昨日、途中まで書いて保存しておいた状態だったのを投稿してしまっていました。夕方になって削除したのですが「なんだこりゃ?」と思われた方、すみません。

あらためまして、この時期、中高大その他、入学試験がたけなわです。

そんな中、関西大学さんの日本史の問題に、光太郎の父・光雲が取り上げられました。
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(6)が、上野の西郷隆盛像制作の中心となった人物を問う穴埋め問題で、光雲の名が入ります。

予備校の先生によると思われる「評」が以下の通り。
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やや細かい知識が問われた」。常識の範疇かなと思っていましたが、確かに西郷像に関わるSNS投稿等には、「作者は高村光雲だったんだ、意外」といった文言も見られます。特に関西圏以西の方々にとってはこの像そのものが身近な存在ではないせいかもしれません。
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画像は像の鋳造完成後、西郷の故郷・鹿児島に移されて保存されていた木彫原型です。惜しくも太平洋戦争による空襲で焼け落ち、現存しません。

それでも「「老猿」などの作品でも知られる彫刻家」とヒントが書かれていますので、「高村光雲」とすぐ解るのではないかと思われます。「老猿」は中学校の歴史の教科書に出て来ます。
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上画像は平成27年(2015)検定、同28年(2016)発行の東京書籍さん中学生向け歴史教科書。裏表紙に「老猿」があしらわれています。

ちなみに表紙には智恵子が表紙絵を描いた『青鞜』も小さく。
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現行のものはデザインが変わってしまい、表紙/裏表紙にこれらの画像は含まれていませんが、本文では双方しっかり載っています。

関西大さんの入試に戻りますが、他に選択肢で彫刻家は「キ」に荻原守衛、「フ」で平櫛田中。逆に「平櫛田中って誰?」という声が聞こえそうですが。そう考えるとこの問題の正答率は高かったように思われますが、どうでしょうか。

それから今年は私立中学校の入試に、光太郎が取り上げられました。横浜市にある捜真女学校さん中学部の問題です。先週、ネット上にPDFファイルがアップされました。大問ひとつ丸々使われており、問題文が昨年2月2日の『朝日新聞』さん一面コラム「天声人語」。光太郎詩「道程」(大正3年=1914)をネタにしたものでした。

PDFファイルで読んで、なかなかよくできた問題だな、と思っていたのですが、なぜか程なく削除されてしまいました。出た時点でスクリーンショットを取っておけばよかったのですが……。ただ、いまだに検索エンジン上に痕跡が残っていまして、そこから小問一つのみ復元できました。

筆者が冬の雪景色を高村光太郎の「道程」と重ねて想像した理由としてふさわしいものを次の. ア. ~. エ. の中から一つ選び、記号で. 答えなさい。
 ア. 冬の寒さの厳しさが、努力の大変さや 決断することの難しさにたとえられたから。
 イ. 雪が積もった道の美しさが、作品の舞台にふさわしいと思えたから
 ウ. 新しい雪を一人で踏みしめて進む姿が、人生を切り開く決意と重なったから。
 エ. 降り積もった雪が、未来へ続く道しるべのように感じられたから。

どれを正解としても大間違いではないような気がしますが、まぁ「ウ」なのでしょう。

ちなみに捜真女学校さん、かつてかの小倉遊亀が美術教師として教壇に立っていたそうで。

ところで入試というと、昨年の今ごろ、大学入試共通テストにやはり「老猿」が取り上げられたよ、という記事を書きました。その際に貼り付けた画像が違ってるよ、と、つい最近コメント欄からご指摘がありました。慌てて訂正しました。面目ありません。

最初に書いた通り、入試たけなわ。公立高校などはこれからがピークですね。またどこかで光太郎智恵子、光雲が取り上げられてほしいものです。

常々思っていますが、歴史上の主な事項や主要(と思われる)人物の事績などは、受験に向けての知識というよりこの国に生きる人間としての教養として身につけておくべきものだと思います。あまりに細かいところまでは別として、ですが。昨今、あまりにも歴史に学んでいない言動を多く耳にしますので……。

【高村光太郎書誌】

本人著作(全体)44 『ヴェルハアラン詩集』

昭和28年(1953)12月25日 創元社 高村光太郎訳
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目次
 フラマンド
  パン焼
 路傍
  たとへ
 錯覚の村村
  風
 生活の相貌
  海に向つて
 沸きかへる力
  わが人種 不可能 朝 砂浜で
 無量の壮麗
  空をたたふ 思想家 風を称ふ 吾家のまはり
 至上律
  ミケランジユ
 波うつ麦
  田舎の対話(六番) 燃える娘(村の唄) あけ渡せ(村の唄)
 全フランドル平原
  種馬 農家の庭
 小伝説
  小さな聖母(五月) サンジヤンさま(六月)
 天上の炎
  今日の人に 死者 東西南北 或る夕暮の路ゆく人に
 戦争の赤い翼
  一九一五年の春 病院 葬式
 あとがき 真壁仁

ベルギーの詩人、エミール・ヴェルハーレン(1855~1916)の翻訳です。主な詩集から光太郎がセレクトし、大正から戦前にかけてさまざまな雑誌などに発表したものの集成で、この時点での新たな訳は含まれません。