1泊2日の行程を終え、東北から帰って参りましたが、そちらのレポート(最低3日はかかりそうなので)の前に、新刊情報を。

『詩と思想』2019年11月号 特集 詩人・作家の死生観

2019年11月1日 土曜美術出版社 定価1,300円+税


かつて文芸同人誌『虹』を主宰され、連翹忌にもたびたびご参加下さっている豊岡史朗氏からいただきました。

『虹』については以下。残念ながら、現在は休刊中だそうですが。
詩誌『虹』。   いただきもの。   詩誌『虹』―鷗外と光太郎。  文芸同人誌『虹』第6号。
文芸同人誌『虹』第8号。    文芸同人誌『虹』第9号/『月刊絵手紙』2018年8月号。

で、『詩と思想』。「詩人・画家の死生観」という特集を組んでいまして、豊岡氏の「高村光太郎の自然観と死生観」という玉稿も6ページにわたり掲載されています。

『虹』掲載のものもそうでしたが、氏の論考は安心して読めます。奇を衒わないリスペクトに基づく明快な論旨、完結で歯切れのいい文体等々、かくあるべしというお手本のようです。

他に、宮澤賢治、八木重吉、ミケランジェロなど、光太郎と関連する人々についての論考も掲載されています。


もう1件。 注文してはありますが、まだ届いていません。ネット上にも画像が掲載されていませんで、画像はなしです。

ビジュアル資料でたどる 文豪たちの東京

2019年11月 日本近代文学館編 勉誠出版刊 定価2,800円+税

夏目漱石、森鷗外、樋口一葉、芥川龍之介、太宰治、泉鏡花…。
日本を代表する文豪たちは、東京のどこに住み、どんな生活を送っていたのか。
彼ら・彼女らの生活の場、創作の源泉としての東京を浮かびあがらせる。東京を舞台とした作品の紹介のほか、古写真やイラスト、新聞・雑誌の記事や地図など当時の貴重な資料と、原稿や挿絵、文豪たちの愛用品まで100枚を超える写真も掲載。現在につながる、文豪たちの生きた東京を探す。
都内にある8箇所の文学館ガイドも掲載! アクセス方法、代表的な収蔵品など、写真付きで紹介。

目次
 刊行にあたって 坂上弘
 はじめに―東京文学を歩く 池内輝雄

 生活を支えた本郷菊坂の質店―樋口一葉と伊勢屋 山崎一穎
 千駄木・団子坂:確執と親和の青春―森鷗外と高村光太郎・木下杢太郎 小林幸夫
 漱石作品における「東京」の位置―「山の手」と「下町」の視点から 中島国彦
 女性たちの東京―泉鏡花と永井荷風 持田叙子
 近代医学へのまなざし―斎藤茂吉と青山脳病院 小泉博明
 作家たちの避暑地―芥川龍之介の軽井沢体験など 池内輝雄
 伏字の話から始まって―弴・万太郎・瀧太郎 武藤康史
 林芙美子の東京―雌伏期の雑司ヶ谷、道玄坂、白山上南天堂喫茶部 江種満子
 遊び、働き、住むところ―川端康成・佐多稲子たち、それぞれの浅草 宮内淳子


 [文学館記念館紹介]
 一葉記念館/武者小路実篤記念館/田端文士村記念館/世田谷文学館/太宰治文学サロン/
 森鷗外記念館/漱石山房記念館/日本近代文学館


上智大学教授で鷗外研究者の小林幸夫氏による「千駄木・団子坂:確執と親和の青春―森鷗外と高村光太郎・木下杢太郎」という項が含まれています。

小林氏、日本近代文学館さんで平成25年(2013)に開催された講座「資料は語る 資料で読む「東京文学誌」」で「青春の諸相―根津・下谷 森鷗外と高村光太郎」をご担当、当方、拝聴させていただき、そのご縁で連翹忌にもご参加下さいました。その際の内容は『日本近代文学館年誌―資料探索』第10号に掲載されています。今回は、そこに木下杢太郎が関わっています。

ぜひお買い求め下さい。


【折々のことば・光太郎】

出来た結果は思の半分にも及ばないが、毎日懐に入れて持つて歩いた。飯屋でも其を出して見ながら飯をくつた。まだ健康だつた頃の智恵子が私にも持たせてくれとせがんだ。

散文「木彫ウソを作つた時」より 昭和11年(1936) 光太郎54歳

自作の木彫「うそ」(大正14年=1925)は下の画像。画像は光太郎令甥にして写真家だった故・髙村規氏の撮影になるものです。

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