最近手に入れた古いものシリーズです。

今回はアナログレコード。昭和58年(1983)にリリースされた野口五郎さんのLP「野口五郎 増刊号」です。野口さん自選のベストアルバム的なコンセプトで、「私鉄沿線」「19:00の街」など14曲の他、野口さんによる朗読4篇が収められています。

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ラストが光太郎詩「道程」(大正3年=1914)を元にした「GOROの道程」朗読。

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無理くり感がありますが(笑)。まあ、このあたりが「昭和」の感覚ですね。

他に光太郎と交流のあった宮沢賢治の「雨ニモマケズ」、中原中也の「サーカス」、それから島崎藤村の「千曲川旅情の歌」のパロディ朗読も収められています。

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ライナーノート(という言葉は当時はなかったか、あっても一般的ではなかったように思いますが)的な部分に、こちらも無理くり感がありますが、「道程」が引かれています。

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「高村太郎」となっているのはご愛嬌(笑)。

それにしても、野口さん、光太郎が亡くなった昭和31年(1956)のお生まれだったのですね。

野口さんの一つ年上で、さらに郷ひろみさんを加えて「新御三家」と称された故・西城秀樹さん。三回忌となりましたが、脳梗塞から復帰後は、朗読劇にも挑戦されるようになり、やはり「道程」(雑誌『美の廃墟』初出掲載の102行バージョン)を取り上げて下さっていました。

ちなみに現在発売中の『週刊現代』さんに、西城さんの3回忌ということで、その当たりにも触れられた記事が出ています。題して「西城秀樹 いまだから言える話 もう三回忌なんですね」。

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ただ、「高村光太郎」とか「道程」とかの文字はありませんでした。

ところで、今さらアナログレコードを買って、聴けるのか? とお思いの方がいらっしゃいましょうが、大丈夫です。EP、LP、それからSPまで聴け、さらにUSBでPCと接続し、デジタルデータが作れるレコードプレーヤーを持っています。光太郎作詞の戦時歌謡や、光太郎詩の朗読が収められたSPを聴く都合があり、購入しました。

明日も最近入手したアナログレコードをご紹介します。


【折々のことば・光太郎】

此の人等は、しん底から自分の立つてゐる地面を考へたことがあるでせうか、そして、今、世界の人間がどの位の芸術境に立ち入つてゐるかを見渡した事があるでせうか。
アンケート「日本画と四画伯について」より
大正元年(1912) 光太郎30歳

「四画伯」は、竹内栖鳳、寺崎広業、横山大観、下村観山。けちょんけちょんですね(笑)。海外留学からの帰朝後まだそれほど経っていない時期ですので、西洋で見た最先端の芸術と比較した時、日本画の古臭さ、そこから発展しようとしない閉鎖性などが許し難かったのだと思われます。

しかし、大観や観山は日本画の革新を目指し、いわゆる「朦朧体」などに挑戦していました。ところがこれなども光太郎にとっては小手先だけの工夫に過ぎない、という感覚だったのかもしれません。