1週間ほど前、久しぶりに地域の新刊書店さんに行きました。なぜ久しぶりだったかというと、まぁ、外出自粛の要請に応じ、というのが一つ。それから、「風が吹けば桶屋が儲かる」的な、回りまわっての理由で足が遠のいていました。すなわち、「生活圏外で光太郎智恵子がらみのイベントや展覧会等が催される」→「新幹線や高速バスで移動」→「その車中で読むための新刊書籍(頭を使わなくて済む時代小説、推理小説等)が必要」→「新刊書店に行って購入」というサイクルだったのですが、最初の「生活圏外で光太郎智恵子がらみのイベントや展覧会等が催される」が無くなってしまったため、以下も無くなっていたわけです。

ところが、あまり長く新刊書店さんに行かないでいると、出版界の情報に取り残される、というか、時代小説や推理小説を買うついでに他のコーナーを見ると、意外と光太郎智恵子がらみの新刊が知らずに出ているのに気づけない、というわけで、1週間ほど前、久しぶりに地域の新刊書店さんに行きました。

案の定、知らずに出ていた光太郎智恵子がらみの書籍を発見。まずはムックです。 

2020年3月31日 山と渓谷社編刊 定価1000円+税

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今年こそ、日本一美しい上高地の高原を歩きましょう!
一冊まるごと上高地号。

■特集 「最も美しい上高地へ」
●巻頭グラフ 上高地、折々の景
●上高地周辺登山地図
●上高地誕生のヒミツ
●第1部 上高地を歩く(大正池、河童橋周辺、小梨平、明神、徳沢)
・ルポ 春の愉快な仲間たち
・ルポ 夏の上高地自然散歩
・イラストマップ 大正池・田代池・田代湿原エリア/河童橋エリア/明神エリア/徳沢エリア/横尾エリア
・ルポ  岳沢トレイルへGO!
・コラム 上高地施設案内 上高地郵便局、インフォメーションセンター、ほか
・ビジターセンタースタッフに聞く、上高地の楽しみ
・エッセイ 斎藤由香〈父・北杜夫と訪ねた上高地の思い出〉
・インタビュー 明神館 梨子田満さん
●第2部 上高地の自然
・上高地は自然の宝庫
・上高地の森と生き物(植物・樹木/哺乳類/鳥類)
・フィールド昆虫記
・グラフ 上高地 春を歓ぶ声
●第3 部 上高地周辺の山々へ
・上高地の古き守り人、陰の立役者たち
・ルポ 焼岳ワンデイハイキング(中の湯〜焼岳〜上高地)
・ルポ 蝶ヶ岳、はじめての北アルプス(徳沢〜蝶ヶ岳往復)
・人物 徳本峠道を守る人々
・上高地から歩く登山ガイド
 霞沢岳、蝶ヶ岳、焼岳、徳本峠越え、涸沢、奥穂高岳、北穂高岳、西穂高岳、前穂〜奥穂
・穂高岳の岩壁
・グラフ 70's~80's  あの日、ボクらはあの山で…、誌面でふり返る涸沢・穂高・上高地
・ノウハウ 穂高の歩き方 安全に楽しむためのTips13
●第4 部 上高地旅の情報
・上高地、穂高宿泊案内
・アクセスガイド
・上高地ランチ&カフェMAP
・上高地を知るためのブックガイド
●特別企画
お~い蕎麦だよ 「乗鞍、奈川、稲核」に在来そばの名店を訪ねて


上記目次の色を変えた項に、光太郎智恵子の名が。

まず、「インタビュー 明神館 梨子田満さん

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次に「上高地の古き守り人、陰の立役者たち」。

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それから、「上高地から歩く登山ガイド」中の「徳本峠越え」。

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最後に、「上高地を知るためのブックガイド」。

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このブログでかつてご紹介した書籍が2冊、紹介され011ています。まず、『紀行とエッセーで読む 作家の山旅』。同じ山と渓谷社さんで出している「ヤマケイ文庫」の一冊で、同社の編とクレジットされています。光太郎作品は、上高地での感興を題材とした詩「山」(大正2年=1913)、「狂奔する牛」(大正14年=1925)、それから戦後の「岩手山の肩」(昭和22年=1947)の三篇の詩、それからエッセイ「智恵子の半生」(昭和15年=1940)からの抜粋が載せられています。

さらに同じ「ヤマケイ文庫」ラインナップ中の『名作で楽しむ上高地』(大森久雄氏編)。こちらにも「狂奔する牛」全文と「智恵子の半生」の抜粋が載っています。

『名作で楽しむ上高地』の方は、巻末の広告ページにも。

ところで、上高地というと、昨夜のNHKさんのニュースで取り上げられていました。  

宣言解除 上高地へ路線バス再開

北アルプスの玄関口、長野県松本市の上高地では、緊急事態宣言が解除されて初めての週末となった16日、運行を休止していた路線バスがおよそ1か月ぶりに再開しました。

緊急事態宣言を受けて長野県は観光地の宿泊施設などに休業への協力を依頼していましたが、16日から緩和されました。
こうした中、先月18日から運休していた上高地に通じる路線バスが運行を再開し、松本市内のバス停では、午前8時40分の始発に登山客とみられる数人が乗車しました。
運行会社によりますと、感染防止のため車内にアルコール消毒液を置いて利用を呼びかけるほか、客席と運転席との間には飛まつを防ぐシートを設置したということです。
また、運行本数は当面、通常の5分の1の1日3往復に減らし、岐阜県側から上高地に入るバスは県をまたぐ移動をともなうため運休を続けることにしています。
例年、いまの時期は多くの観光客で混雑する上高地ですが、16日は午前中から雨が降り、訪れる人の姿はまばらでした。
松本市に隣接する塩尻市から訪れた71歳の男性は「ことしは初めて来ました。いつもより静かな上高地を楽しむことができました」と話していました。
バスを運行するアルピコ交通の辻善弘・新島々営業所長は、「運休の継続も考えましたが、地元で働く人の足を確保するため再開しました。対策を徹底しながら、段階的に運行していきたい」と話していました。


とりあえず上高地に足を踏み入れることはできるようになったようですが、まだまだ油断は禁物。やはりNHKさんのニュースでは、長野県内の宿泊施設で、感染予防にものすごく神経を使っている、という件も報じられていました。

いつもおなじようなことを書いていますが、コロナに関し、何の心配もなく移動ができるような日が、遠からずやってくることを祈念いたしております。

さて、『山と溪谷2020年5月号増刊 「最も美しい上高地へ」』、ぜひお買い求め下さい。


【折々のことば・光太郎】

自然直伝  短句揮毫  戦後期?

これもどういうシチュエーションで書かれた言葉なのか当方は存じませんが、おそらく、自らの芸術(特に造型)のありようについての言ではないでしょうか。余計なことをして自然の美しさを損なうことなく、そのまま再現すべし、と。

簡単そうでいて実は難しいことのように思われます。対象物の構造から何から、丸ごとに把握しなければならないわけですから。