明日以降何日間か、これから開催されるイベント等の紹介を致しますが、その前にそうした形で事前に紹介できず、終わってしまったものについて。記録のためにも紹介しておきます。

まず、4月18日(土)に新宿区の音楽の友ホールさんで開催された「バーゼル国際歌曲コンクール2026 ファイナル」。
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ピアノ、ヴァイオリン、声楽、フルート、ハープの5部門から成る「バーゼル国際音楽コンクール」の声楽部門で、国籍学籍不問、プロアマ不問、若手声楽家の登竜門的なもののようです。
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一次審査、二次審査はYouTubeだそうで、これも時代の流れかなと思いました。最近はそれが一般的なのでしょうか。ファイナルのみが会場審査で、4月18日(土)に音楽の友ホールさんで開催されました。

ちなみに審査員のお一人、テノールの樋口達哉氏は智恵子の故郷・二本松市のご出身で同市の観光大使も務められていて、故・湯浅譲二氏作曲の「二本松市民の歌」なども歌われていますし、平成31年(2019)に同市で開催された「2019全国さくらシンポジウムin二本松~ ほんとの空に さくら舞う ~」などにもご出演なさっていました。

本選では時間が割り当てられるのでしょう、12名の各出場者が3曲から5曲を歌って審査に臨んでいました。

で、結果が以下の通り。敬称略ですみません。

 第1位   Geng LI (LEE) バリトン  中国
 第2位   川出康平 Kohei KAWADE  テノール  日本
 第3位   三神祐太郎 Yutaro MIKAMI バリトン 日本 
     Jana CVETKOVIC メゾソプラノ セルビア
 第4位   Juhyung Kim  バリトン  韓国
 第5位   郭冬家 GUO Dongjia  テノール 中国
 第6位   Elena Xanthoudakis  ソプラノ  オーストラリア 
 聴衆賞  Jana CVETKOVIC メゾソプラノ  セルビア
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このうちみごと第2位に輝かれた川出康平氏、演奏曲目が以下の通りでした。

 ・R.Strauss:“Heimliche Aufforderung”(リヒャルト・シュトラウス:“密やかな誘い”)
 ・R.Strauss:“Morgen!”(リヒャルト・シュトラウス:“明日に!”)
 ・O.Respighi:“Nevicata”(レスピーギ:“雪”)
 ・別宮貞雄:歌曲集「智恵子抄」より“人に”

国際コンクールですので(そうでなくてもそうかもしれませんが)、外国曲が3曲、そして故・別宮貞雄氏の歌曲集「智恵子抄」から「人に」。まさか樋口氏と二本松の関係から印象をよくしようとして選曲したというようなセコい意図はなかったはずですが(笑)、その偶然に驚きました。

別宮氏の「智恵子抄」、テノールの紀野洋孝氏が積極的に取り上げられ、さまざまな機会で歌われたり、CDに組み入れたりされています。また、他の声楽家の方もぽつりぽつり、毎年のようにどこかしらで歌われている感じです。

事前に曲目がわかっていれば、ぜひ聴きに行きたいところでした。

惜しくもグランプリは逃された川出氏ですが、「プロフェッショナル歌曲賞」も受賞、さらに川出氏の伴奏を務められたピアノの吉本有佑氏は「伴奏者賞」でした。

今後のさらなるご活躍に期待いたしますし、別宮氏の「智恵子抄」もどんどん取り上げていただきたいものです。

もう1件。5月9日(土)に世田谷区の三茶しゃれなあどホールさんで「朗読とお話 宮静枝の詩に投影された高村光太郎の戦後」というイベントが開催されたとのことです。世田谷区さんの広報誌で事前に小さく紹介が出ていましたが、気づきませんでした。
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気づいたのは、デザイナーの宮白羊氏のX(旧ツイッター)投稿で、当日でした。
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「父」というのが、写真家のみやこうせい氏(本名・宮暠成氏)です。

イベント標題にある「宮静枝」がこうせい氏のお母さま。岩手江刺の出身で、昭和26年(1951)秋に、花巻郊外太田村の光太郎の山小屋を訪れ、その時の体験を元に、平成4年(1992)、『詩集 山荘 光太郎残影』を上梓、第33回晩翠賞に輝いています。同書はまるっと一冊、光太郎を語った詩集で、実に多くの啓示を与えてくれるものでした。
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昭和26年(1951)11月11日の光太郎日記。

盛岡より宮静枝さん、甥(千葉氏)の人と子供二人つれてくる、新小屋。ライカにて撮影いろいろ、宮さんにカーテンぬつてもらふ。

「子供二人」にこうせい氏も含まれていますし、「ライカにて撮影」された写真が『詩集 山荘 光太郎残影』に14葉掲載され、そこにはこうせい氏も写っています。
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おそらくこうせい氏、この日の出来事などを語られたのでしょう。また、他の方々が『詩集 山荘 光太郎残影』から朗読をなさったのだと思われます。

下記は同書の復刻版を扱っているユニコ舎さんのX(旧ツイッター)投稿。
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これも事前に知っていたら、万難を排して駆けつけたのですが……。

『詩集 山荘 光太郎残影』、ぜひお買い求め下さい。

【高村光太郎書誌】

選集等(単独) 10 『現代日本名詩選 道程・典型』

昭和28年(1953)3月10日 筑摩書房 高村光太郎著
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目次
 道程
  一九一〇年
   失はれたるモナ・リザ 生けるもの 根付の国
  一九一一年
   画室の夜 熊の毛皮 人形町 甘栗 庭の小鳥 亡命者 鳩 食後の酒 寂寥 声 風
   新緑の毒素 廃頽者より 「河内屋与兵衛」 髪を洗ふ女 「心中宵庚申」 夏
   なまけもの 手 金秤 はかなごと めくり暦 地上のモナ・リザ 葛根湯 夜半
   けもの あつき日 父の顔 泥七宝 ビフテキの皿
  一九一二年
   青い葉が出ても 赤鬚さん あをい雨 友の妻 ――に 夏の夜の食慾
   或る夜のこころ おそれ 犬吠の太郎 さびしきみち カフエにて 梟の族 冬が来る
   カフエにて 或る宵 夜 狂者の詩 郊外の人に 冬の朝のめざめ カフエにて
   師走十日 戦闘
  一九一三年
   人に カフエにて 深夜の雪 人類の泉 山 よろこびを告ぐ 現実 冬が来た
   冬の詩 牛 僕等
  一九一四年
   道程 愛の嘆美 群集に 婚姻の栄誦 万物と共に踊る 瀕死の人に与ふ 晩餐
   五月の土壌 淫心 秋の祈
 典型
 序
 雪白く積めり 
 暗愚小伝
    家
   土下座 ちよんまげ 郡司大尉 日清戦争 御前彫刻 建艦費 楠公銅像
  転調
   彫刻一途 パリ
  反逆
   親不孝 デカダン
  蟄居
   美に生きる おそろしい空虚
  二律背反
   協力会議 真珠湾の日 ロマン ロラン 暗愚 終戦
  炉辺
   報告 山林
 「ブランデンブルグ」 脱卻の歌 人体飢餓 東洋的新次元 おれの詩 悪婦 山荒れる
 月にぬれた手 鈍牛の言葉 典型 
 田園小詩
  山菜ミヅ 山のひろば 山口部落 かくしねんぶつ クロツグミ クチバミ 別天地
  岩手の人 山からの贈物 この年 
 年譜
 解説 中山義秀

第一詩集『道程』(大正3年=1914)と、結局は生前最後の詩集となる『典型』(昭和25年=1950)を一冊にまとめたものです。

やはり光太郎の山小屋を訪れたこともある中山義秀の解説が秀逸です。