和歌山県から企画展情報です。昨日に引き続き、光太郎の父・光雲の作品が出ています。 
期 日 : 2020年7月11日(土)~9月27日(日)
会 場 : 高野山霊宝館 和歌山県伊都郡高野町高野山306
時 間 : 午前8時30分~午後5時30分
休 館 : 会期中無休(8月24日(月)のみ展示替えのため休館)
料 金 : 一般 600円 高校生・大学生 350円(※学生証提示必要) 小・中学生 250円

 「如来」とは、「悟った者」という意味で、仏の最高位にあたることから、古来より様々な人々の信仰を集めてきました。曼荼羅の中心に位置する大日如来、極楽浄土に導く阿弥陀如来、無病息災をかなえる薬師如来などがよく知られ、高野山では、主にお寺の本尊として祀られています。高野山霊宝館では、こうした様々な如来像、また如来に関わる文化財が数多く伝わっています。
 今回の展覧会では、当館に所蔵されているこれらの中から、珠玉の文化財を展示いたします。

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7月11日(土)~8月23日(日)が前期、8月25日(火)~9月27日(日)で後期と、二期に分かれていますが、光雲作の「仏頭」(昭和8年=1933頃)は通期展示です。

こちらは、金剛峯寺さんご本尊の薬師如来坐像のための習作。ただ、習作と言っても、その大きさは半端なものではありません。

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同像は、昭和元年(1926)の火災で焼失してしまったかつてのご本尊を、光雲が請われて復刻したものです。現在も秘仏の扱いですが、開山1200年を記念して平成27年(2015)に特別開帳があり、NHKさんの「日曜美術館」でも取り上げられました。

完成は昭和9年(1934)、光雲の亡くなった年でした。金剛峯寺さんから依頼があったとき、光雲は高齢(数え82歳)で、制作途中で倒れるかも、と、一旦断りましたが、同寺の高僧の「完成するまであなたが死なないように全山挙げて加持祈祷をする」との一言で押し切られてしまったそうです。これも凄い話ですね(笑)。結局、こちらが光雲ほぼ最後の大作となったようです。

他にも国宝、重文を含む寺宝の数々がズラリ。出品目録はこちらです。

コロナ感染予防対策徹底の上、ぜひ足をお運び下さい。


【折々のことば・光太郎】

日本に真に有機的な文化の起るために、今後の勇進を切望します。

散文「有機的な文化の起る為に」より 昭和2年(1927) 光太郎45歳

神奈川の小田原で発行されていた文芸同人誌『生誕』(藪田久男主宰)が第20輯記念号を出し、それに伴って光太郎や萩原朔太郎らに寄稿を求めたものです。

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題字揮毫は北原白秋です。

上記、高野山金剛峯寺さんのご本尊制作に際しての光雲も、高齢を押して引き受けたのは、「有機的な文化」の継承、という使命感がそうさせたのでは、などと思っております。