新聞記事等2件ご紹介します。
まず『岩手日報』さん。昨日掲載分で、花巻高村光太郎記念館さんでの光雲作「鈿女命」像展示について。
花巻市太田の高村光太郎記念館(佐々木正晴館長)は23日まで、彫刻家で詩人の光太郎の父で、日本近代彫刻界の礎を築いた光雲(1852~1934年)の木彫像「鈿女命(うずめのみこと)」を展示している。1月に光雲の孫で一橋大名誉教授の藤岡貞彦さん(85)=横浜市=が寄贈。光太郎が疎開した地に、日本を代表する彫刻家親子の作品が初めてそろった。
題材は日本神話の天鈿女命。天照大神(あまてらすおおみかみ)が天の岩戸にこもり世界が暗闇になったが、天鈿女命が踊りを披露して天照大神が岩戸の隙間から顔をのぞかせた逸話がモチーフとなっている。
木彫像は桜材の一木造りで高さ33㌢。作品には光雲の銘がなく、緻密な仕上げも施されていないことから、習作や制作途中だった可能性が高い。しかし、躍動感のある身のこなしや着物の細やかな意匠など光雲の木彫像の特徴が色濃く表れている。
木彫像を入れる箱には光太郎の自筆で「男 光太郎 識」と書かれており、間違いなく光雲の作品であることが示されている。1935(昭和10)年前後に光太郎が使っていた「光」の文字が彫られたはんこも押されている。
藤岡さんは、光太郎の弟に当たる父から遺産として木彫像を相続。「記念館は光太郎さんが移り住んでいた場所にあり、作品を譲るのに最もふさわしい」と寄贈を決めた。
同館は午前8時半~午後4時半で、会期中は無休。入場料は一般350円、高校・学生250円、小中学生150円。問い合わせは同館(0198・28・3012)へ。
他紙等で既報の記事は以下の通り。『朝日新聞』さん、『岩手日日さん』と『河北新報』さん、IBC岩手放送さん、NHKさん。
展示は23日(水)までです。
まったく別件ですが、『読売新聞』さんの夕刊1面コラムに光太郎の名が。9月16日(水)掲載分です。
さすがに前政権のおぼえめでたかった同紙だけある論調ですね。
引用されている詩「牛」全文はこちら。
【折々のことば・光太郎】
新しい時代感覚を持たなければ、世の中の指導者になる資格がありません。時代という流れは大きな力を持っています。
まず『岩手日報』さん。昨日掲載分で、花巻高村光太郎記念館さんでの光雲作「鈿女命」像展示について。
高村親子の作品花巻に 光雲の木彫像を展示 孫が寄贈、特徴色濃く 光太郎記念館

題材は日本神話の天鈿女命。天照大神(あまてらすおおみかみ)が天の岩戸にこもり世界が暗闇になったが、天鈿女命が踊りを披露して天照大神が岩戸の隙間から顔をのぞかせた逸話がモチーフとなっている。
木彫像は桜材の一木造りで高さ33㌢。作品には光雲の銘がなく、緻密な仕上げも施されていないことから、習作や制作途中だった可能性が高い。しかし、躍動感のある身のこなしや着物の細やかな意匠など光雲の木彫像の特徴が色濃く表れている。
木彫像を入れる箱には光太郎の自筆で「男 光太郎 識」と書かれており、間違いなく光雲の作品であることが示されている。1935(昭和10)年前後に光太郎が使っていた「光」の文字が彫られたはんこも押されている。
藤岡さんは、光太郎の弟に当たる父から遺産として木彫像を相続。「記念館は光太郎さんが移り住んでいた場所にあり、作品を譲るのに最もふさわしい」と寄贈を決めた。
同館は午前8時半~午後4時半で、会期中は無休。入場料は一般350円、高校・学生250円、小中学生150円。問い合わせは同館(0198・28・3012)へ。
他紙等で既報の記事は以下の通り。『朝日新聞』さん、『岩手日日さん』と『河北新報』さん、IBC岩手放送さん、NHKさん。
展示は23日(水)までです。
まったく別件ですが、『読売新聞』さんの夕刊1面コラムに光太郎の名が。9月16日(水)掲載分です。
よみうり寸評
「牛」という詩の冒頭で高村光太郎はその特徴を挙げた。〈のろのろと歩く〉と。だが意志は強い。〈牛は後(あと)へはかへらない/足が地面へめり込んでもかへらない〉◆政界でまず連想されるのは鈍牛と呼ばれた大平正芳元首相だが、この人の経歴も牛の歩みに重なろう。午後の国会で首相に指名される運びの菅義偉氏である。47歳で国政に進出するまでの半生はすっかり知れ渡った◆牛は力も強い。詩人はいう〈弾機(ばね)ではない/ねぢだ/坂に車を引き上げるねぢの力だ〉。バネが跳ね上げるようだった前政権の手並みを思う。アベノミクスで景気を一気に回復軌道に乗せたが、近頃はバネの伸びも案じられた◆先の連想から菅氏の身上はネジの力にあるとも考えられよう。地方創生、財政再建等々、粘り強さを生かすにはあつらえ向きの中長期的課題が待ち受ける。ただしコロナ禍という眼前の関門を越すにはバネの力が欠かせない◆新政権の本領はネジかバネか。その船出にあたり、両方の力を併せ持つに違いないと願望を記す。さすがに前政権のおぼえめでたかった同紙だけある論調ですね。
引用されている詩「牛」全文はこちら。
【折々のことば・光太郎】
新しい時代感覚を持たなければ、世の中の指導者になる資格がありません。時代という流れは大きな力を持っています。
談話筆記「高村光太郎先生説話 六」より
昭和24年(1949) 光太郎67歳
だ、そうです、新総理。