岩手での展示等につき、紹介の記事が出ています。ありがたし。


まず、『朝日新聞』さん。花巻高村光太郎記念館さんの企画展「高村光太郎 書の世界」を紹介して下さいました。

高村光太郎の書 記念館で企画展

 晩年の約7年間、花巻市で山居生活を送っ001た、詩人で彫刻家の高村光太郎による「書」を集めた企画展が、花巻市太田の高村光太郎記念館で開かれている。

 1945年、宮沢賢治との縁で花巻に疎開した光太郎は、戦争に加担した悔恨から彫刻制作を封印する一方、大小さまざまの味わいのある書を残した。

 企画展「高村光太郎 書の世界」は、彫刻、文芸と並んで光太郎の「第3の芸術」ともいわれる書を通じ、花巻時代前後の足跡を浮かび上がらせる狙い。1951(昭和26)年、花巻の山口小学校長から校訓の考案を頼まれて書いた「正直親切」など十数点を展示し、書の理論について光太郎がつづった散文などもパネルで紹介している。

 11月25日まで。会期中は休館なし。(溝口太郎)



続いて、『盛岡経済新聞』さん。

盛岡・赤レンガ館で「ホームスパン」イベント再び 羊毛の魅力を見て触れて

 工芸展「赤レンガ伝統工芸館 vol.4 ホームスパン」が11月2日・3日、「岩手銀行赤レンガ館」(盛岡市中ノ橋通1)で開催される。(盛岡経済新聞)

 「岩手銀行赤レンガ館」を管理する「岩手銀行」が、県内に継承される伝統工芸品を広く知ってもらおうと企画した同展。観光施設として県内外から多くの人が訪れる同施設を活用し、岩手という地域や産業の価値をPRする拠点にするとともに、県内で伝統工芸に関わる人を応援する。

 展示は年4回の予定で6月にスタートし、1回目は「漆」、7月の2回目は「かご」、10月に行われた3回目は「南部鉄器」、最後となる4回目は「ホームスパン」をテーマに行われる。工芸展の企画の背景には2017(平成29)年に開催されたホームスパン工房・作家による合同展示会「Meets the Homespun」の成功もあるという。今回の展示は「Meets the Homespun」の2回目という位置付けでもある。

 同展のコーディネートを担当してきた「まちの編集室」の木村敦子さんは「これまで開催している中で、県外や海外からの来場者が多かったのも印象的。県内の人からも、1つのものについて複数の作家や工房が集まるので、見比べながら購入できるという感想が聞こえている」と話す。「伝統工芸についてよく知らないという声はあるが、興味を持つ人は県内外に確実にいるということが分かったのも収穫」とも。

 今回の展示では県内17のホームスパン工房・作家が参加。ベテランから若手まで幅広い作り手が一堂に集まる。このほか、県産羊毛「i-wool(アイウール)」を使った製品の展示販売や、毛糸やつむぎ道具など羊に関わるものが並ぶ「ひつじまわり展」、ワークショップ、高村光太郎の妻・智恵子が大切にしていたエセル・メレエ製のホームスパンの毛布の特別展示なども行われる。

 初日には「プラザおでって」で特別講演も開く。展示にも参加している「蟻川工房」の蟻川喜久子さんによるホームスパンと実用についての内容のほか、岩手県立大学盛岡短期大学部教授の菊池直子さんが特別展示のエセル・メレエのホームスパン、高村光太郎愛用のホームスパンについての調査結果を報告する。

 木村さんは「完成された製品だけではなく、毛糸や道具、小物などの販売もあるので、自分で作りたいという人の素材探しにもぴったりだと思う。ホームスパンの工房や作家が一度に集まる機会はなかなかない。見て、触れて、自分好みのアイテムや誰かに贈るプレゼントを見つけてほしい」と呼び掛ける。

 開催時間は10時~16時。入場無料。

000


こちらは今度の土日に開催される「IWATE TRADITIONAL CRAFTS year 2019 ~(ホームスパン)」の予告です。

当方も土日、盛岡、花巻、さらに智恵子の故郷である福島二本松にも立ち寄って参ります。皆様もぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】


芸術は各個の持つ魂を表現したもので比較されたりなどすべきものではないと思ひます。

談話筆記「聖徳太子奉賛展への出品について」より
大正15年(1926) 光太郎44歳


000「第一回聖徳太子奉賛美術展」は、この年5月から6月にかけ、上野の東京府美術館で開催された大規模な展覧会です。

文展などの官設の展覧会には出品しようとしなかった光太郎が、ブロンズ「老人の首」(大正14年=1925)、木彫「鯰」(大正15年=1926)を出品し、「高村が展覧会に作品を出した!」と驚かれました。

同展が無審査の展覧会だったためで、それならば出品もやぶさかでない、という考えでした。この後も昭和2年(1927)と翌年に開催された、やはり無審査の「大調和展」にも作品を出しています。


ちなみにこの時出品された「鯰」は、竹橋の国立近代美術館さんの所蔵。現在、熊本市現代美術館さんで開催中の「2019年度国立美術館巡回展 東京国立近代美術館所蔵品展 きっかけは「彫刻」。―近代から現代までの日本の彫刻と立体造形」に出品されています。