開催中の企画展示についての報道を2件。

まずは京都から、『京都新聞』さん記事。

裂、糸、色… 染織家・志村ふくみさんの創作を支える言葉たち 根底にある思いは

  細見美術館(京都市左京区)で開催中の特別展「志村ふくみ 百一寿 -夢の浮橋-」では、紬織(つむぎおり)の人間国宝・志村ふくみさん(101)にまつわる数々の「言葉」に触れられる一角がある。
 作品の制作過程で生まれた「裂(きれ)」や紬織の根底をなす「糸」、自然が生み出す「色」…。随筆家でもある志村さんはそれらが持つ意味を、言語化して人々に伝えてきた。そして、詩人や歌人、文学者らが残した言葉に刺激を受け、活動の糧としてきた。
   志村さんの世界観を紹介する展示室に足を踏み入れると、詩人・高村光太郎(1883~1956年)が1932(昭和7)年に詠んだ詩「五月のウナ電」を志村さんが筆で写し、大小さまざまな裂で彩った作品が目に入る。ウナ電とは、かつてあった緊急電報のこと。宇宙から地球上のさまざまな動植物に向け、それぞれの生を謳歌(おうか)するよう警告を発する内容だ。
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高村光太郎の詩「五月のウナ電」を志村さんが自らの筆と裂で表現した作品

 今回の展示にゲスト企画者として携わった芸術学校「アルスシムラ」講師で、志村さんの弟子でもある染織家の外山もえこさんは「(志村さんは)この詩を人間への警告と受け取ったようです」と言う。自身の作品は自然の持つ命をいただいてできている、との信念を持つ志村さんならではの着眼点が表れていると言えるだろう。
   展示室には、志村さん自身が紡いだ言葉の自筆作品やパネルも並ぶ。裂は「糸のあわいから、響いては消えてゆくかすかなさざめきが、聞こえるかも知れない」。蚕がもたらす糸は生きていて、「抱きしめたいほどにいとし」く、色は「木の精なのです」(いずれも随筆集「一色一生」より)。志村さんが箱に収めてきた小さな裂も展示されている。
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志村さんの詩「裂によせて」の自筆作品

 2014年の随筆「冬の湖」は、生まれ故郷である湖国の自然への賛歌だ。JR湖西線に揺られて見た、枯れた葦(あし)と琵琶湖、雪。3者が織りなす色の対比を、「藍と金と白に立ち昇るのだ」と表す。
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故郷である滋賀の風景が放つ「色」を表した随筆

 特別展は5月31日まで。午前10時~午後5時。有料。5月4日を除く月曜と5月7日は休館。同館と京都新聞の主催。

細見美術館さんで開催中の特別展「志村ふくみ 百一寿 ―夢の浮橋―」の紹介です。

光太郎詩「五月のウナ電」(昭和7年=1932)をモチーフとした裂(きれ)。令和5年(2023)、都内の銀座大黒屋ギャラリーさんで開催された「志村ふくみ氏・洋子氏母子の作品展示販売会 五月のウナ電」の際にも展示されたものです。

続いて都内、『朝日新聞』さん。こちらは文京区立森鷗外記念館さんで開催中の特別展「近代文学でよむ文(ふみ)の京(みやこ)の坂と名所」について。

森鷗外や樋口一葉が表現した坂 森鷗外記念館で春の特別展

 文京区内の坂や名所について描写された、明治から昭和初期の近代文学が展示されている。
 森鷗外記念館(文京区)で春の特別展「近代文学でよむ文の京の坂と名所」が11日から開かれている。区内に数多くある坂や名所がどう描かれてきたのかに着目し、実際の地図に落とし込んで紹介する展示もある。6月28日まで。
 「坂の上に出た。地図では知れないが、割合に幅の広いこの坂はSの字をぞんざいに書いたように屈曲して附いている」。森鷗外は「青年」で根津神社の周辺をこう表現した。他にも樋口一葉や永井荷風らが表現した、区内17カ所の名所や坂の当時の情景を、一節を通して紹介する。
 展示の後半では、森鷗外がかつて暮らした千駄木に焦点を当てる。鷗外のほかにも高村光太郎や夏目漱石、江戸川乱歩なども住んでいたとされ、それぞれの作品からかつての町の様子や人々の暮らしを読み解くことができる。
 同館司書の岩佐春奈さんは「すでに行ったことのある坂や、よく歩く坂について、当時と現在との違いを楽しめる。また、展示をきっかけに興味を持った場所にこれから出かけてみるのもいいのでは」と話す。
 観覧料は600円。問い合わせは同館(03・3824・5511)へ。
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この手の報道を見て「こんなんやってたんか? じゃぁ行ってみよう」という向きも少なからずいらっしゃるはずですので、ありがたいところです。

まだという方、こんなんやってるんで、じゃあ行ってみて下さい(笑)。

【高村光太郎書誌】

選集等(単独) 1 『高村光太郎詩集』

昭和22年(1947)7月5日 鎌倉書房 草野心平編
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目次
 Ⅰ
  寂寥 新緑の毒素 はかなごと 父の顔 さびしきみち 戦闘 道程 万物と共に踊る
  秋の祈 小娘 序曲 米久の晩餐 かがやく朝 雨にうたるるカテドラル 沙漠
  冬の送別 五月のアトリエ 鉄を愛す 無口な船長 火星が出てゐる 氷上技戯 葱
  触知 晴天に酔ふ 冷熱 偶作十二 少年を見る 或る墓碑銘 冬の奴 怒 母をおもふ
  冬の言葉 刃物を研ぐ人 花下仙人に遇ふ 街上比興 その詩 首の座
 Ⅱ
  クリスマスの夜 ラコッチイ・マアチ 車中のロダン 後庭のロダン 聖ジャンヌ
  十大弟子 旅に病んで 存在 耳で時報をきく夜 村山槐多 レオン ドウベル 南極
  つゆの夜ふけに 芋銭先生景慕の詩 老耼、道を行く
 Ⅲ
  清廉 傷をなめる獅子 苛察 雷獣 龍
 Ⅳ
  人類の泉 僕等 愛の嘆美 晩餐 樹下の二人 鯰 夜の二人
  あなたはだんだんきれいになる 同棲同類 美の監禁に手渡す者 山麓の二人
  ばけもの屋敷 風にのる智恵子 千鳥と遊ぶ智恵子 値ひがたき智恵子 レモン哀歌
  荒涼たる帰宅 亡き人に 梅酒
 覚書 草野心平

比較的長期に亘る作品群から、主として光太郎以外の人物がセレクトして編んだものを『選集等』としてご紹介していきます。

まずは光太郎単独のものからですが、意外といえば意外、戦後になるまで、光太郎単独でのこの手のものは出されていませんでした。3人で一冊、とかはありましたが。

編集は当会の祖にして最も光太郎と親しかった詩人と言える草野心平でした。心平はこの後、何度もこの手の出版に携わっていきます。

本来はカバー付きですが、当方手持ちの者は裸本です。