
朗読(高杉真宙)/「あどけない話」高村光太郎、文楽/山のあなたの・・・、童謡「りすりす小りす」

【出演】南野巴那,高杉真宙,竹本織太夫,鶴澤清介,三世桐竹勘十郎,青柳美扇,おおたか静流,中村彩玖,川原瑛都,川田秋妃

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「空」をテーマに、さまざまな切り口から日本語の面白さを探究。
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そんな中で、光太郎詩「あどけない話」(昭和3年=1928)を、俳優の高杉真宙さんが朗読。
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実に爽やかでいい感じでした。

NHKプラスさんでも配信されています。ただし、ブラウザが限定されているようです。Microsoft Edgeには対応していないような……。

ところで、過日、同番組のスタッフ女史からレファレンス依頼がありました。8月8日(火)に撮影を行う回で、やはり光太郎詩「レモン哀歌」(昭和14年=1939)と、「道程」(大正3年=1914)の雑誌初出形バージョンを取り上げて下さるそうで、詩の読み方について。

「道程」の雑誌初出形バージョンは、全102行。あまりに長いのですべてではなく抜粋で、だそうです。「レモン哀歌」は以前にも使われましたが、こちらは初の試みということで、読み方はこれでいいのか、という確認でした。しかしなんとオンエアは10~11月の予定とのこと。かなり長いスパンで制作されているのですね。

ちなみに以前も書きましたが、時折、ネット上で102行バージョンが「「道程」の全文」という紹介の仕方をされていて、閉口しています。まるで詩集『道程』に収められた9行の形(光太郎自身がばっさり切り落としました)が実はまがいもので、みんな騙されているかのように「この長いのが「道程」の全文じゃ。どや、おどれら知らへんかったろ、教えたるわ、ボケ」みたいな(笑)。102行の形は「初出形」または「初出発表形」、9行の方は「最終形」あるいは「最終詩形」。「全文」という語は絶対に使わないでいただきたいものです。「それ、「全文」ちゃうねん、知ったかぶってドヤ顔こいとるんやあらへんで」という感じです。別に関西弁でなくてもいいのですが(笑)。

閑話休題。明日の再放送、ぜひご覧下さい。

【折々のことば・光太郎】

又例の講座の「ヹルハアラン」が出来ました故ともかく別封で謹呈いたします、 説明を平叙法にした為め失敗しました、ヹルハアランの人物とその時代的意味を書けずにしまひました、


昭和8年(1933)8月14日 片山敏彦宛書簡より 光太郎51歳

例の講座の「ヹルハアラン」」は、この月発行の『岩波講座世界文学九 近代作家論』。光太郎によるベルギー詩人エミール・ヴェルハーレンの書き下ろし評伝「ヹルハアラン」を含む、6人の共著です。「」は、それに先立つ6月に同じ叢書の第七巻で光太郎単著の『現代の彫刻』が刊行されていたことに関わります。いずれもペーパーバックです。
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ヴェルハーレンは妻・マルトとの生活を謳った連作詩「時」三部作を発表しており、『智恵子抄』所収詩篇にも少なからず影響を及ぼしています。

一昨日、昨日と、あちこち吹っ飛び廻っておりました。3回に分けてレポートいたします。

まず7月7日(金)、座・高円寺さんへ。
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渡辺えりさん作の「天使猫」「月にぬれた手」拝見以来、11年ぶりでした。

こちらでは「ろうどくdeおもてなし 七夕公演~会えば何かがはじまる~」が開催され、昼公演、夜公演と内容の異なる二本立てでしたが、夜公演の方で光太郎の「智恵子抄」取り上げられるということでお邪魔しました。
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朗読系の公演を聴くといつも感じるのですが、絶対量はともかく、普段の読書の幅が狭い当方としては、実に新鮮でした。光太郎智恵子らに関わらない書籍はあまり読む余裕がありません。公共交通機関を使って移動する際には頭を使わないで済む歴史小説、時代小説、推理小説等は読みますが、それ以外はとんと御無沙汰です。そこで、普段読まないジャンルのものを聴けて、新鮮、というわけです。

また、数十年前に読んだものも、細かな内容等は忘れていて「ああ、そういう話だったっけ」的なことも。今回で云えば「星の王子様」や太宰の短編など。

それぞれに聴きやすい、レベルの高い方々で、いい感じでした。

さて、大トリが「智恵子抄」から。今回のグループの主宰者的な葉月のりこさんという方と、大物ゲスト的な扱いなのでしょう、唐ひづるさんという方。

はじめに「千鳥と遊ぶ智恵子」(昭和12年=1937)をお二人で分担しつつ。お二人の声が一瞬重なり、奇しくもハモったところもあり、ゾクッときました。

その後、プログラムでは「僕等」(大正2年=1913)「おそれ」(大正元年=1911)となっていましたが、掛け合いのように二つの詩を少しずつ交互に朗読されるというスタイルで、斬新だな、と思いました。

どこで区切ったかまでは細かく憶えていないのですが、こんな感じでした。

いけない、いけない
静かにしてゐる此の水に手を触れてはいけない
まして石を投げ込んではいけない
一滴の水の微顫も
無益な千万の波動をつひやすのだ
水の静けさを貴んで
静寂の価(あたひ)を量らなければいけない
僕はあなたをおもふたびに
一ばんぢかに永遠を感じる
僕があり あなたがある
自分はこれに尽きてゐる
僕のいのちと あなたのいのちとが
よれ合ひ もつれ合ひ とけ合ひ
渾沌としたはじめにかへる
すべての差別見は僕等の間に価値を失ふ
あなたは其のさきを私に話してはいけない
あなたの今言はうとしてゐる事は世の中の最大危険の一つだ
口から外へ出さなければいい
出せば則すなはち雷火である
あなたは女だ
男のやうだと言はれても矢張女だ
あの蒼黒い空に汗ばんでゐる円い月だ
世界を夢に導き、刹那を永遠に置きかへようとする月だ
僕等にとつては凡すべてが絶対だ
そこには世にいふ男女の戦がない
信仰と敬虔けいけんと恋愛と自由とがある
そして大変な力と権威とがある
人間の一端と他端との融合だ
僕は丁度自然を信じ切る心安さで
僕等のいのちを信じてゐる
そして世間といふものを蹂躪してゐる
頑固な俗情に打ち勝つてゐる
二人ははるかに其処をのり超えてゐる
それでいい、それでいい
その夢を現(うつつ)にかへし
永遠を刹那にふり戻してはいけない
その上
この澄みきつた水の中へ
そんなあぶないものを投げ込んではいけない
僕は自分の痛さがあなたの痛さである事を感じる
僕は自分のこころよさがあなたのこころよさである事を感じる
自分を恃たのむやうにあなたをたのむ
自分が伸びてゆくのはあなたが育つてゆく事だとおもつてゐる
僕はいくら早足に歩いてもあなたを置き去りにする事はないと信じ 安心してゐる
僕が活力にみちてる様に
あなたは若若しさにかがやいてゐる
私の心の静寂は血で買つた宝である
あなたには解りやうのない血を犠牲にした宝である
この静寂は私の生命いのちであり
この静寂は私の神である
しかも気むつかしい神である
夏の夜の食慾にさへも
尚ほ烈しい擾乱じようらんを惹き起すのである
あなたはその一点に手を触れようとするのか
あなたは火だ
あなたは僕に古くなればなるほど新しさを感じさせる
僕にとつてあなたは新奇の無尽蔵だ
凡ての枝葉を取り去つた現実のかたまりだ
あなたのせつぷんは僕にうるほひを与へ
あなたの抱擁は僕に極甚(ごくじん)の滋味を与へる
いけない、いけない
あなたは静寂の価を量らなければいけない
さもなければ
非常な覚悟をしてかからなければいけない
その一個の石の起す波動は
あなたを襲つてあなたをその渦中に捲き込むかもしれない
百千倍の打撃をあなたに与へるかも知れない
あなたの冷たい手足
あなたの重たく まろいからだ
あなたの燐光のやうな皮膚
その四肢胴体をつらぬく生きものの力
此等はみな僕の最良のいのちの糧かてとなるものだ
あなたは女だ
これに堪へられるだけの力を作らなければならない
それが出来ようか
あなたは其のさきを私に話してはいけない
いけない、いけない
あなたは僕をたのみ
あなたは僕に生きる
それがすべてあなた自身を生かす事だ
御覧なさい
煤烟と油じみの停車場も
今は此の月と少し暑くるしい靄との中に
何か偉大な美を包んでゐる宝蔵のやうに見えるではないか
あの青と赤とのシグナルの明りは
無言と送目との間に絶大な役目を果たし
はるかに月夜の情調に歌をあはせてゐる
僕等はいのちを惜しむ
僕等は休む事をしない
僕等は高く どこまでも高く僕等を押し上げてゆかないではゐられない
私は今何かに囲まれてゐる
或る雰囲気に
或る不思議な調節を司る無形な力に
そして最も貴重な平衡を得てゐる
私の魂は永遠をおもひ
私の肉眼は万物に無限の価値を見る
しづかに、しづかに
私は今或る力に絶えず触れながら
言葉を忘れてゐる
伸びないでは
大きくなりきらないでは
深くなり通さないでは
――何といふ光だ 何といふ喜だ
いけない、いけない
静かにしてゐる此の水に手を触れてはいけない
まして石を投げ込んではいけない

もうちょっと短いスパンで交代していたような気もしましたが、こんな感じでした。

「おそれ」は光太郎がまだ智恵子と恋愛関係となる前、これから先、経済的に苦労するに決まっている自分の生活に智恵子を巻き込みたくない、しかし、自分自身も智恵子に惹かれてしまう思いが抑え難い、という苦悩を謳ったもの。

それに対し「僕等」は、「おそれ」の1年4ヶ月後に書かれ、もはや腹を決めて智恵子と二人、手を取り合って苦楽を分かち合っていこう、愛があれば何とかなるさ! という決意の表明。

それを交互に読み合うことで、二つの心の間で揺れ動く光太郎、的なことが表されていました。面白い取り組みだと思いました。

詩の朗読は、ただ単純に詩を羅列していくだけでは、なかなか山あり谷ありの小説等のそれとは異なり、平板になってしまいがちです。山なしオチなし意味なし、ただ単に雰囲気だけ味わってもらえれば……みたいな。そうならないように、と云う工夫の意味もあったのでしょう。

終演後の出演者の皆さん。
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今後ともご活躍されることを祈念いたしております。

その後、中野区野方に移動。「三枝ゆきの・末永全 二人芝居 『カラノアトリエ』『トパアズ』」を拝見しました。そちらは明日、レポートいたします。

【折々のことば・光太郎】

草津に四五日居て今別所に来ました、繭のにほひが温泉のけむりにまじつて古風です、僕につきものの雨が今も降つてゐます。雨を聴きながら湯に入るのは価千両。

昭和2年(1927)7月7日 水野葉舟宛書簡より 光太郎45歳

草津」は群馬県の草津温泉、「別所」は現・長野県上田市の別所温泉。別所の麓の塩田平に当方の亡くなった父親の実家があり、子供の頃から別所温泉にはたびたび参りました。ここ十年程の間にも何度か。

都内から朗読系の公演情報です。

ろうどくdeおもてなし 🌟七夕公演🌟~会えば何かがはじまる~【夜公演】

期 日 : 2023年7月7日(金)
会 場 : 座・高円寺2 杉並区高円寺北2-1-2
時 間 : 開演16:00(開場20分前)~終演18:00すぎ
料 金 : 前売り2,000円 当日2,500円 高校生以下無料

① 堀真潮『抱卵』(脚色:葉月のりこ) 葉月のりこ 
② 堀真潮『訃報』『ドーナツ2』 上野純子・今井理恵子 
③ イソップ「イソップ物語」より『コウモリの話』(訳:宇野葉子・ IBCパブリッシング)
 舞はるり 
④ アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ 『星の王子さま』(声劇・朗読用台本より) 
山下すみれ・碧唯香子 
(10分休憩) 
⑤ 紙中礼子『愛って、愛って、愛って』 (書き下ろし)   澤木桃栄 
⑥ 太宰治『黄金風景』 きさらぎゆうこ 
⑦ 谷川俊太郎『ほしにむすばれて』 (文研出版)   伊島久美 
⑧ 太宰治 『灯籠』 山木梨可 
⑨ 宮沢賢治『どんぐりと山猫』  ( 脚色:今井理恵子)  今井理恵子・林あや子 
⑩ 高村光太郎「智恵子抄」より『千鳥と遊ぶ智恵子』『僕等』『おそれ』
 唐ひづる・葉月のりこ 
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プログラムの異なる「昼公演」もあるそうで(13:00~)、通しでの料金は3,000円だそうです。

都合がつきそうなのでお邪魔しようかな、と考えております。皆様もぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

宮沢氏からの本先日女中さんに托しましたが、此前の「注文の多い料理店」は黄瀛君に返却しなければなりませんから、お手許へ出して置いて下さい。


大正15年(1926)10月11日 水野葉舟宛書簡より 光太郎44歳

「宮沢氏からの本」は、賢治から贈られた『春と修羅』です。何度も紹介していますが、草野心平共々、光太郎は生前の賢治を高く評価していました。そのため、親友の水野葉舟にもぜひ読んでみろ、というわけですね。

童話集『注文の多い料理店』は、黄瀛から借りたものの又貸しだったようで、「だめじゃん」ですが(笑)。

山形大学さんで毎年行っている、高校生朗読コンクール。毎年違った東北ゆかりの文学作品を課題とし、かつては本選が大ホールを使って公開されていました。「東日本大震災により地域が分断された東北に、文化によるネットワークを構築することを目的」というコンセプトを付与していた時期もありました。

確認できている限り、過去2回、「智恵子抄」を課題として下さいました。平成27年(2015)の第8回、それから令和2年(2020)の第13回です。第13回はコロナ禍の始まった年で、この年から予選・本選とも録音審査ということになり、ホールでの公開はなくなりました。

今年も録音審査で行われるそうで、4月にはプレスリリースが出、昨日、YouTube上に解説動画がアップされました。今年も「智恵子抄」(散文「智恵子の半生」)を課題として下さるとのこと。

第16回⼭形⼤学⾼校⽣朗読コンクール出場者募集

・ 第16回山形大学高校生朗読コンクールの出場者を募集します。
・ 令和5年度は予選・本選とも録音審査により開催します。
・ 基盤共通教育「イベントマネジメントとプレゼンでみがく社会人基礎力」を受講する本学学生が、本コンクールの企画・運営を授業の一環として行います。

概要
 山形大学は、東北6県の高校生の文化交流を支援することを目的に、第16回山形大学高校生朗読コンクールを開催します。
 令和5年度は、予選・本選とも録音審査により開催し、予選課題は、福島県出身の妻・智恵子との思い出を綴った高村光太郎の作品「智恵子抄」を取り上げます。
 本コンクールの企画・運営は、基盤共通教育「イベントマネジメントとプレゼンでみがく社会人基礎力」を受講する本学学生が授業の一環として行い、予選・本選の録音審査は、山形大学教員で構成した審査委員会が行います。
 昨年度に開催した第15回山形大学高校生朗読コンクール本選(録音審査)の出場者の朗読を、YouTube山形大学公式チャンネルにより一般公開中です(令和5年6月30日(金)まで公開予定)。
 本コンクールは、例年たくさんの高校生に応募していただいており、昨年度は13校から48名の応募がありました。今年度も東北地方の多くの高校生の応募をお待ちしております。

 詳しくは、こちら(リリースペーパー)をご覧ください。

予選について
・課題文「智恵子抄」(高村光太郎)の朗読データを提出する録音審査により開催します。
・応募方法等の詳細は別紙チラシをご参照ください。

本選について
・予選審査を通過した高校生10名程度が出場できます。
・本選の上位3名を山形大学学長賞として表彰し、記念品を進呈します。
・本選の朗読は、YouTube山形大学公式チャンネルにより公開します(令和6年6月30日(日)まで公開予定)。
・本選出場者の氏名、所属高校、学年及び録音データを一般公開しますので、その旨ご了承の上でご応募ください。

開催日程
6月23日(金)迄  予選課題録音データの提出締切(当日消印有効)
7月28日(金)頃  予選審査の結果と合わせて予選通過者へ本選を通知
8月25日(金)迄  本選課題録音データの提出締切
9月29日(金)頃  本選結果の通知

参考
第15回高校生朗読コンクール本選(令和5年6月30日(金)まで公開)
YouTube山形大学公式チャンネル < https://youtu.be/koj77gA-kws >
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解説動画がこちら。


なかなかよくまとまっています。

応募資格が「高等学校、中等教育学校に在学中の生徒又は高等専門学校(1年生から3年生まで)に在学中の学生で、下記①、②のいずれかの条件を満たす者。①東北6県に在住 ②東北6県の学校に在学」だそうです。奮ってご応募下さい。

それにしても、本選は以前のように大ホールで公開審査という方が盛り上がると思います。今年度分の計画段階ではまだコロナ禍がどうなるか……という判断があったのかもしれませんし、録音審査の方がやりやすい、というのもあるのかもしれませんが……。また、実際に朗読する方としても、大きな会場で大勢のギャラリーを前に、というのはちょっと……というのがあるかもと思いますが、それでもやはり……という気がします。

【折々のことば・光太郎】

智恵子のお父さんの三回忌の法要で急に出懸けました。 君の処の花を思ひながら野山の美しい緑を見てゐます。帰途此の温泉に一寸立寄りました。


大正9年(1920)5月10日 水野葉舟宛書簡より 光太郎38歳

此の温泉」は現在の福島市郊外の穴原温泉。下の画像は当方手持ちの古絵葉書です。
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同日、田村松魚に宛てた絵葉書はこの吉川屋のもので、おそらくここに泊まったのでしょう。

その前に訪れた智恵子の故郷・安達郡油井村(現・二本松市)の印象が、「智恵子抄」中の詩「樹下の二人」に謳われました。ただ、「樹下の二人」では「この冬のはじめの物寂しいパノラマの地理」とあり、季節が合いません。この矛盾に関し、当会顧問であらせられた故・北川太一先生曰く「ここには幾度かの訪問の印象が重複しているのであろう」とのことです。

大阪から演奏会情報です。

Raffiné 春の音楽祭 in Osaka~心に響く名曲の調べ~

期 日 : 2023年4月5日(水)
会 場 : 豊中市立文化芸術センター小ホール 大阪府豊中市曽根東町3-7-2
時 間 : 18:30開演
料 金 : 全席自由 2,800円

出演/曲目 :
 八幡 達<ヴァイオリン> ピアノ:林 典子
  C.サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲 第3番 ロ短調 作品61 より 第1楽章
  F.クライスラー:プレリュードとアレグロ
 永井樹奈<フルート> ピアノ:仲本和香奈
  尾高尚忠:フルート協奏曲 より 第2、第3楽章
 宮口 愛<ピアノ>
  F.リスト:メフィスト・ワルツ 第1番「村の居酒屋での踊り」S.514
 中尾千聡<ピアノ>
  F.ショパン:ノクターン第2番  平井康三郎:幻想曲「さくらさくら」
 板谷優希奈<ピアノ>
  マルグリット・モノー:愛の讃歌  F.リスト:愛の夢 第3番
  ピアノDuo ~Largo~ (中村明日香 & 山田華子)
  W.A.モーツァルト:オペラ「フィガロの結婚」序曲
  W.A.モーツァルト:恋とはどんなものかしら
 宇田津典子<ピアノ>
  F.ショパン:スケルツォ 第2番 変ロ短調 op.31
  R.シューマン – F.リスト:『リートによる15のピアノ小品集』より “献呈” op.25-1
 北野由紀子<ピアノ>
  北野由紀子:咲来羅(さくら)
 宮尾壽里子<朗読> ピアノ:Yoshi
  高村光太郎(翻案・構成/宮尾壽里子)「智恵子抄より~光太郎 智恵子へのオマージュ」
  挿入曲/
カッチーニ「アベ・マリア」
 岩井奈美<メゾ・ソプラノ> ピアノ:尾崎克典
  中田喜直:ひなの日は たんぽぽ  G.ロッシーニ:もしも粉屋の娘をお望みなら
  G.ロッシーニ:オペラ「セビリアの理髪師」より “今の歌声は”
  P.チマ-ラ:郷愁 海の歌  O.レスピーギ:バッラ-タ 最後の陶酔
  R.レオンカヴァッロ:朝の歌  S.カルディッロ:つれない心(カタリ・カタリ)
  R.レオンカヴァッロ:朝の歌(マッティナータ)
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詩人で朗読もなさっている宮尾壽里子氏による「智恵子抄より~光太郎 智恵子へのオマージュ」がプログラムに入っています。哀愁漂う伝・カッチーニのアヴェ・マリアをピアノで弾かれるのは息子さんですね。

宮尾氏はかなり以前から「智恵子抄」系の朗読等に取り組まれており、最近ですと、昨年4月に都内荒川区の日暮里サニーホールさんで開催された「My Favorite Story ~美しき詩の世界~」が入っていて拝聴にうかがいましたし、12月に都内早稲田奉仕園さんで行われた「日本詩人クラブ2022年12月例会」では、詩人の方々が光太郎智恵子等に扮し、朗読ドラマとして上演されました。

宮尾氏、明日の第67回連翹忌にもご参加下さり、その後すぐに大阪での公演と、お忙しいスケジュールのようです。

お近くの方(遠くの方も)、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

いい秋になりましたね。写生が出来ますか。マロニエーの並木が目先にちらつく。

明治44年(1911)11月5日 津田青楓宛書簡より 光太郎29歳

津田青楓は留学仲間の画家。したがって、「マロニエーの並木」はパリでしょう。

翌月には、やはり留学仲間だった画家の柳敬助と、その夫人で日本女子大学校での智恵子の先輩・八重のとりなしにより、光太郎智恵子が運命の出会いを果たします。

3月13日(月)は、光太郎の誕生日です。存命であれば満で140歳となります。

だから、というわけでもないのでしょうが、その日とその翌日に、「智恵子抄」系の朗読公演。

まずは大阪から。昨秋上演予定だったのが、関係者にコロナ感染が出たため、延期となっていたものです。

至高の華 ~舞と語り~<振替公演>

期 日 : 2023年3月13日(月)
会 場 : 大槻能楽堂 大阪府大阪市中央区上町A-7
時 間 : 18:30~
料 金 : S席 8,000円 A席 6,000円

演 目 : 語り「初代 梅若実」 桂南光(新作落語 本邦初演)
      舞踊詩劇「智恵子抄」 梅若実桜雪/藤間勘十郎/高橋惠子 ほか
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「舞踊詩劇 智恵子抄」。昭和32年(1957)初演の新作能「智恵子抄」をベースに、人間国宝の能楽師・梅若実桜雪氏と舞踊家の藤間勘十郎氏が光太郎智恵子として舞われ、女優の高橋惠子さんが朗読なさるそうです。

平成18年(2006)以来、何度か上演されたそうですが、当方、寡聞にして存じませんでした。今回は令和初の公演、「さらに進化した智恵子抄」だそうで。

続いて北海道札幌から。

マンスリー朗読ライブ VOL.26 智恵子抄を語る

期 日 : 2023年3月14日(火)
会 場 : 岩本珈琲 札幌市白石区栄通18丁目4-1 アン・ロワイヤル 1F
時 間 : 19:30~
料 金 : 1,800円(ワンドリンク付)

出 演 : 石橋玲(朗読)  つくね(音楽)
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せつなくも愛情たっぷりの「智恵子抄」から数篇をメドレーでお届けします✨」だそうです。

それぞれお近くの方(遠くの方も)、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

わざわざ例会の御案内にあづかりありが度く存上候。当日遺憾ながら約束事の為め欠席仕るべくこの段御返事まで


明治42年(1909)12月3日 森鷗外宛書簡より 光太郎27歳

例会の御案内」は、鷗外が自宅で開いていた観潮楼歌会のそれです。光太郎、一度だけ参加しましたが、その後は逃げ回っていました(笑)。同趣旨の断りの書簡があと三通、確認できています。

光太郎、東京美術学校時代の恩師でもある鷗外に対しては「敬して遠ざける」的な部分があり、それが後の「サーベルさせば鷗外だ」事件にもつながります。

この年8月に受けた、留学のため先延ばしにしてきた徴兵検査は、軍医総監だった鷗外が裏で手を回し、徴兵免除となったのに、です。

詩人で、朗読の活動もなさっている宮尾壽里子氏からご案内を頂きました。朗読系のイベントのようです。

満ちてゆく秋の午後 IN BON ART & 霜月 満月 一日遅れの誕生日

期 日 : 2022年11月8日(火)
会 場 : BON ART 東京都文京区本郷5-25-17
時 間 : 15:00~18:00
料 金 : 無料

軽食を頂きながら、みんなで歌って踊って語って楽しく過ごしませんか。一芸をプレゼントして下さい ♪
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昨年、フランスで刊行された仏訳『智恵子抄』・『Poèmes à Chieko』(当方が宮尾氏にお貸ししました)から、「山麓の二人」を朗読される方がいらっしゃるとのこと。

その他「詩人、役者、朗読者と賑やかな会」だそうです。また、「一芸をプレゼントして下さい ♪」だとのことですので、飛び入りも可なのでしょうか。

残念ながら、今月はあちこち顔を出す機会委が多く、当方は欠礼いたしますが、ご興味のある方、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

午后岡本先生くる、診察、血圧をはかる、二度はかりしが、115度くらゐとの事、かなり低し、今夕死んだ水爆患者、久保山氏は85度とのこと、 平熱、

昭和29年(1954)9月23日の日記より 光太郎72歳

水爆患者、久保山氏」は、アメリカがビキニ環礁で行った水爆実験に巻き込まれた第五福竜丸の無線長です。被爆から約半年後のこの日、亡くなったとのこと。

血圧の「115」とか「85」は、最高血圧でしょうが、「115」で「かなり低し」……「うーむ」という感じです。当方、最近測っていませんが、最高は100ちょっと、下手すると2桁、最低は70くらいです。

新刊というか、ニューリリースというか、CDブックです。

心とカラダを整える おとなのための1分音読CDブック

2022年10月11日 自由国民社 定価1,800円+税

 おうち時間が増え、人との会話や声を出す時間が減ってしまった、という方も多いのではないでしょうか。
 文章を声に出して読む「音読」は、「気持ちが落ち着く」「やる気が出る」「ストレスが解消し、抵抗力がアップする」「脳が活性化する」「誤嚥性肺炎の予防に役立つ」といった健康効果があるといわれています。
 累計28万部突破の1分音読シリーズが「CD付ブック」になって登場!声の出演は平田満さん&宮崎美子さん。
 累計28万部突破の「おとなのための1分音読」シリーズは、おなじみの名作の中から1分程度で音読できる名文を多数収録。
 本作では、俳優の平田満さん、宮崎美子さんが音読するCDと冊子がセットになって発売されます。「手袋を買いに」「走れメロス」「ごんぎつね」ほか、気軽に楽しく読める44作品を収録しています。
 CDを真似して読んでみるのもよし、自分なりに工夫して読むのもよし。毎日の健康のために、音読を習慣にしてみませんか?

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CDには、光太郎詩「道程」(大正3年=1914)の朗読も含まれています。

担当されているのは俳優の平田満さん。
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平田さんと言えば、平成29年(2017)にWOWOWプライムさんで放映された「連続ドラマW 宮沢賢治の食卓」で、賢治の父にして、戦禍に遭った光太郎を花巻の自邸に疎開させてくれた政次郎役を好演なさっていました。

その賢治の代表作の一つであり、没後、光太郎が石碑の碑文を揮毫した「雨ニモマケズ」も、宮崎美子さんの朗読で収録されています。

ぜひお買い求めを。

【折々のことば・光太郎】

ひる頃モデルさん玄関まで、結婚せし由、品川の方にゐるとの事、


昭和29年(1954)7月4日の日記より 光太郎72歳

「モデルさん」は、生涯最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」のモデルを務めた藤井照子。「プール・ヴーモデル紹介所」(現在も存続しています)に所属していましたが、結婚を機にモデル業はやめたようです。
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まだご存命なのかも知れませんが、その後の消息が分かりません。情報をお持ちの方はコメント欄等から御教示いただけると幸いです。

神奈川県鎌倉市から展示及びイベント情報です。

回想 高村光太郎と尾崎喜八 詩と友情 その9

期 日 : 2022年10月9日(日)~11月8日(火)の火・金・土・日曜日
会 場 : 笛ギャラリー 神奈川県鎌倉市山ノ内215
時 間 : 11:00~16:00
休 業 : 月・水・木曜日
料 金 : 無料

関連行事 : 高村光太郎と尾崎喜八の詩朗読会 10月16日(日) 15:00~
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会場の笛ギャラリーさん。光太郎のすぐ下の妹・しづのお孫さんにあたられる山端御夫妻が経営なさっている、カフェ兼ギャラリーです。

すぐお近くに、光太郎と交流の深かった詩人・尾崎喜八の令孫もお住まいで、両家に伝わる光太郎・喜八関係のさまざまな資料等を展示なさいます。昨年の様子はこちら

笛ギャラリーさんといえば、今年5月、NHKさんで放映された「鶴瓶の家族に乾杯 市川猿之助が鎌倉でがんばる人を探す旅&坂道を走る人を叱る」で、笑福亭鶴瓶さんがお店をご訪問。
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本当にアポ無しだそうで。まずはご主人。
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そこへ奥様も。
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そりゃ、いきなり鶴瓶さんがいらしたら驚きますわな(笑)。
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お世辞でなく、ここのコーヒーは本当に美味です(笑)。

近所の小学生が来店。
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子供たちが帰ったあと、御夫妻のなれそめ的なお話になり、その中で光太郎も。
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照れるご主人がとてもかわらいしく(笑)。
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これは存じませんでした。素敵ですね。

別の日の映像。先ほどの小学生も。
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こうした流れで、今回初めて、光太郎と喜八の詩の朗読会をやってみようということになったそうです。上記の通り、10月16日(日)です。4日前の時点で既に7名の出演申し込みがあったそうで。当日は当方、拝聴に参ります。
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まさにその通り。足を踏み入れるだけでほっこりさせられる空間です。

というわけで、ぜひ足をお運びください。北鎌倉・明月院さんから徒歩365歩です。
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【折々のことば・光太郎】

NHK録音班3人と秋山ちゑ子さんくる、録音、


昭和29年(1954)5月4日の日記より 光太郎72歳

平成28年(2016)に亡くなった、伝説的ラジオパーソナリティーの秋山ちえ子さん。この当時はNHKラジオで「私の見たこと、聞いたこと」という番組を担当なさっていました。どんな話題が出たのか、残念ながら録音が残っていないようで不明です。秋山さんの回想などにこの件が触れられていれば、と思うのですが……。

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