「事件」です。

『毎日新聞』さんの大阪版から

御堂筋、花の怪 銅像に謎の「飾り」出現

 大阪市のメインストリート・御堂筋に並ぶブロンズ彫刻群に6月以降、色とりどりの花飾りが付けられている。誰が、何のためにやったのか分からず、管理する大阪市は撤去に乗り出した。飾りはそれぞれデザインが異なり、花が枯れると交換されるなど手が込んでおり、地元ではその遊び心を歓迎する声も。2011年には、彫刻群が突然、何者かによって赤い服を着せられた「事件」もあり、9年ぶりのミステリーに関係者は首をひねっている。

 「御堂筋彫刻ストリート」と呼ばれる南北約2キロのエリアで、御堂筋の両側にある歩道に計29体の人物像が並ぶ。ロダンや高村光太郎など著名作家の作品もあり、地元企業の寄付などで09年までに設置された。

  大阪市都市計画課によると、花飾りは6月上旬、市民からの連絡で初めて確認された。像の破損などはなく、全部で何体に付けられたかは不明という。 毎日新聞の記者が8~9月に確認したところ、大阪メトロ淀屋橋駅から本町駅までの区間にある10 体に付けられていた。一部の飾りは花が古くなると、数日後に新しい花に替えられていた。

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記事にあるとおり、大阪のメインストリート・御堂筋には「御堂筋彫刻ストリート」ということで、内外の彫刻作品が多数設置されています。「市民や国内外からの来訪者に親しまれるアメニティ豊かな芸術・文化軸として整備していくため、沿道企業等からの寄付により、世界的にも一級品である彫刻を設置」というコンセプトだそうです。

大阪名所の一つで、これまでもたびたび新聞等で取り上げられ、このブログでご紹介しています。
まちあるき「御堂筋は名彫刻の宝庫だ(東側コース)~グレコも高村光太郎も~」。
「(勝手に関西遺産)ほんまもん 29体どうぞぅ」。
光太郎智恵子関連新聞記事等。
乙女の像。
「御堂筋の彫刻の奥ゆかしさ」。
新聞各紙から。
新聞各紙から。

光太郎作の「十和田湖畔の裸婦群像の為の中型試作」も「みちのく」というタイトルで設置されています。その名の通り、生涯最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」の約2分の1スケールの試作です。試作ですが、十和田湖に設置された完成作、これより小さい小型試作を含めた3種類のうち、最も智恵子の顔に近いと言われています。当方、2度、拝見してきました

その「みちのく」も「被害」に。
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しかしこれらの花輪、実に手が込んでいますね(笑)。像の黒とリンドウの紫の対比が実に美しい(笑)。

これも記事にありますが、平成23年(2011)にも、これらの像に赤い服が着せられるという「事件」が起き、やはり「みちのく」もやられました。
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この時は、地元の皆さん、現代アートのインスタレーション的なイベントの一環かと思ったとのことでした。

ちなみに本家十和田湖の「乙女の像」は、掲げた左手に、智恵子が愛したレモンが持たされたということがあったそうです。

これらを「作者に対する冒涜」ととらえるか、「オマージュ」や「リスペクト」の表出と解釈するか、あるいは「おもろいからええんちゃう?」と見るか、皆さんはいかがでしょうか?


【折々のことば・光太郎】

十月になると、もう涼しくなりますし、空もよくなりますね。いまは日中、まだ暑いですからね。
談話筆記「高村光太郎先生説話 七」より
昭和24年(1949) 光太郎67歳

蟄居生活を送っていた花巻郊外太田村の山小屋近くの山口小学校の職員室で、9月末に語った雑談の一節です。

夏の暑さにことのほか弱かった光太郎、秋の到来を待ちわびていたようです。