花巻高村光太郎記念館さんに展示されている昭和20年代の光太郎が暮らした頃の花巻とその周辺、花巻電鉄沿線のジオラマを作製してくださった石井彰英氏。

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石井氏、ジオラマを撮影し、ナレーションやお仲間と演奏された音楽を入れたDVDを制作されることをなさっており、光太郎ジオラマについても以前に作製されています。

氏から、新作のDVDが届きました。今回は、光太郎がその第一詩集『山羊の歌』(昭和9年=1934)の表紙題字を揮毫した、中原中也。題して「中原中也ジオラマDVD ダダさん」。

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まず、中也の故郷・山口の風景が中心です。光太郎ジオラマを作っていただいた時もそうでしたが、現地でロケハンもなさったそうで。

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その他、中也終焉の地・鎌倉やゆかりのあった都内、川崎なども。

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さらには代表的な詩の数々。お仲間の皆さんの朗読やBGMが入ります。

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中也とサーカスは切っても切り離せないということで、サーカス風景も。

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光太郎ジオラマDVDも素晴らしいクオリティでしたが(ちなみに当方手許にも在庫があります。ご入用の方、コメント欄等からご連絡下さい)、光太郎詩よりも叙情性、感覚性に優れ、妖しげでメランコリックな中也詩の世界と、ある意味憂愁を帯びた映像が非常にマッチしていると感じました。特にこのサーカスのシーンなど。

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今回、当方は何のお手伝いもしていないのですが、なぜかエンドロールに当方の名(笑)。

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こりゃ、「宣伝しろ」ということかと思い(笑)、宣伝させていただきます。

山口の中也記念館さん、昨年から先月まで、光太郎にも関わる「開館25周年記念展(文学表現の可能性 後期)清家雪子展――『月に吠えらんねえ』の世界」を開催して下さっていました。その報道を見るにつけ、ぜひ伺いたいと思っておりましたが、結局、コロナ禍で行けずじまいでした。

ただ、7月末から『山羊の歌』などに焦点を当てた「令和2年度特別企画展「中也詩集の装幀」(仮)」が予定されているようですので、今後の状況を見て、考えたいと思っております。


【折々のことば・光太郎】

    
豊耳聡明  巨眼帯露

短句揮毫 昭和21年(1946)/昭和23年(1948) 光太郎64歳/66歳

時期の異なるものを二つ並べましたが、ワンセットということで。

両方とも、花巻で世話になった花巻病院長・佐藤隆房のお孫さんの誕生記念に送った言葉です。前者は貞之氏に。おそらく耳が特徴的な赤ちゃんだったのでしょう。後者は泰之氏に。こちらはお目々あクリッとしていたということではないでしょうか。