現在開催中の企画展示についての報道を2件。

まず、『秋田魁新報』さん、鹿角市十和田図書館さんで開催中の「本の芸術家が生んだ浪漫の世界」について。

出版社「龍星閣」を設立、澤田伊四郎の業績知って 十和田図書館で資料展

 出版社「龍星閣」を設立した秋田県小坂町出身の澤田伊四郎(1904~88年)ゆかりの資料を集めた展示=写真=が、鹿角市の十和田図書館で開かれている。27日まで。
 芸術性の高い装丁にこだわった澤田。画家・竹久夢二の画集の権利を買い取り、龍星閣から順次刊行して夢二の再ブームに一役買ったとされる。
 展示は、鹿角市在住の澤田の親族が寄贈した、夢二のポストカード大の作品を中心に約230点陳列。妻を亡くした高村光太郎に、澤田が詩作を提案したという龍星閣刊の「智恵子抄」も並ぶ。小林光代館長は「地域の先人の業績を知ってほしい」と話す。
 午前9時~午後7時(最終日は1時)。月曜休館。問い合わせは十和田図書館TEL0186・35・3239
000
続いて『京都新聞』さん。こちらは細見美術館さんで開催中の特別展「志村ふくみ 百一寿 ―夢の浮橋―」 の紹介。

特別展 「志村ふくみ 百一寿 ―夢の浮橋―」 3日から細見美術館で

 紬織(つむぎおり)の人間国宝で随筆家でもある志村ふくみさんは、命ある植物から引き出した色で独自の美を追求し続けている。京都市左京区の細見美術館で3日に始まる特別展「志村ふくみ 百一寿-夢の浮橋-」では、昨年秋に101歳を迎えた志村さんが監修した新作2領など約40件を観覧できる。
 特別展のために制作した二つの新作は、志村さんがライフワークとする「源氏物語シリーズ」の作品だ。展覧会のタイトルにもなっている「夢の浮橋」は源氏物語の最終巻の名前。そこに登場する浮舟は、薫と匂宮の間で揺れ、やがて俗世を離れた。志村さんの娘、洋子さんは「母は年を重ね、源氏物語でもキラキラした前半より終盤の宇治十帖を意識するようになった。夢の浮橋については、約5年前から構想していた」と語る。作品は、美しくかれんな浮舟がまとう着物をイメージして制作された。
001 002
《夢の浮橋》2025年         《朧月夜》2025年

 もう一つの新作「朧月夜」は、源氏を惑わせて失脚の一因をつくった女性の名だ。情熱的で華やかな宮廷恋愛を楽しんだ朧月夜だが、作品の色は華やかさとは真逆。「ミステリアスな部分がないと、源氏は好きにならなかった」(洋子さん)。
 この二つの新作には、生の紫根が用いられている。志村さんが大切にする色「紫」を生み出す植物だが、生産量は年々減少している。志村さんの孫、宏さんが滋賀県で紫根の生産を始めたことで新鮮な紫根が手に入り、洋子さんは「より美しい紫が出せた」と喜ぶ。
003 004
《若紫》2007年          小袖《Francesco》2020年

新作2領や能衣装も
 作家の故石牟礼道子さんの遺作で、2018年に初演された新作能「沖宮(おきのみや)」の衣装も並ぶ。沖宮は石牟礼さんの故郷の天草を舞台に、干ばつに苦しむ村のため人柱になる少女・あやを、島原の乱で散った天草四郎の霊が導くという物語だ。
 東日本大震災後、生命の尊さ、自然への畏敬が薄れる現代日本に危機感を抱いた石牟礼さんは、友人の志村さんと往復書簡を交わす中で、新作能の構想を育んだという。衣装はすべて志村さんが監修した。あやがまとう「紅扇」は関西初公開。鮮やかな緋色を間近で見ることができる。
010
舞衣《紅扇》2021年

 志村さんはこれまでに織ってきた着物の残り布や小さな端切れを、愛おしいものとして大切に保管してきた。これらの布を使ったコラージュ作品も会場に並ぶ。
011 012
《雛形 蛍 生絹》2006年     《雛形 紫格子白段》 2006年
013
《五月のウナ電》 詩 高村光太郎 書・裂 志村ふくみ【後期展示】

■会  期 前期=3月3日(火)~4月12日(日)

       後期=4月14日(火)~5月31日(日)。
       月曜日と5月7日休館(5月4日は開館)
■会  場 細見美術館(京都市左京区岡崎最勝寺町)
■開館時間 午前10時~午後5時
■入館料  一般2000円、学生1500円。会期中、着物姿で来館すると200円割引。
■主  催 細見美術館、京都新聞
■協  力 都機工房、アトリエシムラ
■監  修 志村ふくみ、志村洋子

キャプションにある通り、「五月のウナ電」は4月14日(火)からの後期展示です。

それぞれ、ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【高村光太郎書誌】

本人著作(全体)73 『詩集 智恵子抄』愛蔵版

平成11年(1999)3月25日 日本図書センター 高村光太郎著
PXL_20260307_064817419 PXL_20260307_064903764
PXL_20260307_065006877 PXL_20260307_065018971 PXL_20260307_065052847
目次
 人に             明治四五年七月
 或る夜のこころ        明治四五年八月
 おそれ            明治四五年八月
 或る宵            大正元年一〇月
 郊外の人に          大正元年一一月
 冬の朝のめざめ        大正元年一一月
 深夜の雪           大正二年二月
 人類の泉           大正二年三月
 僕等             大正二年一二月
 愛の嘆美           大正三年二月 
 晩餐             大正三年四月
 樹下の二人          大正一二年三月一一日
 狂奔する牛          大正一四年六月一七日
 鯰              大正一五年二月五日
 夜の二人           大正一五年三月一一日
 あなたはだんだんきれいになる 昭和二年一月六日
 あどけない話         昭和三年五月十日
 同棲同類           昭和三年八月一六日
 美の監禁に手渡す者      昭和六年三月一二日
 人生遠視           昭和一〇年一月二二日
 風にのる智恵子        昭和一〇年四月二五日
 千鳥と遊ぶ智恵子       昭和一二年七月一一日
 値ひがたき智恵子       昭和一二年七月一二日
 山麓の二人          昭和一三年六月二〇日
 或る日の記          昭和一三年八月二七日
 レモン哀歌          昭和一四年二月二三日
 荒涼たる帰宅         昭和一六年六月一一日
 亡き人に           昭和一四年七月一六日
 梅酒             昭和一五年三月三一日
 うた六首                         
 智恵子の半生         昭和一五年九月
 九十九里浜の初夏       昭和一六年五月
 智恵子の切抜絵        昭和一四年一月
 校訂覚え書 北川太一
 年譜 北川太一

「智恵子抄裁判」の結果、龍星閣で出していた『智恵子抄』は出版差し止めとなりました。他のいろいろな『智恵子抄』がありましたが、昭和16年(1941)のオリジナルの形のものが無くなってしまったということで、当会顧問であらせられた北川太一先生が仕掛け人となって刊行されました。