都内からコンサート情報です。

林光ソングをうたい継ぐ(5)~ほんとうの空へ(1990年代)

期 日 : 2021年7月24日(土)
会 場 : トッパンホール 東京都文京区水道1-3-3
時 間 : 開場 14:00 開演 14:30
料 金 : 前売4,000円(全席指定) 当日4,500円

出 演 : 竹田恵子(歌) 井口真由子(pf)

曲 目 : 林 光(詩:宮沢賢治):序詞《注文の多い料理店》より
      林 光(詩:宮沢賢治):すきとおるものが一列
      林 光(詩:与謝野晶子):初夏
      林 光(詩:まどみちお):ハコベのはな
      林 光(詩:林 光):月の船の歌《万葉集》による
      林 光(詩:佐藤 信):ほんとうの空へ
       他

今回のコンサートの副題は、「ほんとうの空へ」。「フェイクの時代」だからこそ、「ほんとう」が気になります。それはどこからやって来るのでしょうか。「正しさ」をめぐる言葉のバトルとは違って、もっと底の底にある感情の出どころ。そこには「ほんとうのたべもの」の賢治がいます。まど・みちおや与謝野晶子、そして万葉集やこどもたち。
感染予防の対策には万全を期すつもりです。2回のワクチン接種もコンサート前に終える予定でいます。今回はYouTubeの配信もありませんので、ぜひ会場に足をお運びいただければ幸いです。
落ち着かない日々が続きますが、どうぞご自愛の上、当日お目にかかれることを心より願っています。
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竹田恵子さんという方、故・林光氏の歌曲を歌い継がれることも、活動の柱となさっているようで、その一環としてのコンサートです。

副題が「ほんとうの空へ」ということですが、同名の曲がプログラムに入っています。これは、平成7年(1955)に福島県で開催された、第50回国民体育大会(国体)の際に「ふくしま国体讃歌」として作曲され、開会式で、福島県内の高校生による合唱、福島県警察音楽隊によって演奏された曲です。


上の動画で、6:35頃から、バックに流れているのがそうでしょう。林氏というと、ちょっと難解な現代音楽、というイメージが当方にはあるのですが、こちらはこういう機会での音楽だけあって、素直なメロディーラインのようです。

国体自体のキャッチフレーズも「友よ ほんとうの空に とべ!」でした。

言わずもがなではありますが「ほんとうの空」の語は、光太郎詩「あどけない話」(昭和3年=1928)からのインスパイア。本来「ほんとの空」ですが、時折、「う」の入った形で二次使用されています。特に東日本大震災、それに伴う福島第一原発の事故後、福島の復興の合い言葉として、一人歩きを始めた感がありますが、福島国体は平成7年(1995)。こうした例の最も早いものの一つではないかと思われます。

コンサートでは、他に、光太郎と交流のあった宮沢賢治や与謝野晶子の作品に曲を付けたものも演奏されるそうです。

コロナ感染にはお気を付けつつ、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

午後一時より横湯橋渡初式に出かける。三時頃に漸く式はじまる。それまで草原で休みゐたり。
昭和23年(1948)5月22日の日記より 光太郎66歳

「横湯橋」は「おうゆばし」と読み、光太郎が蟄居生活を送っていた花巻郊外旧太田村の山小屋から南に1㌔あまりの、現在は県道37号線(花巻平泉線)の寒沢川にかかる橋です。