光太郎と同じくロダンによって目を開かせられ、光太郎の親友だった彫刻家・碌山荻原守衛関連で2件。

まず、守衛を顕彰する信州安曇野の碌山美術館さんで、建屋2棟が新たに国の登録有形文化財指定を受けました。

『信濃毎日新聞』さん。

独特な意匠が特徴 安曇野市の碌山美術館の休憩室と旧収蔵庫、国登録有形文化財に

 文化審議会が登録有形文化財にするよう26日に答申した安曇野市にある碌山美術館の休憩室「グズベリーハウス」と旧収蔵庫「美術の倉」。いずれも開館10周年を記念して建てられ、独特な意匠が特徴。地域の教員や子どもが建築作業に携わり、手作りの温かみが感じられる。
 グズベリーハウスは1968(昭和43)年に作品展示や来館者の休憩が可能な「付属館」として建設。枕木を積み上げた校倉造りで屋根が小石で覆われている。同市出身の作家臼井吉見(1905~87年)の小説「安曇野」のラストシーンにも登場する。
 美術の倉は70年完成。床面積は7・3平方メートル。同館が作品収蔵する市出身の彫刻家荻原碌山(本名守衛(もりえ)、1879~1910年)がキリスト教の影響を受けたこともあり、扉などに十字架の装飾をあしらっている。
 碌山美術館では、荻原の作品を展示・収蔵する教会風の建物「碌山館」が2010年2月に国登録有形文化財となった。碌山館も地元住民や県内の子どもの寄付と協力で建てられた。学芸員の武井敏さんは敷地内の建物が「地域のボランティア精神によって完成したという経緯にも価値がある」と話している。
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『市民タイムス』さん。

碌山美術館の「グズベリーハウス」と「美術の倉」 国の登録有形文化財に

 安曇野市穂高の碌山美術館にある2棟の建造物が、国の登録有形文化財に登録されることになった。来館者の休憩室として使われている「グズベリーハウス」と、作品の収蔵庫として使われた「美術の倉」で、どちらも石置き板ぶき風の屋根や、払い下げの枕木を積み重ねて造った壁体が特徴だ。敷地の雰囲気に趣を添えている。
 国の文化審議会が26日、登録有形文化財(建造物)に登録するよう文部科学大臣に答申した。登録される県内建造物は9件で、中信では同館の2件。
 グズベリーハウスは山小屋風の平屋93.9平方メートルで、会議や休憩用の場所として昭和43(1968)年に建設された。美術館設立に尽力した彫刻家・笹村草家人のデザインで、臼井吉見の長編大河小説『安曇野』の結末にも物語の舞台として登場する。
 美術の倉は高床式の7.3平方メートル。作品収蔵庫の不足を受けて45年に建設され、約20年前まで現役で使われた。破風板の上部に多くの十字架を飾り、屋根はこけむして独特な外観を有している。
 両棟とも旧南安曇郡の教員や学生らがボランティアで建設工事に携わった。グズベリーハウスのはりには、高校生の手による「自由 平等 献身」の言葉が彫り込まれている。学芸員の武井敏さん(52)は「ボランティアから始まった碌山美術館の成り立ちの一部を象徴している。珍しくもあり温かさもある建物を楽しんでほしい」と話している。
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SBC信越放送さん。

島崎藤村も訪れた楼閣風の建物や碌山美術館の展示施設も 新たに9件が国の登録有形文化財に登録へ

004 文豪の島崎藤村も訪れたという小諸市の水明楼や、安曇野市の碌山(ろくざん)美術館の展示施設など9件が、国の登録有形文化財に登録されることになりました。
 県の文化審議会が26日に文部科学大臣に対して登録有形文化財に登録するよう答申したものです。
 登録されることになったのは、長野市にある駒形嶽駒弓神社本殿、小山家住宅の主屋と土蔵及び離れ、長屋門、湯福神社の本殿と拝殿及び祝詞殿、小諸市にある水明楼、安曇野市にある碌山美術館のグズベリーハウスと倉の9件です。
 このうち、小諸市の水明楼は、小諸城跡南側の斜面に位置する小諸義塾塾長の木村熊二の旧書斎で、1900年に建設され島崎藤村なども訪れたという楼閣風の建物です。
 また、碌山美術館のグズベリーハウスは、1968年に美術館の開館10周年を記念して建てられたもので、払い下げられた枕木を積んで壁にしているほか、石置板葺風モルタル塗りの切妻屋根が特徴の山小屋風の展示施設です。
 登録有形文化財は、原則として建設後50年が経過し、国土の歴史的景観に寄与したり造形の規範になるなどしている建築物などを登録するもので、今回の9件が官報に告示されると県内の建造物の登録は671件になります。

最初、信越放送さんの記事見出しだけをネット上で見て、「碌山美術館」「登録有形文化財」といったワードで、てっきり本館にあたり、光太郎の名も刻まれた「碌山館」のことだと思い「あれっ?  とっくに指定されてたよな」と思いました。「碌山館」は平成22年(2010)に指定を受けています。
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ところが記事本体を読むと「グズベリーハウス」と「美術の倉」だとのことで「そっちかい」でした。
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「グズベリーハウス」は、毎年4月22日に開催される、守衛を偲ぶ碌山忌の集い会場です。毎回、冒頭に光太郎詩「荻原守衛」(昭和11年=1936)が参加者全員で群読されます。

「美術の倉」は、元々収蔵庫だったもので、上記鳥瞰図にはその名が記されていませんが、受付兼ミュージアムショップの隣に立つ校倉造りの建屋です。

ともに昭和40年代の建造で、それほど古いものではないのに、と思ったのですが、昭和40年代というともう十分にそういう対象なのですね。昭和30年代生まれとしてはある意味複雑です(笑)。冗談はさておき、文化財指定、実に喜ばしいことですね。痛みの激しかったグズベリーハウスも令和4年(2022)に行われたクラウドファンディングで集まった資金の一部で補修が成されましたし。

昨年急逝された、同館の理事も務められていた太田寛前安曇野市長も泉下で喜ばれていることでしょう。

もう1件。3月29日(日)に放映された、NHK Eテレさんの「日曜美術館」。この日は銀座の王子ホールさんで開催された「朝岡真木子歌曲コンサート第9回@王子ホール」拝聴のため上京しておりまして、録画しておきました。帰ってから拝見したところ、碌山美術館さんにも触れられていまして、「おお!」でした。

この日の回は「日曜美術館」放映開始50周年記念の一環で、「放送開始50年特集 “わたし”の日曜美術館」と題された60分拡大版でした。スタジオには現司会者の守本奈実アナウンサーと坂本美雨さんに加え、歴代司会者のうち、檀ふみさん、井浦新さん、柴田祐規子アナウンサーが集われ、アーカイブ映像を振り返るというコンセプト。

その中で、初期の頃は各界の美術ファンが好きな絵画や芸術家について語る「私と○○」というコーナーがあったという流れで、碌山美術館さん。
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「私」が臼井吉見だったので、驚きました。臼井は昭和20年代、雑誌『展望』の編集長で、光太郎と交流の深かった人物です。光太郎は昭和22年(1947)、自身の半生と戦争責任を振り返る連作詩「暗愚小伝」20篇を『展望』に寄せ、一つのエポックメーキングとなりました。また、臼井は守衛や光太郎も登場する大河小説『安曇野』の作者でもあります。

当方、生きて動いている臼井の姿を動画で見るのは初めてでした。
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この言の裏側には、自身が親交のあった光太郎の姿も念頭に置かれていたのではないでしょうか。そして当方も自分自身光太郎顕彰に取り組む中で、いろいろ広がった人脈を思い、「そうなんだよなぁ」でした。

この頃の司会、太宰治息女の太田治子氏だったとは存じませんでした。司会と言えば、その後のアーカイブ映像で歴代司会者が続々映ったり、ビデオ出演されたりでしたが、こんな人も司会者だったんだと驚きの連続でしたし、臼井同様、存命だった美術作家や評論家などの生きて動いて喋っている姿もたくさんで、実に貴重だと感じました。

ちなみに同番組、光太郎メインの回(スタジオで収録を拝見しました)が「智恵子に捧げた彫刻~詩人・高村光太郎の実像~」として平成25年(2013)10月6日、光雲で「一刀に命を込める 彫刻家・高村光雲」が平成27年(2015)5月31日にそれぞれ放映されましたが、今回の中では紹介されませんでした。何せ2,500回にも及ぶ放映でしたので、いたしかたありますまい。

再放送が4月5日(日)にオンエアされます。

日曜美術館 放送50周年 放送開始50年特集「“わたし”の日曜美術館」

NHK Eテレ 2026年4月5日(日) 20:00~21:00

 日美50特集の総決算の今回は、長年番組を愛していただいた視聴者、そして出演者の皆さんへの感謝祭。歴代の番組司会者が大集合して、番組が伝えてきた“美”を振り返る。
  2026年4月に迫った放送開始50年へのカウントダウンとして、昨年10月から制作してきた「日美50」プロジェクト。その総決算となる今回は、長年番組を愛していただいた視聴者、そして出演者の皆さんへの感謝祭。案内役として歴代の番組司会者が大集合!スタジオだけでなく、VTRやナレーションでも懐かしいあの顔、あの声が。半世紀の歴史の中で番組が伝えてきた「美」の魅力を改めて振りかえる。

【出演】檀ふみ 井浦新 小野正嗣 はな 山根基世 柴田祐規子
【司会】坂本美雨 守本奈実
【語り】石澤典夫 加賀美幸子 森田美由紀
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ぜひご覧下さい。

【高村光太郎書誌】

本人著作(部分)5 『世界美術全集別巻第七巻 西洋版画篇』

昭和5年(1930)12月15日 平凡社 下中弥三郎編
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目次
 総説
  西洋版画略史 石井柏亭     創始期の西洋版画 森口多里
  十八世紀の豔情版画 太田三郎  民俗版画 足立源一郎
  現代西洋版画展望 仲田定之助
 図版及解説

「図版及解説」中の「90 ユーゴー、ベローヌ ロダン作」を光太郎が執筆しました。分量はわずかですが、函には光太郎の名も執筆者として大きく掲げられています。