NHKさんの連続テレビ小説「とと姉ちゃん」。平成28年(2016)に放映されたものですが、現在再放送が平日の12時30分から為されています。

日本女子大学校での智恵子の先輩・平塚らいてうが主宰し、智恵子が創刊号の表紙絵を描いた雑誌『青鞜』が、劇中でたびたび重要なモチーフとして使われます。

まず、明後日から2日間連続で。

【連続テレビ小説】とと姉ちゃん 第7週 常子、ビジネスに挑戦する

第38回 NHK総合 2025年6月26日(木) 12:30~12:45

昭和11年春。常子(高畑充希)は女学校最高学年の五年生となる。クラスの同級生の大半が嫁いでいく中で、家族の食いぶちを稼ぐため、少しでも給料の高い仕事を探していた。そんな折、新たな担任としてやってきた東堂チヨ(片桐はいり)に出会う。「女性とはこうあるべき」という固定観念に捕われず、自分の気持ちに正直に挑戦する大切さを教わる。一方、鞠子(相楽樹)は進学したい思いを誰にも相談できず、深いため息をつく…。

第39回 NHK総合 2025年6月27日(金) 12:30~12:45

どこか元気のない鞠子(相楽樹)を心配し、常子(高畑充希)は、東堂(片桐はいり)から借りた「青鞜」を渡す。感銘を受けた二人は、女性だからという理由だけで尻込みせず、挑戦することが大切だと東堂から助言され、何かを始めたい気持ちが湧き上がる。一方、時代は次第にきな臭くなり、青柳や森田屋も不況の波が押し寄せ、自粛ムードが漂っていた。そんな折、鉄郎(向井理)が森田屋に現れ、どんちゃん騒ぎが始まってしまい…。

【出演】高畑充希 木村多江 相楽樹 伊礼姫奈 ピエール瀧 坂口健太郎 大野拓朗 浜野謙太
    谷田部俊 杉山裕之 片桐はいり 向井理 片岡鶴太郎 大地真央
【語り】檀ふみ

昭和11年(1936)という設定で、明治44年(1911)の『青鞜』創刊から四半世紀後ですが、高畑充希さん演じる主人公・小橋常子らが『青鞜』の影響を受ける、という流れです。らいてうには言及されますが、残念ながら智恵子の名は出されません。
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きっかけをつくったのは、常子の通う女学校に新たに赴任してきた東堂先生(片桐はいりさん)。早速、最初の授業だかホームルームだかで、一席ぶちます(笑)。
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衝撃を受けた常子は東堂先生から『青鞜』創刊号を借り、はまってしまいます。
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常子のモデルは、現在も続く雑誌『暮しの手帖』を戦後になって立ち上げた大橋鎭子ですが、実際に若い頃にこういうエピソードがあったのかは不明です。

ちなみに大橋は光太郎に『暮しの手帖』への寄稿を依頼するため花巻郊外旧太田村の山小屋を訪れたり、書簡を複数回送ったりしましたが、結局、光太郎はそれに応えなかったようです。

『青鞜』は、常子以外にも、相楽樹さん演じる常子の妹・鞠子(第39回)や、阿部純子さん扮する友人の中田綾(第14週)らにも影響を、といったエピソードも。
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また、第15週では『暮しの手帖』編集長の花森安治がモデルの花山伊左次(唐沢寿明さん)も、母親が『青鞜』愛読者だったと明かしたりもします。
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ちなみに花山は戦争協力を恥じ一度は筆を折る、ということで、光太郎にも通じる部分がある描き方でした。

そして第19週では、真野響子さんのらいてう自身も登場。
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そういうわけで、平成28年(2016)の初回放映をご覧になっていない方(ご覧になった方も)、ぜひご覧下さい。

【折々のことば・光太郎】

先日お揃ひで御来訪の節は愉快でした、ところが最近五、六日間このかた急に息切がつよくなり、外出して歩行中呼吸困難を感ずることがあるので、只今外出せず、在宅静かに仕事してゐます、静かにしてゐれば何の異状もないのですが。

昭和29年(1954)5月4日 細田明子宛書簡より 光太郎72歳

細田は戦前から光太郎が常連だった三河島のトンカツ屋・東方亭の娘。光太郎に実の娘のようにかわいがられていました。戦後、医師となり、光太郎詩「女医になつた少女」(昭和24年=1949)のモデルにも。
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医者仲間の関川大司と婚約し、その挨拶と披露宴の招待状を届けるために中野の貸しアトリエを訪れました。