2件ご紹介します。
今年3月に107歳で亡くなった篠田桃紅さん。「書の道」に飽き足らず水墨による抽象表現という独自の境地を開拓。その時々の心の形を限られた色彩と奔放な線で表現した。
NHK映像ファイル あの人に会いたい「篠田桃紅(美術家)」
NHK総合 2021年6月26日(土) 5:40~5:50今年3月に107歳で亡くなった篠田桃紅さん。「書の道」に飽き足らず水墨による抽象表現という独自の境地を開拓。その時々の心の形を限られた色彩と奔放な線で表現した。
桃紅さんは大正2年旧満州生まれ。5歳の時、父から書の手ほどきを受け、23歳で書道家として独立。しかしその独創的な文字は当時の書道界に受け入れらえず、やがて抽象表現を志向。戦後、単身アメリカに渡り抽象表現主義の隆盛を目の当たりにすると「水墨抽象画」に転じ、世界的評価を得た。その自由な生き方をつづったエッセイは多くの人の共感を呼び、そのみずみずしい感性は100歳を過ぎても新しい作品を生み出し続けた。
【出演】美術家…篠田桃紅,【語り】柘植恵水
今年3月に亡くなった、篠田桃紅さん。「書」からスタートしましたが、伝統に囚われることなく、やがて墨による抽象表現の世界は、1950年代のニューヨークでも高く評価されました。エッセイストとしても足跡を残し、近年は満100歳を超えられてから、立て続けにエッセイ集を刊行、常に着物姿の凜としたたたずまいと相まって、人気を博しました。
篠田さんの座右の銘の一つが、光太郎の「道程」(大正3年=1914)。複数のエッセイ集にその記述が見られます。ただ、10分間の短い番組ですので、そういった話は出て来るかどうか……ですが。
この番組、「「あの人に会いたい」はNHKに残る膨大な映像音声資料から、歴史に残る著名な人々の叡知の言葉を今によみがえらせ永久に保存公開する「日本人映像ファイル」を目指す番組です。」(公式ホームページ)だそうで、直近の放映では、安野光雅さん、福本清三さん、田辺聖子さん、岡村喬生さん、坂本スミ子さんが取り上げられています。
平成17年(2005)には、当会の祖・草野心平も。サブタイトル的に「死んだら死んだで生きてゆくのだ」(いや、無理でしょう、心平さん(笑))。その他、文学方面、美術方面などで、光太郎智恵子光雲らと関わった人々が、実に多数(ざっとカウントしても数十人)。NHKアーカイブスさんのページ内は「ジャンル検索」「50音検索」などの機能が充実しています。残念ながら、光太郎本人は生前にテレビ出演をしませんでしたので、ありませんが。
もう1件。
もしや、明日にでも世界へと羽ばたくかもしれない?!まさに「ブレイク前」の新人アート作家の作品、制作風景、こだわり、プライベートなどを紹介。
で、宮村弦さん。平成29年(2017)から翌年にかけ、静岡の島田市博物館さんで開催された「第71回企画展 宮村弦 -モールス・コード- 新しい言葉の{カタチ}」で、「智恵子抄」オマージュの作品も出品なさいました。「モールス・コード(モールス符号)を視覚化した作品」だそうでした。
まったくの偶然ですが、篠田さん同様、宮村さんも「書」から出発し、従来の「書道」の枠組みから飛び出して、新たな抽象表現を追い求めていらっしゃいます。意識していらっしゃるかどうかはわかりませんが、篠田さんのDNAが受け継がれていると言ってもいいのではないでしょうか。
それぞれ、ぜひご覧下さい。
明日もテレビ放映系、ちょっとだけ当方もお手伝いした番組をご紹介します。
【折々のことば・光太郎】
ねてゐる顔にもちらちら雪かかる、
蟄居生活を送っていた、花巻郊外旧太田村の粗末な山小屋。壁の透き間から舞い込んだ吹雪が、うっすら布団に積もったというエピソードが有名ですが、その典拠の一つとなる記述です。
今年3月に亡くなった、篠田桃紅さん。「書」からスタートしましたが、伝統に囚われることなく、やがて墨による抽象表現の世界は、1950年代のニューヨークでも高く評価されました。エッセイストとしても足跡を残し、近年は満100歳を超えられてから、立て続けにエッセイ集を刊行、常に着物姿の凜としたたたずまいと相まって、人気を博しました。
篠田さんの座右の銘の一つが、光太郎の「道程」(大正3年=1914)。複数のエッセイ集にその記述が見られます。ただ、10分間の短い番組ですので、そういった話は出て来るかどうか……ですが。
この番組、「「あの人に会いたい」はNHKに残る膨大な映像音声資料から、歴史に残る著名な人々の叡知の言葉を今によみがえらせ永久に保存公開する「日本人映像ファイル」を目指す番組です。」(公式ホームページ)だそうで、直近の放映では、安野光雅さん、福本清三さん、田辺聖子さん、岡村喬生さん、坂本スミ子さんが取り上げられています。
平成17年(2005)には、当会の祖・草野心平も。サブタイトル的に「死んだら死んだで生きてゆくのだ」(いや、無理でしょう、心平さん(笑))。その他、文学方面、美術方面などで、光太郎智恵子光雲らと関わった人々が、実に多数(ざっとカウントしても数十人)。NHKアーカイブスさんのページ内は「ジャンル検索」「50音検索」などの機能が充実しています。残念ながら、光太郎本人は生前にテレビ出演をしませんでしたので、ありませんが。
もう1件。
ブレイク前夜〜次世代の芸術家たち〜 第273回 宮村弦(墨象作家)
BSフジ 6月29日(火) 21:55〜22:00もしや、明日にでも世界へと羽ばたくかもしれない?!まさに「ブレイク前」の新人アート作家の作品、制作風景、こだわり、プライベートなどを紹介。
学生時代から書道家に憧れ、文字と向き合ってきた彼が今追い求めるのは「見る文字」ではなく、「触る文字」。点の凹凸のみで語られるメッセージ。限られた人のみが理解できるそのコミュニケーション手段はアートへと昇華することで新たな表現となる。
出演者 宮村弦(墨象作家) 吉村民
上記「あの人に会いたい」が、「過去の人々」であるなら、こちらの番組は「これからの人々」というコンセプトですね。各界の若手注目株を取り上げる番組です。で、宮村弦さん。平成29年(2017)から翌年にかけ、静岡の島田市博物館さんで開催された「第71回企画展 宮村弦 -モールス・コード- 新しい言葉の{カタチ}」で、「智恵子抄」オマージュの作品も出品なさいました。「モールス・コード(モールス符号)を視覚化した作品」だそうでした。
まったくの偶然ですが、篠田さん同様、宮村さんも「書」から出発し、従来の「書道」の枠組みから飛び出して、新たな抽象表現を追い求めていらっしゃいます。意識していらっしゃるかどうかはわかりませんが、篠田さんのDNAが受け継がれていると言ってもいいのではないでしょうか。
それぞれ、ぜひご覧下さい。
明日もテレビ放映系、ちょっとだけ当方もお手伝いした番組をご紹介します。
【折々のことば・光太郎】
ねてゐる顔にもちらちら雪かかる、
昭和23年(1948)1月7日の日記より 光太郎66歳
蟄居生活を送っていた、花巻郊外旧太田村の粗末な山小屋。壁の透き間から舞い込んだ吹雪が、うっすら布団に積もったというエピソードが有名ですが、その典拠の一つとなる記述です。