昨日のブログで、吉本隆明氏の著書『超恋愛論』を紹介しました。
その中の「恋愛というのは、男と女がある距離の中に入ったときに起きる、細胞同士が呼び合うような本来的な出来事」という定義。やはり光太郎智恵子を想起せずにはいられません。
そこで思い出したのが、先月、生活圏の古書店で購入した以下の書籍です。
『大正の女性群像』昭和57年(1982)12月1日 坪田五雄編 暁教育図書
内容的には主に二本立てです。「人物探訪」の項で、大正期に名を馳せた各界の女性を扱い、「女性史発掘」の項で女性一般についての説明。どちらも豊富な図版、写真が添えられ、ビジュアル的にも豪華な本です。
「人物探訪」の項で扱われているのは、もちろん智恵子、そして平塚らいてう、伊藤野枝、松井須磨子、柳原白蓮、田村俊子、相馬黒光、九条武子、岡本かの子などなど。
それぞれに名を成した女性たちですが、程度の差こそあれ、それぞれの人生が激しい恋愛に彩られています。
ここにはやはり「大正」という時代の雰囲気がからんでいるのでしょう。ある意味閉塞的だった「明治」が終わって迎えた「大正」。「昭和」に入って泥沼の戦争の時代になるまで、束の間、新しい風が吹いた時代だと思います。
その「大正」に、光彩を放った女性たち。強引な考えかも知れませんが、彼女たちも一人では埋もれてしまっていたのではないでしょうか。吉本氏曰くの「男と女がある距離の中に入ったときに起きる、細胞同士が呼び合うような本来的な出来事」である激しい恋愛を経て、それぞれの輝きにたどり着いているような気がします。
その結果が決して幸福とはいえない人生につながってしまった女性もいるかも知れませんが……。
さて、今は「平成」。百年後の人々は、「平成」という時代をどう位置付けるのでしょうか……。