突発的に何もなければ、今日から3日間は、少し前に出た、光太郎智恵子に関わる刊行物をご紹介します。「少し前」=「最新刊にあらず」。言い訳させていただけるなら、以前にも書きましたが、コロナ禍のため新刊書店に足を運ぶ機会が激減しましたので、見落としがいろいろありまして……。

まずはコミックです

山と食欲と私 11巻

2020年1月15日 信濃川日出雄著 新潮社 定価520円+税
 
27歳、会社員の日々野鮎美は、「山ガール」と呼ばれたくない自称・単独登山女子。変態アウトドア女子・黒蓮に誘われ、いざ東北旅へ。しかし、高速道路を使わない夜通しドライブ/適当すぎる登山計画/鮎美を置いて行動など自由奔放な黒蓮にイライラを溜める鮎美。果たして旅の最後は笑顔になれるのか――。活火山・浅間山で有名人に遭遇/ついに小松原さんに「彼」が!? キャッシュレスの波が山にまで――など、意外性強めな11巻!
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目次
 115話 軽井沢・浅間山編① 離れ山とラスク
 116話 軽井沢・浅間山編② マグマとろとろ火山丼000
 117話 軽井沢・浅間山編③ ガス抜きの浅間嶽
 118話 ひやあつ残雪そうめん
 119話 限界! ぎゅうパンチョコバナナ
 120話 巻物と履き物
 121話 恋するウドナポ
 122話 かわいいこやでむすちまき
 123話 東北ギンギン山巡り編① 無計画の佐野ラーメン
 124話 東北ギンギン山巡り編② 安定のコンビニ朝ごはん
 125話 東北ギンギン山巡り編③ 風に吹かれてずんだ餅


というわけで、山ガールを主人公としたコミックです。ウェブコミックサイト「くらげバンチ」さんに連載されているもので、溜まったところで紙の本として刊行というスタイルのようです。

で、上記目次の色を変えた2話、第124話第125話で、智恵子の故郷・福島二本松に聳える安達太良山が描かれ、光太郎智恵子に触れられてています。ただ、ウェブ上と刊行されたものとで話数にずれが生じています。スピンオフなどの影響でしょうか。
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一時、令和改元の頃は安達太良山といえば「「令和」の元ネタの『万葉集』にも謳われた」という枕詞が流行りましたが、最近はそうでもなくなったようで、また『智恵子抄』が復権(笑)。

山ガールと言えば、平成29年(2017)には山ガール向けの月刊誌『ランドネ』さんが、やはり『智恵子抄』がらみで安達太良山をご紹介下さいました。また、山ガールではありませんが、キャンプ女子を主人公としたコミック「ゆるキャン△」第5巻では、ダイヤモンド富士の見えるスポットとして山梨県富士川町の光太郎文学碑を物語の舞台の一つにして下さっています。

今後もアウトドア女子の皆さんの各方面でのご活躍に期待します。また、『山と食欲と私』、今度はぜひ信州上高地のクラシックルートも取り上げていただきたいものです。

【折々のことば・光太郎】

賢治さんはそのほか生活の中でせられたことが全部詩となり行動そのままが詩で、ラヂウムが放射されるように体から放射された一つ一つが詩ということがこちらへ来てこまかく聞いたり、みたりしてはつきりわかつた、


談話筆記「人間的な詩人」より 昭和22年(1947) 光太郎65歳

岩手の、それも街なかでなく郊外の山村の風土の中で暮らすうち、宮沢賢治の精神がより一層体感出来るようになったというのです。