花巻高村光太郎記念館さんで明日からはじまる展示「光太郎の父 光雲の鈿女命(うずめのみこと)」について、『朝日新聞』さんが岩手版で報じて下さっています。 

岩手)高村光雲の木彫が花巻市に 光太郎記念館で初公開

 彫刻家高村光太郎の父で、近代彫刻の巨匠、高村光雲(1852~1934)の作とみられる木彫像が、光雲の孫から花巻市に寄贈された。4日から同市の高村光太郎記念館で初公開される。
 作品「鈿女命(うずめのみこと)」は高さ33センチの一木造りの彫像。日本神話で天照大神が天岩戸にこもってこの世が暗闇となった時、岩戸の前で踊って大神を誘い出したとされる天鈿女命(あまのうずめのみこと)が題材だ。
 光雲の四男で植物学者の藤岡孟彦さん(1892~1977)が形見分けとして受け継いだものといい、昨年11月、孟彦さんの次男で一橋大学名誉教授の教育学者、藤岡貞彦さん(85)=横浜市=が「光太郎ゆかりの地で保管・展示してほしい」と花巻市に寄贈を申し出た。
 同12月、花巻市の依頼を受けた光太郎研究の第一人者である小山弘明さん(55)=千葉県香取市=が、箱にある「高村光雲作 木彫 昭和十年 男光太郎識」の墨書が光太郎の直筆であることや、作品の意匠、伝来などから「光雲作」と確認した。
 伝統仏師で西洋美術を学んだ光雲は、東京・上野公園の西郷隆盛像や国重要文化財「老猿」の作者でも知られる近代彫刻家。小山さんによると、「下絵」は残されているが、光雲作の天鈿女命の像はこれまで確認されていないという。
 小山さんは「おそらく試作品だが、彫刻史的にも大変貴重だ」。寄贈した藤岡さんは「今まで世に知られていない作品だが、あるべきところに保管されて良かった」と話した。 5月に公開予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い延期されていた。展示は23日まで。(溝口太郎)

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関連行事として、9月15日(火)に「光太郎の父 高村光雲の彫刻に触れる」と題して、市民講座講師を仰せつかっており、パワーポイントでスライドショーを制作中です。

そこで、光雲の人となり、光太郎との彫刻観の相違など、改めて調べ直してみて、「こういうことだったか」と、自分でも勉強させていただいております。

記事にあるとおり、展示は明日から9月23日(水)まで。あまり期間が長くないのですが、コロナウィルス感染防止にお気を付けた上で、ぜひ足をお運び下さい。


【折々のことば・光太郎】002

それは無論出来の悪い為ではなく当時の審査官の固持せる美の標準からは醜悪極まる物に見えたのであつた。其の證拠には三年後のサロンで同じ物が立派に通過した。

談話筆記「ロダン翁病篤し」より 
大正6年(1917) 光太郎35歳


ロダン初期の作、「鼻の潰れた男」に関してです。『東京日日新聞』2月2日の掲載です。

前年、軽い脳溢血を起こしたロダンは、以後、健康に不安を訴え、同じく病気がちだった内妻ローズ・ブーレと入籍を果たしました。しかしそれもむなしく、ローズは2月に歿し、ロダンも後を追うように11月に亡くなりました。