国会図書館などに調査に行く場合には、「今日は○○と××について調べる」などと、あらかじめ計画を練っていかないと時間が無駄になります。
昨日はまず、昨日のこのブログで小沢昭一さんの訃報にからめて紹介した光太郎作詞、飯田信夫作曲の「歩くうた」(昭和15年=1940)、に関する調査から始めました。
今年4月から年2回、当方が刊行している冊子『光太郎資料』で、「音楽、レコードに見る光太郎」という項を設けており、まずは「歩くうた」を扱っているからです。今までに、当時出版された楽譜や、当時発売されたレコード(徳山璉などの歌唱)、戦後になって他の歌手がカバーしたレコード・CDなどについて紹介しました。
そうした調査の中で、当時の厚生省が歩くことを広く国民に呼びかけていたらしいことが判り、その裏付け調査をしておこうと考え、調べてみました。すると、確かにそういう記述のある書籍が見つかりました。また、大毎東日映画部が「歩け歩け」という映画を制作していたことも判り、そちらの調査もしてきました。
詳しくは来年4月刊行予定の『光太郎資料』第39集に書きますので、ご入用の方はお声がけください。
続いて、当たりをつけておいた光太郎の文筆作品-少し前のブログで長々と書いた「海の思出」のように、埋もれていた文筆作品-の探索。こちらについてはまた明日のブログでご報告します。
それにしても、国会図書館に行くと、いい運動になります。同館は図書館といっても、通常の図書館のように開架で本がずらっと並んでいるわけではなく、ほとんどが書庫にしまわれている状態です。古い資料はデジタル化が進み、館内のパソコン画面で閲覧する仕組みになっていますが、それほど古くない物は、現物を書庫から出してもらって閲覧する仕組みです。
雑誌以外の書籍の受け取りと返却、複写は本館2階、雑誌に関しては受け取り、返却は新館2階、複写は新館1階。デジタルデータの複写受け取りも新館1階。さらに昨日は新聞系の調査も行ったので、新館4階にも行き、合間に本館6階の食堂で食事、喫煙は本館と新館の間の2階喫煙室。本館も新館も広い建物で、さすがに4階や6階に上がる時にはエレベータを使いますが、1階と2階の間は階段を使った方が早いので、エレベータは使いません。昨日は朝から夕方までいましたが、おそらくキロメートルの単位で歩き回っているんじゃないかな、などと思いつつ過ごしました。当方は普段から犬の散歩で毎日歩いていますので大丈夫ですが、年配の方には優しくないシステムです。
しかし、国会図書館は進化しています。一番大きいのはデジタルデータで古い書籍をすぐに見られること。以前は古い物でも現物を書庫から出して貰って閲覧したり、マイクロフィルムやマイクロフィッシュで閲覧したりというのが中心でした。そうすると、出して貰ったり、必要なページを複写して貰ったりするのにも、1件あたり早くて十数分かかり、待ち時間が非常に長かったのです。カウンターの前に総合病院の薬局のような電光掲示板があって、自分の番号が点灯すると、書庫から目的の本が到着あるいは複写完了、というシステムでした。そこで、長い待ち時間の対策として、家から文庫本を持ち込んで読むということをしていました。図書館に自分の本を持ち込んで読書、考えてみると馬鹿馬鹿しい話でした。
現在は、やはりデジタル化されていない書籍の受け取りや複写にかかる時間は短縮されたわけではありませんが、待ち時間にパソコンでデジタルデータの調査が出来ます。そちらの複写はパソコンから申し込めます。また、調査しているうちにパソコンに「申し込んだ書籍が届きました」「複写が完了しました」といったメッセージが届くシステムにもなっており、非常に便利です。
ただし、あちこち歩き回らなければ行けない、というのは昔のままです。欲を言えば、すべての資料がデジタル化され、自宅にいながらにして閲覧も複写もすべて自分のパソコンで出来てしまうようになればさらに便利です。無理な話だとは思いますが……。