テレビ放映情報です。
「“冬に行きたい”名湯ベスト10」をご紹介!全国の雪見風呂&絶景が広がる温泉が続々と登場する! 1位に輝いた温泉には、大久保佳代子とたんぽぽ川村の仲良しコンビが来訪。 一度は入ってみたい…誰もが感嘆する絶景風呂を堪能する。落ち着いたら、絶対に行きたい温泉であること間違いなし!
『高村光太郎山居七年』(初版 昭和37年=1962 筑摩書房/新版 平成27年=2015 花巻高村光太郎記念会)から。
大沢温泉は川向きの室で、夜になると豊沢川の流れの音がするし、カジカの鳴声もするし、閑静で、考えごとの仕事などにとてもよいです。湯は体のためにも大変よいし、気分もさわやかになり、病後やけがなどした時は温泉はいいです。豊沢川添いの温泉は、遊蕩的な気分が割になくって、閑静で、落ついてけばけばしさのないことが何よりです。大沢で変なことがありましたよ。泊まったある夜、入浴しようと風呂に行ったところ、中年の婦人がたった一人入っておるんです。みんなが混浴する風呂だから、入っても差し支えないとは思ったが、婦人一人のところに入っていくのもどうかと考えて、その婦人の上がるのを待ちました。ところがまたそこに別の婦人が来て入れ替わりにその人が入ってしまった。おやおやと思ってみたものの、入っていく機会をなくしてしまった。待っているうちにまたも婦人がやってきた。そうこうして一時間半ばかり待ってやっと入れたんですよ。女風呂の風呂番みたいなことを長々やりました。滑稽でしたね。
昭和26年(1951)、村人に語った内容です。笑えますね。
ちなみに少し前、動画投稿サイトYouTubeに、花巻観光協会さん作成の「【岩手・花巻】花巻12湯(はなまきじゅうにとう)プロモーション動画【花巻温泉郷】」がアップされました。
大沢温泉さんの部分(1:11~)では、光太郎の名も出して下さっています。
さて、「土曜スペシャル」。他にも光太郎が浸かった温泉が複数取り上げられます。
「▽大自然に囲まれる!120畳の雪見大露天」は、おそらく、群馬県みなかみ町の宝川温泉汪泉閣さん。映画「テルマエ・ロマエⅡ」(平成26年=2014 阿部寛さん主演)のロケにも使われ、一躍有名になりました。光太郎は昭和4年(1929)と、同17年(1942)の2回、宿泊しています。どうも2度目に泊まった際の建物、部屋がそのまま残っているようで、いずれ訪れようと思っております。
上の画像は当方手持ちの古絵葉書、下は不鮮明ながら、昭和17年(1942)、宿の主人(鈴木重郎)と一緒に撮った写真です。鈴木の回想文(『藤原風土記』(安達成之、川崎隆章編 宝川温泉汪泉閣発行)所収「宝川温泉にちなんだ話 高村光太郎氏訪れる」昭和38年=1963)から採りました。
また、「▽創業140年!国の有形文化財の湯」は、同じく群馬県みなかみ町の法師温泉長寿館さんと思われます。大正末から昭和初めにかけて、光太郎が4回ほど足を運んでいます。明治28年(1895)に建築された、フランス風の飾り窓を持つ建築が有名です。昭和56年(1981)には、当時の国鉄が発売した「フルムーンパス」のポスターやCMで、上原謙さんと高峰三枝子さんが熟年夫婦を演じられてここで撮影、話題となりました。
視聴可能な地域にお住まいの方、ぜひご覧下さい。
【折々のことば・光太郎】
土曜スペシャル 冬本番! 雪見の名湯&絶景露天風呂SP~いいお湯・夢気分~
地上波テレビ東京 2021年2月6日(土) 18時30分~19時54分「“冬に行きたい”名湯ベスト10」をご紹介!全国の雪見風呂&絶景が広がる温泉が続々と登場する! 1位に輝いた温泉には、大久保佳代子とたんぽぽ川村の仲良しコンビが来訪。 一度は入ってみたい…誰もが感嘆する絶景風呂を堪能する。落ち着いたら、絶対に行きたい温泉であること間違いなし!
▽大自然に囲まれる!120畳の雪見大露天
▽雲の上から望む!標高1300mの天空風呂
▽空と海とひとつに!潮風香る絶景の湯
▽大正ロマン漂う湯の郷!夜の雪化粧風呂
▽開湯から1900年!乳白色の雪見温泉
▽川岸に湧く…緑と黒 2色のにごり湯
▽宮沢賢治が愛した!清流の混浴露天
▽創業140年!国の有形文化財の湯
▽江戸時代から続く湯治場!湯も景色も白い幻想的な世界
出演者 大久保佳代子(オアシズ) 川村エミコ(たんぽぽ)
このうち、「宮沢賢治が愛した!清流の混浴露天」は、おそらく花巻南温泉峡・大沢温泉さんでしょう。賢治は、父・政次郎が関わっていた仏教講習会の場だった同温泉をたびたび訪れていました。子どもの頃の賢治が写った写真も残っています。
光太郎も大沢温泉の混浴露天風呂を利用していました。『高村光太郎山居七年』(初版 昭和37年=1962 筑摩書房/新版 平成27年=2015 花巻高村光太郎記念会)から。
大沢温泉は川向きの室で、夜になると豊沢川の流れの音がするし、カジカの鳴声もするし、閑静で、考えごとの仕事などにとてもよいです。湯は体のためにも大変よいし、気分もさわやかになり、病後やけがなどした時は温泉はいいです。豊沢川添いの温泉は、遊蕩的な気分が割になくって、閑静で、落ついてけばけばしさのないことが何よりです。大沢で変なことがありましたよ。泊まったある夜、入浴しようと風呂に行ったところ、中年の婦人がたった一人入っておるんです。みんなが混浴する風呂だから、入っても差し支えないとは思ったが、婦人一人のところに入っていくのもどうかと考えて、その婦人の上がるのを待ちました。ところがまたそこに別の婦人が来て入れ替わりにその人が入ってしまった。おやおやと思ってみたものの、入っていく機会をなくしてしまった。待っているうちにまたも婦人がやってきた。そうこうして一時間半ばかり待ってやっと入れたんですよ。女風呂の風呂番みたいなことを長々やりました。滑稽でしたね。
昭和26年(1951)、村人に語った内容です。笑えますね。
ちなみに少し前、動画投稿サイトYouTubeに、花巻観光協会さん作成の「【岩手・花巻】花巻12湯(はなまきじゅうにとう)プロモーション動画【花巻温泉郷】」がアップされました。
大沢温泉さんの部分(1:11~)では、光太郎の名も出して下さっています。
さて、「土曜スペシャル」。他にも光太郎が浸かった温泉が複数取り上げられます。
「▽大自然に囲まれる!120畳の雪見大露天」は、おそらく、群馬県みなかみ町の宝川温泉汪泉閣さん。映画「テルマエ・ロマエⅡ」(平成26年=2014 阿部寛さん主演)のロケにも使われ、一躍有名になりました。光太郎は昭和4年(1929)と、同17年(1942)の2回、宿泊しています。どうも2度目に泊まった際の建物、部屋がそのまま残っているようで、いずれ訪れようと思っております。
上の画像は当方手持ちの古絵葉書、下は不鮮明ながら、昭和17年(1942)、宿の主人(鈴木重郎)と一緒に撮った写真です。鈴木の回想文(『藤原風土記』(安達成之、川崎隆章編 宝川温泉汪泉閣発行)所収「宝川温泉にちなんだ話 高村光太郎氏訪れる」昭和38年=1963)から採りました。
また、「▽創業140年!国の有形文化財の湯」は、同じく群馬県みなかみ町の法師温泉長寿館さんと思われます。大正末から昭和初めにかけて、光太郎が4回ほど足を運んでいます。明治28年(1895)に建築された、フランス風の飾り窓を持つ建築が有名です。昭和56年(1981)には、当時の国鉄が発売した「フルムーンパス」のポスターやCMで、上原謙さんと高峰三枝子さんが熟年夫婦を演じられてここで撮影、話題となりました。
視聴可能な地域にお住まいの方、ぜひご覧下さい。
【折々のことば・光太郎】
夜半セキと一緒に廻虫一匹出る。いかの脚の如き弾力ある強靱さなり。三寸五分以上あり。
昭和21年(1946)5月3日の日記より 光太郎64歳
「廻虫」は「カイチュウ」。現代ではほぼ聞かなくなった寄生虫ですね。こうした部分が、光太郎の花巻郊外旧太田村での山小屋暮らしが「自虐的」とも評されるゆえんです。