昨今流行の「文豪」ものの新刊です。
しかし、板野氏による「小さなアトリエの中は二人だけの世界であり、一つの宇宙だった。世間から遮断されたその生活は、貧しくとも芸術のために捧げられた美しさがあった」という指摘はその通りだと思いました。
他に光太郎と交流の深かった面々もいろいろと紹介されています。
ぜひお買い求めを。
【折々のことば・光太郎】
家屋なるものは衣食住の住のみを以て能事終れりとしては居られない。只住むといふ以外に何等か求むる処がなければならぬと云ふ事が感付かれる。
2020年8月20日 板野博行著 三笠書房(王様文庫) 定価780円+税
いくら天才作家だからって、ここまでやっていいものか――?
誰もが知る文豪の「やばすぎる素顔」に迫る本。
酒も女も、挫折も借金も……全部、「小説のネタ」だった!?
「あの名作」は、こうして生まれた!
目次
はじめに――酒も女も、挫折も借金も……全部「小説のネタ」だった!?
1章 「天才」って、ホントつらいんですよ……「ブッ飛んだ感性&行状」にもほどがある!
ハチャメチャな生き方で女にもてまくり! 太宰治
滅びの美学を表明! 「憂国」の天才作家 三島由紀夫
ギョロ目のノーベル賞作家はちょっとロリコン!? 川端康成
「狂気」に飲み込まれる前に死んでしまいたい 芥川龍之介
ケンカ上等!! 神童、かくして悪童になる 中原中也
知の巨人は「痴の巨人」でもあった? 森鷗外
元祖ニート! 結婚後も親にたかりまくる 萩原朔太郎
ソドム(背徳)の徒が仕込んだ「檸檬」爆弾 梶井基次郎
2章 「愛欲生活」すなわち「文章修業」!?
ストリップ劇場と私娼街に通い詰めた男 永井荷風
あつすぎる血潮! ブッ飛んだ情熱歌人 与謝野晶子
姦通罪で「名声ドボン!」のエキゾチック詩人 北原白秋
女弟子の「蒲団」の残り香を涙ながらに嗅ぐ男 田山花袋
「家族計画」ゼロ! 血縁の呪縛に懊悩した 島崎藤村
「純愛一筋」から「火宅の人」に大豹変! 檀一雄
ブッ飛びの「お嬢様ワールド」全開! 岡本かの子
3章 「金の苦労」があの名作を生んだ!
金の使い道の最善は「女へやる事」と豪語 直木三十五
「東大教授の椅子」を蹴った理由は年俸額 夏目漱石
匹婦の腹に生まれた「ザ・苦労人」 室生犀星
生活力なし! ヒロポン中毒の大阪人 織田作之助
十七歳で一家の大黒柱!「薄幸の天才」 樋口一葉
酒びたり放浪生活で「パンクな句」を連発! 種田山頭火
4章 「ピュアすぎる」のも考えもの……どうしても“突き詰めず”にはいられない!
ハンサムが台無し! 心中して腐乱死体で発見 有島武郎
日本酒すら煮立てて飲む「潔癖症」 泉鏡花
智恵子との「ピュアピュア♡」な関係 高村光太郎
ゴッホ同様、生前まったく売れず! 宮沢賢治
お目出たき人人すぎる「上流階級の坊っちゃん」 武者小路実篤
「知識人の懊悩」に精通した大秀才 中島敦
「生きよ、墜ちよ」と煽った文壇の寵児 坂口安吾
5章 「変人たちのボス」はやっぱり変人
「文春砲」を作った男 菊池寛
「小説の神様」は「情事も神業」 志賀直哉
谷崎から妻を譲り受けた「門弟三千人」の男 佐藤春夫
生きるために「猛烈に食った」男 正岡子規
「伝説の劇団」を主宰! 言葉の錬金術師 寺山修司
コラム 作家の子供たち/キラキラネームの元祖!?/文士と薬物
国木田独歩と有島武郎/言文一致運動
特に目新しいことが書いてあるわけではないのですが、肩のこらない「文豪」たちの入門編としてはなかなかよくできています。
光太郎の項は、智恵子との生活が中心(戦中戦後、そして最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」制作にも触れられています)。
その中で、室生犀星の『我が愛する詩人の伝記』(昭和33年=1958)からエピソードが引かれています。すなわち、「裸の光太郎の背中の上に、同じく裸の智恵子が乗って、「お馬どうどう、ほら行けどうどうと、アトリエの板の間をぐるぐる廻って歩いた」というもの。たしかに犀星、このように書き残していますが、これが事実なのかどうか、眉唾の部分もあります。犀星は話の出所を明記していませんし、当方、寡聞にしてこれ以外にこのエピソードが書かれたものを知りません。演劇などではこのシーンを使う場合がありますが。
目次
はじめに――酒も女も、挫折も借金も……全部「小説のネタ」だった!?
1章 「天才」って、ホントつらいんですよ……「ブッ飛んだ感性&行状」にもほどがある!
ハチャメチャな生き方で女にもてまくり! 太宰治
滅びの美学を表明! 「憂国」の天才作家 三島由紀夫
ギョロ目のノーベル賞作家はちょっとロリコン!? 川端康成
「狂気」に飲み込まれる前に死んでしまいたい 芥川龍之介
ケンカ上等!! 神童、かくして悪童になる 中原中也
知の巨人は「痴の巨人」でもあった? 森鷗外
元祖ニート! 結婚後も親にたかりまくる 萩原朔太郎
ソドム(背徳)の徒が仕込んだ「檸檬」爆弾 梶井基次郎
2章 「愛欲生活」すなわち「文章修業」!?
……先生方、それはちょっとハッチャケすぎでは
性的倒錯のめくるめく世界へ! 谷崎潤一郎ストリップ劇場と私娼街に通い詰めた男 永井荷風
あつすぎる血潮! ブッ飛んだ情熱歌人 与謝野晶子
姦通罪で「名声ドボン!」のエキゾチック詩人 北原白秋
女弟子の「蒲団」の残り香を涙ながらに嗅ぐ男 田山花袋
「家族計画」ゼロ! 血縁の呪縛に懊悩した 島崎藤村
「純愛一筋」から「火宅の人」に大豹変! 檀一雄
ブッ飛びの「お嬢様ワールド」全開! 岡本かの子
3章 「金の苦労」があの名作を生んだ!
……「追い詰められる」ほどに冴えわたる才能!?
なぞの自信で短歌連発! 天才的たかり魔 石川啄木金の使い道の最善は「女へやる事」と豪語 直木三十五
「東大教授の椅子」を蹴った理由は年俸額 夏目漱石
匹婦の腹に生まれた「ザ・苦労人」 室生犀星
生活力なし! ヒロポン中毒の大阪人 織田作之助
十七歳で一家の大黒柱!「薄幸の天才」 樋口一葉
酒びたり放浪生活で「パンクな句」を連発! 種田山頭火
4章 「ピュアすぎる」のも考えもの……どうしても“突き詰めず”にはいられない!
ハンサムが台無し! 心中して腐乱死体で発見 有島武郎
日本酒すら煮立てて飲む「潔癖症」 泉鏡花
智恵子との「ピュアピュア♡」な関係 高村光太郎
ゴッホ同様、生前まったく売れず! 宮沢賢治
お目出たき人人すぎる「上流階級の坊っちゃん」 武者小路実篤
「知識人の懊悩」に精通した大秀才 中島敦
「生きよ、墜ちよ」と煽った文壇の寵児 坂口安吾
5章 「変人たちのボス」はやっぱり変人
……「君臨する」気持ちよさって、癖になっちゃう!
文壇のドンは日本一の食道楽 尾崎紅葉「文春砲」を作った男 菊池寛
「小説の神様」は「情事も神業」 志賀直哉
谷崎から妻を譲り受けた「門弟三千人」の男 佐藤春夫
生きるために「猛烈に食った」男 正岡子規
「伝説の劇団」を主宰! 言葉の錬金術師 寺山修司
コラム 作家の子供たち/キラキラネームの元祖!?/文士と薬物
国木田独歩と有島武郎/言文一致運動
特に目新しいことが書いてあるわけではないのですが、肩のこらない「文豪」たちの入門編としてはなかなかよくできています。
光太郎の項は、智恵子との生活が中心(戦中戦後、そして最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」制作にも触れられています)。
その中で、室生犀星の『我が愛する詩人の伝記』(昭和33年=1958)からエピソードが引かれています。すなわち、「裸の光太郎の背中の上に、同じく裸の智恵子が乗って、「お馬どうどう、ほら行けどうどうと、アトリエの板の間をぐるぐる廻って歩いた」というもの。たしかに犀星、このように書き残していますが、これが事実なのかどうか、眉唾の部分もあります。犀星は話の出所を明記していませんし、当方、寡聞にしてこれ以外にこのエピソードが書かれたものを知りません。演劇などではこのシーンを使う場合がありますが。
しかし、板野氏による「小さなアトリエの中は二人だけの世界であり、一つの宇宙だった。世間から遮断されたその生活は、貧しくとも芸術のために捧げられた美しさがあった」という指摘はその通りだと思いました。
他に光太郎と交流の深かった面々もいろいろと紹介されています。
ぜひお買い求めを。
【折々のことば・光太郎】
家屋なるものは衣食住の住のみを以て能事終れりとしては居られない。只住むといふ以外に何等か求むる処がなければならぬと云ふ事が感付かれる。