カテゴリ: テレビ/ラジオ番組等

先週土曜日、テレビ東京さんの「美の巨人たち 上野のシンボル!高村光雲『西郷隆盛像』が愛され続ける理由」の放映がありました。

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西郷の妻・糸が、除幕式の際に「うちの旦那さぁはこげな人じゃあいもはん」と言ったというエピソード(結局、当方が知りたいその出典は紹介されませんでしたが)から、像の制作にあたった光太郎の父・光雲らの苦労話が色々と紹介されました。

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光雲については、西洋の写実を取り入れた先進性を紹介してくださいました。

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コメンテーターとして、当方もお世話になっている小平市平櫛田中美術館さんの藤井明学芸員氏がご登場。

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NHKさんの「日曜美術館」等にもご出演されている藤井氏、いつもながらに的確なコメントです。

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今年初公開された、顔のない西郷像原型の写真なども使われました。

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確実に本人だと言い切れる写真の残っていない西郷隆盛、そこで、光雲が参考にしたのがキヨッソーネの描いた肖像画。他に生前の西郷を知る人々の意見を随分聞いたそうです。

結果、何とか本人に似た顔になりましたが、糸は納得いきません。それは、顔の問題でなく、服装の問題。

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この点に関しては、この像は兎狩りの姿だということで。しかし、なぜそんな姿になったのかというと、当初は軍服姿や騎馬像の構想があったものの、やはり恩赦で復権したとはいえ西南戦争で大君に弓を引いた人物、ということで、その構想が却下されたためでした。

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そこで、西郷の従弟、大山巌が……

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当方、このエピソードは存じませんでした。

その結果、着流し姿となったというわけです。

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このあたりについて詳述している当時の文献、読んでみたいのですが……。

テレビ東京さん系列のBSテレ東さんで、12月29日(土)の18:00~18:30にも放映があります。テレビ東京さん系の放送局がない地域の方、こちらでご覧下さい。


そして日曜日には、NHKさんの大河ドラマ「西郷どん」最終話。

1月の第1話が西郷像の除幕式のシーンから始まり、最終話でも像に触れられるかと思っていましたが、残念ながら像は登場せず。しかし、西郷の死後、当時の人々が大接近していた火星を「西郷星」と呼んで拝んでいたというエピソードの中で、やはり糸が「うちの旦那さあはあげな高い所に居て人から見上げられるようなお人ではなかった」と言うシーンがありました。脚本の中園ミホさん、これが第1話の除幕式で糸が「うちの旦那さぁはこげな人じゃあいもはん」と言ったという理由につながるのですね。なるほど、そういう解釈も成り立つな、と思いました。

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ところで当方、新選組や会津藩、彰義隊などを好むもので、この1年、「西郷どん」は観ていませんでした。そこで最終話を観て初めて知ったのですが、「美の巨人たち」でも紹介された、上野の西郷さんが連れている愛犬の「ツン」も登場していたのですね。存じませんでした。

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それから、最後のかつての盟友・大久保利通がその開催に心血を注いだという設定になっていた内国勧業博覧会。「西郷どん」では触れられませんでしたが、この時に、光雲は師匠・高村東雲の名で白衣観音像を出品、見事に一等龍紋賞に輝きました。博覧会というものが全く周知されていなかったこの当時、東雲は出品の依頼に対し、わけがわからないし面倒だと考えたので高弟の光雲に自分の名で出品させたのです。それが一等龍紋賞。しかし、それがどれほどすごい賞かというのが、もらってからもよくわからなかったというのだから笑えます。そのあたり、昭和4年(1929)に刊行された光雲の談話筆記『光雲懐古談』に記述があります。「青空文庫」さんで公開して下さっていますので、お読み下さい。

「西郷どん」最終話、NHK総合さんで、12月22日(土)、13:05~14:05に再放送があります。見逃した方、ぜひご覧下さい。


【折々のことば・光太郎】

妾がマツスネエを唄へば妾のマツスネエですよ。伊十郎が勧進帳を唄へば伊十郎の勧進帳ぢやありませんか。

散文「ノンシヤランス」より 明治44年(1911) 光太郎29歳

「ノンシヤランス」は仏語の「 nonchalance 」。「のんき」とか「投げやり」「無関心」といった意味です。女優と脚本家の会話、という設定で書かれたもので、ある意味、短編小説のような趣もあります。

引用部分は女優のセリフ。「妾」は「めかけ」ではなく「わたし」と読みます。「マツスネエ」はジュール・マスネ。「タイスの瞑想曲」などで有名なフランスの作曲家です。「伊十郎」は芳村伊十郎、長唄の名人でした。

要するに、扱う作品の芸術性も大事だが、演者の芸術性にもっと評価を与えるべき、という趣旨です。「何を」より「いかに」ということですね。造形芸術にも当てはまる問題です。

NHK Eテレさんの楊枝教育番組「にほんごであそぼ」。たびたび光太郎詩を取り上げて下さっていますが、「牛」(大正2年=1913)が使われました。12月4日(火)に最初の放映があり、来週18日(火)、再放送されます。 

にほんごであそぼ

NHK Eテレ 2018/12/18(火) 6時35分~6時45分/17時00分~17時10分

楽しく遊びながら“日本語感覚”を身につけることができる番組。今回は、牛はのろのろと歩く…「牛」高村光太郎、投稿ややこしや、絵あわせ百人一首、歌/銀河鉄道の夜。

出演 美輪明宏、野村萬斎、野村裕基、小錦八十吉、おおたか静流 ほか


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「牛」は長い詩ですので、抜粋で。子供たちが入れ替わり立ち替わり、ワンフレーズずつ朗読。

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締めは、美輪明宏さん。

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過日、やはり「牛」からのインスパイアを含む、和合亮一さんの新刊詩集『QQQ』をご紹介した際にも書きましたが、子供達にはポジティブな「牛」を味わってほしいものです。

そのためには、大人たちが「平凡な大地」を子供たちに残してやらなければなりません。「放射線まみれの危険な大地」でなく、「平凡な大地」を、です。


【折々のことば・光太郎】

潜心(アリエエル パンセエ)のない、ただの縮小や模型は、彼にとつて何の可笑味もない。

散文「量の有する滑稽性」より 明治44年(1911) 光太郎29歳

「アリエエル パンセエ」は仏語の「arrière pensée」。「潜心」、つまり「心を落ち着けて一心に考えること」の意です。

元々の大きさ(量)に意味があるものを、無理矢理に縮小しても、滑稽にしかならないという論旨です。例として上げている一つがパリの凱旋門。今やパリ名所となっていますが、元々はローマ皇帝セプチミウス・セヴェルスがローマに建てさせた高さ21メートルのものを模し、ナポレオンが高さ15メートル足らずでイミテーションを作らせたもの。同様に、富士山を立体模型にしても雄大な感は得られない、と、まぁ、そのとおりですね。

同じような例、さらには場違いな建築装飾や、猿真似的な西洋の模倣が東京じゅうに溢れかえっている、という警句です。現代にも通じますね。

過日もちらっとご紹介しましたが、テレビ東京さんの美術系長寿番組「美の巨人たち」で、光太郎の父・光雲が主任として制作に当たった上野の西郷隆盛像が扱われます。  
BSテレ東  2018年12月29日(土) 18:00~18:30

太く濃い眉、しっかり見つめる目、一文字の口もと…西郷の死から21年後に建てられた高村光雲作『西郷隆盛像』は“これぞ西郷”というイメージを作り上げました。ところが完成当時、西郷の妻は「主人はこんな人じゃない」と批判。それでも光雲は、このような批判が起こるのを覚悟で、あえて西郷をこの姿で残したと言います。一体この銅像の何に問題があったのでしょうか?日本一有名な銅像の堂々たる姿に潜む意外な真相に迫ります。

ナレーター 小林薫/神田沙也加

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ちなみにNHKさんの大河ドラマ「西郷どん」は、翌16日(日)が最終回です。

1月の第1話「「薩摩のやっせんぼ」は、上野の西郷像除幕のシーンからでした。

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そこで西郷三番目の妻・糸が叫びます。

最終話でも西郷像に関して、できれば光雲も登場させてほしいものですし、この辺りのエピソードについて、「美の巨人たち」で紹介されるようです。話の出所等も紹介していただけるとありがたいのですが……。

それぞれ、ぜひご覧下さい。


【折々のことば・光太郎】

英国の芸術の中で、一番英国人の気質の美点を表して居るのは建築だ。彫刻はペケ。絵画は一般に英国人の執拗な点をよく示して居る。コンスタブルでも、タアナアでも、近くはヰスラーでも少し面白い画家は皆英国離れがして居る。可笑しな現象だ。其の癖此等の人を通じて底に流れて居る一脈の水は、争はれない「アングロサクソン」の色である。

散文「画室日記の中より」より 明治41年(1908) 光太郎26歳

ニューヨークに続いて移り住んだロンドンでの感想です。かなり的確に当時の英国美術を観察しています。一面では保守的な部分も持っていた光太郎、ニューヨークでは感じなかった重厚な歴史の厚みを感じ、また、それを好意的に捉えてもいます。

テレビ東京さん系列で、昨日放映された「土曜スペシャル いい旅・夢気分 紅葉めざして乗り継ぎ旅スペシャル」。光太郎最後の大作「乙女の像」ががっつり取り上げられました。取り上げられるかどうか微妙だなと思って、このブログでは事前にご紹介しなかったのですが……。

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3本立ての1本目で、太川陽介さん、蛭子能収さんの「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」コンビに、マドンナ釈由美子さんの3人で、奥入瀬渓流、十和田湖、弘前などを巡るコース。

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「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」では、平成25年(2013)に、太川さん、蛭子さんに、さとう珠緒さんを加えた3人で、山形は米沢市から本州最北端・青森県大間崎を目指す途中に十和田湖、奥入瀬を通られました。平成28年(2016)にはDVDが発売されています。

今回は、八戸からスタート。

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蛭子さん、平成25年の記憶がありません(笑)。

路線バスで紅葉の奥入瀬渓流に向かい、途中下車。

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撮影日が10月30日(火)だったそうで、何とまあ、当方が彼地に行っていた2日後でした。

再びバスで、十和田湖畔休屋へ。

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真っ先にお二人が向かったのは……。

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「おお!」という思いと、「くっ、ブログで紹介しておくんだった」という思いでした(笑)。

光太郎の名もしっかり出して下さいました。

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また、いろいろなアングルから像を撮影して下さってもいました。

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ここで、マドンナ・釈由美子さんと合流。

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十和田湖畔で昼食。釈さんは十和田バラ焼きを召し上がっていました。

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さらに、宇樽部地区からボートで湖上散策。

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この日の宿は、昭和27年(1952)、光太郎も泊まった蔦温泉さん。

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翌日、八甲田山麓を越えて青森市へ。何と、酸ヶ湯温泉では雪。そういえば、当方が行ったとき、市役所の方が「そろそろ八甲田では降るでしょう」とおっしゃっていました。

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その後、黒石を経由して弘前へ、という行程でした。

3本立ての残り2本は、競馬の武豊騎手と、小泉孝太郎さんが、やはり光太郎も泊まった宝川温泉を含む群馬の名湯の数々、フィギュアスケートの村上佳菜子さんで、光太郎智恵子婚約の地・信州上高地。

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偶然でしょうが、光太郎ゆかりの地のオンパレードでした。

テレビ東京さん自体、または系列のBSテレ東さんなどで再放送があるといいのですが……。また、テレ東系でない地方テレビ局でも、いわゆる「番販」の形で、休日の昼間などに放映される場合があり、そうなってほしいものです。

情報が入りましたら、ご紹介します。


【折々のことば・光太郎】

書く事以外に何の求めるところもない竹林の清さが其処にある。それは又竹林のやうな根の強さを思はせる。

散文「永瀬清子詩集「諸国の天女」序」より
 昭和15年(1940) 光太郎58歳

永瀬清子は現在の岡山県赤磐市(当方も一度足を運びましたが実にいいところです。)出身の女流詩人です。

昨夜放映されたTV番組を2本、ご紹介します。

まず、NHK Eテレさんの「びじゅチューン!」。古今東西の美術作品を、愉快なアニメーションと唄で紹介する5分間番組です。光太郎ブロンズ彫刻の代表作「手」(大正7年=1918)をモチーフとした、新作の「指揮者が手」が初披露されました。

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「手」が燕尾服に身を包み、コンサートで指揮者を務めるという、何ともシュールな設定です(笑)。バックには、とぼけた歌詞のゆる~いワルツ。作詞作曲、歌唱、それからアニメーション制作のすべてを、マルチアーティスト・井上涼氏が手がけています。

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右下には光太郎。そして光太郎へのオマージュとして、鯰やレモンが登場。ロダンを肴にした「ランチは地獄の門の奥に」でもそうでしたが、わかる人にしかわからない遊び心が散りばめられています。

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なぜか「手」によるテルミンのソロも。どうも「て」で韻を踏んでいるようです。

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光太郎の紹介もきちんとなされます。詩人としても活躍したこと、ロダンの影響を強く受けたことなど。

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井上氏、この「手」のフォルムが、何かを伝えたいと訴えていると感じたとのこと。そこからのインスパイアなのですね。

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アニメーションは、通常の歌付きバージョン(公式サイトに動画掲載)と、コーラス入りバージョンの2回、流れます。合間に井上氏によるトーク、さらに最後にも井上氏がご登場。「道程」を紹介して終わります。

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来週月曜日、11月5日の早朝5時55分~6時00分と、深夜24時50分~24時55分(11/6未明)に、それぞれNHK Eテレさんで再放送があります。



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柳原白蓮、そして光太郎の師・与謝野晶子の2本立て。晶子の部分は平成23年(2011)放映の「今こそ夫婦のチカラ! ~明治最強カップル 与謝野晶子と鉄幹~」からの使い回しが多かったようです。

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当方もお世話になっている歌人の松平盟子氏のコメント。平成23年のオンエアからの使い回しだそうで。

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さかい利晶の杜 与謝野晶子記念館さんなどに取材した新たな映像も。

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晶子の動画も流れ、興味深く拝見しました。

『明星』に集った若き才能、という部分で、光太郎の名が出るか、と思っておりましたが、そちらは啄木、白秋、吉井勇。

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「びじゅチューン!」に続いてロダン。

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残念ながら、光太郎には触れられませんでした。しかし、なかなか見応えがありました。

こちらも再放送があります。11月3日(土) 、午前10時05分~10時50分、やはりNHK総合さんです。見逃した方、ぜひどうぞ。


もう1点、やはり晶子がらみのTV番組の放映がありますのでご紹介します。平成27年(2015)に放映されたものの再放送だそうですが。 

日本伝統温泉の旅 #5「群馬県 法師温泉 長寿館」

BS12トゥエルビ 2018年11月5日(月)  27時00分~27時30分(11/6未明)

日本は、3000以上の温泉地を持つ温泉大国。私たち日本人は、遥か昔から、大地からの大いなる恵みを楽しみ、愛し続けてきました。日本各地に残る伝統の温泉地を紹介します。

群馬県みなかみ町にある、法師温泉。その昔、弘法大師が発見したのがその名の由来とも言われています。周囲の優雅な自然のもたらす日本情緒が、与謝野晶子ら多くの文人たちにも愛された、伝統ある温泉です。

ナレーション 千葉繁

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群馬県の法師温泉さん。「与謝野晶子ら多くの文人たちにも愛された」とありますが、光太郎も大正末から昭和初めにかけ、4回程訪れています。

そのうち、昭和4年(1929)には、詩人の尾崎喜八とともに訪れ、尾崎が詳細な回想を残しています。当方には未踏の地、いずれ行きたいと思いつつまだ果たしていません。この番組で予習した上で、行ってみようと思います。


テレビといえば、各地のローカルニュースで光太郎の名が出ています。あすはそのあたりを。


【折々のことば・光太郎】

美術と音楽はその領域をまるで異にしながら、即ち内と外、造型把握と内面創造との各自の特質を堅持しながら、しかも全く同一といつていい精神高揚の究極性を持つて居り、相互が相互を拒否しながら養ひ合つてゐるのである。
散文「たのしい望み」より 昭和23年(1948) 光太郎66歳

「びじゅチューン! 指揮者が手」を観つつ、当方も同じようなことを感じました。

テレビ番組の放映情報、2件です。それぞれ、ぜひご覧下さい。 
 2018年10月31日(水) 19時50分~19時55分/ 11月5日(月)  5:55~6:00/24:50~24:55

古今東西の美術作品を井上涼のユニークな発想でうたとアニメーションに。
今回は、高村光太郎の彫刻「手」(東京国立近代美術館所蔵)。この彫刻は、指をやんわり曲げていたり親指が反り返っていたりと、細かいニュアンスを伝えようとしているみたいに見える。これは、オーケストラを動かす指揮者なのかもしれない!
「て」という音を効果的に取り入れた歌詞で、左手一本で音楽を自由にあやつる孤高の指揮者を歌う。

出演 井上涼  声 ジョリー・ラジャーズ

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古今東西の美術作品を脱力系のアニメーションと唄でいじる5分間番組です。平成27年(2015)には、光太郎が敬愛したロダンの「地獄の門」をモチーフにした「ランチは地獄の門の奥に」が放映されました。

公式サイトでは過去の放映作品の唄の部分がすべて見られますが、どれもこれも笑えます。光太郎の「手」が、どう料理されるか楽しみです。


もう1件。直接光太郎には関わりませんが。 

歴史秘話ヒストリア「新発見!晶子と白蓮 情熱の女たち」

NHK総合 2018年10月31日(水)  22時25分~23時10分
     再放送 11月3日(土) 10時05分~10時50分

今夜の主人公は、情熱の歌人・与謝野晶子と柳原白蓮。連続テレビ小説『花子とアン』で脚光を浴びた白蓮は、大正時代、意に染まぬ夫への「絶縁状」を新聞紙上に発表して駆け落ちを決行、世間の常識に立ち向かう。今年生誕140年を迎える晶子も、女性の情念を大胆にうたった作品を世に問い、さらに自立した女の生き方を実践した。新発見の歌や未公開の動画もまじえ、思うままに恋をし、力強く生きた、2人のりりしい姿を描く。

出演 原沙知絵 袴田吉彦  キャスター 井上あさひ

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光太郎の師・与謝野晶子が取り上げられます。


晶子といえば、先週土曜日(10/20)、NHK Eテレさんで放映された「第48回 NHK講談大会」で、神田陽子さんが「炎の歌人 与謝野晶子の生涯」を演じられました。

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今年6月には、チバテレさん他で放映された「浅草お茶の間寄席」で、同じ神田一門の神田京子さんがこれを演じられました。定番の演目なのですね。


先週のNHKさんといえば、BSプレミアムさんで放映されている「にっぽん縦断 こころ旅」。俳優の火野正平さんが自転車で日本各地を廻る番組です。19日(金)の放映では、花巻を訪れられました。

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その中で、光太郎が戦後の7年間を過ごした旧太田村の法音山昌歓寺さんが大きく取り上げられました。光太郎もたびたび訪れた古刹です。光太郎は観音像を彫る依頼を受けながら果たせず、その歿後、光太郎に代わって、交流のあった彫刻家・森大造が代作しました。

公式サイトから。

東京・府中の李 淳子さんのご両親は、昭和の初め頃、朝鮮半島から日本に渡り東京に住んでいました。しかし戦争が激しくなり、家族全員で疎開したのが岩手県花巻市。淳子さんは地元の小学校に通い、友だちと遊んだのが昌歓寺です。戦後もしばらく花巻で暮らし、その後両親は朝鮮半島へ戻り、両親と会うことができなかったと言います。家族・兄弟の思い出の地、花巻。そのランドマークともいえるのが昌歓寺。そこが淳子さんの「こころの風景」になりました。再訪したくとも高齢のため行けないという淳子さんのために、正平さんは花巻城址を出発して秋色に染まった北上盆地を走ります。

この番組は、火野さんが、視聴者の方から寄せられた「ずっと残したいふるさとの風景」に関するお手紙で紹介された場所に行く、というコンセプトで、番組の最初と最後に火野さんがお手紙を朗読なさいます。今回のお手紙がこちら。光太郎と同じ時期に旧太田村に疎開されていた東京在住の方から。光太郎にも触れて下さっています。

 正平さん、おはようございます。番組をいつも楽しみにしています。
 私の心に残る風景は岩手県花巻市太田にある昌歓寺(しょうかんじ)です。
 昭和のはじめの頃、朝鮮半島から日本に移り住んだ両親は東京に居を構え、私たち子供8人をもうけ大家族で暮らしていましたが 戦争が激しくなるとともに家族全員を連れ岩手県花巻市に疎開しました。私が小学生の頃でした。
 戦争が終わった後もしばらく当地にとどまり、私は高校時代までを花巻で育ち過ごしました。
 勝手のわからない土地で8人の子供たちを養うのでさえ大変なのに ましてや戦時中皆が窮乏した時代です、両親の苦労はいかばかりであったことかと思います。
でも、家族思いの両親のもとで兄弟仲良く過ごし、また地元の学校でできた友達たちとも仲良くなり、戦争を避けるための疎開先とはいえ、岩手時代のことは楽しい思い出ばかりです。
その当時の思い出の場所が昌歓寺です。
 私たちが通った太田小学校の近くにあり、友達たちと立ち寄っておしゃべりに花を咲かせたりしました。
また、詩人の高村光太郎さんも当時こちらに疎開されており、高村さんを慕って訪ねてくる多くの学生が昌歓寺を宿にして滞在していました。
 歴史の古いお寺ですが、今で言えば太田のランドマークのような場所であったと言えるかもしれません。
 戦後 世の中も落ち着きを取り戻し、私たちの家族も東京に戻りましたが、私が主人と結婚した年に、両親は隣国でのままならぬ暮らしに終止符を打とうと、朝鮮半島に戻りました。
 必ずしも容易でない時代環境のもとで、その後 両親と存命中に再会することは叶いませんでした。まだ二十代で両親と別れることになった私には、花巻は両親や兄弟との思い出の土地です。
 仲良く温かった家族の思い出、そしてその土地の象徴であるような昌歓寺。
 私はお陰様で子供たちに恵まれ、今年90歳を迎える主人と平穏な日々を送っています。ただ遠出は難しい状況です。
どうか正平さん、私の家族の思い出の土地、花巻市太田と昌歓寺に訪ねていって頂ければ、心から嬉しく思います。
 宜しくお願いします。

花巻市街を出発された火野さん、リンゴ畑やお手紙の主が通われていた太田小学校などを経由し、昌歓寺さんを目指します。

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その後、もう少し足を伸ばせば光太郎が7年間暮らした山小屋(高村山荘)なのですが、そちらには行かれなかったようで、残念でした。

「第48回 NHK講談大会」ともども再放送を期待しますし、未公開映像の特別編なども時折放映されていますので、そうした中で光太郎ゆかりの地が取り上げられてほしいものです。


さて、「びじゅチューン」、「歴史秘話ヒストリア」、それぞれご覧下さい。


【折々のことば・光太郎】

馴れきれないものは失策する。馴れきれるものは瞞着するのである。

散文「豊島与志雄氏著「猫性語録」」より 昭和13年(1938) 光太郎56歳

猫が持つ肉食獣としての野生の夢想に自己を仮託した、豊島与志雄の随筆集『猫性語録』評から。自身も連作詩「猛獣篇」を書き、荒ぶる野生の魂を自己内部に見いだしていた光太郎、共感を持って同書を捉えています。

ラジオ番組とテレビ番組の情報です。 

サマースペシャル「まだまだ夏は終わらない!篠原ともえの安達太良山ガール計画」

TOKYO FM 2018年8月24日(金)00120:00~20:55

篠原ともえが福島県の安達太良山を旅する特別番組 東京FMサマースペシャル「まだまだ夏は終わらない!篠原ともえの安達太良山ガール計画」がオンエアされます!

安達太良山周辺の渓谷や温泉に癒やされ、 福島の美味しい食材を使ったBBQを堪能♪ぜひ山ガールな篠原さんと大地の恵みを感じる旅をお楽しみください☆

出演 篠原ともえ 他

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FM放送なので聴取可能地域が限定されますが、とりあえず。また、当方、ほとんど使ったことがありませんが、ラジコなどのサイト、スマホアプリを使えばインターネットでも聴けるはずです。


もう1件、こちらはテレビのBS放送。

プレミアムカフェ選 名作紀行(1)寺山修司(2)石川啄木(3)高村光太郎

NHKBSプレミアム 2018年8月29日(水)  9時00分~10時23分 
再放送        2018年8月29日(水) 24:45~26:08(=30日(木) 0:45~2:08)

(1) 名作をポケットに 寺山修司   田園に死す 
旅人:萩原朔美  語り:本和之 (初回放送:2002年)
(2) 名作をポケットに 石川啄木   一握の砂
旅人:谷啓  語り:久保田茂 (初回放送:2002年)
(3) 名作をポケットに 高村光太郎 智恵子抄
旅人:山本容子  語り:山本和之 (初回放送:2001年)

スタジオゲスト 澤口たまみ   スタジオキャスター 渡邊あゆみ

今年3月にも、全く同じ内容の放送がありました。過去のNHKさんの番組から、再放送の要望が高かったものをセレクトして再放送するものです。

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「シリーズ東北を旅する」ということで、寺山修司、石川啄木、そしてわれらが光太郎。3本まとめての放映です。

光太郎編のナビゲーターは、版画家の山本容子さん。

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智恵子の故郷・二本松(初回放映当時は安達町)を訪れ、光太郎智恵子に思いを馳せます。

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なかなか見応えがありました。スタジオでのトークを含め、光太郎編で30分ほどです。

ぜひご覧下さい。

ちなみに8月25日(土) 12:00~13:30 には、「新・BS日本のうた選 神奈川県座間市」の再放送があります。森昌子さんによる「智恵子抄」が流れます。


【折々のことば・光太郎】

詩はいかなる時にも純粋でなければならぬ。濁りにも純不純があるのである。純粋といふ事は感じ方にも、表現の技術にも、又知性のはたらきにもある。純粋のものは人の心を捉へる。それは詩の中核を成す。高低深浅の差があつても、しかも其は一様に耳を傾けしめる。

散文「雑誌『新女苑』応募詩選評」より 昭和14年(1939) 光太郎57歳

なるほど、確かに光太郎詩の「純粋さ」に、当方は心惹かれます。

テレビ放映情報を2件。 

新・BS日本のうた選 神奈川県座間市

NHKBSプレミアム 2018年8月19日(日)  19時30分~20時59分

今回は2016年8月7日に放送した回の再放送です。スペシャルステージは北島三郎&藤あや子▽藤が北島のあの名曲に挑戦!「与作」と民謡のコラボレーションも披露!

「もう一度逢いたい」「味噌汁の詩」「智恵子抄」「私が生まれて育ったところ」「夜空ノムコウ」「他人船」「奥入瀬」「不思議なピーチパイ」「帰らざる日々」「男の背中」。

スペシャルステージは「兄弟仁義」「博多の女」「加賀の女」「函館の女」「矢切の渡し」「長崎の鐘」「夕霧岬」「男の勝負」「与作~秋田草刈唄入り~」。イマオシ!は西方裕之、森昌子、千昌夫、北島三郎&藤あや子。

出演
北島三郎,藤あや子,森昌子,八代亜紀,千昌夫,山本譲二,タイムファイブ,多岐川舞子,西方裕之,増位山太志郎,松川未樹,森恵,川上慎一,田中彰,遠山敦,青木智平,石塚勇,加藤秀和,福本えみほか

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一昨年、やはりBSプレミアムさんで2回放映されたものの再々放送です。

森昌子さんが、昭和39年(1964)、2代目コロムビアローズさんの歌唱でリリースされた「智恵子抄」(丘灯至夫作詞・戸塚三博作曲)をカバー。CD等には入っていないようですが、森さん、この曲を持ち歌にされ、たびたび歌われています。


もう1件。 

校歌を訪ねて「第87回 福島県川内村立 川内中学校」

BS-TBS 2018年8月18日(土)  16時54分~17時00分

誰にでもある小学校や中学校の校歌の思い出。この番組は東日本大震災の被災県を中心に小中学校の校歌を紹介します。

今回ご紹介する学校は福島県川内村立川内中学校。川内村は、大震災の被害はほとんど無かったものの原発に近かったことから、全村避難を余儀なくされました。1年後、帰村は果たしましたが子どもたちの帰村率は少ないのが現状です。子どもたちも川内村に注目を集めようと、現在の中学3年生が小学6年生の時に役場にマラソン大会の開催を提案。現在も「川内の郷にかえるマラソン」として県外にも知られるイベントととなって続いています。そんな川内村で有名なのが、モリアオガエルの繁殖地として、国の天然記念物に指定を受けてる「平伏沼」。そしてそのモリアオガエル目当てにこの村を訪れたのが、カエルの詩人として知られる草野心平。名誉村民になるほど川内村を愛した草野心平が川内中学校の校歌の作詞を担当しました。番組ではそんな草野心平が作詞をした川内中学校の校歌を、全校生徒の斉唱でお届けします。

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当会の祖・草野心平作詞による川内中学校校歌が紹介されます。

この番組では、昨日もご紹介した「いのちの石碑」がらみの宮城県女川町立女川中学校さんの校歌(佐藤成晃作詞)も取り上げられましたし、このブログでは紹介しませんでしたが、平成27年(2015)10月の第一回放映で取り上げられた双葉中学校さんはじめ、心平作詞の校歌もいくつか放映されています。

心平を名誉村民に認定して下さり、今も心平を偲ぶ「天山祭」等を実施して下さっている川内村ということもあり(ちなみに今回は川内中学校さんですが、川内小学校さんの校歌は「智恵子抄」作詞の丘灯至夫氏です)、ぜひご覧下さい。


【折々のことば・光太郎】

気どることもいらないし、自負することもいらないし、自卑することもいらない。ありのままを露呈して自己の全力を尽すのみだ。淘汰はあとで歳月がしてくれる。自己天性の真諦さへ究め得れば、詩人の存在理由は十分にある。一人に極まることは万人に極まることだ。

散文「詩人も一兵である」より 昭和18年(1953) 光太郎61歳

一人に極まることは万人に極まること」は、昭和15年(1940)の随筆「智恵子の半生」中の「一人に極まれば万人に通ずる」と照応します。

とりあえずは「歳月」の「淘汰」を免れている光太郎。今後もその名を永遠に留めるべく、努力していきたいと存じます。

光太郎と関わった人物に関わるテレビ放映情報です。 

びじゅチューン!「ランチは地獄の門の奥に」

NHK Eテレ
 2018年6月9日(土) 16:05~16:10 / 6月11日(月)  5:55~6:00/24:50~24:55
世界の有名な美術作品をユニークに解釈、うたとアニメーション(by井上涼)で贈る「びじゅチューン!」。今回はロダンの彫刻『地獄の門』が発想の源。門に群がる人々は、悲しそうだったり苦しそうだったり…何があったのかな?…お昼ごはんが買えなかったのかな?…と想像をふくらませた井上。『地獄の門』の扉の向こうにあるスーパーに群がる群像劇を、作品のテーマになったダンテの言葉もおりこみながら曲にした。

出演 井上涼   声 ジョリー・ラジャーズ

古今東西の美術作品をおちょくった、もとい、トリビュートしたオリジナルソングを、脱力系のアニメーションに載せて送る「びじゅチューン」。観ようと思って観たことはほとんどありませんが、流れているとついつい引きこまれ、そのたび腹を抱えてしまいます。

ロダンの「地獄の門」をおちょくった、もとい、トリビュートした本作は、平成27年(2015)に初回放映。

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門に散りばめられた彫刻群の数々に、思わず笑ってしまいました。

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左上から、「考える人」、「三つの影」、「接吻」、「去りゆく愛」、「ウゴリーノ」、「オルフェウスとマイナスたち」。すべて正解できたら、あなたも立派なロダンフリークです(笑)。常に画面右下にいるロダン先生も喜ぶでしょう(笑)。日本で最初のロダンフリーク・光太郎がこれを見てどういう感想を持つか、興味深いところですが(笑)。


もう一つ、ロダンがらみでやはりNHK Eテレさんの短編アニメーション。 

ヨーコさんの“言葉” 第26話「神の手」

NHK Eテレ 2018年6月12日(火) 22時45分~22時50分

絵本の読み聞かせスタイルで絵本作家・佐野洋子さんのメッセージを伝えます。なにごとも感じたまま、飾らず、へつらわず、真正面から捉えるたたずまい。 「ヨーコさん」の胸がすくような言葉で、元気と勇気がわいてくる5分間です。

「多分ロダンもモーツァルトも特別な『手』を持っていたにちがいない。才能も努力も超えたものが、その手を通してだけ特別な力として流れ出たにちがいないと思います。凡人は人並みになるためにわずかな才能を努力して生きてゆくように、神は人を作ったにちがいない。たまにある魔法の手は神様の間違いなのだと思います」。元気と勇気がわいてくる5分間です。

文・佐野洋子  絵・北村裕花  語り・上村典子

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ヨーコさんの“言葉”」、伝説的とも言える絵本「100万回生きたねこ」(昭和52年=1977)の作者にして、平成22年(2010)に亡くなった佐野洋子さんの文章を元にした短編アニメーションです。

こちらも再放送で、初回放映は平成28年(2016)でした。ミシンでの裁縫は苦手だけれど、別にきちんと習ったわけでもない生け花にすごい才能も持つ友人、別の友人は実業家として成功しつつ、料理の腕はまるで駄目、さらに別の友人は、佐野さんが体調を崩した際に肩に手を置いてくれ、それで佐野さんは劇的に癒され……そしてロダンなど、時々「神の手」を持つ人物も現れる……。「手」の持つ不思議な一面に関するお話です。


もう1件。キーワード「与謝野晶子」でヒットしています。 

浅草お茶の間寄席

チバテレ 2018年6月10日(日) 18時05分~19時00分

誰もが知っている師匠から人気の若手芸人まで多数登場。浅草演芸ホールから大爆笑の高座をお届けします。浅草のグルメ情報も必見です。

【内容】 神田京子 「炎の歌人 与謝野晶子」、新山ひでや・やすこ 、宮田章司

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チバテレさんでの放映なので、千葉県内と隣接県の一部でのみ視聴可能です。調べてみましたところ、とちぎテレビさん、神奈川のtvkさん、三重テレビさんでも同じ番組の放映があるようですが、それぞれ放映時期がずれているようで、直近の放映では違う内容になっていました。

講談師の神田京子さんによる「炎の歌人 与謝野晶子」が演目に入っています。神田さん、あちこちでこれを上演されているようです。

もともと講談は、軍記物や政談などを扱うジャンルですので、歴史上の偉人の生涯などでも新作が作られています。同じ神田一門の神田紫さんという方が、10年ほど前に「智恵子・光太郎」を演じられ、智恵子の故郷・二本松でも高座がありました。


こうした二次創作も、大事なアプローチと思います。ぜひ御覧下さい。


【折々のことば・光太郎】

彫刻家ロダンの素描が、従来の手法を破つて、所謂ロダン流の縦横自在な、流氷の波紋のやうな線によつて、生きた人物の生命を描き出した事は余り知れすぎてゐる。

散文「ベローヌ(ドライポイント)」より 昭和5年(1930) 光太郎48歳

文章自体は、素描ではなく版画に関するものです。ロダンはドライポイントによる版画も遺しています。

「流氷の波紋のやうな線」という表現が、いいですね。

テレビ放映情報です。

TOKYOディープ!「山の手と下町 ふたつの記憶が残る街 千駄木」

NHK BSプレミアム 2018年5月21日(月)  12時00分~12時30分

千駄木は山の手と下町、ふたつの顔を持つ。かつて財閥当主が住んだ、ため息が出るほど美しい屋敷。現在は地元ボランティアによって守られている。元従軍看護婦たちが使っていた蔵。今は映像や音声など、地元住民の“記憶”を保管するために使われていた。その蔵で、千駄木の和菓子屋が作った貴重なアニメを拝見。千駄木には“本の街”という顔も。月に1回ほどライブを開く古書店や、「製本カフェ」というユニークな店などを紹介。

【出演】篠原ともえ 【語り】モト冬樹

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先週、5月14日(月)夜に本放送がありまして、再放送です。

光太郎をはじめ、多くの文豪が暮らした街という紹介をして下さいました。

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もっとも、「光太郎をはじめ」ではなく、「夏目漱石、森鷗外をはじめ」で、光太郎はその他大勢扱いでしたが(笑)。

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画面片隅には、智恵子がらみの「『青鞜』発祥の地」も。

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ナビゲーターは、篠原ともえさん。

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さらに番組前半では、伝説の地域雑誌『谷中・根津・千駄木』(通称『谷根千』)を作られていた山﨑範子さんもご出演。同誌では繰り返し光太郎、光雲、智恵子を取り上げて下さり、当方、バックナンバー10冊ほど所蔵しております。

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昨年文庫化された、『『青鞜』の冒険 女が集まって雑誌をつくるということ』や、『「谷根千」地図で時間旅行』などの著者・森まゆみさんも『谷根千』中心メンバーでしたので、昔の映像の中にご登場。

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山﨑さんのご案内で、光太郎の実家である髙村光雲・豊周邸に隣接する旧安田楠雄邸が大きく取り上げられました。

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また、山﨑さんの現在の活動拠点である「記憶の蔵」。『谷根千』編集時に集めた資料などが保管されており、現在、一般公開に向けて準備中だそうです。公開されたら真っ先に行ってみようと思いました。

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その他、団子坂を下りて下町エリアに入ると、千駄木は「職人の街」でもあるということで、女性の職人さんが活躍する左官屋さん、不思議な取り合わせのパン屋さん兼花屋さんなどが登場、最後に「本の街」ということで、音楽ライブを営業中に開催する古書店さん、特徴的な配架をなさっている新刊書店さん、クラウドファンディングで製本機を購入したカフェさんなども紹介されました。

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まさにさまざまな文化の部分で「ディープ」。篠原さんも感心しきりでした。

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ぜひ御覧下さい。


【折々のことば・光太郎】

笑うなら笑いが天の美ろくであるように、泣くなら涙が夜明けの露であるようにと切に思う。

散文「私のきいた番組」より 昭和30年(1955) 光太郎73歳

ラジオ放送に関する評論です。出演者の声調や、ラジオでの詩の朗読など、多方面に話題が及びます。そして番組の中で、「むやみと卑屈に笑う人が多いのは病的なものを感じさせる」、「世にいう豪傑笑いというものも多く心の強さをあらわさないで心の空虚さを示す」、「われわれは小泉八雲もいつた通り少し不可解に笑いすぎる」などといった部分の後に出て来るフレーズです。

現今の、特にバラエティー系のテレビ番組がまさにそうですね。ただ、BS放送等の充実で、「TOKYOディープ!」のような落ち着いた番組も増え、ありがたいところではあります。視聴率は取れないのでしょうが、こうした良質な番組が絶えることの無いようにしていただきたいものです。

テレビ放映情報です。

ぶらぶらぶらぶら美術・博物館▽横浜美術館「NUDE」展~ヌードは挑戦だ!裸体表現の変遷

BS日テレ 2018年5月1日(火) 21時00分~22時00分

誰もが一度は目にしたことがある古今東西の名画・彫刻・文化財を、時空を超えた“ライブなお散歩感覚"で体験します。作品の背景・エピソードを知れば、美術博物は身近で楽しいものに!名解説者・山田五郎、おぎやはぎと一緒にぶらぶらしよう!

英国国立美術館テートからロダンの「接吻」はじめ、マティスやピカソなど巨匠たちが“ヌード"を表現した傑作が来日! かわいい動物と触れ合える「オービィ横浜」も紹介。

出演者 山田五郎 おぎやはぎ(小木博明、矢作兼) 高橋マリ子

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先週放映された、NHKさんの「日曜美術館」でも取り上げられた、光太郎が敬愛していたロダンの「接吻」大理石像を目玉とする、横浜美術館さんで開催中の「ヌード NUDE  ―英国テート・コレクションより」展がメインです。


その「日曜美術館」の再放送もありますので、ご紹介しておきます。

日曜美術館 ヌードがまとうもの~英国 禁断のコレクション~

NHK Eテレ 2018年4月29日(日) 20時00分~20時45分

テーマはヌード!イギリスの国立美術館・テートの所蔵作品が登場。初来日となるロダンのなまめかしい石像から、風景画家ターナーが生涯、隠し続けた作品まで続々、見参。

横浜美術館で開かれている、ヌードをテーマとした展覧会。美の象徴として、愛の表現として、内面を映し出す鏡として、芸術家たちが挑み、形とした作品がずらり。ゲストの作家・島田雅彦らが、存分にヌードを語る。19世紀末に、そのなまめかしさを激しく批判され、描き直したミレイの「ナイト・エラント」、そして若き日の留学中にその実物を見て衝撃を受けた日本画の大家・下村観山が模写した作品も登場する。

司会  小野正嗣 高橋美鈴
ゲスト 島田雅彦(作家・法政大学教授)  長谷川珠緒(横浜美術館学芸員)
出演  小尾修(洋画家) 大植真太郎(ダンサー) 森山未來(俳優・ダンサー)
    平原慎太郎(ダンサー)


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やはり目玉の作品だけあって、最初に大きく取り上げられました。

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昨年公開されたフランス映画「ロダン カミーユと永遠のアトリエ」で描かれた、ロダンとカミーユ・クローデルの禁断の愛も紹介されました。

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併せて御覧下さい。


再放送といえば、こちらも。

にほんごであそぼ

NHK Eテレ 2018年4月27日(金)  6時35分~6時45分/17時00分~17時10分

2歳から小学校低学年くらいの子どもと親にご覧いただきたい番組です。日本語の豊かな表現に慣れ親しみ、楽しく遊びながら“日本語感覚”を身につけることができます。今回は、花鹿亭/「テスト」瀧川鯉八、ここで名文/僕の前に道はない…「道程」高村光太郎野村萬斎/ややこしや「まちがいの狂言」高橋康也、百人一首/かくとだにえやはいぶきのさしも草…(藤原実方朝臣)、名文を言ってみよう!/春はあけぼの、歌/蜘蛛の糸

出演 美輪明宏 野村萬斎 野村裕基 うなりやベベン 瀧川鯉八 ほか

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坂本龍一さん作曲の「道程」が、おおたか静流さんの歌で流れました。


もう1件。 

新・BS日本のうた「五木シェフの歌声レストラン!全員参加で新鮮ソング三昧」

NHK BSプレミアム 2018年4月28日(土) 12時00分~13時30分

お料理ミュージカル!? 歌う!踊る!注目の歌手が赤丸急上昇の新曲を持ち寄ってレストランは大賑わい▽童謡誕生100年・菅原洋一の心の歌▽“待ってました!”のあの名曲

 古今東西名曲特選
「夜明けのブルース」「熊野古道」「かえりの港」 智恵子抄 「柳ヶ瀬ブルース」「夫婦舟」「X+Y=LOVE」「北へ帰ろう」「恋歌酒場」
名曲の輝き
「揺藍のうた」「赤とんぼ」「この道」
スペシャルステージ
「家へおいでよ(カモナマイハウス)」「ミネソタの卵売り」「ジャンバラヤ」「味噌汁の詩」「港町 涙町 別れ町」「契り」ほか。

司会 小松宏司
出演 一条貫太 五木ひろし 小沢あきこ 冠二郎 菅原洋一 瀬口侑希 中澤卓也 野村美菜 はやぶさ 藤原浩 松前ひろ子 水森かおり ミッツマングローブ

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三代目コロムビア・ローズ改め野村美菜さんによる「智恵子抄」。

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智恵子の故郷・旧福島県安達町(現・二本松市)の皆さんのソウルソングです。作詞は二本松にほど近い小野町出身の故。・丘灯至夫氏。ソウルマウンテン安達太良山も歌い込まれています。ソウルフード「ざくざく」は入っていませんが(笑)。


それぞれ、ぜひ御覧下さい。


【折々のことば・光太郎】

素より人間生活の全部を趣味といふやうな事ばかりで掩ふ事はなかなか出来ません。しかし又趣味のない人間生活、乃至は趣味の低い人間生活ほど惨憺たるものはありますまい。趣味の無い所には醜悪が必ず潜んで居り、憫む可き滑稽が必ず伏在してゐるやうに思はれます。

散文「趣味といふ事」より 明治45年(1912) 光太郎30歳

ここでいう「趣味」とは、「趣味は読書です」などの、「仕事・職業としてでなく、個人が楽しみとしてしている事柄」という意味ではなく、「趣味がいい」、「悪趣味」といった、「どういうものに美しさやおもしろさを感じるかという、その人の感覚のあり方」の意です。

いわば「花より団子」の「花」でしょうか。

昨夜、NHK BSプレミアムさんの「にっぽん百名山 安達太良山」の放映があり、拝見しました。

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同じ番組で、平成27年(2015)にも安達太良山が取り上げられまして、その際には「智恵子抄」にからめ、光太郎智恵子の紹介が約2分間。そちらは紅葉シーズンのロケでしたが、今回は雪の残る3月。今回も「ほんとの空」の下にそびえる山、的な紹介をして下さいました。

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あとは、山岳ガイド・五十嵐潤さんのナビゲートによる1泊2日の行程。

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3月とはいえ、まだまだ本格的な雪山です。

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しかし、動植物など、そここに春の気配も。

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掛け流しの温泉があるくろがね小屋、それから岳温泉やそこをつかさどる湯守の皆さんの紹介も。

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満天の星、霧氷。高山ならではですね。

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雪原を過ぎ、智恵子が麓の旧油井村(現・二本松市)で油井小学校に通っていた明治33年(1900)の噴火口跡の沼ノ平を横目に、山頂へ。

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山頂からは、昭和8年(1933)、山腹で智恵子が「わたしもうぢき駄目になる」と呟いた磐梯山も望めます。

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来月には、山開き。また近くなりましたらご紹介します。

再放送がありますので、見逃した方、ぜひご覧下さい。 

にっぽん百名山「安達太良山」

NHK BSプレミアム  2018年4月16(月) 12:30~13:00 

3月、雪の残る福島・安達太良山(1700m)で、ウサギやリスなど春を待つ生き物の息吹に触れ、山のいで湯を堪能。さらに「霧氷」など雪山ならではの風景に出会う。

雪山の初級コースとして人気の福島・安達太良山(1700m)。早春3月、出発はあだたら高原スキー場の登山口から。雪の残る森を進み、鳥の巣作り、ウサギの足跡、リスの食べかすなどを次々と発見。山小屋で一泊し、源泉かけ流しの温泉と満天の星空を楽しむ。山頂までの斜面では雪山ならではの風景である霧氷を堪能。山頂からは磐梯山、吾妻連峰など東北の名峰を望む。また雪山で温泉の通り道を守る人々の営みを紹介する。

出演 五十嵐潤    語り 鈴木麻里子 高塚正也


ついでと言っては何ですが、もう1件、テレビ放映情報を。

にほんごであそぼ

NHK Eテレ 2018年4月13日(金)  6時35分~6時45分
再放送    4月13日(金) 17時00分~17時10分  4月27日(金) 6時35分~6時45分/17時00分~17時10分

2歳から小学校低学年くらいの子どもと親にご覧いただきたい番組です。日本語の豊かな表現に慣れ親しみ、楽しく遊びながら“日本語感覚”を身につけることができます。今回は、花鹿亭/「テスト」瀧川鯉八、ここで名文/僕の前に道はない…「道程」高村光太郎野村萬斎/ややこしや「まちがいの狂言」高橋康也、百人一首/かくとだにえやはいぶきのさしも草…(藤原実方朝臣)、名文を言ってみよう!/春はあけぼの、歌/蜘蛛の糸

出演 美輪明宏 野村萬斎 野村裕基 うなりやベベン 瀧川鯉八 ほか


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光太郎詩の代表作「道程」が取り上げられます。以前も取り上げられましたが、同じ映像か、新作か、不明です。

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こうした番組を通じて、「道程」が世の中から忘れられかけている現状に、歯止めがかかってほしいものです。


【折々のことば・光太郎】

彫刻の意義は人体を人体らしく作り、情景を情景らしく表現する程度のところには断じて存在しない。もつと深い彫刻美の、のつぴきならぬ、みつちりした、有機的つながりを主題と表現との間に持つ特質の中にある。

散文「第四回文展彫刻評」より 昭和16年(1941) 光太郎59歳

明治期の青年時代と比べても、光太郎の彫刻観がぶれていないことに、ある意味、驚かされます。

次の日曜日が3.11ということで、各種メディアが東日本大震災特集を組んでいます。甚大な被害を受けた被災地の一つ、光太郎が昭和6年(1931)に『時事新報』の依頼で紀行文執筆のために訪れ、それを記念する高村光太郎文学碑が建てられ、そして「女川光太郎祭」を毎年開いて下さっている宮城県女川町関連のテレビ放映をご紹介します。 

3.11震災特番 2018(仮)

地上波フジテレビ 2018年3月11日(日)  13時00分~15時10分 

逃げた場所で命を落とした人々、指示やマニュアルに従ったのになぜ命を落としたのか?津波による「生死の分かれ目」を検証。坂上忍が生存者の証言で流した涙。

今なお各地で連続的に地震が発生している地震大国・日本において、もし今巨大地震が来たら、どこへ避難するのか。東日本大震災で東北を襲った津波で生死を分けたのは、まさに“避難"のあり方だった。避難とは何か?当時の映像と住民への取材から検証する。さらにいつ起きるかわからない関東大震災、南海トラフ地震、北海道沖巨大地震など、今後発生するといわれている大地震に備えて、東京、大阪、北海道など全国の住民の認識や現状を取材し、避難対応を考える。首都圏は雪だけで交通インフラがまひするなど、脆弱な状態にもかかわらず、もしここに津波が来たらどこへ避難するのか?「もしも」の時のあなたの避難場所について考えるきっかけを提供する。 さらに、福島県産の野菜を7年たった今も避ける人たちがいるなど、今なお続く“福島差別"ともいわれる現象の実態も追います。また、番組内では今年もドキュメンタリー「わ・す・れ・な・い」シリーズをお送りします。命を失う“避難"と助かる“避難"について石巻市と女川町、それぞれの避難を検証し、また高知県で現在行われている津波避難訓練のようすも取材しています。

出演者  坂上忍   伊藤利尋/椿原慶子(フジテレビアナウンサー)  山村武彦(危機管理アドバイザー)


もう一つ。 

サンマとカタール 女川つながる人々

BSジャパン 2018年3月11日003(日)  14時30分~15時54分

壊滅的な被害を受けた宮城県女川町の復興5年目を追う!前向きに生きる力を映像に込めた感動のドキュメンタリー。今だからこそ伝える5年間の想いに心が熱くなる ! (2016年)


東日本大震災から5年。住民の1割近くが犠牲となり、8割近くが住まいを失った宮城県女川町は今、目覚ましく復興し、新しい町に生まれ変わるために力強く歩んでいる。人々はどうやって立ち上がったのか?そして中東カタールの関わりとは? 復興5年目の女川町で生きる人々を約2年撮影したドキュメンタリー。女川町の復興の軌跡、切なくて強い人間の底力に迫ります。

ナレーション  中井貴一


サンマとカタール」は、一昨年公開されたドキュメンタリー映画です。テレビ放映はやはり一昨年に続き、おそらく2度目。DVD化も為されています。


他にも女川町がらみの内容となる番組があると思いますが、現在、ネットの番組検索でヒットするのはこの2件です。

それぞれぜひご覧下さい。


【折々のことば・光太郎】

須菩提の美しさで殊に目立つのは右肩から下の垂直に近い体躯の線と、左側の少しばかりの変化ある衣紋との対照から起る微妙な傾きの姿勢である。それが際だたぬやうに出来てゐて、何となく重くない、凝滞しない、解空の感を与へる。観る者の心が軽くなる。

散文「十大弟子」より 昭和19年(1944) 光太郎62歳

「十大弟子」は、釈迦の高弟10人を指し、「須菩提」はその一人です。ここでは奈良興福寺に現存する6体の乾漆十大弟子像(国宝)を取り上げ、その良さを解説しています。同時に、光太郎の目指した彫刻の在り方がよく表れてもいます。

テレビ放映情報です。 

三宅裕司のふるさと探訪~こだわり田舎自慢~▽福島県二本松市の旅

BS日テレ 2018年3月6日(火) 21時00分~22時00分

この番組は、東京で暮らす地方出身の方や、地方で暮らす皆さんから番組あてに寄せられた“こだわり田舎自慢"を確かめるべく、三宅裕司が日本中を訪れます。その土地の人の温かさや美味しい料理、素敵な景色などに触れながら、時には毒舌、時には爆笑ののんびり・ふれあい旅。

…今回は福島県二本松市。子供の頃からある丸い羊羹! 提灯祭りに食べる「ざくざく」? 稚児舞台の絶景!

出演:三宅裕司    ナレーター:屋良有作

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智恵子の故郷、福島二本松が扱われます。番組紹介の中に、光太郎智恵子の名がありませんが、話の枕にでも取り上げていただきたいものです。


もう1件。 

プレミアムカフェ 名作紀行 (1)寺山修司 (2)石川啄木 (3)高村光太郎

NHK BSプレミアム 2018年3月7日(水)  9時00分~10時25分  
再放送  24時45分~26時10分(=3月8日 午前0時45分~2時10分)

(1) 名作をポケットに 寺山修司   田園に死す 旅人:萩原朔美 語り:本和之 (初回放送:2002年)
(2) 名作をポケットに 石川啄木   一握の砂   旅人:谷啓 語り:久保田茂 (初回放送:2002年)
(3) 名作をポケットに 高村光太郎 智恵子抄   旅人:山本容子 語り:山本和之 (初回放送:2001年)

“NHK BSの あの番組をもう一度見たい!”
そんなアナタの思いにこたえて、過去のBSの名番組をゲストと共に楽しむのがプレミアムカフェ。
皆さんも、是非リクエストして下さい!

スタジオゲスト 澤口たまみ   スタジオキャスター 渡邊あゆみ

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こちらは平成13年(2001)6月11002日に初回放映があったものの再放送です。これは存じませんでした。

ナビゲーター役は銅版画家の山本容子さん。智恵子をモチーフにした者を含む『婦人公論』の表紙絵を集めた『女・女』(平成16年=2004 中央公論社)、同25年(2013)には雑誌『本の話』の表紙絵集『山本容子のアーティスト図鑑 100と19のポートレイト』(文藝春秋社)を上梓なされ、同27年(2015)には、銀座のノエビア銀座ギャラリーさんで「山本容子のアーティスト図鑑」展を開催。こちらは拝見して参りました

初回放映を見ていないので、「智恵子抄」ゆかりの地のうち、どこが紹介されるか不明ですが、流れ的に青森の寺山修司、岩手の石川啄木と来ていますので、やはり福島だろうかと思いますが、何とも言えません。

右の山本さんの作品は九十九里浜、上記番組公式サイトからの画像は「レモン哀歌」で、東京品川ですが。

いずれにせよ、ぜひご覧下さい。


【折々のことば・光太郎】

人は其の与へられた形式以外の眼を以て自然を観る事が出来ず、出来てもそれを再現するものではないといふ不文律を心の中につくつてしまふのである。
散文「本邦肖像彫刻技法の推移」より 昭和16年(1941) 光太郎59歳

飛鳥時代以来、千数百年の長きにわたって日本で「彫刻」といえば仏像が中心であったことを指しています。

本日も新刊情報です。 

NHKカルチャーラジオ 文学の世界 詩と出会う 詩と生きる

2018年1月1日 若松英輔著 NHK出版 税込定価977円

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喪失、苦しみ、悲しみに、語りの名手が、あなたの詩心を呼び覚ます!
「詩」に込められた切実な想いから、私達は何を得ることができるのか? 「詩」を身近に感じ、味わい、それと共に生きる豊かさを探る。

目次
 はじめに
 第1回 詩を感じるには ── 岡倉天心と内なる詩人
 第2回 かなしみの詩 ── 中原中也が詠う「おもい」
 第3回 和歌という「詩」 ── 亡き人のための挽歌
 第4回 俳句という「詩」 ── 正岡子規が求めた言葉
 第5回 つながりの詩 ── 吉野秀雄が感じた存在
 第6回 「さびしみ」の詩 ── 宮澤賢治が信じた世界
 第7回 心を見つめる詩 ── 八木重吉が届けた声
 第8回 「いのち」の詩 ── 岩崎航がつかんだ人生の光
 第9回 生きがいの詩 ── 神谷美恵子が背負った生きる意味
 第10回 語りえない詩 ── 須賀敦子が描いた言葉の厚み
 第11回 今を生きる詩 ── 高村光太郎と柳宗悦のまなざし
 第12回 言葉を贈る詩 ── リルケが見た「見えない世界」
 第13回 自分だけの詩 ── 大手拓次が刻んだ詩の扉162
 詩と出会うためのブックガイド


NHKラジオ第2放送さんで、毎週木曜日の午後8:30~9:00(再放送は翌週木曜の午前10:00~10:30)に放送されている「NHKカルチャーラジオ 文学の世界」のテキストです。

今月から3月にかけ、全13回で、批評家・随筆家の若松英輔氏による「詩と出会う 詩と生きる」。毎回一つのテーマで近現代の「詩人」の作品を取り上げ、その背景に迫ります。「詩人」とカギカッコをつけたのは、若松氏の言によると、以下の通りです。

「詩」は、必ずしも詩人と名乗る人々によって作られているとは限りません。この講座における「詩人」は、広い意味での「詩」の作品を残している人々を指します。ですから世にいう詩人以外の人たちが作った詩歌にもふれていきます。(「第1回 詩を感じるには ── 岡倉天心と内なる詩人」より)

いきなり初回に取り上げられる岡倉天心がそうですし、光太郎の回にセットになっている柳宗悦などもそうですね。広い意味では、彫刻を本業としていた光太郎もあてはまるかも知れません。

光太郎の回は3月15日(木)のオンエア。再放送が翌週22日にあります。「人間の捉えがたい「気」」、「詩はどんな矛盾も受け入れる」、「ふれ得ないものにふれる」という章立てで、主に「智恵子抄」所収の詩にスポットが当てられています。

ぜひお買い求めの上、ラジオ放送もお聞き下さい。


【折々のことば・光太郎】

彫刻は仮象の現象なのだから、芸術品としてみてくれないといけない。一つの銅像の中にその人の凡ゆる時代をもつこともあるのだから。

談話筆記「彫刻鑑賞の蒙を啓く――憲政三偉人の銅像に就て――」より
昭和13年(1938) 光太郎56歳

この年、国会議事堂の中央大広間に設置された憲政史上大きな功績のあった三人、板垣退助、伊藤博文、大隈重信の銅像についての談話の一節です。

三体それぞれ作者が異なり、板垣退助像は北村西望、伊藤博文像で建畠大夢、大隈重信像が朝倉文夫の作です。設置当初から、「ポケットに手を突っ込んでいるとは何ごとか」、「室内の様子なのか、屋外の姿なのか判然としない」、「ステッキは左手で持つ物ではない」などといった批判が起こったそうです。そこで、美術雑誌『アトリヱ』の記者が光太郎の意見を求め、その答として掲載されました。

北村、建畠、朝倉、それぞれ光太郎はあまり高く評価しなかった彫刻家です。文展(文部省美術展覧会)などへの出品作はけちょんけちょんにけなしてもいます。しかし、ここでは擁護に廻っています。まぁ、擁護というよりは、一般の人々に、肖像彫刻とはこういうものだという啓蒙を意図したとすべきでしょうか。

ところで、議事堂の銅像。台座は四体分ありながら、実際に作られたのは三体のみで、未だに空いている台座が一つ残っています。四人目を人選できず持ち越されたという説、政治に完成はないので未完の象徴という意味もあるという説があります。まさか、自分が四人目となって銅像を作ってもらうつもりでいるような、愚かな政治家などいませんよね、まさか。

テレビ番組3本、ご紹介します。 

にっぽん百名山「安達太良山」(再放送)

NHKBSプレミアム 2018年1月17日(水)  10時30分~11時00分 

福島の安達太良山(1700m)、荒々しい火山と、みちのくの穏やかな自然を体感する山旅。登山口の野地温泉からブナなど広葉樹の紅葉に彩られた登山道を抜け、森林限界の低い偽高山帯と呼ばれる見晴らしの良いりょう線へ。最高峰の箕輪山(1728m)を経て、温泉のある山小屋で一泊、翌朝、空に突き出た山頂の姿から乳首山とも呼ばれる安達太良山の山頂をめざす。智恵子抄のエピソードや登山家の田部井淳子氏の誕生秘話も紹介。

出演 林千明 
語り 山崎岳彦 吉川未来

初回放映は平成27年(2015)でした。光太郎智恵子が2分間取り上げられます。

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ぜんぶ、温泉。「岩手・花巻を浴びる」(再放送)

NHKBSプレミアム 2018年1月17日(水) 19時30分~20時00分 
             1月24日(水)6時30分~7時00分 

温泉を目で、耳で、心で楽しむ!ヘッドホンをつければ臨場感倍増!?岩手県、湯治の一軒宿が点在する温泉郷・花巻。温泉マニア(伊武雅刀)目線のカメラが見たものは…

露天の雪景色やお湯しぶき、湯船の底から上がってくる足元湧出のあぶく。昭和の香りいっぱいのレトロな湯治棟。南部藩の殿様ゆかりのわらぶき屋根。地元のみなさんから問わず語りに飛び出すふだん着のお国言葉。刺さるような寒さや初めて作る自炊せんべい汁、高い吹き抜け天井のもと、立ったまま入る深~い風呂。温泉分析書を熟読し、裸になって大地の恵みをただただ、堪能。みんなまとめてホット・スプリング・ハズ・カム!

語り 伊武雅刀

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昨年、初回放映がありました。光太郎の名は出ませんでしたが、共に光太郎がたびたび宿泊した、大沢温泉さん、鉛温泉さんがたっぷり紹介されます。宮沢賢治には触れられます。

ごごナマ おしゃべり日和 「渡辺えり マルチな女優が本音で語り尽くす!」

NHK総合 2018年1月17日(水)  13時05分~14時00分 

1時台のゲストは渡辺えりさん。多彩な分野で活躍するえりさん。“女性演出家”の先駆けともいえる存在!しかし、成功を収めるまでには想像を絶する試練が!▽広すぎる交遊録!衝撃エピソード満載!▽渡辺えりさんが本音で語り尽くす!秘話が続々、目からウロコの1時間。

MC 船越英一郎 美保純 阿部渉
ゲスト 渡辺えり


やはりNHKさんで現在放映中の「大河ファンタジー 精霊の守り人~最終章~」などでご活躍中の渡辺えりさんですですが、舞台演出家としてもご活躍。光太郎を主人公とした「月にぬれた手」という舞台も手がけられました。

根底には、戦中戦後、光太郎と交流があったお父様の影響がおありだそうで、これまでもテレビ番組新聞雑誌等、ご講演などで、お父様と光太郎の関わりをご披露なさっています。平成28年(2016)には、お父様が光太郎から贈られた署名本や書簡を、花巻高村光太郎記念館さんにご寄贈下さいました。最近はお加減のよろしくないお父様の代参で、連翹忌にご参加下さっています。

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そういうお話が出るかどうか、というところです。「ごごナマでは光太郎に触れて下さい」とメールしておいたのですが……。

それぞれ、ぜひご覧下さい。


【折々のことば・光太郎】

ジヤズのシンコペエシヨン的リトムはついに正系音楽の中にまで強力な浸潤を作るに至つたが、一方正系音楽の音楽意識はジヤズそのものの上に強力な精神化の逆作用を行はずには居なかつた。

散文「七つの芸術」中の「四 音楽について」より
 昭和7年(1932) 光太郎50歳

この後、勃興して間もないユーロジャズについて述べています。音楽評論家の受け売りでないとすれば、舌を巻く先進性です。音楽にも造詣が深かった光太郎、まさしく総合的な芸術家でした。

「このシーンから始まるのか」と驚きました。今日から放映が始まる、NHKさんの大河ドラマ「西郷どん」。

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今朝の『朝日新聞』さんのテレビ欄です。

冒頭は東京・上野公園。西郷隆盛像除幕式で「あれはうちの旦那さんじゃなか」と3番目の妻・糸(黒木華)は叫ぶ。

光太郎の父・光雲が木型の制作主任を拝命し、東京美術学校が制作を請け負った西郷隆盛像に関し、昨今、このエピソードが定説と化しているように思われます。

西郷は有名な写真嫌いのために肖像写真はなく、イタリア人画家のキヨソーネが描いた肖像画も、最後の死後に弟の西郷従道の容貌を基にしたものであった。一八九八(明治三十一)年十二月の除幕式に、総理大臣の山県有朋や勝海舟、大山巌、英国公使アーネスト・サトウなど八〇〇名が出席した。鹿児島から西郷夫人のイトも招かれ、像を見て「うちん人は、こげんじゃなか」と言ったのを、従道があわてて窘(たしな)めたという。
            『東京の銅像を歩く』 木下直之監修 祥伝社 平成23年(2011)

同様の記述は、あちこちで見かけます。しかし、そのほぼすべてが「という。」なのです。

火のないところに煙は立たぬ」と申しますから、これに近い出来事があったのでしょう。ただ、これを詳述した当時の文献(新聞記事等)の記述を、当方、寡聞にして見たことがありません。どなたか、当時の何々という文献にこのエピソードが詳述されている、というのをご教示いただければ幸いです。

そんなにも西郷像は本人に似ていないのでしょうか?

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昭和2年(1927)から翌年にかけ、『東京日日新聞』に「戊辰物語」という連載がありました。各界著名人の談話筆記で、幕末から明治初年の世相が語られています。その中で、枢密顧問官で子爵だった金子堅太郎の回想にはこうあります。

私の知つてゐる時は西郷隆盛は神田橋にゐた。西郷の内に書生をしてゐる友達を尋ねて行くと「君は西郷を見た事があるか」といふので「ない」と答へると友達は「あれから来るのが西郷さんぢや」と指さしたのを窓からのぞくと一人の男が若党を連れて門からブラブラやつて来た。木綿の黒い羽織を着て刀を差し小倉のやうな袴をはいて、しかも冷やめし草履を引ツかけておる。顔かたちは上野の銅像そつくりの印象が残つておる。

それから、西郷像の鋳造を担当した岡崎雪声の談話。『国民新聞』の明治31年(1898)12月18日、像の序幕直後に載ったものです。

老西郷は生前嘗て写真を撮りし事なかりしため其の肖像に就ては人の知る能はざる苦心をなし先づ元印刷局御雇キヨソネ氏の石版画を根拠として翁が生前の知己親戚に付き一々其の好否を問ひ服装もはじめ陸軍大将の正服なりしが後平服に犬を牽きたる現在のものに改め石膏像(あぶらづち)をも幾度か造りて幾度か壤ち木彫に移りても亦削りつ添へつ非常の経営を重ねし由而して斯くの如きは独り当局其の人にのみ止らず局外の諸氏も亦非常の熱心を以て之を輔け青森県知事河野圭一郎氏の如き城山没落まで翁に従ひ常に其の髯剃り役を勤めしとの故を以て殊に一昨年の夏中炎天を冒して日々美術学校へ通はれ彫刻手に助言して身自ら職工とならんばかりに尽力せられたり

西南戦争の折、西郷の従者を務めていた河野圭一郎に助言してもらいながら、像の制作を行ったというのです。これで本人に似ていないということがありえるでしょうか。

そこで、妻・糸の発言の真意は、顔の問題ではなく服装の問題だ、という解釈があります。

その除幕式が挙行されたのは12月8日のことだった。この時、西郷夫人の糸子が「宿んしはこげんなお人じゃなかったこてぇ」と洩らしたことが伝わり、顔が似ていないとの誤解が生じた。(略)しかしながら西郷糸子は顔が似ていないと呟いたのではなく、このような浴衣姿では散歩はしなかったという意味で言ったものらしい
『英傑たちの肖像写真―幕末明治の真実』 渋谷雅之著 渡辺出版 平成22年(2010)

ちなみにここでも「らしい」ですね。これも当時の文献等で、そういう内容のものを当方は見たことがありません。ご存じの方はご教示いただけると幸いです。

肝心の光雲はどう言っているのでしょうか。昭和9年(1934)1月7日の『小樽新聞』から。

何しろ昔の話でくはしい事は忘れてしまつたが、製作には相当苦しんだものだ、あのポオズにしてからが西郷さんといふ人は謹厳な人で和服の時は袴を放さなかつたんだといふ様な非難も聞いてゐる、どんな服装をさせるかといふことにも散々、頭をひねつてね、御維新当時の服装でやつてみたりしたが、一向に西郷さんの感じが出ない。
委員の間にも堅苦しくない、磊落な所がよからうといふ意見が出て結局、西郷さんが閑を見てはよく出掛けた兎の山狩のあの構図に決まつた次第で、これには榎本武揚さんなんか大いに賛成してくれた。


服装に関して、正しい経緯は以下の通りです。

明治22年(1889)、西南戦争で逆賊とされた西郷に復位の恩命が下され、それを機に銅像建設の計画が始まりました。まず、美術行政に尽力した九鬼隆一がブレーンとなって、図案懸賞募集が行われています。同年10月15日の『東京日日新聞』に載った「贈正三位西郷隆盛君銅像図案懸賞募集広告」によれば、「一馬上高サ二丈以下一丈ノ事 一陸軍大将ノ軍服ヲ着スル事」とあり、当初は軍服姿の騎馬像という計画でした。

しかし、経費の問題などから、現在の着物姿に改められたと、『東京芸術大学百年史 東京美術学校篇 第一巻』(昭和62年=1987)に記述があります。一度は逆賊とされた西郷なので、軍服姿は忌避されたというのも通説のようですが、ここではそれは「議論が起こったため」と、ぼかされています。実際、明治26年(1893)には、軍服姿の木型も光雲らによって制作されていますが、破棄されました。

ところで、現在の着物姿は、光雲によれば「西郷さんが閑を見てはよく出掛けた兎の山狩のあの構図」。散歩ではありません。この点についての『小樽新聞』の談話筆記は、以下の通り。

あれを犬を連れて散歩してゐるんだなどといふ人があるが大間違ひだよ、その証拠には、腰にはわなを作る縄の束がぶら下つてゐるし、小さな刀を差してゐるが、これも山狩の時、いばらや篠竹を切り倒すにのに使ふものだ。あの犬は兎追ひの犬で桜島産の独特の小さいが悧巧な奴で西郷さんもよく可愛がつてゐたものださうだ。

なるほど。

そして、顔。

構図はさて決まつたが、写真があるわけではなし顔には弱つた。
人によつては西郷さんは目玉がらんらんと大きくて非常に恐ろしい顔つきをしてゐる、にらまれるとすくみ上る様な顔だつたといふし、ある人は目の切れの長い聡明な顔で眉毛がこく口元は一文字に引締つてむしろ可愛らしい顔つきで笑ふととても柔和だつたともいふし、つまり御機嫌のいい時と悪い時の相違だつたんだらうが、これ等の人の印象をまとめて、ああいふ風に仕上げたのだが、次には身丈がどの位あつたかといふ点で、また行きづまつてしまつた。
 陸軍で調べてもらつても一向分らんし、西郷さんのきてゐた軍服や長靴、晴子などを取り寄せてもらつて調べて見たところズボンはわたしの胸まで来るし、長靴はももまでもはゐるといふ代物、帽子のあご革は西郷さんの汗や脂で、真つ黒になつてゐたが、これまたわたしの顔を一ト回り半もする長いものでとにかく非常に大男だつたことは、はつきりしたわけだ。

やはり生前の西郷を知る人々の証言を取り入れていたことがわかります。「似ていない」説は成り立たないといえるのではないでしょうか。

そして再び服装。

スネのはみ出したつんつるてんの着物はいかにも滑稽のやうにも思へるが、西郷さんといふ人は殿様から拝領の着物はそのまま縫直さずに着たものださうで、従つて人並はづれた西郷さんが着れば、スネもはみ出さうし、腕も出やうといふものだ。

ここにも深謀遠慮があったのです。

ただし、当人が後から申し述べたことですので、世上の批判に対する自己弁護、と捉えることも可能でしょう。しかし、少なくとも、いいかげんに造ったということには成らないと思います。

さて、大河ドラマ「西郷どん」。除幕式のシーン、どのように描かれるのでしょうか。くれぐれも光雲をディスるような描き方にはなっていないことを祈ります。


【折々のことば・光太郎】

日本の工芸美術は、如何なる時にも遠慮無く世界の人の前に持ち出せるだけの秀美さを持つてゐる筈である。其は過去の日本が遺していつてくれた審美的遺伝の一つである。

散文「日本工芸美術会に望む」より 大正15年(1926) 光太郎44歳

光太郎、銅像も広義の工芸と捉えていたかもしれません。ただし、芸術としての肖像彫刻とは一線を画するものという認識でした。

テレビ放映情報です。

気づきの扉

テレビ朝日 2017年12月15日(金)  23時10分~23時15分

何かに気づき、強くなれた人。何かに気づき、新しいものを生み出せた人。何かに気づき、自分の生きる道を見つけた人。人生には、様々な“気づき”がある。その“気づき”は時に何かを生み出し、時に人を成長させる。逆境を乗り越え、さらなる高みを目指す人たちはどんな場面で、どんなことに気づいたのか。そんな人々の“気づき”にまつわるストーリーを紹介。

いろいろな人々の運命を変えた『気づき』を紹介するストーリー。今回の主人公は、少年時代に詩人・高村光太郎の言葉から大きな影響を受けた、ある一人の文筆家です。

ナレーション 芦田愛菜


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残念ながらテレビ朝日さんのみの放映のようで、地方の系列局には配信されていないようです。ただ、番組公式サイトでは、最新の回の見逃し配信があり、1週間視聴可能です。

「少年時代に詩人・高村光太郎の言葉から大きな影響を受けた、ある一人の文筆家」、結構いろいろなところで光太郎ファンを公言しているあの人かな?と思いましたが、やはりその人でした。ヒントはスポンサーに入っているユニクロさんの、「LifeWearstory 100」です。ネタばらしですみませんが(笑)。もっとも、ユニクロさんのツイッターには発表されてしまっています。

かつては非公表でしたが、もう時効だろうと思うので、書いてしまいます。ナレーションの芦田愛菜さん、今年の3月に荒川区の第一日暮里小学校さんを卒業されました。同校は明治23年(1890)から同25年(1892)にかけ、数え八歳から十歳の光太郎が、尋常小学校の課程の際に通っていました(高等小学校は下谷小学校)。そこで、同校では「先輩」光太郎を顕彰する活動に全校で取り組んでいます。また、図書館教育にも力を入れており、それが決定打となって、前アメリカ駐日大使のキャロライン・ケネディ氏の学校訪問も実現しています。

ごく最近の事情は存じませんが、かつては、6年生は卒業論文的に光太郎についての調べ学習をしていたそうで、それが続いていれば、芦田さんも取り組んだのでしょう。

校門脇には光太郎自筆の碑があります。昭和60年(1985)の建立です。

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もともとは、昭和26年(1951)、蟄居生活を送っていた花巻郊外太田村の山小屋近くにあった太田小学校山口分教場が山口小学校に昇格した際、校訓として贈った言葉「正直親切」が刻まれています。現在でも同校は学校便りのタイトルに「正直親切」を使って下さっています。


もう1件。

関口宏ニッポン風土記▼岩手県の魅力に迫る!

BS-TBS 2017年12月16日(土)  12時00分~12時54分

今回のテーマは岩手県の第二弾!マルコポーロも驚いた黄金の国ジパングは岩手だった!?イーハトーブ風景地に小岩井農場、宮沢賢治が愛した風景とは?岩手県の魅力に迫る !

出演 関口宏 大石泰夫(盛岡大学教授)畑中美耶子(もりおか歴史文化館館長)漆原栄美子(民謡歌手・農家)岩崎昭子(宝来館女将)

東京にある郷土料理店やアンテナショップなどを巡り、郷土史家や民謡歌手など地元出身者の方を迎え、その土地ならではのエピソード語りながら日本の魅力を再発見する「ニッポン風土記」。今回は岩手県の第二弾。自然環境の厳しい内陸部にリアス式海岸の沿岸部。特色の違う土地柄だからこそ様々な文化が根付く岩手県。大谷翔平、千昌夫、石川啄木、宮沢賢治・・・岩手の人は個性的!ヨーロッパの技術を取り入れ畜産業の近代化をリードした小岩井農場。遠野の民話に河童伝説など岩手の物語には先人達の知恵が満載!知っているようで知らない岩手県の秘密とは?

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キーワード「宮沢賢治」でヒットしました。光太郎に触れられるかどうか微妙ですが、一応。


それぞれぜひご覧下さい。


【折々のことば・光太郎】

多くの無自覚な、たわいもない作家達は唯目先の変つた、新工夫、新図題位を考へて毎年過してゐるので問題にもならない。少しは何かを弁へる方の作家連でも、自然の中に根を張つて居ない。ただ遠くから自然を眺めてのんきな筆技で此を描いて居る。すべて打算的に、予測的に。

散文「日本画に対する感想」より 大正2年(1913) 光太郎31歳

かなり手厳しい評ですが、裏を返せば、自分は絶対にそんな作品を作らない、という決意の表明でもあります。

テレビ放映情報です。 

日曜美術館「熱烈! 傑作ダンギ ロダン」

NHK Eテレ 2017年12月3日(日) 9時00分~9時45分  
      再放送 12月10日
(日)20時00分~20時45分

没後100年の今年、改めて注目される彫刻界の巨星ロダン。美しいものに対していつも直球勝負を挑んだ作家を愛してやまない3人が、その魅力を縦横無尽に語り尽くす!

集まったのは、俳優で演出家の白井晃さん。俳優の若村麻由美さん。学芸員の南美幸さんの3人。それぞれが愛する作品を紹介しつつ、その魅力をアピール。ロダンの情熱がぎっしり詰まった大作「地獄の門」。演劇のようにドラマチックなシーンを見せる「カレーの市民」。そしてエロスと生命力が同居する「ダナイード」についてクロストーク。そしてロダンを愛するがゆえの「…これはちょっと…」なトークも!?

司 会 井浦新 高橋美鈴
ゲスト 白井晃 若村麻由美 南美幸(静岡県立美術館学芸員)

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画像に使われているのは、静岡県立美術館さん。その名も「ロダン館」という棟があります。そちらの学芸員さんがゲスト出演されます。また、同館では企画展「彫刻を撮る:ロダン、ブランクーシの彫刻写真」が開催中です。

ゲストといえば、女優の若村麻由美さんは、カミーユ・クローデルを舞台で演じられたということで、過日NHKBSプレミアムさんで放映された「ザ・プロファイラー 夢と野望の人生 「彫刻に“生命”を刻んだ男~オーギュスト・ロダン」」に引き続いてのご出演です。

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若村さん主演の「ワルツ」は、静岡県立美術館さんの「地獄の門」の前でも上演されました。

「ザ・プロファイラー」では、荻原守衛や光太郎がロダンの影響を受けたことにも言及されましたが、今回もそういうお話が欲しいところです。


テレビといえば、過日ご紹介した「<BSフジサンデースペシャル>『絶景百名山2時間スペシャル 第66回 「安達太良山・西吾妻山 秋」』」。いったん、12月3日(日)の放映と発表されながら、その後、11/25(土)の深夜に放映と訂正され、それも訂正。結局、元の通り12月3日(日)だそうです。

この手の番組、再放送ならともかく、新作が深夜のオンエアというのもおかしいなとは思っていたのですが、訂正というより、どこかの段階で担当者がやらかした誤発表のようです。始末書ものでしょうね。

というわけで、改めて。 

<BSフジサンデースペシャル>『絶景百名山2時間スペシャル 第66回 「安達太良山・西吾妻山 秋」』

BSフジ 2017年12月3日(日) 18時00分~19時55分

秋、様々な色に染まった木々の葉が山肌を美しく彩る紅葉の季節。
今回は東北地方の二つの百名山「安達太良山」と「西吾妻山」を2時間SPでご紹介。

安達太良山は、詩人・高村光太郎の「智恵子抄」に登場する福島を代表する山の一つ。
標高1,700mの裾野に広がる紅葉は美しく、秋は特に人気の高い山。
山の案内人は、麓の岳温泉で和菓子屋を営みつつ、山のガイドをしている渡辺茂雄さん(44歳)
幼い頃から安達太良山を見て育ち、その魅力に引き込まれた渡辺さんがガイドをするのは安達太良山のみ。
「多くの人に安達太良山と、自分の生まれ育った岳温泉のすばらしさを知ってもらいたい」
そんな渡辺さんのガイドは、地元の人だからこそ知っている情報が満載だ。
さらに渡辺さんは、温泉の源泉を管理する「湯守」という仕事を冬季限定で行なっている。
安達太良山の麓にある岳温泉の湯は、安達太良山の中腹にある湯元から8キロもの距離を下ろす日本一長い引湯。
冬の間は雪が深い為、登山技術のあるガイドが湯元の管理をするのだそうだ。
安達太良山を知り尽くす地元ガイド一押しの絶景とは…

西吾妻山は、福島県と山形県の境界に位置する吾妻連峰の最高峰、標高2,035mの山。
連峰の山の中で唯一2,000mを超える山であるが、周りの山々がそれに近い高さの為、飛び抜けて主峰という感じはしない山。
日本百名山の著者・深田久弥も「つかみどころがない」と称するほど。
そんな山を愛してやまないというのが、今回の山の案内人。
西吾妻山の麓、天元台スキー場でペンションを営む山岳ガイドの近藤明さん(62歳)
ガイド歴は40年。8,000mを超えるシシャパンマに登頂した経験があり、
年間200日以上をガイドとしてこなす山のスペシャリスト。
そんな近藤さんにとって、一番好きな山が西吾妻山。
展望がまるでない山頂だが大好きだという。
理由を尋ねると、なるほど納得の答えが返ってきた。
その理由がまた、西吾妻山の魅力を良く表現できていることに驚かされる。
ベテランガイドが愛する西吾妻山の魅力を、絶景とともにお伝え致します。

ナレーター 小野寺昭

それぞれ、ぜひご覧下さい。

【折々のことば・光太郎】

彫刻は何の欺瞞をも計らない。立体的のものを立体的に作ってゐる。又錯覚をも絵画ほど有機的には利用しない。せめて眼球の光を作るに却つて反対に之を刳りぬくといふ様な初歩な手品をする人がある位のものである。

散文「彫刻の面白味」より 明治43年(1910) 光太郎28歳

ただし、この時代にはまだ彫刻といえばロダンに代表される具象。抽象彫刻が出てくるのはもっと後のことです。

眼球を刳りぬくという技法は、光太郎最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」でも使われました。それほど特別な意味はありません。

追記 その後、発表された番組内容が変更になり、11/25(土)のオンエアではなくなりました。

さらに追記 結局、12/3のオンエアだそうです。


テレビ放映情報です。

<BSフジサンデースペシャル>『絶景百名山2時間スペシャル 第66回 「安達太良山・西吾妻山 秋」』

BSフジ 2017年11月25日(土) 27時00分~28時55分  (=11月26日(日) 午前3時00分~4時55分)

秋、様々な色に染まった木々の葉が山肌を美しく彩る紅葉の季節。
今回は東北地方の二つの百名山「安達太良山」と「西吾妻山」を2時間SPでご紹介。

安達太良山は、詩人・高村光太郎の「智恵子抄」に登場する福島を代表する山の一つ。
標高1,700mの裾野に広がる紅葉は美しく、秋は特に人気の高い山。

山の案内人は、麓の岳温泉で和菓子屋を営みつつ、山のガイドをしている渡辺茂雄さん(44歳)
幼い頃から安達太良山を見て育ち、その魅力に引き込まれた渡辺さんがガイドをするのは安達太良山のみ。
「多くの人に安達太良山と、自分の生まれ育った岳温泉のすばらしさを知ってもらいたい」
そんな渡辺さんのガイドは、地元の人だからこそ知っている情報が満載だ。
さらに渡辺さんは、温泉の源泉を管理する「湯守」という仕事を冬季限定で行なっている。
安達太良山の麓にある岳温泉の湯は、安達太良山の中腹にある湯元から8キロもの距離を下ろす日本一長い引湯。
冬の間は雪が深い為、登山技術のあるガイドが湯元の管理をするのだそうだ。
安達太良山を知り尽くす地元ガイド一押しの絶景とは…

西吾妻山は、福島県と山形県の境界に位置する吾妻連峰の最高峰、標高2,035mの山。
連峰の山の中で唯一2,000mを超える山であるが、周りの山々がそれに近い高さの為、
飛び抜けて主峰という感じはしない山。
日本百名山の著者・深田久弥も「つかみどころがない」と称するほど。

そんな山を愛してやまないというのが、今回の山の案内人。
西吾妻山の麓、天元台スキー場でペンションを営む山岳ガイドの近藤明さん(62歳)
ガイド歴は40年。8,000mを超えるシシャパンマに登頂した経験があり、
年間200日以上をガイドとしてこなす山のスペシャリスト。

そんな近藤さんにとって、一番好きな山が西吾妻山。
展望がまるでない山頂だが大好きだという。
理由を尋ねると、なるほど納得の答えが返ってきた。
その理由がまた、西吾妻山の魅力を良く表現できていることに驚かされる。
ベテランガイドが愛する西吾妻山の魅力を、絶景とともにお伝え致します。

ナレーター 小野寺昭

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この番組では、平成25年(2013)放映の第26回「秋から冬へ 上高地徳本峠」でも、光太郎智恵子に触れて下さいました。

今回の放映、当初は12月3日(日)と発表され、現在も公式サイトではそうなっていますが、変更になったのか、2回放映されるのか、何とも不明です。とりあえず、11月25日というか26日未明の放映は為されるはずですので、ご覧下さい。


【折々のことば・光太郎】

世界平和と人類破滅とが 仲よく隣同士でそこにいる。 こんな矛盾が矛盾にならないほど 微妙な天秤に人間はのつている。

詩「お正月の不思議」より 昭和30年(1955) 光太郎73歳

暮れも押し詰まりつつあった12月19日の作。光太郎の詩としての絶筆2篇のうちの一つです。翌年元日のNHKラジオ放送のため執筆されました。

最後まで人類の行く末を案じていたユマニスト光太郎の本質がよく表れています。

先週日曜の朝にオンエアされたNHKさんの日曜美術館「皇室の秘宝~奇跡の美術プロジェクト~」、今夜、再放送があります。現在、東京上野の東京藝術大学さんで開催中の東京藝術大学創立130周年記念特別展「皇室の彩(いろどり) 百年前の文化プロジェクト」」を取り上げています。

日曜美術館「皇室の秘宝~奇跡の美術プロジェクト~」

NHKEテレ 2017年11月19日(日)  20時00分~20時45分

昭和天皇のご結婚の際に献上された美術品が皇居から初めて持ち出され公開された。一流の工芸家たちが5年の歳月をかけた奇跡のプロジェクトの作品を紹介する。

東京芸術大学の美術館で開催されている展覧会。金のまき絵やらでんが一面に施された飾り棚。天皇と皇后用に1対で献上された豪華な作品である。また48人の工芸家が技法を競った作品が装飾されたびょうぶ。金工、木工、漆、陶芸など日本の伝統工芸がここに集約されている。実はこのプロジェクトには中止に追い込まれそうな危機があった。皇室の秘宝とともにその秘められた物語を紹介する。

出演 井浦新 高橋美鈴 古田亮(東京藝術大学准教授)


冒頭近くで、番組のつかみ的に、光太郎の父・高村光雲の「鹿置物」(大正9年=1920)が、大きく取り上げられました。

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番組進行役の井浦新さん、髙橋美鈴アナも感嘆しきり。


メインで取り上げられた作品は、大正13年(1924)の皇太子ご成婚を奉祝する御飾り棚一対(昭和3年=1928)。その超絶技巧があますところなく解説されていました。

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棚自体は、蒔絵師を中心とした職人達の手になるものですが、この棚を飾る各種工芸品などの中に、光雲の「木彫置物 養蚕天女」(昭和3年=1928)も含まれていました。

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この「養蚕天女」が単体の作でなく、このためのものだったというのは、同展の図録を読んで初めて知りました。ちなみに今回は展示されていませんが、皇室にはこれより一回り大きい「養蚕天女」も奉納されています。

関東大震災による甚大な被害を乗り越え、「こういう時だからこそ」と、自粛ムードをはねのけてこれらを作り上げた人々の思いにも言及されており、美術作品そのものだけでなく、背景のドラマを知ることの重要性も再認識しました。


もう1点、大きく取り上げられたのが、やはり一対の「二曲御屛風」(昭和3年=1928)。

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こちらには、光雲三男にして、家督相続000を放棄した光太郎に代わって髙村家を継いだ、鋳金の人間国宝・髙村豊周の作「石楠花(しゃくなげ)」も張り混ぜられています。

全体としては、48名の作家の扇面型、色紙型の作が配され、制作方法も多種多彩。金工あり、木工あり、七宝や象嵌、蒔絵、漆工芸など、百花繚乱の感があります。

この中では、豊周の「石楠花」は色合い的にも地味な作なので、番組では取り上げられませんでしたが、写るには写りました。

大きく取り上げられたのは、豊周の作の斜め下に配された青山泰石の「木画扇面 松叭々鳥」。これが筆で描いたものでなく、木に木をはめ込んで作られているというのですから驚きです。

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だからといって、豊周の鋳金の方が劣っているということにもなりません。技法がまるで違うもの同士、比べようがありませんから。

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藝大美術館さんでの展覧会(今月26日(日)まで)ともども、ぜひご覧下さい。


【折々のことば・光太郎】

人類はじめてきのこ雲を知り、 みづからの探求は みづからの破滅の算出。 ノアの洪水に生きのこつた人間の末よ、 人類は原子力による自滅を脱し、 むしろ原子力による万物生々に向へ。

詩「新しい天の火」より 昭和29年(1954) 光太郎72歳

この時期、原子力の平和利用ということが、盛んに論じられていました。旧ソ連では世界初の原発が稼働、もう少し後には民間船舶にも原子力機関搭載の原子力船が導入されるようになります。まさに「原子力 明るい未来の エネルギー」的な風潮だったわけです。

しかし、第五福竜丸事件もこの年でした。それから広島、長崎の悲劇を踏まえ、懐疑的な見方を示しつつも、光太郎は基本的に原子力の平和利用推進には肯定的でした。このあたり、昔から社会認識の部分では、周囲に流されて「甘い」見方になってしまうという、一種の光太郎の弱点が露呈されてもいます。

およそ60年後の福島の惨状など、思いもよらなかったのでしょう。一概には責められませんが。

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テレビ放映情報です。

ザ・プロファイラー 夢と野望の人生 「彫刻に“生命”を刻んだ男~オーギュスト・ロダン~」(再放送)

NHKBSプレミアム 2017年11月8日(水)  18時00分~19時00分

岡田准一がMCを務める歴史エンターテインメント。「考える人」「地獄の門」で知られ、今年、没後100年を迎える彫刻家ロダン。30歳をすぎても、貧乏生活から抜け出すことができず、苦悩に満ちた日々を送った。こだわったのは「男の裸」。ところが、名声を得た後、1人の女性との関係をきっかけに、女性像や愛をテーマとした作品を発表するように。だが、その女性との関係は悲劇的な結末に。人間味あふれる人生に迫る。

司 会 岡田准一
ゲスト 鹿島茂,若村麻由美,篠原勝之

2日にオンエアされた本放送を拝見しました。

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光太郎が終生敬愛した彫刻家ロダン。その生涯を、代表作品や、周囲の人々との関わりから追ったものです。

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今月11日に封切られる映画「ロダン カミーユと永遠のアトリエ」を紹介、弟子であり愛人でもあったカミーユ・クローデル、そして内縁の妻(最晩年に入籍)ローズ・ブーレとの三角関係。

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光太郎にも言及されました。

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連翹忌にも何度かご参加下さっている、日本大学芸術学部の髙橋幸次先生もご出演。

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なかなかのクオリティーでした。


同じく、光太郎と縁の深かった美術家ということで。

美の巨人たち “夭折の天才”村山槐多と関根正二…自画像に刻んだ鮮烈な人生

テレビ東京  2017年11月11日(土) 22時00分~22時30分 
BSジャパン  2017年11月29日(水) 23時00分~23時30分

燃えるようなガランスと染み入るようなバーミリオン。二つの赤に託された思いとは?二人の夭折の天才が残した自画像の変遷をたどり、その20年あまりの鮮烈な人生に迫る。

大正時代に彗星のごとく現れた画家・村山槐多と関根正二。98年前の1919年に二人はその生涯を閉じました。槐多22歳、正二20歳という若さで…。村山槐多は燃えるようなガランス、関根正二は染み入るようなバーミリオンを好みました。二つの赤に託された思いとはなんだったのか?夭折の天才が目指したものは何だったのか?自画像に秘められた真実に迫ります。

ナレーター 小林薫  神田沙也加

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今回取り上げられる二人のうち、村山槐多は、光太郎より13歳年下の明治29年(1896)生まれ。宮沢賢治と同年です。大正8年(1919)に、数え24歳で結核のため夭折。その晩年、光太郎と交流があり、光太郎はそのままずばり「村山槐多」(昭和10年=1935)という詩も書いています。

  村山槐多

槐多(くわいた)は下駄でがたがた上つて来た。
又がたがた下駄をぬぐと、
今度はまつ赤な裸足(はだし)で上つて来た。
風袋(かざぶくろ)のやうな大きな懐からくしやくしやの紙を出した。
黒チョオクの「令嬢と乞食」。

いつでも一ぱい汗をかいてゐる肉塊槐多。
五臓六腑に脳細胞を遍在させた槐多。
強くて悲しい火だるま槐多。
無限に渇したインポテンツ。

「何処にも画かきが居ないぢやないですか、画かきが。」
「居るよ。」
「僕は眼がつぶれたら自殺します。」

眼がつぶれなかつた画かきの槐多よ。
自然と人間の饒多の中で野たれ死にした若者槐多よ、槐多よ。

画家だった村山ですが、詩も書き、光太郎に見て貰ったりもしていました。それが「くしやくしやの紙」で、歿した翌年、大正9年(1920)には、『槐多の歌へる』の題で詩集が出版されています。光太郎は推薦文も寄せています。

そのあたり、番組で紹介されるといいのですが……。


もう一件。

日曜美術館「皇室の秘宝~奇跡の美術プロジェクト~」

NHKEテレ 2017年11月12日(日)  9時00分~9時45分
      再放送 11月19日(日)  20時00分~20時45分

昭和天皇のご結婚の際に献上された美術品が皇居から初めて持ち出され公開された。一流の工芸家たちが5年の歳月をかけた奇跡のプロジェクトの作品を紹介する。

東京芸術大学の美術館で開催されている展覧会。金のまき絵やらでんが一面に施された飾り棚。天皇と皇后用に1対で献上された豪華な作品である。また48人の工芸家が技法を競った作品が装飾されたびょうぶ。金工、木工、漆、陶芸など日本の伝統工芸がここに集約されている。実はこのプロジェクトには中止に追い込まれそうな危機があった。皇室の秘宝とともにその秘められた物語を紹介する。

出演 井浦新 高橋美鈴 古田亮(東京藝術大学准教授)

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こちらには光太郎の父・高村光雲作の「松樹鷹置物」(大正13年=1924)が展示されており、ちょっとでも紹介してほしいものです。


それぞれ、ぜひご覧下さい。


【折々のことば・光太郎】

不発か時限か、 ぶきみなものが そこらあたりにころがつて 太平楽をゆるさない。 人の命のやりとりが 今も近くでたけなはだ。

詩「遠い地平」より 昭和25年(1950) 光太郎68歳

翌年元日の『新岩手日報』のために書かれた詩の一節です。

朝鮮戦争を念頭に置いて書かれていますが、現代の日本にもあてはまりますね。ちょうど、宗主国から「ぶきみな」人物が来日している折ですし。ポチはシッポを振るのに余念がないようですが(笑)。

テレビ放映情報です。 

<BSフジサスペンス劇場>『浅見光彦シリーズ22 首の女殺人事件』

BSフジ 2017年10月4日(水)  12時00分~13時58分

福島と島根で起こった二つの殺人事件。ルポライターの浅見光彦(中村俊介)と幼なじみの野沢光子(紫吹淳)は、事件の解決のため、高村光太郎の妻・智恵子が生まれた福島県岳温泉に向かう。光子とお見合いをした劇団作家・宮田治夫(冨家規政)の死の謎は?宮田が戯曲「首の女」に託したメッセージとは?浅見光彦が事件の真相にせまる!! 

原  作 内田康夫
出演者 中村俊介 紫吹淳 姿晴香 菅原大吉 冨家規政 中谷彰宏 伊藤洋三郎 新藤栄作 榎木孝明 野際陽子ほか

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光太郎彫刻の贋作をめぐる殺人事件という設定で、初回放送は平成18年(2006)でした。年に1~2回、BSフジさんで再放送されています。

タビフク。#63「十和田湖・奥入瀬」小島藤子&宮崎香蓮

地上波TBS 2017年10月4日(水) 25時58分~26時28分=10月5日(木)午前1時58分~2時28分

プライベートでも仲の良い二人が究極のおしゃれ女子タビに。世界で二つしかない神秘の二重カルデラ湖「十和田湖」そして奥入瀬渓流へ小島藤子&宮崎香蓮がおしゃれ女子タビ。
素敵な日本の風景、極上のホテルルーム、あこがれのおしゃれ女子女子たちとまばゆいファッション・・・オンナの子の憧れがいっぱいにつまった番組。高精彩の4Kカメラにより撮影されています。残念ながら現在の地上波TVでは2Kフルハイビジョンでの放送となりますが、それでも映像の美しさは格別です。ぜひ極上の日本の風景をお楽しみください。

出   演   者 小島藤子&宮崎香蓮
番組案内役 タビフク。コンシェルジュ 季葉(きわ)

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光太郎最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」の立つ十和田湖と、奥入瀬渓流が取り上げられます。予告編では、「乙女の像」は写っていませんでしたが、ぜひとも写っていてほしいものです。

プレミアムカフェ 鉄道乗りつくしの旅JR20000km全線走破 北陸甲信越ほか

NHKBSプレミアム 2017年10月2日(月) 9時00分~11時02分
                 再放送 24:45~26:50(10月3日午前0:45~)

ハイビジョン特集 列島縦断 鉄道乗りつくしの旅JR20000km全線走破 秋編 第1回 北陸甲信越 東北(初回放送:2005年):2004年の「関口知宏 最長片道切符の旅」でフォロー出来なかったJR路線を、“乗り潰す”旅の後半総集編。第1回は、福井県の九頭竜湖から宮城県の女川まで。

出演 関口知宏  語り 中川緑  スタジオゲスト 紀行作家・芦原伸  
スタジオキャスター 渡邊あゆみ

プレミアムカフェ 鉄道乗りつくしの旅JR20000km全線走破 東北編

NHKBSプレミアム 2017年10月3日(火) 9時00分~11時00分
                 再放送 24:30~26:30(10月4日午前0:30~)

ハイビジョン特集 列島縦断 鉄道乗りつくしの旅JR20000km全線走破 秋編 第2回 東北編(初回放送:2005年)2004年の「関口知宏 最長片道切符の旅」でフォロー出来なかったJR路線を、“乗り潰す”旅の総集編。今回は、宮城県の女川から青森県の三厩まで。

出演 関口知宏  語り 中川緑  スタジオゲスト 紀行作家・芦原伸  
スタジオキャスター 渡邊あゆみ

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2日連続の放送。光太郎を偲ぶ「女川光太郎祭」が毎年行われている、宮城県女川町が双方のちょうどつなぎ目です。初回放映が平成16年(2004)ですので、東日本大震災前。かつての女川の街並みが写ってほしいものです。


さて、先週ご紹介しました、テレビ朝日さんの「あなたの駅前物語 【二本松駅前/福島県】提灯祭りの駅前」。

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残念ながら、駅前の智恵子像と光太郎詩碑は取り上げられませんでしたが、安達太良山と阿武隈川の風景をバックに、二本松を紹介する俳人・黛まどかさんのナレーションで、「智恵子抄」に触れて下さいました。曰く「詩人で彫刻家の高村光太郎が詠んだ安達太良山と阿武隈川をはじめ、雄大な自然と文化の薫りが二本松の誇りです。」

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メインは10月4日(水)~6日(金)に開催される提灯祭り。300年以上も続いている祭りだそうで、智恵子もきっと見たことでしょう。

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ラストは「ほんとの空」をバックに黛さんの句。

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テレビ朝日さんのアーカイブサイトで、10月5日(木)まで公開されています。ご覧下さい。


二本松といえば、明日は智恵子を偲ぶ「第23回レモン忌」の集いが開催され、また行って参ります。


【折々のことば・光太郎】

ちよびちよびちよびちよび、 ぴいひよう、ぴいひよう、 こつちおいで、こつちおいで、こつちおいで、 こひしいよう、こひしいよう、 ぴい。 おや、さうなんか、クロツグミ。

詩「クロツグミ」より 昭和23年(1948) 光太郎66歳

クロツグミは広く日本に分布する渡り鳥です。その鳴き声をオノマトペで表していますが、途中から「こつちおいで」「こひしいよう」と聞こえたというのです。花巻郊外太田村の山小屋での独居生活も約3年が経過。青年期から憧れていた自然に包まれての生活ではありましたが、智恵子逝きてすでに10年、光太郎自身の心の叫びなのかも知れません。

東北の、光太郎智恵子に関わる地域などを取り上げるテレビ番組の放映情報です。

5人で挑む"最後の夏"~宮城・女川中バスケ部~

NHKBS1 2017年9月23日(土)  15時00分~15時30分

東日本大震災で大きな被害を受け人口が4割も減った宮城県女川町。今年、町の人々に勇気を与えたのが女川中学・女子バスケ部の快進撃だ。新入生をのぞくと部員は3年生の5人だけ。それでも全国大会出場という夢に向かって、並み入る強豪に立ち向かった。5人は小学3年生で震災を経験し、避難所で一緒に練習してきた仲間。大人たちも練習相手を買って出るなど、町が一丸となって夢に挑戦した熱い日々を追う。※初回放送2016年

語り 倉科カナ 

アニメドキュメント「女川中バスケ部 5人の夏」

NHKBS1 2017年9月23日(土)  15時30分~16時13分

震災で部員が減る中、最小人数で全国大会目指す5人の少女の感動の実話をアニメ化。ナレーションは綾瀬はるか。声の出演は倉科カナ、山寺宏一、サンドウィッチマンなど豪華メンバーが集結した!!宮城県女川町は津波で大きな被害を受け人口が4割も減少。名門・女川中バスケ部も3年生が5人だけに。しかし5人は震災をともに乗り越えてきた絆と、町の人たちの支えをうけて、ひたむきに戦い、奇跡的に県大会を勝ち進む…。

語り 綾瀬はるか
声  倉科カナ 山寺宏一 サンドウィッチマン 大神雄子 佐々木李子 三瓶由布子 伊瀬茉莉也 潘めぐみ 大和田仁美

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実話を元に、昨年の夏、全国大会出場を目指してがんばった、宮城県女川中学校女子バスケットボール部を描いた番組です。実写版とアニメ版がセットで再放送されます。

昭和6年(1931)、新聞『時事新報』の依頼で紀行文「三陸廻り」を書くために光太郎が立ち寄った、女川町。それを記念して、平成の初めに光太郎文学碑が建立されました。その後、平成23年(2011)の東日本大震災の津波で大きな被害を受け、その教訓から、光太郎文学碑の精神を受け継ぎ、建設費用を募金でまかない、当時の女川第一中学(現・女川中学)の生徒たちが中心となって、津波到達地点より高い場所、町内21ヶ所に非難の目安となる「いのちの石碑」が建立され続けています。

アニメ版では、「いのちの石碑」が背景に使われています。女川の補通の風景の一部と化しているという感覚でしょうか。

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続いて、智恵子の故郷・二本松。

あなたの駅前物語 【二本松駅前/福島県】提灯祭りの駅前

地上波テレビ朝日 2017年9月28日(木)  23時10分~23時15分

日本中の「駅前」を舞台に、そこに関わる人々、街が持つ「物語」をたどり、「街のぬくもり」とともに「ニッポンの良さ・味わい」への思いを呼び起こす番組。

#26 二本松駅/福島 安達太良山や阿武隈川をはじめ、雄大な自然と文化の香りが二本松の誇り。駅前には戊辰戦争で散った二本松少年隊の像があり、悲しい歴史を思い知らされる。10月初めには駅前を舞台に二本松提灯祭りが開催され、もう300年以上も続いている。提灯で飾られた太鼓台は“稲穂"と“鉾"を表し、五穀豊穣と疫病退散を祈る。しゃぎりと呼ばれる太鼓のリズムで子どもたちが祭りを盛り上げる。

ナレーター 黛まどか(俳人)


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10月4日(水)~6日(金)に、提灯祭りが開催されるJR東北本線二本松駅。番組説明では、駅前の二本松少年隊の像に触れられています。

少年隊像の逆サイドには、光太郎の父・高村光雲の孫弟子にあたる橋本堅太郎氏による智恵子像「ほんとの空」(平成21年=2009)、二つの中間には、光太郎筆跡を刻んだ「あどけない話」詩碑(昭和51年=1976)もあり、そちらもちらっとでいいので映ってほしいものです。

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もう1件。

ドラマ10 この声をきみに(3)「雨にも負けぬ男」

地上波NHK総合 2017年9月29日(金)  22時00分~22時50分

連続テレビ小説「あさが来た」で、同枠ドラマ今世紀最高視聴率(関東平均値)を叩き出した、脚本家・大森美香が満を持して送るオリジナル作品、上質な大人のエンターテインメント。そんな彼女がラブストーリーの舞台に選んだのが朗読教室。「時代遅れ」のイメージもある朗読教室だが、声を出して心を開放する癒しの場として再評価され、若者にも密かなブームである。 声の交流を通して、主人公が女教師と「愛」や「人生」のレッスンを重ね、 個性的な生徒たちと一緒に、成長をしていく姿をキュートに、ロマンチックに描きます。

孝(竹野内豊)がついに発表会の舞台へ!?偏屈で口下手な数学者・孝がひょんなことから、みんなと「雨ニモ負ケズ」を朗読することに。しかし緊張のあまり、言葉が出ない!

孝(竹野内豊)は奈緒(ミムラ)と一か月ぶりに会うことになった。そこで奈緒は、離婚を決意した理由を明かすが、孝への不満は想像を超えるものだった。一方、朗読教室ではライブに向け、泰代(片桐はいり)たちが群読の猛練習をしていた。孝も仲間に誘われるが、気乗りがせずに断る。そして発表会当日、トラブルが起き、朗読メンバーに欠員が出てしまう。孝は京子先生(麻生久美子)から、舞台へ上がって欲しいと頼まれるが…。

今回の朗読作品
「氷菓」作:室生犀星  「雨ニモマケズ」作:宮澤賢治  「くじらぐも」作:中川李枝子/絵:柿本幸造
 「津軽」作:太宰治

出演  竹野内豊 麻生久美子 柴田恭兵 ミムラ 杉本哲太 片桐はいり 堀内敬子
    大原櫻子 戸塚祥太
 趣里 平泉成 松岡充 仁科亜季子


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その「発見」の現場に立ち会ったり、碑文の揮毫をしたりと、光太郎とも縁の深い宮沢賢治の「雨ニモマケズ」がメインで取り上げられます。

ところで、昨夜の第2話で、その朗読ライブのチラシが映りました。そこには「雨ニモマケズ」と並んで「「智恵子抄」 高村光太郎」の文字が。

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しかし、番組公式サイトの予告では、残念ながら「智恵子抄」には触れられていませんでした。今後の回に期待したいところです。

それぞれ、ぜひご覧下さい。


【折々のことば・光太郎】

けちな善意は大局に及ばず、 せまい直言は喜劇に類した。 わたくしは唯心を傾けて先生に慙謝し、 自分の醜を天日の下に曝すほかない。

詩「蒋先生に慙謝す」より 昭和22年(1947) 光太郎65歳

「蒋先生」は蒋介石。戦時中、その徹底した抗日思想を批判し「沈思せよ蒋先生」(昭和17年=1942)という詩を書いた光太郎。連作詩「暗愚小伝」を経て、みずからの誤りに思い至り、この詩を書きました。「けちな善意」「せまい直言」は、「沈思せよ蒋先生」での、蒋介石への呼びかけを指します。

ついでにいうなら、「自分の醜を天日の下に曝すほかない」も、初期の翼賛詩「天日の下に黄をさらさう」(昭和12年=1937)からの連想でしょう。「黄」は欧米人の蔑視する「黄色人種」の「黄」という意味でした。

テレビ放映情報です。

ブラタモリ #81 十和田湖・奥入瀬 ~十和田湖は なぜ“神秘の湖”に?~

NHK総合 2017年9月2日(土) 午後7時30分~8時15分

出演 タモリ/近江友里恵アナウンサー ナレーション 草彅剛 テーマソング 井上陽水

ブラタモリ、十和田湖・奥入瀬へ!
十和田湖といえば、青森と秋田の県境に広がる美しい湖。奥入瀬渓流とあわせて、年間100万の観光客がやってくる人気スポットです。
新緑のシーズンから秋の紅葉、そして厳しい雪景色と、1年を通じて「神秘的」な風景が楽しめる場所ですが・・・でもそもそも、どうして十和田湖は“神秘の湖”になったのでしょうか?十和田湖、そして奥入瀬の不思議な成り立ちと知られざる姿を、タモリさんがブラブラ歩いてひも解きます。
まずやってきたのは、十和田湖の湖畔。湖底に現れる神秘的な「白い筋」が、十和田湖の成り立ちを解き明かすカギだった?なぜか喫茶店の「ココアと練乳」であきらかになる十和田湖誕生の秘密!・・・っていったいどういうこと!?
実は十和田湖は、火山の噴火によって出来たカルデラ湖。しかもなんと出来たてホヤホヤの、世にも珍しい「二重カルデラ湖」だった!ボートで湖へ出たタモリさん、目の前にそそりたつ急な崖に大興奮!この崖こそ、火山の中身が見えるというダイナミックな神秘だった!
さらに十和田湖の神秘といえば、もともと魚がいなかったという湖に、なぜか棲んでいるヒメマス。ヒメマスが養殖できたのも、「二重カルデラ」がつくった湖の神秘的な地形がきっかけだった?
さらに美しい滝と渓谷で知られる、奥入瀬渓流へ。十和田湖の水がただひとつ流れ出るスポットにも神秘がいっぱい!14あるという滝に隠された、1万5000年前の奇跡とは?奥入瀬の美しい森を作り出したのは・・・何と「コケ」だった?コケが織り成す神秘的なミクロの世界にタモリさんもビックリ!

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というわけで、NHKさんの人気番組「ブラタモリ」。地質学の普及への貢献が評価され、日本地質学会さんから表彰されたりもしています。

今週はお休みですが、来週土曜日、9月2日の放送で、光太郎最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」の立つ十和田湖と、奥入瀬渓流が取り上げられます。予告編では、「乙女の像」は写っていませんでしたが、ぜひとも写っていてほしいものです。

他にも光太郎智恵子ゆかりの地で、銚子犬吠埼や安達太良山など、地質学的に特異な場所がいろいろありますので、そちらも取り上げて下さればとも存じます。


【折々のことば・光太郎】

石くれは動かない 不思議なので しやがんで いつまでも見てゐた

詩「石くれの歌」より 昭和20年(1945)頃 光太郎63歳頃

光太郎が手元に残した紙切れに書かれていたもので、おそらく雑誌等には未発表の詩です。ただ、実現しませんでしたが、戦争末期に『石くれの歌』という詩集を刊行する意図があったことは確かで、それに関わるという推理が可能なため、「昭和20年(1945)頃」としています。

不動の「石」に対し、自分でも余り予期していなかった「動き」――過激な戦争協力――をしてしまった、せざるをえなかった光太郎、何を見ていたのでしょうか……。

明日から3日間、テレビ番組でぽつりぽつりと光太郎智恵子が取り上げられます。

まずは、これまでも時折光太郎智恵子を取り上げて下さっている、NHK Eテレさんの「にほんごであそぼ」。明日と明後日の放映で「あどけない話」がラインナップに入っています。さらにそれぞれ来月に入ってからも再放送があります。

にほんごであそぼ

2歳から小学校低学年くらいの子どもと親にご覧いただきたい番組です。日本語の豊かな表現に慣れ親しみ、楽しく遊びながら“日本語感覚”を身につけることができます。

2017年6月28日(水)・7月12日(水) NHK Eテレ 6:35~6:45   再放送 17:00~17:10  
文楽/智恵子は東京に空が無いといふ「あどけない話」高村光太郎、うなりやベベン/触らぬ神に祟り無し(ことわざ)、ひゃくにん・いっしゅの百人一首劇場/契りきなかたみに袖をしぼりつつ末の松山…(清原元輔)、歌/浜辺の歌、五十三次ロケンロー。

2017年6月29日(木)・7月13日(木) NHK Eテレ 6:35~6:45   再放送 17:00~17:10  
玉屋鍵屋、文楽/智恵子は東京に空が無いといふ「あどけない話」高村光太郎、ヨシタケ×山陽のおよおよ/「蟹工船」小林多喜二、歌/浜辺の歌、五十三次ロケンロー。


「文楽」とありますが、同番組では、豊竹咲甫太夫さんらによる人形浄瑠璃文楽で、古今の文学作品の一節を演じるコーナーがあります。


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金曜日には、BS放送の番組で。 

武田鉄矢の昭和は輝いていた 昭和のロングセラー蚊取り線香&コカ・コーラ

2017年6月30日(金) BSジャパン  21時00分~21時54分

「激動の時代」と言われた「昭和」は、日本人が振り返りたくなる魅力にあふれています。 この番組では、昭和を象徴する「人」「モノ」「できごと」から、毎回ひとつのテーマをピックアップ。当時の映像・写真を盛り込み、「昭和」の魅力を再発掘していきます!

◆夏のシンボル「金鳥・蚊取り線香」。長い間売れ続ける商品の隠された物語。渦巻きの秘密や、記憶に残る美空ひばりさんのCMに驚きの真実があることが判明!世界初の明治の蚊取り線香も登場。 ◆夏の清涼飲料水「コカ・コーラ」アメリカ発の飲料が日本で流行した立役者は?その知られざる苦労と懐かしのCMで、昭和の若者風俗を懐古します。

司 会 武田鉄矢 須黒清華(テレビ東京アナウンサー)
ゲスト 上山久史(大日本除虫菊株式会社専務取締役) 荻原博子(経済ジャーナリスト)
     町田忍(庶民文化研究所所長)

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コカ・コーラの項で、光太郎がちらっと紹介されるはずです。

光太郎の第一詩集『道程』に、「狂者の詩」という詩が収められています。初出は大正元年(1912)12月の雑誌『白樺』です。その中で「コカコオラ」の語が使われており、文学作品におけるコーラの最も早い使用例の一つです。

コーラと光太郎については、以前のこのブログでもご紹介しています。こちらをご覧下さい。

少し前に、花巻高村光太郎記念会さんから電話がありました。番組制作会社からの問い合わせに関してのヘルプ要請でした。問題は「狂者の詩」の読み方。「詩」一文字が「し」なのか、「うた」なのか、ということでした。

基本的にルビが振らていない漢字の読み方は、よほど度外れた読み方でない限り、不正解とは言えません。したがって、「し」と読んでも、「うた」と読んでもいいと思います。ただ、作者(光太郎)がどちらをイメージしていたのかを考えることは可能です。時代背景的に、「詩」を「うた」と読むようになるのはおそらくそれほど古い習慣ではないはずで、「し」の方が正解に近い気がします。だからといって、「うた」と読んだら×、というわけではないと思います。どうしても「うた」と読みたければ、どうぞ、それで結構――と答えておきました。

同様の問い合わせは結構あります。

少し前に、作曲家の野村朗氏からは、詩「樹下の二人」(大正12年=1923)に出てくる「愛の海ぞこ」の読み方を訊かれました。「うみぞこ」か「うなぞこ」か、と。『広辞苑』を調べても、どちらの読み方も登録されていません。もはや、こういう場合にはどちらで読んでも不正解とは言えないでしょう。ただし、他の詩との整合性ということを考えると、明治40年(1907)作の「博士」という詩の中に、「大海底」と書いて「おほうなぞこ」とルビが振られている箇所があり、「うなぞこ」の方が正解に近いのかな、という気がします。しかし、だからといって、「うみぞこ」と読んでもダメ出しはできないでしょう。

固有名詞についても、結構困る場合があります。やはり野村氏から、それからそれ以前に「日曜美術館 智恵子に捧げた彫刻 ~詩人・高村光太郎の実像~」制作のお手伝いをしていた中で、詩「案内」(昭和25年=1950)中の「毒が森」に関して、レファレンス依頼がありました。光太郎が戦後の七年間を暮らした花巻郊外旧太田村の山小屋(高村山荘)付近の地名として、「うしろの山つづきが毒が森。」という一節があります。こちらは固有名詞ですから、さまざまな読み方は無いわけで、本当の読み方は「ぶすがもり」です。

狂言の題目にもありますが、猛毒のトリカブトの別名が「附子(ぶす)」。そこからの連想で、「毒」に「ぶす」と訓読みを当てる場合があり、地名やら人名やらで使われています。ちなみに不美人を「ブス」というのは、トリカブトを食べて苦悶する人のような顔、という連想から来ているとか。

光太郎の山小屋の裏山も、正しくは「ぶすがもり」です。サイト「岩手の自然 毒ガ森山塊」などにもそう紹介されています。ところが、地元でも「ぶすがもり」という地名が忘れられつつあるようで、毎年5月の花巻高村祭で、地元の方がこの詩を朗読しますが、「どくがもり」と読んでいます。もはや地名としての「ぶすがもり」が忘れ去られているのであれば、「どくがもり」と読んでもいいのかな、などと思っております。

こうした詩句の読み方に関しては、ある意味、これだという正解が存在しない場合が多いと思います。大切なのは、読む人それぞれが、これはどう読むのだろう、とか、こう読む根拠は、などと考えを廻らせることではないでしょうか。とはいうものの、エラいセンセイなどが、いわゆる「論文」で、たった一語の読み方にこだわって、ああでもない、こうでもないとやっているのを見ると、「木を見て森を見ず」の感がぬぐえませんが。

さて、「武田鉄矢の昭和は輝いていた」。「し」と読むのか「うた」と読むのか、とりあえず注視します。もっとも、テレビ番組の場合、収録の尺などの関係で、レファレンスした内容がばっさりカットされることも珍しくありません。光太郎に触れずじまい、と、それは避けていただきたいのですが、どうなることやら……。


【折々のことば・光太郎】

潔さと美と飢と入水とを等分に持つたドウベル 低くなり得ぬもの詩人ドウベル
詩「レオン ドウベル」より 昭和6年(1931) 光太郎49歳

レオン・ドーベルは、フランスの詩人。貧困の中でマルヌ川に投身自殺したそうです。パリにいた彫刻家・高田博厚がその胸像制作にあたり、光太郎も援助しました。

詩人が「低くなる」というのは、自分の主義主張を曲げ、大衆や権力者に阿(おもね)る作品を書く、ということでしょうか。それができなかったドーベルに、光太郎は真の詩人の姿を見ているのだと思われます。

ところが光太郎自身は、この頃から大政翼賛の方向へ梶を切り始めます。この年は満州事変のあった年でした。おそらく、智恵子の心の病を引き起こした、「都会のまんなかに蟄居」(「蟄居」 昭和22年=1947)するような生活への反省、そうした生活を続けることで自身も心を病みそうな予感、そういったものが、光太郎を動かしていったものと思われます。

テレビ放映情報です。

連続ドラマW 宮沢賢治の食卓

WOWOWプライム 2017年6月17日(土) 22時00分~23時00分 第1話無料放送

『銀河鉄道の夜』『雨ニモマケズ』などで知られる、国民的作家・宮沢賢治。
孤高の存在として語られる印象とは裏腹に、じつはユーモアに溢れた好奇心の人でした。 賢治とは一体どんな人物で、如何なるものを食したのでしょうか!?
賢治の愛した食べ物には、家族や隣人、そしてやがて早逝する最愛の妹への深い愛情が秘められていました―。
若かりし頃の天真爛漫な宮沢賢治の青春時代を、彼の愛した食やクラシック音楽を通して、家族や親しい人たちとの関わりを描いた感涙必至の物語。
特に傑作詩篇「永訣の朝」にうたわれた最愛の妹・トシとの死別に描かれる兄妹愛の行く末は、涙なくして観られません。今までの映像作品ではなかなか描かれなかった、泣いて笑って躍動する、瑞々しい宮沢賢治 by 鈴木亮平に是非ご期待ください!!

第一話「幸福のコロッケ」
東京に家出をしていた質店の長男・宮沢賢治(鈴木亮平)は妹・トシ(石橋杏奈)の病気の電報を受け、岩手・花巻に帰郷する。母・イチ(神野三鈴)や弟妹たちには歓迎されるも、厳格な父・政次郎(平田満)とはなかなかうまくいかない。食、音楽、文学とあらゆることに興味のある賢治だが、自分を熱くするものを見つけられずにいた。そんなある日、農家の吉盛(柳沢慎吾)一家に出会う。

原作 魚乃目三太(少年画報社刊「思い出食堂」より)
脚本 池田奈津子
音楽 サキタハヂメ
監督 御法川修
出演 鈴木亮平、石橋杏奈、山崎育三郎、市川実日子、柳沢慎吾、井之脇海、神野三鈴、平田満 他


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設定は大正10年(1921)頃のようです。その5年後に、光太郎とただ一度だけ出会い、光太郎の生涯にも大きく関わる宮沢賢治が主人公のドラマです。全5話で、有料放送のWOWOWプライムさんでの放映ですが、第1話のみ無料放送だとのこと。

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鈴木亮平さん演じる賢治自身も光太郎を敬愛し、大正15年(1926)、自ら本郷区駒込林町の光太郎アトリエを訪ねていますが、より光太郎と深く関わった、賢治の家族が登場する点で、興味を引かれています。

賢治の父・政次郎。平田満さんです。賢治歿後に、『宮沢賢治全集』の発刊や、花巻に建った賢治詩碑の揮毫などで世話になった光太郎に恩義を感じ、昭和20年(1945)、空襲でアトリエを焼け出された光太郎を花巻に招きました。

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その妻・イチ。神野三鈴さんが演じます。宮沢家に疎開した光太郎は、すぐに結核性の肺炎で高熱を発し、約1ヶ月臥床。その間、そしてその後も、自宅が空襲で焼ける8月10日まで、かいがいしく光太郎の世話をして下さいました。

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こちらが光太郎(右)と、リアル政次郎・イチ夫妻です。

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賢治の弟・清六(井之脇海さん)と、妹・シゲ(畦田ひとみさん)。

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兄を亡くした二人にとって、光太郎は兄のように思えたのでしょうか、何くれとなく光太郎の面倒を見てくれたりしました。

賢治が歿した翌年の昭和9年(1934)、新宿モナミで開かれた賢治追悼の会の席上、清六が持参した賢治遺品のトランクから出て来た手帖に書かれていた「雨ニモマケズ」が「発見」されました。その場にいたのが光太郎、草野心平、永瀬清子、巽聖歌、深沢省三、吉田孤羊、宮靜枝らでした。

昭和21年(1946)から24年(1949)にかけて、日本読書組合から発行された『宮沢賢治文庫』は、清六と光太郎の共編です。光太郎が花巻郊外太田村に移ってからも、二人はお互いに行き来していました。

シゲは光太郎が疎開してきた際には、既に岩田家に嫁いでいましたが、ちょくちょく実家に帰り、やはり光太郎の世話を色々焼いてくれました。亡き智恵子が織った反物から、羽織やモンペを仕立ててくれたのもシゲですし、光太郎が宮沢家に厄介になっていた頃には、光太郎のために毎日山羊の乳を入手する手配をしてくれました。

それから、賢治の親友・藤原嘉藤治(山崎育三郎さん)。やはり賢治つながりで、光太郎と親交がありました。

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リアル嘉藤治(中央)と光太郎(左)。

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石橋杏奈さん演じる賢治の最愛の妹・トシは、賢治が光太郎と出会う以前の大正11年(1922)に亡くなっていますが、その死を謳った賢治の絶唱「永訣の朝」は、光太郎が智恵子の最期に題材をとぅた「レモン哀歌」に影響を与えていると考えられます。ちなみに、やはり面識はなかったと思われますが、トシは智恵子と同じ日本女子大学校に通っていました。

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動画投稿サイト「YouTube」から。

連続ドラマW 宮沢賢治の食卓/メイキング映像



ぜひご覧下さい。


【折々のことば・光太郎】

孤独の痛さに堪へ切つた人間同志の 黙つてさし出す丈夫な手と手のつながりだ 孤独の鐵(かな)しきに堪へきれない泣蟲同志の がやがや集まる烏合の勢に縁はない 

詩「
孤独が何で珍らしい」より 昭和4年(1929) 光太郎47歳

トシ、賢治と、我が子二人を逆縁の不孝で失った政次郎。妻・智恵子に先立たれ、空襲で住処も無くした光太郎に、黙って手を差し伸べてくれました。まさしく「黙つてさし出す丈夫な手と手のつながり」ですね。

欲得ずくで集まっただけのどこぞの政党や、自分の都合が悪くなるとトカゲのしっぽよろしく、手のひらを返して手を切ろうとする大臣閣下諸氏――「孤独の鐵(かな)しきに堪へきれない泣蟲同志の がやがや集まる烏合の勢」――に贈りたい文言です(笑)。

まず、テレビ再放送情報。

にほんごであそぼ

2017年5月25日(木)  NHK Eテレ  6:35~6:45   再放送 17:00~17:10  (4月から放送時間変更)

2歳から小学校低学年くらいの子どもと親にご覧いただきたい番組です。日本語の豊かな表現に慣れ親しみ、楽しく遊びながら“日本語感覚”を身につけることができます。今週はごもじもじ・リクエスト特集!歌舞伎/「菅原伝授手習鑑」竹田出雲・三好松洛・並木千柳、飛行機さんよう/「人に」高村光太郎、ごもじもじ、ちょい暗記/7級「十二ヶ月」、文楽/河童のゴーカート、歌/あかたすんどぅんち~しーやーぷー~、よさ恋そめし

出演 美輪明宏,神田山陽,三世 桐竹勘十郎,中村勘九郎,中村勘太郎,おおたか静流 ほか


5/11のオンエアの再放送です。

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夙に指摘されていますが、幼児向けでありながら、なかなかシュールな番組です。今回の「飛行機さんよう/「人に」高村光太郎」(約35秒)も、シュール全開です(笑)。


さて、もう1件。同番組で生まれた楽曲のCDです。
販売価格 2,916円(税込)

『日本一!』 には、「こころよ」「うなりやベベンの平家物語」など、名作がたっぷりの月歌を、野村萬斎とのコラボレーションで話題となった最新作「ベベンの風の又三郎」まで、完全収録!さらに、ベベンの紙芝居・全8作や、元気コンサートでのライブ音源まで、心に残る名曲が満載です。

『名調子!』 には、早口言葉や回文などの言葉あそびから、俳句・詩・小説まで、様々な名文を50作以上収録!ベベンさんの多彩な魅力があふれ、たくさんの名文も覚えてしまうお得な一枚です。

番組にとってベベンさんの存在はあまりに大きいため、その作品群を収めるのにCD1枚ではもちろん足りません。今回は豪華2枚組となっての登場です。

笑いと感動がいっぱいの二枚組。永久保存版です!


一昨年の暮れに、55歳の若さで亡くなった同番組レギュラーの「うなりやベベン」こと、浪曲師・国本武春さんの楽曲を集めた、追悼的なCDです。昨年、発売されていました。

光太郎詩「冬が来た」をにぎやかに歌う「ベベンの冬が来た」が、2バージョンで収録されています。

「うなりやベベン」、同番組ではいまだに「出演」しています。このNHKさんの粋なはからいに、思わずほろっとしました。

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やはりシュールですが(笑)。


【折々のことば・光太郎】

この心は棄てられない。 いくら夢だときめてみても 頑としてそこに居る。
詩「焼けない心臓」より 昭和3年(1928) 光太郎46歳

火刑に処されたジャンヌ・ダルクの遺体で、心臓が焼けずに残っていたという逸話を下敷きにしています。この時期、光太郎はジャンヌやイエス・キリスト、松尾芭蕉など、古今東西の自らの信念に殉じた人々を詩のモチーフに多用しています。

光太郎自身は、貧しさに耐えながら、俗世間を超越しようとしていた芸術精進の毎日で、それが自らの信念でした。その結果、他の要因も相まって、智恵子の心の病が加速していくのです。

NHK Eテレさんの子供向け番組「にほんごであそぼ」。「楽しく遊びながら“日本語感覚”を身につけることができる番組」というコンセプトで、時折、光太郎の詩を取り上げて下さっています。今週、ひさびさに光太郎詩が使われます。

にほんごであそぼ

NHK Eテレ 2017年5月11日(木) 6:35~6:45  再放送 17:00~17:10(4月から放送時間変更)

2歳から小学校低学年くらいの子どもと親にご覧いただきたい番組です。日本語の豊かな表現に慣れ親しみ、楽しく遊びながら“日本語感覚”を身につけることができます。今週はごもじもじ・リクエスト特集!歌舞伎/「菅原伝授手習鑑」竹田出雲・三好松洛・並木千柳、飛行機さんよう/「人に」高村光太郎、ごもじもじ、ちょい暗記/7級「十二ヶ月」、文楽/河童のゴーカート、歌/あかたすんどぅんち~しーやーぷー~、よさ恋そめし

出演 美輪明宏,神田山陽,三世 桐竹勘十郎,中村勘九郎,中村勘太郎,おおたか静流 ほか

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「飛行機さんよう」は、講談師の神田山陽さんのコーナーで、なぜか飛行機の着ぐるみを装着なさっています。下記は一昨年、「冬が来た」を扱って下さった回。

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今回は「人に」ということですが、光太郎の「人に」という詩は二つあります。

一つは明治45年(1912)7月作のもの。大正に改元となって9月、雑誌『劇と詩』への発表当初は「N――女史に」という題でした。大正3年(1914)の詩集『道程』に収められた際に「――に」と改題、内容もかなり改訂され、さらに最終的には昭和16年(1941)の詩集『智恵子抄』の巻頭を飾っています。

最終詩形がこちら。

   人に003

 いやなんです
 あなたのいつてしまふのが――

 花よりさきに実のなるやうな
 種子(たね)よりさきに芽の出るやうな
 夏から春のすぐ来るやうな
 そんな理窟に合はない不自然を
 どうかしないでゐて下さい
 型のやうな旦那さまと
 まるい字をかくそのあなたと
 かう考へてさへなぜか私は泣かれます
 小鳥のやうに臆病で
 大風のやうにわがままな
 あなたがお嫁にゆくなんて

 いやなんです
 あなたのいつてしまふのが――

 なぜさうたやすく
 さあ何といひませう――まあ言はば
 その身を売る気になれるんでせう
 あなたはその身を売るんです
 一人の世界から
 万人の世界へ
 そして男に負けて
 無意味に負けて
 ああ何といふ醜悪事でせう
004
 まるでさう
 チシアンの画いた絵が
 鶴巻町へ買物に出るのです

 私は淋しい かなしい
 何といふ気はないけれど
 ちやうどあなたの下すつた
 あのグロキシニヤの
 大きな花の腐つてゆくのを見る様な
 私を棄てて腐つてゆくのを見る様な  
 空を旅してゆく鳥の
 ゆくへをぢつとみてゐる様な
 浪の砕けるあの悲しい自棄のこころ
 はかない 淋しい 焼けつく様な
 ――それでも恋とはちがひます
 サンタマリア
 ちがひます ちがひます
 何がどうとはもとより知らねど
 いやなんです
 あなたのいつてしまふのが――
 おまけにお嫁にゆくなんて
 よその男のこころのままになるなんて


おそらく、今回の「にほんごであそぼ」で取り上げて下さるのは、これでしょう。平成25年(2013)の放映でも、こちらが取り上げられました。

追記 午後になって番組公式ホームページが更新されました。それによるとやはり「いやなんです」の「人に」でした。

もう一つの「人に」は、大正2年(1913)の作。やはり智恵子をモチーフとしますが、詩集『道程』に採られたものの、詩集『智恵子抄』には収録されませんでした(草野心平編の新潮文庫版『智恵子抄』 昭和31年=1956には入っています)。その分、前記「人に」より知られていません。

   人に

 遊びぢやない
 暇つぶしぢやない

 あなたが私に会ひに来る005
 ――画もかかず、本も読まず、仕事もせず――

 そして二日でも、三日でも
 笑ひ、戯れ、飛びはね、又抱き
 さんざ時間をちぢめ
 数日(すうじつ)を一瞬に果す
 ああ、けれども
 それは遊びぢやない
 暇つぶしぢやない
 充ちあふれた我等の余儀ない命である
 生である
 力である
 浪費に過ぎ過多に走るものの様に見える
 八月の自然の豊富さを
 あの山の奥に花さき朽ちる草草や
 声を発する日の光や
 無限に動く雲のむれや
 ありあまる雷霆や

 雨や水や
 緑や赤や青や黄や
 世界にふき出る勢力を
 無駄づかひと何うして言へよう
 あなたは私に躍り
 私はあなたにうたひ
 刻刻の生を一ぱいに歩むのだ
 本を抛つ刹那の私と
 本を開く刹那の私と
 私の量は同(おんな)じだ
 空疎な精励と
 空疎な遊惰とを
 私に関して聯想してはいけない
 愛する心のはちきれた時
 あなたは私に会ひに来る
 すべてを棄て、すべてをのり超え
 すべてをふみにじり
 又嬉嬉として


こちらもいい詩ですね。もっと知られてほしいものです。


さて、「にほんごであそぼ」。ぜひご覧下さい。


【折々のことば・光太郎】

正しさ、美しさに引かれるから 磁石の針にも化身するのだ。 あたりまへな事だから 平気でやる事をやらうとするのだ。

詩「当然事」より 昭和3年(1928) 光太郎46歳

「磁石の針にも化身」は、光太郎が好んで揮毫した「いくらまはされても針は天極をさす」に関わります。ぶれない自分の表象です。

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「正しさ、美しさに引かれ」、「あたりまえな事」を「平気でやる」。簡単なようで、難しいことです。

ともにBS放送の番組、2本ご紹介します。

実践! にっぽん百名山 「安達太良山」

NHKBS1 2017年4月18日(火)  14時00分~14時30分

福島を代表する名峰・安達太良山(標高1700m)を行く1泊2日の山旅。山麓に広がる新緑の樹林帯、春の訪れを告げる花々、ダイナミックな噴火口など登るごとに景色が変わる登山を楽しむ。ヤマ塾は、長く歩き続けるテクニックを紹介する。脚の運び方から、ペース配分、脚の疲労を軽減するためのグッズなど、脚力に自信のない人でも安心して山を登るためのノウハウを解説する。

司会 工藤夕貴 萩原浩司   語り 鈴木麻里子   出演 佐藤哲朗 金子貴俊

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今月8日に本放送があり、そちらを拝見しました。

司会は工藤夕貴さんと萩原浩司さん、ゲストは金子貴俊さん。

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冒頭近く、光太郎智恵子に絡めて安達太良山をご紹介くださいました。

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以降は、地元登山ガイドの方によるナビゲートで、実際の登山レポート。

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さまざまな表情を持つ山だというのがよくわかる作りになっていました。


続いて、先月、地上波テレビ東京系で放映された「美の巨人たち」。

美の巨人たち 平櫛田中『鏡獅子』彫刻家の信念と覚悟▽5代目尾上菊之助の思い

BSジャパン 2017年4月19日(水)  23時00分~23時30分

6代目尾上菊五郎演じる新歌舞伎十八番を捉えた『鏡獅子』。明治・大正・昭和を生き抜いた彫刻界の巨人・平櫛田中が着想から完成までなんと22年をかけたこの作品に迫ります。

6代目尾上菊五郎演じる新歌舞伎十八番[春輿鏡獅子]。今回の作品は、その一場面を捉えた高さ2mの木造彫刻『鏡獅子』。国立劇場のロビーに展示されています。作者は彫刻家・平櫛田中(ひらくしでんちゅう)。今にも動き出さんばかりの躍動感!しかも裸の姿まで彫り上げています。これこそが田中の頂点を極めた作品だといいます。

田中が作品に挑んだのは65歳。完成は22年後。そこまで歳月をかけたのには、彫刻家と歌舞伎俳優の深い絆と信頼が。知られざる『鏡獅子』誕生物語に迫ります。さらに『鏡獅子』を何度も演じている、5代目尾上菊之助が作品と対面。“6代目”を前に感じたその思いを語ります。

ナレーター 小林薫  蒼井優

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光雲門下の平櫛田中(でんちゅう)の代表作、木彫彩色の「鏡獅子」が取り上げられます。

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これも冒頭近く、田中の経歴的な話の中で、光雲に触れられました。

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光雲の後ろにいる学帽が光太郎なのですが、そこはスルー(笑)。田中と光太郎はかなり親しかったのですが。


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さらにゲストは歌舞伎の5代目尾上菊之助さん。

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昨年、100年ぶりに見つかった田中の木彫「尋牛」も写りました。

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興味深かったのは、「鏡獅子」の制作過程。はじめに小型の試作を作り、それを正確に拡大したところ、納得が行かなかったというのです。

この点については、田中の弟子筋にあたる、橋本堅太郎氏(二本松駅前の智恵子像の作者)が的確な解説を加えてくださっていました。

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このあたり、光太郎最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」にも通じるような気がしました。「乙女の像」は、小型試作、中型試作、そして実際の像と、3段階で作られました。下の画像、左が小型試作、右が実際の像です。

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なるほど、という感じでした。


それぞれ、ぜひご覧ください。


【折々のことば・光太郎】

この世の美からは逃げられない。 首をかけても、 この世の美からはどかれない。
詩「美を見る者」より 昭和2年(1927) 光太郎45歳

造形作家として、まさしくそうだったのでしょう。

そして、平櫛田中、それから安達太良山の「ほんとの空」を見つめながら画家としての大成を目指した智恵子も同じだったのではないでしょうか。

テレビ放映情報です。ともにNHKさんのBS1で、智恵子の故郷・二本松にそびえる安達太良山が取り上げられます。

実践! にっぽん百名山 「安達太良山」

NHKBS1 2017年4月8日(土)  17時00分~17時30分

福島を代表する名峰・安達太良山(標高1700m)を行く1泊2日の山旅。山麓に広がる新緑の樹林帯、春の訪れを告げる花々、ダイナミックな噴火口など登るごとに景色が変わる登山を楽しむ。ヤマ塾は、長く歩き続けるテクニックを紹介する。脚の運び方から、ペース配分、脚の疲労を軽減するためのグッズなど、脚力に自信のない人でも安心して山を登るためのノウハウを解説する。

司会 工藤夕貴 萩原浩司   語り 鈴木麻里子   出演 佐藤哲朗 金子貴俊

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15分でにっぽん百名山「安達太良山」

NHKBS1 2017年4月10日(月)  16時30分~16時45分

安達太良山は、磐梯山と並んで福島を代表する名峰だ。ダイナミックな噴火口を持つ火山の荒々しさと山麓に広がるたおやかな樹林帯が対をなし、変化に富んだ景観が登山者を魅了する。今回は山の東側、塩沢登山口から1泊2日のコース。1日目は、初夏にふさわしい爽快感を味わえる新緑の森と渓谷沿いを進む。宿泊は「くろがね小屋」。2日目は、荒々しい岩石が連なる尾根を進み、大迫力の巨大噴火口跡から絶景の山頂に。

語り 鈴木麻里子   出演 佐藤哲朗 


一昨年に、やはりNHKさんのBS1で放映された、「実践!」がつかない「にっぽん百名山」という番組の安達太良山編では、智恵子が愛したほんとの空がある山、的なアプローチをしていただきました。

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昨年も、同じ「にっぽん百名山」で安達太良山編の新作が放映され、そちらでは残念ながら、光太郎智恵子には触れられませんでした。

「実践!」がついた今回の番組は、「「これから百名山に登りたい!」そんな方々に向けた、実践的な登山番組です。毎回「 にっぽん百名山」のひとつの山を取り上げ、ルートの見どころや注意点を詳しく解説。 すぐに役立つ、山登りのテクニックや装備、便利グッズもたっぷり紹介します。」とのことで、より「登山」に重きを置いた作りになっているようです。

「15分で……」の方は、そのダイジェスト版でしょうか。どちらにも地元の山岳ガイド・佐藤哲朗氏がご出演。

昨年放映され、光太郎智恵子に触れられなかった「にっぽん百名山」が、やはり佐藤氏のご出演によるもので、どうも今回の放映はそちらを編集したものかな、という気がします。ただ、編集された中で、新たに光太郎智恵子の名を出していただきたいものです。

安達太良山といえば、山開きが来月21日だそうです。そちらのキャッチコピーが「ほんとの空が、ここにある」。

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こちらの情報は、また近くなりましたら詳しくお伝えします。


【折々のことば・光太郎】

一人の詩人がいふ、 「あの頃の仲間はとにかくみんな、 功成り、名遂げてゐるな。」 私はびつくりして その可憐な詩人の顔を見る。 近頃剃り落した髭の迹が青黒く、 鼻の下が烏のやうに尖つてゐた。 「君、君、しつかりしろよ」といへないほど、 その詩人はみじめであつた。

詩「二つの世界」より 昭和2年(1927) 光太郎45歳

「詩人」であることと、「功成り名遂げる」ことは、光太郎にとって、両立すべからざる「二つの世界」。同じ考えだと信じていた旧知の詩人が、実はそうではなかったというわけですね。それが誰なのか、興味深いところですが、不明です。

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