地方紙『福島民友』さんの記事から

高村智恵子の紙絵、実物10点展示 11月24日まで二本松の記念館

000 二本松市出身の洋画家高村智恵子が病床で制作した紙絵の実物展示は11月24日まで、同市智恵子記念館で開かれている。紙の色合いや質感といった本物だからこそ分かる作品の魅力を味わえる。
 智恵子は精神を病み、入院先のゼームズ坂病院での2年間の闘病生活で千数百点の紙絵を制作した。作品は智恵子の才能が開花したなどと高く評価された。同館では高村家から譲渡を受けて24点を収蔵している。
 紙絵の紙質が悪く、照明などで劣化しやすいため同館は通常、複製を展示する。このため本物に触れる機会を―と年2回、収蔵品の中から10点を選び、実物を展示。今回は「青い魚と花」や「菊」「小鉢」が展示され、来館者が「奇跡」ともいわれる智恵子の紙絵に触れている。
 開館時間は午前9時~午後4時30分(最終入館は同4時)。水曜休館。入館料は高校生以上410円、小・中学生210円。問い合わせは同館(電話0243・22・6151)へ。

記念館に隣接する智恵子の生家では、智恵子の居室を含む2階部分の特別公開も実施中。『民友』さんでは過日、その件を報じて下さいましたが、今度は記念館での紙絵実物展示の件。一度に紹介してしまえばいいような気もしますが、もしかすると当ブログ同様、「ネタは小出しにする」ということなのかもしれません(笑)。
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以前にも同じようなことを繰り返し書いていますが、実物の紙絵は厚さ1㍉にも満たない中で、紙の重なりが微妙な立体感を生み出しています。これは精巧な複製であっても表現できないことで、やはり実物を見ていただきたく存じます。

実物展示は11月24日(火)まで(水曜休館)。併せて生家2階の公開にも足をお運び下さい。ただ、そちらは土日祝日のみですのでご注意下さい。


【折々のことば・光太郎】

自然に帰れ、芸術は絶対である、純一である。

散文「貧弱なる個性の発露」より 明治45年(1912) 光太郎30歳

心を病み、夢幻界の住人となった智恵子の紙絵。究極の自然に帰った芸術と言えるような気がします。