一般に、美術館さんの展示というと、「企画展(特別展)」と「常設展(通常展)」に分かれます。

一人の作家などに焦点を当てて、期間限定で開催されるのが「企画展(特別展)」。この際には他館や個人から、展示品を借り入れることがほとんどです。

それに対し、自館の所蔵品を通年で展示するのが「常設展(通常展)」。小規模な個人経営の館などには、これだけでやっている所もあります。

乱暴な云い方をすれば、ある意味、その中間が「収蔵品展(所蔵品点)」。収蔵品の点数が多い館などでは、よく行われます。他館や個人から展示品を借り入れるわけではないけれど、ある程度テーマを決めて、自館の収蔵品からセレクトして展示するという、「企画展(特別展)」に近いものと、たくさん収蔵品があって、死蔵にならないためにローテーション的に展示替えをする「常設展(通常展)」に近いものとがあります。

このブログでは、そうした「収蔵品展(所蔵品展)」に関しては、あまり取り上げてきませんでした。特にローテーション的な展示はテーマもあいまいで、紹介しにくい部分がありますし、各館でもそれほど力を入れて宣伝しないため、こちらも気がつきにくいというのがその理由です。

今後もこのブログではあまり触れないつもりでおりますが、たまたま現在もしくは近々、光太郎作品がこうした「収蔵品展(所蔵品展)」に展示されている(これから展示される)館が複数あり、今日はまとめてご紹介します。 
会 場 : 東京国立近代美術館 東京都千代田区北の丸公園3-1
会 期 : 2016年3月8日(火)~5月15日(日) 月曜休館
時 間 : 10:00-17:00、金曜日は20:00まで
料 金 : 一般430円(220円) 大学生130円(70円) ( )内は20名以上の団体料金

光太郎作品はブロンズの「手」が出品されています。
 

アート・コレクション【房総と近代美術】

会 場 : 千葉県立美術館 千葉市中央区中央港1丁目10番1号
会 期 : 2016年1月23日(土)~4月3日(日) 月曜休館
時 間 : 9:00-16:30
料 金 : 一般300円(240円) 大学生150円(120円) ( )内は20名以上の団体料金

こちらでもブロンズの「手」が出ています。

以前にも書きましたが、ブロンズの作品は同一の型などから鋳造した作品が複数存在します。「手」も、おそらく日本全国に20点くらいはあるのではないかと思われます。完全な「常設展(通常展)」で展示している館もいくつかあるようです。

浮世絵の版画が、初刷りのものは高価で、後刷りになるとガクンと値が下がるように、ブロンズも作者生前に鋳造されたものと、そうでないものとで差があります。東京国立近代美術館さんのものは、光太郎生前の鋳造、台座部分は光太郎の手になる木彫です。


さらに絵画 。 

中村屋サロン美術館通常展示000

会  場 : 中村屋サロン美術館 
       新宿区新宿3丁目26番13号 新宿中村屋ビル3階
会  期 : 2016年3月19日(土)~4月24日(日)火曜休館
時  間 : 10:30~19:00
料  金 : 300円 高校生以下無料

大正2年(1913)作の光太郎油絵「自画像」が展示されています。


ついでですので、少し先の話になりますが、愛知から。 

版画と彫刻コレクション 表現×個性

会  場 : メナード美術館 愛知県小牧市小牧五丁目250番地
会  期 : 2016年5月14日(土)~7月10日(日) 月曜休館
時  間 : 10:00~17:00
料  金 : 一般900円(700円) 高大生600円(500円) 小中生300円(250円)
        ( )内は20名以上の団体料金および前売料金


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光太郎木彫の代表作の一つ、「鯰」(昭和6年=1931)が並びます。こちらはなかなか展示されないものなので、貴重な機会となります。


23時30分追記 先ほどメナード美術館さんからご連絡を戴きました。もう一つ、同館所蔵の光太郎木彫「栄螺」も出品されるそうです。


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上記は平成15年(2003)の新聞報道です。

さらに先の話ですが、「特別展(企画展)」系の情報も載せておきます。


詳細は未定ですが、夏には信州安曇野の碌山美術館さんで光太郎展があります。 

夏季特別企画展 光太郎没後60周年記念 高村光太郎-彫刻と詩-展

会  場 : 碌山美術館 長野県安曇野市穂高5095-1
会  期 : 2016年7月23日(土)~8月28日(日) 月曜日・祝祭日の翌日休館
時  間 : 9:30~17:10
料  金 : 一般700円(600円) 高校生300円(250円) 小中生150円(100円)
                        ( )内は20名以上の団体料金


また、秋には福島県二本松市の二本松歴史資料館さんで、智恵子展も。10月2日(日)~11月23日(水・祝)という日程と、会場しか決まっていませんが。

上記二つは、当方もお手伝いさせていただくことになっております。詳細が決まりましたらまたお知らせします。


【折々の歌と句・光太郎】

あながちに悲劇喜劇のふたくさの此世とおもはず吾もなまづも
昭和6年(1931) 光太郎43歳

メナード美術館さんに収蔵されている木彫「鯰」を収める袱紗(ふくさ)にしたためられた短歌です。原型は大正14年(1925)、少し違うものとして作られています。