雑誌の新刊です。といっても、1ヶ月経ってしまいましたが

花美術館 Vol.68

2019年12月20日 蒼海出版 定価1,200円+税

特集 オーギュスト・ロダン 人体こそ魂の鏡  

監修・髙橋幸次(国際ファッション専門職大学教授)
 ロダンの生涯―いのちを注ぎ込んだ綜合  髙橋幸次
 ロダン作品の特徴―自然と生命を拠り所に  髙橋幸次
 日本とロダン  髙橋幸次
 「ロダンの言葉」について―彫刻理解の基礎、大前提  髙橋幸次
 日本のロダニズム―荻原守衛を中心に  武井敏(碌山美術館学芸員)
 カミーユ・クローデルとロダン  南美幸(静岡県立美術館上席学芸員)
 他


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花美術館』さん。隔月刊の美術雑誌で、A4版200ページ近くでオールカラーの豪華なものです。平成23年(2011)のVol18では、光太郎智恵子の特集「詩魂が宿る芸術 光太郎、智恵子」を組んで下さいました(監修は故・北川太一先生でした)し、その後もぽつりぽつりと光太郎に関わる内容がありました。

で、今号はロダン。監修、さらにご執筆もなさっている髙橋幸次氏、以前は日本大学さん芸術学部教授であらせられましたが、昨年開校した国際ファッション専門職大学に移られたそうです。当方、いろいろお世話になっております。氏が三元社さんから昨年上梓された『「ロダンの言葉」とは何か』をベースにされた部分もあり、ロダンを崇敬した光太郎についての記述がふんだんに為されています。

図版が多く、理解の手助けとなります。晩年のカミーユ・クローデルの写真の存在など、当方、寡聞にして初めて知りました。

氏からの年賀状で今号の内容を知り、早速、Amazonさんで注文したのですが、さんざん待たされたあげく、結局品切れとメールが来、改めて他店で注文し直し、漸く入手した次第です。

また、こちらもお世話になっている、碌山美術館さんの学芸員であらせられる武井敏氏による「日本のロダニズム―荻原守衛を中心に」でも、光太郎に触れて下さっています。

ぜひお買い求めを。


【折々のことば・光太郎】

山を画きたい欲望は随分前からあつたので、今度山の中にはいつたら堪らないと思ふ。私は今大変な時に居る。二三日したら山へ行く。山を画く。

散文「〔消息〕――『生活』に――2」より 大正2年(1913) 光太郎31歳

「山」は信州上高地です。ここでは秘匿していますが、すでに話ができあがっていたようで、智恵子も光太郎の後を追って上高地入りし、二人は婚約を果たします。光雲の息のかかった旧態依然の日本彫刻界とは訣別し、ヒユウザン会(のちフユウザン会)、生活社など、新進気鋭の若手の集まりに軸足を置くようになって、さらに智恵子との婚約。確かに「今大変な時に居」ました。その高揚感が文章からも伝わってきます。