カテゴリ: 音楽/演劇等

もう少し早くご紹介するべきところでしたが、日付を勘違いしておりました。明日の公演です。

大人のための朗読会『あの空、あの声』-ふるさとの記憶-

期 日 : 2026年1月12日(月・祝)
会 場 : 成増アートギャラリー 東京都板橋区成増3丁目13-1
時 間 : 14:00~15:00 
料 金 : 無料

出 演 : 朗読ワークショップ声流
演 目 : 鹿児島感傷旅行/向田邦子 海酒/田丸雅智 あどけない話/高村光太郎 ほか

遠く離れても、深く心に刻まれた場所…ふるさと  いろいろな想い出、風の匂い、日差し、親しかった人びと…その場所を振り返るとき人は皆、胸を締め付けられる ふるさとを思い起こす朗読会です。
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主催は板橋区成増図書館さん。朗読ワークショップ声流さんによる「大人のための朗読会」は定期的に開催されているようです。平成31年(2019)には『道一その先』のサブタイトルで行われ、やはり光太郎詩「道程」がプログラムに入っていました。

今回は「『あの空、あの声』-ふるさとの記憶-」だそうで、「空」といえば「智恵子は東京に空が無いといふ、ほんとの空が見たいといふ。」の「あどけない話」(昭和3年=1928)ですね。

それからフライヤーを見て一瞬、「あどけない話」と同じく『智恵子抄』所収の「梅酒」(昭和15年=1940)かと思ったのですが、田丸雅智氏の「海酒」。やはり主人公が不思議なバーでメニューに書かれた「海酒」の文字を「梅酒」と勘違いするストーリーです(笑)。

ご都合つく方、ぜひどうぞ。

【高村光太郎書誌】

本人著作(全体)11 『ロダン』アルス美術叢書 24

昭和2年(1927)4月17日 アルス 高村光太郎著
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目次
 一、一個の全球
 二、親ゆづり
 三、善い姉さんと腹の出た家と
 四、始まり
 五、実地修行
 六、修道院
 七、下働きと仕立女工
 八、総決算と新時代
 九、苦境と愉楽と
 十、振出しへ返る事
 十一、自己の道
 十二、「歩む人」と「地獄の門」と
 十三、胸像群
 十四、記念像群及「バルザツク」の彫刻的意義
 十五、一九〇〇年以後
 十六、晩年、死、死
 十七、「小さい花子」

光太郎が終生敬愛したロダンの書き下ろし評伝です。

最終章「小さい花子」は、ロダン彫刻のモデルを務めた確認出来ている限り唯一の日本人・花子こと太田ひさを岐阜に訪ねたレポートです。ひさは森鷗外の短編小説「花子」にも描かれました。

コンサート情報、2件ご紹介します。

開催日順に、まずは都内から男声合唱。

男声合唱団東京リーダーターフェル1925 創立100周年記念定期演奏会2025

期 日 : 2025年12月19日(金)
会 場 : すみだトリフォニーホール 東京都墨田区錦糸1-2-3
時 間 : 18:30開演
料 金 : S席 3,000円 A席2,000円
      プレミアムチケット特別席 ペア特別席と5,000円の寄付で10,000円

創立100周年を迎える男声合唱団東京リーダーターフェル1925が、記念すべき節目にすみだトリフォニーホール大ホールで贈る四部構成の記念演奏会です。第一ステージではこれまでに委嘱された小品集と一青窈さんの〈ハナミズキ〉を米国の詩人アーサー・ビナードの英訳版で演奏。続くステージではシューベルトの男声合唱名曲集を弦楽五重奏とともに、さらに第3ステージでは鈴木憲夫先生の本邦初演作を第4ステージでは当団にゆかりのある仲間と一緒に高村光太郎作詞 清水脩作曲の〈智恵子抄〉を、最後に長年にわたりお付き合いのある韓国男声合唱団を迎えて韓国曲「ポリバ」や「なつかしい金剛山」を共演。多彩な作品と100年の歴史が紡ぐハーモニーを心ゆくまでお楽しみください。今回はMCによる曲目紹介もありますので初めて男声合唱を聴く方にも分かりやすい演奏会にしておりますのでぜひご来場お待ちしております。

プログラム
 第1ステージ 委嘱作品小品集
  夜明けのうた 岩谷時子作詞 いずみたく作曲 安藤由布樹編曲
  竹田の子守歌 京都府民謡 和田和宏編曲
  牛深ハイヤ節 熊本県民謡 相澤直人編曲
  江戸木遣り唄 東京都民謡 土田豊貴編曲
  A HundredYears一青窈作詞 アーサー・ビナード英訳 マシコタツロウ作曲 和田和宏編曲
 弟2ステージ シューベルト男声合唱曲集
  夜 春へ ナイチンゲール 水上の精霊の歌
 第3ステージ 創立100周年記念委嘱作品
  宇宙の塵となって… 塔和子作詞 鈴木憲夫作曲
 第4ステージ ターフェルの仲間たちと共に
  或る夜のこころ 高村光太郎作詞 清水脩作曲
  智恵子抄巻末のうた六首 高村光太郎作詞 清水脩作曲
  ポリバ(麦畑) 韓国歌曲
  クリウンクムガンサン(懐かしい金剛山) 韓国歌曲

出演
 合唱:男声合唱団東京リーダーターフェル1925 
    男声合唱団東京リーダーターフェルジルヴァーナー1995

 指揮:樋本英一 佐藤洋人 岩佐義彦 金弘植  ピアノ:高取達也 大下さや香
 ギター:宮下祥子 弦楽五重奏:尾原記念五重奏団
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男声合唱の古典の一つ、清水脩氏作曲の「智恵子抄巻末のうた六首」(昭和39年=1964)、同じく清水氏の「或る夜のこころ」(昭和40年=1965)が演奏されます。共に定番すぎて却って最近は取り上げられる機会が多くない曲だと感じます。

それにしても創立100周年というのがすごいと思いました。100年前はまだ大正ですから。

もう1件、大阪から器楽系です。

『クレモナ』モダンタンゴ・ラボラトリ第19回定期公演「ほんとうの空」

期 日 : 2025年12月21日(日) 
会 場 : あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール
      大阪市北区西天満4丁目15-10
時 間 : 開場: 13:00 / 開始: 13:30 / 終了: 15:30
料 金 : S席 6,000円 A席 5,000円 B席 4,000円 (当日各500円増) 

空を聴く。音楽を超える体験を 東京には空がない、と言った高村智恵子。星月夜を描いたゴッホ。そして私たちは音楽で、「ほんとうの空」を描きます。

プログラム(一部抜粋)
 坂本龍一:戦場のメリークリスマス・Aqua・東風 
 ピアソラ:ブエノスアイレスの冬・1960年のナイトクラブ・天使の復活 
 オリジナル曲:ほんとうの空 ― クレモナが贈る最新作
  ※ほか、坂本龍一・ピアソラ作品を中心にお届けします。
出演者
 『クレモナ』モダンタンゴ・ラボラトリ
 森脇佑季 fl 上野舞子 sax 松田あやめ hrn 久保田ひかり fg
2016年結成。「アストル・ピアソラ」の遺志を継ぎ、クラシック音楽の「次の100年」へ繋げる、新しいスタイルの木管四重奏団。国内唯一の「ピアソラ専門」の室内楽団であり、これまで50曲以上を手がけ、全ての楽譜を自分たちの手でオリジナルアレンジをし、暗譜で演奏をする。対位法を駆使して新たな音響効果に挑戦し、歌口の異なる4本の管楽器それぞれの限界に挑戦したアドリブ・ソロの数々、まるで4本で演奏しているとは思えないような卓越した新しいサウンド、クリアな音像とストイックな演奏スタイルは、他のアンサンブルの追随を許さない。
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「智恵子抄」に収められている「あどけない話」(昭和3年=1928)中の「ほんとの空」からのインスパイアで、オリジナル曲「ほんとうの空」が初演され、それをコンサート自体のタイトルに持ってきて下さいました。

カフェでの公開練習をなさったり、X(旧ツィッター)instagramで練習の様子を動画で公開なさったりと、出演者の方々のコンサートにかける意気込みがうかがえます。

それぞれ、ぜひ足をお運びください。

【折々のことば・智恵子】

恋愛、母性愛、全人類に対する平等愛、すべて熱烈な願望の火と燃ゆる愛の生活こそ、人間の最上のものであるこの事に一点の疑義はありません。


散文「生き甲斐のある悩みを悩め」より 大正13年(1924) 智恵子39歳

「恋愛は婦人最上のものか」の総題で、宮本百合子、原阿佐緒、神近市子らの文章と共に、雑誌『女性』第5巻第2号に掲載されました。
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智恵子の熱量が伝わってくる一節ですね。

11月22日(土)と23日(日)、全日本合唱連盟さん主催の第78回全日本合唱コンクール全国大会の大学職場一般部門が開催されました。

そのうち大学ユースの部の結果を報じる『朝日新聞』さん記事。

都留文化大とソレイユ大臣賞 全日本合唱コン

 第78回全日本合唱コンクール全国大会の大学職場一般部門が22日、佐賀市文化会館で始まった。大学ユースの部と室内合唱の部で計10団体が金賞に輝き、それぞれ都留文化大合唱団(山梨)と女声合唱団ソレイユ(佐賀)が最優秀にあたる文部科学大臣賞を受けた。
 審査結果は次の通り。(特別賞以外の並びは出演順)
 ◇大学ユース(6人以上、28歳以下)
【金賞】都留文科大合唱団(山梨)=文部科学大臣賞=、
    Ensemble SAKAE(埼玉)=佐賀市教育委員会教育長賞=、
    
早稲田大コール・フリューゲル(東京)=日本放送協会賞=、
    関西学院グリークラブ(兵庫)、東京科学大混声合唱団コール・クライネス(東京)
【銀賞】早稲田大女声合唱団(東京)、九大混声合唱団(福岡)、金沢大合唱団(石川)、
    同志社グリークラブ(京都)、新潟大合唱団(新潟)
【銅賞】愛媛大合唱団(愛媛)、福島大混声合唱団(福島)、Chor Karmin(鳥取)、
    北海道大合唱団(北海道)

 ◇室内(6~24人)
【金賞】女声合唱団ソレイユ(佐賀)=文部科学大臣賞=、
    Chor Alyssum(東京)=佐賀市長賞=、
    AF合唱団(千葉)=日本放送協会賞=、
    Choeur Premier(千葉)、Ensemble Nisi(京都)
【銀賞】アンサンブルVine(京都)、札幌チェンバークワイア(北海道)、
    こそり(福島)、倉敷少年少女合唱団(岡山)
【銅賞】エシュコル(愛知)、Serenitatis Ensemble(徳島)、Ensemble Nix(福岡)

東京都代表の早稲田大コール・フリューゲルさんが、金賞および日本放送協会賞に輝きました。自由曲に新実徳英氏作曲の「愛のうた -光太郎・智恵子-男声合唱とフルート、クラリネット、弦楽オーケストラのために」から「レモン哀歌」を演奏されての受賞でした。おめでとうございます。
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昨年も金賞ということで、9月に開催された都大会はシードで特別扱い。課題曲・自由曲1曲ずつのみの他団体とは異なり、自由曲としては「レモン哀歌」を含む4曲が演奏されました。全国大会出場は約束されていましたが、全国での自由曲が4曲の内のどれとその時点では発表されていませんでした。

以前ですと事前に各出場団体の演奏曲目がテキストデータでネット上に上がっていたのですが、今回はPDFや画像データでの予告で、見落としていました。来年以降、気をつけます。
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コンクール後に行われる各団体の定期演奏会等で、コンクールの自由曲として演奏した作品をプログラムに入れるケースが結構あります。フリューゲルさんもそうで、来月開催予定のコンサートに「レモン哀歌」も入っていました。

早稲田大学コール・フリューゲル 第70回定期演奏会

期 日 : 2025年12月12日(金)
会 場 : 小金井宮地楽器ホール 大ホール 東京都小金井市本町6-14-45
時 間 : 18:30~ 
料 金 : 全席自由 1,000円

曲 目
 ・ 『レモン哀歌』 《愛のうた -光太郎・智恵子-》
   男声合唱とフルート、クラリネット、弦楽オーケストラのためにより
   [ピアノ-リダクション(四手連弾)版] 作曲:新実徳英  作詩:高村光太郎
 ・ 『彼岸花』 男声合唱組曲《雪と花火》より 作曲:多田武彦  作詩:北原白秋
 ・ 《Missa Papae Marcelli》より 作曲:Pierluigi da Palestrina
 ・ 男声合唱とピアノのための《あらゆる日も夜も》 作曲:根岸宏輔  作詩:川崎麻希
 ・ ポップス アラカルト 編曲:清水昭
 ・ 男声合唱と三つの打楽器のための《紋》 作曲:松本望  作詩:金子光晴

出 演
 指 揮:清水敬一(常任指揮者)/清水昭/真下洋介/小野由寛(学生指揮者)
 演 奏:早稲田大学コール・フリューゲル
 ピアノ:小田裕之/井川弘毅  パーカッション:篠崎智 

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「レモン哀歌」、本来はオーケストラ伴奏として作曲され、令和4年(2022)の慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団さんの第146回定期演奏会で同団依嘱作品としてオケ伴で初演され、その際のライブ演奏を録画したDVDで拝聴しました。全音さんから刊行された楽譜はピアノ連弾の伴奏となっており、フリューゲルさん、コンクールでも定演でもその形での演奏です。

ピアノ連弾バージョンは聴いたことがないので、行ってみようかなと思っております。みなさまもぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

ロダンにとつては、生きてゐるといふ理由のみであらゆる生きて居るものは美しい。そしてあらゆるものは同等に美しい。

光太郎訳 アサア サイマンス「ロダン論」より
大正3年(1914)訳 光太郎32歳

名もない草花にも「美」を見出す、言うのは簡単ですが、それを常に意識するのは難しいような気がします。

昨日は神奈川県の北鎌倉に出向いておりました。明月院さん裏手のカフェ兼ギャラリー・笛さんで開催中の「回想「高村光太郎 尾崎喜八」詩と友情 その12」の拝観及び関連行事としての「詩の朗読会」でした。
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笛さんのオーナーご夫人が光太郎の直ぐ下の妹・しづ(静子)の令孫にあたり、またすぐ近くに光太郎と交流の深かった詩人・尾崎喜八の令孫もお住まいということで、両家に伝わる品々が展示され(12回目)、さらに令和4年からは関連行事としての朗読会も行われています。

14:30頃に着き、まずは展示を拝見。

光太郎の書。色紙類はほとんどが複製ですが、一点のみ真筆。「此珠無価数」、中国の寒山詩の一節を揮毫したものです。
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書簡系三通はオーナーご夫人の令祖父母に宛てたもので、こちらも真筆。昭和20年(1945)4月に本郷区駒込林町のアトリエ兼住居が空襲で全焼した直後、焼け跡から出てきた炭化した香木を「茶を点てるのにでも使って下さい」と贈った添え状、それから戦後、花巻郊外旧太田村の陋屋に蟄居してからの近況報告。
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尾崎の書も。こちらも一点を除いて複製だそうですが。
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大正13年(1924)、尾崎と、光太郎の親友だった水野葉舟の息女・實子の結婚祝いに贈ったミケランジェロ模刻の「聖母子像」。

書籍類。
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15:00となり、朗読会開始。
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まずはオーナーご夫人による「妹に」(大正6年=1917)、「御前彫刻」(昭和22年=1947)。ともに光太郎が家族を謳った詩です。
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「妹に」の「妹」はオーナーご夫人のおばあさまではなく、その下の妹・よし(喜子)ですが、オーナーご夫人、喜子にも会われたことがおありだそうで。ちなみに喜子は藤岡光田(こうでん)という木彫家に嫁ぎました。昭和20年(1945)4月の空襲の後、光太郎は約1ヶ月、近くにあって辛くも焼失を免れた藤岡家に世話になった後、花巻の宮沢賢治実家に疎開しました。

続いて、尾崎喜八・實子夫妻の息女、故・榮子さんの肉声による喜八詩の朗読を録音された音源で。榮子さんは当方が会ったことのある生前の智恵子を知る人物お二方のうちのお一人です。

次に、当方がお声がけしたお二人、フリーアナウンサーの早見英里子さんと朗読家の出口佳代さん。
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お二人には、今年の第69回連翹忌の集い、さらに7月に開催された「中西アトリエをめぐる文人たちの朗読会」でも光太郎詩の朗読をお願いしました。
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続いては、やはり録音された音源から音楽に造詣の深かった尾崎による「The wind from the west」。リコーダー演奏と歌唱でした。

光太郎実弟・豊周の令孫(オーナーご夫人とは「はとこ」)の櫻井美佐さんで、光太郎詩「鉄を愛す」(大正12年=1923)。尾崎夫人實子の父・水野葉舟に贈った詩です。
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ここで、当方にもしゃべれというので、光太郎や尾崎、實子や榮子さんなどについてお話しさせていただきました。プログラムにその項が入っていることを、当日の朝まで存じませんでしたが(笑)。

尾崎令孫(母方では葉舟令曾孫)の石黒敦彦氏が尾崎について。
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合間にはオーナーの山端夫妻による笛の合奏。ご夫婦でこういうことができるというのはいいですね。
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最後にオーナー・山端氏による光太郎詩「山からの贈り物」(昭和24年=1949)。
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プログラム的には以上でしたが、この後はNHKさんの「グレーテルのかまど 高村光太郎のレモンコーヒー」で取り上げられたレモンコーヒー、智恵子の故郷・福島二本松の地酒(智恵子実家の銘酒の銘柄「花霞」の名を継いだもの)などが振る舞われました。
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それから、これも恒例となりつつある、近くで採れた巨大な冬瓜(とうがん)の解体ショー(笑)。
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さらに山端氏は店内所狭しと置かれている笛を代わるがわる手に取られて即興演奏。
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17:00、終了。肩のこらないアットホームなひとときでした。

来年以降もこの時期に開催されるはずですので、ぜひ足をお運び下さい。

【折々のことば・光太郎】

真の芸術家は創造の原始的原理に透徹しなければならぬ。美しきものを会得することによつてのみ彼は霊感を得る。決して彼の感受性の出し抜けな目覚めからではなく、のろくさい洞察と理解とにより辛抱強い愛によつて得るのである。心は敏捷であるに及ばぬ。なぜといへばのろい進歩はあらゆる方面に念を押す事になるからである。


光太郎訳 ロダン「ロダン手記 ゴチツクの線と構造」より
大正9年(1920)頃訳 光太郎38歳頃

特に造型芸術に於いては、気の長い「のろい」取り組みも必要だというわけですね。その実践ともいえるでしょう、ロダンも光太郎も一つの作品に何年もかけることがありました。

朗読のワークショップだそうで。

壤晴彦・演技/朗読短期ワークショップ 11月『「ニュアンス」ってどうやって付けるの? 智恵子抄』

期 日 : 2025年11月21日(金)~11月23日(日)
会 場 : 演劇倶楽部『座』サロン 新宿区新宿5-9-11 アルメリア新宿1F
時 間 : 金・土/18時〜21時、日/13時〜17時 計10時間
料 金 : 20,000円
講 師 : 壤晴彦

あなたは自分の『本当の声』を知っていますか?
「良い声」だと思い込んだ、あるいは教えられた「声」に必死に近づこうとしていませんか?
「自分には遠くまで届く張りのある声は出ないんだ」とあきらめていませんか?

「声真似」ではない、自分の『本当の声』に出会い、「聞く耳に心地良く」「健康効果も抜群」の『省エネ発声法』の他、朗読や台詞・演技のスキルアップに役立つ技術を、テーマ別に指導します。

11月『「ニュアンス」ってどうやって付けるの?』
動詞・形容詞・形容動詞、時には名詞‥‥声の強弱・高低・圧・スピード・温度・湿度‥‥単語ごとの立体化・有機化が「文章の味わい」となります。一つ一つのフレーズを丁寧に扱い、瑞々(みずみず)しい言葉世界を目指します。
教材:智恵子抄(高村光太郎)
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講師の壤晴彦氏は、ご自分でも朗読の公演をなさるかたわら、朗読教育にもご関心が高く、教材としてのCDも出されています。

こちらで把握している限りでは、昨年さいたま市で、今年は都内秋田県で、それぞれ「智恵子抄」朗読を含む公演にご出演。当方は都内での公演を拝聴に伺いました。教材的なCDは平成24年(2012)にリリースされています。

今回の講座は、4月から12月まで3日間ずつ、計27日間。そのうち今月開催分で「智恵子抄」がテキストとして使われます。他の月で取り上げられた/取り上げられる作品は、宮沢賢治「どんぐりと山猫」、アンデルセン「絵のない絵本」、小川未明「野ばら」、夏目漱石「夢十夜」、芥川龍之介「藪の中」など。

ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

肝腎な点は感動する事、愛する事、望む事、身ぶるひする事、生きる事です。芸術家である前に人である事!


光太郎訳 ロダン「若き芸術家達に(遺稿)」より
大正9年(1920)頃訳 光太郎38歳頃

当会顧問であらせられた故・北川太一先生は、光太郎が訳したこの一節を好まれ、頼まれて書く揮毫などによくこの一節、それから昨日ご紹介した一節を選ばれていました。
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本日のキーワードは「今週末」。紹介すべき事項があとからあとから出て参りまして、ギリギリの紹介となってしまい、すみません。

まず、都内から朗読公演の情報。

四季の朗読会〜秋の部〜

期 日 : 2025年11月8日(土)
会 場 : 秋葉原ハンドレッド2 東京都台東区浅草橋5-3-2
時 間 : 12:00~
料 金 : ¥6,000

文豪達の四季折々の名作が俳優の紡ぐ言葉によって現代に再び蘇る朗読会。俳優達と一緒に過去の名作を楽しみましょう。


十二時の回 高村光太郎「山の秋」 十五時の回 久米正雄「虎」 十八時の回  泉鏡花「貴婦人」

出演者 谷佳樹 山口渓 町田尚規 灰塚宗史

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「山の秋」は、花巻郊外旧太田村の山小屋(高村山荘)周辺の思い出を再上京してから書いたもので、雑誌『婦人公論』第37巻第10号(昭和28年=1953 10月)に発表されました。

谷佳樹さんという方、舞台「文豪とアルケミスト 旗手達ノ協奏(デュエット)」で、主人公の志賀直哉役を演じられた方でした。他にも同作でアンサンブルという敵の戦闘員役を演じられた方も。今一つ公演の詳細が分からなかったのですが、なるほど、そういう系かと。

もう1件、智恵子の故郷・福島二本松からコンサート情報です。

トランペット&ピアノ デュオ 駅に響け「ほんとの空」コンサート

期 日 : 2025年11月9日(日)
会 場 : JR東北本線安達駅東西自由通路西口1階コンコース
時 間 : 午後1時15分(約50分)
料 金 : 無料

トランペッター Noby
本宮市出身二本松在住のプロトランペッター。中学時代にイタリア人トランペッターニニ・ロッソに憧れ、趣味で吹き続けてきた事がプロの道へ。国内各地、海外での演奏経験もあり、ジャンルを問わない演奏は好評である。

ピアノ 坂本ひとみ(市内在住)

(当初出演予定でフライヤーに名がある千葉貴利氏は、お身内にご不幸があり、急遽出演できなくなったそうです)
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光太郎詩「あどけない話」(昭和3年=1928)由来の「ほんとの空」の語を冠したコンサートです。会場は二本松市名誉市民であらせられた彫刻家の故・橋本堅太郎氏の最後の作品にして智恵子像の「今、ここから」が立つ安達駅。トランペットのNobyさんは、これまでも二本松での智恵子関連イベントなどに繰り返し出演なさっています。当方も一度、演奏を拝聴しました。

当初出演予定だった千葉貴利氏という方は存じませんでしたが、プロフィール欄に「生まれつき、右手首より先が無い」とあります。それで鍵盤楽器を弾かれるというのですから、つくづく人間というものは凄いんだな、と改めて思います。

それぞれご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

辛抱です! 神来を頼みにするな。そんなものは存在しません。芸術家の資格は唯智慧と、注意と、意志とだけです。正直な労働者のやうに君達の仕事をやり遂げよ。

光太郎訳 ロダン「若き芸術家達に(遺稿)」より
大正9年(1920)頃訳 光太郎38歳頃

やはりロダンも光太郎同様、ポジティブですね。光太郎がそれに学んだ、と言うべきかも知れませんが。

この場合の「芸術家」は、造型作家のみと限らないでしょう。

明日から「怒濤の11月」です。「芸術の秋」ということで、イベント等が目白押し。申し訳ありませんが、1件ずつの細かい紹介は出来ません。本日は、現在把握している演劇公演情報を3件、まとめてご紹介します。

まずは岡山県から。

文士劇リーディング『日本文学盛衰史』(作:平田オリザ)

期 日 : 2025年11月2日(日)
会 場 : 岡山芸術創造劇場 ハレノワ中劇場 岡山市北区表町3丁目11-50
時 間 : 17:00~19:00
料 金 : 1日参加券2,000円or期間通し参加券4,000円 + 1,000円

劇作家たちが、続々と登場する明治から昭和の日本文学の文豪を演じる、スペシャルな文士劇リーディング。高橋源一郎の同名小説を大胆に戯曲化した、平田オリザの第22回鶴屋南北戯曲賞受賞作。平田オリザも出演!? 劇作家協会会長の瀬戸山美咲とげきじゃ!運営委員長の角ひろみの夢のタッグ企画。

作 平田オリザ 原作 高橋源一郎 企画 角ひろみ 演出 瀬戸山美咲
出演 総勢25名が出演!
 天野順一朗 綾門優季 長田育恵 鹿目由紀 工藤千夏 黒澤世莉 桑原裕子 鴻上尚史
 ごまのはえ (ジェシカ) 菅原直樹 鈴木聡 角ひろみ 関根信一 高羽彩 竹田モモコ
 佃典彦 豊嶋了子 はしぐちしん 平田オリザ 福原充則 古川健 マキノノゾミ 松村武
 米内山陽子
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今日開幕の「劇作家フェスティバル2025「げきじゃ!」」の一環としての上演です。平田オリザ氏による脚本で、平田氏ご自身も島崎藤村役でご出演とのこと。原作は高橋源一郎氏の同名の小説です。これまでも平田氏主宰の劇団・青年団さんによって各地で上演されてきました。

上の画像でおわかりになるとおり、近代の文豪がずらっと登場。光太郎役は黒澤世莉さんという方だそうです。ただ、「リーディング」と冠されており、あまり動きを伴わない朗読劇のような感じなのかな、と思っております。キャストの方々が皆、本職は劇作家・演出家という方々ですし。

ところで「劇作家フェスティバル」。以前は「日本劇作家大会」という名称でした。令和元年(2019)、光太郎と交流のあった画家・村山槐多の展覧会を見に信州上田に行った際、たまたま同じ会場で開催されていました。その際は、当時の劇作家協会の会長であらせられた、いろいろお世話になっている渡辺えりさんの等身大パネルが据えられていて、笑いました(笑)。

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閑話休題、続いて埼玉から。市民劇団のようです。

劇団ダウト第15回公演「れもん」

期 日 : 2025年11月15日(土)・16日(日)
会 場 : 熊谷市立中央公民館大ホール 埼玉県熊谷市仲町19
時 間 : 11/15 18:30 11/16 14:00
料 金 : 500円 小学生以下無料

智恵子がグロキシニアの花を抱えて光太郎のアトリエを訪ねた日から二人の愛は始まった 彫刻家・詩人の高村光太郎と画家の高村智恵子。芸術家同士の特異な愛の形を 詩集「智恵子抄」を背景に徐々に悲劇へと向かう愛を描く。


作 平田俊子  出演 松尾伊津恵 境野徹 長谷川功

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平田俊子氏作の「れもん」。平成16年(2004)、下北沢のザ・スズナリさんおよび京都芸術センターさんで、柄本明さん、石田えりさんにより初演された2人芝居です。
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そちらは拝見に行けなかったのですが、翌年、小学館さんの季刊雑誌『せりふの時代』第10巻第1号(通巻第34号)に平田氏の脚本が掲載され、そちらを数年前に入手して拝読いたしました。
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智恵子の描かれ方が、軽く「不思議ちゃん」的な。そういった部分でユーモラスな描写もありますが、やはり悲劇的(トラジディ)。しかし、最終幕では花巻郊外旧太田村に移住してからの光太郎によってカタルシスとして終わります。

平田氏、他に『戯れ言の自由』(平成27年=2015 思潮社)、『低反発枕草子』(平成29年=2017 幻戯書房)などで光太郎智恵子に触れて下さっています。

最後は静岡です。

劇団静火🔥第17回公演『売り言葉』

期 日 : 2025年11月29日(土)・30日(日)
会 場 : ギャラリー青い麦 静岡市葵区呉服町2-2-22 呉服町ビル1F
時 間 : 11/29 14:00/18:00 11/30 14:00
料 金 : 一般 2,000円 学生 1,500円 中学生以下 1,000円 当日は500円増

「本当に、私はこんなにも綺麗に死ぬことが出来るのかしら。」
 『智恵子抄』で知られる高村光太郎の妻・智恵子。裕福な家庭で育ち画家を志す智恵子は、理想と現実、そして光太郎が作り上げていく自身の虚像に押しつぶされていく…
 2020年にも上演したこの作品を、引き続き大石明世の演出で、今回は代表・鳥居初江のひとり芝居でお届けします。

作 野田秀樹 演出 大石明世 出演 鳥居初江
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先頃、文化功労者に選出された野田秀樹氏作の「売り言葉」。智恵子のみの一人芝居です。当方、平成14年(2002)の大竹しのぶさんによる初演をテレビで拝見、さらに平体まひろさんによる公演を、昨年、新宿で拝見して参りました。

光太郎のモラハラが前面に押し出され、浅い見方しかできない人々には「これを見て光太郎が嫌いになった」と言わしめる作品です。しかし、「見る」ではなく「観る」で、深いところまで味わっていただければ、智恵子は智恵子で「かくあらねば」という幻想に取り憑かれ、そこから抜け出せないまま毀れていくという感じで、光太郎=クソ野郎という内容ではないことがわかります。それが出来ない人には見てほしくない芝居です。野田氏、いわば功罪相半ばですね(笑)。

案内文にある通り、同劇団、令和2年(2020)にもやはり静岡で公演を打って下さっていました。制作サイドとしてもやりがいのある作品だということなのでしょう。

とりあえず現在把握している11月の光太郎智恵子系演劇公演はこの3本です。他に朗読公演、音楽演奏会などもいろいろありまして、追々紹介して参ります。

【折々のことば・光太郎】

むかしは、彫刻家、画家、装飾家、家具製造家、金銀細工師等、一切の芸術家の仕事場で、重要な法則が一時代から一時代へ、師匠から弟子へと伝へられたものです。其頃では仕事場が実際教えへる場所であり、且つ師匠は其処で弟子の見る処で仕事したのです。今日われわれは、此の驚く可き程生産力ある学校即ち此仕事場の代りに何を持つてゐますか。アカデミーでせう。其処で人は何も習へやしない。まるであべこべの見地から出発してゐるからです。

光太郎訳 ロダン「ロダンの手帳 クラデル編」より
大正5年(1916)頃訳 光太郎34歳頃

いわゆる徒弟制につき、職人出身のロダンは肯定的でした。伝承されるべき技術は頭で理解して身につけるものではないということで。光太郎もこうした部分は否定しませんでした。

新刊です。

昭和の夢は夜ひらく

発行日 : 2025年10月20日
著者等 : 五木寛之
版 元 : 新潮社
定 価 : 960円+税

戦前・戦中・戦後──。流れゆく時代の片隅で、私は何を見てきたか。『週刊新潮』人気連載から厳選、追憶の36話。

昭和百年とはいうけれど、歴史として語られる数々の出来事と、戦前、戦中、戦後にかけて自身が経験してきた事々は、重なるようでいてどこか重ならない。戦争と引揚げの記憶、貧しかった青春時代、かつての文壇での交友や歌謡曲の世界、そして逝きし人びとの声──連載十二年に及ぶ「週刊新潮」の人気エッセイから三十六話を厳選、忘れ得ぬ時代の原記憶が鮮やかによみがえる。
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目次
 はじめに
 流されゆく日々
  流れゆく時代のなかで/ボタ山に紅テントが立った時代/ラジオと共に六十年/
  黒と白のブルース/一日見ぬ間の桜かな
 昭和百年とはいうけれど
  昭和百年の原記憶/ぬるめの風呂につかりながら/昭和時代の片隅で/
  昭和残影あれこれ/『昭和百年』はどう語られるか
 忘れ得ぬ記憶
  虫のいろいろ/シベリア抑留者の光と闇/七十数年前の難民として/
  時は流れる 時計が見える/戦後は遠くなりにけり/思い出のなかの昭和残影
 歌は世につれ、世は歌につれ
  高村光太郎の国民歌/昭和歌謡の罪と罰/昭和の夢は夜ひらく/
  時代の歌と、歌の時代/昭和は踊る時代だった
 文壇つかずはなれず
  文壇バーとガールズ・バー/おい、泣くなよ奥野/文士劇のあった時代/
  原稿用紙と私/あの日の雨はまだ降っている/ハラスメント天国
 忘れ得ぬ人の面影
  内田裕也という人の片影/平岩弓枝さんのこと/上海ガーデン・ブリッジ/
  八代亜紀と冠二郎/残る桜も散る桜
 私の昭和時代
  昭和二十年代の正月/わが青春に悔あり/野球がだんだん遠くなる/私がなくしたモノ

解説文にある通り、『週刊新潮』さんに連載のエッセイ「生きぬくヒント!」からのセレクションです。

「歌は世につれ、世は歌につれ」中の「高村光太郎の国民歌」は、令和2年(2020)の3月12日号に掲載されました。昭和15年(1940)に光太郎が作詞し、飯田信夫が作曲、徳山璉(たまき)の歌唱でそこそこヒットした「歩くうた」に関する内容です。

平成30年(2018)の同じ連載で「潜伏する人びとの世界」と題し、天草地方の潜伏キリシタン、九州や東北の隠し念仏/隠れ念仏などを扱った回でも光太郎に触れて下さっていましたが、残念ながら本書では採録されていませんでした。

昭和7年(1932)のお生まれで、「昭和」時代の大半を経験されている五木氏だけに、多岐に亘るその昭和史の証言は貴重なものだな、と思いつつ拝読いたしました。昭和100年ということで、タイムリーですね。

作詞家でもあらせられた氏ですので、音楽関連の内容も多く、「歌は世につれ、世は歌につれ」と一章まるまる歌謡の話に割かれていますし、他の章でも内田裕也さん、八代亜紀さんなどに触れられています。

もちろん文壇系の話題も。川端康成、野坂昭如、寺山修司、立松和平、安岡章太郎、吉行淳之介などに触れられています。そうかと思えば考古学者の大塚初重など全く畑違いと思われる人々の思い出も。

ぜひお買い求め下さい。

【折々のことば・光太郎】

私は民衆の言葉を使ふ。思想は明瞭であつて、容易く呑みこまる可きものですから。私は大多数の人に会得して貰ひたい。学者風の言葉や見慣れない文句は審美学専門の学者達に譲ります。


光太郎訳 ロダン「ロダンの手帳 クラデル編」より
大正5年(1916)頃訳 光太郎34歳頃

万人にわかりやすい言葉で語り、書く。大切なことだと思います。五木氏の文章など、まさにそんな感じですが。

福島を拠点に活動されている音楽ユニット風信子(ヒヤシンス)さんの、今月リリースされた自主制作盤CDです。

風の旅人〜夕焼け空の色はふるさとの色〜

発行日 : 2025年10月13日002
発行元 : 風信子
定 価 : 1,500円

作詞・作曲 : 村上有理香
編 曲 : 吉田賢市
演 奏 : 風信子

風信子(ヒヤシンス)第2弾CD『風の旅人〜夕焼け空の色はふるさとの色〜』(1500円) が10月13日(祝月)にリリースされました🌸

風信子の代名詞、オリジナルご当地ソング8曲がすべて収録されています😊また今回は様々な効果音が使われていて、まるで物語の世界を旅しているような雰囲気も味わっていただけると思います✨️

風信子の音楽で、ぜひ楽しい旅に出かけて下さい💐

曲 目 :
 1、大好き♡曽根田駅
 2、遊びにおいでよ飯坂へ
 3、ここが飯野☆ここが好いの♡
 4、本当の空を忘れないで  (二本松)
 5、ぼくらの町の桃源郷 (二本松・さつき山公園テーマソング)
 6、ふるさとの町〜伊達に帰ろう〜
 7、喜多方の街 (喜多方・福島DC勝手に応援歌~喜多方編 準グランプリ受賞曲)
 8、想い出をたどれば  (いわき、浜通り)

曲目タイトルでお判りかと存じますが、全曲福島各地の「ご当地ソング」的な。M4の「本当の空を忘れないで」に、光太郎詩「あどけない話」(昭和3年=1928)の「ほんとの空」から派生した「本当の空」の語を使い、安達太良山、阿武隈川、二本松霞ヶ城、提灯祭りなどが謳い込まれています。ジャケットの夕景画像も安達太良山ですね。
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キーボードやウクレレを弾きつつリードボーカルの村上有理香さん(左)と、ギター・コーラスの吉田賢市さん(右)、お二人によるユニット・風信子(ヒヤシンス)。これらの曲などを引っ提げて、主に県内各地のイベントなどにご出演なさっています。
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村上さんが、一昨年5月に二本松で行われた「智恵子を偲ぶ鎮魂の集い」(智恵子のまち夢くらぶ~高村智恵子顕彰会~さん主催)にご参加、その際に知遇を得まして、今回、CDを購入させていただきました。

福島愛溢れる歌詞と優しいメロディー、軽やかな演奏をぜひご堪能いただきたく、ご紹介いたします。ぜひお買い求めを。

【折々のことば・光太郎】

彼等の彫刻には静がある。驚く可き静と休息とがある。官学風の静ではない。官学風のは自然の欠乏、生命の欠乏です。さうでは無くて、強力の静、意識力の静、精神の下にある肉体から来る印象です。

光太郎訳 ロダン「ロダンの言葉 フレデリク ロートン筆録」より
大正5年(1916)頃訳 光太郎34歳頃

「彼等」はロダンが手本とした古代ギリシャの彫工たち。「強力の静」となると一見矛盾した表現ですが、「考える人」などは見事にそれが体現されていると思います。それを光太郎も目指したのでしょう。
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今年度の文化勲章/文化功労者の発表がありました。

時事通信さん。

王貞治さんら8人文化勲章 功労者に野沢雅子さんら、声優初

 政府は17日、2025年度の文化勲章を、元プロ野球選手・監督で現ソフトバンク球団会長の王貞治氏(85)、ノーベル化学賞受賞が決まった京都大特別教授の北川進氏(74)ら8人に贈ると決めた。
 文化功労者にはアニメ「ドラゴンボール」シリーズの孫悟空役などで知られる声優の野沢雅子=本名塚田雅子=氏(88)、漫画家の竹宮恵子氏(75)、建築家の坂茂氏(68)ら計21人を選んだ。声優の文化功労者は初で、女性の功労者は過去最多だった昨年度と同じ6人。文化勲章を受ける北川氏は同時に功労者にも選ばれた。
 文化勲章の親授式は11月3日に皇居で、文化功労者の顕彰式は同4日に東京都内のホテルで行われる。
 文化勲章を受けるのは他に、歌舞伎俳優の片岡仁左衛門=本名片岡孝夫(81)▽心臓血管外科学の川島康生(95)▽民俗学の小松和彦(78)▽ファッションデザイナーのコシノジュンコ=本名鈴木順子(86)▽美術評論の辻惟雄(93)▽有機合成化学の山本尚(82)の各氏。
 他の功労者は、美術家のイケムラレイコ=本名池村玲子(74)▽陶芸家の伊勢崎淳=本名伊勢崎惇(89)▽落語家の柳家さん喬=本名稲葉稔(77)▽小説家・評論家の水村美苗=本名岩井美苗(74)▽柔道の上村春樹(74)▽泌尿器科学の垣添忠生(84)▽文化人類学の小長谷有紀(67)▽高分子化学の沢本光男(73)▽日本料理家の高橋英一(86)▽舞踊家の田中泯=本名田中捷史(80)▽新内節三味線の新内仲三郎=本名角田富章(85)▽演劇の野田秀樹(69)▽レスリングの福田富昭(83)▽半導体デバイス工学の三浦道子(76)▽感染症学の満屋裕明(75)▽文化人類学の山下晋司(76)▽政治学の渡辺浩(79)の各氏。
 ノーベル賞受賞が決まった人は、文化勲章・功労者に選ばれるのが慣例。今年、生理学・医学賞に選ばれた大阪大特任教授の坂口志文氏(74)は2017年に功労者となり、19年に文化勲章を受章している。

このうち、文化勲章を受章される片岡仁左衛門氏は、本名の「片岡孝夫」で活動されていた昭和48年(1973)、NHKさんの「銀河テレビ小説 生きて愛して」(全30回)で、主役の光太郎役を演じられました。
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第1回放映冒頭部分は、花巻郊外旧太田村という設定でした。上画像は蟄居生活を送っていた山小屋(高村山荘)で、当会の祖・草野心平(前田吟さん)に、沈痛な面持ちで戦時中の翼賛活動を悔いる話をしているという場面。一転して朗らかな笑顔の下画像は、山小屋近くの分教場で、子供たちを相手にしているシーン。当然と言えば当然ですが、この二つの表情のギャップだけでも演技の幅がしのばれますね。

ちなみに「銀河テレビ小説 生きて愛して」、ヒロインの智恵子役は大空真弓さん、他に荻原守衛役は寺田農さん、まだ新人だった水沢アキさんが、智恵子の妹・セキの役でした。さらにいうなら、仁左衛門さんのお嬢さん・片岡京子さんは平成12年(2000)、津村節子氏原作の舞台「智恵子飛ぶ」で、智恵子役を演じられました。元々、某大物女優が智恵子役だったところ、その女優が身内の薬物事件逮捕で急遽降板し、セキ役だった京子さんが智恵子役に抜擢という事情がありましたが、それでも父子で時を経て光太郎智恵子役を演じたという稀有な例でした。

仁左衛門さんインタビュー等。やはり時事通信さんから(以下同じ)。

「子孫への置き土産に」 文化勲章の片岡仁左衛門さん

012 「自分が好きでしていることで、こんなに大きな評価を頂けて幸せ。子孫への置き土産になる」。
 文化勲章に選ばれた歌舞伎俳優の片岡仁左衛門さん(81)は、柔和な笑みを浮かべて喜びを語った。
 1998年、大病を克服し十五代目仁左衛門を襲名。「神さまが命を下さった責任感」を胸に、芸の伝承に尽くしてきた。「お客さまに受け入れられている空気が伝わってきたときはうれしい」と芝居の醍醐味(だいごみ)を口にする。
 「菅原伝授手習鑑」の菅丞相をはじめ多くの当たり役を持つが、「役を掘り下げるといまだに発見がある」と強調。「文化勲章の質を落とさないよう、なお一層精進する」と力強く語った。 
片岡 仁左衛門氏(かたおか・にざえもん、本名片岡孝夫=かたおか・たかお)歌舞伎俳優。人気と実力を兼ね備えた俳優として長年優れた成果を挙げ、関係団体でも要職を歴任するなど歌舞伎界の振興に貢献。06年紫綬褒章、15年人間国宝。大阪府出身。81歳。


文化勲章と同時に発表された文化功労者には、今年2月に発表された日本芸術院の新会員に続き、脚本家の野田秀樹氏と建築家の坂茂氏も選出されました。

野田氏は登場人物が智恵子のみの一人芝居で、最近も全国各地で様々な劇団や個人の方によって上演され続けている「売り言葉」を書かれました。初演は平成14年(2002)、大竹しのぶさんが智恵子でした。

「芝居が好き」の一心で 文化功労者の野田秀樹さん

014 「『芝居が好き』という一心で作品を作ってきた」。劇作家の野田秀樹さん(69)は、文化功労者の決定を受けてコメントを出し、演劇人としての半世紀を振り返った。
 東京大在学中の1976年に劇団「夢の遊眠社」を結成し、80年代の小劇場ブームをけん引。奇想天外な物語と躍動感あふれる舞台で観客を魅了した。解散後は、海外の演劇人との共作や歌舞伎など他ジャンルの創作にも精力的に取り組む。
 独特な言葉遊びが野田戯曲の妙味。「『文化功労者=ぶんかこうろうしや』が、頑迷な『文化殺し屋=ぶんかころしや』にならないよう」精進するとユーモラスにつづった。
 野田 秀樹氏(のだ・ひでき)劇作家・演出家・俳優。ジャンルを超えた多彩な創作を展開し、劇作、演出、演技全てで傑出した才能を発揮。演劇における国際交流の業績でも高い評価を得た。11年紫綬褒章。長崎県出身。69歳。

坂氏は、光太郎ゆかりの地にして、毎年「女川光太郎祭」を開催して下さっている宮城県女川町のJR石巻線女川駅駅舎を東日本大震災後の平成27年(2015)に設計されました。

「住環境の改善が責任」 文化功労者の坂茂さん

015 「住環境で困っている人がいたら、それを改善するのは当たり前の責任」。文化功労者に選ばれた建築家の坂茂さん(68)は、世界の著名建築を手掛ける一方、仮設住宅の建設など被災地支援をライフワークとしてきたことで知られる。
避難所の間仕切りを、安価で丈夫な「紙管」で開発するなどの活動を続けてきた。阪神大震災の避難所で「被災者が雑魚寝する悲惨な状況を見た」のがきっかけだった。
 来年度中の設置が見込まれる「防災庁」の行方が気がかりという。「僕ほど世界の被災地を見てきた建築家はいないと思う。絶対に必要な省庁で、お手伝いして何とか良いシステムをつくりたい」と強調した。
 坂 茂氏(ばん・しげる)建築家。リサイクルや焼却が可能な紙製パイプ「紙管」を活用するなど、特徴的な建築で国際的に注目を集めた。災害時には建築の知見を生かした支援活動も展開し、世界から称賛を受けている。14年プリツカー賞、17年紫綬褒章。東京都出身。68歳。


他の受賞者の皆さんを含め、関係の方々の今後のますますのご活躍を祈念いたします。

【折々のことば・光太郎】

――自分が何かをやる事さへ確かなら、少し位待つたつて何でも無い。たつたひとつの彫像でも押し出せる。


光太郎訳 ロダン「ロダンの言葉 フレデリク ロートン筆録」より
大正5年(1916)頃訳 光太郎34歳頃

意外と下積み時代の長かったロダンならではの言です。光太郎もそうでしたし。

今回受賞が決まった方々の中にも、世に認められるまでけっこうかかったという方もいらっしゃるような気がします。

昨日は神奈川県逗子市にて開催中の「逗子アートフェスティバル」の一環としてのコンサート「余白露光2~テルミンと箏~」を拝聴して参りました。
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会場は逗子文化プラザホールさん。
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着いた時にはリハーサル中。
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地元逗子市のテルミン奏者・大西ようこさんと、都内ご在住の箏曲奏者・元井美智子さんによるコラボです。
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当会主催の光太郎を偲ぶ連翹忌の集いで知り合われたお二人、これまでもコラボでの公演を複数回なさっています。

さらに仙台にお住まいのヴォイスパフォーマー・荒井真澄さんの朗読が加わったトリオでも、福島二本松の智恵子生家で今年やられていますし、大西/荒井ペア、元井/荒井組でもそれぞれ複数回。

その荒井さんと元井さん。リハ後のショット。
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さらに荒井さんは昨日、ホワイエに設けられた大西さん所蔵の品々による「智恵子抄」コーナーの解説もご担当。
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連翹忌の集いで出会った皆さんがこうして活動の幅を拡げ、光太郎智恵子の世界を広めて下さっているのは主催者冥利に尽きるというものです。

お二人の後に吊り下げられているのは、切り絵作者・杵淵三朗氏の「境界剪画」。大西さんが運営されている同市のテルミンミュージアムでもかつて拝見しましたが、超絶技巧ですね。

杵淵氏。
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昨日のプログラムには、元井さん作曲の「智恵子抄」が組み入れられ、元井さんが箏を弾きつつ光太郎詩の朗読、そこに大西さんのテルミンがのっかる感じで。

杵淵氏の「境界剪画」をスクリーン代わりに、逗子の海などさまざまな映像が投影されました。下記画像は当日配布プログラムを兼ねたアンケートの一部。
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「智恵子抄」の際には、安達太良山や智恵子生家などの二本松の風景、それから智恵子が千鳥と化した九十九里浜、さらに智恵子紙絵。不覚にもうるっと来そうになりました(笑)。
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「智恵子愛」あふれるステージでした。

他の曲目は、箏曲定番の「春の海」、元井さんのオリジナル曲、テルミンとハープの合奏のために作曲されたものをハープの代わりに箏で、光太郎と同時代人で光太郎の好んだドビュッシー、それから今回が初演の藤枝守氏作曲《植物文様~夢みる茶(Tea Dreaming)》など。

 「葉や茎に電極をつけ、そこから得られる電位変化のデータをもとに音楽的に読み換えるという手法により生み出された音楽」「今回は、お茶の葉の電位変化を元に作られた曲」とのこと。

あっという間の2時間でした。終演後に帰られるお客様の表情も、実に満足げでした。

今後のご関係の皆様のさらなるご活躍を祈念いたします。

追記

昨日折り込まれていた、近々開催され、大西さん、元井さんの出演なさる演奏会のフライヤー等、載せ忘れていました。すみません。
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【折々のことば・光太郎】

――芸術家とは見る人の事です。眼の開た人の事です。其心に、物の内面の本質が、いづれにしても、存在事実として考へられる人の事です。

光太郎訳 ロダン「ロダンの言葉 フレデリク ロートン筆録」より
大正5年(1916)頃訳 光太郎34歳頃

昨日お会いした皆さんもそうなんだろうな、と、つくづく思いました。音楽は「見る」わけではありませんが。

愛知県から演奏会情報です。

第4回 前川健生テノールコンサート~あいのうた~

期 日 : 2025年10月19日(日)
会 場 : 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 愛知県豊橋市西小田原町123番地
時 間 : 15:00開演
料 金 : 一般 3,500円 高校生以下 2,000円

本演奏会では偉大なる芸術家高村光太郎作詞による妻・智恵子との苦難と愛を歌った『智. 恵子抄』をはじめとする素晴らしい作品の数々を演奏いたします。本年2025年は、わたく. し前川が東京二期会員として演奏活動を始めて10年目、また30代最後の年でもあります。 社会的にさまざまな出来事があったこの数年間を振り返り、また個人的な節目として、研鑽の結果を故郷・東三河の皆様に披露をしたく演奏会を準備いたしました。トークや解説. を交えながら、楽しくお聞きいただけるコンサートにいたします。是非お越し下さい。

出 演 : 前川健生[テノール]  赤松美紀[ピアノ]

予定曲 : 
 高村光太郎作詞作曲 歌曲集『智恵子抄』 
 マスカーニ作曲『カヴァレリア・ルスティカーナ』 母さん、あの酒は強いね
 トスティ作曲「理想の人」「君なんかもう」「かわいい口もと」 
 クルティス「忘れな草」 
 カルディッロ カタリ・カタリ ほか 
 (都合により変更となることがあります)
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故・別宮貞雄氏作曲の歌曲集「智恵子抄」が大きく前面に出されています。

最近では同じく二期会の紀野洋孝氏があちこちで歌われ、CD化されていますし、他の方もぽつぽつ取り上げて下さっています。紀野氏より前に故・永田峰雄氏によるCDもリリースされています。音楽之友社さんから楽譜も公刊されており、やはり楽譜と音源が公に出ていると演奏会でプログラムに入れやすいというところがあるのでしょう。もっとも、ろくでもない曲ではそうは成らないでしょうが。

今回、「「智恵子抄」より」とされていませんので、全曲演奏されるのでしょうか。全曲だと「Ⅰ 人に」「Ⅱ 深夜の雪」「Ⅲ 僕等」「Ⅳ 晩餐」「Ⅴ あどけない話」「Ⅵ 人生遠視」「Ⅶ 千鳥と遊ぶ智恵子」「Ⅷ 山麓の二人」「Ⅸ レモン哀歌」と9曲の構成です。

ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

増盛の度合は人によります。彫刻家一人一人の分別と気質とによる事です。それ故やり方の伝授といふものは無い。工場の秘訣といふものは無い。唯真実の法則があるばかりです。

光太郎訳 ロダン「ロダンの言葉 カミーユ モークレール筆録」より
大正5年(1916)頃訳 光太郎34歳頃

いわゆる「見て盗め」というのはこういう考え方に根ざしているのでしょうか。音楽でもそういうことがありそうです。この場合「見て」より「聴いて」の部分が多そうですが。

昨今流行りのAIを使って、いわゆる巨匠の作品を徹底的に分析し、その特徴を色濃く持つ新しいものを創造することも可能なのでしょうが、そんなことをやったとて滑稽なものしか出来ないような気もします。古い考え方でしょうか。

今日、10月10日は光太郎の父・光雲の忌日です。昭和9年(1934)、数え83歳で、息子の光太郎より10年近く長命だったことになります。最期は胃ガンでした。

その光雲の名が、先週の『山陽新聞』さんに。ただし、弟子の平櫛田中を紹介する中でのものでしたが。

環太平洋大 2年連続特別賞 全国大学ダンスフェス 平櫛田中テーマ 鏡獅子の躍動感表現

 大学創作ダンスの国内最高峰の大会、「全日本大学ダンスフェスティバル」(8月・神戸市)で、環太平洋大(岡山市東区瀬戸町観音寺)ダンス部が2年連続の特別賞に輝いた。井原市出身で日本近代彫刻の巨匠・平櫛田中の傑作「鏡獅子」から着想を得て、田中の生きざまや鏡獅子の迫力をダンスで表現し、高い評価を受けた。
 タイトル「燃ゆる鏡獅子―平櫛田中、木彫に捧ぐ血潮」(5分40秒)は、歌舞伎の六代目尾上菊五郎をモデルに田中が22年の歳月をかけ86歳で鏡獅子を完成させた道のりを描いている。
 1~4年の部員30人は昨秋以降、平櫛田中美術館(井原市)を何度も訪れ、鏡獅子に見入った。「今にも動き出しそうな躍動感や圧巻の存在感…。学生たちが深い感銘を受け、田中さんをテーマに創作を思い立った」と小澤尚子監督。関連資料を読み込み、大学に歌舞伎役者を招いて動きを教わりながら振り付けやストーリーを仕上げたという。
 はかま姿の田中ときらびやかな鏡獅子を中心に、血潮のごとく真っ赤な衣装の部員たちが躍動する。歌舞伎の見えを切るポーズや部員を担ぎ上げるリフト技、鏡獅子の豪快な毛振りを随所に取り入れ、終盤にはアクロバティックな空中交差を披露。全国優勝経験のある強豪・井原高新体操部出身の波多地陸人さん(19)、福田悠斗さん(18)の両1年生は「井原の偉人に関する作品で技を出せたのは光栄」と口をそろえる。
 フェスティバルには24校が出場。特別賞は最優秀など四つの賞に次ぐ位置づけで、環太平洋大を含む4校が受賞した。主将の4年荻野清純さん(22)は「田中さんの名言「わしがやらねばたれがやる」の思いで一人一人が練習した結果、美術館をはじめ多くの方々の協力のおかげで受賞できた」と感謝している。

ズーム 平櫛田中 近代彫刻の第一人者・高村光雲に師事し、伝統的な木彫に西洋の写実性を加える技術を磨いた。1962年に文化勲章を受章。最晩年まで創作を続け、107歳で亡くなるまで現役を全うした。「鏡獅子」は36年に着手し、戦争の激化などによる一時中断を経て58年に完成。高さ2㍍超の威容や木肌の質感で田中芸術の集大成とされる。国立劇場(東京)の建て替えに伴い平櫛田中美術館に「里帰り」している。

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地元の偉人、歌舞伎の演目(映画「国宝」がロングラン中ですし)と、着眼点が素晴らしいですね。演舞そのものも高評価を得たのでしょうが。ちなみに公式サイトによれば、「クロスカルチャーへの新しい挑戦」という枠組みでの特別賞受賞だとのこと。

先の話ですが、今回の受賞を受けて、井原市の平櫛田中美術館さんで開催中の企画展「彩色の世界―色から読み解く鏡獅子―」の関連イベントとして、同市での公演が開催されるそうです。
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光太郎智恵子をモチーフとした舞踊も、これまでにぽつりぽつりと公演がありましたが、ごく最近は聞きません。また演じられてほしいものです。ちなみにこのブログの「舞踊」カテゴリ、最新の記事は昨年の4月、上野桜木町の旧平櫛田中邸で行われた「旧平櫛田中邸 de タコダンス」でした。たまたま田中旧邸での公演で、内容的には関連がありませんでしたが。

田中ついでにもう1件。ダンスの話題は田中の故郷・岡山井原でしたが、こちらは田中が版円の晩年の10年を過ごした東京都小平市から。

平櫛田中応援プロジェクト~平櫛田中旧宅を後世に残すために~第3弾

 平櫛田中彫刻美術館は作品展示をする展示館と、平櫛田中が実際に暮した旧宅(記念館)の二館併設の美術館です。昭和43年(1968)に竣工した記念館は、老朽化が著しく、令和元年より実施した耐震診断で基準を大きく下回る結果となりました。それを受けて令和5年度には耐震補強・改修工事の設計を行ない、翌6年度より工事を実施しています。令和7年度には工事を完了し、再び一般公開できるようつとめてまいります。近代彫刻の巨匠が暮した記念館を後世へ保存し再び活用するため、皆様のご協力をお願いいたします。

寄附について
募集期間:令和7年10月1日(水曜)~12月29日(月曜)

目標金額:200万円 一口1円より寄附いただけます。ただし、インターネットサイト「ふるさとチョイス」で寄附される場合は、最低金額は2,000円になります。なお、税額控除は2,000円以上から発生します。

寄附金募集の目的:平櫛田中の旧宅(記念館)の耐震補強・改修工事を実施するとともに芸術文化振興の活性化を図る

(注)寄附金が目標額に達しなかった場合、いただいた寄附金は工事をするために必要な費用の一部に充てさせていただきます。

寄附の手続き方法
[1]インターネットでの寄附
 ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」のページ(準備中)より寄附いただけます。上記の期間中にご覧ください。

[2]納付書での寄附
 小平市寄附申請書(平櫛田中記念館用第3弾)(PDF 197.1KB)に必要事項をご記入いただき、小平市役所財政課にご提出ください。後日、納付書をお送りしますので、金融機関または郵便局にてお支払いください。

[3]現金書留による寄附
 小平市寄附申請書(平櫛田中記念館用第3弾)(PDF 197.1KB)に必要事項をご記入いただき、現金書留に同封し小平市役所財政課に郵送ください。

[4]現金持参による寄附
 平櫛田中彫刻美術館または小平市役所財政課にお越しいただき、小平市寄附申請書(平櫛田中記念館用第3弾)に必要事項をご記入のうえ、現金にてお支払いください。美術館に来館された方にはその場で預り証と返礼品(対象者のみ)をお渡しいたします。

PDFデータはこちら小平市寄附申請書(平櫛田中記念館用第3弾(PDF 197.1KB))、小平市寄附申請書記入例(PDF 224.1KB)
Excelデータはこちら小平市寄附申請書(平櫛田中記念館用第3弾(Excel 33.1KB)
 送付先 〒187-8701 東京都小平市小川町2-1333 小平市役所 企画政策部 財政課 財政担当
(注)申請書を郵送いただく場合、郵送料はご負担いただきます。
問合せ先 小平市役所 企画政策部 財政課 財政担当 042-346-9504
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返礼品について
 寄附金額にあわせて返礼品をお渡しします。金額ごとの返礼品は以下の通りです。
  1万円以上 図録等(美術館が発行する作品集や、過去の特別展の図録等)
  5千円以上 エコバッグ・封筒・一筆箋・クリアファイル大のセット
  2千円以上 絵はがきセット・クリアファイル大のセットまたは手ぬぐい
  (注1)小平市在住の方には返礼品をお渡しできません。

  (注2)美術館へお越しの方は、その場でお渡しします。
     それ以外でご寄附いただいた方には、後日郵送いたします。

返礼品の内容
 返礼品の対象となる図録等は、記念館記録集(2025年刊行予定)、「彫刻コトハジメ」(2018年)、「ロダンと近代日本彫刻」(2016年)、「ジャパニーズ・ヴィーナス彫刻家・藤井浩祐の世界」(2014年)、「仏像インスピレーションー仏像に魅せられた彫刻家たちー」(2008年)、「石井鶴三展」(1999年)です。
「ジャパニーズ・ヴィーナス彫刻家・藤井浩祐の世界」と「石井鶴三展」は、いずれも「平櫛田中作品集」とセットになります。絵はがき、クリアファイル、一筆箋、手ぬぐいの柄は選べません。
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昨年、第2弾が行われ、当会として微力ながら協力させていただきました。こちらでも光太郎終焉の地・中野区の中西利雄アトリエ保存運動を行っておりますので、他人事ではないなという感じで。今回も現金書留にて送る予定です。

皆様もぜひご協力ください。

【折々のことば・光太郎】

――要するに、美は到る処にあります。美がわれわれの眼に背くのでは無くて、われわれの眼が美を認めそくなふのです。


光太郎訳 ロダン「ロダンの言葉 ポール グゼル筆録」より
大正5年(1916)頃訳 光太郎34歳頃

「そくなふ」は「そこなう」の古語です。

本日開幕の「逗子アートフェスティバル」の一環としてのコンサートです。

余白露光2 ~テルミンと箏~

期 日 : 2025年10月18日(土)
会 場 : 逗子文化プラザホールなぎさホール 神奈川県逗子市逗子4-2-10
時 間 : 13:30~15:30(13:00開場) 
料 金 : 3,000円(中学生以下1,500円)

触れずに演奏する不思議楽器テルミン(世界最古の電子楽器)と箏の演奏会に、切り絵装飾と映像を重ねた幻想的な舞台。春の海、月の光、といった名曲に加え、テルミンと十七絃箏の為の新曲(藤枝守)初演予定。

旧逗子高等学校武道場で開催された『余白露光』(ZAF2024)の続編です。今年は切り絵も更に増えて23本。昨年『余白露光』ワークショップで、逗子の学校の生徒さんに作って頂いた切り絵もホール舞台装飾に参加します。

連作『植物文様』とは、葉や茎に電極をつけ、そこから得られる電位変化のデータをもとに音楽的に読み換えるという手法により生み出された音楽です。今回は、お茶の葉の電位変化を元に作られた曲です。

また、本演奏会では、通常の十三絃箏に加え、十七絃箏も演奏されます。十七絃箏とは、宮城道雄氏が作曲および合奏するにあたり低音域の必要性を求め作られました。当初はあくまで伴奏楽器でしたが、沢井忠夫氏により独奏楽器として確立されました。従来の箏とは異なる深く沁み渡る音が特徴です。

アーティスト紹介
 大西ようこ Yoko Onishi [テルミン]  元井美智子 Michiko Motoi [箏] 
 杵淵三朗 Saburo Kinebuchi[境界剪画・民族楽器] 

演奏予定曲目
 春の海(宮城道雄) 月の光(ドビュッシー) いにしえの光(竹味奈美) 秋に(橘川琢)
 《植物文様~夢みる茶(Tea Dreaming)》 (藤枝守) 『智恵子抄』より さくら(日本古謡)
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テルミン奏者の大西ようこさんが逗子にお住まいということで、お仲間を率いて地元での演奏。昨年に引き続いてです。同市の『広報ずし』(「押しずし」とか「ちらしずし」のようですね(笑))今月号。
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大西さんは、今回も出演される箏曲の元井さん、それから出演はなさいませんが聴きに来られるという朗読の荒井真澄さんとお三方で、二本松の高村智恵子生家/智恵子記念館さんで開催された高村智恵子生誕祭の一環として、4月に当会主催で智恵子生家の座敷を会場にして行ったコンサート音楽と朗読『智恵子抄』愛はここから生まれたにもご出演なさいました。
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元井さんは荒井さんと組んで、昨年から仙台、花巻で演奏。今年は花巻高村光太郎記念館さんでも
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さらにフライヤーにも写っている杵淵三朗氏の「境界剪画」がステージを飾るようです。また、同氏のご紹介に「民族楽器」とあり、演奏もされるのでしょうか。

プログラムにある『智恵子抄』よりは、おそらく元井さんのオリジナル曲。昨年、やはり大西さんとのコラボ「テルミンミュージアム4周年記念~人数限定のスペシャルなライブ~」でも演奏されました。

また、会場入口には大西さん所蔵のものを中心とした「智恵子抄」コーナーも設けられるとのこと。そのパネル制作、ちょっとだけお手伝いいたしました。

ぜひ足をお運び下さい。

【折々のことば・光太郎】

芸術は静観です。自然を洞察し、又自然の中の心霊を推測する喜悦です。


光太郎訳 ロダン「ロダンの言葉 ポール グゼル筆録」より
大正5年(1916)頃訳 光太郎34歳頃

今回演奏される藤枝守氏作曲の連作『植物文様』は、「葉や茎に電極をつけ、そこから得られる電位変化のデータをもとに音楽的に読み換えるという手法により生み出された音楽」だそうで、こういうのも自然の洞察、推測なのかもしれません。

光太郎詩にオリジナルの曲を付けて歌われているシャンソン系歌手・モンデンモモさん。島根県を拠点にミュージカル等に携わられることが多いのですが、ご自宅は都内で、今年は「智恵子抄」をメインにしたライブを4月5月と開催されまして、さらにまたやられるとのこと。

BOOK CAFÉ LIVE モモの智恵子抄

期 日 : 2025年9月20日(土)
会 場 : 蔵カフェ 東京都府中市宮西町4-2-1
時 間 : 15:00~
料 金 : 3,500円+カフェご注文

出 演 : モンデンモモ たしまみちを(ギター)

我地元。大国魂神社に抱かれる 蔵カフェにて シリーズが始めさせていただけることになりました。このカフェは長い文化の源です。

私の根幹であります 智恵子抄 常にお届けしてまいります 光太郎さんとの出逢いから レモンの香りに包まれる現世 そして魂になり 光太郎さんと遊び見守り智恵子さん 時代と共にその魂も遊びます 本当に素敵なカフェです あなたも蔵カフェで歴史を築かれませんか モンデンモモモモ ここで 集約して参ります お待ちしています
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ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

のろい、考へつつする仕事や、手業。此は神来よりは美しくない様に見えます。ぱつとしない。それにも拘らず、此が芸術の総根元なのです。

光太郎訳 ロダン「ロダンの言葉 ジユヂト クラデル筆録」より
大正4年(1915)頃訳 光太郎33歳頃

「神来」は、神の啓示を受けたかのように、突然に達する境地。芸術とはそういうものではなく、地道な積み重ねが重要だと、ロダンも、それを訳した光太郎も考えていました。

昨日は上京しておりました。

メインの目的はコンサートの拝聴でしたが、早めに出て、まずは久々に国会図書館さんへ。
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こちらのデジタルコレクション、自宅兼事務所に居ながらにして見られる資料数が飛躍的に増えているのですが、館まで足を運ばないと見られない「館内限定」データも著しく拡充されており、そのあたりの調査です。

光太郎智恵子がらみで様々なことをやっている当方ですが、ライフワーク的には彼等の書き残したものの集成。筑摩書房さんの増補版『高村光太郎全集』の平成10年(1998)に完結後も、それにもれている作品がかなり多く、高村光太郎研究会さんで年刊刊行の『高村光太郎研究』内の連載「光太郎遺珠」としてそれらを紹介しています。昨日もそれっぽいものを見つけて参りました(詳しく調べないと分かりませんが)。また、『高村光太郎全集』編纂に当たられた、当会顧問であらせられた故・北川太一先生の古い短文なども。

その後、杉並区の荻窪に。古書店を2軒廻り(収穫ゼロでしたが)、杉並公会堂さんへ。
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こちらで「 POEM*CONCERTⅣ ほんとうの幸い 宮沢賢治も夢みた世界」という公演があり、それがメインの目的でした。
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「POEM*CONCERT」と題されているように、毎回1人の詩人を取り上げて、その人物の作詞した歌曲などを演奏したり、作品の朗読を行ったりというコンセプトで、今回は宮沢賢治。直接的には光太郎には関わりませんが、これは聴いておかなけりゃ、というコンサートでした。

第一に、今冬の花巻高村光太郎記念館さんでの企画展示に向けて、現在、宮沢賢治と格闘していますので(実際に殴り合っている訳ではありません(笑))。まだ詳細は発表されていませんが、数回にわたる『宮沢賢治全集』の刊行に光太郎が大きく関わっていまして(当会の祖・草野心平も)、そのあたりに関する展示になります。関連行事として、年明けには花巻で賢治実弟・清六の令孫、宮沢和樹氏らとの公開対談も予定されています。展示の解説パネルはいったん書き上げましたが、まだ完成というわけではありませんし、とにかく賢治の世界観に触れておきたいと考えた次第です。

第二に、出演なさった二期会の黒川京子氏、清水邦子氏とのご縁。今回の招待券も黒川氏から頂きました。
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お二人とも光太郎詩に曲が付けられた歌曲を歌われていらっしゃり、そしてこのコンサートの関係もあって、賢治の故郷・花巻を訪れてみたいということで、今年の1月31日(金)・2月1日(土)と、1泊2日で花巻をご案内いたしました。そういうわけで、やはり「これは聴いておかなけりゃ」でした。

さて、杉並公会堂さん。正面玄関を入ると、テレビモニターがあって、よくある「本日の催し」的な案内画面。それを見て、噴き出しました。
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「ほんとうの幸い」が「ほんとうの辛い」になっていまして(笑)。まぁ「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」と賢治は言い切りましたので、「ほんとうの幸い」を実現するためには「辛い」ことも多いでしょうが(笑)。

2部構成で、プログラム的には以下の通りでした。
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独唱あり、4人の歌い手さんによる混声4部合唱あり、仕掛け人のお一人・松野志保氏のレクチャーや朗読あり、最後は観客席を巻き込んでの「星めぐりの歌」大合唱(厳密には斉唱ですが(笑))と、実にバリエーションに富んだ構成で、素晴らしいと思いました。まさに黒川氏、清水氏のお二人をお連れしたイギリス海岸を題材にした「イギリス海岸の歌」も演奏されました。さすがに種山が原まではご案内できませんでしたが。

ちなみにバリトンの馬場眞二氏は、一昨年の「福成紀美子ソプラノリサイタル~作曲家 朝岡真木子とともに~」で、朝岡真木子氏ご作曲の「冬が来た」を歌われた方でした。テノールの鹿内芳仁氏は青森ご出身だそうで、MCでは歌曲の歌詞を賢治が書いた通りの南部弁で読まれたり。

終演後。
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この際のトークの中で、次回(来年)の予告。これまでに金子みすゞ、立原道造、中原中也、宮沢賢治と来て、何と、次回は光太郎を取り上げて下さるそうで。帰りがけ、ホワイエで清水氏、黒川氏とお話しさせていただいた中で「来年が光太郎って、聞いてなかったっすよ」と申し上げたところ「さっき決まりました」(笑)。一昨年、清水氏歌唱でリリースされた朝岡真木子氏ご作曲の「清水邦子が歌う 組曲『智惠子抄』」CD(ライナーノートを書かせていただきました)を、清水氏が松野氏らにお渡しなさったところ、「来年は高村光太郎で行こう」となったそうで。

光太郎詩に曲を付けた作品は、独唱歌曲もそれなりにたくさんありますし、今回のように4人のカルテットとすれば、これまたまあまあ数のある混声4部合唱も可能で、こりゃ楽しみだ、と思いました。ただ、光太郎自身が元々歌曲の歌詞として作詞したものはほとんど戦時歌謡系ですので、そのあたりはちょっと……という気がしますが。

そんなこんなでサプライズもあり、充実した上京となりました。関係の皆さまに感謝申し上げると共に、今後のますますのご活躍を祈念いたします。

【折々のことば・光太郎】

自然を狭義に模写する事は全く芸術の目的ではありません。

光太郎訳 ロダン「ロダンの言葉 ジユヂト クラデル筆録」より
大正4年(1915)頃訳 光太郎33歳頃

「「自然」に学べ」とか「「写実」が重要」とロダンは繰り返しましたが、ただそのままを写し取ることには否定的でした。自然を模写しつつも、自らの感性というフィルターを通して作品に仕上げなければならい、というわけでしょう。そのためには「誇張」もやぶさかではないと。

光太郎もその考えを自らの血肉としていました。そのため、実物そっくりに作った自在置物などのいわゆる超絶技巧系には芸術としての価値を殆ど認めませんでした。超絶技巧系大好きで少し前に起こったブームの仕掛け人だったエラいセンセイのお一人は、その点をして「光太郎が明治工芸を破壊した」と憤慨していましたが、それはお門違いというものでしょう。

女優の吉行和子さんが亡くなったそうです。共同通信さん配信記事。

吉行和子さん死去、90歳 俳優、舞台や映画で活躍005

 個性派俳優として舞台や映画、テレビで活躍した吉行和子(よしゆき・かずこ)さんが2日未明、肺炎のため死去した。90歳。東京都出身。葬儀は近親者で行った。
 昭和初期のダダイスト詩人吉行エイスケ、美容家あぐりさんの長女。兄は作家の淳之介。妹は詩人の理恵さん。
 劇団民芸の舞台「アンネの日記」の主役で注目を集めた。今村昌平監督の映画「にあんちゃん」、早稲田小劇場で唐十郎さん作の舞台「少女仮面」などに出演。大島渚監督の映画「愛の亡霊」では夫を殺すヒロインを体当たりで演じた。
 自立した女性から母親役、妖艶な悪女まで幅広い役柄をこなした。代表作に映画「父よ母よ!」「佐賀のがばいばあちゃん」など。

吉行さん、光太郎関係ですと、昭和40年(1965)封切りの映画「こころの山脈」にご出演なさっていました。
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同作品、当時としては珍しい、クラウドファンディングのような形で資金を募る地域密着型フィルムコミッション方式の映画でした。仕掛けたのは、智恵子の故郷・福島二本松に隣接する本宮町(現・本宮市)の人々。元々本宮では映画を使った教育が盛んで、町内の「本宮映画劇場」に小中学生が授業の一環として移動し、良質な映画を観るということをやっていたそうです。
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ところがそうした機会に子供たちに見せるに相応しい映画が少なく、だったら自分たちで作ろう、という流れになったとのこと。そのためキャストにはプロの俳優さんたち以外に地元の皆さんが大挙して動員されています。エキストラだけでなく、準主役の少年・清役も地元の小学生でした。本宮を中心に、二本松でもロケが行われました。

安達太良山は本宮の人々にとってもソウルマウンテンで、安達太良山にからめて「智恵子抄」にも触れられています。
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主役の秀代は山岡久乃さん。小学校の産休補助教員という設定でした。
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吉行さんは、産休に入る若い安子先生の役。
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このクラスには一人、問題児が居て、しかし山岡さん扮する秀子との交流を通じ立ち直っていく……という、ある意味先が予想出来てしまう展開ですが、それはそれでそういうものでしょう。

「子供達にも安心して観せられる良質な映画を作ろう」という理念を掲げ、地元主導で制作されたものですので、過激な描写や突拍子もない設定などとは縁遠く、地味な作品です。そのため、その取り組みは高く評価されたものの、興行的にはさんざんでした。いたしかたないでしょう。

しかし、地元では「本宮の一つの宝」と位置づけ、平成25年(2013)から「カナリヤ映画祭」を実施、「名作」と称される映画を上映する試みを行っています。令和4年(2022)の第10回くらいまではほぼ毎年「こころの山脈」も上映されており、当方、それで本作を拝見したのですが、最近は本作の上映がなく少し残念です。

ともあれ、吉行さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

【折々のことば・光太郎】

到る処、日本人にも、エジプト人にも、ギリシヤ人にも、ゴチツク時代の人にも、十六世紀のフランス人にも、芸術は自然の研究に過ぎないのです。が此の絶対の、基本の原理の上に、国民により、気質によつて何といふ無限の変化のある事でせう!

光太郎訳 ロダン「ロダンの言葉 ジユヂト クラデル筆録」より
大正4年(1915)頃訳 光太郎33歳頃

「芸術は自然の研究に過ぎない」。しかし、その研究の仕方によって、フローチャートは無限の広がりを見せる、というわけで。

鹿児島から朗読会の情報です。

あなたに届ける朗読会vol.8

期 日 : 2025年9月15日(月・祝)
会 場 : 川内まごころ文学館 鹿児島県薩摩川内市中郷二丁目2-6
時 間 : 13:30~15:30
料 金 : 一般 1,000円・小中高校生 500円  要予約 090-4346-1066

令和3年から開講した、ことの葉日和朗読教室 薩摩川内朗読サロン。「いつか川内クラスだけの発表会をしよう」と約束して、ついに実現!何と!薩摩川内の朗読教室3クラスの受講生全員が出演します!
第一部の発表会は、芥川龍之介、与謝野晶子、島崎藤村、高村光太郎、宮沢賢治、金子みすゞ、八木重吉、新美南吉、太宰治…と、文学作品を個性豊かな生徒さんたちが朗読します。
第二部の朗読コンサートは、三年半ぶりに「雨月物語〜菊花の約〜」を、ゲスト濱田貴志&桐めぐみクラシックギターデュオとともに浜本麗歌の朗読でお届けします!
九月の話でもある江戸文学の名作「雨月物語〜菊花の約〜」。せつないクラシックギターの音色とともにお楽しみください。
司会&お手伝いは、鹿児島県立川内高校放送部のみなさん! 朗読を聴くひとときをぜひどうぞ!
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ことの葉日和 朗読教室」さんという団体の主催で、2部構成のうちの第1部での教室の生徒さんによる発表に光太郎作品が含まれているようです。ありがたし。
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ところで朗読と言えば、6月に早稲田奉仕園スコットホールさんで開催された「木村俊介Concert 『鵲(かささぎ)の橋の上で』in 東京 愛のかたち、様々に~日本と韓国の文学作品から~」にゲスト出演なさり、「智恵子抄」から朗読をされた壤晴彦氏が、先週、秋田での「日本と韓国 朗読コンサート ~日本と韓国の文学・物語を朗読と音楽とともに~」という公演で、やはり「智恵子抄」からの朗読をなさったそうです。早稲田で共演なさった和楽器奏者の木村俊介氏、伽耶琴(カヤグム)を奏でるパクスナ氏もご一緒でした。

事前の告知で「高村光太郎」「智恵子抄」といったワードが出ていなかったようで、気づきませんでした。記録のために書き記しておきます。

さて、会場の川内まごころ文学館さんの常設展示では、光太郎とも縁のあった有島武郎や実弟の里見弴などが扱われています。ぜひ足をお運び下さい。

【折々のことば・光太郎】

私の友達の、造船家が私に話したには、大甲鉄艦を建造するには、唯そのあらゆる部分を数字的に構造し組合せるだけでは駄目で、正しい度合に於て数字を乱し得る趣味の人によつて加減されなければ、船がそれ程よく走らず、器械がうまくゆかないといふ事です。してみれば決定された法規といふものは存在しない。「趣味」が至上の法規です。宇宙羅針盤です。


光太郎訳 ロダン「ロダンの言葉 ジユヂト クラデル筆録」より
大正4年(1915)頃訳 光太郎33歳頃

昨日のこの項でご紹介した一節同様、ここでロダンが言う「趣味」とは、「感性」「造型的感覚」といった意味だと思われます。

機器の製作に於いてすら、図面通りにやれば良いというものではなく、いわんや彫刻に於いてをや、というわけでしょう。

演劇公演の情報です。

チエコ

期 日 : 2025年9月11日(木)~9月15日(月・祝)
会 場 : 両国・エアースタジオ   墨田区両国2丁目18-7ハイツ両国駅前地下1階
時 間 : 9/11 19:00~ 9/12 15:30~ 19:00~ 9/13~15 12:00~ 15:30~ 19:00~ 9/14
料 金 : 来場チケット ¥4,000(全席自由/要予約) ★配信チケット¥3,000

詩人・高村光太郎とその妻智恵子の愛の物語。智恵子の死後、智恵子抄を作ろうと友人の草野心平と中原綾子を呼び智恵子の思い出を振り返る。

出 演 : A 小森毅典 武口菜々子 菖蒲万紀彦 千歳れな ルーシー大原くん  菜月あいり 愛美
      B 新城侑樹 山﨑皆 野田慧 野中梨緒那 風間悠介 中島彩果 阿部優華
      C 松山傑 米良美沙 福岡洸星 富山悠里 安藤良侑 富田凪 藤井円
脚本演出 : 野口麻衣子
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登場人物は7人。それを3組の役者さん達が演じられます。順に光太郎、智恵子、光太郎実弟の豊周、智恵子の姪・春子、当会の祖・草野心平、歌人・中原綾子、智恵子の親友・田村俊子。

「劇団空感エンジン」さんとしての公演を同じ会場で、平成25年(2013)平成30年(2018)と拝見しました。それ以前の平成22年(2010)頃、それからその後令和3年(2021)にも公演がありました。一部、役者さんがかぶっています。

この手の脚本の中では、わかりやすさの面ではピカイチのものの一つです。光太郎智恵子についての予備知識が少ない方がご覧になっても「?」という場面が少ないでしょう。それだけに再演が重ねられているのだと思われます。

また、登場人物それぞれがうまく生かされています。智恵子の心の病という重い現実に関し、それぞれに言い分があって、相互の行き違いや齟齬、時に痛烈な非難的な場面もありますが、結局、それは仕方のないことだった、誰が悪いわけでもない、というような。

それから、キャスト、スタッフの方の中には、公演に向けてと言うことで、光太郎智恵子聖地巡礼などをなさる方もいらしたようで、素晴らしいと思いました。

ぜひ足をお運び下さい。

【折々のことば・光太郎】

何といふ誇張のない的確だ! 此は君の特質の一つです。真実である事、そして単にそれきりだ。

光太郎訳 ロダン「手紙」より 明治43年(1910)頃訳 光太郎28歳頃

人体彫刻に於ける筋肉の付け方など、まったくやっていなかったわけではありませんでしたが、ロダンはあらゆる面で、わざとらしい「誇張」を嫌っていました。

令和2年(2020)に集英社さんから刊行された村山由佳氏の小説『風よ あらしよ』。伊藤野枝を主人公とし、『青鞜』時代や辻潤、大杉栄との生活、そして関東大震災直後の一家鏖殺までが描かれ、光太郎智恵子も登場しています。

令和4年(2022)にはNHKさんで全3回でドラマ化。それが再編されて劇場版映画として令和6年(2024)に公開されました。残念ながらこちらには光太郎智恵子は登場しませんが、智恵子が表紙絵を描いた『青鞜』創刊号が重要なアイテムとして繰り返し使われています。
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さて、NHK BSさんで再放送があります。

ドラマ・選 風よあらしよ(1)

NHK BS 2025年8月31日(日) 22:00〜22:50 9月6日(土) 23:10〜00:00

今から100年前。女性の地位は低く、良妻賢母が求められた時代。福岡の片田舎で育った伊藤野枝(吉高由里子)は、東京の女学校へ入学し教師の辻(稲垣吾郎)から「青鞜」の存在を教わり心を掴まれる。貧しい家を支える為の結婚を蹴り、自由を求め再び上京した野枝に才能を感じ取った辻は、彼女に知識を与え、導く。溢れんばかりの情熱を持った野枝はらいてう(松下奈緒)の青鞜社の門をたたき時代の若きアイコンとなる。

【出演】吉高由里子 永山瑛太 松下奈緒 美波 山田真歩 朝加真由美 山下容莉枝
    渡辺哲 栗田桃子 石橋蓮司 稲垣吾郎
【原作】村山由佳  【脚本】矢島弘一  【音楽】梶浦由記

それから、野枝の故郷・福岡県では映画館で劇場版の「バリアフリー上映会」。

福岡に本社を置く『西日本新聞』さんの案内記事。

「風よ あらしよ劇場版」バリアフリー上映会

 女性解放運動家・伊藤野枝を描いた村山由佳さんの同名小説が原作のドラマ「風よ あらしよ」の劇場版を上映する。
 福岡の田舎で育った伊藤野枝は、貧しい家を支えるための結婚を断り上京する。平塚らいてうに感銘を受けた野枝は、らいてうらが中心となって結成された女流文学集団・青鞜社に参加。青鞜社は野枝が中心になり婦人解放を唱える戦う集団となってゆく。野枝を吉高由里子さん、らいてうを松下奈緒さん、野枝の最初の夫辻潤を稲垣吾郎さん、後に生涯のパートナーとなる大杉栄を永山瑛太さんが演じる。脚本は矢島弘一さん、演出は柳川強さん。

開催日 ふくふくホール8月30日(土)①午前11時②午後2時、さいとぴあ9月10日(水)①午後2時半②同6時半、アミカス11日(木)①午後2時半②午後6時半

開催場所 福岡市市民福祉プラザ(ふくふくプラザ) さいとぴあ(福岡市西部地域交流センター)、福岡市男女共同参画推進センター・アミカス4階ホール 〒8100062 福岡県福岡市中央区荒戸3丁目3-39

料金 一般1400円(前売り1200円)、障害者当日600円(視覚障害者の介助者は無料)
参加条件 要申し込み URL 
https://cinema-arci.net/events/
主催・問合せ 九州シネマ・アルチ 092(712)5297 arci1210@bcj.ne.jp
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「バリアフリー上映会」とは、音声ガイドや字幕などを使い、多くの方に楽しんでいただけるように配慮された公開方法です。テレビドラマ版で副音声や字幕が作成されているので、それを転用するのではないでしょうか。

こうした動きが一般的になっていけばいいと思います。

【折々のことば・光太郎】

大きな商人や金持ちの好事家の役に立つ才能を持たないのは惜しい事です。してみれば結局厭に思はないで、君みたいに、僕の選ぶ彫刻を取つてくれるのは、文学家と芸術家だけだといふ事になるのです。


光太郎訳ロダン「手紙」より 明治43年(1910)頃訳 光太郎28歳頃

美術評論家ロジェ・マルクスに宛てたロダンの手紙の一節です。注文主と作者との考えの相違、それにまつわるトラブルなどの「あるある」に関わります。光太郎にもそういうことがありましたが、ロダンの場合はそれがしょっちゅうでした。

全日本合唱連盟さんの下部組織である東京都合唱連盟さん主催の「第80回東京都合唱コンクール」が来週開催されます。上位入賞団体は10月から11月にかけて行われる全国大会の出場権を獲得できる仕組みです。画像は昨年の第79回大会の模様。
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都合唱連盟さんのサイトで、都大会の出場団体、曲目まで公開されています。その中で、「大学ユースの部」に出場される早稲田大学コール・フリューゲルさんが、新実徳英氏作曲の「愛のうた -光太郎・智恵子-男声合唱とフルート、クラリネット、弦楽オーケストラのために」から「レモン哀歌」を演奏されるとのこと。本来、サブタイトルにあるとおりオケ伴として作曲されたものですが、公刊されている楽譜は四手連弾のピアノ譜が付されていて、その形で演奏されるのでしょう。

コール・フリューゲルさん、昨年度の「第77回全日本合唱コンクール全国大会」で金賞を獲得したそうで、そのため、今回の都大会では「シード」。出場はされるそうですが審査の対象外で、もう全国大会出場が決まっているとのこと。そういう規程になっているとは存じませんでした。

また、都大会の演奏も課題曲と自由曲それぞれ1曲ずつを演奏する他団体と異なり、課題曲1曲と、自由曲的に4曲の演奏となっています。そのうちの1曲が「レモン哀歌」、他に「早稲田大学校歌」(作詩:相馬御風 作曲:東儀鉄笛 編曲:山田耕筰)、「男声合唱と四手のピアノのための『一人は賑やか』より 一人は賑やか」(作詩:茨木のりこ 作曲:三善晃)、「『リーダーシャッツ21』男声合唱篇より さらに高いみち」(作詩:木島始 作曲:信長貴富)。シード権を得ると、もはやアトラクション的な扱いになるようです。

全国大会では地方予選を勝ち上がっていた団体と同様に、課題曲と自由曲それぞれ1曲ずつの演奏となるそうで、そちらの曲目はまだ不明です。ぜひ全国でも「レモン哀歌」を演奏していただきたいところですが。

都大会の詳細は以下の通り。

第80回東京都合唱コンクール

期 日 : 2025年9月6日(土) 小学生部門 大学職場一般部門 混声合唱の部/同声合唱の部
      9月7日(日) 大学職場一般部門 大学ユースの部/室内合唱の部
      9月21日(日) 中学生部門 高等学校部門
会 場 : 文京シビックホール 東京都文京区春日1-16-21
時 間 : 9/6  10:30~ 9/7 10:15~ 9/21 10:30~
料 金 : 一般 前売り1,500円/当日券2,000円 小学生 前売り800円/当日券1,000円
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コール・フリューゲルさん、1日目の9月6日(土)、予定では18:48~の演奏ということになっています。

ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

芸術に於て、人は何にも創造しない! 自分自身の気質に従つて自然を通訳する。それだけだ!

光太郎訳ロダン「断片」より 大正5(1916)頃訳 光太郎34歳頃

「自分自身の気質に従つて自然を通訳」。優れた音楽も、そういうものなのかもしれません。

栃木県から演劇公演の情報です。

「智恵子抄」より

期 日 : 2025年8月30日(土)・8月31日(日)
会 場 : アトリエほんまる 栃木県宇都宮市本丸町1-39
時 間 : 両日とも 11:00- / 17:00
料 金 : 一般 1,500円 U22 1,000円 2回目以降のご観劇は500円引きになります。

劇団 言葉借り とは。できないことばっかりな主宰小鳥遊ばんりが言葉を借りて、力を借りて、演劇を作る集団。

第一回公演となる本公演は、高村光太郎の「智恵子抄」の言葉をお借りします。

ことば 高村光太郎  構成 小鳥遊ばんり  配役 女:井森春 男: 渡邊滉太
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二人芝居のようですが、配役は「光太郎」「智恵子」ではなく、「男」と「女」。先にクレジットされている「女」がメインなのでしょう。固有名詞が与えられていないことから、特定の人物の日常ではなく、「智恵子抄」をモチーフとした普遍的な女と男の物語とでもいったところでしょうか。

また、フライヤー裏面下部に、ちょっと気になる記述。「アイマスク着用のご提案」だそうで、「より言葉を純粋に楽しんでいただく鑑賞方法として、アイマスクを着用しての鑑賞をお勧めいたします」とのこと。「へぇー」という感じです。

ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

現在を過去に結び合せる事は必要である。此事は活きてゐる者に智慧と幸福とを持ち来す。


光太郎訳ロダン「断片」より 大正5(1916)頃訳 光太郎34歳頃

いわゆる「温故知新」ということにも繋がるでしょうか。芸術の制作にもあてはまるでしょうし、人の生きざまといった部分にも繋がるような気がします。光太郎智恵子のように、激動の時代に「生」の在り方を試行錯誤した人々のそれは、特に、です。結局智恵子は刀折れ矢尽き、光太郎は何度もつまづいては転び、そのたび立ち上がっては反省して方向転換し、しかし時には誤った道に踏み惑い……。そうした生きざまから我々も学ぶべきことが多々あるはずですね。

昨日は上京しておりました。メインの目的は、講談「夏の太陽講談会 読めなかった講釈を読もう〜」の拝聴でした。

会場は御茶ノ水のスカイルーム太陽さん。すぐ近くにはニコライ堂さん。
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真打・一龍斎貞橘さんがメインで、午前中から3部に分けての公演。3部それぞれに「助演」ということで、田辺いちかさん、神田伊織さん、そして一龍斎貞奈さんと、二ツ目の方々がワキを固めました。さらに当方が拝聴した第3部では前座(来月二ツ目に昇進されるそうですが)の宝井小琴さん。
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第1部から通しで聴かれた方もいらしたそうですが、当方は第3部のみ拝聴。助演の一龍斎貞奈さんがオリジナルの新作「高村智恵子の恋」を演じられるということで。

初演は8月9日(土)、日本橋社会教育会館で開催された「一龍斎貞奈 入門10周年記念公演〜昭和100年特集〜」でしたが、その際は当方、宮城県女川町での第34回女川光太郎祭に参列しておりまして、聴けませんでした。で、「再演してくれないかな」と思っておりましたところ、さっそく再演。「これはありがたい」と、馳せ参じた次第です。

ちなみに帰ってから調べましたところ、貞奈さん、午前中にも向島の墨亭さんという寄席で「高村智恵子の恋」を演じられていたそうで、そのパワフルさには驚きました。
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もう一つ「ありゃま」がありまして、「夏の太陽講談会」の方、日比谷松本楼さんでの今年の第69回連翹忌の集い、それから先月、中野区の産業振興センターさんで開催した「中西アトリエをめぐる文人たちの朗読会」で、「智恵子抄」からの朗読をしていただいたフリーアナウンサーの早見英里子さんもいらっしゃり、隣に座らせていただきました。

さて、開演。

まずは宝井小琴さんによる新作、江戸川乱歩の「黄金の塔」。お馴染み名探偵・明智小五郎や少年探偵団の小林少年と、怪人二十面相との知恵比べ。こういうものも講談のモチーフになるんだ、という感じでした。

続いて一龍斎貞橘さん。演目は「一心太助~楓の皿」。もはや若い皆さんには「ご存じ一心太助」とは言えないでしょうが、太助が魚屋となるまでの顛末。貞橘師匠はこの後の「高村智恵子の恋」の後の大トリで、正統派の「源平盛衰記」から採った「宇治川の先陣争い」も演じられました。意味がぱっと解りにくい古典の文章も、声に出して読むことで非常にリズミカルに聞こえ、細かな意味まで解らなくともそれでいいのだろう、という感じでした。

そして貞奈さんによる「高村智恵子の恋」。

元々、野田秀樹氏脚本・大竹しのぶさん主演の「売り言葉」をご覧になっての着想だそうで、「光太郎の妻」という刺身のツマ扱いではなく、自らの信念に従って自分の足で立とうとする女性であった智恵子を描こうという意図が充ち満ちていました。しかし、智恵子の前にさまざまな困難が立ちはだかってなかなか思うように行かず、それでもへこたれることなく……というわけで。

智恵子の評伝等の類にもあたられてかなり勉強されたようで、感心いたしました。冒頭近くに智恵子の福島高等女学校時代の同級生・大熊ヤスが登場したり(二人の福島弁での掛け合いがユーモラスでした(笑))、この手の二次創作ではほとんど扱われない宮崎与平・渡辺文子との三角関係(光太郎と知り合う前の)なども紹介されたりと。それらや、日本女子大学校での一年先輩・平塚らいてうとのテニス勝負の場面、光太郎と知り合ってからも、駒込林町のアトリエ竣工祝いにグロキシニアの鉢植えを持って行くシーンなどなど、高座卓から身を乗り出さんばかりの熱演。

余談ですが、当会事務所兼自宅のグロキシニア、まだ花を咲かせ続けています。
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そして、連翹忌会場ともさせていただいている日比谷松本楼さん、智恵子が光太郎を追って行った犬吠埼等々のエピソードへと進み、大正3年(1914)の二人の結婚まで。およそ40分程の構成でした。

終演後、早見さんともども、既にお着替えを終えられた貞奈さんと少しお話をさせていただきました。
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その後の光太郎智恵子の、俗世間とは極力交渉を絶って「都会のまんなかに蟄居した」というような生活、智恵子の心の病、そして死、さらに詩集『智恵子抄』といったあたりについては、続編として「高村智恵子の」ならぬ「高村智恵子の」として構想中だそうです。期待大ですね。
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関係の皆さんの、今後のますますのご活躍を祈念いたします。

【折々のことば・光太郎】

叡智は描形(デシネ)する。が肉づけするのは心だ。

光太郎訳ロダン「断片」から 大正5年(1916)頃訳 光太郎34歳頃

「描形」は構想、「肉づけ」が実際の制作という意味でしょうか。どんなに頭を使って構想を練ってもそれだけでは不十分だし、実作する過程でいろいろなものが付け足されたり、逆に不要なものが削り取られたり、そういうものだというロダンの信念でしょう。

造型芸術に限らず、文学や音楽、講談なども含めた舞台芸術等にも言えることだと思います。

講談の公演情報です。

夏の太陽講談会 読めなかった講釈を読もう〜講談前線異常なし〜(仮)

期 日 : 2025年8月16日(土)・17日(日)
会 場 : スカイルーム太陽 千代田区神田駿河台2-4-3 藤沢ビル5F
時 間 : 【一部】10:30開演 【二部】13:00開演 【三部】15:30開演
料 金 : 予約2,000円 当日2,200円
出 演 : 一龍斎貞橘
       助演 16(土) 1部いちか 2部伊織 3部貞奈
          17(日) 1部紅純 2部琴鶴 3部お楽しみ!

予約問合せkoudankai@gmail.com 熱い夏に熱い講談を! カレーもあるよ!

過日ご紹介しました「一龍斎貞奈 入門10周年記念公演〜昭和100年特集〜」で、「高村智恵子の恋」が演目に入り、ぜひ拝聴に伺いたかったのですが、あいにく第34回女川光太郎祭とブッキングでした。すると、一龍斎貞奈さんのX(旧ツイッター)アカウントに以下の投稿
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これは聴かざあなるめいと、予約いたしました。8月16日(土)ということで、ラッキーでした。翌日ですとまたブッキング(テレビ番組の収録です)でしたので。

さらに貞奈さんのX(旧ツイッター)投稿から。

【高村智恵子についてのボヤキ】006
昨日は、「高村智恵子の恋」を初口演した。
相変わらず計画を守れない私は、前日まで台本が仕上がらず独演会でトリネタで語るクオリティとして全く仕上がっていなかっただろう・・・

が、私自身としては台本の構成と人物描写について「及第点かな」と、自信過剰な自己評価をしよう。

そもそも高村智恵子の人生について興味を持ったのは2002年のスパイラルホール。
野田秀樹さん脚本監督・大竹しのぶさん主演の一人芝居「売り言葉」。

高村光太郎の詩は、中学の教科書で「レモン哀歌」「あどけない話」を習ったという記憶があったくらいで良く知らなかった。
『むかしの芸術家のラブレターが文学になるんだな~』くらいの認識だったように思う。

「売り言葉」は、妻を愛しその死を嘆き悲しみ光太郎の見た美しい智恵子への愛を、その真逆から映し出したお芝居だった。

私の講談に取り入れたこの場面。
「あんたの見るあの南天の色と、私が見る南天の色が同じとは、限んねぇよない」

これは、私が14歳のころに同じく感じた事だった。

内弁慶で無口で恥ずかしがりやなのに、なぜか大胆不敵で自意識過剰。

この辺りの人物解釈も私の共感を生んだ。

智恵子と光太郎が恋人同士になる前、
「私がこれほど高村さんをお慕いしているんだから、高村さんだって少なからず私に好意を持ってくださっているはず・・・」
と思いつつも、お見合いのために故郷へ帰るという智恵子を引き留めない光太郎に、涙を流す。

私の台本のこのシーンを、昨日評価してくださる方が多くいらっしゃって、それだけでも「高村智恵子の恋」はまずまず「及第点」を取れたと自負する。

この部分に、私が表現したかったすべてが詰まっていた。それが観客に少なからず伝わったのであれば、これほどやりがいのある仕事はないよね、と思ったり、思わなかったり、ラジバンダリ。

結婚生活が始まり、幸せな暮らしも束の間、数々の苦境に立たされて、やがて心を病んでいく智恵子。
むしろ後半の人生こそ、令和の女性たちにぜひ聞いていただけたら嬉しい。

そんなわけで、後半は「智恵子の変」をいずれの場で口演したいと思います。

智恵子の異変。
光太郎の能天気さに対する純愛文学への変。
光太郎の変心。

まぁ、智恵子も私も変なんだ。
しかし、恋するって素晴らしい。
恋できるって素晴らしい。

そんな私の「智恵子の変」。こうご期待。

「期待」しております(笑)。ただ、この手の公演の場合、急遽出演者や演目が変更になったりする場合があるようですが、そうならないことを祈ります。

【折々のことば・光太郎】

自然、とは天と地とである。人々は此の天と地との間で苦しみ又考へる。

光太郎訳ロダン「フランスの自然」より 大正4年(1915)訳 光太郎33歳

古今の人々が「天と地との間で苦しみ又考へる」その生きざまを語る、という意味では、講談にも通じる一言ですね。

8月6日(水)、新宿の東京オペラシティアートギャラリーさんで開催中の「難波田龍起」展を拝見後、上野に足を向けました。次なる目的地は東京文化会館さん。モダニズム建築の巨匠・前川國男の設計です。音楽ホールとしては珍しく、かつてテレビ東京さん系の「新美の巨人たち」でも取り上げられました。もっとも同番組、ヘーベルハウスさんの単独提供となってから「『建築の巨人たち』じゃねーか」と突っこみたくなっているのですが(笑)。
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こちらの小ホールで、「第18回二期会駅伝コンサート~喜怒哀楽~」を拝聴。
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「駅伝」の名に相応しく、15:30から20:00まで、50名超の歌い手の皆さん、10名以上のピアニストさんが演奏し継いでいくという催しでした。
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最後の「日本歌曲研究会」さんの部で、朝岡真木子氏作曲の「組曲 智恵子抄」から「千鳥と遊ぶ智恵子」を清水邦子氏が歌われるので、最終休憩の前、18:30頃参上いたしました。いきなり受付付近に朝岡氏がいらっしゃり、ご挨拶させていただきました。

休憩中の小ホール。
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こちらには初めて足を踏み入れましたが、小ホールといいつつ、へたな施設の大ホールより素晴らしいと思いました。ステージは確かに狭いのですが、天井の高さがそれを感じさせず、実際、後ほど演奏が始まると音響効果はえもいわれぬものでした。

来年、大規模改修が始まるそうですが、オリジナルの雰囲気はそのままにリニューアルされることを強く望みます。

「ロシア歌曲研究会」さんの後、「日本歌曲研究会」さん。
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朝岡氏作曲の「千鳥と遊ぶ智恵子」。清水氏は組曲の中の一曲だけを取り出すのは難しいとおっしゃっていましたが、どうしてどうして秀逸な演奏でした。

トリをつとめられた前澤悦子氏、令和4年(2022)の「えつ子とまき子のコンサート 2022秋」など、朝岡氏作曲のコンサートご常連で、この日も「智恵子抄」ではありませんでしたが、朝岡氏作曲の「日の光」(詩:金子みすゞ)を清水氏とデュエットなさったりもされました。

「日本歌曲研究会」さんの終演後。
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さらにグランドフィナーレは、おそらく今回の駅伝に参加されたほぼ全ての歌い手さん(プラスアルファもいらしたような……)による「歓喜の歌」サビの部分大合唱。伴奏はピアノ連弾でした。

すべて終演後のホワイエ。
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関係の皆さまのますますのご活躍を祈念いたします。

【折々のことば・光太郎】

芸術による思想の伝導は、生の伝導と同じく、熱情と愛との仕事である。

光太郎訳「ロダンの芸術」(ユージエヌ カリエール)より
大正5年(1916)訳 光太郎34歳

この項、元々、『高村光太郎全集』第1巻から始め、光太郎の詩文から「人生訓」的なものを紹介するというコンセプトでしたが、第12・13・20巻の日記や第14・15・21巻、さらに補遺である「光太郎遺珠」の書簡からの引用になって、当初の意義が薄れてしまっていました。

今日からは第16~18、20巻の翻訳の巻から元に戻して「人生訓」的な言葉を拾います。翻訳なので光太郎自身の言葉と言えませんが、やはり原語を日本語に変換する過程で光太郎の思想も入っていますし、多くはそれらの言葉が光太郎の血肉となっていますので。

まずは訳書『ロダンの言葉』(大正5年=1916)の序文的な文章から。ここで言う「芸術」は、彫刻などの造型芸術に限らず、文筆や音楽など、すべてのジャンルに当てはまるものと思われますね。

キーワードは「上野公園」です。

まずは雑誌の新刊。

月刊アートコレクターズ No.197 8月号

発行日 : 2025年7月25日
版 元 : 生活の友社
定 価 : 952円+税

近年酷暑が続く夏に、肝を冷やす待望の企画を実施!恐怖と一口に言ってもその内実は様々です。そこで、今回は恐怖にまつわる様々な感情を切り分けながら、それらを表現としてどのように昇華させているのか、特にそのテクニックについてインタビューや寄稿、グラビアを通して探求します。表現を扱う美術雑誌ならではの切り口で、恐怖の見方を伝授します。
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目次
 【巻頭特集】徹底解剖 恐怖の裏側
  ◇エキスパートに学ぶ、恐怖の作法
   高橋洋 「リング」「霊的ボリシェヴィキ」/押切蓮介 「サユリ」「ミスミソウ」
   外山圭一郎 「サイレントヒル」「SIREN」/
   平山夢明 「ダイナー」「『超』怖い話シリーズ」
  ◇寄稿
   春日武彦 恐怖を分解する─なぜ人は恐怖に惹かれるのか
   廣田龍平 機械論的妖怪の潜勢的恐怖─俗信の怖さについて
   布施英利 ホラーとテラー……脳の中の恐怖
   佐々木敦 現代の「空気」を映し出すホラー/アート
  ◇対談
   田中俊行╳渡辺シヴヲ いと奥深し ! オカルトコレクションの世界

  霊能力者Miyoshiに聞く ! もっと知りたい幽霊Q&A
  中村麗子が選ぶ三つの感情で味わう本当に怖い絵
 ◇グラビア
  畏れの魔力 金子富之/山本じん/阪東佳代/池田一憲/平良志季/高資婷/岡本東子
   鶴川勝一/吉田然奈/柳生忠平
  非現実に花咲く恐怖の甘美 髙木智広/椎木かなえ/石黒光/髙橋美貴/
   Sui Yumeshima /亀井三千代/篠原愛/藤浪理恵子/冥麿/貳來/羅展鵬/飴屋晶貴
   立島夕子/生熊奈央/三塩佳晴/多賀新
  自分と世界の緊張感系 内田あぐり/深海武範/佐藤温/高見基秀/村上早/池田ひかる
   内田すずめ/大河原愛/市川友章/林銘君/日野之彦/海老原 靖/佐藤T 
   井上光太郎/髙木優希
  デフォルメする恐怖 丸尾末広/駕籠真太郎/中村宏/かつまたひでゆき/夜乃雛月
   BURUMORI /添田奈那
  恐怖は屹立する 牟田陽日/船橋つとむ/ウチダリナ/武本大志/マンタム/山本雄大
   川上勉/林美登利/水村芙季子
 【連載】
  鹿島茂 リュシアン・ヴォージェルの夢 編集者一族の出会い
  水沢勉 色と形は呼び交わす 佐藤直樹 はじまりも終わりもなくつながる
  古田亮 バック・トゥ・ザ日本美術 高村光雲「西郷隆盛像」+後藤貞行「ツン」
  森孝一 思考の径路 陶芸家・五代高橋楽斎の作品にみる在り方
  田辺一宇 古今亭まくら話 見えたんだから仕方ない……ってな噺
  飯島モトハ アート&スイーツ 徳光健治個展/ANDY COFFEE チョコドーナッツ

 Contemporary Art Now/展覧会ガイド 他

 表紙デザイン:河北秀也、栗林成光 高資婷「蜘蛛と蝶」2024年 絹本着色 6号F

東京藝術大学大学美術館さんの教授・古田亮氏の連載「バック・トゥ・ザ日本美術」で、上野公園に集中する美術館等の成り立ち、明治期に上野公園で盛んに行われた博覧会について、光太郎の父・光雲が主任となって制作された「西郷隆盛像」他の銅像などについて4ページ。
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現存する建造物などについては知ってるつもりで意外と知らなかったことが多く、「そうだったのか」の連続でした。

特集はこの季節らしく「徹底解剖 恐怖の裏側」。紹介されている数々のあやかしアート作品画像は夢に出てきそうです(笑)。添えられた文章には「読まなきゃよかった……」というようなおどろおどろのものも(笑)。当方、子供の頃からビビリのくせに怪談系は好きで、しかし読了後「読むんじゃなかった……」と後悔することばかりでした。この年になっても同じことの繰り返しです(笑)。その他、日本的な「恐怖」と、欧米式のそれとの相違の考察など、興味深いものでした。

続いてやはり上野公園。コンサートのご案内です。以前、ちらっとご紹介し、その後失念していました。

第18回二期会駅伝コンサート~喜怒哀楽~

期 日 : 2025年8月6日(水)
会 場 : 東京文化会館 小ホール 台東区上野公園5-45
時 間 : 15:00開場 15:30開演
料 金 : 一般4,000円 学生2,000円 全席自由 再入場可
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出演 二期会研究会10団体
<予定時刻/出演研究会>
 ■15:30~
  オペレッタ・ミュージカル研究会《ヨハン・シュトラウス2世の喜怒哀楽》
  ・ヨハン・シュトラウス2世 「春の声」 「ウィーンの森の物語」 「芸術家の生涯」 ほか
   赤澤 舞・小林晴美・推屋 瞳・中野礼美・松本順子・森山由美子・茂木真由美
   渡辺佳子・黒田晋也 [ピアノ] 山中聡子
  ロシア東欧オペラ研究会《喜怒哀楽にそって》
  ・グリンカ『ルスランとリュドミラ』より "なんと嬉しいことだ~我が勝利は近い"
  ・ボロディン『イーゴリ公』より "もう長い年月がたった"
  ・チャイコフスキー『イオランタ』より "誰を私のマチルダに比べよう"
   渡部智也・牧野舞子・古川精一 [ピアノ] 小笠原貞宗
  イタリアオペラ研究会《イタリア・オペラの喜怒哀楽》
  ・F.チレア『アドリアーナ・ルクヴルール』より
    第1幕 "私は創造の神の卑しい僕" "あなたの中に母の優しさと微笑みを"
    第2幕 "苦い喜び、甘い責め苦"  第4幕 "哀れな花よ"
   折田千絵・黒田千佐代・杉本美代子・石橋佳子・伊藤潤・浜田和彦
   [ピアノ] 篠宮久徳
 =休憩(10分)=
 ■16:40~
  フランス歌曲研究会《フランス~喜怒哀楽を歌う》
  ・フォーレ「賛歌」 ・デュパルク「ため息」 ・シャブリエ「幸福の島」
  ・ドビュッシー 歌曲集『忘れられし小唄』より "そはやるせなき"
  ・ドビュッシー「家なき子のクリスマス」 ・マスネ「夏の朝」
  ・ラヴェル歌曲集『5つのギリシャ民謡』より "何と楽しい!"
   森朱美・坂本貴輝・中村優子・浅木百合子・安岐美香 [ピアノ] 松場知子・森夏野
  ドイツ歌曲研究会《アルバン・ベルク生誕140周年に寄せて》
  ・A.ベルク「7つの初期の歌」
   1)夜 2)葦の歌 3)夜鳴きうぐいす 4)冠されし夢 5)部屋の中で 6)愛の頌歌 7)夏の日々
   近藤悦子・田口久仁子・刀根敬子・杉下友季子 [ピアノ] 赤塚太郎
  合同演奏『ナブッコ』行け、我が想いよ
 =休憩(10分)=
 ■17:40~
  英語の歌研究会《Girls Chattering!!》
  ・G.メノッティ『泥棒とオールドミス』より
   "こんにちは、ミス・ピンカートン" "私の恋人は船乗りに"
  ・L.バーンスタイン『キャンディード』より "ウィー・アー・ウーマン"
  ・A.サリヴァン『ミカド』より "私達は学校帰りの3人娘"
  ・S.ソンドハイム『リトル・ナイト・ミュージック』より "田舎の週末"ほか
   佐橋美起・大田中早苗・落合知美・川口美和・川畑順子・小針絢子・高居洋子
   長濵厚子・西野伸子・野澤知佳・伯田桂子・向井優希 [ピアノ] 原島慈子
  オペラワークショップ研究会《Gioia, rabbia, tristezza e piacere! 心の綾を声にこめて》
  ・G.ヴェルディ『リゴレット』より
   "ジョヴァンナ、私後悔しているの、お父様に言わなかったことを"
  ・G.ヴェルディ『アイーダ』より
   "まぁ!お父様!~もう一度見られるのだぞ、あの芳しき森"
  ・U.ジョルダーノ『アンドレア・シェニエ』より "貴女のそばでは、僕の悩める魂も"
   平野真理子・福岡万由里・藤野祐子 [助演] 谷川佳幸・大井哲也 [ピアノ] 服部尚子
  イタリア歌曲研究会《ヴォルフ=フェッラーリの喜怒哀楽》
  ・E.ヴォルフ=フェッラーリ 「若者よ、なんて素敵に歩くの!」 「道行く若者よ」
   「遠く離れて」 「若者たちよ、若く美しいうちに歌いなさい」 ほか
   石原友利子・大町加津子・里村照子・鈴木葉子・高木照子・竹之内淳子・永瀬祐紀乃
   村田由紀子・鴨川太郎 [ピアノ] 山岸茂人
 =休憩(10分)=
 ■18:50~
  ロシア歌曲研究会 《喜怒哀楽にそって》
  ・ロシア民謡「ああ、夜よ」 ・シーシキン「夜は輝く」
  ・ビラーシ「秋が来ると(キーウの鳥の歌)」
  ・チャイコフスキー「ただあこがれを知る人だけが」Op.6-6
  ・チャイコフスキー「フローレンスの歌」Op.38-6
   高柳佳代・福成紀美子・清水知加子 [ピアノ] 小笠原貞宗
  日本歌曲研究会《詩人の哀しみと懊悩》
  ・松下倫士「うつくしいもの」より  "心よ" "ふるさとの山"
  ・朝岡真木子「智惠子抄」より "千鳥と遊ぶ智惠子"
  ・髙田三郎「啄木短歌集」より "やわらかに"
  ・猪本隆「悲歌」 ・猪本隆「わかれ道」 ・朝岡真木子「日の光」より "日の光" 
   斉藤京子・清水邦子・白須ヒロミ・前澤悦子 [ピアノ] 松浦朋子
 合同演奏「第九」
 終演予定20:00

*演奏中の出入りは出来ません。休憩中にお願いします。
*時間は目安です。早めのご来場をお願いします。
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「駅伝コンサート」と銘打たれています。何が「駅伝」かというと、別に歌い手の皆さんが走りながら歌うわけではなく(笑)、15:30から20:00までの長丁場を歌い継ぐ、というわけで。今回で第18回ですから、恒例の伝統行事なのでしょう。存じませんでした。

最終走者(笑)、「日本歌曲研究会」さんの中で、朝岡真木子氏作曲の「組曲 智恵子抄」から「千鳥と遊ぶ智恵子」を清水邦子氏が歌われる予定です。

招待券を頂いており、このステージのみ聴きに行く予定です。さすがに最初から最後までとなると、おなかいっぱいになるでしょう(笑)。

皆さまも是非どうぞ。

【折々のことば・光太郎】

年末年始のお小遣いの足しにもと思つて少々送ります、小生はやはりねたりおきたりしてゐます、


昭和30年(1955)12月22日 宮崎春子宛書簡より 光太郎73歳

南品川ゼームス坂病院で智恵子の最期を看取ってくれた、その姪の春子宛書簡から。幼児二人を抱えて未亡人となった春子には、気づかいを忘れませんでした。

こうして昭和30年(1955)が暮れて行きます。

講談の公演情報です。

一龍斎貞奈 入門10周年記念公演〜昭和100年特集〜

期 日 : 2025年8月9日(土)
会 場 : 日本橋社会教育会館 東京都中央区日本橋人形町1丁目1番17号
時 間 : 開場17:20 開演:17:45
料 金 : 2,500円

演 目 : 「高村智恵子の恋」他一席
出 演 : 一龍斎貞奈 ゲスト 神田あおい

私が師匠貞心の元へ入門して10年…記念の講談会を開いていただきます。絶賛チケット発売中! ぜひよろしくお願いいたします✨ 「昭和講談ガールズ(あおい&貞奈)」結成記念 トークタイムでは懐かしのあの歌を二人が歌います!

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講談で智恵子。前例があります。神田紫さんという方が「智恵子・光太郎」という演目を持ちネタの一つになさっていて、平成20年(2008)には智恵子の故郷・二本松でも高座がありました。聴きに行けませんでしたが。
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講談と言えば、「炎の歌人 与謝野晶子」という演目をテレビで2回拝見したことがあります。最初は神田京子さんという方。確か、晶子の弟分・光太郎にもちらりと触れて下さったような記憶が残っています。2度目は神田陽子さんという方。お二人とも歯切れの良いテンポで晶子と鉄幹、そこに山川登美子が絡むドラマを語られていました。
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また、講談ではなく創作落語で桂幸丸師匠の「幸丸流 智恵子抄」、光太郎の父・光雲を主人公とした鈴々舎馬桜師匠の「名人傳」を拝聴したことも。

今回の「高村智恵子の恋」も、ぜひ聴きたかったのですが、あいにく同じ日に女川光太郎祭ですので不可能。残念です。

御都合つく方、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】
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先日は宮崎丈二兄に托された“花霞”のちらしなど珍らしく拝見、

昭和30年(1955)11月28日
硲真次郎宛書簡より 光太郎73歳

清酒「花霞」。福島二本松の智恵子の実家・長沼酒造の銘酒で、大正12年(1923)の関東大震災直後、東京ではとにかく物が不足していたことから、光太郎が取り寄せ、自ら荷車を引いて売り歩いたとのこと。ラベルや引札も光太郎自身が木版で作りました。引札は二本松の智恵子記念館さんに展示されています。その懐かしい自作の引札を硲が届けてくれたというわけです。
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古雅 清醇 ゐなかざけ 花霞
大酒はもとより大毒。のまずにすむなら酒はのまぬが一番。もしのむなら安くてわるい酒は禁物。高くてもよい酒が結構なれど安くてよい酒なら尚ほ結構な道理でございます。
岩代の田舎酒この花霞(ハナガスミ)はどんなに信用されてもよいほど醇良で価もまづ安い方。風味は人のすきずきながら古雅で精妙で灘とは又違つて趣がふかいといふ評判でございます。
高くてわるい酒に悩まされてゐる方にはこのお酒をおすすめいたします。

  銘酒 花霞分譲会
仮取次所 本郷区駒込林町二十五 高村氏アトリエ方

昭和6年(1931)、光太郎は三陸沿岸各地を約1ヶ月旅し、宮城県牡鹿郡女川町にも逗留しました。それを記念して毎年開催されている女川光太郎祭、今年も開催されます。

地元紙『石巻かほく』さんに予告記事が出ています。

高村光太郎の足跡しのぶ 講演や朗読、献奏も 女川・来月9日

 詩人で彫刻家の高村光太郎(1883~1956年)をしのぶ第34回女川「光太郎祭」(女川・光太郎の会主催)が8月9日午後1時から、女川町まちなか交流館で開かれる。入場無料。
 戦前に女川を訪れ、詩や紀行文を記した光太郎の足跡に触れる。高村光太郎連翹(れんぎょう)忌運営委員会の小山弘明代表が講演するほか、町内外の12人が自ら選んだ光太郎の作品を朗読する。ギタリスト宮川菊佳さん、オペラ歌手本宮寛子さんによる献奏、献歌もある。
 光太郎は1931年夏、女川や石巻市、気仙沼市など三陸沿岸を巡り、多くの詩文を残した。女川湾に面した海岸広場には文学碑が建立されている。
 光太郎祭は地元の有志らで組織する女川・光太郎の会が92年から開催してきた。事務局のメンバーは「光太郎が残した文化や祭りの存在を次の世代の人たちにつなげていきたい」と話す。
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詳しい案内文書等が来ていないのですが、例年通りという連絡があり、おおむね以下のような感じのはずです。ただ、式典等の部が昨年までは14:00からでしたが、『石巻かほく』さんには13:00からと予告されていますので、そうなのでしょう。

女川光太郎祭

期 日 : 2025年8月9日(土)
会 場 : 献花 高村光太郎文学碑 宮城県牡鹿郡女川町海岸通り1番地
      式典等 まちなか交流館 宮城県牡鹿郡女川町女川2丁目65番地2
時 間 : 献花 10:00~ 式典等 13:00~
料 金 : 無料

10:00~ 高村光太郎文学碑へ献花
13:00~ 式典等
 黙祷
 記念講演 「高村光太郎の彫刻(その1)」 高村光太郎連翹忌運営委員会代表 小山弘明
 ご挨拶 女川光太郎の会
 献花の模様動画投影
 光太郎紀行文・詩の朗読 町内外の皆さん
 祝辞
 アトラクション演奏 
ギタリスト宮川菊佳さん、オペラ歌手本宮寛子さん
18:00頃~
 懇親会

午前中に行われる、平成3年(1991)に当時の海岸公園に建てられた光太郎文学碑への献花は関係者で。見たい、という方はご覧下さって結構ですが。碑の建立を機に、翌年から光太郎祭が開催されるようになりました。碑は平成23年(2011)の東日本大震災で倒壊しましたが、令和2年(2020)に再建されています。

碑の建立や光太郎祭の運営に奔走された貝(佐々木)廣氏は震災で津波に呑まれて亡くなり、碑文の一部を揮毫されたり、永らく光太郎祭で記念公演を毎年されたりなさっていた、元当会顧問の北川太一先生も鬼籍に入られました。光太郎をはじめ、それらの皆さんへの思いこめての献花です。

午後の部、メインは町内外の方々(今年は12名だそうで)による光太郎詩文の朗読ですが、前座として当方の講演。最初は北川先生との対談形式で行い、その後10年ほど、光太郎と女川との繋がり、連作詩「暗愚小伝」に基づいて光太郎の生涯を紹介し、それも終わって、昨年は智恵子の生涯について語らせていただいています。今年以降、どうしようかと考えましたが、いつも話の枕として「光太郎は色々な分野に足跡を残した総合的な芸術家だった」ということを語っていることに思い至り、それならその「色々な分野」を一個ずつ取り上げていけばまた10年くらい何とかなるかと考えています。そこで今年と来年は「彫刻」。一般の方にもわかりやすいようにかみ砕いて、光太郎彫刻の成り立ちを語ります。

終了後は会場近くの町中華さんで懇親会。年に一度お会いする方々が多く、それが一つの楽しみです。

今年は土曜日の開催ですし、ご都合のつく方、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

小生昨年と今年とは療養のため多く臥床、来年はそろそろ又仕事にかかりたいと思つて居ります、

昭和30年(1955)11月28日 野見山朱鳥宛書簡より 光太郎73歳

余命約4ヶ月、もはや病状は彫刻制作にかかることを許さないほど悪化していたのですが、気持としてはやる気に溢れていたようです。あるいは日記等にも書かれているように、彫刻より「書」をイメージしていたのかもしれません。

「智恵子抄」系の公演情報を2件。

まずは福島から独唱歌曲の演奏会です。

欅の会・日本歌曲コンサートー清水脩の世界ー

期 日 : 2025年8月3日(日)
会 場 : キョウワグループ・テルサホール 福島市上町4番25号
時 間 : 開場 13:00 開演 14:00
料 金 : 1,000円(全席自由)

詩人の高村光太郎と福島県出身の妻、智恵子が題材の曲を演奏します。

プログラム
 第1部「わたしたちとドイツ歌曲」(美しき水車小屋の娘:シューベルト)
  Dos Wondern(さすらい) Wohin?(どこへ?) Am Feirrobend(仕事のあとで)
  Der Neugierige(知りたがる者) Uegengruss(朝の散歩)
  Des Müllers Blumen(水車屋の花) Tränenregen(涙の雨)
  Der Müller und der Bach(水車屋と小川) Des Baches Wiegenlied(小川の子守歌)
  山田耕筰・清瀬保二・間宮芳生・猪本隆・原久貴作品とともに
 第2部「清水脩作品集」
  「奥の細道」より(松尾芭蕉句)
   行く春や 風流の初やおくの 世の人の見附ぬ花や 早苗とる手もとや昔
   笈も太刀も五月にかざれ 旅に病んで
  「智恵子抄」より(高村光太郎詩)
   あどけない話 美の監禁に手渡す者 千鳥と遊ぶ智恵子 風にのる智恵子
   値ひがたき智恵子 レモン哀歌 荒涼たる帰宅


出演 ソプラノ 相田美保 佐藤彰子 みのり 佐藤裕子 藁谷志帆
   アルト  佐藤奈緒美 中村すみれ 細田睦子
   テノール 荒井一成  バリトン 竹沢嘉明
   ピアノ  熊田桂子 窪田綾奈 小林悟 吉田圭祐

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故・清水脩氏の全12曲から成る歌曲集「智恵子抄」から7曲、ピックアップされています。このうち「あどけない話」「千鳥と遊ぶ智恵子」「レモン哀歌」は光太郎生前の昭和30年(1955)の作曲。ソプラノ歌手・小島幸(大3=1914~平19=2007)の独唱会の依嘱作品でした。「風にのる智恵子」「荒涼たる帰宅」は同年、東京交響楽団の依頼により作曲され、同団定期公演でソプラノ歌手・古澤淑子(大5=1916~平13=2001)歌唱、同団伴奏により初演が為されています。「値ひがたき智恵子」は昭和34年(1959)、ソプラノ歌手・内田るり子(大9=1920~平4=1992)の「渡欧記念第五回連続日本歌曲独唱会」への委嘱作品として、「美の監禁に手渡す者」は昭和46年(1971)、テノール歌手・中村健(昭7=1932~)に献呈という形で作曲され、「中村健独唱会」で初演されました。ピアノ伴奏は三浦洋一(昭8=1933~平21=2009)でした。

光太郎があとからあとから「智恵子抄」収録詩篇を作り続けたように、清水氏も4期に分けて作曲しつづけ、完成までに16年かかっています。よほど「智恵子抄」詩篇に思い入れがあったのでしょう。舞楽の楽人であった父の影響もあり、邦楽にも関心を寄せていた氏は、昭和34年(1959)には箏曲、室内楽と朗読のコラボレーションによる「詩のための音楽 智恵子抄より」も作曲しましたし、合唱曲でも「智恵子抄巻末のうた六首」など多くの作品で「智恵子抄」をテキストに使っています。

もう1件、栃木県から朗読の公演。

秋元紀子ひとり語りin宇都宮

期 日 : 2025年8月8日(金)
会 場 : café Mario~休みの国~ 宇都宮市昭和2丁目9-20
時 間 : 開場 9:45 開演 10:00
料 金 : 3,500円+ランチセット1,580円

プログラム
 Opening act 高村光太郎作『智恵子抄』 朗読:篠崎令子
(キビタノ朗読会)
 太宰治作『恥』  安房直子作『青い花』

名古屋、秩父と好評だった太宰治「恥」と安房直子「青い花」を宇都宮でも語らせていただきます。「恥」は、ある一文がとても気に入っています。その箇所に来ると私の表情が変わると思います。「青い花」は、自分への戒めと思って読んでいます。カフェマリオの手加減しないジンジャーエールと共にお待ちしています!お問い合わせは、下記までよろしくお願い致します。
 グッドフェイス宇都宮 goodface_utsunomiya2019@yahoo.co.jp
 080-2018-3485(小林)
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メインは秋元紀子さんという方の朗読ですが、オープニングアクトとして篠崎令子さんという方による「智恵子抄」朗読がプログラムに入っています。秋元さんが講師を務められている朗読教室の方のようです。

「智恵子抄」系(無論、他の光太郎作品も)、このように音楽や朗読やで、あるいは演劇や映像作品など他のジャンルでも愛され続けて欲しいものです(長くなるので後日改めてご紹介しますが、講談の公演も近々あります)。

それぞれぜひ足をお運びください。

【折々のことば・光太郎】

おハガキありがと。写真はまたいつかとつてください。このあいだは暗すぎたのだろうと思います。こんどは日のあたつているところでとればいいでしよう。私の病気がもつとなおつたころ。


昭和30年(1955)11月11日 神保明彦宛書簡より 光太郎73歳

交流のあった詩人・神保光太郎の子息に宛てた書簡です。子供に送る手紙は新仮名遣い(促音や拗音を一回り小さいサイズにすることは除く)というのが光太郎のポリシーでした。

この「写真」、どこかで見た記憶があるのですが、今、パッと出てきません。すみません。

7月23日(水)に開催いたしましたコンサート「花巻で響き合う 光太郎、賢治、声と箏」についてレポートいたします。

ご出演は、「声」が仙台ご在住のヴォイスパフォーマー・荒井真澄さん、「箏」で都内からお越しの箏曲奏者・元井美智子さん。お二人での公演、さらにテルミン奏者の大西ようこさんを加えてのトリオでの公演をこれまでもなさっています。

「東北ツアー」と銘打って、7月22日(火)と7月25日(金)には荒井さんのテリトリーの仙台で2公演。間に挟まる7月23日(水)は光太郎第二の故郷・花巻で。当初、花巻では小さめのホールなどを借りて、とお考えだったそうですが適当な会場が取れず、そんなこんなの中で「高村光太郎連翹忌運営委員会の主催ということにすれば、高村光太郎記念館で開催可能」という話になって、こちらにお鉢が回ってきました(笑)。

こちらも独自に「市街地のカフェ羅須さんも借りられますよ」と情報を流しておいたところ、「じゃあ2公演やってしまいましょう」とパワフルなお二人(特に元井さん)が(笑)。

さて、まずは旧太田村の高村光太郎記念館さん。
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リハーサル風景。
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右上画像、像の背後のスピーカーと変に重なり、「乙女の像中型試作」がスマホで写メ(死語ですね(笑))を撮っているように写ってしまいました(笑)。

13:00から本番。
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平日の昼間にもかかわらず、そこそこのお客様がお集まり下さり、感謝に堪えませんでした。
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およそ1時間のプログラムを終え、速攻で撤収。2公演目のカフェ羅須さんへ。
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急いでセッティングし、リハ。
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ちなみにギャラリーも兼ねる羅須さんでは、現在、岩手の花々を撮った地元の方の写真展が開催中です。
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今朝の『岩手日日』さん。しれっと一般人のような顔をして写っているのは当方で、前日にご挨拶に伺った際にたまたま取材が入り、映り込んだ次第です(笑)。
無題
閑話休題、16:00から2公演目の本番。ここが宮沢賢治の親友だった藤原嘉藤治ゆかりの場所ということで、賢治作品も盛り込みました。光太郎も疎開でお世話になっていた宮沢家も指呼の距離ですし。
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こちらの方が少し長いプログラムで、17:00過ぎに終演。

2公演ともいい感じにまとめられました。開催にご協力下さった地元の皆さん、平日にもかかわらずお越しいただいたお客様方に、厚く御礼申し上げます。

この後、3人で花巻南温泉峡・大沢温泉山水閣さんに宿泊いたしました。

こんな感じで、当会を主催とすれば高村光太郎記念館さん(二本松の智恵子生家も)での公演が可能です。通常は「やらせてくれ」と言ってもそういう使用方法はできません。また、羅須さんなど当方のお世話になっているところには仲介も致します。場合によっては宿の手配も。全国の演者の皆さん、ご検討下さい。ただし、高村光太郎記念館さん(二本松の智恵子生家も)では公演料は取れません。光太郎智恵子の聖地中の聖地でできる、という点だけがメリットです。また、流石に当方の全然存じ上げない方は紹介できないかな、という感じでもありますのでよろしくお願いいたします。

【折々のことば・光太郎】

もう稲刈はすんだでせうか、小屋のあたりの栗が今ごろはさかんに落ちる頃と思ひます、子供達がよろこんでとりにいつてるでせう。何かにつけて山がなつかしく感じられます。


昭和30年(1955)10月8日 浅沼政規宛書簡より 光太郎73歳

浅沼ら、旧太田村の人々への書簡は概して村を懐かしむ内容が主でした。

昨日は同じ千葉県内の野田市に行っておりました。過日ご紹介した「森優子朗読ライブ Teatime Concert in 琥珀茶寮あずき」拝聴のためです。

会場の琥珀茶寮あずきさん。
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市の中心部を少し外れた住宅街の一角で、こちらも元々は普通の住宅だったようなたたずまいでした。光太郎の父・光雲の木彫も展示されている茂木本家美術館さん、光雲の師・東雲の彫刻が納められている琴平神社さんや報恩寺さんなども近いと云えば近いあたりです。

こちらではミニコンサートやアート制作のワークショップなど、様々なイベントも行われており、昨日はその一環としての朗読会でした。ご出演は森優子さんという方。ちょっと離れた松戸市にお住まいのようです。元々あずきさんにお客様としていらしていたそうですが、あずきさんのオーナーの方が、昨年松戸で開催された森さんの朗読会を聴かれ、「それならうちでも」とお願いなさって実現したとのこと。

さて、昨日の朗読会。まずは光太郎の「智恵子抄」から。読まれた詩は順に「人に(遊びぢやない)」(大正2年=1913)、「樹下の二人」(大正12年=1923)、「あなたはだんだんきれいになる」(昭和2年=1927)、「あどけない話」(昭和3年=1928)、「値(あ)ひがたき智恵子」(昭和12年=1937)、「レモン哀歌」(昭和14年=1939)、「梅酒」(昭和15年=1940)。

詩の朗読というと、ゆったりとかみしめるように読まれる方が多い中、森さんは少し早口めのきびきびした読み方で、なるほど、こういうのもありだな、と思いました。さらにいつも思うのですが、光太郎の詩はわざとらしくない踏韻や内在律が素晴らしく、聴いていて心地よいものでした。

後半は、光太郎と軽く交流のあった芥川龍之介の「杜子春」。もちろん知らない話ではありませんでしたが、細かな部分は忘れており、「ああ、そういえばそうだった」「このあとどうなるんだっけ?」「あれ、ここはこうだったんだ」という感じで、ある意味新鮮でした。さらにアンコール的に、これも光太郎とつながりのあった中原中也の「吹く風を心の友と」。これでおおむね一時間ちょっとでした。

10月にはまたタッグを組まれ、福島の会津でやはり「智恵子抄」を含む公演をなさるそうです。これまたありがたいお話です。

それも含め、今後のますますのご活躍を祈念いたします。

以上、野田市レポートでした。

【折々のことば・光太郎】

先日はおてがみでいろいろ御様子をうかがひ、よろこびました、又剣舞の人形もいただきました、これは運送の途中ボール箱がおしつぶされて人形の足などが破損しましたが、修繕して飾りました、

昭和30年(1955)8月11日 高橋正亮宛書簡より 光太郎73歳

「剣舞」は「けんばい」と読み、岩手を代表する郷土芸能です。宮沢賢治が詩にしたことで江刺の「原体剣舞」が有名ですが、光太郎第二の故郷・花巻でも多くの地区に独自の剣舞が伝わっています。

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