光太郎が終生敬愛し続けた、オーギュスト・ロダンを取り上げるテレビ番組が2件、近々放映されますのでご紹介します。

フランス人がときめいた日本の美術館 #15「大原美術館(岡山・倉敷)」

BSイレブン 2019年9月15日(日)  21時00分~22時00分

《傑作選》日本で初めて西洋美術を紹介▼モネから直接買い付けた絵も収蔵されている、大原美術館。そこには、大原孫三郎と画家・児島虎次郎の知られざる物語があった。

1930年、当時日本で唯一の西洋美術を鑑賞できる美術館として開館した、大原美術館。本館はギリシャローマの神殿建築を模したファサードが印象的。モダンな建築様式の分館、古い蔵を再利用した工芸・東洋館の、三つの館に分かれている。本館入口では、ロダンの彫刻が迎えてくれる。ルノワール、セザンヌ、ゴーギャン、モネの傑作『睡蓮』…名だたる印象派巨匠たちの絵画が一堂に会し、これらのほとんどが常設展示というのも驚き。

いったい誰が、こんな素晴らしいコレクションを? モネからは絵画を直接買い付けたエピソードが?…そこには、実業家・大原孫三郎と、新進気鋭の画家・児島虎次郎との知られざる物語があった。 さらに、「美しく保存された蔵に民藝のコレクションが調和する」とソフィーさんが称した工芸・東洋館では、大原孫三郎の思いを受け継ぎ、生涯に渡って民藝運動を支援し続けた、その長男・總一郎の思いにも迫る。

紹介作品
◆クロード・モネ『睡蓮』 ◆エル・グレコ『受胎告知』 ◆マティス『マティス嬢の肖像』 ◆ジャクソン・ポロック『カットアウト』 ◆児島虎次郎『和服を着たベルギーの少女』◆棟方志功『二菩薩釈迦十大弟子板画柵』 ほか

出演者  旅人 松本愛(モデル・タレント)  語り 椎名桔平


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この番組、週に2回放映があり、金曜日の20時からが新作の放映、日曜日の21時からは過去の放映の再放送となっています。

で、こちらは再放送。初回放映は今年の1月でした。その際には気がつきませんでした。番組説明に「本館入口では、ロダンの彫刻が迎えてくれる。」とあるので、多少の説明はあるのでしょう。

ちなみに今月6日放映の「#45 東京国立博物館『黒田記念館&本館』」では、光太郎作のブロンズ「黒田清輝胸像」(昭和7年=1932)、写りましたが説明はスルー(笑)。ちょっと残念でした。

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もう1件、こちらはもろにロダンです。

プレミアムシアター エイフマン・バレエ「ロダン」&歌劇「イドメネオ」

NHKBSプレミアム 2019年9月15日(日)24時00分~28時35分 = 9月16日(月) 0時00分~4時35分

ロシアの鬼才ボリス・エイフマン振付けのバレエ「ロダン」。彫刻家ロダンと2人の女性の愛憎を描く。▽後半はカーセン演出、マドリード・レアル劇場の歌劇「イドメネオ」

「近代彫刻の父」と呼ばれるロダンと、愛弟子のカミーユ・クローデル、そして妻ローズ。3人の愛と葛藤を、ロシアの鬼才ボリス・エイフマンがダイナミックなダンスで浮き彫りにするバレエ「ロダン」。鍛え上げられたダンサーの肉体が彫像に形を変えていく斬新な振付けに注目。▽1:38~後半は、マドリード・レアル劇場の歌劇「イドメネオ」。演出家ロバート・カーセンがモーツァルトのオペラを現代的な視点で描き出す。

出演
エリック・カトラー,ダビー・ポルティージョ,アネット・フリッチュ,エレオノーラ・ブラット,ベンジャミン・ヒューレット,オリヴァー・ジョンストン,アレクサンドル・ツィムバリュクほか

ナレーション: 水落幸子(みずおち ゆきこ)

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「ロダン」は0時4分~1時36分の放映だそうです。音楽はラヴェル、サン・サーンス、マスネ、ドビュッシー、サティー。なるほど、ロダンと同時代のフランス音楽というわけですね。

番組説明にある「鍛え上げられたダンサーの肉体が彫像に形を変えていく斬新な振付け」、上記画像がそうですが、とんでもないことになっていますね(笑)。

一昨年、歿後百年を記念して公開されたフランス映画「ロダン カミーユと永遠のアトリエ」を彷彿とさせられます。

それぞれぜひご覧下さい。


【折々のことば・光太郎】

詩はわからない程いいのだとえらい人が言つた 詩はつかまへ様のないのがいいとなつかしい詩人が言つた 詩は一気息でなければならぬと巧者な批評家が言つた
詩「現実」初出形より 大正2年(1913) 光太郎31歳

詩「現実」は、雑誌発表時にはもともと11行の詩だったのですが、翌年の詩集『道程』に収められる際、冒頭2行だけの形にばっさり削られました。その削られた部分の抜粋です。

こののち、詩に限らず、造形芸術でも具象より抽象がもてはやされるようになり、現代詩、現代アートにつながっていくわけですが、「わからない程いい」「つかまへ様のないのがいい」というのは、詩でも造型でも具象にこだわった(単なる写実一辺倒ではなかったところに光太郎の本質があるわけですが)光太郎一流のアイロニーですね。