4件ご紹介します。

まず、石川県立美術館さん他で開催中の「令和6年能登半島地震・令和6年奥能登豪雨復興支援事業 ひと、能登、アート。」について、地元紙『北国新聞』さん。

教科書で見た至宝集う 「ひと、能登、アート。」開幕 国宝、重文など86点

●県立美術館など3会場で順次
 東京の美術館や博物館の名品が金沢に集結する特別展「ひと、能登、アート。」(北國新聞社共催)は15日、石川県立美術館で開幕した。東京国立博物館(東博)をはじめ、約30の文化施設や個人が所有する国宝、重要文化財(重文)など86点が、金沢市内3会場で展示される。県立美術館では43点が並び、来場者は教科書で目にするほど著名な文化財の「オールスター」を心ゆくまで鑑賞した。
 同展は県、金沢市、東博などが来年3月1日まで主催し、県立美術館、国立工芸館、金沢21世紀美術館で順次、名品を並べる。3館合同の展覧会は初めて。
 重文に指定されている高村光雲の彫刻「老猿」は、オオワシと格闘した後の気迫に満ちたサルの姿を表現している。大正天皇のご成婚25周年を祝い献上された平福百穂(ひゃくすい)の屏風「丹鶴青瀾(たんかくせいらん)」は青い波と金泥が織りなすダイナミックな背景に、夫婦円満や長寿を象徴する鶴が対照的に描かれている。
 このほか、七尾生まれの画聖・長谷川等伯の重文「牧馬図屏風(ぼくばずびょうぶ)」と「烏鷺図(うろず)屏風」、高い人気を誇る江戸時代中期の絵師伊藤若冲の「松梅孤鶴図(しょうばいこかくず)」、菱川師宣の「見返り美人図」なども来場者の注目を集めた。
●知事「オールスター」
 開会式では、馳浩知事があいさつで今回の特別展を「美術・工芸・博物館のオールスター戦」とたとえ、「石川にはアートの底力がある。県民の湧き上がる力をもっと応援していきたい」と語った。東博の藤原誠館長、北國新聞社の小中寿一郎社長もあいさつした。
 会期は県立美術館が12月21日まで、国立工芸館が12月9日〜来年3月1日、金沢21世紀美術館が12月13日〜来年3月1日となる。入場料は一般千円、大学生800円、高校生以下無料。昨年の能登半島地震と豪雨の復興支援を目的としており、内灘町以北の住民のほか、被災後に能登から移住した人は無料となる。
006
同じ件で『朝日新聞』さん石川版。

国宝、重文が金沢に集合、復興応援 3施設に86件の文化財

 2024年の能登半島地震や奥能登豪雨で被災した地域と人々を励まそうと、東京を中心とする美術館・博物館などの文化財を、金沢市内で展示する「ひと、能登、アート。」(朝日新聞社など後援)が15日、始まった。
001
 東京国立博物館が呼びかけ、約30の美術館・博物館や個人などが所有する文化財計86件を、金沢の3館に分けて展示する。15日に開幕した石川県立美術館(12月21日まで)では、室町時代の雪舟等楊(とうよう)による国宝の水墨画「秋冬山水図」をはじめ、重要文化財では江戸時代の尾形光琳の「風神雷神図屛風(びょうぶ)」、明治時代の高村光雲の「老猿」、黒田清輝の「湖畔」など、教科書でも取り上げられるような名作40件あまりが展示されている。
002
004
 開会式で東京国立博物館の藤原誠館長は「作品の背後にある人の思いや祈りに触れ、再生への希望を感じ取ってもらいたい。多くの人が足を運んで、被災地へ思いをはせていただけたら大変光栄です」と話した。
 野々市市から夫婦で訪れた主婦の高田みどりさん(51)は「有名な作品を直接見ることができて感激した」と話す。「被災された方も、作品を見て前向きな気持になってもらいたい」
 金沢21世紀美術館(12月13日~2026年3月1日)では、ルノワールやルソーといった西洋の名画など15件が展示される予定。国立工芸館(12月9日~26年3月1日)では30件近くが出展され、重要文化財の遮光器土偶のほか、国宝の「秋草文壺(あきくさもんつぼ)」など工芸品が中心となる見込み。
 問い合わせは県文化振興課(076・225・1371)へ。


続いて、少し前ですが『毎日新聞』さん北九州版。読者の方の投稿欄のようです。

はがき随筆 冬 小倉南区星和台 山口敬司(73)/福岡

 少年時代に読んだ高村光太郎の詩「冬が来た」をこの日、独唱した。冒頭、「きっぱりと冬が来た」、末尾「刃物のやうな冬が来た」。
 霜月、未明にベッド頭上の窓をまるで切り裂くような雷が鳴り、カサカサと音をたてて落ち葉の上をたたく時雨の音を聞いた。
 ふと目を覚まし、暦を見る。残すところ、あと2枚だ。独唱のごとく、ものみな枯れる冬に立ち向かわなければならない。
 73歳という人生を。厳しく生きる術を。そこに老齢の未来があることを信じて。そして輝かしいということも。冬が来た。

まだ11月ですが、たしかにもう冬が来た感がいっぱいですね。秋はどこへ行ってしまったんだ? と思わされます。

光太郎詩「冬が来た」(大正2年=1913)、この時期のコラム等にはよく取り上げられます。
012
最後に『朝日新聞』さん青森版。

森佳正の青森ウォッチング アートは全身で体感が大事 NHK「鈴木京香の東北おとな旅」

000 宮城県出身の俳優・鈴木京香さんが、改めて東北の魅力を再発見してみようというNHKの紀行番組「鈴木京香の東北オトナ旅」。今回の「青森県十和田市編」は8月にパイロット版の30分で放送され、10月には43分の完全版として放送された。
 「オトナ旅」ということもあって、番組では、自然・建築・アート・人気スポット・伝統工芸・夜の街の六つのテーマで十和田を紹介していた。
 冒頭で、十和田の代名詞である十和田湖を久しぶりに訪れた京香さんは、湖畔にたたずむ乙女の像を鑑賞した。
 像を造った高村光太郎による直筆の詩が刻まれた碑銘を読み上げる。
 「この原始林の圧力に堪へて立つなら幾千年でも黙って立ってろ」
 作品名の「乙女」から抱くイメージとは大きく異なる光太郎のメッセージに京香さんは、「ものすごく生命の力強さを詠んだ言葉ですね」と感嘆していた。
 番組のハイライトは、十和田市現代美術館に常設展示されている作品《ザンプラントSumpf Land》だ。
 造型作家の栗林隆氏の空間芸術作品で、真っ白の部屋の天井にポコっと首だけが出せる穴が空いている。その天井穴から顔を出した京香さんは、眼前の別世界を見て思わず声を上げた。
 「私、『地獄の黙示録』になっている!」
 主人公が、ジャングルの沼からすっと顔を出す、あの名シーンをさながら再現したかのような、緑が生い茂る湿地に鏡のように張る一面の水面が飛び出した首の周りを360度囲んでいたのだった。
 京香さんも、「全く予備知識なく来てよかった」と大満足。作品名を調べたら、ザンプ(Sumpf)が湿地の意味だから感動は半減していたかもしれない。アート作品は、まず、予備知識なく全身で体感するのが大事だと、この番組は教えてくれた。


NHKさんの東北限定番組「鈴木京香の東北オトナ旅」。「8月にパイロット版の30分で放送」とありますが、そちらは旧NHKプラスさんの配信で拝見しました。
008 009
その後、10月17日(金)に「43分の完全版」の放映があったそうで、そちらは存じませんでした。
010
民放さんでもそうですが、こうした地方限定の番組、系列のBS局などで放映してほしいものだと思いました。

さて、最初に戻りますが、「令和6年能登半島地震・令和6年奥能登豪雨復興支援事業 ひと、能登、アート。」、それから十和田湖も、ぜひ足をお運びください。

【折々のことば・光太郎】

一つの胴と四つの肢体。此が実に無限だ。どんなにいろいろの事が此で物語れる事ぞ!

光太郎訳 ロダン「続ロダンの言葉 フランシス ド ミオマンドル筆録」より
大正9年(1920)頃訳 光太郎38歳頃

作品モチーフとしての人体について。胸像や頭部のみと異なり、四肢を使うことができれば表現の幅はぐっと広がるわけで。ロダン代表作の一つ「カレーの市民」など、まさにその具体例ですね。
011
光太郎の「乙女の像」、それから人体ではありませんが、光雲の「老猿」などにも言えることだと思います。