先月末から始まっている企画展示。それ自体は光太郎とは関わらないようですが、(追記 パネル展示で光太郎に触れて下さっていました)関連行事のパネルディスカッション的なイベントで光太郎に触れられます。

トーク「『方丈記』巡礼」

期 日 : 2026年9月13日(日)
会 場 : 21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2 B1Fロビー 東京都港区赤坂9-7-6
時 間 : 14:00~16:00
料 金 : 企画展入場料 一般1,700 円、大学生800 円、高校生 500 円

企画展「方丈記に学ぶ –生きるを編み直す小さな建築–」の準備期間中、塚本由晴、田部井美奈、正田智樹ら企画チームは、「巡礼」という名のリサーチの旅に出ました。鴨長明が方丈の庵を結んだとされる京都・日野山や、高村光太郎が戦争末期の疎開を経て小屋に暮らした岩手県花巻市などを巡り、その土地の風景を実際に目にします。本トークでは、3名が旅のなかで得た発見が、本展へとどのように紡がれていったのかを紐解きます。

塚本由晴
建築家。1965年神奈川生まれ。1987年東京工業大学工学部建築学科卒業。1987〜88年パリ・ベルビル建築大学。1994年東京工業大学大学院博士課程単位取得退学。貝島桃代と1992年にアトリエ・ワンの活動を始め、建築、公共空間、家具の設計、フィールドサーベイ、教育、美術展への出展、展覧会キュレーション、執筆など幅広い活動を展開。ふるまい学を提唱して、建築デザインのエコロジカルな転回を推進し、建築を産業の側から人々や地域に引き戻そうとしている。2022年Wolf Award 受賞。

田部井美奈
アートディレクター・グラフィックデザイナー。2003年より服部一成氏のもとで活動し、2014年に独立、田部井美奈デザインを設立。広告、書籍、パッケージ、展示、空間構成などの領域において、色彩や幾何学を軸に、平面と立体を行き来するような視覚表現に取り組む。主な仕事に「武蔵野美術大学」のイメージビジュアル、「マティス展」、『奥能登半島/石川直樹』『ミライの源氏物語/山崎ナオコーラ』の装丁、「(NO) RAISIN SANDWICH」、「Mame Kurogouchi」のパッケージデザイン、展示「光と図形と、その周辺」など。第28回亀倉雄策賞、'19年東京ADC賞など受賞。AGI(国際グラフィック連盟)会員。

正田智樹
建築家。1990年千葉県生まれ。2014年東京工業大学工学部建築学科卒業。2016-2017年ミラノ工科大学、2017年東京工業大学大学院修了。在学中に日本各地の伝統的なものづくりの工房やイタリアの伝統食の生産の現場を調査。2018-2025年竹中工務店設計部にてオフィスビルや劇場、展覧会の設計に携わり、グッドデザイン賞、JID賞、空間デザイン賞など受賞。2026年独立、東京科学大学大学院博士課程在籍、多摩美術大学非常勤講師。著書にイタリアと日本の伝統食と建築、風景を描いた『Foodscape フードスケープ-図解 食がつくる建築と風景』がある。人々の暮らしや食文化に寄り添いながら建築を設計する。
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企画展自体の詳細情報はこちら。

方丈記に学ぶ –生きるを編み直す小さな建築–

期 日 : 2026年8月28日(金)~2027年1月11日(月・祝)
会 場 : 21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2 東京都港区赤坂9-7-6
時 間 : 10:00~19:00
休 館 : 火曜日(9月22日、11月3日は開館) 11月21日-23日 年末年始(12月27日-1月3日)
料 金 : 一般1,700 円、大学生800 円、高校生 500 円

 13世紀初頭に鴨長明によって書かれた随筆『方丈記』には、移ろい続ける世の無常を前にした人間の生き方が記されています。彼が暮らした庵は現存しませんが、その言葉は時代をこえて度あるごとによみがえり、多くの実践を生み出してきました。文学作品でありながら、住まいの本質を問うものとして、しばしば「真の建築書」とも形容される所以です。本展は、『方丈記』に記された小さな建築「方丈の庵」を起点に、現代の暮らしと構築環境を見つめ直す展覧会です。
 展覧会ディレクターに建築家・塚本由晴を迎え、建築家、デザイナー、美術家、企業など多彩な参加者が、それぞれの方丈の庵を構想します。一丈四方(約9㎡)というスケールを手がかりに、素材、構造、道具を介した、生き方を問い直す仕掛けを考えます。
 会場では、『方丈記』に描かれた自然やくらしについてのリサーチとともに、複数の庵が展示されます。来場者は会場内を巡りながら、異なる視点で構成された方丈の庵に出会うことになります。『方丈記』そのものを読み解くのではなく、『方丈記』と私たちのあいだに現れる生に目を向け、私たちの暮らしとあらためて向き合う機会となることを目指します。
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企画展自体は、京都で鴨長明が暮らした方丈を中心に、そちらの復元やオマージュ作品などが展示されているようです。
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「似てるな」と思ったのが、平成25年(2013)に乃木坂のTOTOギャラリー・間(ま)さんで開催された「中村好文展 小屋においでよ!」。翌年には金沢21世紀美術館さんにも巡回しました。

そちらとリンクして出版された建築家・中村好文氏の『小屋から小屋へ』(TOTO出版 平成25年=2013)では、光太郎が戦後の7年間の蟄居生活を送った花巻郊外旧太田村の山小屋(高村山荘)をはじめ、中村氏が心動かされた7つの小屋が紹介され、鴨長明の方丈も取り上げられています。

で、関連行事としてのトークショー。展示に関わられたお三方が、「「巡礼」という名のリサーチの旅に出」、「旅のなかで得た発見が、本展へとどのように紡がれていったのかを紐解きます」だそうです。

高村山荘が取り上げられるようですし、一番上の画像は、高村山荘と同じ花巻市の円万寺観音堂。光太郎と親しくなった僧侶にしてチベット仏教学者の多田等観が暮らした庵が現存しています。光太郎も何度か訪れた場所です。鳥居が写っていますが、神仏混淆の名残なのでしょう。

と、ここまで書いて、公式サイト中にお三方の花巻巡礼のフォトレポートがあることに気づきました。やはり高村山荘に行かれていたそうです。

ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【高村光太郎書誌】

詩華集 47 『大詔の下に』大東亜聖戦詞華集

昭和17年(1942)2月20日 大和書店 斎藤瀏著作者代表
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収録作家
 詩 尾崎喜八 長田恒雄 川路柳虹 蔵原伸二郎 草野心平 佐藤惣之助 西條八十
   高村光太郎 高橋新吉 竹内てるよ 土井晩翠 中西悟堂 永瀬清子 西村皎三
   野口米次郎 福田正夫 丸山薫 三好達治 村野四郎
 短歌 會津八一 石榑千亦 尾上柴舟 太田水穂 岡麓 岡山巌 川田順 香取秀真
    北原白秋 久保田空穂 佐佐木信綱 斎藤茂吉 斎藤瀏 相馬御風 茅野雅子
    土屋文明 逗子八郎 土岐善麿 中河幹子 前田夕暮 結城哀草果 吉植庄亮
    与謝野晶子 若山喜志子
 俳句 青木月斗 飯田蛇笏 臼田亜浪 荻原井泉水 高浜虚子 富安風生 長谷川かな女
    日野草城 水原秋桜子 山口誓子 矢田挿雲 渡辺水巴

前年12月の太平洋戦争開戦を受けての緊急出版的な。光太郎詩は「彼らを撃つ」「鮮明な冬」の2篇です。

この年に亡くなる北原白秋と与謝野晶子の翼賛歌も掲載されています。

白秋は
 天皇(すめらぎ)は戦(たたかひ)宣(の)らしあきらけし乃ち起る大東亜戦争
 やまとの天皇(すめらみこと)の高しらす大き亜細亜の暁光(かげろひ)今は
 天(あめ)のむた亜細亜のみ海統べしらす大き構想はたぐふすべなし
 皇御祖(すめみおや)い行きしらししわたの原ふりさけ見つつ天(あま)飛ぶ君は
 神怒り大いに下る冬の晴ホノルル爆撃の報爆(は)ぜたりぬ
 ああ既に戦(たたかひ)開くまたたくま太平洋を制圧す我は
 神を見るこの驚きを我云はば道直(ただ)にしてとほる大やまと
 八紘(あめのした)宇(いへ)とおほはむ大きなるゆゆし御稜威を仰ぎみまつる
 亜細亜の海百雷(ももいかづち)のい裂きなす戦(たたかひ)つくし大き後凪(あとなぎ)
 十億のみ民清まり住ままくは大わたの原と高天(たかあま)の原

晶子で
 み軍(いくさ)の詔書の前に涙落つ代(よ)は酷寒に入る師走にて
 日の本の大宰相も病む我も同じ涙す大き詔書に
 強きかな天を恐れず地に恥じぬ戦(いくさ)をすなるますらたけをは
 水軍の大尉となりて我が四郎み軍(いくさ)にゆくたけく戦へ
 子が船の黒潮越えて戦はん日もかひなしや病(やまひ)する母


やらかしましたね、二人とも。特に晶子は、かつて日露戦争時には弟に対し「君死にたまふことなかれ」と謳ったのに、四男には「たけく戦へ」。

二人とも晩節を汚してしまったというか、しかし逆に考えればこの年に亡くなったため、その後の光太郎のようにこんな馬鹿げた作を量産せずに済んだというか……。