注文しておいたCDが届きました。 

日本の詩(うた)

2019年11月20日 日本コロムビア 定価3,000円+税

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演 奏 小林沙羅(ソプラノ)  河野紘子(ピアノ) 澤村祐司(箏)  見澤太基(尺八)
曲 目 
 1 . 小さな空  作詩・作曲/武満徹 編曲:轟千尋
 2 . うみ  作詩/林柳波 作曲/井上武士
 3 . この道  作詩/北原白秋 作曲/山田耕筰
 4 . 故郷(ふるさと)  作詩/高野辰之 作曲/岡野貞一
 5 . 早春賦  作詩/吉丸一昌 作曲/中田章
 6 . 赤とんぼ  作詩/三木露風 作曲/山田耕筰
 7 . お六娘  作詩/林柳波 作曲/橋本国彦
 8 . うぐひす ―春夫の詩に據(よ)る四つの無伴奏の歌―  作詩/佐藤春夫 作曲/早坂文雄
 9 . せきれい  作詩/北原白秋 作曲/宮城道雄
 10. 浜木綿(はまゆふ)   作詩・作曲/宮城道雄
 11. 初恋  作詩/石川啄木 作曲/越谷達之助
 12. 荒城の月  作詩/土井晩翠 作曲/瀧廉太郎
 13. ペチカ  作詩/北原白秋 作曲/山田耕筰
 14. 或る夜のこころ ―『智恵子抄』より  作詩/高村光太郎 作曲/中村裕美
 15. 死んだ男の残したものは  作詩/谷川俊太郎 作曲/武満徹 編曲:轟千尋
 16. ひとりから  作詩/谷川俊太郎 作曲/小林沙羅 編曲:相澤直人

公式サイトより)
クラシック声楽界のトップランナー小林沙羅にとって身近にあった歌と詩(うた)。
幼少時から詩集を声に出して読むことを好み、オペラ歌手として日本語の新作オペラ『万葉集』『KAMIKAZE』『狂おしき真夏の一日』等に積極的にも出演している。そして現在も詩と音楽のコラボレーション集団「VOICE SPACE」の一員として谷川俊太郎や佐々木幹郎、小室等などと共演し、近・現代詩と音楽の新たな融合を目指して活動している小林沙羅。
そんな小林が3年ぶりとなる3rdアルバムで選んだのは、曾祖父にあたり大正・昭和時代の有名詩人:林柳波の「うみ」をはじめとした「故郷」「荒城の月」等の童謡唱歌を収録した。林柳波は「うみ」「おうま」、そして今作にも収録した「お六娘(おろくむすめ)」などを作詩。また、小林の曾祖母は、狂言浄瑠璃の祖といわれる初代豊竹和国太夫を父にもつ日本舞踊家(林流創始者)・林きむ子。日本の詩や歌に心惹かれてきた小林のルーツはここにもあったのだ。
武満徹の作品や、作曲家・箏曲家でもある宮城道雄の作品を箏・尺八と共演し、高村光太郎の『智恵子抄』から生まれた新曲「或る夜のこころ」、そして現代を代表する詩人・谷川俊太郎による小林に向けて書きおろした詩に、小林が作曲した新曲「ひとりから」も収録。
日本語の発音にこだわり表現を大切にしてきた小林沙羅が、古き良き作品から、今を生きる表現者として生み出していく作品を未来へと導いていく。


ソプラノ歌手の小林沙羅さん。平成27年(2015)には、「ライフサイクルコンサート 雄大と行く 昼の音楽さんぽ 第3回 小林沙羅 麗しきソプラノの旅」、昨年は「浜離宮ランチタイムコンサートvol.175 小林沙羅ソプラノ・リサイタル」で、今回のCDに収録されている「或る夜のこころ」を演奏なさいました。「ライフ……」の方は拝聴にうかがいまして、改めてCDを聴き、ああ、こういう曲だったっけな、と思いだしました。単なる歌曲、というよりオペラのアリアのような、ドラマチックな曲想です。

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また、個人的には1曲目の「小さな空」、混声合唱で歌ったことがあり、懐かしく感じました。

Amazonさん等でも取り扱っています。ぜひお買い求め下さい。

また、先の話になりますが、小林さん、来春には今回のCDのリリース記念リサイタルをなさるそうです。近くなりましたらまた改めてご紹介いたします。


【折々のことば・光太郎】

知力によつて幾何学的正確を期するならば学生にも出来る。正しく見るといふのはそんな軽率な事ではない。自然を正々堂々と正面から押してゆく事だ。又受け入れる事だ。小さな主観で自然を歪めない事だ。面白い処に随はせない事だ。微妙な処にひつかからない事だ。小さな自己を殺して大きな自然と合一する事だ。「所謂」自己表現で無くて純真表現の事だ。

散文「大森商二君の木炭画」より 大正9年(1920) 光太郎38歳

光太郎の芸術感がよく表された一節だと思います。

「幾何学的正確を期するならば学生にも出来る。正しく見るといふのはそんな軽率な事ではない」。これは、造型芸術に限らず、音楽にもいえることです。楽譜通り、さらに平均律的な演奏をするなら、コンピュータでも可能ですが、小林さんのような優れた音楽家の演奏にはかないません。

また、造型芸術の分野でも、おそらく近いうちにAI(人工知能)による造型作品などというものが出てくるでしょうが(或いは既に実現しているのでしょうか)、それとて光太郎のような優れた造形作家の作には到底およばないでしょう。