北海道から書道展情報です

ミュージアム・コレクション秋~冬 鷗亭と賢治・光太郎

期 日 : 2020年10月3日(土)~2021年1月31日(日)
会 場 : 北海道立函館美術館 北海道函館市五稜郭町37-6
時 間 : 午前9時30分~午後5時00分
休 館 : 月曜日 祝日等の場合は翌火曜日 11月30日(月)~12月4日(金)
      12月28日(月)~2021年1月4日(月)
料 金 : 一般260(210)円 高大生150(110)円 ( )内団体料金

宮沢賢治と高村光太郎。生前に一度だけ出会ったふたりの詩が、金子鷗亭の書により、一堂に会します。
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金子鷗亭、明治39年(1906)、北海道松前出身の書家です。近代詩を書いた作品(近代詩文書)が多く、光太郎詩も取り上げていて、平成26年(2014)に佐賀唐津で開催された「比田井天来門下四書家の足跡を辿る 四神の書-上田桑鳩・手島右卿・金子鴎亭・桑原翠邦」でも光太郎詩を扱った作品が展示されました。おそらく、細かな出品目録等が出なかった展覧会で、当方の検索網に引っかからなかったこうした例はもっとあったと思われます。

ちなみに令孫・金子大蔵氏も光太郎詩を題材にされた作品を多数書かれています。

数年前、光太郎詩が書かれた鷗亭の作品集的な書籍を入手しました。平成15年(2003)刊行の『教本・鷗亭詩文書名品選8 高村光太郎「冬の言葉」「金秤」』。
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「冬の言葉」は昭和3年(1928)、「金秤」は明治44年(1911)に、それぞれ発表された詩です。
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「冬の言葉」は長い詩なので、上記画像は冒頭部分だけです。

同じシリーズの第11巻には、やはり光太郎詩「葱」(大正15年=1926)を書いた作品が載っているはずなのですが、そちらは未入手です。

それから賢治の詩も書かれているそうで、それらの集成とのこと。首都圏であれば見に行くところですが……。

お近くの方、ぜひどうぞ。


【折々のことば・光太郎】

ありったけの力で最善を尽くせばいいのです。自分を捨ててかかればいいのです。僕はお金も名誉も望みません。世の中の役に立てばいいのです。

談話筆記「高村光太郎先生説話 一四」より
昭和25年(1950) 光太郎68歳

花巻郊外旧太田村に蟄居中、近くの山口小学校で開かれたPTA主催講演会の冒頭に語った言葉です。

膨大な翼賛詩文を書いていた戦時中も、考え方の根本はこうだったと思われます。ただ、そのベクトルが誤った方向だったわけで……。