IWATE TRADITIONAL CRAFTS year 2019 ~(ホームスパン)
期 日 : 2019年11月2日(土)・3日(日)時 間 : 10:00~16:00
会 場 : 岩手銀行赤レンガ館 岩手県盛岡市中ノ橋通一丁目2番20号
料 金 : 無料
岩手には漆器や南部鉄器、ホームスパンなど多くの優れた伝統工芸品があります。本イベントはその 展示や紹介を国の重要文化財である赤レンガ館で開催することによって、伝統工芸品のさらなる認知度の拡大を図るとともに、工芸品を製造・販売する事業者の皆さまの販路拡大の機会としていただくことを趣旨として開催するものです。
入場無料のイベントですので、お気軽に赤レンガ館に足をお運びいただき、歴史ある建築物と岩手が誇る優れた伝統工芸品とのコラボレーションをご堪能くださいますよう、お願い申しあげます。
高村光太郎の妻・ 智恵子が大切にしたホームスパンの毛布を特別展示。イギリスのエセ ル・メレ工房にて約100年前に作られた作品です。

蟻川喜久子氏(蟻川工房) 11:00-12:00 「使い継ぐ民藝・ホームスパン」
民藝の精神を受け継ぎ、「羊毛の本質を活かす」仕事を続ける蟻川工房。使ってこそのホームスパンと実用の美しさについて伺います。
菊池直子氏(岩手県立大学盛岡短期大学部教授) 13:30-15:00
「高村光太郎のホームスパンを探る!」
特別展示のエセル・メレによるホームスパン、高村光太郎愛用のホームスパンについての調査結果を報告。文献を読み解いて掘り下げます。
花巻高村光太郎記念館さん所蔵の、光太郎の遺品の中から見つかったホームスパン(羊毛を使った手織り)の毛布。戦後の光太郎日記にも「メーレー夫人の毛布」として何度か記述があります。その方面の専門家であらせられる岩手県立大学盛岡短期大学部の菊池直子教授らの調査により、イギリスの染織工芸家、エセル・メレの作であることが確認されました(ただ、メレ本人のみの作か、弟子の手が入った工房としての作かまでは不明とのこと)。戦前、智恵子にせがまれて購入したと光太郎に聞いた、という証言が残っています。
今年の3月に盛岡で開催された「岩手県立大学盛岡短期大学部 アイーナキャンパス公開講座」の中で、菊池教授が「高村光太郎のホームスパン」という講座をなさり、さらに同大の研究紀要で詳細をご記述。当方、講座を拝聴に伺いました。
講座を受講された方などから、ぜひ現物を見たいという声が上がり、今回の特別展示につながったようです。当方、一昨年くらいに現物を手に取って拝見しましたが、非常にしっかりした作りで、保存状態も良く、よくぞ残っていたものだと感じました。
その菊池教授、さらに現花巻市の旧東和町でホームスパン制作に携わり、光太郎と交流のあった及川全三の流れを汲む、蟻川喜久子氏による講演も予定されています。
会場の岩手銀行赤レンガ館さんは、旧岩手銀行中ノ橋支店を改装して各種展示やコンサートなどに使えるイベントスペースとしたものです。明治44年(1911)の竣工、東京駅なども手がけた辰野金吾と、盛岡出身の葛西萬司による設計で、国指定重要文化財です。
夭折して今は居ない或る若い彫刻の学生が曾て私に心事を語つた。「世の中に立てませんから帝展へはどうにかして出します。其れには帝展の人達がいくら口で否定しても事実として存在する帝展風の彫刻といふものを作ります。さうして特選になます。推薦になるまで辛抱します。推薦になつてしまつたら、思ふ存分自分の為事をやります。どうか長い目で見てゐて下さい」。此れをきいて私は暗然とした。この若者の死んだ事を聞いた時私は涙を催した。