山口県から企画展情報です。

特別企画展「書物の在る処――中也詩集とブックデザイン」

期 日 : 2021年7月29日(木)~9月26日(日)
会 場 : 中原中也記念館 山口県山口市湯田温泉一丁目11-21
時 間 : 9:00~18:00
休 館 : 月曜日(祝祭日の場合は翌日) 毎月最終火曜日
料 金 : 【一般】 330円 【大学・高校専門学校の学生】220円 
      18歳以下、70歳以上無料

詩集には美しくデザインされた本が数多くあります。詩人たちは詩集を通じて自らの作品世界を表現するために、装幀にさまざまな工夫を凝らしてきました。
中原中也の詩集『山羊の歌』『在りし日の歌』、3冊のランボー翻訳詩集もまた、高村光太郎、青山二郎、秋朱之介(あきしゅのすけ)らといった、個性豊かな装幀家、出版人の手によってかたちづくられました。それらの佇まいには中也と装幀家それぞれの思いが映し出されています。
本展では、中也と装幀家たちとの関わりや彼らの美意識、そして大正から昭和初期にかけて出版された詩集のブックデザインを紹介します。
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関連行事等

特別コーナー「中也の詩集をいま作るなら……」
昭和初期に出版された中原中也の2冊の詩集『山羊の歌』と『在りし日の歌』。これらが現代に出版されるなら、どのような装幀の詩集になるでしょうか?現代に生きる装幀家、詩人、アーティストが中也の詩の世界を新たな視点で捉え、今なお色あせることのないその魅力と現代性を、“詩集”という形によって表現し、その作品を展示します。
【参加メンバー】岡本啓(詩人)、カニエ・ナハ(詩人、ブックデザイナー)、佐野裕哉(グラフィックデザイナー)、ゾエ・シェレンバウム(アーティスト)、鈴木啓二朗(アーティスト)、秦博志(資料修復家)[50音順、敬称略]

オンライン座談会「中也詩集を装幀して」
8月7日(土)13:30~15:30
「中也の詩集をいま作るなら……」の参加メンバーのうち4名が、中也の詩集を装幀してみて感じたことや制作の裏話、ブックデザインについて思うことなどを語ります。要予約

オンラインワークショップ「青山二郎の装幀術にまなんでみる」
8月22日(日)13:30~15:30(予定)
講師 カニエ・ナハ(詩人、ブックデザイナー)
定員 15名程度(要申込・先着順)
対象年齢 小学生以上(低学年は保護者等にサポートがあると好ましい)
用意するもの ハサミ、糊、ペン(筆ペン)等
開催方法 Zoomを利用してオンラインで開催


元々、昨年開催されるはずだったようですが、あはりコロナ禍で延期となったとのこと。

自著をはじめ、生涯にかなりの数の装幀を手がけた光太郎。中也の『山羊の歌』(昭和9年=1934)のそれも光太郎です。
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もちろん題字の揮毫も光太郎。美しい、という感じの書体ではありませんが、光太郎にしか書けない味わい深い文字です。

そこで、キャプションにあるように、中也は「高村さんのような字が好きなんだ、あれはいい字だよ」と語ったとのこと。当方に言わせれば、中也は中也で、実に「いい字」を書いていたのですが……。
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『山羊の歌』をはじめ、中也著書の装幀に的を絞った企画展。関連行事等も充実しています。

コロナ感染には十分お気を付けつつ、ぜひ足をお運びください。

【折々のことば・光太郎】

富蔵さんが、余のアトリエ建築につき骨折りたい意見ある由をきかせる。木材なども今買つた方が後よりもやすからんといふ。考へて置く事にする。大体は今とりかかる気の無き旨答へておく。


昭和23年(1948)6月15日の日記より 光太郎66歳

蟄居生活を送っていた花巻郊外旧太田村の山小屋。村人たちや花巻町の人々が、再三、光太郎にアトリエを建ててあげようとしました。しかし、当の光太郎は、なかなか乗り気になりません。やはり戦時中の翼賛活動を恥じての「自己流謫」中、ということで、きちんとした彫刻制作は封印する、という厳罰を自らに課していたためです。