カテゴリ: 音楽/演劇等

都内での演奏会情報です。

鈴木憲夫作品を歌う合唱団 創団10周年記念演奏会

期 日 : 2026年10月4日(日)
会 場 : 豊洲シビックセンターホール 江東区豊洲2-2-18
時 間 : 14:45~
料 金 : 無料(要予約)

「鈴木憲夫作品を歌う合唱団」初の単独演奏会‼️ 過去から歌いついできた曲、未来へ歌いついでいきたい曲、その歴史の真ん中で、〜言葉は祈りとなり、響きとなる〜

プログラム:
 1st. 鈴木憲夫合唱作品選集
  ・五月の森で(やなせたかし 詩)  ・ふるさとの木の葉の駅(坂村真民 詩)
  ・昼の月(坂村真民 詩)      ・念ずれば花ひらく(坂村真民 詩)
  ・さくらんぼ と 麦わらぼうし(金子静江 詩)
 2st. レモン哀歌(高村光太郎 詩)
 3st. 永訣の朝(宮沢賢治 詩)

指揮 伊澤俊雄  ピアノ 和田蕗子  ゲスト 鈴木憲夫
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鈴木憲夫作品を歌う合唱団さん、鈴木氏が主宰されているわけではなさそうですが、近しい立ち位置で、時には直接ご指導を仰がれているようです。

弟2ステージが「レモン哀歌」。組曲の一つというわけではなく、単体の作品です。それでも演奏時間約8分の比較的長い曲です。はじめ女声三部版が作曲され、平成23年(2011)にカワイ楽譜さんから出版されています。続いて独唱版と混声版が翌年に刊行されました。
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抒情性豊かで清澄なメロディーラインを基調に、奇を衒うことなく素直に光太郎智恵子の世界が表現されています。合唱曲となった「レモン哀歌」は少なからず存在しますが、当方の最も好むものの一つです。

鈴木氏による混声版の自作解説から。

 高村光太郎といえば「智恵子抄」と連想されるほど、氏の代表作として愛され、親しまれている作品です。とくに「レモン哀歌」はその中心ともいえる作品です。
 若い頃この作品に触れた時は、ひとりの詩人の遠い昔の、まるで別世界の物語として、セピア色の「光太郎と智恵子」の写真を眺めたものです。
 作曲する上で私の常とするところですが「詩・言葉」に作曲するのではなく、その作家の思いやその世界に描かれた風景を音楽にしたいと考えています。
 詩はとても平易に書かれています。感情的な起伏を抑え淡々として、詩稿をご覧になれば分かるように「段」を空ける事なく、まるで自身の感情を押し殺すかのような手法で書かれています。私もことさらに感情を煽るような作曲はせずに、行間に潜む光太郎の息づかいを思い作曲しました。
 はじめに取り組んでから完成まで1年半もの時間を要しました。2007年、私は妻・美智子を喪(な)くしています。自身の身の上、さらに様々な思いとが重なり作曲は遅々として進まず、その「鈍」とした仕事ぶりに自身で呆れ果ててはおりますが、しかしそれは私にとり必要な時であったのだと今にして思います。
 作曲を終えた今、合唱作品として新しい生命が吹き込まれたこの作品を、私は光太郎、智恵子、そして亡き妻の魂に捧げたいと思います。


第3ステージは宮沢賢治が最愛の妹・トシの死に際して謳った「永訣の朝」に曲を付けた作品。「永訣の朝」といえば、光太郎の「レモン哀歌」に影響を与えているであろうことが夙に指摘されています。その二つをセットにするというのも心憎い構成ですね。

ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【高村光太郎書誌】

詩華集 74 『近代絶唱詩集』

昭和22年(1947)12月25日 日本読書組合 神保光太郎/中島健蔵編
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収録作家
 北村透谷 国木田独歩 森鷗外 島崎藤村 上田敏 与謝野寛 土井晩翠 河井酔茗
 薄田泣菫 蒲原有明 横瀬夜雨 伊良子清白 岩野泡鳴 野口米次郎 与謝野晶子
 永井荷風 石川啄木 北原白秋 木下杢太郎 三木露風 高村光太郎 武者小路実篤
 山村暮鳥 三富朽葉 生田春月 室生犀星 萩原朔太郎 佐藤春夫 西條八十 日夏耿之介
 堀口大学 千家元麿 百田宗治 大手拓次 宮澤賢治

光太郎詩は「樹下の二人」「龍」「火星が出てゐる」「ぼろぼろな駝鳥」そして「レモン哀歌」。賢治作品には「永訣の朝」は採られていませんが、同じくトシの死を題材とした「松の針」が収録されています。

カバー画は武者小路実篤の手になるものです。

都内から朗読講座の募集情報です。

『座』朗読塾「現代文学クラス」2026年度後期・受講生募集

期 日 : 2026年10月2日/16日 11月6日/20日 12月4日/18日
      2027年1月8日/22日 2月5日/19日 3月5日/19日
      すべて金曜日(月2回)
会 場 : 演劇倶楽部『座』サロン 新宿区新宿5-9-11 アルメリア新宿1F
時 間 : 11時〜15時
料 金 : 20,000円
定 員 : 高校生以上の男女 16名
講 師 : 壤晴彦

 俳優・声優として長年舞台・映像・アニメーションの分野で活躍してきた壤晴彦 が指導する、年間を通した朗読ワークショップです。
 小説、詩、随筆、戯曲など、日本文学のさまざまな作品を教材に、作品を深く読み解き、それを「声」と「ことば」によって聴き手へ届ける朗読表現を学びます。
 朗読は、単に文章を声に出して読むことではありません。言葉の響きやリズム、人物の心情、物語の流れを読み取り、作品の世界を立体的に立ち上げていく表現です。
 本講座では、日本文学の豊かな言葉に触れながら、作品の理解を深め、その魅力を伝える語りの技術を育むために、壤晴彦の俳優としての長年の経験をもとに、懇切な指導を行います。
 朗読に興味のある方、日本文学を声で味わいたい方、俳優・声優としての言葉の技術力を高めたい方まで、幅広くご参加いただけます。

※発声・発音(滑舌)など朗読の基礎トレーニングについては、別途開催する短期ワークショップにて指導しています。

 大正・昭和以降の近現代文学を中心に扱います。比較的現代に近い言葉の作品を通して、文章の理解を深め、語りの表現力を高めていきます。

教材:佐藤春夫『小説・智恵子抄』ほか
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『座』朗読塾主宰で講師の壤晴彦氏、確認できている限り、さいたま市、新宿区(拝聴しました)、秋田市においてご自身で「智恵子抄」系を含む公演をなさいました。また、朗読の指導にも熱意を持たれ、「智恵子抄」を教材としたCDをリリースされている他、昨年も今回同様の講座で「智恵子抄」を扱って下さいました。

今回は、佐藤春夫の『小説智恵子抄』が取り上げられます。同作は光太郎が歿した昭和31年(1956)から翌年にかけ、光太郎と親交の深かった佐藤が雑誌『新女苑』に連載したジュブナイルです。連載当時のタイトルは「愛の頌歌(ほめうた) 小説智恵子抄」。昭和32年(1957)に実業之日本社さんから単行本化され、のち、角川文庫のラインナップに入り、現在も販売中のようです。また、丹波哲郎さん、岩下志麻さん主演の松竹映画「智恵子抄」原作と位置づけられてもいます。

ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【高村光太郎書誌】

詩華集 72 『紺青 純情詩集』

昭和22年(1947)1月1日 雄鶏社 西條八十編
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収録作家
 国木田独歩 島崎藤村 土井晩翠 薄田泣菫 横瀬夜雨 伊良子清白 与謝野晶子
 児玉花外 北原白秋 三木露風 川路柳虹 高村光太郎 生田春月 室生犀星 萩原朔太郎
 佐藤春夫 柳沢健 西條八十 堀口大学 百田宗治 佐藤惣之助 大木惇夫 春山行夫
 三好達治 田中冬二 竹中郁 菱山修三 丸山薫 稲垣恒子 英美子 村野四郎
 ウィルヘルム・アレント/上田敏訳 ヴェルレーヌ/上田敏訳 ドイツ民謡/近藤朔風訳
 リルケ/片山敏彦訳 ストルム/上田敏訳 アリエット・オドラ/堀口大学訳
 イタリア古謡/門馬直衛訳 ポ-ル・フォール/上田敏訳 ティースデール/西條八十訳


雄鶏社で発行していた雑誌『紺青』の新年号附録。12.7㌢×9.0㌢の、文庫本より一回り小さいサイズです。光太郎詩は「画室の夜」が収められています。

昨日ご紹介した『少年少女詩集 草の上』と発行順が前後していました。すみません。

9月22日(火)、信州安曇野の碌山美術館さんで特別企画展「高村光太郎没後70年 高村智恵子生誕140年 高村光太郎・智恵子展」を拝見し、愛車を上田市に向けました。次なる目的、髙山植物園第12回公演
「『智恵子という名の檸檬』〜わたしの手からとつた一つの檸檬を〜」観覧のためです。

そちらの会場は上田市中心街ですが、その前に、郊外塩田地区のご先祖様の墓所を参拝しました。亡父がこちらの出身、実家は伯父が継ぎ、おそらく戦国時代からそこまでの先祖代々が暮らしていた地です。

さて、無事墓参も終わり、市街に出て公演会場の犀の角さんに着きました。
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大通りに面したアーケード街の一角ですが、車の通行も少なく、騒音等は無縁でした。入口はそれでも二重になっていたようですが。

開演前のステージ。脚立は開演後、そのまま大道具としても使われました。
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ステージ前にひな壇状に並べられた客席は、100までは行かなかったようですが、60~70はあったでしょうか。さらに最前列は床の上で桟敷席。ほぼ満席でした。固定ファンの方々や演劇のお仲間がけっこういらっしゃったようですし、興味をひかれての一見さんもいらしたようです。父祖の地だからの身贔屓ではありませんが、信州人の文化程度というのは高いものがありまして。

開演までの間に、いただいたパンフレットを拝読。
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「ふむふむ」でした。智恵子と同じ福島ご出身・ご在住で脚本と演出の髙山さなえさん、所属されている劇団内での「女性」役に疑問を感じ続けていたという智恵子役の下地尚子さん、二人の女性による渾身の智恵子、どうなるかといやが上にも期待感。

19:00に開演、およそ60分の上演でした。

いきなり歌から始まったのには驚かされましたが、もうそれで「つかみはOK」的な。その後、下地さん演ずる智恵子のモノローグの形で進みます。途中でそれが明らかになるのですが、智恵子は既に此の世の住人ではない、彼岸の人という設定。明治末の日本女子大学校進学あたりからの生涯、その時々の思いが語られていきます。油絵への傾倒、光太郎との出会い、その光太郎と肩を並べようと必死の努力を重ねたこと……。

信州での上演ですので、大正2年(1913)、光太郎と二人で上高地に一夏を過ごし、婚約を果たした件がかなりクローズアップされました。故郷・二本松の風物と共に、上高地の思い出も生涯鮮やかに残り続けた、みたいな。「智恵子抄」所収の「樹下の二人」(大正12年=1923)の有名なリフレイン「あれが阿多多羅山/あの光るのが阿武隈川」と一対で「あれが穂高岳/あの光るのが梓川」というフレーズが繰り返し使われました。後半になると、そこに帰りたい、あの頃に戻りたい、的な心の叫びとしても。

やがて、心を病み、そして迎える終焉。そこに到るまでの過程の描き方は、一部でよく言われる家事労働などに時間を取られて……というものではありませんでした。そうではなく、光太郎に追い付き肩を並べようとし続けて、しかしそれが果たせず……という感じでした。光太郎の巨大な才能に対する嫉妬も、という場面もありましたし。

レモンが小道具として効果的に使われていました。梶井基次郎の「檸檬」を下敷きにする部分もあって、「レモン」=「爆弾」という描写も。終盤には下地さんの智恵子、レモンを「がりり」と嚙みました。「酸っぱ!」とおっしゃりつつ。「いや、そこまでやるか?」でした。

その前にはゼームス坂病院での紙絵制作で、油絵では果たせなかった納得の行く芸術作品の創造に成功したことなども語られ、救いとして描かれました。

この頃になると、既に語っている智恵子はもはや魂であることが明らかにされ、あの世では光太郎と仲睦まじくやっているとも語られます。曰く「対等とか、自立とか、芸術とか、才能とか、関係ない私たちがいます」さらにラストには「嬉しかったことも、悲しかったことも、愛されたことも、愛せなかったことも、間違えたことも、戻れなかったことも、全部、私の人生だ。私、この人生で良かったよ……そう思えるよ……ね、光太郎さん」。

光太郎を極度にディスるでもなく、智恵子を単なる可哀想な被害者と描くのでもなく、その点は非常に良かったと思いました。といって、ただのお涙頂戴でもありませんでしたし。それから、光太郎の戦争加担についてもきちんと取り上げられたのにも感心しました。全体的に良いもの(こと)は良い、悪いもの(こと)は悪い、しかしそれでもどうしようもない場合もある、的なスタンスが感じられ、バランス感覚が非常に良く取れていたなと感じました。

終演後の舞台挨拶。左が下地さん、右が髙山さんです。
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髙山さんは、この時以外にも舞台に乱入して下地さんとデュエットするシーンもあって、驚かされました(笑)。そういった部分などで、コミカルな演出もちりばめられ、観た方々が暗い気持ちで帰る……みたいなことにならなかったのも良かったと思います。

帰りがけ、お二人とお話しさせていただき、碌山美術館さんでの特別展、来月、福島二本松で開催される当方も関わっているイベントやコンサートのフライヤーをお渡ししたりしました。その際、お話しし忘れましたが、再演を希望します。それも都内とか、智恵子ゆかりの福島とかで出来るとなおよいと思うのですが……。いずれにせよ、関係の皆様のますますのご活躍を祈念いたします。

午後8時過ぎ、千葉の自宅兼事務所に向けて出発。昨日も往路での難儀をぼやきましたが、復路もなかなか大変でした。やはり事故渋滞(関越道で)に巻き込まれましたし、それ以外にも交通集中による自然渋滞が、上信越道で軽井沢を過ぎたあたりから関越道に入っても。シルバーウィークを舐めていました(笑)。カーナビの女性は最初「目的地までおよそ280㌔㍍です。4時間10分ぐらいかかります」と言っていたのに、5時間半かかりました。往復で14時間運転(笑)。余談ですが。

【高村光太郎書誌】

詩華集 68 『歴程詩集 2604』

昭和19年(1944)10月18日 青磁社 土方定一編
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収録作家
 高村光太郎 尾崎喜八 逸見猶吉 草野心平 藤原定 馬淵美意子 伊藤信吉 大江満雄
 尾形亀之助 山本和夫 平田内蔵吉 土方定一 赤木健介 菱山修三 小野十三郎
 岡崎清一郎 高橋新吉 山之口貘 金子光晴

光太郎詩は「講演会で読んだ詩」「われらの死生」「突端に立つ」「戦歿報道戦士にささぐ」「三十年」「朋あり遠方に之く」。

当会の祖・草野心平が主宰した詩誌『歴程』同人によるアンソロジーですが、心平はこの時期、南京政府の宣伝部顧問として大陸にいましたので、編集や刊行に向けての雑事は、同人で美術評論家でもあった土方定一が行いました。

「2604」は昭和19年(1944)が皇紀2604年であったためです。

一昨日のこのブログでは花巻市と十和田市、昨日は二本松市と福島市、光太郎智恵子ゆかりの地での報道等をご紹介しました。本日はそれ以外の地の地方紙記事から。

掲載順に、9月14日(月)、『室蘭民報』さん。

はるみんオススメ書籍(34)『道程』 室蘭民報

 僕の前に道はない
 僕の後ろに道は出来る
 ああ、自然よ004
 父よ
 僕を一人立ちにさせた広大な父よ
 僕から目を離さないで守る事をせよ
 常に父の気魄を僕に充たせよ
 この遠い道程のため
 この遠い道程のため

 敬愛する叔父が逝って1年。いまだ心がその事実に追いつかず、どこか宙に浮いたままの日々を過ごしている。父を失ったときもそうだった。時間が少しずつ痛みを薄めてくれることは、頭ではわかっている。それでも、叔父の不在はまだ生活の輪郭に馴染んでくれない。
 叔父との最初の出会いは、父の従妹である叔母と叔父の結婚式だった。7歳の私と4歳の弟は、花束贈呈という大役を任され、300人を超える参列者の前で緊張のあまり「おめでとうございます」の一言も言えずに花束を差し出した。その日から叔父は、折に触れて静かに寄り添ってくれる存在になった。「叔父さんがいるから大丈夫」―幼い心に灯ったその思いは、長い年月を経ても消えることがなかった。
 父が亡くなったときも、真っ先に駆けつけてくれた。心細かった私に、「通夜と告別式は用事があって行かれないから、今日はいてやるからな」と優しく声をかけ、葬儀社との打ち合わせを黙って見守ってくれた。その温かさは、今も胸の奥に灯のように残っている。
 後年、半世紀以上働き続けた叔父と食事をした折「あ~幸せ幸せ」と呟きながら箸を進める姿を見た。なんと美しい生き方なのだろう―その一言に、叔父の人生観が凝縮されているように思えた。生前に叔父がしたためていた「来し方」を読むと、叔父はまさしく自らの足で人生を切り開いてきた人だったと知る。多くの苦難のなかにあっても「報恩・感謝・貢献」を胸に刻み、仕事においても「創造力・想像力、信念と納得」を貫いた人。静かだが揺るぎない、ひとつの道を歩んだ人だった。
 その生き方は、高村光太郎の「道程」を思わせる。誰も人生の道を用意してはくれない。歩いたあとに初めて〝道〟が生まれる。自分の生き方は自分で創り出すしかない―その詩の祈りと決意が、叔父の背中と重なって見える。私は叔父から受け取ったものに、果たして報いることができるだろうか。あとどれほど生きられるかは分からない。だからこそ、最期まで人知を尽くし天命を待ち、生き切った叔父のように、日々を丁寧に歩んでいこうと思う。
 叔父さん、今まで本当にありがとう。感謝してもしきれません。そして、披露宴のときに言えなかった言葉を、今ようやく届けます。 「おめでとうございます。お幸せに」。
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「道程」高村光太郎(日本図書センター/愛蔵版詩集シリーズ)

同日、仙台に本社を置く『河北新報』さん。

東北の本棚 書評『父、吉野弘』久保田奈々子・著 娘がひもとく詩人の生

008 <二人が睦(むつ)まじくいるためには 愚かでいるほうがいい>。披露宴のスピーチなどで誰もが聞いたことがあるかもしれない「祝婚歌」の詩人、山形県酒田市出身の吉野弘さん(1926~2014年)の評伝だ。母の死や戦争を挟む激動の時代など詩の背景を、長女がひもとく。
 弘さんは1歳半の時に疫痢にかかり、生死をさまよった。腎臓病を患った母貞さんは、弘さんが酒田商業学校(現酒田光陵高)1年の12歳の時、51歳の若さで亡くなった。後年、現代詩誌「詩学」の新人賞を受賞した「I was born」(1952年)は、母への手向けの作品とされる。
 模範的な作文を書いた皇国少年だった。家庭が貧しくて進学はかなわず、帝国石油に入社。1945年8月20日に陸軍に入隊予定だったが、敗戦で免れた。職場の先輩に高村光太郎らの詩を薦められたのがきっかけになった。
 戦後は一転して労働組合の専従職員に。過労のため結核にかかった。入院中に詩友と出会い、結核感染前から詩作を始めていた弘さんは文学の夢を膨らませていく。
 第1詩集「消息」を自費出版した時、妻喜美子さんは制作費に充てようと、内緒で宝くじを買った。ほとんどの詩の第1読者は喜美子さんだった。弘さんが筆で生きる覚悟を決め、会社を辞めた時の喜美子さんの一言は-。家族の物語こそ一篇(ぺん)の詩のようだ。(青土社・2420円)

著者の久保田奈々子氏、連翹忌の集いにも複数回ご参加下さっています。

ある程度詩に詳しい方なら、奈々子氏を謳った父君の詩「奈々子に」はご存じでしょう。第二詩集『幻・現実』に収められ、のちにそれを表題作とした詩選集も出版されています。

   奈々子に 009

 赤い林檎の頬をして
 眠っている 奈々子。

 お前のお母さんの頬の赤さは
 そっくり
 奈々子の頬にいってしまって
 ひところのお母さんの
 つややかな頬は少し青ざめた
 お父さんにも ちょっと
 酸っぱい思いがふえた。

 唐突だが
 奈々子
 お父さんは お前に
 多くを期待しないだろう。
 ひとが
 ほかからの期待に応えようとして
 どんなに
 自分を駄目にしてしまうか
 お父さんは はっきり
 知ってしまったから。
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 お父さんが
 お前にあげたいものは
 健康と
 自分を愛する心だ。

 ひとが
 ひとでなくなるのは
 自分を愛することをやめるときだ。

 自分を愛することをやめるとき
 ひとは
 他人を愛することをやめ
 世界を見失ってしまう。

 自分があるとき
 他人があり
 世界がある。
007
 お父さんにも
 お母さんにも
 酸っぱい苦労がふえた。
 苦労は
 今は
 お前にあげられない。

 お前にあげたいものは
 香りのよい健康と
 かちとるにむづかしく
 はぐくむにむづかしい
 自分を愛する心だ。 

これまで奈々子氏、父君の詩集を編まれたり、父君の詩を中心とした朗読会等の主催をなさったりということはあおりでしたが、評伝等は執筆されてこなかったそうで、数十年を経て、いわばこの詩への返し歌のような出版ですね。奈々子氏のブログに、この詩を巡る思い出が綴られています。ご高覧下さい。

続いて9月15日(火)、『奈良新聞』さん。

きょうは「老人の日」。そして今月21日は……

 きょうは「老人の日」。そして今月21日は「敬老の日」。自宅のカレンダーに「老人の日」はないが、県民手帳は「老人週間」と併せて記している。
 振り返ってみると、以前は9月15日の「敬老の日」だけだった。2003年にこの日が9月の第3月曜日に変更され、同月15日は「老人の日」となった。
 「敬老の日」は国民の祝日の一つ。「老人の日」は、高齢者福祉への関心・理解を深めることなどが意義付けされている。だから老人週間も15日から。
 現在普及している電車やバスなどの「優先席」も、1973年9月15日に旧日本国有鉄道(国鉄)の電車内に「シルバーシート」の名称で導入されたのが始まりだ。
 シルバーシートが優先席になっていったのは1997年頃らしい。高齢者、障害者から負傷者、体調不良者、妊婦、乳幼児連れなどへと対象が拡大された。
 わが身は既に「高齢者」の域に入っているが、改めて「高齢者」とか「老人」とは何かと自問する。「死ねば死にきり。自然は水際立ってゐる」(高村光太郎『夏書十題』より)の心境を保ち続けたい、とも思う。
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かつて祝日「敬老の日」は9月15日に固定でした。その名残で同日は「老人の日」と命名されているようです。

引用されているのは、「夏書十題」(昭和3年=1928)の総題で10篇の短章を集めたもの。「夏書」は「げがき」と読み、仏教用語ですが夏の季語です。

    夏書十題

   青空

 青空は底が抜けて居るといふ。
 なるほど見てゐると
 真剣すぎるほどはるかなものだ。
 しばらく見てゐてそこらを見ると、001
 なんだかそこらがぺちゃんこだ。
 木でも草でも人間でも又鉄骨でも、
 ばかに近くて親密だ。
 あはは、同僚と言ひたくなる。

   底

 底がぬけるといふ事は
 そんなにやさしいことではない。
 だがまた
 そんなにやさしい事かも知れない。
 鏡の中に
 おれの眉毛が伸びてゐる。
 そんな文句は棄てて来い。002

   寒山詩

 蚊えぶしをたいて
 寒山詩をよんでゐると、
 小さな蚊がぱちんと落ちた。
 夜の風が櫻の葉を鳴らしてゐる。

   (一生かかつて)

 一生かかつて
 自己をジヤスチフアイしようとする。
 そいつは何かいやしい。
 そいつはなんだかうつたうしい。
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   さうか、寒公

 寒山はいふ、
 王秀才はおれの詩を見て、
 蜂腰鶴膝も知らず平仄も解せぬといふが、
 奴の詩は盲が月に詠ずるやうなものだと。
 寒山でもこんな事を言ふのか。
 さうか、寒公

   (夜明けのかなかなに)
 
 夜明けのかなかなに起された。
 眼をつぶつてきいてゐると、
 水色の、青磁色の、雨過霽天の
 あくまで透明の、あくまで一途の、019
 又うつさうと暗いほど青々した
 あの土用波ののつぴきならない
 積極無道の夏がぷんぷん匂つて来た。

   (ヤマノイモの)

 ヤマノイモの蔓が
 三間梯子にからみつく。
 一段、二段、三段、
 毎日うまくのぼつてゆく。
 平気な奴だ。

   死ねば
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 死ねば死にきり。
 自然は水際立つてゐる。


   無いからいい

 生きよ、生きよ、生き抜いて死ね。
 そのさきは無い、無いからいい。

   一人づつが

 一人づつが眼をあかないで、
 何の全体。
 おれは下からゆく。


続く一節の「生きよ、生きよ、生き抜いて死ね。/そのさきは無い、無いからいい。」あたりも実にいい感じですね。

さて、最後に『信濃毎日新聞』さん。9月18日(金)の掲載で、上田市での演劇公演「『智恵子という名の檸檬』〜わたしの手からとつた一つの檸檬を〜」の予告記事です。

一人の女性の人生、演劇で深める 松本市の俳優の1人芝居、上田市で22、23日に 詩人高村光太郎の詩集「智恵子抄」を題材に

 上田市の民間文化施設「犀(さい)の角」で22、23日、松本市の俳優下地尚子さん(37)が1人芝居「智恵子という名の檸檬(れもん)」を上演する。詩人高村光太郎が妻智恵子をしのんで編んだ詩集「智恵子抄」を題材にしつつ、智恵子の視点からその人生を描く。男性が多い劇団で女性が担う役割を多く演じ、違和感も抱いてきた下地さん。困難を抱えた人が駆け込める宿を併設する犀の角で、一人の女性の人生を深める。
 下地さんは神奈川県出身。2012年から松本市が拠点の劇団「TCアルプ」や「シアターランポン」で活動してきた。そのうち10年ほどは各劇団で唯一の女性。自然と「妻」や「母」といった役が多くなったが、男性の手がける脚本や演出で求められる女性像を演じることに、しっくりこない思いもあった。
 4月に1人芝居への挑戦を決めた時、女性の演出でやりたいと以前から交流があった松本市出身の劇作家・演出家の高山さなえさん(福島県)に協力を依頼。1人の女性の人生を深めることになった。
 高山さんが題材に選んだのが「智恵子抄」。精神の安定を徐々に失っていく智恵子が光太郎の視点から描かれるが、智恵子は画家であり、紙を切り抜いて絵画を作る「紙絵」の作家でもあった。下地さんは、女性の役割から離れたところで「戦いたい」という智恵子の気持ちを感じ取り、共感したという。
 犀の角は、支援の必要な女性の相談に乗っている宿「やどかりハウス」を併設しているだけに、今回の上演に特別の意味合いを感じるという声もある。犀の角スタッフの伊藤茶色さん(34)は、6月、智恵子抄を題材にした別の演劇が上演された際に、「(智恵子が舞台に現れる場面で)やどかりハウスの当事者の1人として来ている感覚もあった」と振り返る。
 下地さんは、女性、芸術家として先輩の智恵子と対話するようにして表現を磨いている。「共感できるところ、甘えだと思うところそれぞれに向き合ってみたい」と意気込む。上演は22日午後7時と23日午後2時から。一般3千円など。専用フォーム= https://forms.gle/X4T8ZKAb58MLMwXy8 =から予約できる。 
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芝居で使う小道具を確かめる下地さん(右)と伊藤さん

というわけで、今日はこれから愛車を駆って信州へと旅立ち、こちらを拝見して参ります。その前に安曇野の碌山美術館さんでの「高村光太郎没後70年 高村智恵子生誕140年 高村光太郎・智恵子展」も開幕しましたので、そちらも併せて拝見してきます。台風25号は通り過ぎましたが、途中で土砂崩れだの洪水だのが起こっていないことを祈るばかりです。

【高村光太郎書誌】

詩華集 65 『近代名詩選集』

昭和19年(1944)2月10日 千歳書房 山田岩三郎編者代表
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収録作家
 土井晩翠 島崎藤村 河井酔茗 野口米次郎 伊良子清白 蒲原有明 薄田泣菫 横瀬夜雨
 高村光太郎 山村暮鳥 北原白秋 千家元麿 川路柳虹 萩原朔太郎 室生犀星 三木露風
 三富朽葉 日夏耿之介 佐藤惣之助 西條八十 堀口大学 百田宗治 深尾須磨子
 尾崎喜八 宮澤賢治 吉田一穂 笹沢美明 壺井繁治 佐藤一英 蔵原伸二郎 三好達治
 北川冬彦 丸山薫 高橋新吉 村野四郎 佐伯郁郎 岡本潤 平田内蔵吉 立原道造
 乾直恵 草野心平 永瀬清子 阪本越郎 田中冬二 竹内てるよ 中山省三郞 神保光太郎
 大江満雄 山之口貘 壺田花子 伊東静雄 安藤一郎 山田岩三郎 高祖保 大木実
 菱山修三 菊岡久利 津村信夫 村上成実 野田宇太郎 大島博光 田中克己 江間章子
 稲津静雄

光太郎詩は「老耼、道を行く」「樹下の二人」「鯰」「レモン哀歌」「秋風辞」「地理の書」。翼賛詩でないものが中心で、他の作者のものもそうです。中にはコテコテの翼賛詩も含まれていますが、どうもそのあたりはカムフラージュかな、と思われます。大政翼賛会などの主導に依らない出版物には、この手の「反戦」とは行かないものの「厭戦」的なニュアンスが感じられるものも存在しました。

信州から演劇講演の情報です。取り上げるべき事項が山積しており、間際に近くなってのご紹介で申し訳ありませんが……。

髙山植物園第12回公演
『智恵子という名の檸檬』〜わたしの手からとつた一つの檸檬を〜

期 日 : 2026年9月22日(火・休)/23日(水・祝)
会 場 : 犀の角 長野県上田市中央2-11-20
時 間 : 9/22 19:00~ 9/23 14:00~ 上演時間約60分
料 金 : 一般前売り 3,000円 18歳以下 前売り2,000円 当日は各500円増

作・演出:髙山さなえ(髙山植物園) 出演:下地尚子(シアターランポン)

『智恵子抄』は中学生の時に初めて読みました。それから、高校、大学と社会に出てからも続けて読んできた本の一冊です。そして、智恵子の亡くなった年齢に段々近づくにつれ、智恵子の精神が何故崩れたのか、疑問を持つ様になりました。そこに梶井基次郎の「檸檬」がまさに爆弾として加わります。と、私なりの解釈を台詞で綴ってみようと思います。これは、私の、いや、私と下地さんの大きな『冒険』でもあるのです。壮大な『冒険』に挑んでみたい、そんな気分です。(髙山さなえ)

髙山さなえさんに『一緒に何かやりませんか?』とお声がけし、高村智恵子さんをモデルに一人芝居をつくることになりました。私にとって、初めての一人芝居です。高村光太郎の妻として知られる智恵子さんですが、芸術家として奮闘していた彼女の生き方を想像するに、この作品を作る私たち二人の女性にとって、わかる部分、そしてわかりたくない部分があると感じています。高村智恵子さん、髙山さなえさん、そして私、三人の女性アーティストが一つの世界で相対するときに、時代や次元を超えて通ずるものがあると信じます。一人の女性の生涯を見届けていただければ、その時間が少しだけ誰かを救ってくれるような気がしています。……と、しんみりしてしまいそうな言葉を選んでしまいましたが、智恵子さんへのリスペクトを抱きつつ、髙山さんと自由に、弾けるように、笑いながら作品をつくっていきます!(下地尚子)
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女性の方の一人芝居ということでおそらく智恵子が主人公なのでしょう。大竹しのぶさんが初演、野田秀樹氏脚本の「売り言葉」をはじめ、玄海椿さん、茶山千恵子さんなどいろいろな方がこのスタイルで取り組まれています。

皆さん、それぞれの解釈で「智恵子抄」の世界を表現。今年6月に同じ会場で劇団百景社さんが公演を打った「売り言葉」は光太郎ディスり度が非常に高く、表面的にしか見られない人々は「これで光太郎が嫌いになった」というものです。裏側までしっかり味わえば単に「夫の創作に献身し、潰された智恵子」というだけではないのですが……。

今回の公演は「梶井基次郎の「檸檬」がまさに爆弾として加わります」だそうで、どう料理されるのか、非常に気になります。非常に気になるので、9月22日(火)のソワレ公演を予約いたしました。ついでにというと何ですが、同じ信州の碌山美術館さんでの「高村光太郎没後70年 高村智恵子生誕140年 高村光太郎・智恵子展」も開幕しますので、そちらも併せて拝見してきます。さらについでですが、お彼岸ですので上田でご先祖様の墓参りも(罰当たり(笑))。

皆様方も是非どうぞ。

【高村光太郎書誌】

詩華集 60 『大東亜写真戦記』

昭和18年(1943)8月20日 誠新堂新光社 大本営陸軍報道部監修
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目次
 詔書
 序文 大本営陸軍報道部長 陸軍少将 谷荻那華雄
 戦争絵画 宮本三郎 山口蓬春 向井潤吉 中村研一 藤田嗣治 鶴田吾郎  小磯良平 猪熊弦一郎
      田村孝之介
 報道写真 撮影・陸軍報道班員
 作戦要図
 大東亜戦争日記抄
 協力する盟邦諸国
 撃ちてし止まむ 森崎善一
 聖戦詩歌 高村光太郎 白鳥省吾 室生犀星 堀口大学


基本、写真集でして、いわゆる詩華集とは様相が異なりますが、このカテゴリに入れるしかないかな、というものです。

光太郎詩「新しき日に」「シンガポール陥落」「十二月八日」「必死の時」がとびとびに掲載されています。

さらに、昨年、竹橋の東京国立近代美術館(MOMAT)さんで開催され、光太郎もからんだ「コレクションを中心とした特集 記録をひらく 記憶をつむぐ」で展示された、光太郎と東京美術学校西洋画科で同級生だった藤田嗣治の「シンガポール最後の日」などの戦争絵画も。ちなみにカバー画も藤田です。

光太郎詩も取り上げられる朗読イベントを2件。

開催日時順に、まずは群馬県。

サンデーモーニング朗読会

期 日 : 2026年9月13日(日)
会 場 : 前橋文学館1階ロビー 群馬県前橋市千代田町三丁目12-10
時 間 : 11:30~12:00
料 金 : 無料
出 演 : 林健樹 前橋文学館友の会『楽しい朗読講座』受講生

毎週日曜日の午前11時30分から、前橋文学館1階ロビーで開かれる、ちいさな朗読会。いきた言葉が、なまの声で、いっしゅんで消えゆく展示物のように、文学館にうまれます。

「人生の詩」アメリカ先住民から樹木希林、吉田拓郎まで

《ラインナップ》
 坂村真民 高田敏子 高村光太郎 高見順 フレデリック・パールズ 竹内浩三
 相田みつを 星野富弘 中原中也 谷川俊太郎 茨木のり子 アメリカ先住民 樹木希林
 工藤直子 尹東柱 エミリー・ディキンソン 新川和江 吉行理恵
 金子みすゞ 吉田拓郎
 ポール・アンカ 岩谷時子
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光太郎詩が取り上げられるのは9月13日(日)ですが、その日に限らず毎週日曜日に開催されているとのこと。素晴らしいと思いました。会場の前橋文学館さんで行われている朗読講座によるもののようで、なるほど、単に講座を受けて終わりでは味気ないところ、こうして発表の機会がたくさんあればそれに向けてということでモチベーションも上がるでしょうし、それを聴いた皆さんで「私もやってみようか」となるケースもあるでしょう。

もう1件、次の週で横浜です。

令和8年度 瀨谷図書館 休日朗読会

期 日 : 2026年9月20日(日)
会 場 : 横浜市立瀨谷図書館 横浜市瀬谷区本郷3-22-1
時 間 : 13:30~14:30
料 金 : 無料 先着20名(事前申込制)
出 演 : 一般社団法人ソフィアの森 ボランティア部

 「常識」 小泉八雲/著 朗読:星野紀子
 「グチャグチャ飯」(『九十歳何がめでたい』より)  佐藤愛子/著 朗読:折戸瑛里佳
 『智恵子抄』より 高村光太郎/著 朗読:長谷川美知子
 「木犀の香」 薄田泣菫/著 朗読:池田玲子
 「ラブ・ミー・テンダー」 江國香織/著 朗読:小川あづみ
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こちらは東京都調布市に拠点を置く朗読教室「ソフィアの森」さんのご出演。同団体、平成29年(2017)にNHKさんで放映された朗読教室を題材とした竹野内豊さん、麻生久美子さんらご出演のドラマ「この声をきみに」のモデルとなったそうで。

まだまだ光太郎作品はとりあえず人口に膾炙し続けているようで、こうした機会に取り上げていただいています。こういうところで全く扱われなくなったら、「忘れられた作家」的な位置づけになってしまうような気がします。そうならないように「伝導」に務めたいと常日頃思ってはいるのですが、今後どうなっていくことやら、です。

閑話休題、それぞれご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【高村光太郎書誌】

詩華集 52 『日本詩集』

昭和17年(1942)9月11日 洛陽書院 野長瀬正夫編
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収録作家
 伊福部隆彦 西村皎三 高村光太郎 中勘助 武者小路実篤 野長瀬正夫 増田晃
 江口隼人 佐藤惣之助 佐伯郁郎 阪本越郎 三ツ村繁蔵 千家元麿


光太郎作品は散文で「詩精神」、詩が「必死の時」「危急の日に」「独居自炊」「正直一途なお正月」「事変二週年」「最低にして最高の道」「彼等を撃つ」「新しき日に」「夜を寝ねざりし暁に書く」。作品選択は自選だそうですが、自身の校訂は入っていないようで、そのためか誤植等が目立ちます。この時期のアンソロジーはおしなべてそんな感じです。

土門拳撮影の肖像写真が口絵に使われています。新潟の素封家にして、このあと戦死することになる松木喜之七に依頼された木彫「鯉」製作中のショットです。
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昨日は上京し、杉並公会堂さんでの「POEM*CONCERT V ほんとの空 ~高村光太郎の哀歌~」を拝聴して参りました。
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「POEM*CONCERT」ということで、聖心女子大学さん他にお勤めの松野志保氏、ソプラノの黒川京子氏を中心にした二期会所属の歌手の方々等によるコンサートで、年に一回、一人の詩人にスポットを当て、その詩人が作詞したり、その詩人の詩に後から曲が付けられたり、またはその詩人の世界観を表したりといった歌曲を、松野氏の朗読と解説を交えながら演奏するというコンセプトです。
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これまでに取り上げられたのは、金子みすゞ、立原道造、中原中也、そして昨年が宮沢賢治だったため黒川氏と今回も出演された清水邦子氏を、昨年2月に花巻にお連れし、賢治記念館さんやイギリス海岸、光太郎揮毫の賢治詩「雨ニモマケズ」碑など、それから光太郎関連のスポットをご案内しました。その流れで今年は光太郎。

せっかくの機会ですので一回聴くだけではもったいないと思い、午前中からお邪魔し、リハーサルも拝聴。ピアノの田中明子氏は出ずっぱりで大変だったろうと思いました。
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午後2時、開演。
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一曲目が、シャンソン系歌手・モンデンモモさん作曲の「あどけない話」を黒川氏、清水氏の二重唱で。'90年代から主に「智恵子抄」系の光太郎詩に曲を付け、ご自分で歌われているモンデンさんですが、当方とはそのころからの付き合いで、平成21年(2009)、「楽譜集を出版するから解説を書け」「御意」「ついでに何曲か合唱曲に編集して」「承知」という流れでできたものです。実は合唱バージョンを生演奏で聴くのは初めてで、我ながら「ああ、これ、いいじゃん」と思い、さらに不覚にもうるっときてしまいました(笑)。もちろんお二人の確かな歌唱力あってのことですが。

ちなみに当方を介してモンデンさんにも招待券を発送したところ、いらしてくださいました。
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メインは、清水脩氏、朝岡真木子氏、蒔田尚昊氏、そして別宮貞雄氏がそれぞれ作曲された歌曲集「智恵子抄」から抜粋で。朝岡氏以外はすべて鬼籍に入られています。清水氏のものが最も古く、光太郎存命中の昭和30年(1955)から四期に分けて作曲され、全12曲の完成が昭和46年(1971)。のちの作曲家たちはいかにこの清水氏作品と毛色を変えるかという視点からも曲作りを行っているように感じられます。こちらからはバリトンの馬場眞二氏が「あなたはだんだんきれいになる」を歌われました。

プログラム順に行くと、続いて朝岡真木子氏作曲の「値ひがたき智恵子」「レモン哀歌」をメゾソプラノの清水邦子氏が。これが最も新しいもので、令和4年(2022)に全音さんから出た『朝岡真木子歌曲集2』に収められていますし、清水氏の歌唱によるCDもリリースされています。
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休憩後の第2部で、黒川氏が蒔田尚昊氏作曲の「あどけない話」「同棲同類」「レモン哀歌」。黒川氏、他の機会にも蒔田氏の歌曲集「智恵子抄」から抜粋で歌われています。黒川氏は蒔田氏と個人的に繋がりがおありだったようで、昨日は未亡人もお見えでした。これのみ全曲の楽譜が公刊されていないのですが、昨日聞いた話では近く出版されるそうで、良かったと思いました。

続いて「智恵子抄」からいったん離れ、戦時歌謡の「歩くうた」(飯田信夫作曲)、箕作秋吉作曲の「鳩」、朝岡氏の「冬が来た」。
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「鳩」は明治44年(1911)の詩に昭和7年(1932)になって箕作が作曲したもので、確認できている限り最も古い光太郎作詞の歌曲です。箕作にはこの他、やはり戦時歌謡の「こどもの報告」(1939)があります。「鳩」を聞いた光太郎が作曲者として推薦しました。昨年の時点で今回の「POEM*CONCERT」は光太郎を取り上げるということで、「こんな曲があるよ」と、楽譜や音源のあるものをお教えしまして、モンデンさんの「あどけない話」、「歩くうた」、「鳩」はそこに入っていたものですが、「こどもの報告」はあまりに黒歴史過ぎる歌なので紹介しませんでした。「歩くうた」もひどいものですが(客席の聴衆の皆さん、明らかにドン引きでした)、15年戦争時に光太郎がいろいろとやらかした事実を印象づけるにはもってこいです。「こどもの報告」は輪を掛けてひどいものです。

最後に別宮貞雄氏の「智恵子抄」から「人に」「千鳥と遊ぶ智恵子」「レモン哀歌」を、テノールの紀野洋孝氏。紀野氏、こちらを繰り返し歌われ、CDもリリース、さらに博士論文がこの歌曲集の考察だったそうで。
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さまざまな作曲家による「智恵子抄」の聴き比べといった趣でしたが、なるほどねぇ、と思わされるものでした。特に「レモン哀歌」は3バージョンでしたし。

合間に松野氏の、演奏曲目には入っていなかったり、そもそも曲が付けられたことのなかったりの光太郎詩の朗読、さらに光太郎智恵子の生涯の解説。これまでこの「POEM*CONCERT」で取り上げてきた詩人達が比較的短命だったのに対し、数え74歳まで生きた光太郎を追うのはなかなか大変だったと思われますが、後で見せていただいたお客さんの書いたアンケートでも「光太郎智恵子の歴史がよくわかった」などと好評でした。黒歴史についてもきちんと紹介して下さいました。ちなみに来年は萩原朔太郎だそうで、光太郎よりは短い生涯。それでも大変でしょうが。

アンコールは坂本龍一氏がNHKさんの「にほんごであそぼ」のために書かれた「道程」。楽譜は公刊されていないようですが、お渡しした音源から内藤雅人氏という方が二部合唱に編曲され、よくある「会場の皆さんもご一緒に」。
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すべての終演後。
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ホワイエで。
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朝岡氏、それから朝岡氏の「智恵子抄」から抜粋で歌われたこともおありの前澤悦子氏もいらしていました。
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今回は基本、クラシック系でしたが、他にもインストゥルメンタルを含め、それこそモンデンさんなどさまざまなジャンルの音楽家さんたちがそれぞれの解釈で「智恵子抄」系を作品にされています。そうしたジャンルの垣根を越えてのコンサートなどもあると面白いなとも思います。自分でプロデュースしようとは思いませんが(笑)。どなたか旗を振っていただければ幸いです。演奏家さんたちのご紹介などはいくらでもやります(笑)。

関係各位のますますのご活躍を祈念いたします。

【高村光太郎書誌】

詩華集 50 『日本海洋詩集』

昭和17年(1942)5月5日 海洋文化社 丸山薫編
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収録作家
 海洋精気篇
  高村光太郎 佐藤惣之助 真壁仁 森山啓 城左門 瀧口武士 草野心平
  吉田一穂 大江満雄 吉江喬松 岡崎清一郎
 海浜篇
  北原白秋 三木露風 室生犀星 三木露風 佐藤惣之助 萩原朔太郎 佐藤春夫
  野口米次郎 日夏耿之介 生田春月 三富朽葉 百田宗治 福田正夫 堀口大学
  金子光晴 中西悟堂 大木篤夫 加藤介春 三好達治 安西冬衛 近藤東 高橋新吉
  阪本越郎 丸山薫 田中冬二 中野重治 伊東静雄 中原中也 菱山修三 宮澤賢治
  山本和夫 中勘助 福原清 高橋元吉 神保光太郎 蔵原伸二郎 津村信夫 菊岡久利
  渡辺修三 大井満雄 逸見猶吉 小野十三郎 藤原定 岡崎清一郎 大木実 壺井繁治
 大洋篇
  島崎藤村 森鷗外 薄田泣菫 北原白秋 佐藤惣之助 高村光太郎 萩原朔太郎
  千家元麿 川路柳虹 野口米次郎 川路柳虹 北村初雄 富田砕花 加藤介春 阪本越郎
  竹村俊郎 深尾須磨子 尾崎喜八 丸山薫 瀧口武士 竹中郁 岩佐東一郎 村野四郎
  中原中也 伊藤整 田中克己 西村皎三 塚山勇三 小沢豊吉
 港篇
  千家元麿 佐藤惣之助 尾崎喜八 金子光晴 笹沢美明 萩原朔太郎 木下杢太郎
  柳沢健 堀口大学 北川冬彦 竹中郁 春山行夫 丸山薫 津村信夫
 島嶼篇
  土井晩翠 室生犀星 伊良子清白 木下杢太郎 堀口大学 加藤介春 北川冬彦
  宮澤賢治 中西悟堂 菊岡久利 阪本越郎 北原政吉 西川満
 漁獲篇
  蒲原有明 西條八十 佐藤春夫 北村初雄 百田宗治 千家元麿 福田正夫 白鳥省吾
  山村暮鳥 瀧口武士 菊岡久利 石川善助


翼賛詩的なものも含みますが、そうでないものも多数。光太郎詩は「地理の書」「龍」「無為の白日」の三篇です。

東北から演奏会情報を2件。

まずは福島。智恵子の故郷・二本松の旧安達町から。

第16回ほんとの空ふれあい音楽祭

期 日 : 2026年9月6日(日)
会 場 : 安達文化ホール 福島県二本松市油井字濡石1-2
時 間 : 13:00~
料 金 : 無料

障がいがある方の芸術・文化活動を通じて、障がい者、介護者および市民の皆さんに、より一層の交流を深めていただくため、音楽祭を開催します。

各団体によるステージ発表や、ピアニストの八巻和也さんによる演奏のほか、各障がい者施設の活動展示、お菓子や木工製品等の自主製品販売を行います。

手話通訳があります。
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智恵子生家/智恵子記念館のある旧安達町での開催ということで「ほんとの空」の語が冠されています。

もう1件、宮城県多賀城市から。

第35回 定禅寺ストリートジャズフェスティバル タイアップステージ TAGA JAZZ 2026 〜世界のカレー×熱音〜

期 日 : 2026年9月12日(土)・9月13日(日)
会 場 : 多賀城市民会館・大ホールホワイエ 宮城県多賀城市中央2-27-1
時 間 : 9月12日(土) 11:00~20:00 9月13日(日) 11:00~18:00
料 金 : 無料

仙台の秋の風物詩といえば「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」ですよね。なんと今年は、タイアップステージとして多賀城での開催が決定しました! その名も、「TAGA JAZZ 2026 〜世界のカレー×熱音〜」。極上の音楽と絶品カレー、そして冷たいドリンクが一堂に会する、特別な2日間の魅力をご紹介します!

豪華アーティスト&地元実力派による“熱音”に酔いしれる! 今回のステージには、宮城県を代表するトッププレーヤーたちが大集結! 仙台を拠点に国内外で活躍するトランぺッター・菊田邦裕さんや、温かみのある歌声で人々を魅了するシンガーソングライター・伊東洋平さんが出演します。さらに、地元で活動するアマチュアバンド16組も参加し、会場をジャズの音色で熱く盛り上げます。心地よいリズムに身体を揺らしながら、最高の音楽を全身で浴びてみませんか?

スパイス香る熱々カレーと、ひんやりスイーツが大集合!
音楽と一緒に楽しみたいのが、会場に並ぶ絶品フード&ドリンクの数々!今回は「世界のカレー×熱音」のテーマにふさわしく、個性豊かなカレーストールをはじめとした絶品グルメが集まります。

【出店ラインナップ】
・3 FLAVOR CURRY(カレー)       ・&Sun(カレー)
・SARU CURRY(カレー)         ・BEANS KITCHEN(カレー)
・Green Life Coffee Roaster(パン)     ・ひなたのベーカリー(パン)
・million dollar icecream truck(アイス) ・パラゴニアン(クラフトビール、ワイン)
・WALNUTS KITCHEN(台湾薬膳フルーツティー・美肌ティー・清涼ティーなど)ほか

スパイシーで熱々のカレーを堪能した後は、ひんやり冷たいアイスクリームや、パラゴニアン厳選のクラフトビールやワインで乾杯!さらに「WALNUTS KITCHEN」の「美肌ティー」や「清涼ティー」など、台湾薬膳フルーツティーも登場します。

心地よい風とジャズの音色に浸りながら、贅沢な大人の夏フェス気分を満喫しよう!
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演奏で参加される【佐藤 実治 spritual essence】さんという方のfacebook投稿から。

この日はJohn Coltrane, J.S.Bach, 武満徹の曲や PetrisVasksの夏のソナタの旋律を用いたその場の音、虚無僧尺八の古典本曲、数年前に作ったelectronicsとvilolinの為の曲 [Invisible/目には見えないもの] 等の自作曲、Jazz、タンゴの曲をviolin solo用に編曲したものそして、きのこ、高村光太郎の道程、過ぎ去った自然音、会場の皆さんの声と共に演奏をします。

その日のきのこの状態によっては内容を変更する事もございます。

光太郎の「道程」モチーフの曲を演奏なさって下さるそうで。

ところで「きのこ」? これは……

植物の電気信号をリアルタイムでMIDIデータに変換する仕組みの装置を導入しまして、色々試したところ、きのこ類の波長が良い感じでした! 当日はきのことセッションします。日によってどころか、時間帯によっても変わるので、どんな音になるかは、その時じゃないと分からないんです。

だそうで。面白い試みですね。

それぞれご興味おありの方、ぜひどうぞ。


【高村光太郎書誌】

詩華集 41 『自選詩華集』日本詩壇第9巻第1号 新年特輯号

昭和16年(1941)1月1日 日本詩壇発行所 吉川則比古編
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収録作家
 河井酔茗 北原白秋 三木露風 高村光太郎 川路柳虹 萩原朔太郎 堀口大学
 佐藤惣之助 富田砕花 佐藤清 白鳥省吾 福田正夫 前田鉄之助 喜志邦三 大木惇夫
 吉田一穂 安西冬衛 北川冬彦 北園克衛 岡崎清一郎 草野心平 小野十三郎
 横山青娥 村野四郎 近藤東 能村潔 藪田義雄 安部宙之介 高木秀吉 岩佐東一郎
 菱山修三 月原橙一郎 吉沢独陽 西村皎三 岡本弥太 塚本篤夫 瀧口武士 間司恒美
 前田いさむ 乾直恵 佐伯郁郎 田中令三 安藤一郎 岩本修蔵 江口隼人 杉浦伊作
 松本帆平 池永治雄 山内隆   藤本浩一 藤村誠一 吉川則比古 大島博光 原田種夫
 山田牙城 奥保 葛井和雄 加藤健 古川賢一郎 大塚徹 森田四郎 南條蘆夫 川口治洋
 蓬莱隆次 小林清一郎 福富武人 舟木由岐 小西秋雄 柴俊介 木下夕爾 三宅光也
 加藤真一郎 小田邦雄 原比呂志 海老名礼太 宇津木賢 酒井梅次郎 木村信吉 太田明
 大野良子 真鍋勝見 竹内はじめ 長谷敏男 杉山真澄 久保田駿二 入谷劉一 松田幸夫
 福島公肇 清水達 塩谷安郎 脚雄 吉野多美子 江島朋子 桑門つた子 松本ゆり子
 瀬木次郎 三枝響 臼井喜之介 三好良太郎 田坂数夫 佐藤総右 上国料譲夫 丹羽荘一
 砂見あきら 小島禄琅 利木田光緑 佐賀連 南咲夫 谷山敏光 村岡半風 奈良進
 竹岡範緒 水島秋夫 荻野卓司 大塚雪郎 河田恵介 東達夫 植田義雄 下村隆英
 奥村秀雄 山縣深雪 酒井一実 亀田九十九 暁龍之介 蜂谷光太郎 川崎匡太郎
 加納清五郎 伊藤隆夫 北島啓 下戸億史 岩沢増美 上野彰久 衣笠夢二 上田康
 三川新吉 赤松芳影 鈴木久美  杉野文一 藪田嘉美 国広勝太郎 後藤敏夫 藤村譲
 林かほる 深海愁 前田威 吉田賢正 内海聡 松崎かをる 蟹沢悠夫 古川真 足立篤二
 穴田澄子 松下真木子 安部英雄 葉樹えう子 仁衛砂久子 西本輝子 安田邦生
 丹羽征夫 千村英一 山本清一 寺中太一郎 最上妥 鎌田健一 細井有 前田静秋
 箕浦彦廣 楫斐史郎 近藤博 紀静雄 山田迪孝 森駿一郎 西田正一 古林謙二
 上田吉夫 小出厖 仲村花酔 網代渡 平田知士 岡本熟 千葉緑蔭 淡路あきら
 古志峰郎 池田澄 尼ヶ崎豊 藤田枝葉 高井夕起夫 向井久雄 矢倉豊 江崎浅太郎
 三浦味爽 橋本高之 花城逸男 楯一馬 福井金三郎 福来道夫 西田喬 衣民折也
 生田義哉 井上エシノ 村島哲夫 黒崎福鳳 金山保 上山秀夫 平木英介 長門鳴海
 丸山吉三郎 島木谷彦 川田隆 永海安夫 高村尚之 美津ひろし 邱淳洸 新田鉄次郎
 瀬木貞 水野子葉 原口伊世郎 新井渓風 青山僕郎 大山修本 谷正夫 小作孝一
 石蛙太郎 田中慶治 飯田ともゑ 吉川俊一 葛原積 江尻北窓 加藤滋雄 五百旗頭欣一
 谷垣修二 圷実 琵琶村梓 佐野武夫 青木健三 いしべきんきち 佐藤殷生 川口真澄
 金炳爕 岡島ヒロ子

前々年、前年と、このような形で雑誌『日本詩壇』の新年特集号がまるまる一冊のアンソロジーとして刊行されましたが、それもこの年限りだったようです。翌昭和17年(1942)となると太平洋戦争開戦直後で、もはやそれどころではなくなるようです。

光太郎詩は「北東の風、雨」が収められています。

ちょこっとお手伝いをさせていただいたコンサートです。

POEM*CONCERT V ほんとの空 ~高村光太郎の哀歌~

期 日 : 2026年9月6日(日)
会 場 : 杉並公会堂 小ホール 東京都杉並区上荻1-23-15
時 間 : 13:30開場 14:00開演
料 金 : 一般 3,500円、学生 1,000円

《POEM*CONCERT》は 一人の詩人の世界を 作者と作品の解説 作品の朗読 その詩を元に作られた歌曲を通して 深く味わう新たな試みです

金子みすゞ(2019年)、立原道造(2023年)、中原中也(2024年)、宮沢賢治(2025年)を取り上げてきました。今回は高村光太郎を取り上げます。

《プログラム(予定)》
 お話・朗読 「高村光太郎の世界」「光太郎と智恵子」ほか
 歌曲 4人の作曲家(朝岡真木子、清水脩、別宮貞雄、蒔田尚昊)による『智恵子抄』他

《出演者》
 松野志保(お話と朗読) 黒川京子(ソプラノ) 清水邦子(メゾソプラノ)
 紀野洋孝(テノール) 馬場眞二(バリトン) 田中明子(ピアノ)

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昨秋開催された宮沢賢治編を拝聴に伺いました。その前の1月31日(金)・2月1日(土)と1泊2日で、昨年もご出演された黒川京子氏と清水邦子氏を花巻にお連れし、賢治関連、光太郎関連のスポット巡り。そうした流れで今年は光太郎編です。

出演される歌い手の皆さん、それぞれに光太郎がらみの歌曲をこれまでにも演奏なさっています。

ソプラノの黒川氏は、上野の旧東京音楽学校奏楽堂で開催された「第二十二回 二期会日本歌曲研究会演奏会」や世田谷区のカトリック松原教会さんでの「第39回カトリック松原教会チャリティーコンサート~ガリラヤの風かおる丘で~」で、故・蒔田尚昊氏作曲の歌曲集「智恵子抄」から。

メゾの清水氏は朝岡真木子氏作曲の「歌曲集 智惠子抄」CDをリリースなさり、あちこちで同組曲から演奏なさっています。

テノール・紀野氏は別宮貞雄氏作曲の「歌曲集《智惠子抄(改定新版)》」を含むCDをリリース、やはり同曲集の全曲や抜粋での演奏を精力的になさっています。

そしてバリトンの馬場氏。清水氏同様、朝岡真木子氏作品を扱うコンサートのご常連で、「智恵子抄」系ではありませんが、その後に作曲された「冬が来た」を歌われました。

そういうわけで、朝岡氏、別宮氏、蒔田氏プラスこの手のものの嚆矢と言っていい故・清水脩氏作曲の「歌曲集 智恵子抄」からも。

さらに当方手持ちの光太郎作詞の歌曲や混声四部合唱の楽譜やCDをコピーし、「こんな作品がありますよ」。その中で、シャンソン系歌手のモンデンモモさん作曲、当方編曲の女性二部合唱「あどけない話」もプログラムに入れて下さったそうです。また、故・坂本龍一氏がNHKさんの「にほんごであそぼ」のために書かれた「道程」も、「面白いね」というお話でした。ただ、そちらは演奏されるかどうか聞いていません。

というわけで、全編光太郎漬けというコンサートも珍しい試みです。ぜひ足をお運び下さい。

【高村光太郎書誌】

詩華集 37 『現代詩人自選詩華集』日本詩壇第7巻第1号 新年特輯号

昭和14年(1939)1月1日 日本詩壇発行所 吉川則比古編
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収録作家
 北原白秋 三木露風 高村光太郎 堀口大学  萩原朔太郎 白鳥省吾 福田正夫 百田宗治
 佐藤清 前田鉄之助 喜志邦三 木水弥三郎 吉田一穂 春山行夫 安西冬衛 北川冬彦
 北園克衛 岡崎清一郎 草野心平 岡本潤 小野十三郎 大江満雄 笹沢美明 村野三郎
 村野四郎 近藤東 能村潔 藪田義雄 折戸彫夫 丸山薫 竹中郁 岩佐東一郎 内野健児
 泉與志朗 月原橙一郎 安部宙之介 高木秀吉 岡本弥太 中山輝 塚本篤夫 田中冬二
 長田恒雄 田中令三 安藤一郎 阪本越郎 高橋玄一郎 岩本修蔵 乾直恵 前田いさむ
 加藤健 杉本駿彦 吉川則比古 池永治雄 吉沢独陽 藤本浩一 山内隆 藤村誠一
 荘原照子 大島博光 田中克巳 古川賢一郎 火野葦平 奥保 川口治洋 福富武人
 大塚徹 鈴樹昌 村上成実 小西秋雄 海老名礼太 葛井和雄 細川昊 田坂数夫
 西山五百枝 舟木由岐 岡より子 柴俊介 黒田義文 杉山真澄 大野良子 多賀城
 長谷執持 真鍋勝見 福島公肇 佐藤総右 手塚武 横山健二 高村直衛 志賀諒太郎
 清水達 八十島元 小松茂彦 宇知浩 中田戻 牧原幽紀 藤林平也 松村一美 高山泰子
 臼井喜之助 酒井梅次郎 高木寂 桑門つた子 淀川鮎子 江島朋子 吉野多美子
 大塩虹雨 船方一 藤永義高 入谷伊利一 長谷雄京二 西村和三郎 竹内はじめ
 小島禄琅 塩谷安郎 吉村ヨシチカ 齊木家義 三枝響 虚木一 塩田喜治 伊藤隆夫
 橋本健三 小川陽 中島義信 松永錠太郎 山縣深雪 挽地英夫 奈良進 国広勝太郎
 梅沢恒夫 藤井伸 佐賀連 後藤敏夫 中山抱月 小夜川葉平 八木国夫 山田弥三平
 大江千代吉 出口光 水原宏 増田秀 税田竹由樹 森田勝寿 鮎川桂介 北川綾子
 藤波里子 橋本深 小島昇 清水省吾 大石英麿 利木田光緑 林太郎 平野勝 川田俊雄
 田中露秋 丸山吉三郎 赤松芳影 稲野美智男 大坪健一 田中林弥 

雑誌『日本詩壇』の新年号ですが、まるまる一冊、自選のアンソロジーになっています。巻末に「全国主要詩誌一覧表」「全国詩人住所録」。『日本詩壇』では翌年、翌々年の新年号も同じ形を採りました。

光太郎詩は「老聃道を行く」が収められています。

都内から演劇公演情報です。

第三十五回ゆーりんプロデュース公演MANDALA綺譚「歌と語りで紡ぐ~智恵子抄~」

期 日 : 2026年8月25日(火)・26日(水)
会 場 : 南青山MANDALA 港区南青山3-2-2 MRビルB1
時 間 : 8/25 19:00~ 8/26 14:00~ 19:00~
料 金 : 4,700円(1ドリンク付)

高村光太郎氏の「智恵子抄」の物語をギターの生伴奏とともに、朗読と芝居と、時に歌にのせて紡いでいきます。会場で提供している食事や飲み物とともにお楽しみいただける公演です。

企画制作 株式会社ゆーりんプロ  
脚本 よこざわけい子  演出 山端零
出演 北斗誓一 池田祐子 山端零 瀬那歩美 涼葉紅美 田村知佳
   モルシェッドシッディーキー誠也 河田奈実 前園瑛一

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10年前にも同じゆーりんプロさんの主催公演があり、拝見に伺いました。その際と同一の脚本かな、という気がします。キャストも一部、同じ方々のようです。実際に拝見するまで存じませんでしたが、かなりの人数が出演される大がかりなものでした。
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光太郎智恵子それぞれの家族、「パンの会」などの関係で柳敬助、北原白秋、木下杢太郎、吉井勇、小山内薫、市川左団次、よか楼のお梅らも。

ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【高村光太郎書誌】

詩華集 27 『海図 生田春月追悼詩集』

昭和5年(1930)7月18日 交蘭社 佐藤信重編纂代表
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収録作家
 生田春月(遺稿) 高村光太郎 室生犀星  奥栄一 金子薫園 麻生恒太郎 堀克三
 伊藤雪子 加藤愛夫 鯉淵武司 小島行夫 真船浩 真船真沙子 松尾啓吉 野長瀬正夫
 落合茂 大島庸夫 佐々木宵吉 佐藤信重 杉原邦太郎 鈴木惣之助 武井京 竹内瑛二郎
 丹野幸吉 山口啓一 山本華子 加藤武雄 中村武羅夫 石川三四郎 小川未明
 片田江全雄 池田孝次郎 石原健生 布施延雄 望月百合子 林芙美子 樺山千代
 西島治子 萩原朔太郎 生田花世


この年5月、瀬戸内海を航行中の船から投身自殺を遂げた生田春月の追悼詩華集です。

光太郎は書き下ろしの「消えずの火」を寄せました。
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    消えずの火

 倒れる側から新らしい生身(なまみ)の壁が、
 どんなあらしや、003
 どんなはやてや、
 どんな豪雨や、
 どんな突風にも、
 この消えずの火をまもつて、
 ぎつしり築いた、肉の歴史を未来に手渡す者は、
 倒れることによつてさへ罅隙をうづめる。
 この火がいつどんな火になるかを誰が語らう、
 つひに消えない消えずの火は、
 この世の純潔を点(とも)して
 屈強な倫理の腕に囲まれてゐる。

9日(日)に開催される第35回女川光太郎祭につき、仙台に本社を置く『河北新報』さんが予告記事を出して下さいました。

「光太郎祭」宮城・女川で9日開催 高村光太郎をしのぶ

 詩人で彫刻家の高村光太郎(1883~1956年)をしのぶ第35回女川「光太郎祭」(女川・光太郎の会)が9日午後1時から、宮城県女川町まちなか交流館で開かれる。入場無料。
 戦前に女川を訪れ、詩や紀行文を残した光太郎の作品の朗読などを通して、思いに触れる。高村光太郎連翹(れんぎょう)忌運営委員会の小山弘明代表が「光太郎の彫刻」をテーマに講演し、県内外の小中高校生や研究者ら約20人が「レモン哀歌」「道程」などを朗読する。
 オペラで智恵子役を演じたソプラノ歌手本宮寛子さん(千葉県)の献歌、光太郎研究者のギタリスト宮川菊佳さん(同)の献奏もある。
 光太郎は1931年夏、女川町など三陸沿岸を巡り、多くの詩文を残した。光太郎祭は地元の有志らが92年から開いており、女川湾に面した海岸広場には文学碑が立つ。
 事務局の佐々木英子さんは「光太郎が女川を訪れた歴史を学び、参加した子どもたちから作家などが巣立ってくれれば」と話す。連絡先は佐々木さん090(6686)7811。
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「オペラで智恵子役を演じたソプラノ歌手本宮寛子さん(千葉県)」は、斯界の重鎮のお一人。「光太郎研究者のギタリスト宮川菊佳さん(同)」ともども、当会主催の連翹忌の集いご常連でもいらっしゃいます。

オペラ「智恵子抄」は、台本・山本鉱太郎氏、作曲・仙道作三氏。当会顧問であらせられた北川太一先生が監修を務められ、平成元年(1989)10月に赤坂草月ホールで初演が行われました。
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3回公演で、うち2公演の智恵子役を本宮氏が担当なさいました。

そして平成3年(1991) 10月12日には、女川の光太郎文学碑建立記念として、女川町生涯教育センターで公演が行われ、その際も本宮氏が智恵子役。
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そうしたご縁から、本宮氏はほぼ毎年、女川光太郎祭にご参加なさり、歌声を御披露下さっています。
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左上は東日本大震災翌年の平成24年(2012)で仮設住宅の集会所、右上は平成27年(2015)の仮設商店街にテントを張っての会場で。

作曲の仙道氏は、女川光太郎の会さんの委嘱作品的な混声四部合唱曲「海」も作られ、かつての女川光太郎祭では地元の合唱団さんによって演奏されていました。仙道氏、今年、久々に女川光太郎祭ご参加とのこと。

記事では当方の名も出して下さいました。毎年、前座的な講演をやらせていただいており、今年は光太郎彫刻に隠された暗号――「ダ・ヴィンチコード」ならぬ「光太郎コード」(笑)――について語らせていただきます。キーワードは、バリバリ文系の自分ですが(笑)「比例式」「三平方の定理」「平方根」「二次方程式」など。一応の内容は来週、帰ってからこのブログでご紹介します。

お時間おありの方、ぜひ女川までお越し下さい。

【高村光太郎書誌】

詩華集 21 『代表的名詩選集』

昭和4年(1929)4月15日 恒星堂 大貫芳江編
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収録作家等
 口絵(詩人似顔絵漫画)
 序 野口雨情 西條八十 大貫芳江
 福沢諭吉 井上哲次郎 外山正一 矢田部良吉 森鷗外 前田林外 宮崎湖処子 湯浅半月
 正岡子規 北村透谷 塩井雨江 大町桂月 国木田独歩 土井晩翠 太田玉茗 島崎藤村
 武島羽衣 岩野泡鳴 与謝野鉄寛 松岡国男 河井酔茗 上田敏 児玉花外 野口米次郎
 伊良子清白 吉野臥城 蒲原有明 平木白星 薄田泣菫 横瀬夜雨 与謝野晶子 山宮允
 正富汪洋 野口雨情 人見東明 茅野蕭々 高村光太郎 相馬御風 山村暮鳥 竹久夢二
 佐藤清 北原白秋 加藤介春 石川善助 福田夕咲 服部嘉香 小畠貞一 千家元麿
 川路柳虹 三石勝五郎 新島栄治 三木露風 室生犀星 三富朽葉 内藤鋠策 福士幸次郎
 柳沢健 相川俊孝 日夏耿之介 白鳥省吾 富田砕花 深尾須磨子 佐藤惣之助 坂本哲郎
 堀口大学 西條八十 尾崎喜八 生田春月 竹友藻風 佐藤春夫 百田宗治 松原至大
 福田正夫 多田不二 藤田健次 藤森秀夫 西川勉 沢ゆき子 米沢順子 清水暉吉
 林信一 水谷まさる 松本淳三 大藤治郎 中山啓 陶山篤太郎 大木篤夫 広瀬操吉
 大関五郎 中西悟堂 金子光晴 前田鉄之助 霜田史光 西谷勢之介 北村初雄 赤松月船
 加藤まさを 井上康文 渡邊渡 下田惟直 宮崎丈二 橋爪健 福富菁児 大鹿卓
 勝田香月 萩原恭次郎 高木斐瑳雄 角田竹夫 田中清一 大沢重夫 岡村二一 高橋新吉
 勝承夫 泉浩郎 南江二郎 神戸雄一 佐伯孝夫 中田信子 横山青娥 野村吉哉
 サトウ・ハチロー 田辺耕一郎 平木二六 大野勇次 大貫芳江

光太郎詩は「氷上戯技」。

巻頭の「口絵(詩人似顔絵漫画)」はおそらく収録作家全員の似顔絵が複数ページを使って描かれています。描き手は「さぶろ」と署名がありますが、詳細が不明です。
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公式のプログラムには記載がありませんが、武智鉄二構成演出、観世寿夫らの作曲・作舞「新作能 智恵子抄」(昭和32年=1957)が扱われるそうです。

教職員・教育関係者対象 能・狂言 教え方講座 ~能・狂言の授業をするために~

期 日 : 2026年8月20日(木)/8月21日(金)
会 場 : 銕仙会能楽研修所 東京都港区南青山4-21-29
時 間 : 8/20(木)午前10時〜午後5時 8月21日(金)午後1時〜午後5時
料 金 : 2,000円
主 催 : 公益社団法人銕仙会

 本講座は、学校の先生方が子供たちに能狂言について授業が出来るようになることを目標としています。能狂言の講義に加えて、鑑賞と体験をしていただき、先生方の能楽に対する疑問や不安を解消することで、具体的な授業に取り組んでもらえるようプログラムを考えました。能狂言の知識は全教科に活用できるものだと考えています。国語・音楽の教科に限らず、ぜひ多くの教職員の皆さんの受講をお待ちしております。

8月20日[木]講座と鑑賞
 第1部 お話 10:00~12:00
  はじめに 観世銕之丞
  能・狂言の歴史と作品 三浦裕子(武蔵野大学文学部教授・能楽資料センター長)
  面・装束について
  狂言とは・仕草の体験 山本則重
 第2部 実技体験 13:00~15:00
  実技講習 カマエ・型、謡、囃子
  舞囃子『羽衣』鑑賞
 第3部 鑑賞 15:15~17:00
  装束付舞囃子『敦盛』鑑賞
  授業の実例紹介 佐野 匠(長野県伊那北高校 教員)
  宿久 舞希(中学校教員)
  質疑応答・意見交換

8月21日[金]より深く能を知るための体験教室 13:00~17:00
 謡と型の稽古を体験していただきます。
 謡 能の詞章、音階、リズム、発声法
 型 能のカマエ、ハコビ、型の単元、舞
 対象 これまでの教え方講座(今年を含む)の受講者のみ
 講師 鵜澤久、小早川修、北浪貴裕
 *白足袋はご持参下さい。

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8月20日(木)の「講座と鑑賞」の中で、銕仙会さん所属の清水寛二氏が「新作能 智恵子抄」の謡(うたい)を謡われるそうです。ちとはっきりしないのですが、第2部「実技体験」か第3部「鑑賞」の中でどなたかの研究発表に付随して、とのことです。

「新作能 智恵子抄」、それを作った観世寿夫が銕仙会の中興の祖のようなところですので、同会ではその後も時折、取り上げて下さっています。
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ただ、初演の形での上演ではなく、ダイジェスト版の「舞囃子」、または謡(うたい)のみだったりします。当方も一度、令和3年(2021)に南青山の銕仙会能楽研修所さんで開催された「山本順之師の謡と舞台への思いを聴く会」で、故・山本順之師をはじめとする方々の連吟の形で拝聴しました。
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今回は清水寛二氏が謡われます。清水氏、こちらで把握しているところでは、先述の「山本順之師の謡と舞台への思いを聴く会」で連吟のお一人として、また同じ令和3年(2021)に江戸川区のタワーホール船堀さんで開催された「もやい展2021東京 3.11から10年 語り継ぐ命の連綿」、令和5年(2023)には横浜能楽堂さんでの企画公演「能役者 鵜澤久」の際にも謡われています。

右画像は清水氏のSNSよりお借りしました。

なぜ教職員・教育関係者対象の講座で「智恵子抄」かというと、推測ですが、現在でも東京書籍さんの中学校3年生用の国語教科書『新編 新しい国語』に「レモン哀歌」が載っていますし、探せば他にも高校用の教科書などにも光太郎詩の掲載があるのではないかと思われ、そのためなのでしょう。

「教職員・教育関係者対象」ということは、小中高、さらに大学さんも含まれるかと思われます。関係の方、奮ってのご応募を。

【高村光太郎書誌】

詩華集 19 『代表傑作日本詩集』

昭和3年(1928)5月15日 帝国教育研究会 高木斐川/古賀峡谷編
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収録作家等
 外山ヽ山 井上巽軒 矢田部尚今 中西梅花 湯浅半月 大和田健樹 北村透谷 馬場孤蝶
 塩井雨江 大町桂月 武島羽衣 宮崎湖処子 森鷗外 正岡子規 国木田独歩 松岡国男
 田山花袋 太田玉茗 島崎藤村 土井晩翠 高安月郊 山本露葉 小山内薫 河井酔茗
 伊良子清白 横瀬夜雨 薄田泣菫 与謝野寛 与謝野晶子 吉野臥城 平木白星 前田林外
 蒲原有明 児玉花外 岩野泡鳴 上田敏 石川啄木 相馬御風 北原白秋 木下杢太郎
 三木露風 茅野蕭々 高村光太郎 人見東明 加藤介春 三富朽葉 森川葵村 福田夕咲
 服部嘉香 今井白楊 川路柳虹 竹友藻風 山村暮鳥 福士幸次郎 加藤一夫 富田砕花
 水野盈太郎 白鳥省吾 福田正夫 百田宗治 千家元麿 佐藤惣之助 室生犀星 柳沢健
 日夏耿之介 堀口大学 西條八十 萩原朔太郎 野口雨情 武者小路実篤 正富汪洋
 佐藤春夫 野口米次郎 秋田雨雀 佐藤清 藤森秀夫 沢ゆき子 尾崎喜八 深尾須磨子
 大藤治郎 平戸廉吉 井上康文 北林初哉 前田春声 多田不二 金子光晴 相川俊孝
 赤松月船 泉浩郎 岡村二一 岡本潤 小畠貞一 大沢重夫 大鹿卓 吉田一穂 佐藤一英
 勝承夫 鈴木信治 陶山篤太郎 高木斐瑳夫 高橋新吉 田中清一 角田竹夫 中田信子
 三石勝五郎 松原至大 中西悟堂 中野秀人 南江二郎 萩原恭次郎 林信一 春山行夫
 平木二六 広瀬操吉 藤田健次 松村又一 宮崎丈二 山崎泰雄 米沢順子 橋爪健
 大木篤夫 松本淳三 神戸雄一 渡邊渡 上野壮夫


この書籍でしか見かけないような、マイナーな詩人の作品も多く含まれています。光太郎詩は「根付の国」「五月の土壌」「雨にうたるゝカテドラル」「懐ふ」「氷上戯技」の5篇です。

光太郎ゆかりの地・宮城県女川町で毎年開催されているイベントです。

第35回女川光太郎祭

期 日 : 2026年8月9日(日)
会 場 : 献花 高村光太郎文学碑 宮城県牡鹿郡女川町海岸通り1番地
      式典等 まちなか交流館 宮城県牡鹿郡女川町女川2丁目65番地2
時 間 : 献花 10:00~ 式典等 13:00~
料 金 : 無料
主 催 : 女川光太郎の会

10:00~ 高村光太郎文学碑へ献花
13:00~ 式典等
 黙祷
 記念講演 「高村光太郎の彫刻(その2)」 高村光太郎連翹忌運営委員会代表 小山弘明
 ご挨拶 女川光太郎の会
 献花の模様動画投影
 光太郎紀行文・詩の朗読 町内外の皆さん
 祝辞
 アトラクション演奏 ギタリスト宮川菊佳さん、オペラ歌手本宮寛子さん 他
18:00頃~
 懇親会 金華楼 宮城県牡鹿郡女川町女川浜字女川2丁目16-8

昨年の様子
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オープン参加ですがこぢんまりと行っているイベントですので、ネット上に詳しい予告が出るわけでもなく、毎年講演を行っている当方にもきちんとした文書も届きませんで、ショートメールで「例年通り今年もお願いしますね」と来る程度なので、上記は予想です(笑)。

なぜ8月9日に女川なのか、というと、時系列で表せば以下の通り。

昭和6年(1931) 8月9日
 新聞『時事新報』の依頼で紀行文「三陸廻り」を書くため、光太郎が離京。
昭和6年(1931) 8月中旬
 光太郎、石巻を経て女川着。一泊し、船で気仙沼へ。
昭和6年(1931) 9月10日
 光太郎帰京。旅の間に留守を預かっていた智恵子の心の病が誰の目にも明らかに。
昭和6年(1931) 10月3日~27日
 『時事新報』に「三陸廻り」断続的に掲載。全10回。
昭和12年(1937) 7月7日
 女川での見聞を基に詩「よしきり鮫」執筆。8月の『改造』に掲載。
平成3年(1991) 8月10日
 「女川光太郎の会」が主導して女川町海浜公園に光太郎文学碑建立。除幕式開催。
平成3年(1991) 10月12日
 光太郎文学碑建立記念として、女川町生涯教育センターでオペラ「智恵子抄」公演。台本・
 山本鉱太郎氏、作曲・仙道作三氏、智恵子役・本宮寛子氏、光太郎役・佐藤光政氏。
平成4年(1992) 8月9日
 第1回女川光太郎祭開催。会場は光太郎文学碑前。記念講演は当会顧問であらせられた北川
 太一先生。


その後、

平成23年(2011) 3月11日
 東日本大震災発生。女川光太郎の会事務局長・貝(佐々木)寛氏、津波に呑まれて逝去。
 光太郎文学碑倒壊。
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平成23年(2011) 8月9日
 震災から5ヶ月、会場を女川第一小学校に移し、第20回女川光太郎祭を開催。貝(佐々木)
 寛氏の奥様・英子氏主導。
平成24年(2012)~平成27年(2015)8月9日

 仮設住宅、仮設商店街の集会所で女川光太郎祭開催。
令和2年(2020) 
 倒壊していた光太郎文学碑、再建。
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そして今年、震災から15年が経過しましたが、第35回が開催されることになるわけです。

単に光太郎関連イベントというだけでなく、通常のそれに増して実に様々な人々の思いが受け継がれてきているものです。ぜひ足をお運びいただきたく存じます。よろしくお願い申し上げます。

【高村光太郎書誌】

詩華集 13 『抒情詩 現代自選詩集』

大正14年(1925)3月1日 抒情詩社 内藤鋠策編
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収録作家等
 相川俊孝 赤松月船 生田春月 飯島貞 大木篤夫 大関五郎 大手拓次 恩地孝四郎
 勝承夫 加藤介春 加藤一夫 金子光晴 川路柳虹 河井酔茗 蒲原有明 神戸雄一
 北原白秋 阪中正夫 佐藤惣之助 佐藤春夫 沢ゆき子 島崎藤村 白鳥省吾 陶山篤太郎
 千家元麿 高橋新吉 高群逸枝 高村光太郎 竹内勝太郎 竹友藻風 多田不二 田辺若男
 角田竹夫 富田砕花 中田信子 中西悟堂 中野秀人 中山啓 南江二郎 西川勉
 野口雨情 野口米次郎 野村吉哉 萩原恭二郎 萩原朔太郎 橋爪健 林信一 日夏耿之介
 平野威馬雄 百田宗治 深尾須磨子 福田正夫 本沢浩二郎 正富汪洋 松村又一
 松本淳三 前田鉄之助 三木羅風 宮崎丈二 村井武生 室生犀星 横瀬夜雨 米沢順子
 与謝野晶子 渡邊渡 井上康文 岡村二一 岡本潤 尾崎喜八 内藤鋠策

雑誌『抒情詩』の第14年第3輯ですが、特別号で全体が一冊のアンソロジーとなっています。昔はこういうケースがまま有りました。

光太郎詩は「落葉を浴びて立つ」、それから口絵のページに短章「泥七宝」の一節が光太郎自筆写真版で。
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神奈川から音楽と朗読のコラボ公演、長崎原爆の日に合わせての実施です。

状況をわかりやすくするため、東京多摩地区・神奈川の一部をカバーするフリーペーパー的な『タウンニュース』さんの、さがみはら中央区・緑区版から。

平和願う和編鐘と朗読 8月9日「ながさき平和の日」に相模原駅近く「敦煌」で

 「ながさき平和の日」にあたる8月9日(日)、音楽と朗読を通じて平和への思いを分かち合う催し「愛と平和のつどい〜ながさき平和の日に寄せて〜」が開かれる。会場はJR相模原駅近くの中華料理店「敦煌」(中央区相模原2の13の1の5階)。午後2時開演(1時30分開場)。
 主催は、世界で唯一プロの和編鐘(わへんしょう)奏者として活動する有機音(ゆきね)さん(南区在住)。今年11月に米国で開催するイベント「Love&Peace Again in NY」を控える中で、相模原にも和編鐘の平和の響きを広げたいという思いで企画したという。
 第1部「平和の祈り」では、東日本大震災で被災した小学生の作文や長崎の被爆詩人・福田須磨子さんの詩など、平和へのメッセージが朗読される。担当するのは俳優の一森千世さん。
 第2部「ある愛の物語」では、高村光太郎の詩集「智恵子抄」が、一森さんの情感豊かな語りと、自然と同じ波動を持つとされる和編鐘の神秘的な音色によって披露される。
相模原原爆被災者の会(相友会)の丸山進会長のスピーチや、相模原市議会議員の長谷川くみ子さんによる「相模原市核兵器廃絶平和都市宣言」に関するショートスピーチも予定されている。
 費用は中国茶付きで一人4500円。経費を除いた収益金は相模原原爆被災者の会に寄付される。申し込みは8月6日(木)までにメール(yukine.koubo@gmail.com)またはFAX(042・743・7136)で有機音工房へ。問い合わせは桜井さん【携帯電話】070・5373・7136へ。

公演詳細。

愛と平和の集い~ながさき平和の日によせて~

期 日 : 2026年8月9日(日)
会 場 : 中国名菜 敦煌 神奈川県相模原市中央区相模原2-13-1
時 間 : 14:00~
料 金 : 4,500円(中国茶付)

出 演 : 和編鐘 有機音(ゆきね)  朗読 一森千世

 和編鐘と朗読でお届けする「愛と平和のつどい」をお楽しみください。
 1部は長崎被爆詩人福田須磨子の詩をはじめ、沖縄を歌った「さとうきび畑」など、語り【俳優 一森千世(相模原市会議員)さん】&演奏であの時代を振り返ります。
 2部は「ある愛の物語~智恵子抄より~」――脚本&作曲有機音――を朗読と和編鐘で語り&奏でます。皆さんに、智恵子抄の愛の物語を楽しんでいただきながら、「愛」と「平和」について、大切なことを感じていただけたらと願っています。
 なお経費をひいた収益金は相模原被爆者の会に寄付いたします。また、会の代表にお越しいただきショートトークをお願いしています。
 さらに、開催都市の相模原市が1984年「核兵器廃絶平和都市宣言」をしている事実を知り、その内容を説明していただくトークもあります。
 では、暑い夏の日曜日午後、悲しみを越えて「愛」と「平和」に満たされるひとときをぜひお楽しみください。
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「和編鐘」はお仏壇のお鈴(りん)を逆さまに吊したような形状で、それを3オクターブ分。澄んだ音色と長い残響が特徴的な楽器です。それを操る有機音(ゆきね)さん、これまでも様々な方とのコラボで「智恵子抄」朗読を組み込んだ公演を各地でなさっています。つい先だっての今月4日(土)には、京都の法然院さんで。その際も長崎原爆がらみのプログラムでしたが、今回もそれが踏襲されるようです。

ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【高村光太郎書誌】

詩華集 12 『書簡文作法』文章講習叢書

大正14年(1925)1月5日 松陽堂 水野葉舟講述
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目次
 一 最もよき手紙
  ○手紙は人の生きた表白 ○手紙の文章の巧拙 ○二つの実例
 二 手紙の文体について
  ○手紙の文体の二様 ○候文体の手紙 ○明治になつてからの候文 ○口語体の書簡
  ○この二様の手紙の対比
 三 手紙の文章について
  ○口語体の手紙の形式 ○短い手紙(口上、端書) ○長い手紙
 四 手紙に使ふ言葉
 五 当体の人に対する心の用意
 六 儀式の手紙
  ○儀式用の書簡の例 ○儀式用の書簡の性質 ○現代の日本の場合 ○個人対個人の場合
  ○年賀状について
 七 実用の手紙
  ○実用の手紙とは何ぞや ○商業信書 ○紹介状について
 八 心の手紙
 九 文章体の手紙について
  ○存在の理由 ○その欠点 ○古典的な形式を持つた近代文 ○文章体の手紙の例 ○書
 一〇 手紙に関する具体的要件
  ○文字の正確 ○用紙 ○心づけ、技巧


光太郎の親友だった水野葉舟の手になる、詩華集というより手紙の書き方に特化したハウツー本です。ただ、実例として様々な人物が実際に書いた書簡が引用されており、光太郎のそれも20通ほど。『高村光太郎全集』に既に収められているものもあれば、そうでないものもありました。

また、『全集』で途中までが載っていたものの続きの部分がわかるものもありました。そういう例として、『全集』第21巻所収の書簡2239(明治42年=1909 1月)。留学先のパリから葉舟に宛てた長い書簡で、途中までが『読売新聞』に掲載され、『全集』ではそれを底本にしていました。こちらではその続きの部分が載っており、非常に興味深い内容です。

 所が此の正月になつてから家からの手紙で、或は今年秋頃までに一旦は是非とも帰国せなければならないやうになるだらうと思つてゐる。一つは兵役の関係、一つは経済の関係、一つは母の健康の問題。此の三つが理由だ。僕は三年兵に出るのは厭だ。一年志願兵の期限は来年一ぱいで切れる。来年を越すと満三十二歳になつて国民兵に編入されるまで居らなければならない訳だ。僕にとつては長く居てもどうでも同じだが此頃のあんばいでは経済がさう長くは続き相でない所へ持つて来て、母が此頃前よりは大層弱くなつたと聞いて僕は気が気でない。若し外国に居る中に此のまゝ母に別れる様な事があつては僕は口惜しくて堪らない。色々考へ合はせるとどうしても今年あたり一旦帰国して兵役もすませ、又母にも少しは楽をさせて上げたい。如何に考へても母に対する情を犠牲にしてまで、外国に居るといふ事の価値、価値といふよりは意味が解らぬ。
 今後僕の製作の為めには自然があれば十分である。最早や何物も見るに及ばない。日本に帰つて心静かに製作につきたい。
 若し帰るとなると此の秋の末頃には君にも会はれる訳だ。さぞ御互に吃驚する事だらう。

当初、10年計画で離日した欧米留学を3年半で切り上げ、この年の7月には帰国するのですが、その理由は、従来はっきりとしたことがわかりませんでした。それがここでは「一つは兵役の関係、一つは経済の関係、一つは母の健康の問題」と述べられています。それが全てでもないような気もしますが。

兵役は自分から志願すれば1年。しかし年齢制限等があったようで、それを逸してから徴兵されると3年間だそうで。明治39年(1906)に留学に出た際には、そのあたり、何も考えていなかったようです。ちなみにはっきりしないのですが、光太郎実弟の道利はおそらく1年志願兵を経験したようです。光太郎は結局、帰国した翌月の8月に徴兵検査に臨みますが、父・光雲の意を受けた軍医総監の森鷗外が裏で手を回し、徴兵は免除されました。

「母の健康の問題」がかなり気になっていたというのも、他の資料からはほとんどうかがえないことでした。ただ、母・わかが亡くなるのはかなり後、大正14年(1925)のことでしたが。

千葉県から演奏会情報です。

第14回 若竹の会 声楽コンサート 「わたしたちの歌曲&猪本隆語り歌曲の世界」

期 日 : 2026年8月5日(水)
会 場 : 全日警ホール(市川市八幡市民会館) 千葉県市川市八幡4-2-1
時 間 : 13時30分~
料 金 : 無料?

 第1部 わたしたちの歌曲
  Una donna a qindicianna モーツアルト
  巣を失った雀 作詞 郭沫若/須田禎一訳 作曲 清瀬保二
  あなたはだんだんきれいになる 作詞 高村光太郎 作曲 清水脩
  他
 第2部 猪本隆 語り歌曲の世界
  死んだ少女 ナジム・ヒクメット詩
  きつねがだまされた話 川崎大治詩
  ゆうれい屋敷 川崎大治詩

出演 小倉麻矢・斎藤文江・高士栄子・松本久美子(ソプラノ) 糸川絵美(メゾソプラノ)
   竹沢嘉明・若竹浩(バリトン) 水谷直子・山内亮子(ピアノ)
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フライヤーに料金が書いていないので、無料なのでしょうか。バリトン歌手の竹沢嘉明氏とその門下生の方々による演奏会で、メインは第2部の「猪本隆 語り歌曲の世界」。カワイさんから同題の歌曲集楽譜が出版されており、そこからの抜粋のようです。

第1部のアラカルト的なステージの方で、小倉麻矢氏という方が故・清水脩氏作曲の歌曲集「智恵子抄」から「あなたはだんだんきれいになる」ともう1曲歌われるそうです。それから市川市ゆかりの郭沫若の詩に曲をつけたものも。

竹沢嘉明氏は清水脩氏と繋がりが深かったのかも知れません。昨年、福島市で開催された「欅の会・日本歌曲コンサートー清水脩の世界ー」をプロデュースされ、ご出演もなさっています。

ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【高村光太郎書誌】

詩華集 10 『新文学選 巻一』

大正13年(1924)2月24日 冨山房 冨山房編集部編
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収録作家等
 山村暮鳥 坂本四万太 三宅恒方 相馬御風 川路柳虹 夏目漱石 小川未明 生田春月
 藤井伯民 吉江喬松 下田惟直 佐藤春夫 小山内薫 岡本綺堂 千家元麿 沼波瓊音
 千葉省三 若山牧水 高村光太郎 加納作次郎 広津和郎 田山花袋 与謝野晶子
 志賀直哉 


冨山房は戦前戦後、教科書を広く手がけていました。本書は旧制中学校の副読本という扱いで出版されたものです。光太郎作品は詩「かがやく朝」が収録されています。

福岡から演劇系の公演情報です。

夢宵の晩餐会〜グラスの中の物語 玄海椿×佐藤金之助=ピアノで綴る高村光太郎の世界

期 日 : 2026年7月26日(日)
会 場 : シアターカフェ 愛と青春のふる~れ 福岡市東区箱崎1-33-9 ウインドウビル3F
時 間 : 16:00~
料 金 : 観劇のみ 4,000円 (ワンドリンク&ワンフードオーダー)
      観劇+晩餐会 7,000円 (料理付き飲み放題)

智恵子抄、初の生演奏!それも、天才ピアニストと!新しい智恵子抄が生まれます!

 ・『春らんまん』関洋子・渋谷幸世(16:00〜)
 ・『小さなステージ』牧島富美(16:30〜)
 ・『智恵子抄』玄海椿✖️佐藤金之助(17:30〜)
 ・晩餐会(19:00〜21:00)
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福岡を拠点に活動されている玄海椿さん率いる「芝居屋企画」さんの主宰公演。玄海さんご自身はオリジナルの脚本による一人芝居をたくさんお持ちで、そのラインナップの一つに「智恵子抄」。これまでも複数回演じられていて、当方、平成24年(2012)には福岡まで拝見に伺いました。

今回は劇中の音楽が佐藤金之助氏という方のピアノで。佐藤氏はシャンソン系の方で、ピアノ演奏以外にご自分で歌われることもおありだとのこと。日本シャンソン・カンツォーネ振興協会さんのサイトによれば、当方がさんざんお世話になっている渡辺えりさんとの共演もおありだとか。世間は狭いなと思いました(笑)。

ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【高村光太郎書誌】

選集等(翻訳・部分) 3 『人生の名著19 ゴッホの手紙 V・ゴッホ ノア・ノア P・ゴーガン ロダンの言葉 A・ロダン』

昭和43年(1968)10月30日 大和書房
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目次
 ゴッホの手紙 アルルの黄色い小さな家 V・ゴッホ 飯島耕一訳
 ノア・ノア ――タヒチ紀行―― P・ゴーガン 大島利治訳
 ロダンの言葉 A・ロダン 高村光太郎訳
  ロダン手記
    ヹヌス(ヴィーナス) フランスの自然 ランスの本寺 夜の本寺 花について
   女の肖像
   芸術家の一日
    庭園の朝 古代彫刻の断片 庭園の夕
   断片 若き芸術家達に(遺稿)
  筆録集
   ギユスターヴ・コキヨによる筆録 ジユヂト・クラデルによる筆録
   ポール・グゼルによる筆録
    肉づけ 芸術における神秘 芸術における動勢 断片
   フレデリク・ロートンによる筆録
    古代芸術の教訓(その一) 古代芸術の教訓(その二) 断片
   ロダンの手帳――クラデル編
    昔の仕事場と今日の学校 構造と肉づけ 古代芸術の伝統的法則
 解説 大岡信
 月報 芸術家との決定的な出会い 小海永二

「ロダンの言葉」からの抜粋がこの手の選集ものに組み込まれるケースもありました。

都内から演奏会情報です。

歌曲アンサンブル研究会 第287回 7月例会 〈文月コンサート〉正会員と一般会員による演奏

期 日 : 2026年7月8日(水)
会 場 : 日暮里サニーホール 東京都荒川区東日暮里5丁目50−5
時 間 : 18:30開演
料 金 : 無料

プログラム
 1. R.Schumann / F.Rückert  Widmung 献呈
  F.P.Tosti / R.Pagliara  Rosa 薔薇
  S.Gastaldon / Flick-Flock  Musica proibita 禁じられた音楽
  中瀬康彦 (Ten)  矢部伸子 (Pf)
 2. W.A.Mozart / J.Campe bendempfindung an Laura ラウラに寄せる夕べの想い
  / C.Overbeck  Sehnsucht nach dem Frühling 春への憧れ
  石井敏子 (Sop) 矢部伸子 (Pf)
 3. 山田耕筰 / 北原白秋 からたちの花 鐘が鳴ります この道
  宇佐美知子(Ms) 髙野京子 (Pf)
 4. F.J.Fétis / 不詳 Aria di chiesa 教会のアリア
  中田喜直 / 加藤周一 さくら横ちょう
  田島靜子 (Sop) 高取達也 (Pf)
 5. 朝岡真木子 / 大竹典子 さくら舞台
  朝岡真木子 / 高村光太郎 組曲「智惠子抄」より レモン哀歌
  広川法子 (Sop) 末松茂敏 (Pf)
 6. J.Turina / R.Campoamor ‘Poema en forma de canciones’ 「歌のかたちの詩」より
  Ⅱ. Nunca olvida... 忘れない    Ⅲ. Cantares うた (カンターレ)
  Ⅳ. Los dos miedos 二つの恐怖 Ⅴ. Las locas por amor 至上の愛
  濱田喜代美 (Sop)  髙野京子(Pf)
 7. 別宮貞雄 / 大木惇夫 歌曲集「淡彩抄」より 泡 蛍 別後 燈 春近き日に
  横田 理恵 (Sop)  山本 奈々子 (Pf)
 8. C.Guastavino / F.Silva La rosa y el sauce 薔薇と柳
  G.Fauré / P.Verlaine Clair de lune 月の光
  M.Legrand / E.Marnay Paris-Violon パリ-ヴィオロン
  加藤智子(Ms) 入佐弥生 (Pf)
 9. 助川敏弥 / 金子みすゞ 
  歌曲集「夕顔」より みそはぎ だれがほんとを
  歌曲集「薔薇の町」より 金魚 星とたんぽぽ
  大垣ひで美(Sop) 末松茂敏 (Pf)
 10. G.Fauré / P.Verlaine Mandoline マンドリン
  C.Debussy / P.Verlaine Mandoline マンドリン
  A.Roussel / H.Pierre Amoureux séparés op.12-2 離れ離れ
  / R.Chalupt Sarabande op.20-2 サラバンド
  神谷明美 (Sop)  南日美奈子 (Pf)
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「歌曲アンサンブル研究会」さんの主催。ただ、本式の演奏会というわけではなく、毎月行われている「例会」の一環です。「例会」は会員対象の公開講座、そこでレッスンを受けた歌い手さんなどによる試演会、定期公演などバリエーションに富んでいて、今回は試演会に近い形なのかな、という感じです。したがって入場無料です。といってもプロまたはそれに準ずる皆さんの演奏ですのでそれ相応のレベルのものでしょう。

6月18日(木)に川崎で行われた6月例会が公開講座で、講師は作曲家の朝岡真木子氏。3組の歌い手さんとピアニストの方が朝岡氏作曲の独唱歌曲を朝岡氏ご本人のご指導の下、公開レッスンをうけるという形でした。

その際に組曲「智惠子抄」中の「レモン哀歌」でレッスンを受けられたソプラノの広川法子氏、ピアノの 末松茂敏氏が同曲を演奏なさいます。そうなのかなと思っていたのですが、やはりコンサートで演奏されるという前提で講座の選曲もなさったのかと腑に落ちました。

ちなみに会場の日暮里サニーホールさんからJR線を渡って北西方向に徒歩10分ほどで、光太郎の母校・荒川区立第一日暮里小学校さんがあります。
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裏門的な「さくら門」前に光太郎自筆の書から文字を採った「正直親切」の碑があります。
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昭和26年(1951)、蟄居生活を送っていた花巻郊外太田村の山小屋近くにあった太田小学校山口分教場が山口小学校に昇格した際、校訓として贈った言葉ですが、第一日暮里小さんでは、昭和60年(1985)、創立百周年記念に、この言葉を刻んだ碑を建立しました。以来、同校では「正直親切」を校訓とし、学校だよりの題名などにも使って下さっていますし、光太郎に関わる学習等もなさっています。

さらにそのすぐ近くには、明治末から大正はじめにかけ、智恵子が通っていた太平洋画会の後身・太平洋美術会研究所さん(智恵子が通っていたころとは場所が変わっていますが)。こちらでは通りに面したウインドウに智恵子筆のデッサンが。
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ついでにというと何ですが、ぜひお立ち寄り下さい。

【高村光太郎書誌】

選集等(部分) 10 『現代詩歌集』日本文学全集29

昭和41年(1966)5月3日 河出書房新社 村野四郎編 
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目次

 詩
  思ひ出<北原白秋> 道程<高村光太郎> 月に吠える<萩原朔太郎>
  現代詩集
   薄田泣菫 蒲原有明 河合酔茗 三木露風 川路柳虹 千家元麿 山村暮鳥 堀口大学
   西条八十
 佐藤春夫 室生犀星 宮沢賢治 金子光晴 西脇順三郎 三好達治
   中原中也 丸山薫 伊東静雄 立原道造 田中冬二 草野心平 村野四郎 北川冬彦
   中野重治 高橋新吉
 短歌
  みだれ髪<与謝野晶子> 一握の砂<石川啄木> 赤光<斎藤茂吉>
  現代歌集
   長塚節 窪田空穂 北原白秋 若山牧水 吉井勇 島木赤彦 中村憲吉 古泉千樫
   土屋文明 釈迢空 会津八一 佐藤佐太郎 木俣修 宮柊二
 俳句
  虚子句集<高浜虚子>
  現代句集
   正岡子規 河東碧梧桐 荻原井泉水 飯田蛇骨 尾崎放哉 水原秋桜子 山口誓子
   日野草城 中村草田男 加藤楸邨 石田波郷 川端茅舎 西東三鬼 久保田万太郎
 注釈 村野四郎
 解説(付年譜) 村野四郎

小説系がメインの文学全集もので、このように詩歌を一冊にまとめることが時々ありました。まるでおまけのような扱いでしたが(笑)。

京都から演奏会情報です。

和編鐘コンサートin法然院 愛と平和の祈り~いのちの響きに耳をすまして~

期 日 : 2026年7月4日(土)
会 場 : 法然院 京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町30番地
時 間 : 17時〜19時
料 金 : 前売 4,000円 当日4,500円

自然と同じ「揺らぎ」と「波動」を持つ和編鐘の調べの中で、東日本大震災の原発事故で避難した小学生の作文・長崎の被爆詩人の詩などと共に、あらゆる命が触れ合い、混ざり合い溶け合い、響き合う世界をお届けします。

 第1部 平和の祈り
  長崎被爆詩人福田須磨子の詩朗読
  東日本大震災原発事故避難者の小学生作文朗読
  法話「愛は地球を救わない」 法然院貫主 梶田真章
  和編鐘「火の祈り」など
 第2部 智恵子抄より「ある愛の物語」
  脚本、作曲 有機音
  朗読 佐野真希子 和編鐘 ゆきね(有機音)
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「和編鐘」は、寺院や家庭のお仏壇などで使われる「お鈴(りん)」3オクターヴ分を逆さまに吊したような打楽器で、演奏なさる有機音(ゆきね)氏のオリジナルだそうです。西洋のカリヨンやチューブラーベルに近いといえば近いような。
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これまで、今回もプログラムに入っている「智恵子抄より ある愛の物語」が演目に入っていた演奏会を都内の代々木能舞台さん、矢来能楽堂さんさんで2回拝聴し、それプラス兵庫県の神戸聖愛教会さんで開催された演奏会では賛助出演させていただき、光太郎智恵子や「智恵子抄」についてべしゃくる機会を賜りました。

久々に「智恵子抄より ある愛の物語」で、京都の法然院さんを会場に。ご住職の法話や東日本大震災・長崎原爆に関する朗読が盛り込まれているそうです。ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

また、8月9日(日)には神奈川県相模原市で、今回と同じく「智恵子抄より ある愛の物語」、それからやはり長崎原爆がらみの演奏会も予定されています。そちらはまた近くなりましたらご紹介いたします。

【高村光太郎書誌】

選集等(部分) 6 『高村光太郎 山村暮鳥 日夏耿之介 堀口大学 千家元麿』現代日本名詩集大成3

昭和36 年(1961)1月20日 創元社 著者代表 日夏耿之介
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目次
 高村光太郎
  詩集 道程
   一九一〇年
    失はれたるモナ・リザ 生けるもの 根付の国
   一九一一年
    画室の夜 熊の毛皮 人形町 甘栗 庭の小鳥 亡命者 鳩 食後の酒 寂寥 声
    風 新緑の毒素 頽廃者より 「河内屋与兵衛」 髪を洗ふ女 「心中宵庚申」 夏
    なまけもの 手 金秤 はかなごと めくり暦 地上のモナ・リザ 葛根湯 夜半
    けもの あつき日 父の顔 泥七宝 ビフテキの皿
   一九一二年
    青い葉が出ても 赤鬚さん あをい雨 友の妻 「――に」 夏の夜の食慾
    或る夜のこころ おそれ 犬吠の太郎 さびしきみち カフエにて 梟の族
    冬が来る カフエにて 或る宵 夜 狂者の詩 郊外の人に 冬の朝のめざめ
    カフエにて 師走十日 戦闘
   一九一三年
    人に カフエにて 深夜の雪 人類の泉 山 よろこびを告ぐ 現実 冬が来た
    冬の詩 牛 僕等
   一九一四年
    道程 愛の嘆美 群集に 婚姻の栄誦 万物と共に踊る 瀕死の人に与ふ 晩餐
    五月の土壌 淫心 秋の祈
  詩集 典型
   序 雪白く積めり
   暗愚小伝
    家
     土下座 ちよんまげ 郡司大尉 日清戦争 御前彫刻 建艦費 楠公銅像
    転調
     彫刻一途 パリ
    親不孝
     親不孝 デカダン
    蟄居
     美に生きる おそろしい空虚
    二律背反
     協力会議 真珠湾の日 ロマン ロラン 暗愚 終戦
    炉辺
     報告 山林
   「ブランデンブルグ」 脱卻の歌 人体飢餓 東洋的新次元 おれの詩 悪婦
   山荒れる 月にぬれた手 鈍牛の言葉 典型
   田園小詩
    山菜ミヅ 山のひろば 山口部落 かくしねんぶつ クロツグミ クチバミ
    別天地 岩手の人 山からの贈物 この年
  覚え書(宮崎稔) 
 山村暮鳥
  詩集 聖三稜玻璃   詩集 雲   (詳細略)
 日夏耿之介
  詩集 転身の頌    (詳細略)
 堀口大学
  詩集 砂の枕       (詳細略)
 千家元麿
  詩集 自分は見た   (詳細略)
 解説 鮎川信夫 

昨日ご紹介した『全詩集大成 現代日本詩人全集 第二巻』もそうでしたが、この時期、創元社さんは文学全集的なものにかなり力を入れていたようです。

都内から映画の上映情報です。既に始まっています。

羽田澄子 生誕百年記念 福祉、芸術、ジェンダーを通して日本を描く

期 日 : 2026年6月13日(土)~6月26日(金)
会 場 : シネマヴェーラ渋谷 渋谷区円山町1-5 KINOHAUS(キノハウス) 4F
時 間 : 11:00~
料 金 : 1本立て入替制 一般 1300円 シニア 1100円 学生 700円 中学生以下 600円

岩波映画からキャリアを始め、幅広い作品を作り続けた女性ドキュメンタリー作家のパイオニア羽田澄子監督の全貌に迫ります。

上映作品
 早池峰の賦
 痴呆性老人の世界
 女たちの証言 -「労働運動のなかの先駆的女性たち」-
 元始、女性は太陽であった・平塚らいてうの生涯
 山中常盤
 嗚呼 満蒙開拓団
 角屋七郎兵衛の物語-ベトナムの日本人町-
 薄墨の桜
 古代の美
 住民が選択した町の福祉
 ―続 住民が選択した町の福祉―問題はこれからです
 あの鷹巣町のその後
 あの鷹巣町のその後 続編

羽田澄子(1926-)
1926年、大連生まれ。自由学園卒。「岩波写真文庫」の編集から映画製作に転身し、『教室の子供たち』(羽仁進)などの助監督を経て、1957年『村の婦人学級』で監督デビュー。岩波映画で多くの作品を手がけた後、1977年に夫でプロデューサーである工藤充と初の自主映画『薄墨の桜』を完成、記録映画作家として新たな道を切り拓く。自由工房を拠点に、『早池峰の賦』(1982、芸術選奨文部大臣賞)や、『痴呆性老人の世界』(1986)、『歌舞伎役者 片岡仁左衛門』(1992-94)、『-元始、女性は太陽であった-平塚らいてうの生涯』(2001)、秋田県鷹巣町シリーズ(1997-2006)など話題作を次々に発表した。女性ドキュメンタリー監督のパイオニアである。
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日本女子大学校で智恵子の一級上の先輩だった平塚らいてうの一生を追ったドキュメンタリー映画「元始、女性は太陽であった 平塚らいてうの生涯」(平成13年=2001 140分)がラインナップに入っていました。6月13日(土)のオープニングの作品がそちらで、7回の上映。昨日も上映され、あとは6月25日(木)の1回のみとなってしまいました。もう少し早く気がつけば良かったのですが。

元始、女性は太陽であった 平塚らいてうの生涯

日本の女性運動の先駆けであり、女性による文芸誌「青鞜」の「元始、女性は太陽であった」という宣言で知られる平塚らいてう。「その名を聞くとすべての女性の心に灯りがともる」と羽田監督は言う。生前の映像がほとんどない中、らいてうの生涯を資料や証言によって追う。文学的というしかない心中未遂事件、「青鞜」発刊、政治参加運動、反戦運動、母性保護と、自分の人生と共に思想も広がっていく。思想は私生活に及び、結婚制度に反対して入籍せず、子供も私生児として自分の戸籍に入れた。また、経済的にも家計を支えた。とにかくユニークで魅力的で頑固ならいてうの人間的魅力に溢れた作品!

時折、上映が行われています。把握できている限りでは、京橋の国立映画アーカイブさんで平成28年(2016)と令和4年(2022)に。おそらく他にも為されていたのではないかと思われます。

当方、DVDで拝見しました。
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明治44年(1911)、らいてうが主宰し、智恵子が創刊号表紙絵を描いた雑誌『青鞜』についても詳しく言及されており、智恵子にも触れられます。
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創刊号に、「山の動く日来る」で有名な詩「そぞろごと」を寄せた与謝野晶子についても。
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その他、故・瀬戸内寂聴氏や故・青木生子氏などもご出演。

ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【高村光太郎書誌】

選集等(部分) 2 『現代詩集 第一巻 高村光太郎 草野心平 中原中也 蔵原伸二郎 神保光太郎』

昭和14年(1939)12月15日 河出書房 神保光太郎著作者代表
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目次
 猛獣篇其他 高村光太郎
  触知 老耼、道を行く 桃の実 地理の書 寸言 つゆの夜ふけに
  銅像ミキイヰツツに寄す レオン ドウベル 南極 うつたうしきもの
  芋銭先生景慕の詩 人生遠視 晴天に酔ふ 偶成二首 エピグラム
  猛獣篇より
   雷獣 冷熱 マント狒狒 象 森のゴリラ 潮を吹く鯨 北冥の魚
 猛烈な天 草野心平(略)
 帰郷 中原中也(略)
 四月雹ふる 蔵原伸二郎(略)
 雪崩 神保光太郎(略)

 月報
  現代詩の性格 白木茂
  編集後記

 内容見本
  刊行の辞
  執筆者紹介
   猛獣篇其他 高村光太郎 猛烈な天 草野心平 帰郷 中原中也 四月雹ふる 蔵原伸二郎
   雪崩 神保光太郎 祈祷歌 丸山薫 暁と夕の詩 立原道造 古風なガス燈の町 田中冬二
   反響 伊東静雄 春と修羅 宮澤賢治 晩秋 萩原朔太郎 河 北川冬彦 竹葉集 高橋新吉
   紋 金子光晴 相模野抄 三好達治
  詩集のことなど
  諸家推薦の辞
   「現代詩集」を推す 斎藤茂吉 「現代詩集」を薦む 茅野蕭々
   「現代詩集」に寄す 横光利一 嘱望 豊島与志雄 醇乎たる詩精神 谷川徹三
   新しいパルナツスの華 中島健蔵
  組方見本

光太郎自身が作品の選択と校訂も行っています。

智恵子が亡くなった翌年の刊行で、そろそろ本腰を入れて翼賛詩文の執筆を始めた時期となり、こちらでの作品選択等にもきな臭さが漂っています。帝国海軍の潜水艦をモチーフとした詩「北冥の魚」、初出掲載誌の『鵲』第30号(昭和14年=1939)や、手元に残した草稿にそういう指定が無いのに、連作詩「猛獣篇」に組み込むという操作が行われています。ついに潜水艦までが「猛獣」になってしまったか、という感じです。

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昨日は神奈川県川崎市に行っておりました。JR川崎駅前のミューザ川崎さんで開催された「歌曲アンサンブル研究会 第286回 6月例会」拝聴のためでした。
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プロまたはそれに準ずるクラシック系歌手の皆さんなどの団体で、毎月の「例会」では公開講座や「試演会」と銘打たれたコンサートなども行われています。公開講座はおそらく中堅からベテランと思われる歌手の方や、作曲家の皆さんなどが講師を務められ、会員の方から希望者が公開でレッスンを受けるという形式のようです。

昨日の講師は作曲家の朝岡真木子氏。三人の歌手の方とそれぞれのピアノ伴奏の方が、朝岡氏作曲の歌曲をテキストになさいました。
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会場はよくある音楽練習室的なちょっと広めの部屋。場合によっては小ホール的な使い方もできるのかな、と思われました。ただ、ステージはありません。そこでグランドピアノを囲んで並べられた椅子に聴講者が座って聴くという形です。もう足を洗いましたが(笑)、学生時代、それから社会人になってからもわりと本格的に合唱をやっていた当方としては「この配置、懐かしいなぁ」という感じでした。

講師の朝岡氏は聴講者と向かい合う形で座られ、だいたい40分くらいずつ、3組の皆さんに対する公開レッスン。レッスンを受ける歌手の方々は、通常時のそれとは異なり聴講者に向かって歌う形ですので、その意味での緊張感もあったと思います(当方は絶対やりたくありません(笑))。

取り上げられた朝岡氏作品は、与謝野晶子作詩「君死にたもうことなかれ」、川瀬巴水の新版画からインスパイアされた林望氏作詞の 歌曲集「夕暮れ巴水」から短い2曲、そして組曲「智惠子抄」から「レモン哀歌」。
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「3組の皆さん」と書きましたが、朝岡氏、ピアノ伴奏の方に対しても「ここはもっと、こう」的なアドヴァイスを頻繁に入れられ、ピアノは添え物ではないというところをがっつりと。最初から最後までご自身の曲だけを扱われる「朝岡真木子歌曲コンサート」では全曲おん自らピアノを弾かれる朝岡氏ならではだなと思いました。

もちろん歌手の方に対しても、要所要所でいろいろと助言やら提案やら。多く発せられたのが「楽譜にはそこまで書いていませんが……」という一言がついたそれ。確かに楽譜はあくまで最小限の記号としてしか書いてありませんので、細かなニュアンスやら作曲家の意図やらは演奏者が汲み取って表現しなければなりません。音符や休符や「p」「ff」「クレッシェンド」などは言ってしまえば機械的なプログラミング言語のようなものにすぎませんし、たとえ欄外に「sostenuto」とか「meno mosso」とか書かれていても、作曲者の意図が完璧に表現し切れているわけではないのでしょう。実際、途中で演奏を止めて入れられる朝岡氏の一言一言が、「なるほど」の連続でした。

そして作曲者の意図を汲み取るプラス、歌い手さんなりピアニストさんなりのそれぞれの表現者が自分で「ここはこうしたい」みたいなことを盛り込んで行くべきで(朝岡氏、そういうことをどんどんやってください、というスタンスでした)、それが全く無かったらそれこそボーカロイド的な無味乾燥の演奏になってしまうでしょう(一概にボーカロイド的なものを否定するわけではありませんが)。自分で合唱をやっていた頃の楽譜など真っ黒になるくらい書き込みしたっけな、などと思いながら拝聴していました。

組曲「智惠子抄」が収められた『朝岡真木子歌曲集2』(「君死にたもうことなかれ」も入っています)。全音さんから令和4年(2022)に刊行されました。そして今月、第3版が出ました。昨日はこれを片手に拝聴いたしました。ただ奥付は6月25日で、まだ正式には流通していないらしく、全音さんのサイトでは今日現在で「在庫切れ」となっていますが。
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巻末の「詩と付記」の項で、朝岡氏に請われ、詩集『智恵子抄』および作曲された「人に」「あどけない話」「千鳥と遊ぶ智恵子」「値(あ)ひがたき智恵子」「レモン哀歌」の解説を執筆いたしました。初版と第2版にはそれが無く、そういうページが欲しいというわけで。

「おやすい御用です」と、バーッと書いて送ったところ、過分な執筆料を頂いてしまいました。「過分」というより「法外な」ともいうべき金額でした(笑)。普段、通常の出版社相手ですと「掲載誌何冊か現物支給のみ」程度のことも珍しくありませんので(笑)、嬉しいやら申し訳ないやら……。まぁ、全音さんというより朝岡氏のポケットマネーだったようですが。

正式に発売になったらぜひお買い求め下さい。

ちなみに昨日は、一度、花巻にお連れした宮沢賢治作詞の曲なども歌われている黒川京子氏、3月の「朝岡真木子歌曲コンサート第9回」で組曲「智惠子抄」から「人に」と「あどけない話」を歌われた前澤悦子氏もいらしていました。前澤氏、組曲「智惠子抄」をまた歌いたいとおっしゃっていたそうですし、昨日の講座で「レモン哀歌」を取り上げて下さった広川法子氏、ピアノの末松茂敏氏も、今度は演奏会でもラインナップに入れていただきたいところです。さらに朝岡氏には他の光太郎詩をテキストとした新作も期待したいと思っております。

というわけで、以上、レポートを終わります。

【高村光太郎書誌】

選集等(単独) 47 『高村光太郎詩集 道程』豊かなことば 現代日本の詩①

平成21年(2009)11月10日 岩崎書店 高村光太郎著 伊藤英治編
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目次
 一 詩人
  根付の国 刃物を研ぐ人 あたり前 道程 ぼろぼろな駝鳥 父の顔 母をおもふ
  その年私の十六が来た パリ 友よ 最低にして最高の道 さびしきみち 詩人
 二 風にのる智恵子
  風にのる智恵子 あどけない話 鯰 千鳥と遊ぶ智恵子 値ひがたき智恵子 レモン哀歌
  荒涼たる帰宅 おそろしい空虚 報告(智恵子に) 美に生きる
 三 樹下の二人
  十和田湖畔の裸像に与ふ 冬が来た 冬の言葉 秋の祈 上州川古「さくさん」風景
  雪白く積めり 山 樹下の二人 犬吠の太郎
 四 山のともだち
  クロツグミ 山からの贈物 山口部落 冬の子供 少年に与ふ 山のともだち
  女医になつた少女 山の少女 別天地
 高村光太郎略年譜

児童書の出版を中心に手がける岩崎書店さんの「豊かなことば 現代日本の詩」シリーズの1冊。まだ新刊で取り寄せができるようです。

大阪から演奏会情報です。

檜会箏曲演奏会

期  日 : 2026年6月28日(日)
会  場 : 大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)
       大阪市中央区大手前1丁目3番49号
時  間 : 開場 13:00 開演 13:30
料  金 : 一般 3,000円 学生 1,000円

出  演 : 檜会会員 関西大学邦楽部
賛助出演 : 吉田興三郎 髙橋萌山 音登夢 mocoe 久米見奈子 コーロひびき
       飯田美琴 林律子

曲  目 : 都踊 宮城道雄作曲    新娘道成寺 石川勾当作曲
       手事 宮城道雄作曲    御山獅子 菊岡検校作曲
       北国雪賦 長岡勝俊作曲  瀬音 宮城道雄作曲
       智恵子抄より(朗読 箏と洋楽器による伴奏) 清水脩作曲
       残月 峰崎勾当作曲    秋韻 宮城道雄作曲

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故・清水脩氏作曲の「智恵子抄より」がプログラムに入っています。昭和33年(1958)、NHKさんのラジオ放送のための委嘱作品で、全6曲、箏曲独奏と室内楽をバックに朗読という異色の編成です。

昭和45年(1970)12月に東芝レコードからリリースされたLP「現代箏曲 清水脩作品集」に収められています。
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箏曲独奏は松尾恵子氏、朗読は竹脇無我さんと栗原小巻さん。清水氏自身が指揮をなさり、曲ごとに異なる編成での室内楽が伴奏でした。

同一音源を使ったCDが「松尾恵子 現代箏曲清水脩作品集」として東芝EMIから平成3年(1991)にリリースされています。
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清水脩氏といえば、独唱歌曲や合唱曲で「智恵子抄」詩篇に曲を付けた作品が多く、そちらは現代でもたびたび演奏されていますが、この箏曲と朗読の「智恵子抄より」はめったに演奏されることがありません。今回演奏される「檜会」さんが、松尾氏の興した「松風会」さんの流れを組むようですので、その関係から楽譜等が受け継がれているのでしょう。楽譜は公刊されていないようです。今回もきちんと室内楽伴奏が付けられるようで、オリジナルの形に近いと思われます。

ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【高村光太郎書誌】

選集等(単独) 42 『高村光太郎 暗愚小伝/青春の日/山の人々』作家の自伝 9

平成6年(1994)10月25日 日本図書センター 北川太一編解説
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目次
 序(自叙伝)
 Ⅰ
  詩「暗愚小伝」〔二十篇〕
 Ⅱ
  木彫師の家
   回想録 姉のことなど
  青銅時代
   わたしの青銅時代
  遍歴の日
   遙にも遠い冬 青春の日 遍歴の日
  根付の国にて
   父との関係 ヒウザン会とパンの会 『道程』について
  同棲同類
   近状 ロダンの手記談話録 詩の勉強 某月某日 智恵子の半生
  戦乱の中で
   某月某日 戦時下の芸術家 焼失作品おぼえ書
  山林に生きる
   詩集『典型』序 みちのく便り 山の人々 山の春 山の雪 詩について語らず
  生命の大河
   美と真実の生活 制作現況 裸婦像完成記念会挨拶 生命の創造
 引用作品初出一覧
 年譜 北川太一
 解説 北川太一

散文を中心とした作品選択です。「作家の自伝」シリーズのラインナップで、自伝的要素をもつ文章も含まれていますが、そうでないものも多く、その時々の光太郎の精神史、といった感じです。

昭和39年(1964)、故・二代目コロムビアローズさんが唄ってヒットした「智恵子抄」(丘灯至夫作詞/戸塚三博作曲)のアーカイブ映像が流れます。

プレイバック日本歌手協会歌謡祭

BSテレ東 2026年6月15日(月)  17:56〜19:00

「二人の星をさがそうよ」田辺靖雄     「ウェディング・ドレス」九重佑三子
「ごめんねチコちゃん」三田明       「智恵子抄」二代目コロムビアローズ
「東京の灯よいつまでも」新川二朗     「桑港のチャイナ街」渡辺はま子
「長崎の鐘」藤山一郎           「別れのブルース」淡谷のり子
「イヨマンテの夜」伊藤久男        「温泉芸者」五月みどり
「お座敷小唄」松平直樹          「浮世街道」畠山みどり
「幸せなら手をたたこう」ボニージャックス 「ラ・ノビア」ペギー葉山
「恋をするなら」橋幸夫          「愛と死をみつめて」青山和子

<司会>合田道人

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これまで何度も類似の番組でローズさんの「智恵子抄」がラインナップに入り、6月3日(水)に同じBSテレ東さんで放映された「日本歌手協会歌謡祭プレミアム」でも流されましたが、その際は見落としていました。

作詞の故・丘灯至夫氏は智恵子の故郷・福島二本松に近い田村郡小野新町(おのにいまち 現・小野町)の出身で、本名は西山安吉。郡山市立郡山商工学校(現・福島県立郡山商業高等学校)商業科を卒業後、西條八十に師事し、詩誌『蝋人形』郡山支部主宰となり、同誌に多くの詩を発表しました。生活のためもあって日本放送協会、のち毎日新聞社に勤務。太平洋戦争召集を経て、戦後は『毎日グラフ』記者として活躍しました。

昭和24年(1949)、たまたま手がけることとなった「母燈台」(三益愛子主演映画の主題歌 霧島昇歌唱)の作詞をきっかけに、毎日新聞社に籍を置いたまま日本コロムビアの専属作詞家となり、以後、故郷・福島を謳った「高原列車は行く」(昭和29年=1954 古関裕而作曲 岡本敦郎歌唱)、舟木一夫のデビュー曲「高校三年生」(昭和38年=1963 遠藤実作曲)などのヒット曲を世に送り出した他、テレビアニメ「ハクション大魔王」(昭和44年=1969 市川昭介作曲)、「昆虫物語みなしごハッチ(昭和45年=1970 越部信義作曲)の主題歌なども手がけました。
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その丘灯至夫氏の「「智恵子抄」と私」。

 私が歌謡として書いた「智恵子抄」が、戸塚三博氏の気品ある、曲を得、そしてコロムビア・ローズさんの心をこめた歌いぶりで、ひろくヒットしたことは本当にうれしい。もともとこういう地味な歌は、なかなか大衆にとけこまないレコード界のことだけに、私としても予想外のことであった。この歌は、ご存じのように、高村光太郎の詩集「智恵子抄」を、歌詞化したものだが、純粋な詩を、歌謡化することは、一歩あやまると原詩を汚すおそれがある。しかし私としては郷里が、亡き智恵子さんとおなじ、福島県であり、詩集「智恵子抄」がはじめて世に出た昭和初期から、私の心を魅了しつづけていただけに、私がレコード界に籍をおくようになってから、この歌謡化は、ひとつの大きな念願だった。難かしい仕事ではあったけれど、たまたま病後、静養のため、しばらく福島県、会津のひなびた温泉に滞在中、澄み切った青空の下、安達太良山を背景に、高原のからまつ林の道をゆく、浴衣姿の乙女のうしろ姿を見て、
   東京の空 灰色の空
   ほんとの空が見たいという
 というはじめの二行が、溢れ出たのである。
 この歌は、先にのべた詩集「智恵子抄」の中の「あどけない話」からヒントを得たもので一番の歌詩は、もちろん「あどけない話」がテーマになっているけれど、二番と三番の歌詩は、私のフィクションである。智恵子さんが精神に異常を起こしたのは中年になってからのことで、そのまま歌にしては、いかにも若さを失ってしまう。だから、私の「智恵子抄」は、智恵子さんを、乙女の姿として描いてみたものである。さきごろ、この歌のヒットが縁で、二本松市に招かれ、若いころの智恵子さんの写真や、手紙などを見せていただいたが、私が私なりに感じ、まとめあげたイメージが、そんなに違っていなかったことで安堵した。この歌をローズさんは、今後も折あるごとに歌いつづけるという。私にとっては思い出深い歌のひとつになるであろうし、地下の高村光太郎、智恵子夫妻も、あたたかなやさしい気持で、この歌を聞いて下さっていることと思う。
(ソノシートブック『智恵子のふるさとを訪ねて◆コロムビア・ローズ愛唱歌集◆』日本コロムビア 昭和39年=1964)
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今年4月、新宿で行われた朗読劇「ほんとの空・青い空」公演で、W主演のお一人だった演歌歌手の津吹みゆさんという方が、同公演のカーテンコールで「智恵子抄」を唄われていたそうですし、その後も各地のショッピングモール等での新曲キャンペーン中で「智恵子抄」も唄って下さっています。ありがたし。
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津吹さんも福島ご出身だそうで。

「智恵子抄」、今後とも歌い継がれていってほしいものです。

【高村光太郎書誌】

選集等(単独) 40 『レモン哀歌 高村光太郎詩集』

平成3年(1991)1月25日 集英社(集英社文庫) 高村光太郎著
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目次
 ぼろぼろな駝鳥
  失はれたるモナ・リザ 根付の国 寂寥 声 新緑の毒素 父の顔 犬吠の太郎
  さびしきみち 冬が来る 山 冬が来た 牛 道程 秋の祈 わが家 小娘
  丸善工場の女工達 雨にうたるるカテドラル ラコツチイ マアチ 米久の晩餐
  落葉を浴びて立つ 鉄を愛す 月曜日のスケルツオ 白熊 車中のロダン 後庭のロダン
  苛察 火星が出てゐる 冬の言葉 ぼろぼろな駝鳥 当然事 その詩 首の座
  激動するもの 孤独が何で珍らしい 刃物を研ぐ人 もう一つの自転するもの 鯉を彫る
  へんな貧 蝉を彫る
 レモン哀歌
  人に(いやなんです) 郊外の人に 冬の朝のめざめ 人に(遊びぢやない) 深夜の雪
  人類の泉 僕等 樹下の二人 金 鯰 夜の二人 あなたはだんだんきれいになる
  あどけない話 同棲同類 美の監禁に手渡す者 人生遠視 風にのる智恵子
  千鳥と遊ぶ智恵子 値ひがたき智恵子 山麓の二人 レモン哀歌 亡き人に 梅酒
  荒涼たる帰宅 若しも智恵子が 元素智恵子 メトロポオル 裸形
 暗愚小伝
  家
   土下座 ちよんまげ 御前彫刻 楠公銅像
  転調
   彫刻一途 パリ
  反逆
   親不孝 デカダン
  蟄居
   美に生きる
  二律背反
   協力会議 真珠湾の日 ロマン ロラン 暗愚 終戦
  炉辺
   報告(智恵子に) 山林
  わが詩を読みて人死に就けり
 語注
 解説 粟津則雄
 鑑賞 残間里江子
 年譜 小田切進

手持ちのものは平成4年(1992)の第4刷です。1年で4刷、なかなか売れ行きが好調だったようで、林静一氏のカバーイラストも貢献度大だったのではないかと思われます。

ちょっと前まで新刊書店で見かけていたような気がするのですが、残念ながら現在は絶版のようです。

神奈川県からクラシック歌曲の公開講座情報です。

歌曲アンサンブル研究会 第286回 6月例会

期 日 : 2026年6月18日(木)
会 場 : ミューザ川崎 音楽工房 市民交流室 神奈川県川崎市幸区大宮町1310
時 間 : 18:30~20:30
料 金 : 会員は無料 非会員1500円(聴講のみ) 学生500円

この研究会は、1997年二期会ドイツ歌曲研究会のシステムの変更に伴い、そこに在籍していたピアニストを中心に「歌曲伴奏研究会」として結成されましたが、21世紀を迎えるにあたり、アンサンブルの重要性を再認識すべく「歌曲アンサンブル研究会」と改称し、現在に至ります。約100名のピアニスト、声楽家、作曲家と一般会員により、歌曲を中心に「例会・公開レッスン講座」、「試演会」「定期コンサート」の活動を行い、「研究会便り」を発行しています。

例会では、これまでに会の趣旨に賛同された各分野の第一線で活躍される多くの方々を、講師に招いています。海外からもウィーン国立歌劇場の専属歌手として活躍されたオリヴェラ・ミリャコヴィチ女史をはじめとして、元シュトゥットガルト国立音楽大学教授のブルース・アーベル氏他、経験豊かな講師陣をお迎えしています。

例会ではそれぞれの分野で活躍していらっしゃる方々を講師に招き、 和やかな中にも毎回充実した成果をあげております。
※原則として、受講(演奏)できるのは、会員のみとなっております。
※非会員の方も聴講可能です。

プログラム
 1. 君死にたもうことなかれ  与謝野晶子 詩 朝岡真木子 曲
   西澤しのぶ(Sop)  入佐弥生(Pf)
 2. 歌曲集「夕暮れ巴水」より 幸福の形/ゆきみち  林望 詩 朝岡真木子 曲
   本宮廉子(Sop)  南日美奈子(Pf)
 3. 組曲「智惠子抄」より レモン哀歌  高村光太郎 詩 朝岡真木子 曲
   広川法子(Sop)  末松茂敏(Pf)

講 師:朝岡真木子氏(作曲家・ピアニスト)

東京藝術大学音楽学部作曲科卒業。2011年「音のポケット」により日本童謡賞を受賞。全音楽譜出版社より『朝岡真木子歌曲集』、『朝岡真木子歌曲集2』、組曲「あなたへ」(『二期会日本歌曲研究会作品集2』)、女声合唱曲集『花のなみだ』、女声合唱とピアノのための組曲『妖精模様』『まほろばの大和し美し』、カワイ出版より歌曲集『夕暮れ巴水』等が出版されている。CD(全作品の作曲及びピアノ演奏)として、『きっと 春は くる』〜木内弘子 朝岡真木子を歌う〜、『音のパレットⅤ』〜大澤一彰が歌う朝岡真木子の世界、組曲『智惠子抄』〜清水邦子が歌う、『子猫のミオとぼく』〜佐藤征一郎 バスバリトン 朝岡真木子の歌曲を歌う、等々がある。
楽譜・コンサート情報はangelongakuasaoka.blogspot.comに掲載しております。
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どういう形式なのか今ひとつわからないのですが、「受講(演奏)できるのは、会員のみ」とあるので、レッスンを公開するという感じなのではないかと思われます。過去の例を見てみますと、作曲家の方が講師を務められ自作の曲を課題として取り上げる場合もあれば、歌手の方(中堅からベテラン?)が講師となって他の歌手の方(おそらく若手なのでしょう)に指導なさるというパターン、それから「試演会」と銘打ち、コンサート形式に近い形でということもあるようです。

プロ、もしくはそれに近い歌曲アンサンブル研究会員の方々はもちろん、一般ピープルも聴講できるということです。

今回は連翹忌の集いにもいらして下さったことがおありの作曲家・朝岡真木子氏が講師。令和元年(2019)に初演され、令和4年(2022)には楽譜集『朝岡真木子歌曲集2』に収録、令和5年(2023)にメゾソプラノの清水邦子氏の歌唱でCD(ライナーノートを書かせていただきました)もリリースされた組曲『智恵子抄』から「レモン哀歌」が取り上げられます。

他に2曲、光太郎の姉貴分・与謝野晶子の詩「君死にたまふことなかれ」(明治37年=1904)に曲を付けたものと、光太郎と同年生まれの川瀬巴水の新版画からインスパイアされた林望氏作詞のものも。

以前にも書きましたが、楽譜集『朝岡真木子歌曲集2』、現在2刷が流通しているところ、近々3刷めとして重版の予定だとのことで、これまでの版に無かった詩集『智恵子抄』、歌曲集「智恵子抄」収録の詩篇についての解説を書けと頼まれ、書きました(昨日もその件でメールのやりとりでした(笑))。

こりゃ、行かざあなるめい、ということで行って参ります。ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【高村光太郎書誌】

選集等(単独) 32 『高村光太郎選集 1 一八九七-一九一二年 明治三〇-四五年』増訂版

昭和56年(1981)9月20日 春秋社 吉本隆明・北川太一編
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目次
 日記 彫塑雑記
 書簡 高村光雲宛
 随筆 「滝縞格子」より
 俳句 明治三三年(梅、自転車・花、桜、運動会・酒・茶)
 戯曲 青年画家
 短歌 明治三三・三四・三五・三六・三七(赤城山の歌・桂の葉)・三八・三九・四〇年
 書簡 紐育より二
 詩 秒刻 マデル 博士 
   敗闕録
    (一)われ千たび君を抱かむ (二)君を見き
 随筆 画室日記の中より
 書簡 出さずにしまつた手紙の一束
 随筆 珈琲店より
 書簡 ルセルンの旅舎より
   ミラノの本寺とダ ヸンチの壁画
 随筆 伊太利亜遍歴
 翻訳 LE HASHICH(シヤルル ボオドレエル)
 訳詩 眠れる人(アルチユウル ラムボウ) 小娘の言へること(ジアン モレアス)
    あはれなる者(エミイル ヹルハアラン)
 短歌 明治四二(盆・ECOMI NELA MIA PATRIA!)・四三(DES OŬONNAS)年
 評論 フランスから帰つて 第三回文部省展覧会の最後の一瞥 AB HOC ET AB HAC
    緑色の太陽 死んだ荻原守衛君 MÉDITATIONS SUR LE MAÎTRE
 日記 三月七日(火曜日)
 評論 粘土と画布 日本の芸術を慕ふ英国青年 「熊野」と公衆 純一な芸術が欲しい
 随筆 芋と南瓜の触感
 評論 明治の時代を画せる作品
 アンケート どちらが好きか
 詩 にほひ
   LES IMPRESSIONS DES OũONNAS(À MA BIEN-AIMÉE AU CAOŬATCHI-LEAU)
   友よ PRÉSENTATION 失はれたるモナ・リザ 根付の国 甘栗 亡命者 食後の酒
   雪の午後 声 (別れぎは) 新緑の毒素 廃頽者より――バアナアド・リイチ君に呈す
   「河内屋与兵衛」 金秤 「心中宵庚申」 泥七宝(一) 地上のモナ・リザ けもの
   かるた 髪を洗ふ女 父の顔 泥七宝(二) 青い葉が出ても プリマドンナ あをい雨
   泥七宝(三)
 追補 
  書簡 加藤景雲への書簡
  詩 なやみ――若き彫刻家のうたへる
  評論 英国ニ於ケル応用彫刻ニ就テ
  書簡 巴里より 書簡一束
 解題1 端緒の問題 吉本隆明
 解題2 第一巻収録作品について 北川太一

 月報 智恵子遺珠1
  書簡Ⅰ 安田卯作宛 福島高等女学校卒業式答辞 マグダに就て
  書簡Ⅱ 柳敬助八重子宛 熊田てい子宛 長沼せん子宛
  無題録
  書簡Ⅲ 宮崎千代子宛 長沼両親宛 柳八重子宛 宮崎千代子宛 長沼両親宛
 後記

全6巻+別巻1で刊行された『高村光太郎選集』第1回配本です。ほぼ完全な編年体で編まれ、さまざまなジャンルの作品を一冊に収めています。

初版は昭和41年(1966)ですが、手持ちのものは昭和56年(1981)の増補版で、目次の「追補」の部分が新たに初版の内容に付け加えられました。「月報」は「智恵子遺珠」と題され、この時点で見つかっていた智恵子文筆作品のすべてをやはり編年体で掲載しています。それらはすべて後の筑摩書房版『高村光太郎全集』別巻(平成10年=1998)に収められました。

昨日は千葉市に行っておりました。千葉市文化センターさんで開催された「潮見佳世乃歌物語コンサート 羽衣伝説・智恵子抄」拝聴のためです。

何というわけでもないのですが、自家用車ではなく電車で行ってみました。同じ千葉県内でも千葉駅までは1時間ちょっとかかります。

自宅兼事務所最寄りのJR成田線佐原駅にて。
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こういうのが田舎のいいところです(笑)。

千葉駅から徒歩10数分、千葉市文化センターさん。
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14:30開演でした。
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「歌物語」は、ジャズ系シンガーでもあらせられる潮見佳世乃さんが、お父さまの故・高岡良樹氏から引き継がれたいわば登録商標のようなもので、「文学、演劇、音楽を融合させたこれまでにない芸能ジャンル」「琵琶法師や浄瑠璃など、物語を語る先人たちの伝統を引き継ぎながら、創作した物語に演劇的要素と音楽を取り入れ、奏でる音楽は、ジャズ、フォーク、ポップスなどを独自にアレンジしたもの」とのこと。

お父さまの代からのコアなファンの方々がいらっしゃるようで、チケットはSOLD OUT、100席ちょっとのキャパはほぼ満席でした。

第一部は「羽衣伝説」。日本全国に、というか世界中に類似の神話や伝説があるものですが、千葉市にも羽衣伝説があり、千葉市内には「羽衣公園」も設置されています。他の地域のそれと大きく異なるのは、実在の武将が主人公という点。千葉氏の祖・平常将(つねまさ)が、類型通りに羽衣を隠した天女と結ばれ、子を成し、しかし天女は天に還っていくというストーリーです。一部地域の羽衣伝説同様、星にかかわる部分を持ち、千葉市の妙見本宮千葉神社さんとの関連があります。当方、民俗学などにも興味関心が高いので、興味深いところです。

その伝説を基にした「歌物語」ということで、全体にはもの悲しいメロディーで統一。潮見さんの歌と語り、伴奏でピアノがTATOOさん、尺八の大河内淳矢さん、そして市川慎さんは通常の箏と十七絃箏の二張を行き来しつつ。和と洋のリミックスと申しましょうか、それが違和感なく展開されていました。天に還っていく天女。ある意味、智恵子も想起されるなぁ、と思いつつ拝聴しました。

休憩を挟んで第二部。「智恵子抄」に入る前に、「智恵子抄」以外の光太郎詩篇を朗読するというのが潮見さんのルーティンでして、昨日は「生けるもの」(明治43年=1910)と「道程」(大正3年=1914)でした。

そして「智恵子抄」。こちらの拝聴は今回で5度目となりましたが、何度聴いてもいいものです。とにかく高岡良樹氏の作曲になるメロディーラインがダイナミックかつ美しいだけでなく「歌物語」の名に相応しくドラマチックです。

40分程の中にしっかりと「起承転結」が込められています。「起」が「樹下の二人」(大正12年=1923)。「あれが阿多多羅山/あの光るのが阿武隈川」で始まる、まだ平穏な幸福に満ちていた光太郎智恵子が智恵子の故郷・福島二本松を訪れての場面。

ちなみに潮見さん、5月20日(水)の智恵子誕生日に二本松の智恵子生家/智恵子記念館さんに行かれたそうです。当方の二本松逍遥とは3日違いでした(笑)。下は潮見さんフェイスブック投稿から。
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「樹下の二人」に謳われている大正9年(1920)の光太郎智恵子揃っての二本松行は、智恵子の父・長沼今朝吉の三回忌法要のためでした。智恵子実家の長沼酒造は智恵子弟の啓助が継ぎましたが、この頃から業績は傾き始め、「あどけない話」で「東京に空が無い」と智恵子が呟いた昭和3年(1928)にはもはやどうしようもない状況、翌年には完全に破産します。そういう意味でも「樹下の二人」が「起」、「あどけない話」が「承」と言えるでしょう。

「転」に当たるのが「千鳥と遊ぶ智恵子」/「風にのる智恵子」(昭和12年=1937/昭和10年=1935)。よく似た2篇を一つの楽曲に。心を病んで千葉九十九里浜で療養していた昭和9年(1934)の智恵子の姿で、切迫感を煽るが如く不安な旋律。しかし、限りなく美しいメロディーです。高岡氏はかつて九十九里で「歌物語 智恵子抄」公演をなさったそうですが、地元の方々にはどのように聞こえたか、興味深いところです。

夢幻界を彷徨(さまよ)う智恵子の姿を謳う「値ひがたき智恵子」(昭和12年=1937)、「山麓の二人」(昭和13年=1938)と続きます。「山麓の二人」のみ、時系列とは異なる配置(九十九里に智恵子が移る前年の昭和8年=1933の裏磐梯が舞台)になっていますが、それはそれで良いと思われます。

そして「結」。「レモン哀歌」(昭和14年=1939)、「亡き人に」(同)。「起」の「樹下の二人」で奏でられたメロディーが再び用いられ、いわば変奏曲の形を取って終わりますが、この辺りが「羽衣伝説」の天に還っていく天女を想起させ、残される千葉常将と光太郎の姿がオーバーラップしました。

アンコールとして潮見さんオリジナル曲「海」。

終演後。
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少しお話しさせていただき、帰途に就きました。

関係の方々のますますのご活躍、そして「歌物語 智恵子」次の機会のあることを祈念いたします。

【高村光太郎書誌】

選集等(単独) 23 『高村光太郎詩集』旺文社文庫

昭和44年(1969)3月1日 旺文社 高村光太郎著 北川太一編 
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目次
 『道程』
  失はれたるモナ・リザ 根付の国 声 廃頽者より 父の顔 泥七宝(抄) 友の妻
  人に 涙 おそれ さびしきみち 或る宵 郊外の人に 人類の泉 よろこびを告ぐ
  冬が来た 牛 道程 秋の祈 雨にうたるるカテドラル 米久の晩餐 クリスマスの夜
  鉄を愛す とげとげなエピグラム(抄)
 『猛獣篇』とその時代
  清廉 白熊 傷をなめる獅子 鯰 象の銀行 苛察 ぼろぼろな駝鳥 象 森のゴリラ
  氷上戯技 車中のロダン 火星が出てゐる 冬の奴 花下仙人に遇ふ 母をおもふ
  冬の言葉 当然事 さういふ友 上州湯桧曽風景   孤独が何で珍らしい 刃物を研ぐ人
  耳で時報をきく夜 レオン ドウベル もう一つの自転するもの ばけもの屋敷 荻原守衛
  堅冰いたる 手紙に添へて 孤坐 つゆの夜ふけに お化け屋敷の夜
  銅像ミキイヰツツに寄す へんな貧 蝉を彫る 独居自炊 美しき落葉
 『智恵子抄』
  樹下の二人 あなたはだんだんきれいになる あどけない話 同棲同類
  美の監禁に手渡す者 人生遠視 山麓の二人 風にのる智恵子 千鳥と遊ぶ智恵子
  値ひがたき智恵子 レモン哀歌 荒涼たる帰宅 梅酒 松庵寺 元素智恵子
  メトロポオル 裸形 案内 あの頃 吹雪の夜の独白
 『典型』
  雪白く積めり 「ブランデンブルグ」 人体飢餓 月にぬれた手 山荒れる 典型
  クチバミ 大地うるはし 十和田湖畔の裸像に与ふ 弦楽四重奏 生命の大河
 高村光太郎の生涯――「暗愚小伝」をたどつて―― 北川太一
 「ぼろぼろな駝鳥」について 尾崎喜八
 読書案内――より深く知るために――
 年譜
 あとがき 北川太一

当会顧問であらせられた故・北川太一先生の編集・解説。一篇ごとに語注と解説が付され、各章冒頭にも解説。ちょっと調べたいという時には現在でも最も役に立つものの一つです。

残念ながら旺文社さんは文庫事業から撤退し、基本的には古書市場でしか入手出来ませんが、お勧めです。手持ちのものは図書館廃棄本で昭和53年(1978)の第32刷です。

文庫判ですがハードカバーの愛蔵版も存在したようです。

大阪から演奏会情報です。

クレモナラボ第20回定期公演 Carpe Diem

期 日 : 2026年5月30日(土) 
      大阪市北区西天満4丁目15-10
時 間 : 開場: 13:00   開演: 13:30
料 金 : S席 6,000円 A席 5,000円 B席 4,000円 (当日各500円増) 

モーツァルトもベートーヴェンも、かつては『最新の流行音楽』だった。現代においてその熱狂を受け継ぐのは、私たちの音楽だ。―20回の実験を経て、私たちは一つの答えに辿り着いた。形式美に閉じこめられた音楽を、解き放つこと。これはタンゴの皮を被った、魂のクラシックだ。私たちは20回かけて、この『新しいクラシック』のスタイルを研ぎ澄ませてきました。もはやこれは実験(ラボ)ではなく、ひとつの確信です。

演 奏 : クレモナラボ(旧『クレモナ』モダンタンゴ・ラボラトリ)
2016年結成。「アストル・ピアソラ」の遺志を継ぎ、クラシック音楽の「次の100年」へ繋げる、新しいスタイルの木管四重奏団。国内唯一の「ピアソラ専門」の室内楽団であり、これまで50曲以上を手がけ、全ての楽譜を自分たちの手でオリジナルアレンジをし、暗譜で演奏をする。対位法を駆使して新たな音響効果に挑戦し、歌口の異なる4本の管楽器それぞれの限界に挑戦したアドリブ・ソロの数々、まるで4本で演奏しているとは思えないような卓越した新しいサウンド、クリアな音像とストイックな演奏スタイルは、他のアンサンブルの追随を許さない。

フルート:西尾 佑季(ゆき)  ソプラノサックス:上野 舞子(みーこ)
ホルン:松田 あやめ(あやめちゃん)  バスーン:久保田 ひかり(ぴかりん)

演奏予定曲
 天使のミロンガ/ラ・カモーラⅠ(A・ピアソラ)
 8つの演奏会用練習曲より1「プレリュード」(N・カプースチン)
 memento mori/Carpe Diem/ほんとうの空/パルナソスへの階段(クレモナラボ)
 aqua(坂本龍一) ほか

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クレモナラボ(旧『クレモナ』モダンタンゴ・ラボラトリ)さん。昨年の暮れに開催された第19回定期公演「ほんとうの空」で、光太郎詩「あどけない話」(昭和3年=1928)中の「ほんとの空」からのインスパイアで、オリジナル曲「ほんとうの空」を初演なさいました。下の動画で6:06頃から。


今回の第20回定期公演でも「ほんとうの空」を演奏予定のようです。ありがたし。

今回のサブタイトルは「Carpe Diem」。やはりそのタイトルのオリジナル曲の初演があるそうです。「Carpe Diem」はラテン語で、古代ローマの詩人ホラティウスの詩の一節。「その日の花を摘め」といった意味になります。「今を大切にせよ」「一期一会」といったニュアンスでしょうか。

ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【高村光太郎書誌】

選集等(単独) 20 『高村光太郎詩集』日本の詩集 4

昭和43年(1968)5月10日 角川書店 高村光太郎著 河上徹太郎/吉田精一/串田孫一監修
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目次
 詩集 道程
  失はれたるモナ・リザ 生けるもの 根付の国 画室の夜 亡命者 寂寥 声
  新緑の毒素 廃頽者より 髪を洗ふ女 地上のモナ・リザ 父の顔 泥七宝 友の妻
  人に 或る夜のこころ 犬吠の太郎 さびしきみち 冬が来る 郊外の人に 人類の泉
  よろこびを告ぐ 冬が来た 冬の詩 牛 道程 群集に 秋の祈
 道程以後
  無為の白日 丸善工場の女工達 雨にうたるるカテドラル ラコツチイ マアチ
  米久の晩餐 冬の送別 五月のアトリエ 落葉を浴びて立つ 鉄を愛す
 猛獣篇
  清廉 白熊 傷をなめる獅子 狂奔する牛 鯰 象の銀行 苛察 ぼろぼろな駝鳥
 猛獣篇時代
  車中のロダン 後庭のロダン 火星が出てゐる 冬の奴 花下仙人に遇ふ 或る墓碑銘
  冬の言葉 触知 旅にやんで その詩 首の座 上州湯桧曽風景
  上州川古「さくさん」風景 或る親しき友の親しき言葉に答ふ 刃物を研ぐ人 似顔
  もう一つの自転するもの ばけもの屋敷 村山槐多 鯉を彫る 孤坐
 詩集 智恵子抄
  樹下の二人 夜の二人 あなたはだんだんきれいになる あどけない話 同棲同類
  風にのる智恵子 千鳥と遊ぶ智恵子 値ひがたき智恵子 山麓の二人 レモン哀歌
  亡き人に 梅酒 荒涼たる帰宅 うた六首 元素智恵子 メトロポオル 案内 あの頃
  報告(あなたのきらひな)
 詩集 典型
  雪白く積めり 
  暗愚小伝
   転調
    パリ
   反逆
    親不孝 デカダン
   蟄居
    美に生きる おそろしい空虚
   二律背反
    ロマン ロラン
   炉辺
    報告(智恵子に) 山林
  山荒れる 鈍牛の言葉 典型 田園小詩 山口部落 別天地
 典型時代及びその以後
  女医になつた少女 山の少女 山のともだち 十和田湖畔の裸像に与ふ
 解説
  評伝 宋左近 鑑賞 吉田精一 詩の旅 大竹新助 年譜 

全12巻から成る「日本の詩集」シリーズの第4巻です。手持ちのものは昭和45年(1970)の第4版です。

附録として福田一雄作曲の楽曲をBGMとした赤城靖恵による朗読「風にのる智恵子」「千鳥と遊ぶ智恵子」を収めたソノシートが付いています。

この時期、同様のシリーズものが様々な出版社から相次いで刊行されましたが、その中でも角川書店は大々的な販売戦略を展開しました。現代では考えられませんが、テレビCMも流されていました。

「智恵子抄」系の公演を2件ご紹介します。

まずもうすぐ開催の朗読会、青森発です。

第18回 リオンの朗読会

期 日 : 2026年5月16日(土)
会 場 : 八戸ポータルミュージアムはっち 2Fギャラリー2 青森県八戸市三日町11-1
時 間 : 14:00~16:00
料 金 : 無料
問 合 : リオンの会  090-7335-7552

<朗読作品>
 ・「赤い船」小川未明 作
 ・「智恵子抄」高村光太郎 作
 ・竹取物語より「命がけでにぎりしめたのに・・・」
 ・南部昔コ集より「貧乏神ど福の神様」
 ・日本昔話より「かっぱのおたから」  ほか

「リオンの会」さん、八戸を拠点に老健施設や親子を対象にした絵本の読み聞かせなどを行っているグループで、令和4年(2022)には公益社団法人読書推進運動協議会さんから全国優良読書グループ表彰を受けられたそうです。

続いて、コンサート情報は千葉県から。

潮見佳世乃歌物語コンサート 千葉開府900年記念「羽衣伝説・智恵子抄」

期 日 : 2026年5月24日(日)
会 場 : 千葉市文化センター 千葉市中央区中央2-5-1
時 間 : 開場14:00 開演14:30
料 金 : 前売 4,500円 当日 5,000円

出 演 : 
 潮見佳世乃(歌と語りと鳴り物) TATOO(ピアノ) 大河内淳矢(尺八)
 市川慎(箏・十七絃)
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歌物語は、潮見佳世乃の父、高岡良樹が創りだした、文学、演劇、音楽を融合させたこれまでにないジャンルです。琵琶法師や浄瑠璃など、物語を語る先人たちの伝統を引き継ぎながら、創作した物語に演劇的要素と音楽を取り入れ、奏でる音楽は、ジャズ、フォーク、ポップスなどをアレンジしたもの。音楽芸能のシーンに独自な世界観を切り開いています。

羽衣伝説
 天から池田の里に降りてきた天女と千葉常将のラブストーリー。羽衣伝説は全国にありますが、千葉の羽衣伝説は、時の権力者が登場する珍しい物語。千葉市の礎を築いた千葉氏にまつわる伝説です。千葉氏と妙見信仰との関わりも登場します。今年は千葉開府900年。千葉の繁栄を祈り、歌い語ります。

智恵子抄
 詩人高村光太郎が、妻智恵子について、結婚前からの30年間にわたり綴った詩や散文をまとめた智恵子抄。この書は、映画や小説などさまざまなカタチで作品化されました。精神を患った智恵子は、家族が暮らす九十九里浜で療養生活を送りますが、回復せず、光太郎を残し逝ってしまいます。
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連翹忌の集いにもいらして下さったことがおありの潮見佳世乃さん。ジャズ系シンガーであらせられますが、お父さまでシンガーソングライターの故・高岡良樹氏が作り上げられた「歌物語」というジャンルを引き継がれてのステージもなさっています。レパートリー的には「遠野物語」「おこりじぞう」「伊能忠敬物語」など。そして「智恵子抄」も。

何だかんだでこれまでに4回拝聴しました。

潮見佳世乃さん「歌物語コンサート「智恵子抄」」。
神奈川・静岡レポート その3 「潮見佳世乃起雲閣コンサート 歌物語×JAZZ」。
潮見佳世乃歌物語コンサート「智恵子抄・羽衣伝説」レポート。
潮見佳世乃 CD発売記念LIVE 歌物語✖️JAZZレポート。

恐縮ですが招待券を頂いてしまっており、参上いたします。

八戸の朗読と併せ、ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【高村光太郎書誌】

選集等(単独) 2 『高村光太郎詩集』新潮文庫 

昭和25年(1950)11月20日 新潮社 伊藤信吉編  
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目次

 道程
  失はれたるモナ・リザ 寂寥 新綠の毒素 癈頽者より 地上のモナ・リザ
  或る夜のこころ 犬吠の太郎 郊外の人に 冬の詩 牛 群集に 秋の祈
 『道程』以後
  晴れゆく空 無爲の白日 丸善工場の女工達 雨にうたるるカテドラル 沙漠 
  米久の晩餐 ラコッチイマアチ 落葉を浴びて立つ 冬の送別 鉄を愛す 真夜中の洗濯
  車中のロダン 後庭のロダン クリスマスの夜
 ぼろぼろな駝鳥
  象の銀行 白熊 苛察 狂奔する牛 冬の奴 火星が出てゐる 花下仙人に遇ふ
  ぼろぼろな駝鳥 もう一つの自轉するもの 当然事 上州湯檜曾風景
  上州川古「さくさん」風景 似顔 非ヨオロツパ的なる 村山槐多 ばけもの屋敷
  何をまだ指してゐるのだ 首の座 刄物を硏ぐ人 冬の言葉 晴天に醉ふ
  
つゆの夜ふけに
 智恵子抄
  樹下の二人 夜の二人 あどけない話 同棲同類 風にのる智惠子 千鳥と遊ぶ智惠子
  値ひがたき智惠子 山麓の二人 レモン哀歌 亡き人に 梅酒
 「智惠子抄」その後(抄)
  元素智惠子 メトロポオル 案内 
 山林
  典型 山荒れる 鈍牛の言葉
 「暗愚小傳」(抄)
  パリ 親不孝 デカダン 美に生きる おそろしい空虛 ロマン ロラン 報告 山林
 解説・伊藤信吉

またやらかしまして、紹介する順番を誤りました。「選集等(単独)」の項、2番目に位置すべきものでした。

伊藤信吉の編集になりますが、伊藤を指名・推薦したのは光太郎自身でした。

新潮文庫といふのは小さな薄い書物のやうですが、小生はもともとたくさん詩作をしてゐないので、御選択次第でこれでも十分なのではないかとも考へられますし、大衆性といふやうな事は考へないでもいいと思ひますので、(どうせ小生のものには一般性はないやうに思はれます)、貴下さへイヤだと思はれなかつたら、編集して下さればありがたいと存じます(昭和25年=1950 5月28日 伊藤信吉宛書簡より)

昭和35年(1960)頃の版から光太郎彫刻「手」の写真を使ったカバーがかけられるようになりました。また、昭和43年(1968)には改版となり、一部収録詩の入れ替えが行われています。手持ちのものは昭和51年(1976)の第46版です。現在の版はカバーが智恵子紙絵となり、活字サイズが一回り大きくなっています。
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明日以降何日間か、これから開催されるイベント等の紹介を致しますが、その前にそうした形で事前に紹介できず、終わってしまったものについて。記録のためにも紹介しておきます。

まず、4月18日(土)に新宿区の音楽の友ホールさんで開催された「バーゼル国際歌曲コンクール2026 ファイナル」。
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ピアノ、ヴァイオリン、声楽、フルート、ハープの5部門から成る「バーゼル国際音楽コンクール」の声楽部門で、国籍学籍不問、プロアマ不問、若手声楽家の登竜門的なもののようです。
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一次審査、二次審査はYouTubeだそうで、これも時代の流れかなと思いました。最近はそれが一般的なのでしょうか。ファイナルのみが会場審査で、4月18日(土)に音楽の友ホールさんで開催されました。

ちなみに審査員のお一人、テノールの樋口達哉氏は智恵子の故郷・二本松市のご出身で同市の観光大使も務められていて、故・湯浅譲二氏作曲の「二本松市民の歌」なども歌われていますし、平成31年(2019)に同市で開催された「2019全国さくらシンポジウムin二本松~ ほんとの空に さくら舞う ~」などにもご出演なさっていました。

本選では時間が割り当てられるのでしょう、12名の各出場者が3曲から5曲を歌って審査に臨んでいました。

で、結果が以下の通り。敬称略ですみません。

 第1位   Geng LI (LEE) バリトン  中国
 第2位   川出康平 Kohei KAWADE  テノール  日本
 第3位   三神祐太郎 Yutaro MIKAMI バリトン 日本 
     Jana CVETKOVIC メゾソプラノ セルビア
 第4位   Juhyung Kim  バリトン  韓国
 第5位   郭冬家 GUO Dongjia  テノール 中国
 第6位   Elena Xanthoudakis  ソプラノ  オーストラリア 
 聴衆賞  Jana CVETKOVIC メゾソプラノ  セルビア
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このうちみごと第2位に輝かれた川出康平氏、演奏曲目が以下の通りでした。

 ・R.Strauss:“Heimliche Aufforderung”(リヒャルト・シュトラウス:“密やかな誘い”)
 ・R.Strauss:“Morgen!”(リヒャルト・シュトラウス:“明日に!”)
 ・O.Respighi:“Nevicata”(レスピーギ:“雪”)
 ・別宮貞雄:歌曲集「智恵子抄」より“人に”

国際コンクールですので(そうでなくてもそうかもしれませんが)、外国曲が3曲、そして故・別宮貞雄氏の歌曲集「智恵子抄」から「人に」。まさか樋口氏と二本松の関係から印象をよくしようとして選曲したというようなセコい意図はなかったはずですが(笑)、その偶然に驚きました。

別宮氏の「智恵子抄」、テノールの紀野洋孝氏が積極的に取り上げられ、さまざまな機会で歌われたり、CDに組み入れたりされています。また、他の声楽家の方もぽつりぽつり、毎年のようにどこかしらで歌われている感じです。

事前に曲目がわかっていれば、ぜひ聴きに行きたいところでした。

惜しくもグランプリは逃された川出氏ですが、「プロフェッショナル歌曲賞」も受賞、さらに川出氏の伴奏を務められたピアノの吉本有佑氏は「伴奏者賞」でした。

今後のさらなるご活躍に期待いたしますし、別宮氏の「智恵子抄」もどんどん取り上げていただきたいものです。

もう1件。5月9日(土)に世田谷区の三茶しゃれなあどホールさんで「朗読とお話 宮静枝の詩に投影された高村光太郎の戦後」というイベントが開催されたとのことです。世田谷区さんの広報誌で事前に小さく紹介が出ていましたが、気づきませんでした。
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気づいたのは、デザイナーの宮白羊氏のX(旧ツイッター)投稿で、当日でした。
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「父」というのが、写真家のみやこうせい氏(本名・宮暠成氏)です。

イベント標題にある「宮静枝」がこうせい氏のお母さま。岩手江刺の出身で、昭和26年(1951)秋に、花巻郊外太田村の光太郎の山小屋を訪れ、その時の体験を元に、平成4年(1992)、『詩集 山荘 光太郎残影』を上梓、第33回晩翠賞に輝いています。同書はまるっと一冊、光太郎を語った詩集で、実に多くの啓示を与えてくれるものでした。
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昭和26年(1951)11月11日の光太郎日記。

盛岡より宮静枝さん、甥(千葉氏)の人と子供二人つれてくる、新小屋。ライカにて撮影いろいろ、宮さんにカーテンぬつてもらふ。

「子供二人」にこうせい氏も含まれていますし、「ライカにて撮影」された写真が『詩集 山荘 光太郎残影』に14葉掲載され、そこにはこうせい氏も写っています。
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おそらくこうせい氏、この日の出来事などを語られたのでしょう。また、他の方々が『詩集 山荘 光太郎残影』から朗読をなさったのだと思われます。

下記は同書の復刻版を扱っているユニコ舎さんのX(旧ツイッター)投稿。
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これも事前に知っていたら、万難を排して駆けつけたのですが……。

『詩集 山荘 光太郎残影』、ぜひお買い求め下さい。

【高村光太郎書誌】

選集等(単独) 10 『現代日本名詩選 道程・典型』

昭和28年(1953)3月10日 筑摩書房 高村光太郎著
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目次
 道程
  一九一〇年
   失はれたるモナ・リザ 生けるもの 根付の国
  一九一一年
   画室の夜 熊の毛皮 人形町 甘栗 庭の小鳥 亡命者 鳩 食後の酒 寂寥 声 風
   新緑の毒素 廃頽者より 「河内屋与兵衛」 髪を洗ふ女 「心中宵庚申」 夏
   なまけもの 手 金秤 はかなごと めくり暦 地上のモナ・リザ 葛根湯 夜半
   けもの あつき日 父の顔 泥七宝 ビフテキの皿
  一九一二年
   青い葉が出ても 赤鬚さん あをい雨 友の妻 ――に 夏の夜の食慾
   或る夜のこころ おそれ 犬吠の太郎 さびしきみち カフエにて 梟の族 冬が来る
   カフエにて 或る宵 夜 狂者の詩 郊外の人に 冬の朝のめざめ カフエにて
   師走十日 戦闘
  一九一三年
   人に カフエにて 深夜の雪 人類の泉 山 よろこびを告ぐ 現実 冬が来た
   冬の詩 牛 僕等
  一九一四年
   道程 愛の嘆美 群集に 婚姻の栄誦 万物と共に踊る 瀕死の人に与ふ 晩餐
   五月の土壌 淫心 秋の祈
 典型
 序
 雪白く積めり 
 暗愚小伝
    家
   土下座 ちよんまげ 郡司大尉 日清戦争 御前彫刻 建艦費 楠公銅像
  転調
   彫刻一途 パリ
  反逆
   親不孝 デカダン
  蟄居
   美に生きる おそろしい空虚
  二律背反
   協力会議 真珠湾の日 ロマン ロラン 暗愚 終戦
  炉辺
   報告 山林
 「ブランデンブルグ」 脱卻の歌 人体飢餓 東洋的新次元 おれの詩 悪婦 山荒れる
 月にぬれた手 鈍牛の言葉 典型 
 田園小詩
  山菜ミヅ 山のひろば 山口部落 かくしねんぶつ クロツグミ クチバミ 別天地
  岩手の人 山からの贈物 この年 
 年譜
 解説 中山義秀

第一詩集『道程』(大正3年=1914)と、結局は生前最後の詩集となる『典型』(昭和25年=1950)を一冊にまとめたものです。

やはり光太郎の山小屋を訪れたこともある中山義秀の解説が秀逸です。

4月29日(水)、文京区の千駄木・根津を後に、地下鉄を乗り継いで日本橋人形町に向かいました。

続いての目的地は日本橋社会教育会館さん。
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複合施設で、1階から5階までが中央区立日本橋小学校さん、6・7階に区立図書館さんが入り、8・9階でホール、さらに会議室に使える部屋など公民館的な機能も付帯されています。この日は祝日でしたので、小学校の授業はありませんでした。

ちなみにこの場所、明治はじめには西郷隆盛邸だったそうで。
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ホールで行われた「一龍齋貞奈芸歴10周年記念講談会」で、智恵子を主人公とした講談を拝聴に参上したわけですが、この日は午前中から貞奈さんの所属されている事務所・オフィス10さんの10周年祭りということで、さまざまな演目が行われていました。10周年祭り自体は5月6日(水)まで7日間にわたって続き、毎日複数の高座がかかります。
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無題
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ホールの緞帳。安藤広重の東海道五拾三次「日本橋」があしらわれていました。粋ですね。
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少し早く着いたので、ホールのホワイエで開場を待っていたところ、フリーアナウンサーの早見英里子さん、朗読家の出口佳代さんのユニット「ERIKO&KAYO」のお二人がいらっしゃいました。いらっしゃるとは聞いていませんでしたが、早見さんは昨年、御茶ノ水で開催された「夏の太陽講談会 読めなかった講釈を読もう〜」にもいらしてましたので、不思議はありませんでした。出口さんは講談初体験だとのこと。せっかくですので並んで座らせていただきました。
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さて、開演。

まずはオープニングアクト的に、MC的なこともなさった神田蓮陽さんによる「越の海」。江戸時代に実在した小兵力士・越の海勇蔵を主人公とした古典的な講談でした。若手の神田さん、実に初々しい感じで、「勉強させていただきます」とおっしゃって始められたあたり、好感が持てました。

続いてメインの貞奈さんで「智恵子の恋」。昨年初披露された新作で、明治34年(1901)、智恵子が福島高等女学校に進む頃から大正3年(1914)に光太郎と結婚披露を行うまでの内容。智恵子視点で、口数は少ないながらウィットに富み、負けず嫌いな一面も併せ持っていたその姿が生き生きと、そしてけっこうコミカルに語られました。当時としては珍しかった高等女学校進学や、ましてや県で1人とか2人とかの女子大学校入学を両親にお願いする場面、一学年上の平塚らいてうとのテニス対決、光太郎と知り合う以前、太平洋画会での宮崎与平・渡辺文子との三角関係など。

昨年の初演時よりもアップデートされていた部分もあり、なるほど、と思わせられました。

ここで仲入り(休憩)、そしてワンクッション。ゲストのラバーガールのお二人によるコントが3本。貞奈さんがお二人のコントをYouTubeで何本もご覧になってツボにはまり、ぜひ出演してくれと交渉なさったそうです。

笑えました。自分の隣に座っていた出口さんは、早見さんに「佳代ちゃん、笑いすぎ」とつっこまれるほど笑っていました(笑)。

そして再び貞奈さんで、後半「智恵子の変」。光太郎との結婚披露から、昭和13年(1938)の逝去まで。前半の「恋」が「変」に代わり、シリアスな面が強調されました。「変」はその変化の「変」、それから智恵子の精神に起こった「異変」の「変」、さらに生涯の仕事と定めた油絵を「私ならいいものが描ける」とする自分と「私には描けるわけがない」とするもう一人の自分との闘いとしての「変」(「応天門の変」、「本能寺の変」、「禁門の変」などの「変」です)という意味もあるのかな、などと思いながら拝聴しました。

貞奈さんご自身、野田秀樹氏脚本で大竹しのぶさんの一人芝居として初演された「売り言葉」(平成14年=2002)からインスパイアを受けたとおっしゃっていましたが、確かに講談と云うより一人芝居という感じが強かったように思われました。

実家の裕福だった造り酒屋の破産、家族の不祥事や病没、そして自身の油絵の停滞、さらには光太郎との貧困生活など、さまざまな要因が絡み合って徐々に毀れていく智恵子が語られます。しかし、「売り言葉」ほどには光太郎をディスる感じではありませんでした。確かに光太郎の対応にはいろいろ問題があったのも事実ですが、それをあまりにも前面に押し出し、光太郎の犠牲になった智恵子、とされると「何だかなあ……」ですが、そうなっていなかったので良かったと思いました。

ただ、貞奈さんご自身「まだまだ荒削りで」とおっしゃっていましたし(確かにそういう感は否めませんでした。無理もありませんが)、細かなエピソードなどよく調べてらっしゃると感心させられたもののところどころ史実と異なったり(以前はそれが定説だったりした部分ですが)、こういうエピソードも入れればいいのに、という点もありました。そのあたり、今後さらによりよいものにエボリューションして行っていただきたいものです。

終演後、ラバーガールのお二人と貞奈さん。
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さらに会場が捌けた後で「ERIKO&KAYO」のお二人と。
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ご出演の方々などの、今後のさらなるご活躍を祈念いたしてレポートを終わります。

【高村光太郎書誌】

本人著作(部分)35 『光太郎智恵子』特装版

昭和35年(1960)11月10日 龍星閣 高村光太郎 高村智恵子著
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目次
 高村光太郎篇
  詩 散文
  書簡
   高村(長沼)智恵子 長沼今朝吉 長沼せん子 長沼せき子 長沼修二 齋藤せつ子
   柳八重子 水野葉舟 中原(曽我・小野)綾子 更級源蔵 秋廣あさ子 真壁仁
   宮崎稔 難波田龍起 富士正晴
 高村智恵子篇
  詩 散文
  書簡
   長沼御両親 長沼せん子 長沼修二 齋藤新吉 せつ子 柳八重子

昨日ご紹介した8月に出た初版と紙型は同一ですが、二重函、三方金朱箔押装で表紙は「総丸革白最上羊皮」。限定60冊の刊行でした。

昨日は都下多摩市の聖蹟桜ヶ丘に足を運んでおりました。今年の連翹忌の集いに際し、ご案内いただいた「多摩ファミリーシンガーズ演奏会 はじまりの場所から未来へ」拝聴のためでした。

まったく個人的なことになりますが、亡父がノンキャリアの国家公務員で本省勤務のない地方局回りだったため、半世紀以上前、近く(といっても数キロ離れていますが)に4年半ほど住んで居りました。しかし機会もなくそのあたりを再訪したことがこれまでありませんでした。そこで演奏会にお邪魔する前に、懐かしさに駆られてかつて住んでいたあたりを散策。

半世紀以上前にも流れていた小川。護岸工事が為されていましたが、暗渠にするわけでもなく健在。なんとカルガモの親子がすーいすい(笑)。
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現在はがっつり住宅地になっていますが、自分が暮らしていた頃は田んぼが広がっていた一角でした。この川から水を引いていた用水路でザリガニやドジョウ、タニシなどを掴まえていた記憶があります。森にはミヤマクワガタなどもいました。

多摩川べりの住んでいた家を含め十数棟あった官舎はすべて無くなり、高層マンションになっていました。

1年間通った幼稚園と、3年生の途中まで在籍した小学校。小学校の方は自分が通学していた頃あった木造校舎は無くなっていましたが、幼稚園の方は当時の建物だったのでびっくりしました。
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ちなみに小学校の校歌歌詞には「桜ヶ丘の聖蹟やー」という一節がありました。

というわけで聖蹟桜ヶ丘駅前の、関戸公民館さん。8階がコンサート会場でした。
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ホール入り口にはNHKさんの「おかあさんといっしょ」でうたのおにいさんを務められた坂田おさむ氏からの花。今回、坂田氏作曲の楽曲も演奏されるということで。
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主宰の髙山佳子氏。
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このところ毎年、当会主催の連翹忌の集いにご参加下さっています。以前から他の連翹忌ご常連の藤原歌劇団・本宮寛子氏などと音楽繋がりで交流がおありだったそうですし、宮沢賢治作品を取り上げたりで、そちらのご関係も。

プログラムは2部構成。第一部は合唱。
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東日本大震災後の平成24年(2012)に初演された「ほんとの空」が演奏され、それを聴きたいがために伺った次第です。

作詞は福島郡山ご在住の後藤基宗子氏、作曲は髙山氏が「たま・みゆき」のペンネームで。
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光太郎詩「あどけない話」(昭和3年=1928)由来の「ほんとの空」の語をタイトルに、「阿多多羅山(安達太良山)」も謳い込まれています。髙山氏から頂いたCDで拝聴していたのですが、生の演奏は初めてでした。

合唱は、下は小学1年生から上はOG、賛助出演という方々の大人の皆さんまでで、曲によって人数が変わりましたが最大20数名(1曲だけ、客席からさらにOGの方々が10名ほどステージに上がって加わった曲もありましたが)。基本、女声合唱でした。「児童合唱」と謳われていますが、かなりのレベルでその意味では舌を巻かされました。

合間に髙山氏や大人の出演者の方によるMCで曲紹介など。飽きさせない工夫が為されていました。高野辰之作詞の「春の小川」が、元々の文語体から口語体に歌詞が改変されているというお話など「へー」という感じでした。

第二部はおなじみの昔話をミュージカル仕立てで。
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それぞれの昔話をモチーフとした既存の童謡も歌われましたが、それ以外の部分は髙山氏の作曲だったのでしょう。

第一部では緊張気味だった子供たちも、第二部では実にのびのびと。楽しみながら演じているのが伝わってきて、好感が持てました。小学校高学年以上は代わる代わるソロで歌う場面もありましたが、その技倆もなかなかのものでした。

なんやかやで様々なジャンルのプロフェッショナルの演奏を日頃から聴き、最近は自分でもプロデュース的なこともやらせていただいていますが、久々に聴いた児童合唱、違った意味で心が洗われました。

アンコールも終わった終演後と、さらにホワイエで帰る聴衆を見送りつつ歌う団員の皆さん。
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右画像の右端に髙山氏。少しお話をさせていただいて帰りました。

多摩ファミリーシンガーズさん、来年は50周年だそうで、一人の指導者が50年というのも実に稀なケースとのこと。ただ、少子化の影響は避けがたく、昔は120名とかの大所帯だったそうですが、現在は前述の通りOGや賛助という方を含めて20数名。それでもそれならそれでやりようはあるわけで、今後ともさらなるご活躍を祈念いたします。

幸い、キャパ250席ほどのホールはほぼ満席。出演者の関係者も少なくはないのでしょうが、それ以外の固定ファン的な感じの方々が多かったように思われました。

こうした小さな(というと失礼かも知れませんが)文化の灯り、消してはならないと思います。

【高村光太郎書誌】

本人著作(部分)31 『日本の詩歌』毎日ライブラリー 

昭和29年(1954)4月5日 毎日新聞社 高村光太郎編
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目次
 日本詩歌の特質 高村光太郎   日本の詩歌の系譜 吉田精一
 現代詩概観 三好達治      近代短歌 木俣修
 近代俳句 加藤楸邨       あとがき 毎日新聞社図書編集部
 年表              索引

光太郎編となっていますが、実際に編集実務を担ったのは版元の毎日新聞社図書編集部であることが「あとがき」によってわかります。

光太郎の「日本詩歌の特質」は、この年の1月27日~30日にかけて『毎日新聞』に連載されたものです。

都内から朗読系の公演情報です。

きむらきょうやの温故知新〜葛藤〜

期 日 : 2026年5月4日(月・祝) 5月5日(火・祝)
会 場 : スタジオドラゴンカフェ 東京都杉並区久我山5-21-6 センタービル
時 間 : 5/4 18:00~ 5/5 13:00~ 18:00~
料 金 : 1公演 自由席 3,000円 2公演分 自由席 5,500円 3公演分 自由席 8,000円

日々、悩み迷い苦しみ「葛藤」を抱える貴方に「エネルギー」浴びせます! 芸能人格付けチェック、がっちりマンデー、ちびまる子ちゃんのナレーションでお馴染みの国民的ナレーター「きむらきょうや」と教え子たちが一所懸命にエネルギー放ちます!

そのタイトルは! 「きむらきょうやの温故知新〜葛藤〜」 今回は旧き文学作品から。いや〜昔の人も私と同じように「葛藤」抱えてるんだ…と新しい気づきになればと! 文豪達のお力を借りてお届けします!

出演者
 5月4日(月・祝) 及川司 重役室長 大福 平野こまり 風晴由圭 
 5月5日(火・祝) 亀井貢 日向寺ひろこ 大福 中村桃歌 平野こまり
 5月5日(火・祝) 亀井貢 重役室長 大福 中村桃歌 風晴由圭
※きむらきょうやは3公演共出演致します。

5月4日(月) 18時
 高村光太郎 「智恵子抄」抜粋 及川司
 小川未明 「野ばら」 平野こまり 大福
 芥川龍之介 「尾生の信」 重役室長
 樋口一葉 「裏紫」 風晴由佳
 中島敦 「山月記」 きむらきょうや
 この日のみシークレットゲスト

5月5日(火) 13時
 高村光太郎 「智恵子抄」抜粋 亀井貢
 太宰治 「待つ」 日向寺ひろこ
 小川未明 「野ばら」 中村桃歌 大福
 樋口一葉 「裏紫」 平野こまり
 中島敦 「山月記」 きむらきょうや

5月5日(火) 18時開演
 高村光太郎 「智恵子抄」抜粋 亀井貢
 小川未明 「野ばら」 中村桃歌 大福
 芥川龍之介 「尾生の信」 重役室長
 中島敦 「山月記」 きむらきょうや
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アニメ「ちびまる子ちゃん」、バラエティー「がっちりマンデー!!」「芸能人格付けチェック」などでご活躍中のきむらきょうや(木村匡也)氏と、氏主宰の「木村きょうや声優・ナレータープロ養成塾」の皆さんによる朗読公演だそうです。

2日にわたり3公演、それぞれ演目が異なるそうですが、「智恵子抄」(抜粋)は全てに入っています。ありがたし。

ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【高村光太郎書誌】

本人著作(部分)30 『世界美術全集 第4巻 古代エジプト』 

昭和28年(1953)9月5日 平凡社 下中弥三郎編
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目次
 エジプトの文化
 エジプトの建築
 エジプトの彫刻
 エジプトの絵画
 エジプトの工芸
 図版 原色版 一三図 グラビア版 一七九図 本文挿図 二一八図
 参照地図
 図版解説
 年表
 参考書目録
 挿図目録
 図版目録

光太郎執筆箇所は「図版解説」中の「41 カ・フ・ラー王坐像」「43 ラー・ヘテプ、ネフェルト坐像」「48 シェイク・エル・バラド」「50 書記坐像(部分)」。すべて彫刻作品です。

3年半にわたる欧米留学中、明治40年(1907)から翌年にかけてロンドンに滞在していた光太郎。大英博物館にも足繁く通い、エジプト彫刻のプリミティブな美に惹かれました。パリから会いに来た荻原守衛とその魅力について語り合ったこともあったそうです。

4月22日(水)、第116回碌山忌のため安曇野市の碌山美術館さんにお邪魔しましたが、そちらに着く前の寄り道について。

信州、それから隣接し、こちらからの通り道にもなる甲州には、光太郎智恵子ゆかりの人物の記念館等や、光太郎智恵子の作品を所蔵・展示して下さっている美術館等がかなりあり、碌山美術館さんに足を運ぶ際にはそれらにも立ち寄るのがルーティンでして、それがまた一つの楽しみになっています。

今年立ち寄ったのは、長野市信里(のぶさと)地区の小山清茂記念展示室。同地出身の作曲家・小山清茂(大正3年=1914~平成21年=2009)を顕彰する施設です。
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清茂には光太郎詩に作曲した「樹下の二人」という曲があります。昭和50年(1975)の作品で、箏曲です。奏者が箏を弾きながら「あれが阿多多羅山……」と語るスタイル。歌うというよりは語る感じです。箏曲奏者の友渕のりえ氏による委嘱作品で、全音楽譜出版さんから楽譜が公刊され、友渕氏のCD「日本の唄 友渕のりえの世界」(平成3年=1991)に収められています。
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その後も箏曲奏者の方々に時折取り上げられ、下野戸亜弓氏の2種類のCD「下野戸亜弓箏曲リサイタル2005」(平成17年=2005)、「万葉の恋歌 箏歌<KotoUta>をうたう」(平成25年=2013)にも収められています。

演奏会でも、最近ですと朝香麻美子氏が平成29年(2017)に都内の紀尾井ホールさんで開催された「箏・三弦リサイタル ~女性のあり方をよむ~」で取り上げて下さいました。

それから、浜根由香氏。平成26年(2014)に、東日本大震災の復興支援ということもあり、津波被害の大きかった福島県南相馬市で開催された「浜根由香 東北を謳う」というコンサートでこの曲も演奏して下さいました。その際は拝聴に伺い、浜根氏とお話しさせていただきましたし、後日発行されたライブ録音のCDも送っていただきました。ところが浜根氏、ほどなく平成28年(2016)にまだお若くして急逝。報せを受けて絶句しました……。

その「樹下の二人」作曲者の小山清茂の記念室が長野市にあるということで、参上。ちなみに小山清茂、当方と戦国時代まで遡ればつながるであろう遠い遠い親戚のようです。当方、死んだ父親は信州上田の出身で、先祖は真田氏と同じ滋野一党の国衆末席。天文年間の武田氏の信州侵攻に伴って居城を落とされ、そのまま真田もろとも武田の配下に入りましたが、一族の一部は武田と対立していた村上義清を頼って北上、村上義清は上杉と与しました。おそらく地理的に見て清茂の先祖はそちらの一派と思われます。

さて、小山清茂記念展示室。篠ノ井村山健康スポーツセンターさんの中に設けられていて、長野市のとっぱずれというわけでもありませんが、そこそこの山の中でした。我らの先祖も参戦したであろう川中島の古戦場もそう遠くない場所です。

附近はこんな風景。いかにも山里といった感じでした。
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そして篠ノ井村山健康スポーツセンターさん。
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玄関を入ってすぐ左が記念展示室でした。
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元は同じ建物の別の部屋だったそうですが、現在は広い会議室的な部屋の一角をアコーディオンカーテンなどで仕切り、普段は施錠しています。
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アコーディオンカーテン向かい側の壁には、やはりこのあたり出身の漫画家・岡村延博氏の描いた清茂。
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解錠していただいて、中へ。
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所狭しとばかりに遺品や写真、楽譜、レコードなど。

あまり期待していなかったのですが「樹下の二人」関連もあり(同曲、代表作というほどではないので)、「おお!」でした。

まず直筆の楽譜。
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作曲を委嘱した箏曲奏者・友渕のりえ氏の色紙。
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友渕氏、おそらく平成28年(2016)の開室に際して協力されたのでしょう。その前年の揮毫です。

年譜にも「樹下の二人」作曲が記載されていました。
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思わず「ぷっ」と吹きだしたのがこちら。
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清茂が作曲した地元の鬼無里中学校さんの校歌をプリントしたタペストリーですが、作詞が……
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何と当会の祖・草野心平でした(笑)。これは存じませんでした。

ちなみに鬼の無い里と書いて「きなさ」と読みますが、旧鬼無里村は山一つ越えたところで、現在は長野市に編入されています。鬼無里中学校さん、今年度限りで閉校だそうで……。そうなるとこのコンビによる校歌も無くなってしまうわけでしょうから、残念です。下記は同校サイトから。
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帰ってから調べたところ、心平・清茂コンビの校歌は他にもけっこうあり、平成25年(2013)に夏の全国高校野球を制した群馬の前橋育英高校さんのそれもそうでした。となると、甲子園球場にこのコンビの手になる校歌がガンガン流されていたのですね。気づいていませんでした。


そうして小山清茂記念展示室をあとに、碌山美術館さんへと向かいました。ここで昨日の「信州レポート その1 第116回碌山忌。」につながります。

今回は自宅兼事務所隣町の成田市から圏央道→関越道→上信越道と乗り継いで長野市の小山清茂記念展示室、そして更埴市から長野道に入って安曇野碌山美術館さん。帰りは長野道→中央道→首都高→東関道で帰りました。1都7県を走破し、我ながらよくやるよ、です(笑)。さすがに疲れて昨日は、朝5時に猫に起こされて餌やりをしてから二度寝。そのためブログの更新が遅れました(笑)。

これに懲りずに甲信方面に行く際にはさらなるスポット拝観を続けるつもりで居ります。まだまだ行くべきところが残されていますので。

以上、信州レポートを終わります。

【高村光太郎書誌】

本人著作(部分)28 『世界美術全集 第17巻 ルネサンスⅡ 西洋十六世紀』 

昭和26年(1951)3月25日 平凡社 下中弥三郎編
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目次
 ルネサンスの偉大と頽廃
 イタリアの美術
  イタリア美術総説 イタリアの建築 イタリアの彫刻 レオナルド・ダ・ヴィンチ
  ミケランジェロ・ブオナローティ ラファエルロ・サンツィオ
  フィレンツェ画派とシエナ画派 北イタリア画派 ヴェネツィア画派 イタリアの工芸
 スペインの美術
 フランスの美術
 ネーデルランドの美術
 イギリスの美術
 ドイツの美術
 図版
  原色版 一六図 グラビア版 一四八図 本文挿図 二四三図
 参照地図
 図版解説
 年表
 参考書目録
 挿図目録
 図版目録

光太郎はこのシリーズ5冊に寄稿しましたが、この巻がその分量が最も多く、ミケランジェロの項はほぼ光太郎の筆になるものです。

「ミケランジェロ・ブオナローティ」及び「図版解説」中の「2 アダムとエバの楽園追放」「4 サン ピエトロ寺のクーポラ」「24 スカラの聖母」「25 ピエタ」「26 奴隷(部分)」「27 ダビデ(頭部)」「28 モーセ(部分)」「29 聖母子」「30 朝」「32 夕」「34 ロンダニー二のピエタ」「35 ブルタス胸像」「56 システィーナ礼拝堂天井画」「57 アダムの創造」「59 エレミヤの右の裸像」「60 人体デッサン」「61 顔デッサン」「62 キリスト(「最後の晩餐」中央像)」です。

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