光太郎の父・光雲の木彫が出ています

特集展示「福島美術館の優品」

期 日 : 2020年12月1日(火)~2021年1月31日(日)
会 場 : 仙台市博物館 宮城県仙台市青葉区川内26
時 間 : 9時00分から16時45分
休 館 : 月曜日(祝日・振替休日の場合は開館)
      祝日・振替休日の翌日(土曜日・日曜日、祝日の場合は開館)
      年末年始 12月28日(月)~1月4日(月)
料 金 : 一般・大学生 460円(360円)高校生 230円(180円)
      小・中学生 110円(90円) ( )内団体料金

仙台市若林区土樋(つちとい)にあった福島美術館(社会福祉法人共生福祉会運営)は、仙台で活躍した実業家・福島家が三代にわたり集めた約3,000点の美術工芸品を収蔵していました。
その内容は、伊達家ゆかりの文化財をはじめ、仙台四大(しだい)画家による絵画、さらに福島家が支援した近代の画家・書家の作品や、茶道具・香道具といった工芸品など多岐にわたります。
「街の小さな美術館」の愛称で親しまれてきた同館は平成30年に活動を休止し、文化財の多くが当館に寄託されました。
この特集展示では、福島美術館の資料の中から選りすぐりの優品を紹介します。
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仙台にかつてあった私立の福島美術館さん。当方も2度お邪魔しました。一昨年に閉館となり、所蔵品はどうなったのだろうと思っておりましたが、こちらに寄託されていたのですね。散逸しなかったのは幸いでした。

同館では、光雲作の木彫を2点所蔵されていました。

1点は光雲・光太郎父子と交流があった僧侶にしてチベット仏教学者の河口慧海にかかわる如来坐像。
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もう1点は、「聖観音像」。こちらは平成23年(2011)の東日本大震災まで、光雲作であるという認識がなく、神棚に置かれていていたそうです。それが震災で倒れ、初めて光雲作の銘が確認されたとのこと。そして神棚から「落ちなかった」ことで、一時、受験生に霊験あらたかという都市伝説が広まりました。

今回の展示では、「聖観音像」が出品されているそうです。

コロナ禍に充分お気を付けつつ、ぜひ足をお運び下さい。

【折々のことば・光太郎】003 (2)

入湯。幽邃境也

昭和20年(1945)6月18日の日記より
 光太郎63歳

5月16日に花巻の宮沢賢治実家に疎開してきて、翌日、肺炎のため41℃の高熱を発し、1ヶ月臥床。6月15日には床上げをし、この日から24日まで、予後を養うため花巻郊外西鉛温泉に滞在しました。

「幽邃」は「ゆうすい」。「景色などが奥深く静かなこと」といった意味です。西鉛温泉、当時は明治館改め秀清館という一軒宿で、明治22年(1889)の創業。この頃は、賢治の母の実家が経営していました。当時としては珍しい四階建ての日本家屋で、建築設計にも手を染めていた光太郎、その造作に感心しきりでした。

現在は西鉛温泉の呼称は廃され、少し離れた場所で新鉛温泉となっています。