特別展 生誕150年記念 板谷波山の陶芸-近代陶芸の巨匠、その麗しき作品と生涯-
陶芸家・板谷波山。東京美術学校彫刻科卒という、ちょっと変わった経歴です。したがって、光太郎の父・光雲に彫刻の手ほどきを受けており、光太郎の先輩でもあります。
そこで、「参考作品」ということで、光雲の木彫二点と、光太郎の「手」も出品されていました。波山展をやってるなぁ、というのは存じておりましたが、光雲・光太郎の作品が出ているとは気づきませんでした。
光雲の木彫二点は、「瓜生岩子像」(明治32年=1899)と、「三猿置物」(昭和6年=1936)だそうですが、当方、二点とも拝見したことがありません。
光太郎の「手」は、ブロンズの代表作「手」と思われますが、出品目録には「明治35年 1902」と書かれています。代表作の「手」は大正7年(1918)作ですので、誤植なのだろうと思うのですが、もしかすると全く違う「手」なのでしょうか? オンラインショップで図録が購入可能でしたので、早速註文しました。届き次第見てみます。
ところで同展、全国巡回でした。これまでにも波山の故郷・茨城県筑西市のしもだて美術館さん、廣澤美術館さん、板谷波山記念館さん3館合同の同時開催で4~6月に、石川県立美術館さんでは6~7月で。
さらに来月から泉屋博古館さんの東京館でも開催されます。当方、こちらを拝見に行こうと存じます。また、来年1月2日(日)~2月26日(土)には茨城県近代美術館さんにも巡回だそうです。
東京展の情報を。
特別展 生誕150年記念 板谷波山の陶芸-近代陶芸の巨匠、その麗しき作品と生涯-
京都展は10月23日(日)まで。その後の東京、茨城と、お近くの会場にぜひ足をお運び下さい。
【折々のことば・光太郎】
午前長谷川仁夫妻玄関まで、藤島武二先生の写真うけとり、預る、
「長谷川仁」は、ジャーナリスト。この頃、戦時中に亡くなった洋画家・藤島武二の胸像制作の話があり、光太郎に制作依頼がありました。光太郎は欧米留学前の明治38年(1905)、西洋美術を学び直そうと、東京美術学校の西洋画科に再入学(結局、留学のため中退)しましたが、その際に藤島は同科の教授でした。そこで、「先生」の文字。
光太郎、体調が回復すれば、この頃手がけていた「倉田雲平胸像」を完成させ、さらに藤島像の依頼も受けたかったようですが、それは幻に終わりました。