先月27日、花巻高村光太郎記念館さんの女性スタッフの皆さんによる「手作り光太郎マスク」寄贈の件、『岩手日報』さんでは早々に報じて下さいましたが、5月2日(土)には『岩手日日』さん、そして昨日、『朝日新聞』さんの岩手版で報道されましたので、ご紹介します。

まず『岩日』さん。 

真心つなぐ善意の輪 光太郎先生の教え今に

 新型コロナウイルスの感染予防に役立ててもらおうと、花巻高村光太郎記念会(大島俊克会長)の有志は4月27日、手ぬぐいを使った手作りマスクを花巻市の太田小学校と西南中学校に寄贈した。詩人で彫刻家の高村光太郎(1883~1956年)の詩「非常の時」を添えて助け合いの思いを伝えるとともに、児童生徒の健やかな成長を願った。
 1945年4月の空襲で東京のアトリエを失った光太郎は花巻に疎開し、終戦後は旧太田村山口の山小屋(現高村山荘)で約7年間、独居自炊の生活をしながら住民と交流した。つながりは現在も受け継がれ、同市太田の太田小学校は「正直親切」など光太郎の筆跡を校内に掲示し、6年生児童は「高村光太郎先生に学ぶ会」で地域ゆかりの先人に理解を深めている。
 この日は同市太田の新渕和子さん、高橋順子さんが同校を訪れ、高学年用と低学年用のマスク計100枚を梅木康行校長に手渡した。同記念会が新商品として製作した「正直親切手ぬぐい」を使用し、耳に掛ける部分はストッキングを活用するなど工夫。光太郎が花巻空襲の際、総合花巻病院の医師や看護師の奮闘をたたえた詩「非常の時」の一節を添えた。
 新渕さん、高橋さんは「光太郎先生は困った人を助けることは尊いことという意味で『非常の時』を書いている。私たちもその精神を引き継ぎ、何かの役に立てればとマスクを作った」と説明。梅木校長は「子どもたちの安全第一に使わせていただく」と感謝した。
 同市轟木の西南中学校には、同市の障害者支援ボランティアグループあおぞらから無償提供された花巻まつり用手ぬぐいで製作したものも含め、全校生徒分のマスク158枚を贈った。

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校長先生、早速かわいらしいリス柄のマスクを着用して下さっています(笑)。

ちなみに先日、同館の玄関付近の木にエゾリスらしき姿が現れたそうで、下記はその画像です。

エゾリス


続いて、『朝日』さん。 

岩手)手作り「光太郎マスク」、小中学校2校に寄贈 記念会、職員手づくり

 一般財団法人花巻高村光太郎記念会が、花巻市内の小中学校2校に職員手作りのマスクを寄贈した。
 高村光太郎記念館で4月から発売予定だった手ぬぐいなどを使いマスク約260枚を作り、光太郎が「心はいつでもあたらしく」などの書を贈ったことがある太田小と西南中に届けた。包みには花巻空襲の際、危険を顧みず負傷者の救護にあたった医師や看護師をたたえて光太郎が作った詩「非常の時」の一節「人危きを冒して人を護るは貴いかな」と記したカードも添えた。
 「光太郎精神を引き継ぎ、何かお役に立てればと思った」と職員代表の新渕和子さん。太田小の梅木康行校長は「絶対に感染は起こさないと心を新たにしました」と話した。

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同館女性スタッフによるブログサイト「森のたより」によれば、その後、太田小学校児童の皆さんからのお礼の手紙も届いたそうです。

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新型コロナ禍、まだまだ収束には時間がかかるかと存じますが、こうした善意の輪、広げていきたいものです。


【折々のことば・光太郎】

天人満堂  短句揮毫  戦後期?

「満堂」は「堂の中に満ちていること。また、堂の中にいるすべての人。満場」。昨日ご紹介した「天人充満」とほぼ同義でしょう。やはり自らを手厚く遇してくれた花巻周辺の人々に対する謝意と思われます。

コロナ禍に揺れている今こそ、この国が「天人満堂」という状態であってほしいものです。