緊急事態宣言の解除を受け、各地の美術館さん等の再開があいついで居ます。ところが、なかなか旧に復するには至らないようで、「そう来るか」というものも……。
神戸市の兵庫県立美術館さん。まずは状況をわかりやすくするために、昨日の『毎日新聞』さん神戸版から。
「会期は大幅に短縮された」とあり、「どのくらいだ?」と思ったところ、何とまあ、たった6日間の開催だそうです。
早速、同点について調べてみました。
令和2(2020)年は、当館の前身である県立近代美術館が開館して50年目にあたります。本展はこれを記念して開催するものです。
開館以来の50年。この間、日本全国のみならず世界規模で見ても、美術の概念や社会における美術に対する期待のあり方は大きく変わりました。その中で、新たに発見・発掘された名品、解釈がかわることで新たな魅力が付与された名品があり、一方、オーラの幾分かが減少することで評価の核心が見えにくくなった名品の存在があります。また、全国各地で美術館・博物館建設が進み、それらの施設が地域とのかかわりを探る中で、地域ならではの価値が見出されて名品となった作品もあることでしょう。
本展は、そのような作品の評価の変遷や、受容のされ方、あるいは作者と作品への関心が遠のくさまにも注目しながら、名品とは何か、何であったのか、そして美術館および観覧者にとって、どのような可能性を持ちうるのかを探ろうとするものです。扱う時代区分としては、当館が前身の近代美術館時代から収集や展覧会開催の対象としてきた近代を扱うこととし、各作品の開館当時の美術状況と評価の地平を探る意図から、下限を近代美術館開館の1970年前後に設定したいと思います。また、この期間の美術の流れが概観できる構成とし、あわせて県内の美術を考える上で重要な作品、当館収蔵品のうち、50年の歩みの中で評価が確立した名品なども紹介することとします。※新型コロナウイルス感染防止のため、会期変更となりました。
当初予定では4月11日(土)からでしたが、6月1日(月)まで休館を余儀なくされ、その後、会期は変えずに6月7日(日)までとのこと。当然、この後の特別展、企画展等の予定も組んであるわけですから、これも苦渋の決断なのでしょう。たとえ6日間の開催でも、せっかく企画したからにはやるぞ、と、いうことでしょうか。
作品リストもネット上に出ており、それによれば光太郎作品は大正6年(1917)の「裸婦坐像」。ブロンズの小品です。信州安曇野の碌山美術館さん、花巻の髙村光太郎記念館さん、二本松の智恵子記念館さん、神奈川県立近代美術館さん、千葉県立美術館さんなど、各地に同型のものが所蔵されていますが、こちらは京都国立近代美術館さん所蔵のもの。おそらく、滋賀の銀行家だった野田守雄が光太郎に直接注文し、渡されたもので、数少ない大正期の鋳造です。
その他、リストを見ると、確かに「超・名品」の名に恥じぬ作品の数々。光太郎とも親交の深かった作家の作品も多数出ており、首都圏開催でしたらすぐにでも見に行きたいところです。
同館蔵のものより借り受けた作品の方が多いかな、という感じで、これだけのものを借りるだけ借りて結局展示できませんでした、ではたしかにもったいないと思います。たとえ6日間の展示でも。
観覧には予約が必要とのことですが、ぜひにという方、同館までお問い合わせ下さい。
【折々のことば・光太郎】
分らなくても宜いのか、或は分らない程宜いのか知らないが、政治家の言葉をもつとずつと分る言葉にして呉れると宜いですね。聴けば一般の人が分るやうにね。今のでは聴いただけでは分らない。
神戸市の兵庫県立美術館さん。まずは状況をわかりやすくするために、昨日の『毎日新聞』さん神戸版から。
超・名品展が開幕 ファン来場多く 県立美術館で7日まで /兵庫
県立美術館(神戸市中央区脇浜海岸通1)で2日、「開館50周年 超・名品展」(毎日新聞社など主催)が開幕した。新型コロナウイルスの影響で同美術館はこの日から再開。会期は大幅に短縮されたが、初日から多くの美術ファンらが訪れている。7日まで。
1970年に県立近代美術館としてオープン以来、節目ごとに名作展などを開催してきた。 今回は「名品とは、時の流れや見る人によって変化する」との視点で、「復活」した作品や「誰も知らない」ものにも光を当てた。絵画、彫刻、版画、写真など多彩なジャンルや時代の約100点を展示。作家は東山魁夷、小磯良平、高村光太郎、草間彌生ら多岐にわたる。
来館した伊丹市の大学教員、 香曽我部秀幸さん(70)は「見応えのある作品が多い」と楽しそうに鑑賞していた。 混雑緩和のため、観覧は県立美術館のホームページから事前予約が必要。【木田智佳子】
来館した伊丹市の大学教員、 香曽我部秀幸さん(70)は「見応えのある作品が多い」と楽しそうに鑑賞していた。 混雑緩和のため、観覧は県立美術館のホームページから事前予約が必要。【木田智佳子】
「会期は大幅に短縮された」とあり、「どのくらいだ?」と思ったところ、何とまあ、たった6日間の開催だそうです。
早速、同点について調べてみました。
期 日 : 2020年6月2日(火)~6月7日(日)
会 場 : 兵庫県立美術館 神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1(HAT神戸内)
時 間 : 10:00~18:00
休 館 : なし
料 金 : 一般 1,300円 大学生900円 高校生以下無料
令和2(2020)年は、当館の前身である県立近代美術館が開館して50年目にあたります。本展はこれを記念して開催するものです。
開館以来の50年。この間、日本全国のみならず世界規模で見ても、美術の概念や社会における美術に対する期待のあり方は大きく変わりました。その中で、新たに発見・発掘された名品、解釈がかわることで新たな魅力が付与された名品があり、一方、オーラの幾分かが減少することで評価の核心が見えにくくなった名品の存在があります。また、全国各地で美術館・博物館建設が進み、それらの施設が地域とのかかわりを探る中で、地域ならではの価値が見出されて名品となった作品もあることでしょう。
本展は、そのような作品の評価の変遷や、受容のされ方、あるいは作者と作品への関心が遠のくさまにも注目しながら、名品とは何か、何であったのか、そして美術館および観覧者にとって、どのような可能性を持ちうるのかを探ろうとするものです。扱う時代区分としては、当館が前身の近代美術館時代から収集や展覧会開催の対象としてきた近代を扱うこととし、各作品の開館当時の美術状況と評価の地平を探る意図から、下限を近代美術館開館の1970年前後に設定したいと思います。また、この期間の美術の流れが概観できる構成とし、あわせて県内の美術を考える上で重要な作品、当館収蔵品のうち、50年の歩みの中で評価が確立した名品なども紹介することとします。※新型コロナウイルス感染防止のため、会期変更となりました。
当初予定では4月11日(土)からでしたが、6月1日(月)まで休館を余儀なくされ、その後、会期は変えずに6月7日(日)までとのこと。当然、この後の特別展、企画展等の予定も組んであるわけですから、これも苦渋の決断なのでしょう。たとえ6日間の開催でも、せっかく企画したからにはやるぞ、と、いうことでしょうか。
作品リストもネット上に出ており、それによれば光太郎作品は大正6年(1917)の「裸婦坐像」。ブロンズの小品です。信州安曇野の碌山美術館さん、花巻の髙村光太郎記念館さん、二本松の智恵子記念館さん、神奈川県立近代美術館さん、千葉県立美術館さんなど、各地に同型のものが所蔵されていますが、こちらは京都国立近代美術館さん所蔵のもの。おそらく、滋賀の銀行家だった野田守雄が光太郎に直接注文し、渡されたもので、数少ない大正期の鋳造です。
その他、リストを見ると、確かに「超・名品」の名に恥じぬ作品の数々。光太郎とも親交の深かった作家の作品も多数出ており、首都圏開催でしたらすぐにでも見に行きたいところです。
同館蔵のものより借り受けた作品の方が多いかな、という感じで、これだけのものを借りるだけ借りて結局展示できませんでした、ではたしかにもったいないと思います。たとえ6日間の展示でも。
観覧には予約が必要とのことですが、ぜひにという方、同館までお問い合わせ下さい。
【折々のことば・光太郎】
分らなくても宜いのか、或は分らない程宜いのか知らないが、政治家の言葉をもつとずつと分る言葉にして呉れると宜いですね。聴けば一般の人が分るやうにね。今のでは聴いただけでは分らない。
座談会筆録「芸術と生活を語る」より 昭和15年(1940) 光太郎58歳
80年前からそうだったのですね。「真摯に受け止めて……」「任命責任は私にあると痛感……」「国民の皆様には丁寧な説明を……」「説明責任を果たして……」「誤解を与えたとすれば発言は撤回……」「印象操作はやめていただきたい……」「××には当たらない……」(笑)。さすがに「募ってはいるが募集はしていない」「森羅万象すべて担当しておりますので」というような、まったくもって意味不明の発言はなかったと思いますが(笑)。