青森に本社を置く『東奥日報』さん、昨日の記事です。光太郎最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」の立つ十和田湖の話題。
にぎわい創出進む十和田湖 コロナで暗転/ホテル「4月の売り上げ99%減」/関係者、早期収束を渇望
青森県が世界に誇る観光資源である十和田湖・奥入瀬渓流エリア。十和田市はここ10年ほど、国や青森・秋田両県などと連携して再整備を図ってきた。湖面の県境画定による交付税収アップや、インバウンド(訪日外国人旅行者)増加に後押しされ、イベントによるにぎわい創出も進む。そんな中での新型コロナウイルス問題。関係者は早期収束を渇望するとともに、活性化の機運がしぼまないか危惧している。
「4月の売り上げはほとんどゼロ。前年同期の99%減です。全国的な外出自粛で5月、6月も期待できない」。湖畔の休屋でホテル「十和田荘」を営む中村秀行さんは肩を落とす。十和田湖国立公園協会理事長として十和田湖マラソン、十和田湖ウオークなど湖畔のスポーツ大会にも積極的に関わってきたが、今年は両大会とも中止。「何とか7月の『湖水まつり』は開きたい。湖上に咲く花火を見て、みんなと元気を出したいんだけれど…」
近年、十和田湖エリアの観光施策には追い風が吹いていた。2008年に青森・秋田両県の境界が画定したことで、湖面の面積割合「青森6、秋田4」に応じて、09年度から年間約6700万円の地方交付税が増額されることになった。配分は青森県約2400万円、十和田市約1600万円、秋田県約1600万円、同県小坂町約1100万円。
地方交付税は本来、特定の使い道を定めず一般財源となるが、両県と両市町は連携して増額分を09~18年度の10年間限定で、十和田湖エリアの環境保全・景観対策に充てた。事業は、藻の発生原因調査や水質改善、放置された観光ボート撤去、トイレ改修、誘客を促す旅行商品の開発、ヒメマス商品のブランド化、新しい観光拠点となる施設の整備、イベント開催補助など多岐にわたる。
この10年間の後半は、観光客が急増した時期に重なる。十和田市商工観光課のまとめによると「奥入瀬・十和田湖」の観光客入込数は14年の99万9644人から右肩上がりで増え、19年(速報値)は126万7071人となった。
また、十和田市全体への宿泊者数は、14年の27万2832人(うち外国人1万3089人)に対し、19年(速報値)は33万1881人(同6万6930人)と増えている。
十和田市は19年度以降も、環境省の「国立公園満喫プロジェクト」と連動させて十和田湖振興を進めてきた。本年度当初予算には焼山地区活性化(約1億3千万円)、休屋-十和田神社間の市道の石畳化(1億1千万円)などを計上している。新型コロナ感染拡大に伴う湖畔や焼山地区の観光業者支援策として、本年度の固定資産税、温泉使用料、上下水道料の免除も打ち出している。十和田市企画財政部の漆舘典子部長は「(交付税増収分を活用する)期間が終わったとはいえ、十和田湖・奥入瀬は当市にとっての重要な観光資源。新型コロナさえ収束すれば国、県、観光事業者と連携して観光PRに努めたい」と、世界的な感染拡大の行方に気をもんでいる。
5月3日(日)には、秋田県北部エリアの地方紙『北鹿新聞』さんにも同様の記事が出ましたが、こちらはより深刻な状況が詳述されています。「売り上げ99%減」と、そこまでか、という感じです。当方、現地の観光関係者の方々にいろいろとお世話になっておりますので、胸が痛みます。
そうした皆さんのご努力(本当にあの手この手で、十和田湖や奥入瀬渓流の魅力の発信に尽力されてきました)で、画像の表にある通り、観光客が伸び続けてきた中でのコロナ禍ですから、なおさらです。
と言っても、今、この時期に訪れても迷惑でしょうし(自宅兼事務所は「特定警戒都道府県」内です)、とにかく「早期収束の渇望」、それしかありませんね……。
人類史上、おさまらなかったパンデミックはないそうです。「三歩進んで二歩下がる」の状態になってしまいましたが、ここからまた一歩一歩、前を向いて行っていただきたいものですし、そのための協力は惜しみません。
全国の観光地、どこも似たり寄ったりの状況でしょう。皆様もぜひ、収束後はそれまでのステイホームの鬱憤を晴らす意味でも、あちこちにお出まし下さい!
【折々のことば・光太郎】