智恵子の故郷、福島県二本松で智恵子の顕彰活動をなさっている智恵子のまち夢くらぶさんの会報的な『智恵子講座2020文集』が届きました。

基本、11月に行われた「智恵子講座2020」(当初、今月20日にも予定されていましたが、そちらは中止になったようです)に参加した方々の感想集的なものですが、それ以外の会の活動報告的な内容、それらが取り上げられた地方紙のコピーなども載っています。
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寄せられた原稿をそのままコピーして綴ったものですので、手書きの原稿も多数。

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この手作り感があたたかみを感じさせます。

当方も講師として参加させていただきましたので、何か書くようにというお達しがあり、講座終了後に宿泊した岳温泉の「あだたらの宿扇や」さんに関して。
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扇やさんでは、新たに入手された光太郎書と智恵子の紙絵の実物が飾られており、さらに展示はされていないものの、光太郎の生写真なども所蔵されています。

実際に見てみるまでは不確かな情報でしたので、講座の中ではその件には触れませんでした。そこで、この場を借りて紹介し、二本松の皆さんにぜひご覧頂きたいと思った次第です。

来年は『智恵子抄』初版の発刊(昭和16年=1941)から80周年の記念の年(ということはイコール太平洋戦争開戦80周年でもありますね。幼稚なネトウヨが大喜びしそうで今から憂鬱です(笑))なので、夢くらぶさんとしても、さまざまなイベントを考えられているようです。その計画案も載っていました。
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『智恵子抄』、それから『智恵子抄その後』(昭和25年=1950)等所収の詩の人気投票的な「「智恵子抄」総選挙」、「「智恵子抄」安達太良キャンプ」(この中でまた講座の講師をやれといわれております)、そして第2回「「智恵子抄」朗読全国大会」(第1回の模様はこちら)などなど。

それぞれまた詳細が出ましたらご紹介します。

【折々のことば・光太郎】

夜度々おきる、 暁天に廿八九日の細き弦月を見る。甚だ凄し。


昭和20年(1945)11月2日の日記から 光太郎63歳
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田舎では今でもそうですが、月明かりのない夜は本当に真っ暗です。ましてや終戦直後の花巻郊外旧太田村、夜の闇はまさに「漆黒」だったことでしょう。

すると、いきおい、光太郎の目は夜空に向けられたのだと思われます。日記には天体に関する記述が頻出しています。東京住まいの長かった光太郎には、光害のほとんどない場所で見る月や星の美しさは、実に新鮮だったのでしょう。