昨日は信州安曇野に行っておりました。

今、千葉の自宅兼事務所でこれを書いておりますが、昨日は当初の予定では帰ってくるつもりではなく、塩尻にある何度か泊まった健康ランドで仮眠し、帰り道、神奈川県伊勢原市の雨降山大山寺さんの秘仏三面大黒天立像(高村光雲作)特別御開帳を拝観し、都内で光太郎終焉の地・中野の中西利雄アトリエを保存する会の会合に出席、というはずでした。一度千葉の田舎まで帰ってしまうとまた都内に出るのが面倒ですので。

ところが愛車にトラブルで、帰らざるを得ない状況に。車輌本体は全くノープロブレムですが、癇癪を起こしたのはカーナビ。安曇野に着いた頃から自車の位置と画面の表示にズレが生じ始め、帰る頃には無茶苦茶になりました。南下しているのにどんどん北上していると表示され、実際にいる場所とどんどん乖離。一晩経てば治るかなとも思ったのですが、もし治らなければ大山寺さんにたどり着けません。断念して昨夜のうちに帰りました。

結局帰る途中もずっとしっちゃかめっちゃかで、信州から山梨県、神奈川県と進んでいるのに最北で新潟の妙高市まで行ったと認識。その後も長野県内や群馬県嬬恋村あたりをぐるぐるうろうろしているということになっていました。一晩経って治ったかな、と思って先ほど見てみましたが、やはり長野県野沢温泉村にいることになっています(笑)。

閑話休題。安曇野には光太郎の親友だった碌山荻原守衛の忌日・第115回碌山忌、さらに「特別展示 智恵子紙絵」拝観のため、同市の碌山美術館さんに行きました。

アルプスの山々にはまだ残雪。いい感じでした。
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館に到着すると、ちょうど本館に当たる碌山館前でアルペンホルンの演奏が行われていました。碌山忌ということで、アトラクションの演奏です。いかにも高原という感じで、「いとつきづきし」(笑)。
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隣接する杜江館での「特別展示 智恵子紙絵」を拝見。
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本来撮影禁止ですが、許可を得て撮らせていただきました。
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髙村家から拝借の、紙絵の実物と、光太郎令甥にして写真家だった故・髙村規氏撮影の複製と、同時に展示されていました。こういう展示の仕方もありか、と思いました。
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紙絵を収蔵していた箱も。文字は光太郎の揮毫です。
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さらに光太郎草稿。
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生涯最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」の小型試作。顔は智恵子のそれです。
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アルペンホルンの演奏も終わったので、碌山館に。「女」をはじめ守衛の作品が一堂に会しています。
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裏手には光太郎詩碑。
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第一展示棟では光太郎の作品も。
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その後、休憩所兼インフォメーションコーナー的なグズベリーハウスへ。こちらではやはりアトラクションとしてコンサートが。
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そちらも終わり、午後4時、守衛の墓参。歩いていける距離ではありませんので、守衛の兄の令孫・荻原義重氏などの車に分乗して現地へ。
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昨日の信州は強風、というか烈風でしたので、山火事も怖いということで、焼香は無し。お坊様の般若心経読経や荻原氏のお話など。
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いつも書いていますが、墓碑銘は守衛と交流のあった中村不折の揮毫です。中村は太平洋画会での智恵子の師でもありました。

再び館に戻り、懇親会。
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恒例の光太郎詩「荻原守衛」全員での朗読。先導役は臼井吉見文学館の平沢重人館長。昨年は当方でした。
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代表理事、高野博元館長のご挨拶。
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祝辞を述べられた、同館理事でのあらせられる安曇野市長・太田寛氏、荻原氏。
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その後はスピーチ等おりまぜつつ、和気あいあいと懇談/会食。

途中、トイレに行った際。とっぷり日が暮れ、煉瓦造りの碌山館が実に映える感じでした。
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7時45分にお開きとなり、8時には片付けも終わって館を後にしました。

この後、最初に書いた通りの事態となって、結局千葉の自宅兼事務所まで帰った次第です。雨降山大山寺さんの秘仏三面大黒天立像(高村光雲作)特別御開帳は日を改めてリベンジに参ります。

「特別展示 智恵子紙絵」は6月22日(日)まで。公式サイトに情報が出ました。ぜひ足をお運び下さい。

【折々のことば・光太郎】

仕事の方はやうやく二尺ばかりのエスキスを完成、今週中に石膏にとりますが、又すぐに三尺五寸の中型原型にとりかかるので今その支度に大童です。


昭和27年(1952)12月10日 宮崎稔宛書簡より 光太郎70歳

「二尺ばかりのエスキス」が、上記「特別展示 智恵子紙絵」会場に展示されている小型試作、「三尺五寸の中型原型」は第一展示棟に並んでいる中型試作です。