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11月22日(土)と23日(日)、全日本合唱連盟さん主催の第78回全日本合唱コンクール全国大会の大学職場一般部門が開催されました。

そのうち大学ユースの部の結果を報じる『朝日新聞』さん記事。

都留文化大とソレイユ大臣賞 全日本合唱コン

 第78回全日本合唱コンクール全国大会の大学職場一般部門が22日、佐賀市文化会館で始まった。大学ユースの部と室内合唱の部で計10団体が金賞に輝き、それぞれ都留文化大合唱団(山梨)と女声合唱団ソレイユ(佐賀)が最優秀にあたる文部科学大臣賞を受けた。
 審査結果は次の通り。(特別賞以外の並びは出演順)
 ◇大学ユース(6人以上、28歳以下)
【金賞】都留文科大合唱団(山梨)=文部科学大臣賞=、
    Ensemble SAKAE(埼玉)=佐賀市教育委員会教育長賞=、
    
早稲田大コール・フリューゲル(東京)=日本放送協会賞=、
    関西学院グリークラブ(兵庫)、東京科学大混声合唱団コール・クライネス(東京)
【銀賞】早稲田大女声合唱団(東京)、九大混声合唱団(福岡)、金沢大合唱団(石川)、
    同志社グリークラブ(京都)、新潟大合唱団(新潟)
【銅賞】愛媛大合唱団(愛媛)、福島大混声合唱団(福島)、Chor Karmin(鳥取)、
    北海道大合唱団(北海道)

 ◇室内(6~24人)
【金賞】女声合唱団ソレイユ(佐賀)=文部科学大臣賞=、
    Chor Alyssum(東京)=佐賀市長賞=、
    AF合唱団(千葉)=日本放送協会賞=、
    Choeur Premier(千葉)、Ensemble Nisi(京都)
【銀賞】アンサンブルVine(京都)、札幌チェンバークワイア(北海道)、
    こそり(福島)、倉敷少年少女合唱団(岡山)
【銅賞】エシュコル(愛知)、Serenitatis Ensemble(徳島)、Ensemble Nix(福岡)

東京都代表の早稲田大コール・フリューゲルさんが、金賞および日本放送協会賞に輝きました。自由曲に新実徳英氏作曲の「愛のうた -光太郎・智恵子-男声合唱とフルート、クラリネット、弦楽オーケストラのために」から「レモン哀歌」を演奏されての受賞でした。おめでとうございます。
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昨年も金賞ということで、9月に開催された都大会はシードで特別扱い。課題曲・自由曲1曲ずつのみの他団体とは異なり、自由曲としては「レモン哀歌」を含む4曲が演奏されました。全国大会出場は約束されていましたが、全国での自由曲が4曲の内のどれとその時点では発表されていませんでした。

以前ですと事前に各出場団体の演奏曲目がテキストデータでネット上に上がっていたのですが、今回はPDFや画像データでの予告で、見落としていました。来年以降、気をつけます。
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コンクール後に行われる各団体の定期演奏会等で、コンクールの自由曲として演奏した作品をプログラムに入れるケースが結構あります。フリューゲルさんもそうで、来月開催予定のコンサートに「レモン哀歌」も入っていました。

早稲田大学コール・フリューゲル 第70回定期演奏会

期 日 : 2025年12月12日(金)
会 場 : 小金井宮地楽器ホール 大ホール 東京都小金井市本町6-14-45
時 間 : 18:30~ 
料 金 : 全席自由 1,000円

曲 目
 ・ 『レモン哀歌』 《愛のうた -光太郎・智恵子-》
   男声合唱とフルート、クラリネット、弦楽オーケストラのためにより
   [ピアノ-リダクション(四手連弾)版] 作曲:新実徳英  作詩:高村光太郎
 ・ 『彼岸花』 男声合唱組曲《雪と花火》より 作曲:多田武彦  作詩:北原白秋
 ・ 《Missa Papae Marcelli》より 作曲:Pierluigi da Palestrina
 ・ 男声合唱とピアノのための《あらゆる日も夜も》 作曲:根岸宏輔  作詩:川崎麻希
 ・ ポップス アラカルト 編曲:清水昭
 ・ 男声合唱と三つの打楽器のための《紋》 作曲:松本望  作詩:金子光晴

出 演
 指 揮:清水敬一(常任指揮者)/清水昭/真下洋介/小野由寛(学生指揮者)
 演 奏:早稲田大学コール・フリューゲル
 ピアノ:小田裕之/井川弘毅  パーカッション:篠崎智 

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「レモン哀歌」、本来はオーケストラ伴奏として作曲され、令和4年(2022)の慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団さんの第146回定期演奏会で同団依嘱作品としてオケ伴で初演され、その際のライブ演奏を録画したDVDで拝聴しました。全音さんから刊行された楽譜はピアノ連弾の伴奏となっており、フリューゲルさん、コンクールでも定演でもその形での演奏です。

ピアノ連弾バージョンは聴いたことがないので、行ってみようかなと思っております。みなさまもぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

ロダンにとつては、生きてゐるといふ理由のみであらゆる生きて居るものは美しい。そしてあらゆるものは同等に美しい。

光太郎訳 アサア サイマンス「ロダン論」より
大正3年(1914)訳 光太郎32歳

名もない草花にも「美」を見出す、言うのは簡単ですが、それを常に意識するのは難しいような気がします。

本日のキーワードは「今週末」。紹介すべき事項があとからあとから出て参りまして、ギリギリの紹介となってしまい、すみません。

まず、都内から朗読公演の情報。

四季の朗読会〜秋の部〜

期 日 : 2025年11月8日(土)
会 場 : 秋葉原ハンドレッド2 東京都台東区浅草橋5-3-2
時 間 : 12:00~
料 金 : ¥6,000

文豪達の四季折々の名作が俳優の紡ぐ言葉によって現代に再び蘇る朗読会。俳優達と一緒に過去の名作を楽しみましょう。


十二時の回 高村光太郎「山の秋」 十五時の回 久米正雄「虎」 十八時の回  泉鏡花「貴婦人」

出演者 谷佳樹 山口渓 町田尚規 灰塚宗史

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「山の秋」は、花巻郊外旧太田村の山小屋(高村山荘)周辺の思い出を再上京してから書いたもので、雑誌『婦人公論』第37巻第10号(昭和28年=1953 10月)に発表されました。

谷佳樹さんという方、舞台「文豪とアルケミスト 旗手達ノ協奏(デュエット)」で、主人公の志賀直哉役を演じられた方でした。他にも同作でアンサンブルという敵の戦闘員役を演じられた方も。今一つ公演の詳細が分からなかったのですが、なるほど、そういう系かと。

もう1件、智恵子の故郷・福島二本松からコンサート情報です。

トランペット&ピアノ デュオ 駅に響け「ほんとの空」コンサート

期 日 : 2025年11月9日(日)
会 場 : JR東北本線安達駅東西自由通路西口1階コンコース
時 間 : 午後1時15分(約50分)
料 金 : 無料

トランペッター Noby
本宮市出身二本松在住のプロトランペッター。中学時代にイタリア人トランペッターニニ・ロッソに憧れ、趣味で吹き続けてきた事がプロの道へ。国内各地、海外での演奏経験もあり、ジャンルを問わない演奏は好評である。

ピアノ 坂本ひとみ(市内在住)

(当初出演予定でフライヤーに名がある千葉貴利氏は、お身内にご不幸があり、急遽出演できなくなったそうです)
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光太郎詩「あどけない話」(昭和3年=1928)由来の「ほんとの空」の語を冠したコンサートです。会場は二本松市名誉市民であらせられた彫刻家の故・橋本堅太郎氏の最後の作品にして智恵子像の「今、ここから」が立つ安達駅。トランペットのNobyさんは、これまでも二本松での智恵子関連イベントなどに繰り返し出演なさっています。当方も一度、演奏を拝聴しました。

当初出演予定だった千葉貴利氏という方は存じませんでしたが、プロフィール欄に「生まれつき、右手首より先が無い」とあります。それで鍵盤楽器を弾かれるというのですから、つくづく人間というものは凄いんだな、と改めて思います。

それぞれご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

辛抱です! 神来を頼みにするな。そんなものは存在しません。芸術家の資格は唯智慧と、注意と、意志とだけです。正直な労働者のやうに君達の仕事をやり遂げよ。

光太郎訳 ロダン「若き芸術家達に(遺稿)」より
大正9年(1920)頃訳 光太郎38歳頃

やはりロダンも光太郎同様、ポジティブですね。光太郎がそれに学んだ、と言うべきかも知れませんが。

この場合の「芸術家」は、造型作家のみと限らないでしょう。

新刊です。

昭和の夢は夜ひらく

発行日 : 2025年10月20日
著者等 : 五木寛之
版 元 : 新潮社
定 価 : 960円+税

戦前・戦中・戦後──。流れゆく時代の片隅で、私は何を見てきたか。『週刊新潮』人気連載から厳選、追憶の36話。

昭和百年とはいうけれど、歴史として語られる数々の出来事と、戦前、戦中、戦後にかけて自身が経験してきた事々は、重なるようでいてどこか重ならない。戦争と引揚げの記憶、貧しかった青春時代、かつての文壇での交友や歌謡曲の世界、そして逝きし人びとの声──連載十二年に及ぶ「週刊新潮」の人気エッセイから三十六話を厳選、忘れ得ぬ時代の原記憶が鮮やかによみがえる。
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目次
 はじめに
 流されゆく日々
  流れゆく時代のなかで/ボタ山に紅テントが立った時代/ラジオと共に六十年/
  黒と白のブルース/一日見ぬ間の桜かな
 昭和百年とはいうけれど
  昭和百年の原記憶/ぬるめの風呂につかりながら/昭和時代の片隅で/
  昭和残影あれこれ/『昭和百年』はどう語られるか
 忘れ得ぬ記憶
  虫のいろいろ/シベリア抑留者の光と闇/七十数年前の難民として/
  時は流れる 時計が見える/戦後は遠くなりにけり/思い出のなかの昭和残影
 歌は世につれ、世は歌につれ
  高村光太郎の国民歌/昭和歌謡の罪と罰/昭和の夢は夜ひらく/
  時代の歌と、歌の時代/昭和は踊る時代だった
 文壇つかずはなれず
  文壇バーとガールズ・バー/おい、泣くなよ奥野/文士劇のあった時代/
  原稿用紙と私/あの日の雨はまだ降っている/ハラスメント天国
 忘れ得ぬ人の面影
  内田裕也という人の片影/平岩弓枝さんのこと/上海ガーデン・ブリッジ/
  八代亜紀と冠二郎/残る桜も散る桜
 私の昭和時代
  昭和二十年代の正月/わが青春に悔あり/野球がだんだん遠くなる/私がなくしたモノ

解説文にある通り、『週刊新潮』さんに連載のエッセイ「生きぬくヒント!」からのセレクションです。

「歌は世につれ、世は歌につれ」中の「高村光太郎の国民歌」は、令和2年(2020)の3月12日号に掲載されました。昭和15年(1940)に光太郎が作詞し、飯田信夫が作曲、徳山璉(たまき)の歌唱でそこそこヒットした「歩くうた」に関する内容です。

平成30年(2018)の同じ連載で「潜伏する人びとの世界」と題し、天草地方の潜伏キリシタン、九州や東北の隠し念仏/隠れ念仏などを扱った回でも光太郎に触れて下さっていましたが、残念ながら本書では採録されていませんでした。

昭和7年(1932)のお生まれで、「昭和」時代の大半を経験されている五木氏だけに、多岐に亘るその昭和史の証言は貴重なものだな、と思いつつ拝読いたしました。昭和100年ということで、タイムリーですね。

作詞家でもあらせられた氏ですので、音楽関連の内容も多く、「歌は世につれ、世は歌につれ」と一章まるまる歌謡の話に割かれていますし、他の章でも内田裕也さん、八代亜紀さんなどに触れられています。

もちろん文壇系の話題も。川端康成、野坂昭如、寺山修司、立松和平、安岡章太郎、吉行淳之介などに触れられています。そうかと思えば考古学者の大塚初重など全く畑違いと思われる人々の思い出も。

ぜひお買い求め下さい。

【折々のことば・光太郎】

私は民衆の言葉を使ふ。思想は明瞭であつて、容易く呑みこまる可きものですから。私は大多数の人に会得して貰ひたい。学者風の言葉や見慣れない文句は審美学専門の学者達に譲ります。


光太郎訳 ロダン「ロダンの手帳 クラデル編」より
大正5年(1916)頃訳 光太郎34歳頃

万人にわかりやすい言葉で語り、書く。大切なことだと思います。五木氏の文章など、まさにそんな感じですが。

福島を拠点に活動されている音楽ユニット風信子(ヒヤシンス)さんの、今月リリースされた自主制作盤CDです。

風の旅人〜夕焼け空の色はふるさとの色〜

発行日 : 2025年10月13日002
発行元 : 風信子
定 価 : 1,500円

作詞・作曲 : 村上有理香
編 曲 : 吉田賢市
演 奏 : 風信子

風信子(ヒヤシンス)第2弾CD『風の旅人〜夕焼け空の色はふるさとの色〜』(1500円) が10月13日(祝月)にリリースされました🌸

風信子の代名詞、オリジナルご当地ソング8曲がすべて収録されています😊また今回は様々な効果音が使われていて、まるで物語の世界を旅しているような雰囲気も味わっていただけると思います✨️

風信子の音楽で、ぜひ楽しい旅に出かけて下さい💐

曲 目 :
 1、大好き♡曽根田駅
 2、遊びにおいでよ飯坂へ
 3、ここが飯野☆ここが好いの♡
 4、本当の空を忘れないで  (二本松)
 5、ぼくらの町の桃源郷 (二本松・さつき山公園テーマソング)
 6、ふるさとの町〜伊達に帰ろう〜
 7、喜多方の街 (喜多方・福島DC勝手に応援歌~喜多方編 準グランプリ受賞曲)
 8、想い出をたどれば  (いわき、浜通り)

曲目タイトルでお判りかと存じますが、全曲福島各地の「ご当地ソング」的な。M4の「本当の空を忘れないで」に、光太郎詩「あどけない話」(昭和3年=1928)の「ほんとの空」から派生した「本当の空」の語を使い、安達太良山、阿武隈川、二本松霞ヶ城、提灯祭りなどが謳い込まれています。ジャケットの夕景画像も安達太良山ですね。
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キーボードやウクレレを弾きつつリードボーカルの村上有理香さん(左)と、ギター・コーラスの吉田賢市さん(右)、お二人によるユニット・風信子(ヒヤシンス)。これらの曲などを引っ提げて、主に県内各地のイベントなどにご出演なさっています。
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村上さんが、一昨年5月に二本松で行われた「智恵子を偲ぶ鎮魂の集い」(智恵子のまち夢くらぶ~高村智恵子顕彰会~さん主催)にご参加、その際に知遇を得まして、今回、CDを購入させていただきました。

福島愛溢れる歌詞と優しいメロディー、軽やかな演奏をぜひご堪能いただきたく、ご紹介いたします。ぜひお買い求めを。

【折々のことば・光太郎】

彼等の彫刻には静がある。驚く可き静と休息とがある。官学風の静ではない。官学風のは自然の欠乏、生命の欠乏です。さうでは無くて、強力の静、意識力の静、精神の下にある肉体から来る印象です。

光太郎訳 ロダン「ロダンの言葉 フレデリク ロートン筆録」より
大正5年(1916)頃訳 光太郎34歳頃

「彼等」はロダンが手本とした古代ギリシャの彫工たち。「強力の静」となると一見矛盾した表現ですが、「考える人」などは見事にそれが体現されていると思います。それを光太郎も目指したのでしょう。
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昨日は神奈川県逗子市にて開催中の「逗子アートフェスティバル」の一環としてのコンサート「余白露光2~テルミンと箏~」を拝聴して参りました。
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会場は逗子文化プラザホールさん。
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着いた時にはリハーサル中。
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地元逗子市のテルミン奏者・大西ようこさんと、都内ご在住の箏曲奏者・元井美智子さんによるコラボです。
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当会主催の光太郎を偲ぶ連翹忌の集いで知り合われたお二人、これまでもコラボでの公演を複数回なさっています。

さらに仙台にお住まいのヴォイスパフォーマー・荒井真澄さんの朗読が加わったトリオでも、福島二本松の智恵子生家で今年やられていますし、大西/荒井ペア、元井/荒井組でもそれぞれ複数回。

その荒井さんと元井さん。リハ後のショット。
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さらに荒井さんは昨日、ホワイエに設けられた大西さん所蔵の品々による「智恵子抄」コーナーの解説もご担当。
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連翹忌の集いで出会った皆さんがこうして活動の幅を拡げ、光太郎智恵子の世界を広めて下さっているのは主催者冥利に尽きるというものです。

お二人の後に吊り下げられているのは、切り絵作者・杵淵三朗氏の「境界剪画」。大西さんが運営されている同市のテルミンミュージアムでもかつて拝見しましたが、超絶技巧ですね。

杵淵氏。
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昨日のプログラムには、元井さん作曲の「智恵子抄」が組み入れられ、元井さんが箏を弾きつつ光太郎詩の朗読、そこに大西さんのテルミンがのっかる感じで。

杵淵氏の「境界剪画」をスクリーン代わりに、逗子の海などさまざまな映像が投影されました。下記画像は当日配布プログラムを兼ねたアンケートの一部。
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「智恵子抄」の際には、安達太良山や智恵子生家などの二本松の風景、それから智恵子が千鳥と化した九十九里浜、さらに智恵子紙絵。不覚にもうるっと来そうになりました(笑)。
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「智恵子愛」あふれるステージでした。

他の曲目は、箏曲定番の「春の海」、元井さんのオリジナル曲、テルミンとハープの合奏のために作曲されたものをハープの代わりに箏で、光太郎と同時代人で光太郎の好んだドビュッシー、それから今回が初演の藤枝守氏作曲《植物文様~夢みる茶(Tea Dreaming)》など。

 「葉や茎に電極をつけ、そこから得られる電位変化のデータをもとに音楽的に読み換えるという手法により生み出された音楽」「今回は、お茶の葉の電位変化を元に作られた曲」とのこと。

あっという間の2時間でした。終演後に帰られるお客様の表情も、実に満足げでした。

今後のご関係の皆様のさらなるご活躍を祈念いたします。

追記

昨日折り込まれていた、近々開催され、大西さん、元井さんの出演なさる演奏会のフライヤー等、載せ忘れていました。すみません。
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【折々のことば・光太郎】

――芸術家とは見る人の事です。眼の開た人の事です。其心に、物の内面の本質が、いづれにしても、存在事実として考へられる人の事です。

光太郎訳 ロダン「ロダンの言葉 フレデリク ロートン筆録」より
大正5年(1916)頃訳 光太郎34歳頃

昨日お会いした皆さんもそうなんだろうな、と、つくづく思いました。音楽は「見る」わけではありませんが。

愛知県から演奏会情報です。

第4回 前川健生テノールコンサート~あいのうた~

期 日 : 2025年10月19日(日)
会 場 : 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 愛知県豊橋市西小田原町123番地
時 間 : 15:00開演
料 金 : 一般 3,500円 高校生以下 2,000円

本演奏会では偉大なる芸術家高村光太郎作詞による妻・智恵子との苦難と愛を歌った『智. 恵子抄』をはじめとする素晴らしい作品の数々を演奏いたします。本年2025年は、わたく. し前川が東京二期会員として演奏活動を始めて10年目、また30代最後の年でもあります。 社会的にさまざまな出来事があったこの数年間を振り返り、また個人的な節目として、研鑽の結果を故郷・東三河の皆様に披露をしたく演奏会を準備いたしました。トークや解説. を交えながら、楽しくお聞きいただけるコンサートにいたします。是非お越し下さい。

出 演 : 前川健生[テノール]  赤松美紀[ピアノ]

予定曲 : 
 高村光太郎作詞作曲 歌曲集『智恵子抄』 
 マスカーニ作曲『カヴァレリア・ルスティカーナ』 母さん、あの酒は強いね
 トスティ作曲「理想の人」「君なんかもう」「かわいい口もと」 
 クルティス「忘れな草」 
 カルディッロ カタリ・カタリ ほか 
 (都合により変更となることがあります)
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故・別宮貞雄氏作曲の歌曲集「智恵子抄」が大きく前面に出されています。

最近では同じく二期会の紀野洋孝氏があちこちで歌われ、CD化されていますし、他の方もぽつぽつ取り上げて下さっています。紀野氏より前に故・永田峰雄氏によるCDもリリースされています。音楽之友社さんから楽譜も公刊されており、やはり楽譜と音源が公に出ていると演奏会でプログラムに入れやすいというところがあるのでしょう。もっとも、ろくでもない曲ではそうは成らないでしょうが。

今回、「「智恵子抄」より」とされていませんので、全曲演奏されるのでしょうか。全曲だと「Ⅰ 人に」「Ⅱ 深夜の雪」「Ⅲ 僕等」「Ⅳ 晩餐」「Ⅴ あどけない話」「Ⅵ 人生遠視」「Ⅶ 千鳥と遊ぶ智恵子」「Ⅷ 山麓の二人」「Ⅸ レモン哀歌」と9曲の構成です。

ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

増盛の度合は人によります。彫刻家一人一人の分別と気質とによる事です。それ故やり方の伝授といふものは無い。工場の秘訣といふものは無い。唯真実の法則があるばかりです。

光太郎訳 ロダン「ロダンの言葉 カミーユ モークレール筆録」より
大正5年(1916)頃訳 光太郎34歳頃

いわゆる「見て盗め」というのはこういう考え方に根ざしているのでしょうか。音楽でもそういうことがありそうです。この場合「見て」より「聴いて」の部分が多そうですが。

昨今流行りのAIを使って、いわゆる巨匠の作品を徹底的に分析し、その特徴を色濃く持つ新しいものを創造することも可能なのでしょうが、そんなことをやったとて滑稽なものしか出来ないような気もします。古い考え方でしょうか。

本日開幕の「逗子アートフェスティバル」の一環としてのコンサートです。

余白露光2 ~テルミンと箏~

期 日 : 2025年10月18日(土)
会 場 : 逗子文化プラザホールなぎさホール 神奈川県逗子市逗子4-2-10
時 間 : 13:30~15:30(13:00開場) 
料 金 : 3,000円(中学生以下1,500円)

触れずに演奏する不思議楽器テルミン(世界最古の電子楽器)と箏の演奏会に、切り絵装飾と映像を重ねた幻想的な舞台。春の海、月の光、といった名曲に加え、テルミンと十七絃箏の為の新曲(藤枝守)初演予定。

旧逗子高等学校武道場で開催された『余白露光』(ZAF2024)の続編です。今年は切り絵も更に増えて23本。昨年『余白露光』ワークショップで、逗子の学校の生徒さんに作って頂いた切り絵もホール舞台装飾に参加します。

連作『植物文様』とは、葉や茎に電極をつけ、そこから得られる電位変化のデータをもとに音楽的に読み換えるという手法により生み出された音楽です。今回は、お茶の葉の電位変化を元に作られた曲です。

また、本演奏会では、通常の十三絃箏に加え、十七絃箏も演奏されます。十七絃箏とは、宮城道雄氏が作曲および合奏するにあたり低音域の必要性を求め作られました。当初はあくまで伴奏楽器でしたが、沢井忠夫氏により独奏楽器として確立されました。従来の箏とは異なる深く沁み渡る音が特徴です。

アーティスト紹介
 大西ようこ Yoko Onishi [テルミン]  元井美智子 Michiko Motoi [箏] 
 杵淵三朗 Saburo Kinebuchi[境界剪画・民族楽器] 

演奏予定曲目
 春の海(宮城道雄) 月の光(ドビュッシー) いにしえの光(竹味奈美) 秋に(橘川琢)
 《植物文様~夢みる茶(Tea Dreaming)》 (藤枝守) 『智恵子抄』より さくら(日本古謡)
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テルミン奏者の大西ようこさんが逗子にお住まいということで、お仲間を率いて地元での演奏。昨年に引き続いてです。同市の『広報ずし』(「押しずし」とか「ちらしずし」のようですね(笑))今月号。
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大西さんは、今回も出演される箏曲の元井さん、それから出演はなさいませんが聴きに来られるという朗読の荒井真澄さんとお三方で、二本松の高村智恵子生家/智恵子記念館さんで開催された高村智恵子生誕祭の一環として、4月に当会主催で智恵子生家の座敷を会場にして行ったコンサート音楽と朗読『智恵子抄』愛はここから生まれたにもご出演なさいました。
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元井さんは荒井さんと組んで、昨年から仙台、花巻で演奏。今年は花巻高村光太郎記念館さんでも
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さらにフライヤーにも写っている杵淵三朗氏の「境界剪画」がステージを飾るようです。また、同氏のご紹介に「民族楽器」とあり、演奏もされるのでしょうか。

プログラムにある『智恵子抄』よりは、おそらく元井さんのオリジナル曲。昨年、やはり大西さんとのコラボ「テルミンミュージアム4周年記念~人数限定のスペシャルなライブ~」でも演奏されました。

また、会場入口には大西さん所蔵のものを中心とした「智恵子抄」コーナーも設けられるとのこと。そのパネル制作、ちょっとだけお手伝いいたしました。

ぜひ足をお運び下さい。

【折々のことば・光太郎】

芸術は静観です。自然を洞察し、又自然の中の心霊を推測する喜悦です。


光太郎訳 ロダン「ロダンの言葉 ポール グゼル筆録」より
大正5年(1916)頃訳 光太郎34歳頃

今回演奏される藤枝守氏作曲の連作『植物文様』は、「葉や茎に電極をつけ、そこから得られる電位変化のデータをもとに音楽的に読み換えるという手法により生み出された音楽」だそうで、こういうのも自然の洞察、推測なのかもしれません。

光太郎詩にオリジナルの曲を付けて歌われているシャンソン系歌手・モンデンモモさん。島根県を拠点にミュージカル等に携わられることが多いのですが、ご自宅は都内で、今年は「智恵子抄」をメインにしたライブを4月5月と開催されまして、さらにまたやられるとのこと。

BOOK CAFÉ LIVE モモの智恵子抄

期 日 : 2025年9月20日(土)
会 場 : 蔵カフェ 東京都府中市宮西町4-2-1
時 間 : 15:00~
料 金 : 3,500円+カフェご注文

出 演 : モンデンモモ たしまみちを(ギター)

我地元。大国魂神社に抱かれる 蔵カフェにて シリーズが始めさせていただけることになりました。このカフェは長い文化の源です。

私の根幹であります 智恵子抄 常にお届けしてまいります 光太郎さんとの出逢いから レモンの香りに包まれる現世 そして魂になり 光太郎さんと遊び見守り智恵子さん 時代と共にその魂も遊びます 本当に素敵なカフェです あなたも蔵カフェで歴史を築かれませんか モンデンモモモモ ここで 集約して参ります お待ちしています
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ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

のろい、考へつつする仕事や、手業。此は神来よりは美しくない様に見えます。ぱつとしない。それにも拘らず、此が芸術の総根元なのです。

光太郎訳 ロダン「ロダンの言葉 ジユヂト クラデル筆録」より
大正4年(1915)頃訳 光太郎33歳頃

「神来」は、神の啓示を受けたかのように、突然に達する境地。芸術とはそういうものではなく、地道な積み重ねが重要だと、ロダンも、それを訳した光太郎も考えていました。

昨日は上京しておりました。

メインの目的はコンサートの拝聴でしたが、早めに出て、まずは久々に国会図書館さんへ。
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こちらのデジタルコレクション、自宅兼事務所に居ながらにして見られる資料数が飛躍的に増えているのですが、館まで足を運ばないと見られない「館内限定」データも著しく拡充されており、そのあたりの調査です。

光太郎智恵子がらみで様々なことをやっている当方ですが、ライフワーク的には彼等の書き残したものの集成。筑摩書房さんの増補版『高村光太郎全集』の平成10年(1998)に完結後も、それにもれている作品がかなり多く、高村光太郎研究会さんで年刊刊行の『高村光太郎研究』内の連載「光太郎遺珠」としてそれらを紹介しています。昨日もそれっぽいものを見つけて参りました(詳しく調べないと分かりませんが)。また、『高村光太郎全集』編纂に当たられた、当会顧問であらせられた故・北川太一先生の古い短文なども。

その後、杉並区の荻窪に。古書店を2軒廻り(収穫ゼロでしたが)、杉並公会堂さんへ。
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こちらで「 POEM*CONCERTⅣ ほんとうの幸い 宮沢賢治も夢みた世界」という公演があり、それがメインの目的でした。
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「POEM*CONCERT」と題されているように、毎回1人の詩人を取り上げて、その人物の作詞した歌曲などを演奏したり、作品の朗読を行ったりというコンセプトで、今回は宮沢賢治。直接的には光太郎には関わりませんが、これは聴いておかなけりゃ、というコンサートでした。

第一に、今冬の花巻高村光太郎記念館さんでの企画展示に向けて、現在、宮沢賢治と格闘していますので(実際に殴り合っている訳ではありません(笑))。まだ詳細は発表されていませんが、数回にわたる『宮沢賢治全集』の刊行に光太郎が大きく関わっていまして(当会の祖・草野心平も)、そのあたりに関する展示になります。関連行事として、年明けには花巻で賢治実弟・清六の令孫、宮沢和樹氏らとの公開対談も予定されています。展示の解説パネルはいったん書き上げましたが、まだ完成というわけではありませんし、とにかく賢治の世界観に触れておきたいと考えた次第です。

第二に、出演なさった二期会の黒川京子氏、清水邦子氏とのご縁。今回の招待券も黒川氏から頂きました。
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お二人とも光太郎詩に曲が付けられた歌曲を歌われていらっしゃり、そしてこのコンサートの関係もあって、賢治の故郷・花巻を訪れてみたいということで、今年の1月31日(金)・2月1日(土)と、1泊2日で花巻をご案内いたしました。そういうわけで、やはり「これは聴いておかなけりゃ」でした。

さて、杉並公会堂さん。正面玄関を入ると、テレビモニターがあって、よくある「本日の催し」的な案内画面。それを見て、噴き出しました。
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「ほんとうの幸い」が「ほんとうの辛い」になっていまして(笑)。まぁ「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」と賢治は言い切りましたので、「ほんとうの幸い」を実現するためには「辛い」ことも多いでしょうが(笑)。

2部構成で、プログラム的には以下の通りでした。
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独唱あり、4人の歌い手さんによる混声4部合唱あり、仕掛け人のお一人・松野志保氏のレクチャーや朗読あり、最後は観客席を巻き込んでの「星めぐりの歌」大合唱(厳密には斉唱ですが(笑))と、実にバリエーションに富んだ構成で、素晴らしいと思いました。まさに黒川氏、清水氏のお二人をお連れしたイギリス海岸を題材にした「イギリス海岸の歌」も演奏されました。さすがに種山が原まではご案内できませんでしたが。

ちなみにバリトンの馬場眞二氏は、一昨年の「福成紀美子ソプラノリサイタル~作曲家 朝岡真木子とともに~」で、朝岡真木子氏ご作曲の「冬が来た」を歌われた方でした。テノールの鹿内芳仁氏は青森ご出身だそうで、MCでは歌曲の歌詞を賢治が書いた通りの南部弁で読まれたり。

終演後。
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この際のトークの中で、次回(来年)の予告。これまでに金子みすゞ、立原道造、中原中也、宮沢賢治と来て、何と、次回は光太郎を取り上げて下さるそうで。帰りがけ、ホワイエで清水氏、黒川氏とお話しさせていただいた中で「来年が光太郎って、聞いてなかったっすよ」と申し上げたところ「さっき決まりました」(笑)。一昨年、清水氏歌唱でリリースされた朝岡真木子氏ご作曲の「清水邦子が歌う 組曲『智惠子抄』」CD(ライナーノートを書かせていただきました)を、清水氏が松野氏らにお渡しなさったところ、「来年は高村光太郎で行こう」となったそうで。

光太郎詩に曲を付けた作品は、独唱歌曲もそれなりにたくさんありますし、今回のように4人のカルテットとすれば、これまたまあまあ数のある混声4部合唱も可能で、こりゃ楽しみだ、と思いました。ただ、光太郎自身が元々歌曲の歌詞として作詞したものはほとんど戦時歌謡系ですので、そのあたりはちょっと……という気がしますが。

そんなこんなでサプライズもあり、充実した上京となりました。関係の皆さまに感謝申し上げると共に、今後のますますのご活躍を祈念いたします。

【折々のことば・光太郎】

自然を狭義に模写する事は全く芸術の目的ではありません。

光太郎訳 ロダン「ロダンの言葉 ジユヂト クラデル筆録」より
大正4年(1915)頃訳 光太郎33歳頃

「「自然」に学べ」とか「「写実」が重要」とロダンは繰り返しましたが、ただそのままを写し取ることには否定的でした。自然を模写しつつも、自らの感性というフィルターを通して作品に仕上げなければならい、というわけでしょう。そのためには「誇張」もやぶさかではないと。

光太郎もその考えを自らの血肉としていました。そのため、実物そっくりに作った自在置物などのいわゆる超絶技巧系には芸術としての価値を殆ど認めませんでした。超絶技巧系大好きで少し前に起こったブームの仕掛け人だったエラいセンセイのお一人は、その点をして「光太郎が明治工芸を破壊した」と憤慨していましたが、それはお門違いというものでしょう。

全日本合唱連盟さんの下部組織である東京都合唱連盟さん主催の「第80回東京都合唱コンクール」が来週開催されます。上位入賞団体は10月から11月にかけて行われる全国大会の出場権を獲得できる仕組みです。画像は昨年の第79回大会の模様。
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都合唱連盟さんのサイトで、都大会の出場団体、曲目まで公開されています。その中で、「大学ユースの部」に出場される早稲田大学コール・フリューゲルさんが、新実徳英氏作曲の「愛のうた -光太郎・智恵子-男声合唱とフルート、クラリネット、弦楽オーケストラのために」から「レモン哀歌」を演奏されるとのこと。本来、サブタイトルにあるとおりオケ伴として作曲されたものですが、公刊されている楽譜は四手連弾のピアノ譜が付されていて、その形で演奏されるのでしょう。

コール・フリューゲルさん、昨年度の「第77回全日本合唱コンクール全国大会」で金賞を獲得したそうで、そのため、今回の都大会では「シード」。出場はされるそうですが審査の対象外で、もう全国大会出場が決まっているとのこと。そういう規程になっているとは存じませんでした。

また、都大会の演奏も課題曲と自由曲それぞれ1曲ずつを演奏する他団体と異なり、課題曲1曲と、自由曲的に4曲の演奏となっています。そのうちの1曲が「レモン哀歌」、他に「早稲田大学校歌」(作詩:相馬御風 作曲:東儀鉄笛 編曲:山田耕筰)、「男声合唱と四手のピアノのための『一人は賑やか』より 一人は賑やか」(作詩:茨木のりこ 作曲:三善晃)、「『リーダーシャッツ21』男声合唱篇より さらに高いみち」(作詩:木島始 作曲:信長貴富)。シード権を得ると、もはやアトラクション的な扱いになるようです。

全国大会では地方予選を勝ち上がっていた団体と同様に、課題曲と自由曲それぞれ1曲ずつの演奏となるそうで、そちらの曲目はまだ不明です。ぜひ全国でも「レモン哀歌」を演奏していただきたいところですが。

都大会の詳細は以下の通り。

第80回東京都合唱コンクール

期 日 : 2025年9月6日(土) 小学生部門 大学職場一般部門 混声合唱の部/同声合唱の部
      9月7日(日) 大学職場一般部門 大学ユースの部/室内合唱の部
      9月21日(日) 中学生部門 高等学校部門
会 場 : 文京シビックホール 東京都文京区春日1-16-21
時 間 : 9/6  10:30~ 9/7 10:15~ 9/21 10:30~
料 金 : 一般 前売り1,500円/当日券2,000円 小学生 前売り800円/当日券1,000円
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コール・フリューゲルさん、1日目の9月6日(土)、予定では18:48~の演奏ということになっています。

ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

芸術に於て、人は何にも創造しない! 自分自身の気質に従つて自然を通訳する。それだけだ!

光太郎訳ロダン「断片」より 大正5(1916)頃訳 光太郎34歳頃

「自分自身の気質に従つて自然を通訳」。優れた音楽も、そういうものなのかもしれません。

8月6日(水)、新宿の東京オペラシティアートギャラリーさんで開催中の「難波田龍起」展を拝見後、上野に足を向けました。次なる目的地は東京文化会館さん。モダニズム建築の巨匠・前川國男の設計です。音楽ホールとしては珍しく、かつてテレビ東京さん系の「新美の巨人たち」でも取り上げられました。もっとも同番組、ヘーベルハウスさんの単独提供となってから「『建築の巨人たち』じゃねーか」と突っこみたくなっているのですが(笑)。
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こちらの小ホールで、「第18回二期会駅伝コンサート~喜怒哀楽~」を拝聴。
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「駅伝」の名に相応しく、15:30から20:00まで、50名超の歌い手の皆さん、10名以上のピアニストさんが演奏し継いでいくという催しでした。
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最後の「日本歌曲研究会」さんの部で、朝岡真木子氏作曲の「組曲 智恵子抄」から「千鳥と遊ぶ智恵子」を清水邦子氏が歌われるので、最終休憩の前、18:30頃参上いたしました。いきなり受付付近に朝岡氏がいらっしゃり、ご挨拶させていただきました。

休憩中の小ホール。
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こちらには初めて足を踏み入れましたが、小ホールといいつつ、へたな施設の大ホールより素晴らしいと思いました。ステージは確かに狭いのですが、天井の高さがそれを感じさせず、実際、後ほど演奏が始まると音響効果はえもいわれぬものでした。

来年、大規模改修が始まるそうですが、オリジナルの雰囲気はそのままにリニューアルされることを強く望みます。

「ロシア歌曲研究会」さんの後、「日本歌曲研究会」さん。
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朝岡氏作曲の「千鳥と遊ぶ智恵子」。清水氏は組曲の中の一曲だけを取り出すのは難しいとおっしゃっていましたが、どうしてどうして秀逸な演奏でした。

トリをつとめられた前澤悦子氏、令和4年(2022)の「えつ子とまき子のコンサート 2022秋」など、朝岡氏作曲のコンサートご常連で、この日も「智恵子抄」ではありませんでしたが、朝岡氏作曲の「日の光」(詩:金子みすゞ)を清水氏とデュエットなさったりもされました。

「日本歌曲研究会」さんの終演後。
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さらにグランドフィナーレは、おそらく今回の駅伝に参加されたほぼ全ての歌い手さん(プラスアルファもいらしたような……)による「歓喜の歌」サビの部分大合唱。伴奏はピアノ連弾でした。

すべて終演後のホワイエ。
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関係の皆さまのますますのご活躍を祈念いたします。

【折々のことば・光太郎】

芸術による思想の伝導は、生の伝導と同じく、熱情と愛との仕事である。

光太郎訳「ロダンの芸術」(ユージエヌ カリエール)より
大正5年(1916)訳 光太郎34歳

この項、元々、『高村光太郎全集』第1巻から始め、光太郎の詩文から「人生訓」的なものを紹介するというコンセプトでしたが、第12・13・20巻の日記や第14・15・21巻、さらに補遺である「光太郎遺珠」の書簡からの引用になって、当初の意義が薄れてしまっていました。

今日からは第16~18、20巻の翻訳の巻から元に戻して「人生訓」的な言葉を拾います。翻訳なので光太郎自身の言葉と言えませんが、やはり原語を日本語に変換する過程で光太郎の思想も入っていますし、多くはそれらの言葉が光太郎の血肉となっていますので。

まずは訳書『ロダンの言葉』(大正5年=1916)の序文的な文章から。ここで言う「芸術」は、彫刻などの造型芸術に限らず、文筆や音楽など、すべてのジャンルに当てはまるものと思われますね。

キーワードは「上野公園」です。

まずは雑誌の新刊。

月刊アートコレクターズ No.197 8月号

発行日 : 2025年7月25日
版 元 : 生活の友社
定 価 : 952円+税

近年酷暑が続く夏に、肝を冷やす待望の企画を実施!恐怖と一口に言ってもその内実は様々です。そこで、今回は恐怖にまつわる様々な感情を切り分けながら、それらを表現としてどのように昇華させているのか、特にそのテクニックについてインタビューや寄稿、グラビアを通して探求します。表現を扱う美術雑誌ならではの切り口で、恐怖の見方を伝授します。
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目次
 【巻頭特集】徹底解剖 恐怖の裏側
  ◇エキスパートに学ぶ、恐怖の作法
   高橋洋 「リング」「霊的ボリシェヴィキ」/押切蓮介 「サユリ」「ミスミソウ」
   外山圭一郎 「サイレントヒル」「SIREN」/
   平山夢明 「ダイナー」「『超』怖い話シリーズ」
  ◇寄稿
   春日武彦 恐怖を分解する─なぜ人は恐怖に惹かれるのか
   廣田龍平 機械論的妖怪の潜勢的恐怖─俗信の怖さについて
   布施英利 ホラーとテラー……脳の中の恐怖
   佐々木敦 現代の「空気」を映し出すホラー/アート
  ◇対談
   田中俊行╳渡辺シヴヲ いと奥深し ! オカルトコレクションの世界

  霊能力者Miyoshiに聞く ! もっと知りたい幽霊Q&A
  中村麗子が選ぶ三つの感情で味わう本当に怖い絵
 ◇グラビア
  畏れの魔力 金子富之/山本じん/阪東佳代/池田一憲/平良志季/高資婷/岡本東子
   鶴川勝一/吉田然奈/柳生忠平
  非現実に花咲く恐怖の甘美 髙木智広/椎木かなえ/石黒光/髙橋美貴/
   Sui Yumeshima /亀井三千代/篠原愛/藤浪理恵子/冥麿/貳來/羅展鵬/飴屋晶貴
   立島夕子/生熊奈央/三塩佳晴/多賀新
  自分と世界の緊張感系 内田あぐり/深海武範/佐藤温/高見基秀/村上早/池田ひかる
   内田すずめ/大河原愛/市川友章/林銘君/日野之彦/海老原 靖/佐藤T 
   井上光太郎/髙木優希
  デフォルメする恐怖 丸尾末広/駕籠真太郎/中村宏/かつまたひでゆき/夜乃雛月
   BURUMORI /添田奈那
  恐怖は屹立する 牟田陽日/船橋つとむ/ウチダリナ/武本大志/マンタム/山本雄大
   川上勉/林美登利/水村芙季子
 【連載】
  鹿島茂 リュシアン・ヴォージェルの夢 編集者一族の出会い
  水沢勉 色と形は呼び交わす 佐藤直樹 はじまりも終わりもなくつながる
  古田亮 バック・トゥ・ザ日本美術 高村光雲「西郷隆盛像」+後藤貞行「ツン」
  森孝一 思考の径路 陶芸家・五代高橋楽斎の作品にみる在り方
  田辺一宇 古今亭まくら話 見えたんだから仕方ない……ってな噺
  飯島モトハ アート&スイーツ 徳光健治個展/ANDY COFFEE チョコドーナッツ

 Contemporary Art Now/展覧会ガイド 他

 表紙デザイン:河北秀也、栗林成光 高資婷「蜘蛛と蝶」2024年 絹本着色 6号F

東京藝術大学大学美術館さんの教授・古田亮氏の連載「バック・トゥ・ザ日本美術」で、上野公園に集中する美術館等の成り立ち、明治期に上野公園で盛んに行われた博覧会について、光太郎の父・光雲が主任となって制作された「西郷隆盛像」他の銅像などについて4ページ。
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現存する建造物などについては知ってるつもりで意外と知らなかったことが多く、「そうだったのか」の連続でした。

特集はこの季節らしく「徹底解剖 恐怖の裏側」。紹介されている数々のあやかしアート作品画像は夢に出てきそうです(笑)。添えられた文章には「読まなきゃよかった……」というようなおどろおどろのものも(笑)。当方、子供の頃からビビリのくせに怪談系は好きで、しかし読了後「読むんじゃなかった……」と後悔することばかりでした。この年になっても同じことの繰り返しです(笑)。その他、日本的な「恐怖」と、欧米式のそれとの相違の考察など、興味深いものでした。

続いてやはり上野公園。コンサートのご案内です。以前、ちらっとご紹介し、その後失念していました。

第18回二期会駅伝コンサート~喜怒哀楽~

期 日 : 2025年8月6日(水)
会 場 : 東京文化会館 小ホール 台東区上野公園5-45
時 間 : 15:00開場 15:30開演
料 金 : 一般4,000円 学生2,000円 全席自由 再入場可
無題
出演 二期会研究会10団体
<予定時刻/出演研究会>
 ■15:30~
  オペレッタ・ミュージカル研究会《ヨハン・シュトラウス2世の喜怒哀楽》
  ・ヨハン・シュトラウス2世 「春の声」 「ウィーンの森の物語」 「芸術家の生涯」 ほか
   赤澤 舞・小林晴美・推屋 瞳・中野礼美・松本順子・森山由美子・茂木真由美
   渡辺佳子・黒田晋也 [ピアノ] 山中聡子
  ロシア東欧オペラ研究会《喜怒哀楽にそって》
  ・グリンカ『ルスランとリュドミラ』より "なんと嬉しいことだ~我が勝利は近い"
  ・ボロディン『イーゴリ公』より "もう長い年月がたった"
  ・チャイコフスキー『イオランタ』より "誰を私のマチルダに比べよう"
   渡部智也・牧野舞子・古川精一 [ピアノ] 小笠原貞宗
  イタリアオペラ研究会《イタリア・オペラの喜怒哀楽》
  ・F.チレア『アドリアーナ・ルクヴルール』より
    第1幕 "私は創造の神の卑しい僕" "あなたの中に母の優しさと微笑みを"
    第2幕 "苦い喜び、甘い責め苦"  第4幕 "哀れな花よ"
   折田千絵・黒田千佐代・杉本美代子・石橋佳子・伊藤潤・浜田和彦
   [ピアノ] 篠宮久徳
 =休憩(10分)=
 ■16:40~
  フランス歌曲研究会《フランス~喜怒哀楽を歌う》
  ・フォーレ「賛歌」 ・デュパルク「ため息」 ・シャブリエ「幸福の島」
  ・ドビュッシー 歌曲集『忘れられし小唄』より "そはやるせなき"
  ・ドビュッシー「家なき子のクリスマス」 ・マスネ「夏の朝」
  ・ラヴェル歌曲集『5つのギリシャ民謡』より "何と楽しい!"
   森朱美・坂本貴輝・中村優子・浅木百合子・安岐美香 [ピアノ] 松場知子・森夏野
  ドイツ歌曲研究会《アルバン・ベルク生誕140周年に寄せて》
  ・A.ベルク「7つの初期の歌」
   1)夜 2)葦の歌 3)夜鳴きうぐいす 4)冠されし夢 5)部屋の中で 6)愛の頌歌 7)夏の日々
   近藤悦子・田口久仁子・刀根敬子・杉下友季子 [ピアノ] 赤塚太郎
  合同演奏『ナブッコ』行け、我が想いよ
 =休憩(10分)=
 ■17:40~
  英語の歌研究会《Girls Chattering!!》
  ・G.メノッティ『泥棒とオールドミス』より
   "こんにちは、ミス・ピンカートン" "私の恋人は船乗りに"
  ・L.バーンスタイン『キャンディード』より "ウィー・アー・ウーマン"
  ・A.サリヴァン『ミカド』より "私達は学校帰りの3人娘"
  ・S.ソンドハイム『リトル・ナイト・ミュージック』より "田舎の週末"ほか
   佐橋美起・大田中早苗・落合知美・川口美和・川畑順子・小針絢子・高居洋子
   長濵厚子・西野伸子・野澤知佳・伯田桂子・向井優希 [ピアノ] 原島慈子
  オペラワークショップ研究会《Gioia, rabbia, tristezza e piacere! 心の綾を声にこめて》
  ・G.ヴェルディ『リゴレット』より
   "ジョヴァンナ、私後悔しているの、お父様に言わなかったことを"
  ・G.ヴェルディ『アイーダ』より
   "まぁ!お父様!~もう一度見られるのだぞ、あの芳しき森"
  ・U.ジョルダーノ『アンドレア・シェニエ』より "貴女のそばでは、僕の悩める魂も"
   平野真理子・福岡万由里・藤野祐子 [助演] 谷川佳幸・大井哲也 [ピアノ] 服部尚子
  イタリア歌曲研究会《ヴォルフ=フェッラーリの喜怒哀楽》
  ・E.ヴォルフ=フェッラーリ 「若者よ、なんて素敵に歩くの!」 「道行く若者よ」
   「遠く離れて」 「若者たちよ、若く美しいうちに歌いなさい」 ほか
   石原友利子・大町加津子・里村照子・鈴木葉子・高木照子・竹之内淳子・永瀬祐紀乃
   村田由紀子・鴨川太郎 [ピアノ] 山岸茂人
 =休憩(10分)=
 ■18:50~
  ロシア歌曲研究会 《喜怒哀楽にそって》
  ・ロシア民謡「ああ、夜よ」 ・シーシキン「夜は輝く」
  ・ビラーシ「秋が来ると(キーウの鳥の歌)」
  ・チャイコフスキー「ただあこがれを知る人だけが」Op.6-6
  ・チャイコフスキー「フローレンスの歌」Op.38-6
   高柳佳代・福成紀美子・清水知加子 [ピアノ] 小笠原貞宗
  日本歌曲研究会《詩人の哀しみと懊悩》
  ・松下倫士「うつくしいもの」より  "心よ" "ふるさとの山"
  ・朝岡真木子「智惠子抄」より "千鳥と遊ぶ智惠子"
  ・髙田三郎「啄木短歌集」より "やわらかに"
  ・猪本隆「悲歌」 ・猪本隆「わかれ道」 ・朝岡真木子「日の光」より "日の光" 
   斉藤京子・清水邦子・白須ヒロミ・前澤悦子 [ピアノ] 松浦朋子
 合同演奏「第九」
 終演予定20:00

*演奏中の出入りは出来ません。休憩中にお願いします。
*時間は目安です。早めのご来場をお願いします。
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「駅伝コンサート」と銘打たれています。何が「駅伝」かというと、別に歌い手の皆さんが走りながら歌うわけではなく(笑)、15:30から20:00までの長丁場を歌い継ぐ、というわけで。今回で第18回ですから、恒例の伝統行事なのでしょう。存じませんでした。

最終走者(笑)、「日本歌曲研究会」さんの中で、朝岡真木子氏作曲の「組曲 智恵子抄」から「千鳥と遊ぶ智恵子」を清水邦子氏が歌われる予定です。

招待券を頂いており、このステージのみ聴きに行く予定です。さすがに最初から最後までとなると、おなかいっぱいになるでしょう(笑)。

皆さまも是非どうぞ。

【折々のことば・光太郎】

年末年始のお小遣いの足しにもと思つて少々送ります、小生はやはりねたりおきたりしてゐます、


昭和30年(1955)12月22日 宮崎春子宛書簡より 光太郎73歳

南品川ゼームス坂病院で智恵子の最期を看取ってくれた、その姪の春子宛書簡から。幼児二人を抱えて未亡人となった春子には、気づかいを忘れませんでした。

こうして昭和30年(1955)が暮れて行きます。

「智恵子抄」系の公演情報を2件。

まずは福島から独唱歌曲の演奏会です。

欅の会・日本歌曲コンサートー清水脩の世界ー

期 日 : 2025年8月3日(日)
会 場 : キョウワグループ・テルサホール 福島市上町4番25号
時 間 : 開場 13:00 開演 14:00
料 金 : 1,000円(全席自由)

詩人の高村光太郎と福島県出身の妻、智恵子が題材の曲を演奏します。

プログラム
 第1部「わたしたちとドイツ歌曲」(美しき水車小屋の娘:シューベルト)
  Dos Wondern(さすらい) Wohin?(どこへ?) Am Feirrobend(仕事のあとで)
  Der Neugierige(知りたがる者) Uegengruss(朝の散歩)
  Des Müllers Blumen(水車屋の花) Tränenregen(涙の雨)
  Der Müller und der Bach(水車屋と小川) Des Baches Wiegenlied(小川の子守歌)
  山田耕筰・清瀬保二・間宮芳生・猪本隆・原久貴作品とともに
 第2部「清水脩作品集」
  「奥の細道」より(松尾芭蕉句)
   行く春や 風流の初やおくの 世の人の見附ぬ花や 早苗とる手もとや昔
   笈も太刀も五月にかざれ 旅に病んで
  「智恵子抄」より(高村光太郎詩)
   あどけない話 美の監禁に手渡す者 千鳥と遊ぶ智恵子 風にのる智恵子
   値ひがたき智恵子 レモン哀歌 荒涼たる帰宅


出演 ソプラノ 相田美保 佐藤彰子 みのり 佐藤裕子 藁谷志帆
   アルト  佐藤奈緒美 中村すみれ 細田睦子
   テノール 荒井一成  バリトン 竹沢嘉明
   ピアノ  熊田桂子 窪田綾奈 小林悟 吉田圭祐

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故・清水脩氏の全12曲から成る歌曲集「智恵子抄」から7曲、ピックアップされています。このうち「あどけない話」「千鳥と遊ぶ智恵子」「レモン哀歌」は光太郎生前の昭和30年(1955)の作曲。ソプラノ歌手・小島幸(大3=1914~平19=2007)の独唱会の依嘱作品でした。「風にのる智恵子」「荒涼たる帰宅」は同年、東京交響楽団の依頼により作曲され、同団定期公演でソプラノ歌手・古澤淑子(大5=1916~平13=2001)歌唱、同団伴奏により初演が為されています。「値ひがたき智恵子」は昭和34年(1959)、ソプラノ歌手・内田るり子(大9=1920~平4=1992)の「渡欧記念第五回連続日本歌曲独唱会」への委嘱作品として、「美の監禁に手渡す者」は昭和46年(1971)、テノール歌手・中村健(昭7=1932~)に献呈という形で作曲され、「中村健独唱会」で初演されました。ピアノ伴奏は三浦洋一(昭8=1933~平21=2009)でした。

光太郎があとからあとから「智恵子抄」収録詩篇を作り続けたように、清水氏も4期に分けて作曲しつづけ、完成までに16年かかっています。よほど「智恵子抄」詩篇に思い入れがあったのでしょう。舞楽の楽人であった父の影響もあり、邦楽にも関心を寄せていた氏は、昭和34年(1959)には箏曲、室内楽と朗読のコラボレーションによる「詩のための音楽 智恵子抄より」も作曲しましたし、合唱曲でも「智恵子抄巻末のうた六首」など多くの作品で「智恵子抄」をテキストに使っています。

もう1件、栃木県から朗読の公演。

秋元紀子ひとり語りin宇都宮

期 日 : 2025年8月8日(金)
会 場 : café Mario~休みの国~ 宇都宮市昭和2丁目9-20
時 間 : 開場 9:45 開演 10:00
料 金 : 3,500円+ランチセット1,580円

プログラム
 Opening act 高村光太郎作『智恵子抄』 朗読:篠崎令子
(キビタノ朗読会)
 太宰治作『恥』  安房直子作『青い花』

名古屋、秩父と好評だった太宰治「恥」と安房直子「青い花」を宇都宮でも語らせていただきます。「恥」は、ある一文がとても気に入っています。その箇所に来ると私の表情が変わると思います。「青い花」は、自分への戒めと思って読んでいます。カフェマリオの手加減しないジンジャーエールと共にお待ちしています!お問い合わせは、下記までよろしくお願い致します。
 グッドフェイス宇都宮 goodface_utsunomiya2019@yahoo.co.jp
 080-2018-3485(小林)
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メインは秋元紀子さんという方の朗読ですが、オープニングアクトとして篠崎令子さんという方による「智恵子抄」朗読がプログラムに入っています。秋元さんが講師を務められている朗読教室の方のようです。

「智恵子抄」系(無論、他の光太郎作品も)、このように音楽や朗読やで、あるいは演劇や映像作品など他のジャンルでも愛され続けて欲しいものです(長くなるので後日改めてご紹介しますが、講談の公演も近々あります)。

それぞれぜひ足をお運びください。

【折々のことば・光太郎】

おハガキありがと。写真はまたいつかとつてください。このあいだは暗すぎたのだろうと思います。こんどは日のあたつているところでとればいいでしよう。私の病気がもつとなおつたころ。


昭和30年(1955)11月11日 神保明彦宛書簡より 光太郎73歳

交流のあった詩人・神保光太郎の子息に宛てた書簡です。子供に送る手紙は新仮名遣い(促音や拗音を一回り小さいサイズにすることは除く)というのが光太郎のポリシーでした。

この「写真」、どこかで見た記憶があるのですが、今、パッと出てきません。すみません。

7月23日(水)に開催いたしましたコンサート「花巻で響き合う 光太郎、賢治、声と箏」についてレポートいたします。

ご出演は、「声」が仙台ご在住のヴォイスパフォーマー・荒井真澄さん、「箏」で都内からお越しの箏曲奏者・元井美智子さん。お二人での公演、さらにテルミン奏者の大西ようこさんを加えてのトリオでの公演をこれまでもなさっています。

「東北ツアー」と銘打って、7月22日(火)と7月25日(金)には荒井さんのテリトリーの仙台で2公演。間に挟まる7月23日(水)は光太郎第二の故郷・花巻で。当初、花巻では小さめのホールなどを借りて、とお考えだったそうですが適当な会場が取れず、そんなこんなの中で「高村光太郎連翹忌運営委員会の主催ということにすれば、高村光太郎記念館で開催可能」という話になって、こちらにお鉢が回ってきました(笑)。

こちらも独自に「市街地のカフェ羅須さんも借りられますよ」と情報を流しておいたところ、「じゃあ2公演やってしまいましょう」とパワフルなお二人(特に元井さん)が(笑)。

さて、まずは旧太田村の高村光太郎記念館さん。
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リハーサル風景。
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右上画像、像の背後のスピーカーと変に重なり、「乙女の像中型試作」がスマホで写メ(死語ですね(笑))を撮っているように写ってしまいました(笑)。

13:00から本番。
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平日の昼間にもかかわらず、そこそこのお客様がお集まり下さり、感謝に堪えませんでした。
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およそ1時間のプログラムを終え、速攻で撤収。2公演目のカフェ羅須さんへ。
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急いでセッティングし、リハ。
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ちなみにギャラリーも兼ねる羅須さんでは、現在、岩手の花々を撮った地元の方の写真展が開催中です。
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今朝の『岩手日日』さん。しれっと一般人のような顔をして写っているのは当方で、前日にご挨拶に伺った際にたまたま取材が入り、映り込んだ次第です(笑)。
無題
閑話休題、16:00から2公演目の本番。ここが宮沢賢治の親友だった藤原嘉藤治ゆかりの場所ということで、賢治作品も盛り込みました。光太郎も疎開でお世話になっていた宮沢家も指呼の距離ですし。
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こちらの方が少し長いプログラムで、17:00過ぎに終演。

2公演ともいい感じにまとめられました。開催にご協力下さった地元の皆さん、平日にもかかわらずお越しいただいたお客様方に、厚く御礼申し上げます。

この後、3人で花巻南温泉峡・大沢温泉山水閣さんに宿泊いたしました。

こんな感じで、当会を主催とすれば高村光太郎記念館さん(二本松の智恵子生家も)での公演が可能です。通常は「やらせてくれ」と言ってもそういう使用方法はできません。また、羅須さんなど当方のお世話になっているところには仲介も致します。場合によっては宿の手配も。全国の演者の皆さん、ご検討下さい。ただし、高村光太郎記念館さん(二本松の智恵子生家も)では公演料は取れません。光太郎智恵子の聖地中の聖地でできる、という点だけがメリットです。また、流石に当方の全然存じ上げない方は紹介できないかな、という感じでもありますのでよろしくお願いいたします。

【折々のことば・光太郎】

もう稲刈はすんだでせうか、小屋のあたりの栗が今ごろはさかんに落ちる頃と思ひます、子供達がよろこんでとりにいつてるでせう。何かにつけて山がなつかしく感じられます。


昭和30年(1955)10月8日 浅沼政規宛書簡より 光太郎73歳

浅沼ら、旧太田村の人々への書簡は概して村を懐かしむ内容が主でした。

大阪から演奏会情報です。

大阪コレギウム・ムジクム創立50周年記念 第131回大阪定期公演《現代(いま)の音楽 ~Music of Our Time~》

期 日 : 2025年7月27日(日)
会 場 : 住友生命いずみホール 大阪市中央区城見1丁目4-70
時 間 : 午後3:00開演(午後2:30開場)
料 金 : 全席指定 S席 ¥5,000 A席 ¥4,000 B席 ¥2,500
      学生 ¥1,800(当日¥2,000) 高校生以下 ¥800(当日¥1,000)

うたが生まれる ことばが生きづく
詩人がすくい取った言葉が音に刻まれ、新しいうたが生まれるとき、言葉は新たな生命を得て輝きます。凛として美しい原民喜の詩による寺嶋陸也氏の委嘱新作を始めとする、三人の作曲家のうたを、大阪コレギウム・ムジクムの確かなアンサンブルでお楽しみください。

【曲目】
 寺嶋陸也 《星の疼(うづき)》混声合唱のための【委嘱・世界初演】〔詩:原民喜〕
 新実徳英 「愛のうた ―光太郎・智恵子―」(2021年)男声合唱とフルート、クラリネット、弦楽オーケストラのために〔詩:高村光太郎〕
 千原英喜 女声合唱とピアノのための「良寛相聞」(2009年)〔詞:良寛・貞心尼〕

【出演者】
 指 揮 當間修一 ピアノ 木下亜子
 フルート 伏田依子(シンフォニア・コレギウムOSAKA)
 クラリネット 鈴木祐子(シンフォニア・コレギウムOSAKA)
 弦楽合奏 シンフォニア・コレギウムOSAKA
 合 唱 大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団 大阪コレギウム・ムジクム合唱団

インターネットライブ配信(PIA LIVE STREAM)あり
 ※2025年8月10日(日)までアーカイブ視聴つき
 視聴期間:7月27日(日)14:30 ~ 8月10日(日)23:59
 発売期間:5月03日(土)10:00 ~ 8月10日(日)21:00
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新実徳英氏作曲の 「愛のうた ―光太郎・智恵子―男声合唱とフルート、クラリネット、弦楽オーケストラのために」がプログラムに入っています。

初演は令和4年(2022)1月、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団さんの第146回定期演奏会で、委嘱作品でした。ほぼ同時に楽譜が全音楽譜出版社さんから刊行されています。

同年6月には初演時のライブ録画を収めたDVDもリリース。さらに9月には第4曲「レモン哀歌」、第5曲「元素智恵子」がNHK FMさんの番組「ビバ! 合唱」で流されました。
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初演以来、寡聞にして演奏されたという情報を得ていませんでした。おそらく本来フルート、クラリネット、弦楽オーケストラでの伴奏(最近はあまりこうした場合に「伴奏」と云わなくなりましたが)が必要なためでしょう。ただ、楽譜は練習用を兼ねるという意味合いもあってか、ピアノ2台での連弾譜として書かれています。そのまま使えば本番もオケ伴でなくピアノで出来てしまいます。まぁ、それでも2台で連弾となるとそれはそれで大変でしょうが。

総演奏時間は約35分。構成は「Ⅰ.山麓の二人」「Ⅱ.千鳥と遊ぶ智恵子」「Ⅲ.値(あ)ひがたき智恵子」「間奏曲-哀しみの淵へ-」「Ⅳ.レモン哀歌」「Ⅴ.元素智恵子」。この手の組曲としては、智恵子が心の病を顕在化させてからの詩篇のみを扱うというのも異色ですね。

ちなみに今回も出演される大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団さんは、昨年の東京公演で西村朗氏作曲の「混声合唱とピアノのための組曲「レモン哀歌」」を演奏して下さいました(平成24年=2012にも)。

今後とも、光太郎詩に曲を付けた作品を取り上げ続けていただきたいものです。もちろん他の合唱団さんでも、ですが。

【折々のことば・光太郎】

小生かねて(六月一日)花巻市を転出、東京都中野区に転入いたしましたにつき、今年昭和卅年度の国税は中野税務署に納付いたすべく、八月一日既にその手続きをとりました。即ち今年度以後花巻税務署へは納付いたしませぬ故右御了承願上げます

昭和30年(1955)8月1日 花巻税務署宛書簡より 光太郎73歳

『高村光太郎全集』にもれていた書簡で、平成26年(2014)、山形市の最上義光歴史館さんで開催された「第6回 市民の宝モノ2014」展で展示され、拝見して参りました。

この書簡の発見により、赤坂山王病院に入院中だったこの年6月1日に、それまで頑なに手に残しておいた住民票を都内に移したことが明らかにできました。いずれは花巻郊外旧太田村の山小屋に帰るか、それが無理でも中野のアトリエとの二拠点生活、と考えていたため住民票をそのままにしておいたのですが、もはやそれも不可能な病状と、自分でも覚悟したようです。

また、前年、花巻町などとの合併により太田村が消滅し、花巻市となったことも大きいような気がします。太田村時代には光太郎が村一番の高額納税者でしたが、もはや太田村は存在しない、となると、多額の税金を納めるのも何だかなぁという感じだったのでしょう。

昨年もこの時期でしたが、箏曲奏者の元井美智子さんとヴォイスパフォーマー・荒井真澄さんのお二人がコラボなさる公演が、東北地方で4回開催されます。それぞれに「智恵子抄」が組み込まれています。

時系列順に、まず荒井さんのホームタウン・仙台で。

光太郎、賢治、箏と声 夏の朝

期 日 : 2025年7月22日(火)
会 場 : Antique & Cafe TiTi 宮城県仙台市宮城野区鉄砲町中5-8
時 間 : 開場 10:30 開演 11:00
料 金 : 4,000円(ケーキセット付)

プログラム
 お箏の調べ(みだれ、操、耳なじみのある曲)
 高村光太郎「智恵子抄」より ~レモン哀歌、人類の泉など~
 宮沢賢治「よだかの星」など
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翌日には、光太郎第二の故郷・花巻で昼と夕方の2公演。

花巻で響き合う 光太郎、賢治、声と箏 第一公演

期 日 : 2025年7月23日(水)
会 場 : 高村光太郎記念館 岩手県花巻市太田3-85-1
時 間 : 13:00~14:00
料 金 : 無料
      (高村光太郎記念館入館料として大人350円 高校生・学生250円 小中学生150円)
主 催 : 高村光太郎連翹忌運営委員会

プログラム
 「智恵子抄」「智恵子抄その後」より 箏:産まれ出づる、さくらさくらなど

花巻で響き合う 光太郎、賢治、声と箏 第二公演

期 日 : 2025年7月23日(水)
会 場 : カフェ羅須 岩手県花巻市豊沢町2-18
時 間 : 16:00~17:00
料 金 : 2,000円 1ドリンク付
主 催 : 高村光太郎連翹忌運営委員会

プログラム
 「智恵子抄」 よだかの星 星めぐりの歌など 箏:産まれ出づる、夜空へなど
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この花巻での2公演は、当会の「主催」ということになっています。当初は仙台でのそれを含めて全て「後援」のみの予定でしたが、花巻市さんとの交渉の結果、当会「主催」であれば、高村光太郎記念館さんでの公演を許可するということで、そうなると「嫌です」とは言えません(笑)。司会もやることになりました。

高村光太郎記念館さんでの公演のみ、『広報はなまき』で取り上げて下さっています。
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そしてまた仙台に戻り……

旅するお箏と智恵子抄

期 日 : 2025年7月25日(金)
会 場 : となりのえんがわ 宮城県仙台市宮城野区銀杏町4-29 宮城野納豆製造所敷地内
時 間 : 第1部 10:00~12:00 第2部 14:00~15:30
料 金 : 第1部・第2部通し 5,000円 第1部のみ 4,000円 第2部のみ 3,000円
定 員 : 第1部 8名様 第2部 20名様

プログラム
 第1部 ワークショップ 智恵子抄を朗読する~お箏の調べとともに
  智恵子抄の7篇の詩の中から1つ選択して、お箏の生演奏と共に朗読して頂きます。
  午後開催の第2部の中で、希望される方には発表して頂きます。
  朗読候補作品 樹下の二人/あどけない話/風にのる智恵子/レモン哀歌
         亡き人に/梅酒/荒涼たる帰宅
 第2部 コンサート 箏の調べと智恵子抄
  午前開催のワークショップ参加の方の発表の後、智恵子抄の世界をお箏の調べととも
  に……

  演目 みだれ、操、智恵子抄より
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一般の方々対象に朗読講座の講師もなさっている荒井さんですので、こちらはワークショップ形式だそうです。プロの箏曲演奏に乗せて朗読が出来る、ということで「気分いい!」ということになるのではないでしょうか。

なかなかパワフルなお二人で、先述の通り、昨年も仙台と花巻で3公演。当方は仙台の最終公演を拝聴に伺いました。花巻公演は地元紙でも紹介されています。

今年に入ってからも、4月末にはテルミン奏者の大西ようこさんを加えた三人娘(笑)で、二本松の智恵子生家座敷を舞台に、高村智恵子生誕祭関連行事として「音楽と朗読『智恵子抄』愛はここから生まれた」。こちらも地元紙で報じられました

今回、それぞれ平日の開催ということで、どれだけお客様を集められるか少々心配なところもあります。ぜひぜひ、足をお運び下さい。

【折々のことば・光太郎】

山は今うつくしい事でせう。カツコーももう鳴く頃でせう。小生はお医者さんのすすめに従ひ、今月は入院、療養のため只今静かに病院生活をして居ります。

昭和30年(1955)5月10日 駿河重次郎宛書簡より 光太郎73歳

入院先の赤坂山王病院から送った、かつて暮らしていた花巻郊外旧太田村の長老格・駿河への書簡より。病床にあって思い起こすのは、太田村の豊かな自然だったようです。

昨日は中野区の産業振興センターさんで「中西アトリエをめぐる文人たちの朗読会」でした。「中西アトリエ」は、昭和23年(1948)に、水彩画家の中西利雄が自分用にと建てたアトリエで、中西は竣工直前に急逝、以後、遺族が戦後の混乱期でアトリエを持てない芸術家のためにと、貸しアトリエとして運用、光太郎も昭和27年(1952)から昭和31年(1956)まで借り、ここで亡くなりました。

そのアトリエが解体の危機に瀕しており、保存運動の一環として、「こんなすごい人達がここを訪れたり、関わったりしたんだよ」ということを広めるため、当方も所属している「中西利雄・高村光太郎アトリエを保存する会」主催で行いました。
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取り上げた文人は主に6名。光太郎をはじめ、その光太郎に会いに中西アトリエを訪れた人々――当会の祖・草野心平、「連翹忌」名付け親の一人・佐藤春夫、そして光太郎と家族ぐるみのつきあいだった尾崎喜八

それから、中西アトリエには足跡を残していないものの、彼等の兄弟が来ているよ、という宮沢賢治と太宰治。賢治実弟の清六は光太郎と親しく、光太郎が亡くなる前日の昭和31年(1956)4月1日夜、かつて光太郎も疎開していた花巻の自宅に居たところ、玄関から「こんばんは~」という光太郎の声を聞いたそうです。その声は清六の妻・愛子も、台所の修繕工事に来ていた大工さん達も聞いたとのこと。しかし見に行ってみると誰もいません。かねて光太郎の病状が思わしくないと聞いていた清六は胸騒ぎがし、慌てて上京、中西アトリエを訪れます。すると、沈痛な面持ちの中西夫人から「昨夜でした……」。不思議なこともあるものですね。太宰の方は、実兄の青森県知事・津島文治が、光太郎最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」の発注元、相談を受けた佐藤春夫が光太郎を作者として推薦、かつて太宰が佐藤に「芥川賞を私に下さい」的な書簡を送ったなどの縁。津島知事も中西アトリエを訪れています。

さて、朗読(一部、音楽演奏)。100席ほど用意しましたが、ほぼ満席でした。当会人脈の方々も何人か。ありがたし。

第一部は、主に詩人の方々。「中西利雄・高村光太郎アトリエを保存する会」世話役の曽我貢誠氏が詩人で、そのお仲間の皆さんです。一部、智恵子に関する文章なども書かれ、二本松で光太郎詩朗読などもなさった吹木文音さん、やはり「保存する会」メンバーの原詩夏至さん、「智恵子抄」に関わる朗読公演等を何度もなさったり、詩集で智恵子に触れて下さったりの宮尾壽里子さんなど、こちらの人脈ともかぶりますが。
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休憩を挟み、第二部。

今年の連翹忌の集いで朗読を披露していただき、絶賛を浴びたフリーアナウンサーの早見英里子さんと、朗読家出口佳代さんのコンビ。ちなみに背後の壁は「保存する会」のメンバーの役者さんがセッティングして無粋な黒板を隠し、美しく。
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フルート奏者の吉川久子さん。こちらも「智恵子抄」がらみの公演を複数回なさって下さっていますし、平成26年(2014)にはやはり連翹忌の集いでの演奏もお願いしました。当初、妹さんが朗読なさる予定でしたが、健康を崩されて、朗読も吉川さんがなさいました。ギターは山田大輔さん。
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大トリは、女優の一色采子さん。都内や智恵子の故郷・二本松で北條秀司作の舞台を朗読劇化した「智恵子抄」公演で智恵子役をなさったり、お父さまの故・大山忠作画伯は智恵子と同郷で、智恵子を描かれた絵も複数遺されたりしています。大山画伯は5人しかいない福島出身の文化勲章受章者の一人です(心平もですが)。ピアノは田中健さん。パリ在住経験もある光太郎も愛したドビュッシー「月の光」などで、盛り上げて下さいました。
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ちなみに当方は司会。合間にアトリエについてや、各文人と光太郎との関わりなどをべしゃくらせていただいました。しかし、とにかく時間が押し、話したいことの半分くらいしか紹介出来ませんでした。上記の清六のエピソード、それから光太郎と戦争との関わり――自作の翼賛詩を戦後になって恥じて蟄居生活に入ったことなど。

さらに、昨日、自宅兼事務所に帰ってから気づいたことが一点。何と、会場だった産業振興センターさんのある場所そのものに、光太郎自身の足跡が残っていました。昭和28年(1953)6月16日、「乙女の像」の原型完成記念報告会が、青森県副知事の横山武夫、佐藤春夫夫妻、心平らを招いて、「千光園ほととぎす」という料亭で開催されました。同店は「黄檗流普茶料理」と掲げていた料亭で、昭和46年(1971)まで存続。他の方の作成されたサイトにこの場所だったんだよ、と詳しく紹介されていましたし、自分のブログでも令和4年(2022)にちらっと書いていました。その頃は産業振興センターさんを存じませんでしたし、今年2月に初めて足を運んだ際にも忘れていました。この話が出来ていれば、地元の皆さんからは「おお!」というリアクションがあっただろうに、と思うと残念至極、反省しきり、穴があったら入りたい、です。

それでも盛会の裡に終えることが出来、胸をなで下ろしました。暑い中お集まりいただいた観客の皆さん、お忙しい中足代程度のギャラしかお支払い出来ないと御承知で、快くご出演を引き受けて下さった出演者の方々に篤く御礼申し上げます。

終演後、控え室で。出演された方々(全員ではありませんが)と。
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この催しが、アトリエ保存運動の弾みとなることを願って已みません。

【折々のことば・光太郎】

此間は見事なみかんをたくさん届けて下さつてありがたく存じました、 博物館、図書室の奥平さんといふ方が編輯して小生の選詩集を来年三月岩波文庫から出すといふことです、

昭和29年(1954)12月14日 北川太一宛書簡より 光太郎72歳

昨日の朗読会、晩年の光太郎に親炙し、会場には当会顧問であらせられた故・北川太一先生の御霊(みたま)もいらし、元々細かったお眼をさらに細められていたのではないでしょうか(笑)。

「奥平さん」は、当時、トーハクさん勤務だった美術史家の奥平英雄。一時、中西アトリエ近くに住んでいました。現在も版を重ねている岩波文庫版『高村光太郎詩集』にかかわります。

光太郎詩に自作の曲を付けて歌われているシャンソン系歌手のモンデンモモさん。このところ拠点となさっている島根県でのライヴです。

BOOK CAFÉ LIVE モモの智恵子抄 私の智恵子抄 music drama

期 日 : 2025年6月28日(土)
会 場 : ギャラリーC 島根県松江市宍道町1441-1
時 間 : 15:00~
料 金 : 3,000円

出 演 : 声・詩・曲 モンデンモモ  ピアノ 塩野佳代子  ベース けんじゃ

第1部 音楽ドラマ 私の智恵子抄 
 レモン哀歌/梅酒/道程/案内/あどけない話/千鳥と遊ぶ智恵子/私の智恵子抄
 私にはあなたがある/もしも智恵子が/智恵子と遊ぶ/樹下の二人/郊外の人に 他
第2部 シャンソンおしゃべりライブ

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先々月先月と都内でも公演がありましたが、また構成が異なるようです。それから、都内ではギタリスト・たしまみちを氏が伴奏を務められましたが、今回はピアノに乗せてやられるそうです。「智恵子抄」系以外には、シャンソンのスタンダードナンバーも。

ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

奥平さんにお托しの二本松のお酒めづらしくなつかしく早速賞味昔を思ひ出すやうな気がいたしました、二本松辺は水のよいせゐか地酒とは申せなかなかよいものが出来るやうです、

昭和29年(1954)4月26日 田内静三宛書簡より 光太郎72歳

智恵子の実家・長沼酒造は昭和4年(1929)に恐慌のあおりなどで破産してしまいましたが、彼の地には他にも日本酒の醸造元は多く、現在も続いています。










6月15日(日)、智恵子の故郷・福島二本松で開催された「藤木大地カウンターテナー・リサイタル 二本松音楽協会第100回定期演奏会」について、地元紙『福島民報』さんが報じていますのでご紹介します。

同じ『民報』さんで2バージョンの記事。まず県内全域向けと思われる方。ネット上でもこの内容でした。

第100回定演祝う歌声響く 二本松音楽協会 「からくりうた」を初演 福島県二本松市

 二本松音楽協会の第100回定期演奏会は15日、福島県二本松市コンサートホールで開かれ、地域の音楽文化発展に貢献してきた演奏会の節目を祝った。
 カウンターテナーの藤木大地さん、ピアノの佐藤卓史さんが出演。高村光太郎の詩集「智恵子抄」から、佐藤さんが作曲した「からくりうた」を初演した。深く澄んだ歌声で日本情緒豊かに表現し喝采を浴びた。「あどけない話」「レモン哀歌」なども披露し、100回の歴史を祝福した。シューベルトの「白鳥の歌」全14曲も歌い上げ、感動を呼んだ。
 1988(昭和63)年のホール完成を機に有志が協会を結成し、1989(平成元)年から毎年数回、クラシックを中心に手作りのコンサートを開いている。太田英晴会長(大七酒造社長)は「100回の歴史を重ねることができたのは市民の音楽を愛する心のたまもの。これからも長く続けていきたい」と語った。
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おそらく二本松市を含む中通り地区向けと思われるバージョン。こちらの方が「智恵子抄」に詳細に触れています。

二本松音楽協第100回定演 「智恵子抄」の曲初演 情感ある旋律伸びやかに

 二本松音楽協会が15日に二本松市コンサートホールで開いた第100回定期演奏会では、カウンターテナーの藤木大地さん、ピアノの佐藤卓史さんが高村光太郎の詩集「智恵子抄」より「からくりうた」を初演し、節目に花を添えた。
 「二本松」「阿武隈川」などが登場する詩に佐藤さんが情感あふれる旋律を付けた曲。藤木さんが澄んだ歌声で伸びやかに歌い上げた。「あどけない話」とともにアンコールでも披露し、詰めかけた聴衆を喜ばせた。
 藤木さんは「100回の歴史の一部となることができて本当にうれしい。『からくりうた』は民謡調で、日本酒を飲みながら楽しんでもらうのもいい」などと提案した。太田英晴会長は「素晴らしい曲で、間違いなく二本松の宝になる。藤木さん、佐藤さんも二本松での再演を約束してくれた」と喜んでいる。
 市コンサートホールは今後、改修工事に入る。次回の第101回定期演奏会は9月23日に安達文化ホールでピアノの鬼武みゆきさんのコンサート、第102回は来年3月8日に市民交流センターで市内出身のオーボエ奏者鹿又寒太郎さんらによるトリオ・ダンシュのコンサートを開く。


初演された「からくりうた」。作曲され、当日はご自身でピアノを弾かれた佐藤卓史氏のX(旧ツィッター)投稿で、さわりの部分のみ動画がアップされていました。


確かに「民謡調」ですね。

お二方の今後のさらなるご活躍を祈念いたします。

別件で、やはり福島での楽曲「智恵子抄」がらみの報道。須賀川市で発行されている「あぶくま時報」さんの記事です。

太鼓演奏などで長寿祝う 八幡町町内会「敬老会」

 須賀川市八幡町町内会「敬老会」は15日、町内の75歳以上25人が参加して八幡山集会所で開かれ、子どもたちの太鼓演奏や日本舞踊などアトラクションで親ぼくを深めた。
 全員で物故者に黙とうを捧げ、佐藤富二会長は「みなさんお越しくださりありがとうございます。長年、町内発展のためにいろいろとご協力くださりほんとうにありがとうございます。今日は一日楽しんでゆっくりと過ごしてください」とあいさつした。来賓の大寺正晃市長も祝辞を述べた。
 アトラクションは八幡町子ども育成会の太鼓演奏「神炊館(おたきや)」を元気いっぱい演奏し、懐かしい昔話「ふくろうの染物屋」を方言混じりで披露された。
 藤蔭流三藤会が「智恵子抄」など4曲を披露し、最後に参加者全員で懐かしい「須賀川盆踊り」を楽しんだ。
 須賀川市は今年度も自主的に敬老事業を開く行政区・町内会を支援しており、22日は東町と南上町、29日は下宿町で実施する。
 ほかに敬老祝い商品券・一日温泉入浴券を喜寿・傘寿・卒寿。白寿に、米寿と賀寿には祝い金をそれぞれ贈る。
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おそらく「智恵子抄」は、小野町出身の故・丘灯至夫氏作詞で、故・二代目コロムビア・ローズさんの歌唱になる昭和39年(1964)の「智恵子抄」と思われます。

こちらの「智恵子抄」も末永く愛されて欲しいものです。

【折々のことば・光太郎】

小生もまづ健康で、毎日胸像制作にかかつて居り、夜は原稿を書いてゐます、まつたく殆ど余分の時間がありませんが、時々温泉に行きたくなります、うまく仕事のきれ目を見て一寸大沢温泉あたりにゆきたいです、

昭和29年(1954)3月10日 浅沼政規宛書簡より 光太郎72歳

002「胸像」は、倉田雲平胸像。光太郎実弟の豊周が仲介し、2月から制作にかかりました。倉田はツチヤ地下足袋(現・ムーンスターさん)の初代社長。嘉永4年(1851)生まれで、光太郎の父・光雲の一つ年上です。大正6年(1917)に亡くなっていたのですが、ぜひその胸像を、という社からの依頼でした。

しかし、健康状態の悪化により、結局は完成させることができず、まさに「遺作」となってしまいました。

豊周の回想から。

 あの彫刻にかかった時間はほんのわずかで、あとは体がわるくなり、とうとう死ぬまでそのままだったが、途中で二度ほど僕に見せた。兄の没後、未完成のままブロンズにしたものを、九州から副社長と、初代在世中から会社に勤続している大久保彦左衛門のような番頭さんが検分に来たが、やっと骨組みが出来ているだけで、仕上げるとどうなるということは一寸素人にはわかりにくい。僕は何と言うかと思っていた。ところがその番頭さんが先代様にそっくりだと涙を流さんばかりに喜んでいる。
 久留米にブリヂストンの美術館が出来、その記念の展覧会にも出品されて反響を呼んだということだが、未完成の荒いタッチが不思議な迫力を持っている。石井鶴三は鎌倉の美術館でこの胸像を見て、これは未完成じゃない、これで完成している、と言ってくれたりした。

昨日は上京し、新宿区で「木村俊介Concert 『鵲(かささぎ)の橋の上で』in 東京 愛のかたち、様々に~日本と韓国の文学作品から~」を拝聴して参りました。

会場は早稲田奉仕園スコットホールさん。
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同じ早稲田奉仕園さん内の隣接するリバティホールさんでは、令和4年(2022)に講演をさせていただきましたが、スコットホールさんに足を踏み入れるのは初めてでした。ホールと言っても音楽ホールとして建てられたものではなく現役の礼拝堂です。

開演前に会場内で注意事項についての説明があり、携帯の電源は切って下さい的な通常のものプラス、公演中はもちろん開演前や終演後であっても会場内撮影禁止とのこと。建物自体が築100年以上の国指定登録有形文化財ですし、いろいろ大人の事情が、とうわけで。

それから、これも開演前のお話の中にあったのですが、ここで米津玄師さんのヒット曲「lemon」のPVが撮影されたとのこと。しかも「あそこの後にある小窓のあたりです」と、係の方が指さしたのは、自分が座っていたすぐ後の一角でした。

「マジか?」と思い、このブログ内に当該PVを貼ってあることを思い出して、早速見てみると、まさにそうでした。「Lemon」。米津さんご自身、「智恵子抄」収録の「レモン哀歌」(昭和14年=1939)からのインスパイアもあるかもしれないと発言されていまして、奇縁に驚きました。

さて、15:30開演。
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演目は主に3つでした。

まずはパク スナ氏の奏でる伽耶琴(カヤグム)に乗せ、和楽器奏者の木村俊介氏が韓国のいわゆる処女鬼神系の民話を語られました。伽耶琴は見た目は日本の箏とあまり違いませんが、日本で一般的な十三弦より一本少ない十二弦だそうですし、奏法は琴爪を使わず、だからでしょうか、音色的にもやはり違いを感じました。

続いて壤晴彦氏がステージに上がられ「おこんじょうるり」。原作はさねとうあきら氏作の創作民話ですが、映像作家・岡本忠成氏が人形アニメーション化され、高い評価を得た作品です。その際には長岡輝子さんが主演。長岡さんと言えば、戦時中から光太郎とも交流があり、おそらく宮沢賢治について質問があったのでしょう、光太郎が花巻郊外旧太田村での蟄居生活を終えて再上京した中野の貸しアトリエにもいらっしゃいました。昭和30年(1955)、光太郎最晩年でした。そんなところにも奇縁を感じます。

壤氏の落ちついたバリトンの美声での語り、パク氏がやはり伽耶琴、そして木村氏は太棹や横笛など、いろいろ持ち替えての演奏。実にいい感じでした。

休憩を挟んで第2部。第2部はやはりお三方でまるまる「智恵子抄」で60分ほど。詩の朗読が数編ならそうした工夫は必要ありませんが、長いステージでまるまる「智恵子抄」を扱うとなると、時間の経過も数十年に及びますし、どうしても詩の朗読以外のいわばト書きの部分での説明的なパートが必要になります。どのように構成するのかなと興味津々でしたが、昨日は佐藤春夫の『小説智恵子抄』を使われていました。同作は光太郎が歿した昭和31年(1956)から翌年にかけ、光太郎と親交の深かった佐藤が雑誌『新女苑』に連載したジュブナイルです。連載当時のタイトルは「愛の頌歌(ほめうた) 小説智恵子抄」。昭和32年(1957)に実業之日本社さんで単行本化、のち、角川文庫のラインナップに入り、現在も版を重ねています。また、丹波哲郎さん、岩下志麻さん主演の松竹映画「智恵子抄」原作と位置づけられてもいます。

余談になりますが、朗読家の荒井真澄さんはこうした場合、光太郎本人の随筆「智恵子の半生」(昭和15年=1940)を使われます。今春、二本松の智恵子生家座敷で行った当会プロデュースの
「音楽と朗読『智恵子抄』愛はここから生まれた」公演でもそうでした。また、令和3年(2021)に文京区の光太郎の実家の隣・旧安田楠雄邸で、やはり朗読家の北原久仁香さんと当方のコンビで行った「語りと講話 高村光太郎作 智恵子抄」では、パワーポイントのスライドショーで効果音を入れたアニメーションを流しつつ、当方が解説を行いました。

閑話休題。昨日のト書き部分以外の詩は、以下の通りのラインナップでした。

 「あどけない話」(昭和3年=1928)
 「案内」(昭和24年=1949)
 「人に(いやなんです……)」(大正元年=1912)
 「カフエにて(おれの魂を……)」(大正2年=1913)
 「人類の泉」(  〃  )
 「あなたはだんだんきれいになる」(昭和2年=1927)
 「樹下の二人」(大正12年=1923)
 「人生遠視」(昭和10年=1935)
 「山麓の二人」(昭和13年=1938)
 「千鳥と遊ぶ智恵子」(昭和12年=1937)
 「レモン哀歌」(昭和14年=1939)
 「荒涼たる帰宅」(昭和16年=1941)
 「梅酒」(昭和15年=1940)
 「案内」(昭和24年=1949)


すべての詩を全文読まれたわけではなく、長い詩は抜粋で。最初の「あどけない話」と「案内」(一部分だけ)は、全体の予告のような位置づけで。その後の「人に」からは、おおむね時系列に沿っての構成でした。一部年代が前後しているのは、光太郎自身が時間を遡って書いたりしているためです。

元々は、昨日も劇中で演奏されたパク氏のオリジナル曲を聴かれた木村氏が「これは「智恵子抄」の世界観にぴったりだ」と感じ、壤氏を巻き込んで(笑)このステージを作られたとのこと。「なるほど」という感じでした。

当方としては内容が分かっていますし、「次はこの詩だな」とほぼ予想もつくのですが、それでも、というかそれだけに、感動も一入でした。展開がわかっていても楽しめるという意味では、昔の日本人全般にとっての「忠臣蔵」みたいなものでしょうか(笑)。「智恵子抄」系をあまり詳しくご存じない一般のお客さんがどのように感じられたか、興味深いところではあります。

アンコールでは壤氏は退場され、木村氏とパク氏で尹東柱の詩を韓国語と日本語で朗読されながらの演奏。尹東柱も光太郎と同時代を生きた詩人ですが、今のところ直接の繋がりは確認できていません。

というわけで、なかなか充実のコンサートでした。「智恵子抄」の再演を望みますし、お三方の今後のさらなるご活躍を祈念いたします。


【折々のことば・光太郎】

イワテノビ セカイノビ トナレ


昭和29年(1954)3月5日 岩手県立盛岡美術工芸学校宛電報より 光太郎72歳

かつて花巻郊外旧太田村蟄居中には何度も訪れて講演等を行った岩手県立盛岡美術工芸学校の卒業式のための祝電です。

都内から演奏会情報です。

第39回カトリック松原教会チャリティーコンサート~ガリラヤの風かおる丘で~ フィリピン・ミンダナオ島で活動するシスターたちのために

期 日 : 2025年6月22日(日)
会 場 : カトリック松原教会 世田谷区松原2丁目28番5号
時 間 : 14:30開場 15:00開演
料 金 : 一般 3,000円 小中高生 2,000円

「ガリラヤの風かおる丘で」を作曲された蒔田尚昊先生は松原教会に所属されていました。蒔田先生は「ウルトラセブン」で知られる冬木透でもありました。昨年12月に帰天された先生を偲んで、先生の作品も紹介します。今回は松原教会メンバーに加え、若いバリトン歌手が賛助出演いたします。このコンサートは、フィリピン・ミンダナオ島にあるニーニャ・マリア・ラーニングセンターの貧しい家庭の子どもたちの支援のために行います。

出演
 秋永佳世(Sop) 有坂緑(Fl) 黒川京子(Sop) 小西陽子(Pf) 千賀由里(Pf)
 藤本典子(Ms)  安田紀生子(Vn) 保多由子(Ms) 楢原敬之(Br)

曲目
 蒔田尚昊   ガリラヤの風かおる丘で 「智恵子抄」より
 冬木透    ゾフィーのバラード
 アメリカ民謡 アメージング・グレース
 メルカデンテ サルベ・マリア
 ピアソラ   「天使の組曲」より
 中田喜直   悲しくなったときは
 他

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6月7日(土)、上野の旧東京音楽学校奏楽堂さんで開催された「第二十二回 二期会日本歌曲研究会演奏会」で蒔田尚昊氏の歌曲集「智恵子抄」から「Ⅱ. あどけない話」「Ⅴ. レモン哀歌」の二曲を歌われた黒川京子氏がご出演。おそらく同じ二曲を演奏されるのだと思われます。

他に蒔田氏が映画音楽等を作曲なさった際の変名である冬木透クレジットで「ゾフィーのバラード」。ゾフィーはウルトラ兄弟の長男ですね。ファーストウルトラマンの最終回、宇宙恐竜ゼットンに敗れ、命を落としたウルトラマンを助けにやってきたのが初登場でした。その当時は兄弟とか長男とかの設定にはなっていませんでしたが。
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売り上げはフィリピン・ミンダナオ島での活動支援に宛てられるそうです。

ぜひ足をお運び下さい。

【折々のことば・光太郎】

お餅と白いんげんたくさんいただきありがたく存じました。これでお正月の雑煮も出来ました。東京は此頃たいへんあたたかです。山口ではもう雪になつた事でせう。


昭和28年(1953)12月25日 駿河重次郎宛書簡より 光太郎71歳

前年まで花巻郊外旧太田村山口地区に蟄居していた頃は、都内の友人等からいろいろと食糧等が送られていましたが、中野の貸しアトリエに出て来てからは、逆に太田村民らから様々な食品などの贈り物。食糧難の時代も過ぎ、光太郎とてこの頃は経済的な困窮はまったくなかったのですが、人徳なのでしょうね。

智恵子の故郷、福島二本松からコンサート情報です。

藤木大地カウンターテナー・リサイタル 二本松音楽協会第100回定期演奏会

期 日 : 2025年6月15日(日)
会 場 : 二本松市コンサートホール 福島県二本松市亀谷1-5-1
時 間 : 13:00開場 13:30開演 
料 金 : 一般前売 3,700円 一般当日 4,000円 小中高生 1,000円

昨年名古屋にて半分だけ演奏した「白鳥の歌」を、シューベルト愛だだもれる佐藤卓史さんの懐を再びお借りして、福島にて全曲演奏することにしました。またレパートリーが増えちゃうぞ。二本松音楽協会の「1️⃣0️⃣0️⃣回」記念にふさわしい演奏会になるようがんばります! 縁の地にて、智恵子抄もあるよ!

演奏予定曲目 
 中田喜直 マティネ・ポエティクによる四つの歌曲
 「智恵子抄」より 
  佐藤卓史 あどけない話/からくり歌(初演)  加藤昌則 レモン哀歌 

 F・シューベルト 歌曲集「白鳥の歌」

出演 藤木大地(カウンターテナー) 佐藤卓史(ピアノ)

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藤木氏、加藤昌則氏作曲の「レモン哀歌」をレパートリーの一つとされていて、今回も含め、たびたびコンサートでプログラムに入れて下さっています。また、今回もピアノを弾かれる佐藤卓史氏とタッグを組まれ、佐藤氏作曲の「あどけない話」も。把握している限りでは昨夏、名古屋でずばり「藤木大地(カウンターテナー)&佐藤卓史(ピアノ)リサイタル 白鳥の歌/智恵子抄」と、「智恵子抄」をタイトルに冠した公演も行われました。

そして今回初演の「からくりうた」。昭和16年(1941)刊行のオリジナル『智恵子抄』には入っていない詩ですが、まさに二本松の智恵子を謳ったものです。

   からくりうた
     (覗きからくりの絵の極めてをさなきをめづ)
婦人公論
 国はみちのく、二本松のええ
 赤の煉瓦の
 酒倉越えて
 酒の泡からひよつこり生れた
 酒のやうなる
 よいそれ、女が逃げたええ
 逃げたそのさきや吉祥寺
 どうせ火になる吉祥寺
 阿武隈川のええ
 水も此の火は消せなんだとねえ
 酒と水とは、つんつれ
 ほんに敵同志ぢやええ
 酒とねえ、水とはねえ


大正元年(1912)9月の『スバル』第4年第9号に発表された詩です。細棹の三味線をチントンシャンとつま弾きながら唄う小唄の歌詞のような詩ですね。

智恵子の名は入っていませんが、智恵子をイメージして書かれたことは明白です。「吉祥寺」は八百屋お七の巷説が背景にあるようです。

ちなみに掲載誌『スバル』の同じ号には「或る夜のこころ」、「」、「おそれ」も掲載されていて、「からくりうた」を含めて「詩群」の総題がつけられています。おそらくいずれもこの年8月の作で、それぞれ智恵子との恋愛関係をどうするかの逡巡をテーマにしたものです。8月末か9月初めには、銚子犬吠埼に絵を描きに来ていた光太郎を追って智恵子も現れ、ここに二人の恋愛が成就する直前です。

把握している限りでは、「からくりうた」にメロディーがつけられた楽曲は、ギタリストのソンコ・マージュ氏が弾き語りで歌われ、アナログLP「日本の心」(昭和49年=1974 日本コロムビア)に収められたものしか存じません。佐藤氏、あまり取り上げられない詩に曲をつけてくださり、ありがたく存じます。
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というわけで、ぜひ足をお運びください。

【折々のことば・光太郎】

御文書により、(文学部門と伝聞いたしますが)日本芸術院会員候補者に小生を御推せんの趣承りましたが、右は御辞退申上げたく存じますので、よろしく御取りはからい願います、


昭和28年(1953)12月7日 宇野俊郎宛書簡より 光太郎71歳

宇野は日本芸術院事務局長。同院会員推薦辞退に関わります。

昨日は上野で「第二十二回 二期会日本歌曲研究会演奏会」を拝聴して参りました。レポートいたします。
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会場は旧東京音楽学校のホール・奏楽堂さん。場所は少し動かされていますが、明治23年(1890)の竣工で、隣の東京美術学校に通っていた光太郎も目にしたことのあるはずの建物です。
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敷地内には光太郎とも交流のあった朝倉文夫による滝廉太郎像などもたっています。

開演前のステージ。
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13:00開演。
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当方、あまり詳しくはないのですが、二期会さんの中でいろいろな「○○研究会」という部会があって、その一つの「日本歌曲研究会」さんに所属する歌手の方々なのでしょう、12名の方が思い思いに自選された歌曲を歌われるというものでした。

故・蒔田尚昊氏作曲の歌曲集「智恵子抄」から「Ⅱ. あどけない話」「Ⅴ. レモン哀歌」の二曲が、黒川京子氏の歌唱で演奏されました。ピアノは髙木由雅氏という方。
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いずれも抒情的なメロディに乗せて切々と光太郎智恵子の心境が表され、また確かな技倆に支えられて素晴らしい演奏でした。

「あどけない話」は、全音さんの『日本歌曲集3』(昭和45年=1970)に収められていますが、他の4曲「I 樹下の二人」「 III 同棲同類」「IV 千鳥と遊ぶ智恵子」「V レモン哀歌」は公刊された楽譜集等に収録されておらず、最近の各種演奏会でも抜粋で取り上げられるだけで(今回もそうでしたが)、全曲の楽譜公刊、コンサート等での演奏、さらにCD化が為されてほしいと願っております。

他の方々の演奏も堪能させていただきました。やはり「組曲 智恵子抄」を作曲され、連翹忌にもご参加下さった朝岡真木子氏作曲の作品(「智恵子抄」ではありませんでしたが)を取り上げた方もいらっしゃいました(朝岡氏、当方のすぐ前の席に座られ、お話しさせていただきました)。

それから、三木露風北原白秋山村暮鳥谷川俊太郎など、光太郎と交流のあった人々が作詞した曲が多く、その意味でも嬉しゅうございました。

終演後のカーテンコール的な。
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右からお二人目が黒川氏。黒川氏は、他に宮沢賢治がらみの歌曲等にも取り組まれるということで、お仲間で朝岡氏の「組曲 智恵子抄」をやはり奏楽堂さんで歌われCD化もなさって、今回も聴きにいらしていた清水邦子氏ともども、今年の1月31日(金)・2月1日(土)の2日間、当方が花巻の光太郎/賢治聖地巡礼ガイドを務めさせていただきました。

先の話ですが、その賢治がらみ。清水氏もご出演なさいます。
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他にも受付でもらったり、朝岡氏・清水氏から直接いただいたりしたフライヤー類。

蒔田氏・朝岡氏の「智恵子抄」が演奏されるもの(近くなりましたらまた詳細をお伝えいたします)。
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光太郎関係ではありませんが、朝岡氏・清水氏が作曲されたり出演なさったりするもの。
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左上は創作版画の川瀬巴水(ちなみに光太郎と同年の明治16年=1883生まれです)オマージュの歌曲が演奏されます。林望氏が作詩だそうで。右上は青島広志氏作曲のオペラですが、なんと、古代史や民俗学等に材を採ったおどろおどろの漫画(10冊ほど書架にあるのですが(笑))で有名な諸星大二郎氏の作品が原作です。最近はクラシック界も一筋縄ではいかないようですね(笑)。

関係の皆様方のさらなるご活躍を祈念いたしております。

【折々のことば・光太郎】

五日に無事に東京につきました、道具箱も安泰、木炭三十俵も昨六日届きました、お手数感謝いたします、 今度はいろいろお世話様になり、御馳走になり、出発の際には奥さまのお見送りをうけ、恐縮に存じました、 又部落の方から木炭十俵をいただき難有く存じます、よろしくお礼をお伝へ下さい、

昭和28年(1953)12月7日 駿河重次郎宛書簡より 光太郎71歳

11月25日から12月5日にかけ、前年まで7年間の蟄居生活を送っていた花巻郊外旧太田村へ、約1年ぶりの帰村。中野の貸しアトリエに戻ったよ、という報せです。
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都内と太田村との二拠点生活を考え、住民票は太田村に残していましたが、結局は健康状態がそれを許さず、この際が最後の太田村訪問となってしまいました。光太郎の余命、あと2年余りです。

あまり大々的に宣伝は為されていないようなのですが……。

木村俊介Concert『鵲(かささぎ)の橋の上で』in 東京 愛のかたち、様々に~日本と韓国の文学作品から~

期 日 : 2025年6月15日(日)
会 場 : 早稲田奉仕園スコットホール 新宿区西早稲田2丁目3-1
時 間 : 開場 15:00 / 開演 15:30
料 金 : 全席自由 5,500円 要予約
予 約 : 木村俊介 mail:insho@sky.plala.or.jp TEL. 090-8346-5548


パクスナ氏と始めた、日韓定期開催LIVE『鵲の橋の上で』。3年目を迎える今年は、~愛のかたち、様々に~と題して、日韓の文学作品から珠玉の“愛”の物語を取り上げます。愛する人が、愛した時のその人ではなくなってしまったら。愛する人が異界の存在であることを知ってしまったら。それでも、誓った愛を貫くことができるのか。昨年、壤晴彦氏との共演で大好評を頂いた、高村光太郎作『智恵子抄』をはじめ、先人の残した言葉が、時代を超えて問いかけます。会場は築100余年の祈りの空間。溶け合い、響きわたる言葉と音楽に、ゆったりと浸るひと時を。

出 演
 〈横笛・能管・三味線〉木村俊介  〈伽耶琴(カヤグム)〉パク スナ  〈語り〉壤晴彦
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昨年9月、同じく『鵲(かささぎ)の橋の上で』と題されたコンサートがさいたま市で開催されていました。その再演に近いのかな、という感じです。

その際の紹介記事でも書きましたが、朗読を担当される壤晴彦氏、かなり以前から「智恵子抄」朗読に取り組まれている方です。

今回は新宿区で。早稲田奉仕園さんといえば、当方、令和4年(2022)に日本詩人クラブさんの例会で講演をさせていただいた場所です。

ぜひ足をお運びください。

【折々のことば・光太郎】

東京も寒くなり、山口ではもう雪が降つてゐる事でせう、小生廿五日の朝上野を出発して同夜花巻着、大澤温泉に参ります、山口へは廿六日か廿七日に出かけるでせうが、あの小屋には寝られさうもないので、夜は又大沢温泉に行きます、

昭和28年(1953)11月22日 浅沼政規宛書簡より 光太郎71歳

前年まで7年間の蟄居生活を送っていた花巻郊外旧太田村山口地区に約1年ぶりに戻るという連絡です。
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都内から演奏会の情報です。

第二十二回 二期会日本歌曲研究会演奏会

期 日 : 2025年6月7日(土)
会 場 : 旧東京音楽学校奏楽堂 東京都台東区上野公園8番43号
時 間 : 12:30 開場 13:00開演
料 金 : 全席自由 4,000円

出演
 <ソプラノ> 阿部麻子 木内弘子 黒川京子 品田昭子 柴田百代 武かほる
        鳥養和歌子 中村良枝 福成紀美子 毛木香保里
 <メゾソプラノ> 草西富貴子
 <バリトン> 馬場眞二
 <ピアノ> 髙木由雅 森裕子

演奏予定曲目
 山田耕筰 作曲 病める薔薇/南天の花
 斎藤佳三 作曲 ふるさとの
 平井康三郎 作曲 茉利花(まつりか)の/小面幻想
         歌曲集「日本の笛」より 夏の宵月 野焼の頃
 中田喜直 作曲 「”マチネ・ポエティク”による四つの歌曲」より 3. 髪
 武満徹 作曲 死んだ男の残したものは
 三善晃 作曲 「聖三稜玻璃」より 1. いのり 3. 青空に 4. ほんねん
 蒔田尚昊 作曲 「智恵子抄」より Ⅱ. あどけない話 Ⅴ. レモン哀歌
 加賀清孝 作曲 歌曲集Ⅳ「ハイゼのイタリア詩集(邦訳)による7つの歌」より
         2. あなた その気弱な一言で 5. 彼が歌ってるの 月明かりのおうちの前で
         6. きのう真夜中に起きたら
 朝岡真木子 作曲 さくらの はなびら
         まど・みちおの詩による組曲「リンゴを ひとつ」より 3. 貝のふえ
 木下牧子 作曲 「竹久夢二の詩による7つの歌」より
         3. ゆふぐれがたに 6. ジョウカア 7. あなたの心
 千原英喜 作曲 歌曲集「ありがとう」―谷川俊太郎の4つの歌―より
         1. 誰もしらない 4. ありがとう
 松下倫士 作曲 うたを うたうとき
 <委嘱作品>
 「音楽四章」前田佳世子 曲 / 谷川俊太郎 詩
   1.音楽の時 2. ただそれだけの唄 3.ないしょのうた 4.音楽
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故・蒔田尚昊氏作曲の歌曲集「智恵子抄」から、第二曲「あどけない話」と第五曲(最終曲)「レモン哀歌」がプログラムに入っています。歌われるのは黒川京子さん。今回はご出演なさいませんが、お仲間で、朝岡真木子氏ご作曲の「組曲 智恵子抄」を歌われた清水邦子さんともども、今年の1月31日(金)、2月1日(土)と、花巻の光太郎・宮沢賢治関係スポットをご案内させていただきました。そんなこんなで招待券を頂いてしまっています。恐縮です。

蒔田氏の「智恵子抄」、公刊されている楽譜集では、全音さんの『日本歌曲集3』(昭和45年=1970)に「あどけない話」が収められているだけですし、市販のアナログレコードやCD等にも収録されていません(見落としがなければ、ですが)。YouTube上には令和3年(2021)に紀尾井ホールさんで開催された「蒔田尚昊 歌の世界〜アヴェ・マリアからウルトラマン賛歌まで〜」(コロナ禍のため無観客)、同5年(2023)に渋谷区文化総合センター大和田さんで開催の「「男声合唱のためのウルトラセブン」 楽譜出版記念コンサート」での演奏などがアップされています。前者は大野光彦氏、後者は加耒徹氏の歌唱です。他に、野々村彩乃氏という方の演奏も上げられていますが、こちらは寡聞にしていつどこで収録されたものか不明です。

ちなみにウルトラ系がタイトルに入っているのは、蒔田氏が「冬木透」名義で「ウルトラセブン」をはじめとするウルトラ系の楽曲を作曲されているためです。

今回の会場は上野公園内の旧東京音楽学校奏楽堂さん。東京音楽学校は、光太郎の母校・東京美術学校とともに戦後に東京藝術大学さんへと改組され、ホール自体も藝大さんを離れて台東区さんに所管が移りましたが、創建当初の姿を残してリノベーションされ、味わい深い建造物です。重要文化財指定もされています。

ぜひ足をお運びください。

【折々のことば・光太郎】

今日はメダル原型の石膏を渡して、百五十個作成を御依頼しました、経四寸、片面のメダル、一個分五〇〇円の由につき、県庁の金で半金三七、五〇〇円お渡し致しました。


昭和28年(1953)9月10日 牛越誠夫宛書簡より 光太郎71歳

「メダル」は、10月に行われる生涯最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」除幕式の際に関係者に記念品として贈られる「大町桂月メダル」。十和田湖の景観美を広く世に紹介した大町桂月は、道路整備等に腐心した元青森県知事の竹田千代三郎、元法奥沢村長の小笠原耕一とともに「十和田の三恩人」と称され、「乙女の像」は三恩人の顕彰という意味合いもありました。
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結局、このメダルが光太郎彫刻最後の完成作となりました。

光太郎詩にオリジナルの曲を付けて歌われているシャンソン系歌手・モンデンモモさんのライブ。ここ数年島根の方を拠点にされてミュージカル等に携わられることが多かったのですが、先月に続き都内で「智恵子抄」をメインに演(や)られるそうで。

BOOK CAFÉ LIVE vol2モモの智恵子抄

期 日 : 2025年5月19日(月)
会 場 : 府中の森芸術劇場分館 東京都府中市宮町1-100 武蔵府中ル・シーニュ地下2階
時 間 : 19:15~20:45
料 金 : 3,500円

出 演 : モンデンモモ たしまみちを(ギター)

モモの智恵子抄 春抄 逢いたい時にあうから〜別居結婚 入籍しないの〜 光太郎さんは 智恵子さんに逢えると大喜び〜 違った智恵子さんの姿をお伝えします だって 青鞜の表紙を描き 田村俊子さん 与謝野晶子さん らいてうさんと交流し 自転車を乗り回し グロキシニアの花を抱え やはり 女の最先端でした 今回のブックカフェライブ   モノドラマでおつたえします 19日 いらしてね!!
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もう20年以上のつきあいとなり、都内をはじめ、智恵子のふるさと・福島二本松、光太郎第二の故郷・花巻、当会の祖・草野心平所縁の福島県川内村、モモさんの拠点・島根などで十数回、ステージ等を拝見・拝聴しています。宇宙飛行士の山崎直子さんとのコラボなどもありました。

時々伴奏を担当されるギターのたしま氏とも長い関わりとなりました。

ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

自分でも忘れてゐるうちに今年は東京でいつの間にか誕生日をむかへるやうになりましたが、今朝は美しい花やおめでたいお菓子やお茶など届けて下され、仕事のあとでたのしくおうけとりいたしました、今日は十三日の金曜日といふ日ですが、まず静かに仕事してゐました、


昭和28年(1953)3月13日 椛沢佳乃子宛書簡より 光太郎71歳

元日に数え71歳となった光太郎、この日は満70歳の誕生日でした。

イスカリオテのユダを含め、「最後の晩餐」に集まったイエスの弟子が13人、その後、イエスが磔刑に処されたのが金曜日と信じられ、「十三日の金曜日」は不吉とされていますが、この頃の日本でもすでにそういう迷信があったのですね。

福井県からコンサート情報です。

めいおんFukui第16回演奏会

期 日 : 2024年5月10日(土)
会 場 : ハーモニーホールふくい 福井県福井市今市町40-1-1
時 間 : 18:30開場 19:00開演
料 金 : 一般:1,000円 学生(高校生まで):500円
主 催 : 名古屋音楽大学 同窓会 福井支部(担当:吉田)Tel.090-4683-7255

《出演》
 大野舞子 岡安朋美 佐々木英宏 谷川美翔 南部匡恵 西野佳世 羽生泰子
 三浦恵美子 吉田真里子 鈴木睦美 佐々木都恵 竹沢友里 前川明音 大岡訓子

<曲目>
 エレクトーン Joan of Arc 作曲 安藤ヨシヒロ
 クラリネット 歌劇「椿姫」による演奏会用幻想曲 作曲 D.ロヴレーリョ(ヴェルディ)
 サックス   アルペジオーネ・ソナタょり第1楽章 作曲 F.シューベルト
 クラリネット クラリネット・ソナタ 作品167より 作曲 カミーユ・サン=サーンス
 トロンボーン Pair Up - Duo for Trombone and Marimba 作曲 Myles Wright
 クラリネット クラリネットデュエットNo.1 作曲 B.クルーセル
 声楽     智恵子抄(連作曲)~その愛と死と~より 作曲 野村朗
 ピアノ    喜びの島作曲 C.ドビュッシー他

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「めいおん」は名古屋音楽大学さんの略称だそうです。同学卒業生、教員の方々による演奏会だそうで、やはり卒業生で名古屋ご在住の作曲家・野村朗氏の「連作歌曲「智恵子抄」~その愛と死と~」から第2曲「あどけない話」と終曲「案内」が演奏されます。歌唱は岡安朋美さんと言う方だそうです。

生演奏は、野村氏と交流の深い森山孝光氏(バリトン)、康子氏(ピアノ)御夫妻の演奏で、氏の地元の名古屋、智恵子の故郷・二本松、それから都内でもと、計5~6回(もっとかもしれません)拝聴しましたが、何度聴いてもドラマチックでいい曲です。


お近くの方など、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

肋間神経痛はまだ相当いたみますが、花巻温泉か大沢あたりに一寸ゆきたい気もしますが、どうも時間の余裕が出来さうもありません、


昭和28年(1953)2月8日 宮沢清六宛書簡より 光太郎71歳

生涯最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」制作のため花巻郊外旧太田村から再上京して4ヶ月近く。そろそろ山の温泉が恋しくなってきたようです。

「花巻温泉」は松雲閣、「大沢」は大沢温泉山水閣、あるいは菊水館

先週末からの2泊3日の行程を終え、昨日、千葉の自宅兼事務所に帰投しました。2回に分けてレポートいたします。

メインの目的は高村智恵子生家/智恵子記念館さんで開催中の「高村智恵子生誕祭」の一環として、当会主催で行ったコンサート「音楽と朗読『智恵子抄』愛はここから生まれた」。4月27日(日)、午前の部と午後の部と、2回公演でした。これまで当方は、毎年4月2日の日比谷松本楼さんでの連翹忌の集いを除いて、各地のイベントに呼ばれて出向くばかりでしたが、今回はこの手のイベントとしては初の当会プロデュース。慣れないプロデューサー業で、各方面に助けられながら、何とか盛会のうちに終わらせることが出来ました。

出演は朗読で仙台ご在住の荒井真澄さん、音楽演奏で電子楽器・テルミンの大西ようこさん(神奈川にお住まい)、そして都内から箏曲の元井美智子さん。
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以前にも書きましたが、それぞれがまず単独、あるいは他の方とのコラボで「智恵子抄」系の公演をなさり、知遇を得させていただきました。で、連翹忌の集いにご参加いただくようになり、そこでお三方が意気投合。これまでもお三方中のお二人が組まれての公演が、光太郎がらみでないものも含め、複数回ありました。「それならいっそ3人でやってみませんか、この時期なら通常立ち入り禁止にしている智恵子生家の座敷でやらせていただけると二本松市教委さんからご返答いただいてますし」とお声がけしたところ、皆さん「ぜひやりたい」とのことで。

ネックは入場無料で行うため、ギャラをお出しできないこと。皆さんにとってのメリットは「智恵子生家の座敷で公演ができる」ということだけで、それぞれ遠方にお住まいですし、いわばハイリスクローリターン。それでもお三方とも「ここでやれるなら夢のようです」とおっしゃってくださり、実現しました。
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4月26日(土)、まず荒井さんと大西さんがいらっしゃり、ざっと会場設営と場当たり。
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襖を外したり、家具類を移動したり。すると、タンスの裏側にこんな文字が書かれているのを発見しました。
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「長沼セン」は、智恵子の母です。右上の画像で左端がセン。昭和2年(1927)、光太郎智恵子夫妻と訪れた箱根大湧谷でのショットです。こんなところに記名してあるとはまったく存じませんでした。

そして4月27日(日)、コンサート当日。元井さんも合流し、リハーサル。
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ぼんぼり的な丸いのは、地元の上川崎和紙で作られたもので、ここの備品をお借りしました。

満を持して11:00、午前の部の開演。
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午前中でお客さんがいらっしゃるかと心配でしたが、蓋を開けてみれば座敷はいっぱいでした。ありがたし。
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隣接する智恵子記念館で展示中の智恵子のエプロンを復元して下さった花巻南高校家庭クラブ/文芸部さんの生徒さん、先生方も駆けつけて下さいました。終演後には「エプロン展示中ですのでご覧下さい」と宣伝しつつ、生徒さんたちに立っていただいてご紹介させていただきました。事前打ち合わせ無しの無茶ぶりでしたが(笑)。
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荒井さんが「智恵子抄」所収の詩を13篇、さらにエッセイ「智恵子の半生」から抜粋で朗読。大西さんと元井さんが日本古謡「さくら」やドビュッシー「月の光」などを合奏。箏の演奏を間近で見られる機会もそうそうありませんし、ましてや不思議な電子楽器テルミンは見るのも聴くのも初めて、というお客さんがけっこういらっしゃいまして、ビジュアル的にも見ていて飽きない感じになりました。

荒井さんの朗読も、一人何役も演じ分けられたり耳に心地よい美声だったり。しかし、決して幸福一辺倒でなかった光太郎智恵子(特に智恵子)の生涯を追う構成なわけで、聴いていて切なくなるのはどうしようもありませんでした。いつものことですが。
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そしてやはりこの「場」。かつてここに智恵子やその家族が居て、たまには光太郎も来て、それぞれが生きて呼吸して家族の歴史を刻んだ場所なんだと思うと、感無量でした。
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約60分で午前の部が終わり、昼食。さらに14:00から午後の部。内容的には同一でした。
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意外でしたが、午後の部の方がお客さんが少なく、まぁそれでも盛会裡に終えることが出来ました。

何人か、聴かれた方の感想を伺いましたが、皆さん口を揃えて絶賛して下さいました。中にはこのブログのコメント欄にも書かれていますが、地元の方が「大変素晴らしく過去最高の「智恵子抄」だと思いました。テルミンの音色、古式豊かな雅な琴の音との智恵子抄は初めてでした。ずーと続けて欲しいなと思いました」とのことで。

プロデューサー冥利に尽きます。それを言えば、連翹忌の集いの一つの目標として、光太郎の顕彰以外にこのように人の輪を拡げることがありまして(そしてさらに光太郎顕彰に繋げるということになりますが)、それがまた少し果たせたことを嬉しく存じます。
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元井さんが8分余りの動画を上げて下さっています。


地元紙『福島民友』さん、『福島民報』さんが取材に来て下さいました。この手のイベントの記事は速報性が求められないので、数日後に出ることが多く、現時点ではまだ記事が読めていません。出ましたらまたご紹介します。

仙台に本社を置く東北6県をカバーする『河北新報』さんは以下の記事。取材にはいらっしゃいませんでしたが、事前にこちらで流しておいた情報に基づいて、4月26日(土)に掲載して下さいました。

高村智恵子の生涯 作品でたどる 福島・二本松で生誕祭

 詩人、彫刻家の高村光太郎の妻で、洋画家智恵子(1886~1938年)が生まれた5月20日に合わせた催し「高村智恵子 生誕祭」が、福島県二本松市の「市智恵子の生家・記念館」で開かれている。5月25日までの期間中、智恵子がデザインしたエプロンを再現した作品の展示などがある。
 エプロンは、光太郎が戦時中に疎開した岩手県花巻市の花巻南高家庭クラブの生徒が復元した。当時の女性向け雑誌に掲載されるなど注目を集めたという。
 記念館では、智恵子が病に伏していた時に作った「紙絵」10点など、普段は公開されていない資料が5月11日まで特別に展示される。生家では智恵子の居室だった2階が土日祝日を中心に公開する。
 4月27日には生家で、詩集「智恵子抄」の朗読公演がある。午前11時と午後2時の2回で予約不要、参加費無料。光太郎の活動を伝える「高村光太郎連翹忌(れんぎょうき)運営委員会」が企画した。
 午前9時~午後4時半。水曜日休館(祝日の場合は翌日)。入場料は高校生以上410円、小中学生210円。連絡先は記念館0243(22)6151。
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エプロンの展示を含め、「高村智恵子生誕祭」は5月25日(日)まで。他にもさまざまなコンテンツが用意されています。ぜひ足をお運びください。

【折々のことば・光太郎】

おてがみ感謝、仕事に没頭してゐたため、ハガキを書くのを、おろそかにしてゐて失礼しました。中央公論社の催に異存ございません。御多忙中上京との事恐縮に存じます。

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昭和28年(1953)1月15日 
真壁仁宛書簡より 光太郎71歳

真壁は山形在住の詩人。戦時中、智恵子紙絵千数百枚の約3分の1を光太郎が真壁の元に疎開させていました。

その中から作品を選び、中央公論社画廊で「高村智恵子紙絵展覧会」が2月2日~12日の日程で開催されました。昭和26年(1951)6月に資生堂ギャラリーで行われて以来、都内では2度目の開催でした。

現在、二本松での「高村智恵子生誕祭」、そして信州安曇野碌山美術館さんでも「特別展示 智恵子の紙絵」ということで、実物が展示されています。

昨日は福島二本松の智恵子生家に於いて、「高村智恵子生誕祭」の一環としてコンサート「音楽と朗読『智恵子抄』愛はここから生まれた」を当会主催で開催しました。
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午前と午後の2回公演、それぞれ60分ほど。元井美智子さんの奏曲、大西ようこさんのテルミン演奏に乗せて荒井真澄さんの朗読。
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地元の方々は勿論、都内や、光太郎第二の故郷・岩手花巻からも聴きにいらしてくださり、ありがたく存じました。

隣接する智恵子記念館で展示中の智恵子のエプロンを復元して下さった花巻南高校家庭クラブ/文芸部さんの生徒さん、先生方も。
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詳しくは帰りましてからレポート致します。

4月に入ってのイベント情報、音楽ライブと朗読会で同じ日に行われる2件をご紹介します。

まずは光太郎詩にオリジナルの曲を付けて歌われているシャンソン系歌手・モンデンモモさんのライブ。このところ島根の方を拠点にされてミュージカル等に携わられることが多かったようですが、久しぶりに「智恵子抄」メインです。

BOOK CAFÉ LIVE モモの智恵子抄

期 日 : 2025年4月4日(金)
会 場 : 狐弾亭 東京都立川市羽衣町1-21-2
時 間 : 18:15~20:00
料 金 : 3,500円

一部 智恵子の瞳  二部 次回予告編 宮沢賢治物語『アウシュビッツの壁』

出演 歌 モンデンモモ ギター たしまみちを


ご予約開始いたします。妖精の身元に!!素晴らしい空間です、席がほんの少しです。すでにご予約いただいていて急がれてください。満席になり次第締め切らせていただきますね。ごめんなさい。妖精さんのお席も用意します🧚
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もう1件、朗読会は宮崎県から。

劇団ぐるーぷ連 第134回朗読LIVE がんばれどうぶつ

期 日 : 2025年4月4日(金)
会 場 : ぐるーぷ連 劇工房 宮崎県東諸県郡綾町北俣4010-7
時 間 : 14:00~
料 金 : 1,000円

構成 実広健士
出演 劇団ぐるーぷ連 井上貴子・前本俊一 ことばの教室 原口奈々
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新美南吉/ごん狐       和田誠/おさる日記  筒井康隆/狸 高村光太郎/道程・牛
花岡大学/百羽のツル
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劇団ぐるーぷ連さん、毎月の月初めに朗読ライブをなさっているそうで、その都度テーマというかタイトルというかを決めて作品を選ばれているようです。今月は「弥生3月花の咲く」。そして来月が「どうぶつがんばれ」だそうで、光太郎詩「牛」(大正2年=1913)を取り上げて下さいます。ありがたし。100行越えの長大な詩ですのでなかなか大変とは存じますが、それだけに聴き応えはあるでしょう。

それぞれご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

今度の仕事の事では学校として心配して下さつて忝く存じます、うまくアトリエが借りられて万事好都合でした、


昭和27年(1952)7月19日 石井鶴三宛書簡より 光太郎70歳

石井は新制の東京藝術大学教授を務めていた彫刻家。光太郎が生涯最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」制作を始めるにあたり、アトリエの心配をしてくれていたようです。もしかすると学校の施設を使ってもよい的な申し出もあったかも知れません。結局、中野の中西利雄アトリエを借りることがこの頃には決まっていました。

まず都内から演奏会情報です。

朝岡真木子歌曲コンサート 第8回

期 日 : 2025年3月30日(日)
会 場 : 王子ホール 東京都中央区銀座4-7-5
時 間 : 14:00開演(13:30開場)
料 金 : 一般 4,500円 学生券2,000円(全席自由)

曲 目 
 「春宵感懐」 詩:中原中也 
 「さくらの はなびら」 詩:まど・みちお
 組曲〈春にあこがれ〉 詩:星乃ミミナ
 「なぎさ」 詩:木下宣子
 「さんまのうた」 詩:大竹典子
 「秋の手紙」 詩:こわせ・たまみ
 「雪に」 詩:金子みすゞ
 「冬が来た」 詩:高村光太郎
 「ピカドンが落ちたとき」 詩:山中茉莉 新作
 「日本列島」 詩:岡崎カズヱ 新作
 組曲〈人間家族〉より「愛」「欲望」 詩:野上彰 新作
 「わたしは魔女」 詩:冨永佳与子
 「しゃなりとあるく」 詩:矢崎節夫
 他

出 演
 木内弘子(ソプラノ) 黒川京子(ソプラノ) 白須ヒロミ(ソプラノ)
 三縄みどり(ソプラノ) 清水邦子(メゾ・ソプラノ) 紀野洋孝(テノール)
 馬場眞二(バリトン) 朝岡真木子(作曲・ピアノ)
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光太郎詩をテキストに「組曲 智惠子抄」を作曲なさった作曲家・朝岡真木子氏の歌曲作品が演奏されるコンサートです。ピアノは朝岡氏ご自身です。

今回は、「冬が来た」がプログラムに入っています。歌唱はテノールの紀野洋孝氏だそうです。紀野氏、あちこちで別宮貞雄作曲歌曲集《智恵子抄》の全曲や抜粋を取り上げられて歌われていた方です。一昨年には初台の東京オペラシティさんでのリサイタルで拝聴いたしました。

「朝岡真木子歌曲コンサート」には、一昨年、昨年とお邪魔し、今年も伺うつもりでいて招待券も頂いていたのですが、他の雑用のため残念ながら欠礼させていただきます。実は既に「チケット完売」と布告されていますが、当方欠礼分一席空きましたし(笑)、キャンセル等あるかもしれません。

もう1件。こちらは今日です。それまで曲目はフライヤー画像のみで、一昨日になってX(旧ツイッター)上に「2ステで演奏する「レモン哀歌」(詩:高村光太郎  曲:西村朗)」という語が出て、昨日気づいた次第ですが、記録のためにも載せておきます。

千葉県立千葉中学校・千葉高等学校合唱部 第17回定期演奏会

期 日 : 2025年3月21日(金)
会 場 : J:COM浦安音楽ホール 千葉県浦安市入船1丁目6-1
時 間 : 19:00開演(18:30開場)
料 金 : 無料(全席自由)

曲 目
 混声合唱のための「うたⅡ」より さくら  日本古謡 作曲 武満徹
 Psaim 43 Richte mich,Gott 作曲 Felix Mendelssohn
 混声合唱とピアノのための組曲 レモン哀歌 作詩 高村光太郎 作曲 西村朗


出演
 千葉県立千葉中学校・千葉高等学校合唱部
 指揮 山宮篤子 ピアノ 松原賢司 賛助出演 Chœur Clarté

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一昨年亡くなった西村朗氏作曲の「混声合唱とピアノのための組曲「レモン哀歌」」(平成20年=2008)が演奏されます。3曲から成る構成で、「千鳥と遊ぶ智恵子」「山麓の二人」そして「レモン哀歌」。フライヤーにレモンがあしらわれ、これがメインステージという扱いでしょうか。

ところで、以前にも書きましたが、こうした演奏会系の告知は曲目まで活字にしていただきたいものです。「誰が」演奏するのかももちろん大切ですが、「何が」演奏されるのかもそれと同程度に(あるいはそれ以上に)重要な情報と思います。「この曲が演奏されるなら行ってみよう」というのがあると思いますので……。

【折々のことば・光太郎】

十日間ばかりの旅行で十和田湖から帰つてまゐりましたが、用事の始末をつけるのに暇どつて中々厄介です。モニユマンは製作することにきめましたが、製作が冬季になるのと助手、モデル使用の都合、用具調整、石膏型取り、鋳造等の便宜上仮アトリエは東京に造り、製作中小一年は東京に居らねばならなくなるかも知れません。


昭和27年(1952)6月28日 佐藤隆房宛書簡より 光太郎70歳

十和田湖への下見を経て、生涯最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」制作を引き受けることを決意しました。同時にさまざまな都合も考え、上京することも。ただ、この時点では中西利雄アトリエを借りる算段はまだついていませんでした。
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