オンラインでのイベントです。

第23回比較文学研究会

期 日 : 2021年7月17日(土)
時 間 : 14:30~17:00
料 金 : 無料

今回の比較文学研究会を以下のようにオンライン(Zoom)で開催致します。
会員のみなさまはもちろん、会員外の一般の方々のご参加もお待ち申し上げております。

[開 会 の 辞] 東北支部長 森田直子
[研究発表]14:35〜15:15
 茂木謙之介氏(東北大学)  雑誌『幻想文学』における須永朝彦

[特別企画]15:20~
高村光太郎『智恵子抄』仏訳(TAKAMURA Kôtarô, Poèmes à Chieko)の刊行をめぐって
 報告者 中里まき子氏(岩手大学)
 報告者 エリック・ブノワ氏(ボルドー・モンテーニュ大学)
 コーディネーター 森田直子氏(東北大学)
今年(2021年)、高村光太郎『智恵子抄』の本邦初となる仏訳が、中里まき子氏の翻訳によりフランス・ボルドー大学出版会より刊行されました。中里氏は福島のご出身で、2011年から10年かけてご訳業を完成されました。この機会に中里氏をゲストにお招きし、刊行までの経緯や翻訳作業において苦心なさった点などについて、お話を伺う(オンラインの)場を設けることにしました。仏訳協力者のエリック・ブノワ氏もご参加くださる予定です(ブノワ氏のお話については中里氏による通訳あり)。企画発案者の森田からのコメントのあとは、フロアもまじえての意見交換、質疑応答の時間といたします。

[参加について]
今回の研究会は、オンライン会議用ソフトZoomを使用しての開催となります。参加を希望される方は、別記事「オンライン参加用登録フォーム」より申し込みをお願いいたします。参加URLや資料については、研究会の前日までにお知らせいたします。
また、研究会の中継会場を東北大学に設ける予定です。会場での参加をご希望の方は、7月12日(月)までに事務局・仁平(masato.nihei.d6☆tohoku.ac.jp(※アドレス内の☆を@に変換してお使いください))までメールにてご連絡ください。
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仏訳『智恵子抄』。案内にあるとおり、『Poèmes à Chieko』の題で、今年4月に刊行されました。紀伊國屋書店さんのサイトでヒットするのですが、「ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません」だそうで、入手できずにいます。

追記:紀伊國屋さん、取り寄せを始めて下さいました。
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「本邦初となる仏訳」だそうで、そう言われてみれば、『智恵子抄』として、まとめての仏訳はたしかに無かったように思われます。

日本の名詩、的なもので、光太郎もラインナップに入り、その中に『智恵子抄』の詩篇も取り上げられている、というものはこれまでもありましたが。

004有名なところでは、光太郎生前の昭和14年(1939)、光太郎と交流のあった仏文学者・松尾邦之助による『Anthologie des Poètes japonais contemporains』(メルキュール・ド・フランス社)。この中に「あどけない話」(昭和3年=1928)、「同棲同類」(同)が含まれています。仏訳題は、それぞれ「Histoire innocente」、「Ceux qui se ressemblent vivent ensemble」。他には『智恵子抄』には含まれませんが、「触知」(同)、「火星が出てゐる」(昭和2年=1927)、「街上比興」(昭和3年=1928)、「花下仙人に遇ふ」(昭和2年=1927)。

当方、仏語はほぼほぼお手上げでして、英語に似た単語などを見つけ、そこからこの詩だろう、と推定したり、翻訳ソフトで題名を訳してみたりして突き止めました。しかし、翻訳ソフトもまだまだですね。奇抜な翻訳をしてくれちゃいます(笑)。

「Histoire innocente」→「無邪気な歴史」(あどけない話) 
「Ceux qui se ressemblent vivent ensemble」→「似ている人は一緒に住んでいます」(同棲同類)
「Connaissance par le toucher」→「タッチで知識」(触知)
「Mars est là, dans le ciel !」→「火星は、空に、ここにあります !」(火星が出てゐる)
「Divertissements dans les rues」→「ストリートエンターテイメント」(街上比興)
「Sous les fleurs, je rencontrais un ermite」→「花の下で、私はヤシに会った」(花下仙人に遇ふ)

ちなみに、英訳『智恵子抄』は、当方、二種類持っています。
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左は『CHIEKO'S SKY』。昭和53年(1978)、講談社インターナショナルさんの発行で、古田草一氏の訳です。右が『THE CHIEKO POEMS』。平成19年(2007)、Green Integer Books社さん、訳者はJohn G. Peters氏。それぞれamazonさんなどで入手可能です。

他に、部分的に『智恵子抄』英訳が含まれるものも、複数存在します。

さて、「第23回比較文学研究会」。オンラインでの開催ですが、参加できる環境にある方、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

昨夕温泉に久しぶりにて入る。深い共同風呂にも入る。泉質よきやうなり。


昭和23年(1948)4月26日の日記より 光太郎66歳

前日から宿泊していた、花巻南温泉峡・鉛温泉さんです。「深い共同風呂」は、岩を刳り抜いて自噴している、「白猿の湯」。
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この後も、何度かこの湯を堪能しています。